JP3930515B2 - 接着性エチレン系共重合体樹脂組成物およびその組成物を用いた積層体 - Google Patents

接着性エチレン系共重合体樹脂組成物およびその組成物を用いた積層体 Download PDF

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Description

本発明は、接着性エチレン系共重合体樹脂組成物およびその組成物を用いた積層体に関し、さらに詳しくは、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂などの材料と、エチレン・・酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂(EVOH)に対して、互いに溶融した状態で積層させ成形することによって、従来から公知のグラフト変性低結晶性エチレン系重合体に比べて、高温雰囲気下での接着力保持性に優れた積層体を提供することができる接着性エチレン系共重合体樹脂組成物およびその積層体に関する。
エチレン系共重合体は、その優れた特性を生かして種々の成形方法により成形され、多方面の用途に供されている。しかしながら、これらのエチレン系共重合体は、その分子中に極性基を持たない、いわゆる無極性樹脂であるため、金属をはじめ、種々の極性物質との親和性に乏しく、金属との接着、および極性樹脂とのブレンド等を行なわなければならない用途に使用する場合には、何らかの改良が必要である。このような極性物質との親和性を改良する手段として、エチレン系共重合体を極性モノマーでグラフト変性する方法が知られている。
しかしながら、このようなグラフト変性がなされたエチレン系共重合体であっても、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂などに対する接着が特に困難であった。
これに対して、特許文献1および特許文献2には、低密度のエチレン・α- オレフィン共重合体と、エチレン・酢酸ビニル共重合体と、一部もしくは全部が不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性されたグラフト変性ポリエチレンとからなる接着性樹脂組成物がポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂などに対して良好な接着力を与えることが示されている。
しかしながら、これらの公報に示されているような低密度のエチレン・α- オレフィン共重合体では、高温雰囲気下での接着力が不足する場合がある。したがって、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニリデンなどに対する良好な接着性を維持しつつ、かつ、高温雰囲気下でもその接着力の低下が少ない接着性エチレン系共重合体樹脂組成物が得られれば、その工業的価値は極めて大きい。
特開昭64−045445号公報 特開平2−029331号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂およびエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂に対して、高温雰囲気下でも良好な接着力を与える接着性エチレン系共重合体樹脂組成物、およびその組成物を用いた積層体を提供することを目的としている。
本発明に係る接着性エチレン系共重合体樹脂組成物は、
[I]シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物(a)と有機アルミニウムオキシ化合物(b)とを含むオレフィン重合用触媒を用いて調
製された、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとからなる長鎖分岐型のエチレン・α- オレフィン共重合体[A1]、
および
エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]に不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされた変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A2]
から選ばれた少なくとも1種の成分50〜95重量%と、
[II]エチレン・酢酸ビニル共重合体[B]4〜40重量%と、
[III] 周期律表第IV族の遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物とを含むオレフィン重合用触媒を用いて調製されたエチレン単独重合体[C1]、
同触媒を用いて調製されたエチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとからなるエチレン・α- オレフィン共重合体[C2]、
エチレン単独重合体[C1]に不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたエチレン単独重合体の変性物[C3]、および
エチレン・α- オレフィン共重合体[C2]に不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたエチレン・α- オレフィン共重合体の変性物[C4]から選ばれた少なくとも1種の成分1〜30重量%と
からなるとともに、変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A2]、エチレン単独重合体の変性物[C3]およびエチレン・α- オレフィン共重合体の変性物[C4]の少なくとも1種の成分を含有している組成物であり、
エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]は、
(i)密度(d)が0.850〜0.895g/cm3 の範囲にあり、
(ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、0.01〜200g/10分の範囲にあり、
エチレン・酢酸ビニル共重合体[B]は、
(i)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、0.1〜50g/10分の範囲にあり、
(ii)酢酸ビニル含有量が5〜40重量%であり、
エチレン単独重合体[C1]およびエチレン・α- オレフィン共重合体[C2]は、
(i)密度(d)が0.900〜0.970g/cm3 の範囲にあり、
(ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、0.01〜100g/10分の範囲にあり、
(iii) X線回折法により測定した結晶化度が30%以上であり、
かつ、
この組成物は、
(i)密度(d)が0.870〜0.900g/cm3 の範囲にあり、
(ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、0.1〜100g/10分の範囲にあり、
(iii) X線回折法により測定した結晶化度が30%未満であり、
(iv)組成物全体に対するグラフト量が0.0001〜5重量%である
ことを特徴としている。
上記未変性のエチレン・α- オレフィン共重合体[A1]としては、
(i)エチレン含有量が35〜98重量%の範囲にあり、
(ii)密度(d)が0.850〜0.980g/cm3 の範囲にあり、
(iii) 190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR2 )が0.01〜200g/10分の範囲にあり、
(iv)190℃におけるメルトテンション(MT(g))とメルトフローレート(MFR2 )とが
MT>1.55×MFR2 -1.09
で示される関係を満たし、
(v)190℃、10kg荷重におけるメルトフローレート(MFR10)と、190℃、
2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR2 )との比(MFR10/MFR2 )が7〜50の範囲にあり、
(vi)下記式
B=POE/2PO・PE
[式中、PE は、共重合体中のエチレン単位の含有モル分率を示し、PO は、共重合体中のα- オレフィン単位の含有モル分率を示し、POEは、共重合体中の全ダイアド連鎖に対するエチレン・α- オレフィン連鎖の割合を示す]
から求められる共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示すB値が0.9〜2の範囲にあり、
(vii) X線回折法により測定した結晶化度が30%以下である
エチレン・α- オレフィン共重合体が好ましい。
本発明に係る接着性エチレン系共重合体樹脂組成物は、成形性に優れ、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂およびエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂(EVOH)に対して強い接着性を有する。
また、本発明に係る積層体は、
ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリ塩化ビニリデン樹脂から選ばれた樹脂と、上記本発明に係る第2の接着性エチレン系共重合体樹脂組成物と、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂(EVOH)とを、この順序で、互いに溶融した状態で接触させた後、冷却して成形された3層構造の積層体、またはこの3層構造を含む4層以上の層構造を有する積層体であることを特徴としている。
本発明に係る接着性エチレン系共重合体樹脂組成物は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂およびエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂に対して、高温雰囲気下でも良好な接着力を保持する。
したがって、本発明に係る積層体は、上記接着性エチレン系共重合体樹脂組成物を用いているので、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂およびエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂に対して、高温雰囲気下でも良好な接着力を有する。
