JP3929359B2 - 車両用可動パネルの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サンルーフなどに設けられる車両用可動パネルの開閉制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
チルト動作およびスライド動作が可能なサンルーフパネルを備えるサンルーフ装置にあっては、サンルーフパネルに直結されたスライダを、電動モータに連結されたギヤードケーブルで前後に押し引き駆動することにより、上昇/下降および開放/閉鎖の各運動をサンルーフパネルに与えている(特開2000−283256号公報参照)。
【0003】
一方、サンルーフパネルとスライダとの間は、リンク機構やカム機構などで連動連結されており、ガイドレール上でスライダを直線的に往復移動させる中で、スライダを一杯前進させるとサンルーフパネルがその後縁を上昇させたチルトアップ状態となり、スライダを後退させる途中位置でサンルーフパネルがルーフと同一面になる閉鎖状態となり、スライダを一杯後退させると、サンルーフパネルがチルトダウンした上で固定ルーフの下方に引き込まれた開放状態となるようにされている。
【0004】
さて、上記形式のサンルーフ装置におけるサンルーフパネルの位置制御は、ギヤードケーブルを駆動するモータの回転軸にパルス信号発生手段を設け、このパルス信号を所定のタイミングに従ってカウントし、ギヤードケーブルに一体結合されたスライダの位置をこのカウント値に基づいて推定し、カウント値が予め設定された所定値に達するとモータを停止させるように制御することが一般的である(特開2001−30763号公報)。これによると、機械的なストッパやリミットスイッチを要さないので、構造の簡略化が可能である上、サンルーフパネルの上昇限度位置や開放限度位置で打音を生ずることもないといった利点が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上記公報に開示された如き従来の構成によると、パルス信号発生手段はモータに組み込まれており、モータ軸の組み付け精度やモータが組み込まれた駆動装置の車体に対する組み付け精度がサンルーフパネルの位置制御精度に直接影響するので、製造工程の簡略化が困難である上、パルスカウントのミスが生じた際に簡単に対処し得ないという欠点がある。
【0006】
そこでギヤードケーブルの絶対位置の検出手段として、ギヤードケーブルに取り付けられた永久磁石片と、回転駆動機と実質的に一体をなす部材に取り付けられたホール素子とからなるものを用いることが考えられるが、ギヤードケーブルに永久磁石片を固定すると、磁束の漏れにより、信号の安定性が損なわれることが考えられる。
本発明は、このような従来技術の問題点を解消すべく案出されたものであり、その主な目的は、製造工程を繁雑化せずに済み、しかもパルスカウントのミスが生じた際にも簡単に対処し得るように構成され、且つ信号の安定性を高めることができる車両用可動パネルの制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を果たすために、本発明の請求項1は、回転駆動機(減速機付きモータ23)に連結されたギヤードケーブル(11)で開閉駆動される可動パネル(サンルーフパネル3)と、回転駆動機の回転に基づくパルス信号(P1・P2)を発生するパルス信号発生手段(ホール素子26a・26b)と、パルス信号をカウントする計数手段を含み、該計数手段の出力に応じて回転駆動機の停止制御を行う電気回路(ECU)と、ギヤードケーブルの軸線上の特定部位が所定の位置にあるときに信号(P3)を発するケーブル位置検出手段とを有し、該検出手段のケーブル位置信号発信点を、当該可動パネルの開閉位置検出の基準点とする車両用可動パネルの制御装置において、前記ケーブル位置検出手段が、前記ギヤードケーブルに取り付けられた永久磁石片(28)と、前記回転駆動機と実質的に一体をなす部材に取り付けられたホール素子(29)とからなり、前記永久磁石片が、非磁性材(キャップ27)を介して前記ギヤードケーブルに固定されるものとした。
【0009】
このように、ケーブル位置検出手段を、ギヤードケーブルに取り付けられた永久磁石片(28)と、回転駆動機と実質的に一体をなす部材に取り付けられたホール素子(29)とからなるものとすることにより、回転駆動機あるいは電気回路に近接した位置にホール素子を配設し得るので、配線の余分な引き回しを要さずに済む。
