JP3930406B2 - 被覆粒子燃料の再処理方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被覆粒子燃料の再処理方法に係り、特に、高温ガス冷却原子炉などで使用された被覆粒子燃料から、ウラン、プルトニウム、マイナーアクチノイドなどの核燃料物質を回収し、再利用できるようにするための被覆粒子燃料の再処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、原子炉などの使用済み燃料を再処理し、核分裂生成物(FP)を分離して核燃料物質などの有用物質を回収することは、資源の有効利用のために極めて重要である。
【0003】
水冷却原子炉やナトリウム冷却原子炉では、ウラン、プルトニウムなどの核分裂性核種の化合物を円柱状に成形した燃料ペレットを、ジルコニウムやステンレスなどの被覆管内に挿入し密閉した構造の燃料ピンが使用されており、このような燃料ピンを機械的に剪断して取り出された燃料ペレットを、Purex法などの湿式法により再処理することが行われている。
【0004】
湿式法は、燃料を硝酸などに溶解させて水溶液とした後、核燃料物質と核分裂生成物との有機溶媒への溶解度の差を利用して、核燃料物質を抽出・回収する方法であり、Purex法では有機溶媒としてTBP(リン酸トリブチル)が使用される。
【0005】
これに対して、高温ガス冷却原子炉は、冷却材であるヘリウムガスを約700〜950℃に加熱して、発電または化学プラントなどで熱利用することを目的とした原子炉であり、燃料が高温に曝されるため、核燃料物質からなる燃料核の表面に、非核燃料物質からなる被覆層を有する被覆粒子燃料が用いられている。被覆層は、熱分解炭素や炭化ケイ素(SiC)などのセラミック材料の単層あるいは多重層からなり、核分裂生成物を被覆層内に保持するために、機械的強度が高く化学的に安定になっている。
【0006】
被覆粒子燃料の構造の一例を、図6に示す。図6において、符号51は、直径約600μmの燃料核を示し、この燃料核51の周囲に、内側から順に第1層から第4層まで計4層の被覆層52,53,54,55を有している。被覆第1層52は密度約1g/cm3の低密度熱分解炭素からなり、主として、原子炉の運転により生じる燃料核51の体積膨張を吸収する機能を有している。被覆第2層53は、密度約1.8g/cm3の高密度熱分解炭素からなり、主として、原子炉の運転により生じるガス状の核分裂生成物を保持する機能を有している。被覆第3層54は、密度約3.2g/cm3の炭化ケイ素(SiC)からなり、原子炉の運転により生ずる固体状の核分裂生成物を保持する機能を有するとともに、SiCの高い機械的強度を利用して、被覆層の主要な強度部材としての機能をも有している。被覆第4層55は、被覆第2層53と同様に密度約1.8g/cm3の高密度熱分解炭素からなり、被覆第3層54を保護するとともに、被覆第3層54を通過して出てきたガス状の核分裂生成物を保持する機能も有している。
【0007】
このように構成される被覆粒子燃料において、被覆層は硝酸溶液に溶解しないため、そのままでは前記したPurex法により再処理することができなかった。
【0008】
従来から、このような問題を解決する方法として、ばい焼と機械的粉砕とを組み合わせて、被覆層と燃料核とを分離する方法が考えられている。
【0009】
従来からの被覆粒子燃料の再処理方法を、図7に基づいて説明する。この再処理方法では、被覆粒子燃料56を、第1のばい焼工程57において、空気中約900℃の温度でばい焼することにより、被覆層第4層55を除去した後、粉砕工程58で、粉砕機により被覆第3層54のSiCを粉砕する。次いで、第2のばい焼工程59でばい焼処理を行うことにより、SiC層の内側の被覆第2層53および被覆第1層52を除去する。
【0010】
第1および第2のばい焼工程57,59では、被覆各層を構成する熱分解炭素の大部分は二酸化炭素ガスとなって分離・放出されるため、第2のばい焼工程59が終了した段階で、粉末状となった燃料核(核分裂生成物を含む核燃料物質)と、SiCの粉砕片および若干の炭素や黒鉛が残留することになる。
【0011】
次いで、酸浸出工程60で、粉末状となった燃料核などを硝酸溶液に溶解させた後、固液分離工程61において、核燃料物質および核分裂生成物が溶解した硝酸溶液と、SiC、炭素、黒鉛などの固体成分とを固液分離する。(例えば、特許文献1参照)
【0012】
その後、得られた硝酸溶液を、通常の燃料の再処理に用いられるPurex法を用いて処理することにより、ウランやプルトニウムなどの核燃料物質が回収される。なお、Purex法による再処理については詳述しないが、核燃料物質と核分裂生成物を分離するための分離工程、ウランとプルトニウムを分離するための分配工程、分配工程で回収されたウランおよびプルトニウムに残留する核分裂生成物を十分に除去するための精製工程、精製されたウランおよびプルトニウムが溶解した硝酸溶液を粉末状にする脱硝工程など、多くの処理工程を有し、多数の設備および機器を必要とする。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−272496号公報(第3頁[0010],[0011]、図3)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、被覆粒子燃料を再処理する従来からの方法では、多くの処理工程を必要とし、また処理のための装置や機器数も多くなるため、再処理施設の建設費や運転費が高騰するという問題があった。
【0015】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、高温ガス冷却原子炉などに用いられる被覆粒子燃料からウランやプルトニウムなどの核燃料物質を回収するにあたり、複雑な多くの工程を行うことなく簡便に被覆層の除去を行うことができる被覆粒子燃料の再処理方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の発明の被覆粒子燃料の再処理方法は、核燃料物質からなる燃料核と該燃料核の表面に形成された非核燃料物質からなる被覆層を有する被覆粒子燃料の再処理方法において、前記被覆粒子燃料を粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程で粉砕された前記被覆粒子燃料を陽極部に配置して溶融塩電解を行い、前記被覆層の分解・除去と、前記燃料核を構成する核燃料物質の溶融塩への溶解、および前記溶融塩に溶解されたウランの陰極への析出・回収を同時に行う被覆層除去・ウラン回収同時電解工程と、前記被覆層除去・ウラン回収同時電解工程後の前記溶融塩中に残留するアクチニド元素を、溶融塩電解により陰極に析出させて回収するアクチニド回収電解工程とを備えることを特徴とする。
【0017】