また、本発明に係る積層体は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂の特長である機械的強度特性、剛性、耐熱性、耐薬品性、耐油性、透明性と、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂の特長であるガスバリヤー性を有しているので、耐ガス透過性に優れたフィルム、ボトル等の好適に用いることができ、食品用または医薬品用包装材料として利用することができる。
以下、本発明に係る接着性エチレン系共重合体樹脂組成物およびその組成物を用いた積層体について具体的に説明する。
本発明に係る第1の接着性エチレン系共重合体樹脂組成物は、
[I]特定のオレフィン重合用触媒を用いて調製された長鎖分岐型のエチレン・α- オレフィン共重合体[A1]に、不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされた変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A2]、または
未変性のエチレン・α- オレフィン共重合体[A1]および変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A2]と、
[II]エチレン・酢酸ビニル共重合体[B]と
を特定割合で含有している。
また、本発明に係る第2の接着性エチレン系共重合体組成物は、
[I]上記長鎖分岐型のエチレン・α- オレフィン共重合体[A1]および変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A2]から選ばれた少なくとも1種の成分と、
[II]エチレン・酢酸ビニル共重合体[B]と、
[III] 周期律表第IV族の遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物とを含むオレフィン重合用触媒を用いて調製されたエチレン単独重合体[C1]、
同触媒を用いて調製されたエチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとからなるエチレン・α- オレフィン共重合体[C2]、
エチレン単独重合体[C1]に不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたエチレン単独重合体の変性物[C3]、および
エチレン・α- オレフィン共重合体[C2]に不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたエチレン・α- オレフィン共重合体の変性物[C4]
から選ばれた少なくとも1種の成分と
を特定割合で含有し、かつ、変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A2]、エチレン単独重合体の変性物[C3]およびエチレン・α- オレフィン共重合体の変性物[C4]の少なくとも1種の成分を含有している。
未変性のエチレン・α- オレフィン共重合体[A1]
本発明で用いられる未変性のエチレン・α- オレフィン共重合体[A1]は、特定のオレフィン重合用触媒(いわゆるメタロセン系触媒の1種)を用いて調製されたエチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとからなる長鎖分岐型のランダム共重合体である。
エチレンとの共重合に用いられる炭素原子数3〜20のα- オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。
エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]は、エチレン含有量が35〜98重量%、好ましくは65〜97重量%、より好ましくは70〜95重量%の量で存在し、炭素原子数3〜20のα- オレフィン含有量が2〜65重量%、好ましくは3〜35重量%、より好ましくは5〜30重量%の量で存在することが望ましい。ただし、両成分の含有量の合計は100重量%とする。
エチレン・α- オレフィン共重合体の組成は、通常10mmφの試料管中で約200mgの共重合体を1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試料の13C−NMRスペクトルを、測定温度120℃、測定周波数25.05MHz、スペクトル幅1500Hz、パルス繰返し時間4.2sec.、パルス幅6μsec.の測定条件下で測定して決定される。
このようなエチレン・α- オレフィン共重合体[A1]は、下記(i)〜(ii)に示すような特性を有していることが好ましく、下記(i)〜(vi)に示すような特性を有していることがより好ましく、下記の(i)〜(viii)に示すような特性を有することが特に好ましい。
(i)エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]の密度(d)は、0.850〜0.895g/cm3 、好ましくは0.855〜0.890g/cm3 、より好ましくは0.860〜0.890g/cm3 の範囲にある。
なお、密度(d)は、190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)測定時に得られるストランドを120℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したのち、密度勾配管で測定した。
(ii)エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]のメルトフローレート(MFRまたはMFR2 と表示する場合がある)は、0.01〜200g/10分、好ましくは0.05〜50g/10分、より好ましくは0.1〜20g/10分の範囲にある。
なお、メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238-65Tに従い、190℃、2.16kg荷重の条件下に測定した。
(iii)エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]は、190℃におけるメルトテンシ
ョン(MT(g))とメルトフローレート(MFR2(g/10分))とが、
MT>1.55×MFR2 -1.09
好ましくは MT>1.56×MFR2 -1.09
より好ましくは MT>1.57×MFR2 -1.09
で示される関係を満たしていることが望ましい。
メルトテンション(溶融張力)とメルトフローレートとが、上記のような関係を満たすエチレン・α- オレフィン共重合体は、従来のエチレン・α- オレフィン共重合体に比べて溶融張力が高く、成形性が良好である。
なお、メルトテンション(MT(g))は、溶融させたポリマーを一定速度で延伸した時の応力を測定することにより決定される。すなわち、生成ポリマー粉体を通常の方法で溶融した後ペレット化して測定サンプルとし、(株)東洋精機製作所製のMT測定器を用い、樹脂温度190℃、押し出し速度15mm/分、巻取り速度10〜20m/分、ノズル径2.09mmφ、ノズル長さ8mmの条件で行なった。ペレット化の際、エチレン・α- オレフィン共重合体に、予め二次抗酸化剤としてのトリ(2,4-ジ-t- ブチルフェニル)フォスフェートを0.05重量%、耐熱安定剤としてのn-オクタデシル-3-(4'-ヒドロキシ-3',5'- ジ-t- ブチルフェニル)プロピオネートを0.1重量%、塩酸吸収剤としてのステアリン酸カルシウムを0.05重量%配合した。
(iv)エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]は、190℃、10kg荷重におけるメルトフローレート(MFR10)と、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR2 )との比(MFR10/MFR2 )が7〜50、好ましくは7〜45の範囲にあることが望ましい。
このようにMFR10/MFR2 が7〜50の範囲にあるようなエチレン・α-オレフィ
ン共重合体は、流動性が極めて良好である。
(v)エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]は、下記式から求められる共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示すB値が0.9〜2の範囲にあることが望ましい。
B=POE/2PO・PE
[式中、PE は、共重合体中のエチレン単位の含有モル分率を示し、PO は、共重合体中のα- オレフィン単位の含有モル分率を示し、POEは、共重合体中の全ダイアド連鎖に対するエチレン・α- オレフィン連鎖の割合を示す。]
上記B値は、共重合体鎖中における各モノマー成分の分布状態を表す指標であり、G.J.Ray(Macromolecules,10,773(1977))、J.C.Randall(Macromolecules,15,353,(1982)、J.Polymer Science,Polymer Physics Ed.,11,275(1973))、K.Kimura(Polymer,25,441(1984))らの報告に基づいて、上記定義のPE 、PO およびPOEを求めることによって算出
される。上記B値が大きい程、ブロック的な連鎖が少なく、エチレンおよびα‐オレフィンの分布が一様であり、組成分布が狭い共重合体であることを示している。
なお、組成分布の広狭の指標となるB値は、10mmφの試料管中で約200mgの共重合体を1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試料の13C−NMRのスペクトルを、通常、測定温度120℃、測定周波数25.05MHz、スペクトル幅1500H
z、フィルター幅1500Hz、パルス繰り返し時間4.2秒、パルス幅7μ秒、積算回数2000〜5000回の測定条件の下で測定し、このスペクトルからPE、PO、POEを求め、上記式より算出した。
(vi)X線回折法により測定した結晶化度が30%以下であることが望ましい。
(vii) エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]のGPCで測定した分子量分布(Mw/Mn、Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が1.5〜4、好ましくは1.5〜3.5の範囲にあることが望ましい。
なお、分子量分布(Mw/Mn)は、ミリポア社製GPC−150Cを用い、以下のようにして測定した。
分離カラムは、TSK GNH HTであり、カラムサイズは直径72mm、長さ600mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはO-ジクロロベンゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×106 については東ソー社製を用い、1000<Mw<4×106 についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。