【0010】
特に永久磁石片を、非磁性材(キャップ27)を介してギヤードケーブルに固定されるものとすることにより、磁束の漏れがなくなるので、信号の安定性が高まる。
【0011】
また請求項2においては、ギヤードケーブルの保持チューブ(25)を、非磁性材で形成するものとした。これにより、保持チューブ内に挿通されたギヤードケーブル上の永久磁石片を検出するためのホール素子を保持チューブに密接させる必要がなくなるので、ホール素子の配置の自由度が高まる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明が適用されるサンルーフ装置の概略構成を示す平面図である。図1において、車体の固定ルーフ1に設けられた開口2には、サンルーフパネル3が開閉自在に設けられている。そして固定ルーフ1の車室内側には、サンルーフフレーム4が固定されており、このサンルーフフレーム4には、固定ルーフ1の開口2に対応する室内側開口5と、室内側開口5の両側縁に沿って車体前後方向に延在する左右一対のサイドレール6とが設けられている。
【0015】
サンルーフパネル3の両側部下面には、フロントステー8及びリヤステー9が固定されている。そしてこれらフロントステー8及びリヤステー9は、サイドレール6に一体形成されたガイド溝10に対し、両ステー8・9に一体的に設けられたスライダ(図示せず)をもって摺合している。
【0016】
このサンルーフパネル3は、左右のリヤステー9に連結された一対のギヤードケーブル11を、サンルーフフレーム4の後端中央部に配設された減速機付きモータを用いた駆動装置12で押し引き駆動することにより、開閉動作が与えられるようになっている。
【0017】
一対のギヤードケーブル11は、図2及び図3に示すように、可撓性に富むスチールワイヤからなる芯線21の周囲にコイルスプリング状のピアノ線22を巻回してなり、減速機付きモータ23の出力軸に固定されたピニオン24の径方向両側に噛合している。これにより、ピニオン24を回転させると、ラック/ピニオンの要領で一対のギヤードケーブル11がピニオン24を挟んで互いに逆方向へ進退移動するようになっている。また両ギヤードケーブル11は、非磁性材で形成された保持チューブ25内に挿通されており、この保持チューブ25によってその軸線が保持されている。
【0018】
駆動装置12には、例えば減速機付きモータ23の回転軸に固着された永久磁石と、モータのケーシング等に装着されたホール素子26a・26bとからなる公知のパルス発信器が組み込まれており、位相が互いに所定角度(例えば90度)ずれた2つの矩形波P1・P2を減速機付きモータ23の回転に同期して発生するようになっている。これらのパルス発信器からの2系統の矩形波P1・P2の位相差により、駆動装置12のピニオン24の回転方向、即ちサンルーフパネル3の開閉方向を見分けることができるようになっている。
【0019】
2系統の矩形波P1・P2出力は、電気回路ECUに組み込まれた分周回路で処理されてピニオン24の回転角度に比例したパルス波を発生するようにされており、これを電気回路ECU内の計数回路でカウントすることにより、ピニオン24に噛合したギヤードケーブル11に実質直結されたサンルーフパネル3の開度が現在どうなっているのかを、常時把握し得るようになっている。
【0020】
一方のギヤードケーブル11の端末には、例えば合成樹脂材などの非磁性材で形成されたキャップ27を介して永久磁石片28が固定されている。そして駆動装置12のハウジングの適所には、この永久磁石片28が通過した際の磁束変化を捉えて電気信号を発するホール素子29が取り付けられている。
【0021】
このサンルーフパネル3を操作するスイッチユニット30には、例えば、それぞれ一段目を押すと寸動、つまり押している間だけモータが作動し、2段目まで押すと原則として移動限度一杯までモータが作動するようにされた開/閉操作用シーソー式スイッチと、上昇/下降操作用シーソー式スイッチとが組み込まれている。なお、この操作に関わる装置構成は、公知技術をそのまま適用可能である。
【0022】