第2の発明の被覆粒子燃料の再処理方法は、核燃料物質からなる燃料核と該燃料核の表面に形成された非核燃料物質からなる被覆層を有する被覆粒子燃料の再処理方法において、前記被覆粒子燃料を陽極部に配置して溶融塩電解を行い、前記被覆層の分解・除去を行う被覆層除去電解工程と、前記被覆層除去電解工程で前記被覆層が分解・除去された前記被覆粒子燃料の燃料核を陽極部に配置して溶融塩電解を行い、前記燃料核を構成する核燃料物質の溶融塩への溶解と、前記溶融塩に溶解されたウランの陰極への析出・回収を同時に行う燃料溶解・ウラン回収同時電解工程と、前記燃料溶解・ウラン回収同時電解工程後の前記溶融塩中に残留するアクチニド元素を、溶融塩電解により陰極に析出させて回収するアクチニド回収電解工程とを備えることを特徴とする。
【0018】
第3の発明の被覆粒子燃料の再処理方法は、核燃料物質からなる燃料核と該燃料核の表面に形成された非核燃料物質からなる被覆層を有する被覆粒子燃料の再処理方法において、前記被覆粒子燃料を粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程で粉砕された前記被覆粒子燃料を陽極部に配置して溶融塩電解を行い、前記被覆層の分解・除去を行う被覆層除去電解工程と、前記被覆層除去電解工程で前記被覆層が分解・除去された粉砕済み燃料を陽極部に配置して溶融塩電解を行い、前記燃料核を構成する核燃料物質の溶融塩への溶解と、前記溶融塩に溶解されたウランの陰極への析出・回収を同時に行う燃料溶解・ウラン回収同時電解工程と、前記燃料溶解・ウラン回収同時電解工程後の前記溶融塩中に残留するアクチニド元素を、溶融塩電解により陰極に析出させて回収するアクチニド回収電解工程とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、高温ガス冷却原子炉などに用いられる被覆粒子燃料からウランやプルトニウムなどの核燃料物質を回収するにあたり、2回のばい焼処理、粉砕処理、酸浸出、固液分離などの多くの複雑な工程を行うことなく簡便に被覆層を除去することができるうえに、被覆層を除去した後の核燃料物質を、異なる機器に移送することなく同一の機器により再処理することが可能である。したがって、再処理施設の建設費および運転費の大幅な低減を図ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る被覆粒子燃料の再処理方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態を示すフローチャートである。第1の実施形態では、図6に示す、燃料核51の周囲に第1層から第4層まで計4層の被覆層52,53,54,55が形成された構造の被覆粒子燃料が再処理される。
【0022】
第1の実施形態の再処理方法は、被覆粒子燃料1を粉砕する粉砕工程2と、粉砕された被覆粒子燃料を陽極部で溶融塩電解し、被覆層の分解・除去と燃料核の溶解、および溶融塩に溶解されたウランの析出・回収を同時に行う被覆層除去・ウラン回収同時電解工程3と、この被覆層除去・ウラン回収同時電解工程3後に溶融塩中に残留するアクチニド元素を、溶融塩電解により陰極に析出・回収するアクチニド回収電解工程4を有している。なお、図中符号5は、被覆層除去・ウラン回収同時電解工程3で陰極に析出・回収されたウランを示し、6はアクチニド回収電解工程4で析出・回収されたウラン、プルトニウム等のアクチニド元素を示している。
【0023】
被覆粒子燃料1は、まず、粉砕工程2において粉砕され、燃料核51が剥き出しの状態となる。粉砕方法としては、例えば、1対のロータリディスク間に被覆粒子燃料1を通過させることにより粉砕するロータリディスク粉砕法を採ることができるが、被覆層52,53,54,55を粉砕し燃料核51を剥き出しの状態にすることができる方法であれば、いかなる粉砕方法も適用することができる。得られた粉砕片においては、被覆層52,53,54,55と燃料核51とが固着していても良いし、あるいは分離していても良い。
【0024】
次いで、粉砕された被覆粒子燃料が、被覆層除去・ウラン回収同時電解工程3において溶融塩電解される。
【0025】
この工程に使用される溶融塩電解装置の概略を、図2に示す。図2において、符号7は、電気炉(図示を省略。)等により約600℃に加熱溶融されたLiCl・KClを主成分とする溶融塩を示し、この溶融塩7中に陽極8および陰極9が設置されている。符号10は、電解槽であるるつぼを示す。
【0026】
このような電解装置の陽極部に、前記した粉砕工程1で粉砕された被覆粒子燃料11を装荷した陽極バスケット12を配置する。そして、陽極8と陰極9との間に直流電圧を印加し、被覆層52,53,54,55を構成する熱分解炭素およびSiCを酸化・分解することができる陽極電位で溶融塩電解を行う。
【0027】
ここで、陽極8および陽極バスケット12を構成する材料は、電気伝導度が高いことに加えて、溶融塩電解による酸化・分解が起こりにくい材料を選択しなければならず、熱分解黒鉛とすることが望ましい。熱分解黒鉛は結晶構造を有するため、第1,第2および第4被覆層52,53,55を構成する熱分解炭素に比べて酸化・分解しにくく、しかも第3被覆層54を構成するSiCよりも酸化・分解しにくい。したがって、陽極8および陽極バスケット12を熱分解黒鉛で構成し、被覆層52,53,54,55を構成する熱分解炭素およびSiCが酸化・分解可能な陽極電位で溶融塩電解することにより、陽極8および陽極バスケット12の分解を完全に抑えることができる。
【0028】
陰極9としては、鉄製の電極が使用される。溶融塩7は、LiClやKClのようなアルカリ金属の塩化物に限定されるものではなく、アルカリ金属のフッ化物のようなハロゲン化物も同様に使用することができる。また、必要に応じて溶融塩7の温度を600℃以上に上げて電解を行うことにより、電解速度をさらに高めることも可能である。
【0029】
被覆層除去・ウラン回収同時電解工程3において、陽極バスケット12では、以下の反応式(1)〜(4)で示される反応が生じる。
【0030】
UO2+C+(X1/2)Cl2→UClX1+CO2 ………(1)
(X1=3または4)
UO2+SiC+(X2/2)Cl2→UCl(X2−4)+SiCl4+CO2……(2)
(X2=7または8)
PuO2+C+(X3/2)Cl2→PuClX3+CO2 ………(3)
(X3=3または4)
PuO2+SiC+(X4/2)Cl2→PuCl(X4−4)+SiC4+CO2…(4)
(X4=7または8)
【0031】
すなわち、燃料核51を構成する核燃料物質である二酸化ウランおよび二酸化プルトニウムは、塩素の存在下において、被覆層52,53,54,55を構成する熱分解炭素およびSiCとそれぞれ反応し、その結果、二酸化ウランおよび二酸化プルトニウムは塩化物となり溶融塩7中に溶解する。同時に、熱分解炭素はガス状の二酸化炭素になり、SiCはガス状の四塩化ケイ素になってそれぞれ放出され分解・除去される。
【0032】
ここで、塩素は、塩素ガス30を電解装置の外部からガス吹き込み管(図示を省略。)などを介して吹き込むことによって、陽極バスケット12に供給される。また、陽極電位を塩素が発生する電位にして電解し、陽極バスケット7で以下の反応式(5)で示される反応を生起することにより、塩素ガスの供給を行っても良い。
【0033】
2Cl−→Cl2+2e ………(5)
【0034】
一方、このような溶融塩電解工程において、陰極9では、溶融塩7中に溶解したウランが、以下の式(6)および(7)あるいは(8)で示される反応を起こし、その結果ウラン13が陰極9表面に析出される。