(viii)さらに、エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]は、分子中に存在する不飽和結合の数が炭素原子数1000個当り0.5個以下であり、かつ、共重合体1分子当り1個以下であることが望ましい。
なお、不飽和結合の定量は、13C−NMRを用いて、二重結合以外に帰属されるシグナル即ち10〜50ppmの範囲のシグナル、および二重結合に帰属されるシグナル即ち105〜150ppmの範囲のシグナルの面積強度を積分曲線から求め、その比から決定される。
上記のようなエチレン・α- オレフィン共重合体[A1]は、たとえば、
(a)特定のインデニル基およびその置換体から選ばれた2個の基が炭素含有基またはケイ素含有基を介して結合した二座配位子を有する周期律表第IVB族の遷移金属化合物、
(b)有機アルミニウムオキシ化合物、
必要に応じて
(c)担体、
(d)有機アルミニウム化合物
から形成されるオレフィン重合触媒(いわゆるメタロセン系触媒の1種)の存在下に、エチレンと炭素原子数が3〜20のα- オレフィンとを、得られる共重合体の密度が0.850〜0.895g/cm3 となるように共重合させることによって製造することができる。
以下に、このようなオレフィン重合触媒および各触媒成分について説明する。
(a)特定のインデニル基およびその置換体から選ばれた2個の基が低級アルキレン基を介して結合した二座配位子を有する周期律表第IVB族の遷移金属の化合物は、具体的には、下記式(I)で表わされる遷移金属化合物である。
MKLx-2 … (I)
上記一般式(I)において、Mは、周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属原子を示し、具体的には、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
xは、遷移金属原子Mの原子価であり、x−2は、Lの個数を示す。
Kは、遷移金属原子に配位する配位子を示し、インデニル基およびその部分水添加物、
ならびに置換インデニル基およびその部分水添加物から選ばれる、同一または異なる2個の基が低級アルキレン基などの炭素含有基またはジアルキルシリレンなどのケイ素含有基を介して結合した2座配位子である。
置換インデニル基としては、具体的には、4-フェニルインデニル基、2-メチル-4- フェニルインデニル基、2-メチル-4- ナフチルインデニル基、2-メチル-4-アントラセニルイ
ンデニル基、2-メチル-4- フェナントリルインデニル基、2-エチル-4- フェニルインデニル基、2-エチル-4- ナフチルインデニル基、2-エチル-4- アントラセニルインデニル基、2-エチル-4- フェナントリルインデニル基、2-プロピル-4- フェニルインデニル基、2-プロピル-4- ナフチルイデニル基、2-プロピル-4- アントラセニルインデニル基、2-プロピル-4- フェナントリルインデニル基などが挙げられる。
Lは、炭素原子数が1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基または水素原子を示す。
炭素原子数が1〜12の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などを例示することができ、より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、ネオフィル基等のアラルキル基を例示することができる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、オクトキシ基などを例示することができる。
アリーロキシ基としては、フェノキシ基などを例示することができる。ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基などを例示することができる。
このような一般式(I)で表される遷移金属化合物としては、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (1-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (2-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (p-フルオロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (ペンタフルオロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (p-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (m-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (o-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (o,p-ジクロロフェニル)フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (p-ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (p-トリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (m-トリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (o-トリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4-(o,o'-ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (p-エチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (p-i-プロピルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (p-ベンジルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (p-ビフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (m-ビフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (p-トリメチルシリルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- (m-トリメチルシリルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-エチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-エチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-エチル-4- (1-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-エチル-4- (2-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-エチル-4- (9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-エチル-4- (9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン- ビス{1-(2-エチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-フェニル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-n-プロピル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-n-プロピル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-n-プロピル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-n-プロピル-4- (1-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-n-プロピル-4- (2-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-n-プロピル-4- (9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-n-プロピル-4- (9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-i-ブチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-i-ブチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-i-ブチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-i-ブチル-4- (1-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-i-ブチル-4- (2-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-i-ブチル-4- (9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-i-ブチル-4- (9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジエチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ- (i-プロピル)シリレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ- (n-ブチル)シリレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジシクロヘキシルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(p-トリル)シリレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(p-クロロフェニル)シリレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルゲルミレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジブロミド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジメチル、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムメチルクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムクロリドSO2Me、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムクロリドOSO2Me、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}チタニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ハフニウムジクロリドなどが挙げられる。本発明では、上記のようなジルコニウム化合物において、ジルコニウム金属を、チタン金属またはハフニウム金属置き換えた遷移金属化合物を用いることができる。