減速機付きモータ23は、スイッチ操作によって起動し、上記のカウントパルスが予め決められた値になると停止するように電気回路ECUにて制御される。このサンルーフパネル3の停止制御を行うためのカウントパルスの設定は、例えば、出荷時に機械的な上昇限度位置でカウントゼロと設定し、その位置からギヤードケーブル11の引き込みを開始し、例えば2パルス目の位置で常用時の上昇限度位置となり、同様に65パルス目(2p+63p)で全閉位置となり、430パルス目(65p+365p)で全開位置となり、機械的な開放限度位置では433パルス(430p+3p)を数えたとすると、これを初期設定値として電気回路ECU内の不揮発性メモリ(ROM)に書き込んでおく。
【0023】
この設定が済んだ後は、回転方向に応じてパルス数を加算(インクリメント)或いは減算(デクリメント)し、上記の設定で決められたパルス数をカウントした位置で減速機付きモータ23を停止させることにより、リンク機構やカム機構或いは減速機付きモータ23にも過負荷を加えずに、また打音を生ずることなく、サンルーフパネル3を停止させることができる。
【0024】
ところで、何らかの理由でパルスのカウントミスを生ずると、それはサンルーフパネル3の停止位置の誤差に繋がる。従って、このようなミスを簡単に訂正できるようにしてあることが好ましい。そこで本発明においては、ギヤードケーブル11の一端に永久磁石片28を装着し、駆動装置12のケーシングにホール素子29を設け、これにより、基準パルスP3を発生させるものとした。
【0025】
即ち、基準パルスP3が立ち上がる(或いは立ち下がる)タイミングに、正規の全閉位置からの位置検出パルスが幾つ(例えば9個)立ち上がるかを学習して記憶しておけば、よしんば開閉動作のパルスのカウントミスが生じたとしても、基準パルスP3が発した時点に位置検出パルスのパルスカウント数を規定値(この場合は9個)に対応させて訂正すれば、常に正しいカウントを行うことができることとなる。この訂正動作は、例えばギヤードケーブル11の端末(永久磁石片28)がホール素子29を通過する都度実行するようにしても良いし、或いは定期点検時などに別途サービスマンモードに入って特別な操作を加えてから行うようにしても良い。
【0026】
【発明の効果】
このような本発明の請求項1の構成によれば、製造工程を簡略化すると共にパルスカウントのミスが生じた際の対処を容易化し得るように構成された車両用可動パネルの制御装置において、ギヤードケーブルの絶対位置の検出手段としてギヤードケーブルに非磁性材を介して固定される永久磁石片と、回転駆動機と実質的に一体をなす部材に取り付けられたホール素子とからなるものとしたので、永久磁石片からの磁束漏れをなくし、信号の安定性を向上する上に大きな効果が得られる。
【0027】
特に、ギヤードケーブルの保持チューブを、非磁性材で形成するものとすれば(請求項2)、保持チューブ内に挿通されたギヤードケーブル上の永久磁石片を検出するためのホール素子を保持チューブに密接させる必要がなくなるので、ホール素子の配置自由度の向上に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるサンルーフ装置の概略構成を示す要部平面図
【図2】本発明によるサンルーフパネル制御装置の作動説明図
【図3】本発明によるギヤードケーブルの端末位置検出手段の構造図
【符号の説明】
3 サンルーフパネル
11 ギヤードケーブル
23 減速機付きモータ
25 保持チューブ
26a・26b ホール素子
27 キャップ
28 永久磁石片
29 ホール素子
ECU 電気回路
Claims (2)
- 回転駆動機に連結されたギヤードケーブルで開閉駆動される可動パネルと、前記回転駆動機の回転に基づくパルス信号を発生するパルス信号発生手段と、前記パルス信号をカウントする計数手段を含み、該計数手段の出力に応じて前記回転駆動機の停止制御を行う電気回路と、前記ギヤードケーブルの軸線上の特定部位が所定の位置にあるときに信号を発するケーブル位置検出手段とを有し、該検出手段のケーブル位置信号発信点を、当該可動パネルの開閉位置検出の基準点とする車両用可動パネルの制御装置であって、
前記ケーブル位置検出手段が、前記ギヤードケーブルに取り付けられた永久磁石片と、前記回転駆動機と実質的に一体をなす部材に取り付けられたホール素子とからなり、
前記永久磁石片が、非磁性材を介して前記ギヤードケーブルに固定されることを特徴とする車両用可動パネルの制御装置。 - 前記ギヤードケーブルの保持チューブが、非磁性材で形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用可動パネルの制御装置。
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