【0035】
U4++e→U3+ ………(6)
U3++3e→U ………(7)
【0036】
U4++4e→U ………(8)
【0037】
次いで、アクチニド回収電解工程4において、被覆層除去・ウラン回収同時電解工程3で使用された電解装置の陰極9のみをCd電極に変えた装置を用いて溶融塩電解を行うことにより、被覆層除去・ウラン回収同時電解工程3後の溶融塩7中に残留するウラン、プルトニウム、アメリシウム、キュウリウムなどのアクチニド元素が、Cd陰極に析出され回収される。
【0038】
このように構成される第1の実施形態によれば、被覆粒子燃料の被覆層を、複雑な多くの工程を要することなく簡便に除去することができるうえに、被覆層の分解・除去と核燃料物質の主成分であるウランの回収とを、同一の電解装置内で同時に行うことができ、核燃料物質の装置間の移送を行う必要がない。さらに、プルトニウムなどを含むアクチニドの回収も、陰極を交換するだけで同一の電解装置により行うことができ、被覆層の分解・除去から全ての核燃料物質の回収に至るまで、核燃料物質の移送を行うことなく1台の電解装置により処理することが可能である。
【0039】
したがって、従来に比べて、再処理に要する機器および装置数が低減され、施設の建設費を大幅に削減することが可能になる。また、核燃料物質の処理装置間の移送をほとんど必要としないため、施設の運転の手間すなわち運転費を大幅に削減することができるとともに、移送時間が短縮されるため、処理速度の向上が可能となる。
【0040】
なお、第1の実施形態では、被覆層が熱分解炭素およびSiCで構成され、燃料核における核燃料物質が酸化物の形態である被覆粒子燃料を、LiCl・KClの組成を有する溶融塩を使用して電解する場合について例示したが、被覆層の分解反応と核燃料物質の溶融塩への溶解反応が同時に発生するものであれば、溶融塩は塩化物に限定されるものではない。また、対象とする被覆粒子燃料の被覆層の構成材料、燃料核の核燃料物質の形態等も、前記したものに限定されない。
【0041】
次に、本発明に係る被覆粒子燃料の再処理方法の第2の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0042】
図3は、本発明の第2の実施形態を示すフローチャートである。この実施形態では、図4に示すように、窒化ウランや窒化プルトニウムを主成分とする燃料核14の表面に、窒化チタン(TiN)を主成分とする被覆層15を有する被覆粒子燃料が再処理される。
【0043】
第2の実施形態の再処理方法は、図3に示すように、被覆粒子燃料16を陽極部で溶融塩電解し、被覆層を分解・除去する被覆層除去電解工程17と、被覆層が分解・除去された被覆粒子燃料の燃料核を陽極部で溶融塩電解し、燃料核の溶解と溶融塩に溶解されたウランの析出・回収を同時に行う燃料溶解・ウラン回収同時電解工程18と、この燃料溶解・ウラン回収同時電解工程18後に溶融塩中に残留するアクチニド元素を、溶融塩電解により陰極に析出させて回収するアクチニド回収電解工程19を有している。なお、図中符号20は、燃料溶解・ウラン回収同時電解工程18で陰極に析出・回収されたウランを示し、21はアクチニド回収電解工程19で陰極に析出・回収されたウラン、プルトニウム等のアクチニド元素を示している。
【0044】
被覆粒子燃料16は、まず、被覆層除去電解工程17において溶融塩電解される。被覆層除去電解工程17では、図2に示す溶融塩電解装置を使用し、LiCl・KClを主成分とする約600℃の溶融塩7中に、図4に示す被覆粒子燃料を装荷した陽極バスケット12を配置し、被覆層15を構成するTiNを酸化・分解することができる陽極電位で電解を行う。
【0045】
陰極9としては鉄製電極が使用される。また、陽極8および陽極バスケット12を構成する材料としては、熱分解黒鉛が使用される。熱分解黒鉛により構成される陽極8および陽極バスケット12を用いて電解を行うことで、陽極8および陽極バスケット12の分解を抑え、被覆層15のみを分解・除去することができる。
【0046】
被覆層除去電解工程17において、陽極バスケット12では、以下の反応式(9)で示される反応が生じ、被覆層15を構成するTiNは、Tiが陽イオンとなって溶融塩中に溶解し、窒素が窒素ガスとなって放出される。
【0047】
TiN → Ti3+ + 1/2N2 + 3e ………(9)
【0048】
こうして、被覆層除去電解工程17において、被覆粒子燃料の被覆層15を構成するTiNが分解・除去され、燃料核14が剥き出しの状態にされる。
【0049】
次いで、燃料溶解・ウラン回収同時電解工程18において、被覆層除去電解工程17と同じ電解装置内で、燃料核14を構成するウランなどの窒化物が酸化・分解する電位に陽極電位を調整して、溶融塩電解を行う。陽極部で以下の反応式(10)および(11)で示される反応が生じ、窒化ウランおよび窒化プルトニウムは塩化物となり溶融塩中に溶解する。
【0050】
UN+(X5/2)Cl2→UClX5+1/2N2 ………(10)
(X5=3または4)
PuN+(X6/2)Cl2→PuClX6+1/2N2 ………(11)
(X6=3または4)
【0051】
ここで、塩素の供給は、第1の実施形態の被覆層除去・ウラン回収同時電解工程3と同様に、電解装置の外部からガス吹き込み管などによって行っても良いし、あるいは陽極電位を塩素が発生する電位にして電解することにより、陽極バスケットで発生させても良い。
【0052】
一方、このような溶融塩電解工程において、陰極では、溶融塩中に溶解したウランが、以下の式(12)および(13)あるいは(14)で示される反応を起こし、その結果ウランが陰極表面に析出される。
【0053】
U4++e→U3+ ………(12)
U3++3e→U ………(13)
【0054】
U4++4e→U ………(14)
【0055】
次いで、アクチニド回収電解工程19において、燃料溶解・ウラン回収同時電解工程18で使用された電解装置の陰極9のみをCd電極に変えた装置を用いて溶融塩電解を行うことにより、燃料溶解・ウラン回収同時電解工程18後の溶融塩中に残留するウラン、プルトニウム、アメリシウム、キュウリウムなどのアクチニド元素が、Cd陰極に析出され回収される。
【0056】
このように構成される第2の実施形態によれば、被覆粒子燃料の被覆層の分解・除去から全ての核燃料物質の回収に至るまでの工程を、1台の電解装置内で行うことができ、核燃料物質の装置間の移送を行う必要がない。したがって、従来に比べて、再処理に要する機器および装置数が大幅に低減され、施設の建設費を大幅に削減することが可能になる。また、第1の実施形態に比べて、核燃料物質の処理装置間の移送を要しないため、施設の運転費をさらに削減することができ、かつ移送時間がさらに短縮されるため、処理速度の向上が可能となる。
【0057】
なお、第2の実施形態では、被覆層がTiNで構成され、かつ燃料核における核燃料物質が窒化物の形態である被覆粒子燃料を、LiCl・KClの組成を有する溶融塩を使用して電解する場合について例示したが、被覆層が溶融塩電解により分解するものであれば、溶融塩は塩化物に限定されるものではなく、また対象とする被覆粒子燃料の被覆層の構成材料、燃料核の核燃料物質の形態等も、前記のものに限定されない。