次に、有機アルミニウムオキシ化合物(b)について説明する。
未変性のエチレン・α- オレフィン共重合体[A1]の調製で用いられるオレフィン重合用触媒を形成する有機アルミニウムオキシ化合物(b)は、従来公知のベンゼン可溶性のアルミノオキサンであってもよく、また特開平2−276807号公報で開示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
上記のようなアルミノオキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができる。
(1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して反応させて炭化水素の溶液として回収する方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させて炭化水素の溶液として回収する方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエン等の媒体中でトリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド等の有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお、このアルミノオキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノオキサンの溶液から溶媒あるいは未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解してもよい。
アルミノオキサンを製造する際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert- ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウム等のトリシクロアルキルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジエチルアルミニウムフェノキシド等のジアルキルアルミニウムアリーロキシドなどが挙げられる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウムおよびトリアルキルアルミニウムが特に好ましい。
また、この有機アルミニウム化合物として、一般式
(i-C49xAly(C510z
(x、y、zは正の数であり、z≧2xである)
で表わされるイソプレニルアルミニウムを用いることもできる。
上記のような有機アルミニウム化合物は、単独であるいは組合せて用いられる。
アルミノオキサンの製造の際に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油等の石油留分あるいは上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物等の炭化水素溶媒が挙げられる。その他、エチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち、特に芳香族炭化水素が好ましい。
上述したような遷移繊維金属化合物(a)および/または有機アルミニウムオキシ化合物(b)は、下記担体(c)に担持して用いてもよい。
担体(c)は、無機あるいは有機の化合物であって、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmの顆粒状ないしは微粒子状の固体が使用される。
このうち無機担体としては多孔質酸化物が好ましく、具体的には、SiO2 、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2 等またはこれらの混合物、たとえばSiO2-MgO、SiO2-Al23 、SiO2-TiO2 、SiO2-V25、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-MgO等を例示することができる。これ
らの中でSiO2 およびAl23からなる群から選ばれた少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
なお、上記無機酸化物には少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3 、MgCO3、N
2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al( NO33、Na2O、K2O、Li2O等の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差
し支えない。
このような担体(c)は、その種類および製法により性状は異なるが、本発明で好ましく用いられる担体は、比表面積が50〜1000m2/g 、好ましくは100〜700m2/g であり、細孔容積が0.3〜2.5cm2/g であることが望ましい。この担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用いられる。
さらに、本発明に用いることのできる担体(c)としては、粒径が10〜300μmである有機化合物の顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。このような有機化合物としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテンなどの炭素原子
数2〜14のα- オレフィンを主成分として生成される(共)重合体あるいはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体もしくは共重合体を例示することができる。
有機アルミニウム化合物(d)としては、たとえば下記一般式(II)で表わされる有機アルミニウム化合物を例示することができる。
a nAlX3-n ・・・(II)
(式中、Ra は炭素原子数1〜12の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子または水素原子を示し、nは1〜3である。)
上記一般式(II)において、R1 は炭素原子数1〜12の炭化水素基、たとえばアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
このような有機アルミニウム化合物(d)としては、具体的には以下のような化合物が用いられる。
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;
イソプレニルアルミニウム等のアルケニルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハライド;
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライドなど。
また有機アルミニウム化合物(d)として、下記一般式(III) で表わされる化合物を用いることもできる。
a nAlY3-n ・・・(III)
(式(III) 中、Ra は上記一般式(II)中のRa と同様の炭化水素基を示し、Yは−ORb 基、−OSiRc 3基、−OAlRd 2基、−NRe 2基、−SiRf 3基または−N(Rg
)AlRh 2 基を示し、
nは1〜2であり、
b 、Rc 、Rd およびRh は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、
e は、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、
f およびRg は、メチル基、エチル基などである。)
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には、以下のような化合物が用いられる。
(1)Ra nAl(ORb3-nで表わされる化合物、たとえばジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど。
(2)Ra nAl(OSiRc 33-n で表わされる化合物、たとえばEt2Al(OSiM
3)、(iso-Bu)2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2 Al(OSiEt3)など。
(3)Ra nAl(OAlRd 23-n で表わされる化合物、たとえばEt2AlOAlEt2
、(iso-Bu)2AlOAl(iso-Bu)2 など。
(4)Ra nAl(NRe 23-n で表わされる化合物、たとえばMe2AlNEt2 、Et2AlNHMe 、Me2AlNHEt 、Et2AlN(SiMe32、(iso-Bu)2AlN
(SiMe32 など。
(5)Ra nAl(SiRf 33-n で表わされる化合物、たとえば(iso-Bu)2AlSi
Me3 など。
(6)Ra nAl(N(Rg)AlRh 23-n で表わされる化合物、たとえばEt2AlN(Me)AlEt2 、(iso-Bu)2AlN(Et)Al(iso-Bu)2 など。