【0058】
次に、本発明に係る被覆粒子燃料の再処理方法の別の実施形態について説明する。
【0059】
図5は、本発明の第3の実施形態を示すフローチャートである。この実施形態では、第2の実施形態と同様に、図4に示す、窒化ウランや窒化プルトニウムを主成分とする燃料核14の表面に、窒化チタン(TiN)を主成分とする被覆層15を有する被覆粒子燃料が再処理される。
【0060】
第3の実施形態は、被覆粒子燃料22を粉砕する粉砕工程23と、粉砕された被覆粒子燃料を陽極部で溶融塩電解し、被覆層を分解・除去する被覆層除去電解工程24と、被覆層が分解・除去された粉砕済み燃料を陽極部で溶融塩電解し、燃料核の溶解と溶融塩に溶解されたウランの析出・回収を同時に行う燃料溶解・ウラン回収同時電解工程25と、この燃料溶解・ウラン回収同時電解工程25後に溶融塩中に残留するアクチニド元素を、溶融塩電解により陰極に析出させて回収するアクチニド回収電解工程26を有している。なお、図中符号27は、燃料溶解・ウラン回収同時電解工程25で陰極に析出・回収されたウランを示し、28はアクチニド回収電解工程26で陰極に析出・回収されたウラン、プルトニウム等のアクチニド元素を示している。
【0061】
被覆粒子燃料22は、まず粉砕工程23において、ロータリディスク粉砕法などにより粉砕され、燃料核14が剥き出しの状態となる。
【0062】
次いで、被覆層除去電解工程24において、粉砕された被覆粒子燃料が溶融塩電解される。この工程では、図2に示す溶融塩電解装置を使用し、LiCl・KClを主成分とする約600℃の溶融塩7中に、粉砕された被覆粒子燃料を装荷した陽極バスケット12を配置し、陽極電位を調整して電解を行うことにより、被覆層15を構成するTiNのみを酸化・分解することができる。
【0063】
すなわち、TiNは、酸化・分解反応の電解電位が燃料核14を構成する核燃料物質に比べて低く、かつ電気伝導度も高いため、陽極電位をTiNの電解電位に調整して電解を行った場合、被覆層15(TiN)の粉砕物と燃料核14とが混在する陽極部で、TiNのみが酸化により分解される。なお、このとき、陽極および陽極バスケットは熱分解黒鉛製とし、陰極は鉄製電極とする。
【0064】
次いで、燃料溶解・ウラン回収同時電解工程25において、被覆層除去電解工程24と同じ電解装置内で、陽極電位を、燃料核14を構成するウランなどの窒化物が酸化・分解する電位に調整して、溶融塩電解を行う。こうして、被覆層が分解・除去された後の残った燃料核が、溶融塩中に溶解し、同時に、溶融塩中に溶解したウランが、陰極表面に析出し回収される。
【0065】
なお、被覆層除去電解工程24において、陽極電位を、被覆層であるTiNの電解電位より高いばかりでなく燃料核の電解電位よりも高い電位に調整して電解を行った場合には、電気伝導度が高いTiNから先に酸化・分解されるが、TiNの分解が終了した後引き続いて燃料核が酸化・分解される。したがって、そのままの条件(陽極電位)で溶融塩電解を続けることで、燃料溶解・ウラン回収同時電解工程25を行うことができる。
【0066】
次いで、アクチニド回収電解工程26において、燃料溶解・ウラン回収同時電解工程25で使用された電解装置の陰極9のみをCd電極に変えた装置を用いて溶融塩電解を行うことにより、燃料溶解・ウラン回収同時電解工程25後の溶融塩中に残留するウラン、プルトニウム、アメリシウム、キュウリウムなどのアクチニド元素が、Cd陰極に析出され回収される。
【0067】
このように構成される第3の実施形態によれば、被覆粒子燃料の被覆層を、複雑な多くの工程を要することなく簡便に除去することができるうえに、被覆層の分解・除去から全ての核燃料物質の回収に至るまでの工程を、1台の電解装置内で行うことができる。したがって、従来に比べて、再処理に要する機器および装置数が低減され、施設の建設費を大幅に削減することが可能になる。また、核燃料物質の処理装置間の移送をほとんど必要としないため、施設の運転費を大幅に削減することができるとともに、移送時間が短縮されるため、処理速度の向上が可能となる。
【0068】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、高温ガス冷却原子炉などに用いられる被覆粒子燃料からウランやプルトニウムなどの核燃料物質を回収するにあたり、2回のばい焼処理、粉砕処理、酸浸出、固液分離などの多くの複雑な工程を行うことなく、簡便に被覆層を除去することができるうえに、被覆層を除去した後の核燃料物質を、異なる機器に移送することなく同一の機器により再処理することが可能である。したがって、再処理施設の建設費および運転費の大幅な低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る被覆粒子燃料の再処理方法の第1の実施形態を示すフローチャート。
【図2】本発明の第1の実施形態において、被覆層除去・ウラン回収同時電解工程に使用する溶融塩電解装置の概略を示す図。
【図3】本発明の被覆粒子燃料の再処理方法の第2の実施形態を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2の実施形態において再処理される被覆粒子燃料の構造を示す断面図。
【図5】本発明の被覆粒子燃料の再処理方法の第3の実施形態を示すフローチャート。
【図6】高温ガス冷却原子炉などに使用される被覆粒子燃料の構造の一例を示す断面図。
【図7】被覆粒子燃料から燃料核を回収する従来からの再処理方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
1,16,22………被覆粒子燃料、2,23………粉砕工程、3………被覆層除去・ウラン回収同時電解工程、4,19,26………・アクチニド回収電解工程、7………溶融塩、8………陽極、9………陰極、12………陽極バスケット、13………析出ウラン、14………燃料核、15………被覆層、17,24………被覆層除去電解工程、18,25………燃料溶解・ウラン回収同時電解工程
【発明の属する技術分野】
本発明は、被覆粒子燃料の再処理方法に係り、特に、高温ガス冷却原子炉などで使用された被覆粒子燃料から、ウラン、プルトニウム、マイナーアクチノイドなどの核燃料物質を回収し、再利用できるようにするための被覆粒子燃料の再処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、原子炉などの使用済み燃料を再処理し、核分裂生成物(FP)を分離して核燃料物質などの有用物質を回収することは、資源の有効利用のために極めて重要である。
【0003】
水冷却原子炉やナトリウム冷却原子炉では、ウラン、プルトニウムなどの核分裂性核種の化合物を円柱状に成形した燃料ペレットを、ジルコニウムやステンレスなどの被覆管内に挿入し密閉した構造の燃料ピンが使用されており、このような燃料ピンを機械的に剪断して取り出された燃料ペレットを、Purex法などの湿式法により再処理することが行われている。
【0004】
湿式法は、燃料を硝酸などに溶解させて水溶液とした後、核燃料物質と核分裂生成物との有機溶媒への溶解度の差を利用して、核燃料物質を抽出・回収する方法であり、Purex法では有機溶媒としてTBP(リン酸トリブチル)が使用される。
【0005】
これに対して、高温ガス冷却原子炉は、冷却材であるヘリウムガスを約700〜950℃に加熱して、発電または化学プラントなどで熱利用することを目的とした原子炉であり、燃料が高温に曝されるため、核燃料物質からなる燃料核の表面に、非核燃料物質からなる被覆層を有する被覆粒子燃料が用いられている。被覆層は、熱分解炭素や炭化ケイ素(SiC)などのセラミック材料の単層あるいは多重層からなり、核分裂生成物を被覆層内に保持するために、機械的強度が高く化学的に安定になっている。
【0006】
被覆粒子燃料の構造の一例を、図6に示す。図6において、符号51は、直径約600μmの燃料核を示し、この燃料核51の周囲に、内側から順に第1層から第4層まで計4層の被覆層52,53,54,55を有している。被覆第1層52は密度約1g/cm3の低密度熱分解炭素からなり、主として、原子炉の運転により生じる燃料核51の体積膨張を吸収する機能を有している。被覆第2層53は、密度約1.8g/cm3の高密度熱分解炭素からなり、主として、原子炉の運転により生じるガス状の核分裂生成物を保持する機能を有している。被覆第3層54は、密度約3.2g/cm3の炭化ケイ素(SiC)からなり、原子炉の運転により生ずる固体状の核分裂生成物を保持する機能を有するとともに、SiCの高い機械的強度を利用して、被覆層の主要な強度部材としての機能をも有している。被覆第4層55は、被覆第2層53と同様に密度約1.8g/cm3の高密度熱分解炭素からなり、被覆第3層54を保護するとともに、被覆第3層54を通過して出てきたガス状の核分裂生成物を保持する機能も有している。
【0007】
このように構成される被覆粒子燃料において、被覆層は硝酸溶液に溶解しないため、そのままでは前記したPurex法により再処理することができなかった。
【0008】
従来から、このような問題を解決する方法として、ばい焼と機械的粉砕とを組み合わせて、被覆層と燃料核とを分離する方法が考えられている。
【0009】
従来からの被覆粒子燃料の再処理方法を、図7に基づいて説明する。この再処理方法では、被覆粒子燃料56を、第1のばい焼工程57において、空気中約900℃の温度でばい焼することにより、被覆層第4層55を除去した後、粉砕工程58で、粉砕機により被覆第3層54のSiCを粉砕する。次いで、第2のばい焼工程59でばい焼処理を行うことにより、SiC層の内側の被覆第2層53および被覆第1層52を除去する。
【0010】
第1および第2のばい焼工程57,59では、被覆各層を構成する熱分解炭素の大部分は二酸化炭素ガスとなって分離・放出されるため、第2のばい焼工程59が終了した段階で、粉末状となった燃料核(核分裂生成物を含む核燃料物質)と、SiCの粉砕片および若干の炭素や黒鉛が残留することになる。
【0011】
次いで、酸浸出工程60で、粉末状となった燃料核などを硝酸溶液に溶解させた後、固液分離工程61において、核燃料物質および核分裂生成物が溶解した硝酸溶液と、SiC、炭素、黒鉛などの固体成分とを固液分離する。(例えば、特許文献1参照)
【0012】
その後、得られた硝酸溶液を、通常の燃料の再処理に用いられるPurex法を用いて処理することにより、ウランやプルトニウムなどの核燃料物質が回収される。なお、Purex法による再処理については詳述しないが、核燃料物質と核分裂生成物を分離するための分離工程、ウランとプルトニウムを分離するための分配工程、分配工程で回収されたウランおよびプルトニウムに残留する核分裂生成物を十分に除去するための精製工程、精製されたウランおよびプルトニウムが溶解した硝酸溶液を粉末状にする脱硝工程など、多くの処理工程を有し、多数の設備および機器を必要とする。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−272496号公報(第3頁[0010],[0011]、図3)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、被覆粒子燃料を再処理する従来からの方法では、多くの処理工程を必要とし、また処理のための装置や機器数も多くなるため、再処理施設の建設費や運転費が高騰するという問題があった。
【0015】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、高温ガス冷却原子炉などに用いられる被覆粒子燃料からウランやプルトニウムなどの核燃料物質を回収するにあたり、複雑な多くの工程を行うことなく簡便に被覆層の除去を行うことができる被覆粒子燃料の再処理方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の発明の被覆粒子燃料の再処理方法は、核燃料物質からなる燃料核と該燃料核の表面に形成された非核燃料物質からなる被覆層を有する被覆粒子燃料の再処理方法において、前記被覆粒子燃料を粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程で粉砕された前記被覆粒子燃料を陽極部に配置して溶融塩電解を行い、前記被覆層の分解・除去と、前記燃料核を構成する核燃料物質の溶融塩への溶解、および前記溶融塩に溶解されたウランの陰極への析出・回収を同時に行う被覆層除去・ウラン回収同時電解工程と、前記被覆層除去・ウラン回収同時電解工程後の前記溶融塩中に残留するアクチニド元素を、溶融塩電解により陰極に析出させて回収するアクチニド回収電解工程とを備えることを特徴とする。
【0017】
第2の発明の被覆粒子燃料の再処理方法は、核燃料物質からなる燃料核と該燃料核の表面に形成された非核燃料物質からなる被覆層を有する被覆粒子燃料の再処理方法において、前記被覆粒子燃料を陽極部に配置して溶融塩電解を行い、前記被覆層の分解・除去を行う被覆層除去電解工程と、前記被覆層除去電解工程で前記被覆層が分解・除去された前記被覆粒子燃料の燃料核を陽極部に配置して溶融塩電解を行い、前記燃料核を構成する核燃料物質の溶融塩への溶解と、前記溶融塩に溶解されたウランの陰極への析出・回収を同時に行う燃料溶解・ウラン回収同時電解工程と、前記燃料溶解・ウラン回収同時電解工程後の前記溶融塩中に残留するアクチニド元素を、溶融塩電解により陰極に析出させて回収するアクチニド回収電解工程とを備えることを特徴とする。
【0018】