上記一般式(II)および(III) で表わされる有機アルミニウム化合物の中では、一般式Ra 3Al、Ra nAl(ORb3-n 、Ra nAl(OAlRd 23-nで表わされる化合物が好ましく、特にRa がイソアルキル基であり、n=2である化合物が好ましい。
本発明では、エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]を製造するに際して、上記のような遷移金属化合物(a)および有機アルミニウムオキシ化合物(b)、必要に応じて担体(c)、有機アルミニウム化合物(d)を接触させることにより調製される触媒が用いられる。
また、エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]の製造に用いられる触媒は、上記のような遷移金属化合物(a)、有機アルミニウムオキシ化合物(b)、担体(c)および必要に応じて有機アルミニウム化合物(d)の存在下にオレフィンを予備重合させて得られる予備重合触媒であってもよい。予備重合は、上記のような遷移金属化合物(a)、有機アルミニウムオキシ化合物(b)、担体(c)および必要に応じて有機アルミニウム化合物(d)の存在下、不活性炭化水素溶媒中にオレフィンを導入することにより行なうことができる。
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン共重合体[A1]は、上記のようなオレフィン重合触媒または予備重合触媒の存在下に、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとを共重合することによって得られる。
エチレンとα- オレフィンとの共重合は、溶液状もしくはスラリー状の液相で、または気相で行なわれる。溶液重合またはスラリー重合においては、不活性炭化水素を溶媒としてもよいし、オレフィン自体を溶媒とすることもできる。
溶液重合またはスラリー重合において用いられる不活性炭化水素溶媒としては、具体的には、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等の脂肪族系炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素;ガソリン、灯油、軽油等の石油留分などが挙げられる。これら不活性炭化水素媒体のうち脂肪族系炭化水素、脂環族系炭化水素、石油留分などが好ましい。
重合の際には、上記のようなオレフィン重合触媒は、重合反応系内の遷移金属原子の濃度として、通常10-8〜10-3グラム原子/リットル、好ましくは10-7〜10-4グラム原子/リットルの量で用いられることが望ましい。
溶液重合またはスラリー重合法を実施する際には、重合温度は、通常−50〜100℃、好ましくは0〜90℃の範囲にあり、気相重合法を実施する際には、重合温度は、通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の範囲である。
重合圧力は、通常常圧ないし100kg/cm2、好ましくは2〜50kg/cm2
加圧条件下であり、重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式においても行なうことができる。
さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行なうことも可能である。
変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A2]
本発明で用いられる変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A2]は、上述したエチレン・α- オレフィン共重合体[A1]に、不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされている。
このような不飽和カルボン酸としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩などが挙げられる。
具体的には、無水マレイン酸、無水ハイミック酸TM(エンディック酸無水物)、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和カルボン酸の酸無水物;
アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル等の不飽和カルボン酸のエステル;
アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸-N- モノエチルアミド、マレイン酸-N,N- ジエチルアミド、マレイン酸-N- モノブチルアミド、マレイン酸-N,N- ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸-N- モノブチルアミド、フマル酸-N,N-ジブチルアミド等の不飽和カルボン
酸のアミド;
マレイミド、N-ブチルマレイミド、N-フェニルマレイミド等の不飽和カルボン酸のイミド;
アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム等の不飽和カルボン酸の金属塩などが挙げられる。これらの中では、無水マレイン酸、または無水ハイミック酸TMが最も好ましい。
このグラフト変性は、従来公知の方法で行なうことができ、たとえば融解させた上記エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]に不飽和カルボン酸またはその誘導体を添加してグラフト共重合させる方法、あるいは溶媒に溶解させたエチレン・α- オレフィン共重合体[A1]に不飽和カルボン酸等を添加してグラフト共重合させる方法がある。いずれの場合にも、エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]にグラフトモノマーである不飽和カルボン酸またはその誘導体を効率よくグラフト共重合させるためには、ラジカル開始剤の存在下にグラフト共重合反応が開始されることが好ましい。
上記ラジカル開始剤としては、有機ペルオキシド、有機ペルエステル、たとえばベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-t- ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン-3、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、t-ブチルペルアセテート、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、t-ブチルペルベンゾエート、t-ブチルペルフェニルアセテート、t-ブチルペルイソブチレート、t-ブチルペル-sec- オクトエート、t-ブチルペルピバレート、クミルペルピバレートおよびt-ブチルペルジエチルアセテート、その他アゾ化合物たとえばアゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレー
トなどが用いられる。これらのうちではジクミルペルオキシド、ジ-t- ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルペルオキシドが好ましい。
ラジカル開始剤は、エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]100重量部に対して、通常0.001〜1重量部の割合で用いられる。
また、上記反応に際し、スチレンのような他のモノマーを共存させてもよい。
グラフト変性は、通常60〜350℃、好ましくは150〜300℃の温度で、3分〜10時間、好ましくは3分〜6時間反応させることにより行なわれる。
上記のようにして調製された変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A2]中における不飽和カルボン酸またはその誘導体から誘導されるグラフト基のグラフト量は、通常は0.1〜5.0重量%、好ましくは0.5〜3.5重量%の範囲内にある。グラフト量は、本発明に係る接着性エチレン系共重合体樹脂組成物全体に対して0.0001〜5重量%の範囲内になるように調製するのが好ましい。工業的製造上からは、予めグラフト量0.01〜6重量%の変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A2]を製造しておき、次に、未変性のエチレン・α- オレフィン共重合体[A1]に、この変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A2]を混合してグラフト量を調製する方法が、この組成物中におけるグラフト量を適当な調製が容易に行なえるため好ましい。また、目的とする接着性エチレン系共重合体樹脂組成物に対してグラフト量が上記のような範囲になるような所定量の不飽和カルボン酸またはその誘導体をエチレン・α- オレフィン共重合体[A1]に配合してグラフト変性を行なうこともできる。
エチレン・酢酸ビニル共重合体[B]
本発明で用いられるエチレン・酢酸ビニル共重合体[B]は、下記のような特性を有している。
(i)エチレン・酢酸ビニル共重合体のメルトフローレート(MFR;ASTM D1238-65T、190℃、2.16kg荷重)は、0.1〜50g/10分、好ましくは0.3〜30g/10分の範囲にある。
(ii)エチレン・酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量は、5〜40重量%、好ましくは10〜35重量%の範囲にある。
エチレン単独重合体[C1]およびエチレン・α- オレフィン共重合体[C2]
本発明で用いられるエチレン単独重合体[C1]、またはエチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとからなるエチレン・α- オレフィン共重合体[C2]は、密度が0.900〜0.970g/cm3 、好ましくは0.910〜0.970g/cm3 の範囲にあり、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR;ASTM D1238-65T)が0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜50g/10分、さらに好ましくは0.1〜30g/10分の範囲にあることが望ましい。
なお、密度(d)は、190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)測定時に得られるストランドを120℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したのち、密度勾配管で測定した。
また、このようなエチレン単独重合体[C1]およびエチレン・α- オレフィン共重合体[C2]は、X線回折法によって測定した結晶化度が30%以上であることが望ましい。
エチレン・α- オレフィン共重合体[C2]を形成する炭素原子数3〜20のα- オレフィンとしては、たとえばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン、1-オクテン、1-デセンおよびこれらの混合物を挙げることができる。このう
ち炭素原子数3〜10のα- オレフィンを用いることが特に好ましい。
本発明では、エチレン単独重合体[C1]および特定のエチレン含有量を有するエチレン・α- オレフィン共重合体[C2]が特に好ましく用いられる。エチレン・α- オレフィン共重合体[C2]は、エチレン含有量が60重量%以上100重量%未満、好ましくは80重量%以上100重量%未満、特に好ましくは90重量%以上100重量%未満であり、炭素原子数3〜20のα- オレフィン含有量が40重量%以下、好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下であることが望ましい。
本発明で用いられるエチレン単独重合体[C1]およびエチレン・α- オレフィン共重合体[C2]は、周期律表第IV族の遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物とを含むオレフィン重合用触媒、すなわち従来公知のTi系、V系、Zr系などのオレフィン重合用触媒を用いて、従来公知の方法で調製することができる。
エチレン単独重合体[C1]の変性物[C3]およびエチレン・α- オレフィン共重合体[C2]の変性物[C4]
本発明で用いられるエチレン単独重合体の変性物[C3]またはエチレン・α- オレフィン共重合体の変性物[C4]は、上述したエチレン単独重合体[C1]またはエチレン・α- オレフィン共重合体[C2]に不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされている。
この不飽和カルボン酸およびその誘導体の具体例は、変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A2]の説明において列挙した不飽和カルボン酸およびその誘導体の具体例と同じ化合物を挙げることができる。
このグラフト変性は、従来公知の方法で行なうことができ、たとえば融解させた上記エチレン単独重合体[C1]もしくはエチレン・α- オレフィン共重合体[C2]に不飽和カルボン酸またはその誘導体を添加してグラフト共重合させる方法、あるいは溶媒に溶解させたエチレン単独重合体[C1]もしくはエチレン・α- オレフィン共重合体[C2]に不飽和カルボン酸等を添加してグラフト共重合させる方法がある。いずれの場合にも、エチレン単独重合体[C1]もしくはエチレン・α- オレフィン共重合体[C2]にグラフトモノマーである不飽和カルボン酸またはその誘導体を効率よくグラフト共重合させるためには、ラジカル開始剤の存在下にグラフト共重合反応が開始されることが好ましい。
上記ラジカル開始剤の具体例は、変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A2]の説明において、列挙した有機ペルオキシド、有機ペルエステルの具体例と同一の具体例を挙げることができる。
ラジカル開始剤は、エチレン単独重合体[C1]またはエチレン・α- オレフィン共重合体[C2]100重量部に対して、通常0.001〜1重量部の割合で用いられる。
また、上記反応に際し、スチレンのような他のモノマーを共存させてもよい。グラフト変性は、通常60〜350℃、好ましくは150〜300℃の温度で、3分〜10時間、好ましくは3分〜6時間反応させることにより行なわれる。
上記のようにして調製されたエチレン単独重合体の変性物[C3]またはエチレン・α- オレフィン共重合体の変性物[C4]中における不飽和カルボン酸またはその誘導体から誘導されるグラフト基のグラフト量は、通常は0.1〜5.0重量%、好ましくは0.5〜3.0重量%の範囲内にある。このグラフト量は、本発明に係る接着性エチレン系共重合体樹脂組成物全体に対して0.0001〜5重量%の範囲内になるように調製するのが好ましい。
接着性エチレン系共重合体樹脂組成物
本発明に係る第1の接着性エチレン系共重合体樹脂組成物は、
[I]変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]、または
未変性の長鎖分岐型エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]および変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A2]50〜95重量%、好ましくは65〜90重量%と、
[II]エチレン・酢酸ビニル共重合体[B]5〜50重量%、好ましくは10〜35重量%と
を含有している。ただし、成分[A1]、[A2]および[B]の合計量は、100重量%とする。
上記のような本発明に係る第1の接着性エチレン系共重合体樹脂組成物は、
(i)密度(d)が、好ましくは0.870〜0.900g/cm3 の範囲にあり、
(ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、好ましくは0.1〜100g/10分、さらに好ましくは0.5〜50g/10分の範囲にあり、(iii) X線回折法により測定した結晶化度が30%未満であり、
(iv)組成物全体に対するグラフト量が0.0001〜5重量%である
ことが望ましい。
本発明に係る第2の接着性エチレン系共重合体樹脂組成物は、
[I]未変性の長鎖分岐型エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]および変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A2]から選ばれた少なくとも1種の成分50〜95重量%、好ましくは55〜90重量%、より好ましくは60〜90重量%と、
[II]エチレン・酢酸ビニル共重合体[B]4〜40重量%、好ましくは5〜35重量%、より好ましくは7〜30重量%と、
[III] エチレン単独重合体[C1]、エチレン・α- オレフィン共重合体[C2]、エチレン単独重合体の変性物[C3]、およびエチレン・α- オレフィン共重合体の変性物[C4]から選ばれた少なくとも1種の成分1〜30重量%、好ましくは2〜25重量%、より好ましくは3〜20重量%と
からなるとともに、変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A2]、エチレン単独重合体の変性物[C3]およびエチレン・α- オレフィン共重合体の変性物[C4]の少なくとも1種の成分を含有している。ただし、成分[A1]、[A2]、[B]、[C1]、[C2]、[C3]および[C4]の合計量は、100重量%とする。
上記のような本発明に係る第2の接着性エチレン系共重合体樹脂組成物は、
(i)密度(d)が、好ましくは0.870〜0.900g/cm3 の範囲にあり、
(ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、好ましくは0.1〜100g/10分、さらに好ましくは0.5〜50g/10分の範囲にあり、(iii) X線回折法により測定した結晶化度が30%未満であり、
(iv)組成物全体に対するグラフト量が0.0001〜5重量%であることが望ましい。
本発明に係る接着性エチレン系共重合体樹脂組成物は、上記各成分を従来公知の方法、たとえばヘンシェルミキサー、V- ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合する方法、あるいはこのような方法で混合して得られた混合物を、さらに一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練した後、造粒あるいは得られた樹脂塊を粉砕することによって得ることができる。
本発明に係る接着性エチレン系共重合体樹脂組成物は、上記各成分に加えて、耐候安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、発錆防止剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合されていてもよい。
積層体
本発明に係る積層体は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリ塩化ビニリデン樹脂から選ばれた樹脂と、上述した本発明に係る第1または第2の接着性エチレン系共重合体樹脂組成物と、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂(EVOH)とを、この順序で、互いに溶融した状態で接触させた後、冷却して成形された3層構造の積層体、またはこの3層構造を含む4層以上の層構造を有する積層体である。
上記ポリエステル樹脂は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール等の脂肪族グリコール、シクロへキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノール等の芳香族ジヒドロキシ化合物、あるいはこれらの2種以上から選ばれたジヒドロキシ化合物から誘導される成分単位と、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸、あるいはこれらの2種以上から選ばれたジカルボン酸から誘導される成分単位とから構成される熱可塑性ポリエステルであって、熱可塑性を示す限り、少量のトリオールまたはトリカルボン酸のような3価以上のポリヒドロキシ化合物またはポリカルボン酸などで変性されていてもよい。
このような熱可塑性ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート・テレフタレート共重合体などが挙げられる。
上記ポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物とホスゲンまたはジフェニルカーボネートとを公知の方法で反応させて得られる種々のポリカーボネートである。