第3の発明の被覆粒子燃料の再処理方法は、核燃料物質からなる燃料核と該燃料核の表面に形成された非核燃料物質からなる被覆層を有する被覆粒子燃料の再処理方法において、前記被覆粒子燃料を粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程で粉砕された前記被覆粒子燃料を陽極部に配置して溶融塩電解を行い、前記被覆層の分解・除去を行う被覆層除去電解工程と、前記被覆層除去電解工程で前記被覆層が分解・除去された粉砕済み燃料を陽極部に配置して溶融塩電解を行い、前記燃料核を構成する核燃料物質の溶融塩への溶解と、前記溶融塩に溶解されたウランの陰極への析出・回収を同時に行う燃料溶解・ウラン回収同時電解工程と、前記燃料溶解・ウラン回収同時電解工程後の前記溶融塩中に残留するアクチニド元素を、溶融塩電解により陰極に析出させて回収するアクチニド回収電解工程とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、高温ガス冷却原子炉などに用いられる被覆粒子燃料からウランやプルトニウムなどの核燃料物質を回収するにあたり、2回のばい焼処理、粉砕処理、酸浸出、固液分離などの多くの複雑な工程を行うことなく簡便に被覆層を除去することができるうえに、被覆層を除去した後の核燃料物質を、異なる機器に移送することなく同一の機器により再処理することが可能である。したがって、再処理施設の建設費および運転費の大幅な低減を図ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る被覆粒子燃料の再処理方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態を示すフローチャートである。第1の実施形態では、図6に示す、燃料核51の周囲に第1層から第4層まで計4層の被覆層52,53,54,55が形成された構造の被覆粒子燃料が再処理される。
【0022】
第1の実施形態の再処理方法は、被覆粒子燃料1を粉砕する粉砕工程2と、粉砕された被覆粒子燃料を陽極部で溶融塩電解し、被覆層の分解・除去と燃料核の溶解、および溶融塩に溶解されたウランの析出・回収を同時に行う被覆層除去・ウラン回収同時電解工程3と、この被覆層除去・ウラン回収同時電解工程3後に溶融塩中に残留するアクチニド元素を、溶融塩電解により陰極に析出・回収するアクチニド回収電解工程4を有している。なお、図中符号5は、被覆層除去・ウラン回収同時電解工程3で陰極に析出・回収されたウランを示し、6はアクチニド回収電解工程4で析出・回収されたウラン、プルトニウム等のアクチニド元素を示している。
【0023】
被覆粒子燃料1は、まず、粉砕工程2において粉砕され、燃料核51が剥き出しの状態となる。粉砕方法としては、例えば、1対のロータリディスク間に被覆粒子燃料1を通過させることにより粉砕するロータリディスク粉砕法を採ることができるが、被覆層52,53,54,55を粉砕し燃料核51を剥き出しの状態にすることができる方法であれば、いかなる粉砕方法も適用することができる。得られた粉砕片においては、被覆層52,53,54,55と燃料核51とが固着していても良いし、あるいは分離していても良い。
【0024】
次いで、粉砕された被覆粒子燃料が、被覆層除去・ウラン回収同時電解工程3において溶融塩電解される。
【0025】
この工程に使用される溶融塩電解装置の概略を、図2に示す。図2において、符号7は、電気炉(図示を省略。)等により約600℃に加熱溶融されたLiCl・KClを主成分とする溶融塩を示し、この溶融塩7中に陽極8および陰極9が設置されている。符号10は、電解槽であるるつぼを示す。
【0026】
このような電解装置の陽極部に、前記した粉砕工程1で粉砕された被覆粒子燃料11を装荷した陽極バスケット12を配置する。そして、陽極8と陰極9との間に直流電圧を印加し、被覆層52,53,54,55を構成する熱分解炭素およびSiCを酸化・分解することができる陽極電位で溶融塩電解を行う。
【0027】
ここで、陽極8および陽極バスケット12を構成する材料は、電気伝導度が高いことに加えて、溶融塩電解による酸化・分解が起こりにくい材料を選択しなければならず、熱分解黒鉛とすることが望ましい。熱分解黒鉛は結晶構造を有するため、第1,第2および第4被覆層52,53,55を構成する熱分解炭素に比べて酸化・分解しにくく、しかも第3被覆層54を構成するSiCよりも酸化・分解しにくい。したがって、陽極8および陽極バスケット12を熱分解黒鉛で構成し、被覆層52,53,54,55を構成する熱分解炭素およびSiCが酸化・分解可能な陽極電位で溶融塩電解することにより、陽極8および陽極バスケット12の分解を完全に抑えることができる。
【0028】
陰極9としては、鉄製の電極が使用される。溶融塩7は、LiClやKClのようなアルカリ金属の塩化物に限定されるものではなく、アルカリ金属のフッ化物のようなハロゲン化物も同様に使用することができる。また、必要に応じて溶融塩7の温度を600℃以上に上げて電解を行うことにより、電解速度をさらに高めることも可能である。
【0029】
被覆層除去・ウラン回収同時電解工程3において、陽極バスケット12では、以下の反応式(1)〜(4)で示される反応が生じる。
【0030】
UO2+C+(X1/2)Cl2→UClX1+CO2 ………(1)
(X1=3または4)
UO2+SiC+(X2/2)Cl2→UCl(X2−4)+SiCl4+CO2……(2)
(X2=7または8)
PuO2+C+(X3/2)Cl2→PuClX3+CO2 ………(3)
(X3=3または4)
PuO2+SiC+(X4/2)Cl2→PuCl(X4−4)+SiC4+CO2…(4)
(X4=7または8)
【0031】
すなわち、燃料核51を構成する核燃料物質である二酸化ウランおよび二酸化プルトニウムは、塩素の存在下において、被覆層52,53,54,55を構成する熱分解炭素およびSiCとそれぞれ反応し、その結果、二酸化ウランおよび二酸化プルトニウムは塩化物となり溶融塩7中に溶解する。同時に、熱分解炭素はガス状の二酸化炭素になり、SiCはガス状の四塩化ケイ素になってそれぞれ放出され分解・除去される。
【0032】
ここで、塩素は、塩素ガス30を電解装置の外部からガス吹き込み管(図示を省略。)などを介して吹き込むことによって、陽極バスケット12に供給される。また、陽極電位を塩素が発生する電位にして電解し、陽極バスケット7で以下の反応式(5)で示される反応を生起することにより、塩素ガスの供給を行っても良い。
【0033】
2Cl−→Cl2+2e ………(5)
【0034】
一方、このような溶融塩電解工程において、陰極9では、溶融塩7中に溶解したウランが、以下の式(6)および(7)あるいは(8)で示される反応を起こし、その結果ウラン13が陰極9表面に析出される。
【0035】
U4++e→U3+ ………(6)
U3++3e→U ………(7)
【0036】
U4++4e→U ………(8)
【0037】
次いで、アクチニド回収電解工程4において、被覆層除去・ウラン回収同時電解工程3で使用された電解装置の陰極9のみをCd電極に変えた装置を用いて溶融塩電解を行うことにより、被覆層除去・ウラン回収同時電解工程3後の溶融塩7中に残留するウラン、プルトニウム、アメリシウム、キュウリウムなどのアクチニド元素が、Cd陰極に析出され回収される。
【0038】
このように構成される第1の実施形態によれば、被覆粒子燃料の被覆層を、複雑な多くの工程を要することなく簡便に除去することができるうえに、被覆層の分解・除去と核燃料物質の主成分であるウランの回収とを、同一の電解装置内で同時に行うことができ、核燃料物質の装置間の移送を行う必要がない。さらに、プルトニウムなどを含むアクチニドの回収も、陰極を交換するだけで同一の電解装置により行うことができ、被覆層の分解・除去から全ての核燃料物質の回収に至るまで、核燃料物質の移送を行うことなく1台の電解装置により処理することが可能である。
【0039】
したがって、従来に比べて、再処理に要する機器および装置数が低減され、施設の建設費を大幅に削減することが可能になる。また、核燃料物質の処理装置間の移送をほとんど必要としないため、施設の運転の手間すなわち運転費を大幅に削減することができるとともに、移送時間が短縮されるため、処理速度の向上が可能となる。
【0040】
なお、第1の実施形態では、被覆層が熱分解炭素およびSiCで構成され、燃料核における核燃料物質が酸化物の形態である被覆粒子燃料を、LiCl・KClの組成を有する溶融塩を使用して電解する場合について例示したが、被覆層の分解反応と核燃料物質の溶融塩への溶解反応が同時に発生するものであれば、溶融塩は塩化物に限定されるものではない。また、対象とする被覆粒子燃料の被覆層の構成材料、燃料核の核燃料物質の形態等も、前記したものに限定されない。
【0041】
次に、本発明に係る被覆粒子燃料の再処理方法の第2の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0042】
図3は、本発明の第2の実施形態を示すフローチャートである。この実施形態では、図4に示すように、窒化ウランや窒化プルトニウムを主成分とする燃料核14の表面に、窒化チタン(TiN)を主成分とする被覆層15を有する被覆粒子燃料が再処理される。
【0043】
第2の実施形態の再処理方法は、図3に示すように、被覆粒子燃料16を陽極部で溶融塩電解し、被覆層を分解・除去する被覆層除去電解工程17と、被覆層が分解・除去された被覆粒子燃料の燃料核を陽極部で溶融塩電解し、燃料核の溶解と溶融塩に溶解されたウランの析出・回収を同時に行う燃料溶解・ウラン回収同時電解工程18と、この燃料溶解・ウラン回収同時電解工程18後に溶融塩中に残留するアクチニド元素を、溶融塩電解により陰極に析出させて回収するアクチニド回収電解工程19を有している。なお、図中符号20は、燃料溶解・ウラン回収同時電解工程18で陰極に析出・回収されたウランを示し、21はアクチニド回収電解工程19で陰極に析出・回収されたウラン、プルトニウム等のアクチニド元素を示している。
【0044】
被覆粒子燃料16は、まず、被覆層除去電解工程17において溶融塩電解される。被覆層除去電解工程17では、図2に示す溶融塩電解装置を使用し、LiCl・KClを主成分とする約600℃の溶融塩7中に、図4に示す被覆粒子燃料を装荷した陽極バスケット12を配置し、被覆層15を構成するTiNを酸化・分解することができる陽極電位で電解を行う。
【0045】
陰極9としては鉄製電極が使用される。また、陽極8および陽極バスケット12を構成する材料としては、熱分解黒鉛が使用される。熱分解黒鉛により構成される陽極8および陽極バスケット12を用いて電解を行うことで、陽極8および陽極バスケット12の分解を抑え、被覆層15のみを分解・除去することができる。
【0046】
被覆層除去電解工程17において、陽極バスケット12では、以下の反応式(9)で示される反応が生じ、被覆層15を構成するTiNは、Tiが陽イオンとなって溶融塩中に溶解し、窒素が窒素ガスとなって放出される。
【0047】
TiN → Ti3+ + 1/2N2 + 3e ………(9)
【0048】
こうして、被覆層除去電解工程17において、被覆粒子燃料の被覆層15を構成するTiNが分解・除去され、燃料核14が剥き出しの状態にされる。
【0049】
次いで、燃料溶解・ウラン回収同時電解工程18において、被覆層除去電解工程17と同じ電解装置内で、燃料核14を構成するウランなどの窒化物が酸化・分解する電位に陽極電位を調整して、溶融塩電解を行う。陽極部で以下の反応式(10)および(11)で示される反応が生じ、窒化ウランおよび窒化プルトニウムは塩化物となり溶融塩中に溶解する。
【0050】
UN+(X5/2)Cl2→UClX5+1/2N2 ………(10)
(X5=3または4)
PuN+(X6/2)Cl2→PuClX6+1/2N2 ………(11)
(X6=3または4)
【0051】
ここで、塩素の供給は、第1の実施形態の被覆層除去・ウラン回収同時電解工程3と同様に、電解装置の外部からガス吹き込み管などによって行っても良いし、あるいは陽極電位を塩素が発生する電位にして電解することにより、陽極バスケットで発生させても良い。
【0052】
一方、このような溶融塩電解工程において、陰極では、溶融塩中に溶解したウランが、以下の式(12)および(13)あるいは(14)で示される反応を起こし、その結果ウランが陰極表面に析出される。
【0053】
U4++e→U3+ ………(12)
U3++3e→U ………(13)
【0054】
U4++4e→U ………(14)
【0055】
次いで、アクチニド回収電解工程19において、燃料溶解・ウラン回収同時電解工程18で使用された電解装置の陰極9のみをCd電極に変えた装置を用いて溶融塩電解を行うことにより、燃料溶解・ウラン回収同時電解工程18後の溶融塩中に残留するウラン、プルトニウム、アメリシウム、キュウリウムなどのアクチニド元素が、Cd陰極に析出され回収される。
【0056】
このように構成される第2の実施形態によれば、被覆粒子燃料の被覆層の分解・除去から全ての核燃料物質の回収に至るまでの工程を、1台の電解装置内で行うことができ、核燃料物質の装置間の移送を行う必要がない。したがって、従来に比べて、再処理に要する機器および装置数が大幅に低減され、施設の建設費を大幅に削減することが可能になる。また、第1の実施形態に比べて、核燃料物質の処理装置間の移送を要しないため、施設の運転費をさらに削減することができ、かつ移送時間がさらに短縮されるため、処理速度の向上が可能となる。
【0057】
なお、第2の実施形態では、被覆層がTiNで構成され、かつ燃料核における核燃料物質が窒化物の形態である被覆粒子燃料を、LiCl・KClの組成を有する溶融塩を使用して電解する場合について例示したが、被覆層が溶融塩電解により分解するものであれば、溶融塩は塩化物に限定されるものではなく、また対象とする被覆粒子燃料の被覆層の構成材料、燃料核の核燃料物質の形態等も、前記のものに限定されない。
【0058】
次に、本発明に係る被覆粒子燃料の再処理方法の別の実施形態について説明する。
【0059】
図5は、本発明の第3の実施形態を示すフローチャートである。この実施形態では、第2の実施形態と同様に、図4に示す、窒化ウランや窒化プルトニウムを主成分とする燃料核14の表面に、窒化チタン(TiN)を主成分とする被覆層15を有する被覆粒子燃料が再処理される。
【0060】
第3の実施形態は、被覆粒子燃料22を粉砕する粉砕工程23と、粉砕された被覆粒子燃料を陽極部で溶融塩電解し、被覆層を分解・除去する被覆層除去電解工程24と、被覆層が分解・除去された粉砕済み燃料を陽極部で溶融塩電解し、燃料核の溶解と溶融塩に溶解されたウランの析出・回収を同時に行う燃料溶解・ウラン回収同時電解工程25と、この燃料溶解・ウラン回収同時電解工程25後に溶融塩中に残留するアクチニド元素を、溶融塩電解により陰極に析出させて回収するアクチニド回収電解工程26を有している。なお、図中符号27は、燃料溶解・ウラン回収同時電解工程25で陰極に析出・回収されたウランを示し、28はアクチニド回収電解工程26で陰極に析出・回収されたウラン、プルトニウム等のアクチニド元素を示している。
【0061】