ジヒドロキシ化合物としては、具体的には、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4'- ジヒドロキシ- ジフェニル- メタン、4,4'- ジヒドロキシ- ジフェニル- エタン、4,4'- ジヒドロキシ- ジフェニル- ブタン、4,4'- ジヒドロキシ- ジフェニル- ヘプタン、4,4'- ジヒドロキシ- ジフェニル- フェニル- メタン、4,4'- ジヒドロキシ- ジフェニル-2,2- プロパン(ビスフェノールA)、4,4'- ジヒドロキシ-3,3- ジメチル- ジフェニル-2,2- プロパン、4,4'- ジヒドロキシ-ジクロロ- ジフェニル-2,2- プロパン、4,4'- ジヒド
ロキシ- ジフェニル-1,1-シクロへキサン、4,4'- ジヒドロキシ- ジフェニル- メチル-
フェニル- メタン、4,4'- ジヒドロキシ- ジフェニル- エチル- フェニル- メタン、4,4'- ジヒドロキシ- ジフェニル-2,2,2- トリクロロ-1,1- エタン、2,2'- ジヒドロキシジフェニル、2,6-ジヒドロキシナフタレン、4,4'- ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'- ジヒドロキシ-3,3'-ジクロロジフェニルエーテル、4,4'- ジヒドロキシ-2,5'-ジエトキシフェニルエーテルなどが挙げれる。
これらのジヒドロキシ化合物のうち、4,4'- ジヒドロキシ- ジフェニル-2,2-プロパン
(ビスフェノールA)を用いたポリカーボネートが機械的性能と透明性に優れている点で好ましい。
上記ポリ塩化ビニリデン樹脂としては、具体的には、50重量%以上の塩化ビニリデンと、アクリロニトリル、塩化ビニル、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルとの共重合体などが用いられる。
上記エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂(EVOH)としては、エチレン含有量が15〜60モル%、好ましくは25〜50モル%のエチレン・酢酸ビニル共重合体をそのケン化度が50%以上、好ましくは90%以上になるようにケン化した樹脂などが挙げられる。
本発明に係る積層体の構成は、上述した本発明に係る第1または第2の接着性エチレン系共重合体樹脂組成物を用いる限り、何ら制限されることはなく、また、必要ならば、接着性エチレン系共重合体樹脂組成物と相溶性のよいポリオレフィンを用いたり、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂(EVOH)と接着するポリアミドを用いたりすることができる。たとえば次のような構成の積層体が挙げられる。
(i) ポリエステル樹脂層と、接着性エチレン系共重合体樹脂組成物層と、EVOH層とからなる3層構造の積層体。
(ii)ポリエステル樹脂層と、接着性エチレン系共重合体樹脂組成物層と、EVOH層と、接着性エチレン系共重合体樹脂組成物層と、ポリエステル樹脂層とからなる5層構造の積層体。
(iii) ポリエステル樹脂層と、接着性エチレン系共重合体樹脂組成物層と、EVOH層と、接着性エチレン系共重合体樹脂組成物層と、ポリエチレン層とからなる5層構造の積層体。
(iv)ポリエステル樹脂層と、接着性エチレン系共重合体樹脂組成物層と、EVOH層と、ポリアミド層と、接着性エチレン系共重合体樹脂組成物層と、ポリエチレン層とからなる6層構造の積層体。
(v) 上記(i)〜(iv) の積層体において、ポリエステル樹脂層の代わりにポリカーボネート樹脂層またはポリ塩化ビニリデン樹脂層が積層されている積層体。
(vi)その他、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂またはポリ塩化ビニリデン樹脂からなる層/接着性エチレン系共重合体樹脂組成物層/EVOH層を構成要素の一部として含む多層積層体が挙げられる。
これらの積層体を構成するいずれかの層が一軸もしくは2軸方向に配向していてもよい。
本発明に係る積層体において、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂またはポリ塩化ビニリデン樹脂からなる層の厚さが0.02〜5mmの範囲にあり、接着性エチレン系共重合体樹脂組成物からなる層の厚さが0.01〜1mmの範囲にあり、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂(EVOH)からなる層の厚さが0.01〜1mmの範囲にあることが望ましい。
これらの積層体を調製する際の積層方法としては、従来公知の積層方法、たとえば共押出積層法を採用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[製造例1]
内容積200リットルの連続反応装置を用いて、滞留時間1時間、重合温度80℃、重合圧力5.6kg/cm2-G の条件下で、エチレンと1-オクテンとの共重合を行なった。その際の、ヘキサン、1-オクテン、エチレンおよび水素の供給量は、それぞれ95.5リットル/時間、4.5リットル/時間、3.4リットル/時間、10Nリットル/時間であった。
触媒としては、rac-ジメチルシリレン- ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド[触媒成分(A)]、メチルアルミノキサン[触媒成分(B)]およびトリイソブチルアルミニウム[触媒成分(D)]を用いた。触媒成分(A)と触媒成分(B)とは予め予備接触させて用い、触媒成分(A)は、ジルコニウムとして0.024ミリモル/時間、触媒成分(B)は、アルミニウムとして7.2ミリモル/時間、触媒成分(D)は、アルミニウムとして10ミリモル/時間の割合となるように重合系に供給した。
上記のようにして重合反応を行なった結果、ポリマーすなわちエチレン・1-オクテン共重合体(以下、PEOと略す場合がある)は、5.0kg/時間の割合で得られた。
得られたエチレン・1-オクテン共重合体(PEO)は、エチレン含有量が85.2重量%であり、密度が0.870g/cm3 であり、MFRが5.8g/10分であり、MTが0.76gであり、MFR10/MFR2 が8.2であり、B値が1.00であり、結晶化度が0%であり、分子中に存在する不飽和結合の数が共重合体1分子当り1個以下であった。
[変性例1]
反応溶媒としてトルエンを用い、トルエン5.7リットル当たり825gの上記製造例1で得られたエチレン・1-オクテン共重合体(PEO)を160℃で溶解させた。
次いで、このトルエン溶液に無水マレイン酸のトルエン溶液(4.13g/250ml)およびジクミルペルオキシド(DCP)のトルエン溶液(0.33g/50ml)を別々の導管から4時間かけて徐々に供給した。
供給収量後、さらに160℃で30分間反応を続け、次いで室温まで冷却し、ポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾過し、さらにアセトンで繰り返し洗浄し、80℃で一昼夜減圧乾燥して目的の変性エチレン・1-オクテン共重合体(以下、MAH−PEOと略す場合がある)を得た。
この変性エチレン・1-オクテン共重合体について元素分析を行ない、無水マレイン酸のグラフト量を測定したところ、変性エチレン・1-オクテン共重合体100g当たり2.0gに相当する無水マレイン酸がグラフト重合していることがわかった。変性エチレン・1-オクテン共重合体は、密度が0.873g/cm3 であり、MFRが0.5g/10分であった。
[実施例1]
上記製造例1で得られたPEO 75重量部と、変性例1で得られたMAH−PEO 5重量部と、酢酸ビニル含有量25重量%のエチレン・酢酸ビニル共重合体[三井デュポンポリケミカル(株)製、商品名 エバフレックスP−2505、MFR2.5g/10分
]20重量部とをタンブラーで混合し、200℃に設定した40mmφの一軸押出機(ダルメージスクリュー)で混練造粒し、接着性樹脂組成物(I)を得た。
得られた接着性樹脂組成物(I)は、密度が0.888g/cm3 であり、MFRが3.0g/10分であり、X線回折法により測定した結晶化度が0%であり、組成物全体に対するグラフト量が0.11重量%であった。
この接着性樹脂組成物(I)と、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂[EVOH;(株)クラレ製、商品名 エバールEP−F101A、エチレン含有量32モル%]
と、ポリエチレンテレフタレート樹脂[PET;三井ペット(株)製、商品名 J125
]を用いて、下記の条件で3層共押出フィルムを成形した。
<成形条件>
・シート構成および各層の膜厚
PET/(I)/EVOH=80/30/40(μm)
・押出機
ダイ径40mmφ:成形温度270℃ (PET用)
ダイ径40mmφ:成形温度240℃ ((I)用)
ダイ径40mmφ:成形温度220℃ (EVOH用)
・ダイス 270℃
・成形速度 5m/分
上記のようにして得られた3層共押出フィルムのPET層と接着性樹脂組成物(I)層との間の層間接着力、およびEVOH層と接着性樹脂組成物(I)層との間の層間接着力を剥離雰囲気温度23℃および60℃で測定した。
なお、層間接着力の測定は、得られた3層フィルムから幅15mmの試験片を切り取り、その試験片の一端の層を剥離した後、インストロン引張試験機を用いて剥離速度300mm/分でT型剥離法により行なった。
その結果を第1表に示す。
[実施例2]
実施例1で用いた接着性樹脂組成物(I)と、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂[EVOH;(株)クラレ製、商品名 エバールEP−F101A、エチレン含有量
32モル%]と、ポリカーボネート樹脂[PC;帝人化成(株)製、商品名 テイジンパ
ンライト L−1250]を用いて、下記の条件で3層共押出フィルムを成形した。
<成形条件>
・シート構成および各層の膜厚
PC/(I)/EVOH=80/30/40(μm)
・押出機
ダイ径40mmφ:成形温度270℃ (PC用)
ダイ径40mmφ:成形温度240℃ ((I)用)
ダイ径40mmφ:成形温度220℃ (EVOH用)
・ダイス 270℃
・成形速度 5m/分
上記のようにして得られた3層共押出フィルムのPC層と接着性樹脂組成物(I)層との間の層間接着力、およびEVOH層と接着性樹脂組成物(I)層との間の層間接着力を剥離雰囲気温度23℃および60℃で測定した。
その結果を第1表に示す。
[実施例3]
実施例1で用いた接着性樹脂組成物(I)と、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂[EVOH;(株)クラレ製、商品名 エバールEP−F101A、エチレン含有量
32モル%]と、ポリ塩化ビニリデン樹脂[PVDC;米国ダウ・ケミカル社製、商品名
サラン(SARAN)X05253−16]を用いて、下記の条件で3層共押出フィル