被覆粒子燃料22は、まず粉砕工程23において、ロータリディスク粉砕法などにより粉砕され、燃料核14が剥き出しの状態となる。
【0062】
次いで、被覆層除去電解工程24において、粉砕された被覆粒子燃料が溶融塩電解される。この工程では、図2に示す溶融塩電解装置を使用し、LiCl・KClを主成分とする約600℃の溶融塩7中に、粉砕された被覆粒子燃料を装荷した陽極バスケット12を配置し、陽極電位を調整して電解を行うことにより、被覆層15を構成するTiNのみを酸化・分解することができる。
【0063】
すなわち、TiNは、酸化・分解反応の電解電位が燃料核14を構成する核燃料物質に比べて低く、かつ電気伝導度も高いため、陽極電位をTiNの電解電位に調整して電解を行った場合、被覆層15(TiN)の粉砕物と燃料核14とが混在する陽極部で、TiNのみが酸化により分解される。なお、このとき、陽極および陽極バスケットは熱分解黒鉛製とし、陰極は鉄製電極とする。
【0064】
次いで、燃料溶解・ウラン回収同時電解工程25において、被覆層除去電解工程24と同じ電解装置内で、陽極電位を、燃料核14を構成するウランなどの窒化物が酸化・分解する電位に調整して、溶融塩電解を行う。こうして、被覆層が分解・除去された後の残った燃料核が、溶融塩中に溶解し、同時に、溶融塩中に溶解したウランが、陰極表面に析出し回収される。
【0065】
なお、被覆層除去電解工程24において、陽極電位を、被覆層であるTiNの電解電位より高いばかりでなく燃料核の電解電位よりも高い電位に調整して電解を行った場合には、電気伝導度が高いTiNから先に酸化・分解されるが、TiNの分解が終了した後引き続いて燃料核が酸化・分解される。したがって、そのままの条件(陽極電位)で溶融塩電解を続けることで、燃料溶解・ウラン回収同時電解工程25を行うことができる。
【0066】
次いで、アクチニド回収電解工程26において、燃料溶解・ウラン回収同時電解工程25で使用された電解装置の陰極9のみをCd電極に変えた装置を用いて溶融塩電解を行うことにより、燃料溶解・ウラン回収同時電解工程25後の溶融塩中に残留するウラン、プルトニウム、アメリシウム、キュウリウムなどのアクチニド元素が、Cd陰極に析出され回収される。
【0067】
このように構成される第3の実施形態によれば、被覆粒子燃料の被覆層を、複雑な多くの工程を要することなく簡便に除去することができるうえに、被覆層の分解・除去から全ての核燃料物質の回収に至るまでの工程を、1台の電解装置内で行うことができる。したがって、従来に比べて、再処理に要する機器および装置数が低減され、施設の建設費を大幅に削減することが可能になる。また、核燃料物質の処理装置間の移送をほとんど必要としないため、施設の運転費を大幅に削減することができるとともに、移送時間が短縮されるため、処理速度の向上が可能となる。
【0068】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、高温ガス冷却原子炉などに用いられる被覆粒子燃料からウランやプルトニウムなどの核燃料物質を回収するにあたり、2回のばい焼処理、粉砕処理、酸浸出、固液分離などの多くの複雑な工程を行うことなく、簡便に被覆層を除去することができるうえに、被覆層を除去した後の核燃料物質を、異なる機器に移送することなく同一の機器により再処理することが可能である。したがって、再処理施設の建設費および運転費の大幅な低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る被覆粒子燃料の再処理方法の第1の実施形態を示すフローチャート。
【図2】本発明の第1の実施形態において、被覆層除去・ウラン回収同時電解工程に使用する溶融塩電解装置の概略を示す図。
【図3】本発明の被覆粒子燃料の再処理方法の第2の実施形態を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2の実施形態において再処理される被覆粒子燃料の構造を示す断面図。
【図5】本発明の被覆粒子燃料の再処理方法の第3の実施形態を示すフローチャート。
【図6】高温ガス冷却原子炉などに使用される被覆粒子燃料の構造の一例を示す断面図。
【図7】被覆粒子燃料から燃料核を回収する従来からの再処理方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
1,16,22………被覆粒子燃料、2,23………粉砕工程、3………被覆層除去・ウラン回収同時電解工程、4,19,26………・アクチニド回収電解工程、7………溶融塩、8………陽極、9………陰極、12………陽極バスケット、13………析出ウラン、14………燃料核、15………被覆層、17,24………被覆層除去電解工程、18,25………燃料溶解・ウラン回収同時電解工程
Claims (3)
- 核燃料物質からなる燃料核と該燃料核の表面に形成された非核燃料物質からなる被覆層を有する被覆粒子燃料の再処理方法において、
前記被覆粒子燃料を粉砕する粉砕工程と、
前記粉砕工程で粉砕された前記被覆粒子燃料を陽極部に配置して溶融塩電解を行い、前記被覆層の分解・除去と、前記燃料核を構成する核燃料物質の溶融塩への溶解、および前記溶融塩に溶解されたウランの陰極への析出・回収を同時に行う被覆層除去・ウラン回収同時電解工程と、
前記被覆層除去・ウラン回収同時電解工程後の前記溶融塩中に残留するアクチニド元素を、溶融塩電解により陰極に析出させて回収するアクチニド回収電解工程とを備えることを特徴とする被覆粒子燃料の再処理方法。 - 核燃料物質からなる燃料核と該燃料核の表面に形成された非核燃料物質からなる被覆層を有する被覆粒子燃料の再処理方法において、
前記被覆粒子燃料を陽極部に配置して溶融塩電解を行い、前記被覆層の分解・除去を行う被覆層除去電解工程と、
前記被覆層除去電解工程で前記被覆層が分解・除去された前記被覆粒子燃料の燃料核を陽極部に配置して溶融塩電解を行い、前記燃料核を構成する核燃料物質の溶融塩への溶解と、前記溶融塩に溶解されたウランの陰極への析出・回収を同時に行う燃料溶解・ウラン回収同時電解工程と、
前記燃料溶解・ウラン回収同時電解工程後の前記溶融塩中に残留するアクチニド元素を、溶融塩電解により陰極に析出させて回収するアクチニド回収電解工程とを備えることを特徴とする被覆粒子燃料の再処理方法。 - 核燃料物質からなる燃料核と該燃料核の表面に形成された非核燃料物質からなる被覆層を有する被覆粒子燃料の再処理方法において、
前記被覆粒子燃料を粉砕する粉砕工程と、
前記粉砕工程で粉砕された前記被覆粒子燃料を陽極部に配置して溶融塩電解を行い、前記被覆層の分解・除去を行う被覆層除去電解工程と、
前記被覆層除去電解工程で前記被覆層が分解・除去された粉砕済み燃料を陽極部に配置して溶融塩電解を行い、前記燃料核を構成する核燃料物質の溶融塩への溶解と、前記溶融塩に溶解されたウランの陰極への析出・回収を同時に行う燃料溶解・ウラン回収同時電解工程と、
前記燃料溶解・ウラン回収同時電解工程後の前記溶融塩中に残留するアクチニド元素を、溶融塩電解により陰極に析出させて回収するアクチニド回収電解工程とを備えることを特徴とする被覆粒子燃料の再処理方法。
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