ムを成形した。
<成形条件>
・シート構成および各層の膜厚
PVDC/(I)/EVOH=40/30/80(μm)
・押出機
ダイ径40mmφ:成形温度200℃ (PVDC用)
ダイ径40mmφ:成形温度240℃ ((I)用)
ダイ径40mmφ:成形温度220℃ (EVOH用)
・ダイス 220℃
・成形速度 5m/分
上記のようにして得られた3層共押出フィルムのPVDC層と接着性樹脂組成物(I)層との間の層間接着力、およびEVOH層と接着性樹脂組成物(I)層との間の層間接着力を剥離雰囲気温度23℃および60℃で測定した。
その結果を第1表に示す。
[変性例2]
塩化マグネシウム担持型チタン系触媒とトリエチルアルミニウムとからなる触媒を用いて調製したエチレン・1-ブテン共重合体(以下、PEB(a)と略す場合がある;エチレン含有量 92重量%、密度 0.920g/cm3 、MFR2.2g/10分)100重量部と、無水マレイン酸0.9重量部と、過酸化物[日本油脂(株)製、商品名パーヘキシン−25B]0.08重量部とをヘンシェルミキサーで混合した。
次いで、得られた混合物を230℃に設定して一軸押出機で溶融グラフト変性し、変性エチレン・1-ブテン共重合体(以下、MAH−PEB(a)と略す場合がある)を得た。
この変性エチレン・1-ブテン共重合体(MAH−PEB(a))について無水マレイン酸のグラフト量を測定したところ、変性エチレン・1-ブテン共重合体100g当たり0.8gに相当する無水マレイン酸がグラフト重合していることがわかった。この変性エチレン・1-ブテン共重合体(MAH−PEB(a))は、密度が0.922g/cm3 であり、MFRが0.3g/10分であり、X線回折法により測定した結晶化度が40%であった。
[実施例4]
上記製造例1で得られたPEO 65重量部と、変性例2で得られたMAH−PEB(
a)15重量部と、酢酸ビニル含有量25重量%のエチレン・酢酸ビニル共重合体[三井デュポンポリケミカル(株)製、商品名 エバフレックスP−2505、MFR2.5g
/10分]20重量部とをタンブラーで混合し、200℃に設定した40mmφの一軸押出機(ダルメージスクリュー)で混練造粒し、接着性樹脂組成物(II)を得た。
得られた接着性樹脂組成物(II)は、密度が0.896g/cm3 であり、MFRが2.6g/10分であり、X線回折法により測定した結晶化度が10%であり、組成物全体に対するグラフト量が0.12重量%であった。
以下、実施例1において、接着性樹脂組成物(I)の代わりに接着性樹脂組成物(II)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で3層共押出フィルムを成形した。
得られた3層共押出フィルムのPET層と接着性樹脂組成物(II)層との間の層間接着力、およびEVOH層と接着性樹脂組成物(II)層との間の層間接着力を剥離雰囲気温度23℃および60℃で測定した。
その結果を第1表に示す。
[比較例1]
実施例4において、エチレン・1-オクテン共重合体(PEO)の代わりに従来から公知のバナジウム系チーグラー触媒を用いて調製したエチレン・1-ブテン共重合体(PEB(b))を用いた以外は、実施例4と同様にして、接着性樹脂組成物(III) を得た。
得られた接着性樹脂組成物(III) は、密度が0.897g/cm3 であり、MFRが2.8g/10分であり、X線回折法により測定した結晶化度が10%であり、組成物全体に対するグラフト量が0.12重量%であった。
なお上記エチレン・1-ブテン共重合体(PEB(b))は、エチレン含有量が85.3重量%であり、密度が0.870g/cm3 であり、MFRが5.0g/10分であり、MTが0.18gであり、MFR10/MFR2 が5.6であり、B値が1.02であり、結晶化度が0%であり、分子中に存在する不飽和結合の数が共重合体1分子当り1個以下であった。
以下、実施例4において、接着性樹脂組成物(II)の代わりに接着性樹脂組成物(III
) を用いた以外は、実施例4と同様の条件で3層共押出フィルムを成形した。
得られた3層共押出フィルムのPET層と接着性樹脂組成物(III) 層との間の層間接着力、およびEVOH層と接着性樹脂組成物(III) 層との間の層間接着力を剥離雰囲気温度23℃および60℃で測定した。
その結果を第1表に示す。
Figure 0003930515
Figure 0003930515

Claims (3)

  1. [I]シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物(a)と有機アルミニウムオキシ化合物(b)とを含むオレフィン重合用触媒を用いて調製された、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとからなる長鎖分岐型のエチレン・α- オレフィン共重合体[A1]、
    および
    エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]に不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされた変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A2]
    から選ばれた少なくとも1種の成分50〜95重量%と、
    [II]エチレン・酢酸ビニル共重合体[B]4〜40重量%と、
    [III] 周期律表第IV族の遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物とを含むオレフィン重合用触媒を用いて調製されたエチレン単独重合体[C1]、
    同触媒を用いて調製されたエチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとからなるエチレン・α- オレフィン共重合体[C2]、
    エチレン単独重合体[C1]に不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたエチレン単独重合体の変性物[C3]、および
    エチレン・α- オレフィン共重合体[C2]に不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたエチレン・α- オレフィン共重合体の変性物[C4]
    から選ばれた少なくとも1種の成分1〜30重量%と
    からなるとともに、変性エチレン・α- オレフィン共重合体[A2]、エチレン単独重合体の変性物[C3]およびエチレン・α- オレフィン共重合体の変性物[C4]の少なくとも1種の成分を含有している組成物であり、
    エチレン・α- オレフィン共重合体[A1]は、
    (i)密度(d)が0.850〜0.895g/cm3 の範囲にあり、
    (ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、0.01〜200g/10分の範囲にあり、
    エチレン・酢酸ビニル共重合体[B]は、
    (i)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、0.1〜50g/10分の範囲にあり、
    (ii)酢酸ビニル含有量が5〜40重量%であり、
    エチレン単独重合体[C1]およびエチレン・α- オレフィン共重合体[C2]は、
    (i)密度(d)が0.900〜0.970g/cm3 の範囲にあり、
    (ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、0.01〜100g/10分の範囲にあり、
    (iii) X線回折法により測定した結晶化度が30%以上であり、
    かつ、
    この組成物は、
    (i)密度(d)が0.870〜0.900g/cm3 の範囲にあり、
    (ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、0.1〜100g/10分の範囲にあり、
    (iii) X線回折法により測定した結晶化度が30%未満であり、
    (iv)組成物全体に対するグラフト量が0.0001〜5重量%である
    ことを特徴とする接着性エチレン系共重合体樹脂組成物。
  2. 前記未変性のエチレン・α- オレフィン共重合体[A1]は、
    (i)エチレン含有量が35〜98重量%の範囲にあり、
    (ii)密度(d)が0.850〜0.895g/cm3 の範囲にあり、
    (iii) 190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR2 )が0.01〜200g/10分の範囲にあり、
    (iv)190℃におけるメルトテンション(MT(g))とメルトフローレート(MFR2 )とが
    MT>1.55×MFR2 -1.09
    で示される関係を満たし、
    (v)190℃、10kg荷重におけるメルトフローレート(MFR10)と、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR2 )との比(MFR10/MFR2 )が7〜50の範囲にあり、
    (vi)下記式
    B=POE/2PO・PE
    [式中、PE は、共重合体中のエチレン単位の含有モル分率を示し、PO は、共重合体中のα- オレフィン単位の含有モル分率を示し、POEは、共重合体中の全ダイアド連鎖に対するエチレン・α- オレフィン連鎖の割合を示す]
    から求められる共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示すB値が0.9〜2の範囲にあり、
    (vii) X線回折法により測定した結晶化度が30%以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の接着性エチレン系共重合体樹脂組成物。
  3. ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリ塩化ビニリデン樹脂から選ばれた樹脂と、請求項1に記載の接着性エチレン系共重合体樹脂組成物と、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂(EVOH)とを、この順序で、互いに溶融した状態で接触させた後、冷却して成形された3層構造の積層体、またはこの3層構造を含む4層以上の層構造を有する積層体であることを特徴とする積層体。

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