JP3928439B2 - 合成繊維の製造方法および糸条トラバース装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成繊維の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、複数のゴデットローラー群を用いて、未延伸糸を延伸・熱処理して延伸糸を製造することからなる合成繊維、特に産業用繊維を製造する方法において、ゴデットローラー表面に付着物が堆積するのを抑制することにより、糸切れや毛羽の発生などの不具合を解消して、合成繊維の延伸・熱処理を長期間安定に維持することができると共に、ゴデットローラー上の付着物を除去するための停機を少なくして稼働率を向上させることができ、かつゴデットローラー表面の摩耗を軽減して、生産効率を改善した合成繊維の製造方法およびこの製造方法に直接用いる糸条トラバース装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミドやポリエステルなどに代表される合成繊維、なかでも産業用合成繊維の製造においては、一般に複数のゴデットローラー群を用いて、未延伸糸を高倍率かつ高張力下で熱延伸を行うことにより、高強力合成繊維の取得を達成する必要がある。
【0003】
このため、複数のゴデットローラーの間には、通常、延伸補助装置、すなわちゴデットローラー上での単糸切れを防止するためのエアーガイドやドローポイントを固定するための熱処理筒、および延伸補助のための熱板、熱処理筒などが設置されている。
【0004】
そして、この未延伸糸の延伸・熱処理工程においては、走行糸条から脱落する異物が経時的にゴデットローラーの表面に付着、堆積することに起因して、延伸状態が異常になるという現象を生じ、この現象によって得られる繊維の品質・品位や生産効率に重大な影響を及ぼすことが問題となっていた。
【0005】
ここでいう延伸状態の異常現象としては、ゴデットローラーの表面に付着、堆積した異物に起因して表面摩擦力が高くなり、走行糸条がゴデットローラーに巻き付いてしまったり、糸条単糸が切断して毛羽となったり、ひいては糸条自身が切断してしまうことなどが挙げられる。
【0006】
また、特にポリマ融点近傍の高温に設定されたゴデットローラー上に付着、堆積した異物が、ゴデットローラーと糸条との間の熱伝導を妨げ、その結果糸条の熱処理が十分に行われなくなり、得られる延伸糸の収縮率が経時的に変化するといった好ましくない現象も認められる。
【0007】
そして、高温に設定されたゴデットローラーの表面汚れは、比較的短時間で発生して上記延伸状態の異常を生ずるため、定期的あるいは異常状態を検知するごとに、糸条を強制的に切断し、延伸装置を停機してゴデットローラー上の付着物を除去することが頻々に行われており、これによる生産効率の低下と製品の品位低下の問題が大きくクローズアップされていた。
【0008】
ここで、上記ゴデットローラー上の付着堆積物としては、主に糸条に付与した油剤が延伸熱処理ローラ上で熱酸化劣化することにより生じた固着物、糸条から析出したオリゴマ類およびそれらの熱酸化劣化物、水に含まれるシリカなどが考えられる。
【0009】
このような付着堆積物による延伸異常の回避、除去方法としては、次のような従来技術が挙げられる。
【0010】
すなわち、特開平9−78364号公報および特開平8−187469号公報には、ゴデットローラーの表面にスクレーパー刃や回転ブラシを接触させることにより付着堆積物を清掃する装置が、それぞれ提案されている。しかし、産業用繊維の製造においては、ゴデットローラーとして高温加熱ローラが使用される場合が多いため、上記のようなスクレーパー刃や回転ブラシによっては、付着堆積物を容易に除去することができない。さらには、太繊度の糸条を高張力延伸するため、糸条の切断後に生ずるローラ巻き付き糸によって、ゴデットローラーに近接して取り付けられたスクレーパー刃や回転ブラシなどの装置の破損が頻発してしまうという問題もあった。
【0011】
また、特開平8−170215号公報には、走行糸条をゴデットローラー上で往復運動(トラバース)させる方法および装置が提案されている。
【0012】
しかし、産業用繊維の製造に関しては、通常、複数のゴデットローラーの間に延伸補助装置、すなわちローラ上での単糸切れを防止するためのエアーガイドや、ドローポイントを固定するための熱処理筒、延伸補助のための熱板、熱処理筒などが設置されているため、上記特開平8−170215号公報に記載の方法および装置により走行糸条のトラバースを行うに際しては、これらの延伸補助装置と走行糸条との間にズレを生じ、これら延伸補助装置との擦過によって走行糸条の切断を起こしてしまうという問題があった。
【0013】
このように、ゴデットローラーの汚れを防止もしくは抑制し、合成繊維、特に産業用繊維の製造における生産効率や品質および品位を向上させることについての要求は従来より強くあるものの、ゴデットローラーの汚れを十分に防止、抑制するという効果を発揮する方法についてはこれまで知られておらず、その実現がしきりに望まれているのが実情である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点に鑑み、複数のゴデットローラー群を用いてなる合成繊維の製造方法において、該ゴデットローラー表面に付着物が堆積するのを抑制することができ、かつ、糸切れや毛羽の発生などの不具合を解消して、もって長期間安定に稼働させ、さらに、該ゴデットローラー表面の摩耗を軽減して生産効率をも改善せしめ得た合成繊維の製造方法およびこの製造方法に直接用いられる糸条トラバース装置を提供せんとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の合成繊維の製造方法は、溶融紡糸した合成繊維糸条を複数のゴデットローラーを用いて延伸・熱処理し、引き続いて巻き取る合成繊維の製造方法であって、紡糸直後のゴデットローラーに糸条を旋回させる前および旋回させた後、もしくは旋回させる前または旋回させた後に糸条を通過させる糸条集束ガイドと、前記複数のゴデットローラーの間に配置した一つまたは複数の糸条交絡装置とを同期させて、糸条をゴデットローラーの回転軸方向に往復運動させることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の合成繊維の製造方法においては、次の(イ)〜(ホ)がそれぞれ好ましい態様であり、これらの条件を採用することによって、さらに優れた効果を奏することが期待される。
【0017】
(イ)延伸が少なくとも2段以上の多段延伸であること、
(ロ)糸条が少なくとも2糸条以上の多糸条であること、
(ハ)往復運動の往復幅Y(mm)が次式(1)を満足すること、
XF≦Y≦2(XP−XF)・・・・(1)
ここで、式中のXFは糸幅(mm)、XPは隣接する糸条との糸ピッチ(mm)を示す。
【0018】
(ニ)糸条の往復運動周期が5秒以上であること、および
(ホ)ゴデットローラー表面温度が200℃以上、巻取速度が3000m/分
以上であること。
【0019】
また、上記合成繊維の製造方法に直接用いられる本発明の糸条トラバース装置は、紡糸直後のゴデットローラーに糸条を旋回させる前および旋回させた後、もしくは旋回させる前または旋回させた後に糸条を通過させる糸条集束ガイドと、複数のゴデットローラーの間に配置した糸条交絡装置と、これら糸条集束ガイドおよび糸条交絡装置を同期させゴデットローラーの回転方向に往復運動させる手段とからなることを特徴とするものである。
【0020】
そして、本発明の糸条トラバース装置においては、次の(ヘ)〜(カ)がそれぞれ好ましい態様であり、これらの条件を適用することによって、さらに優れた効果の取得を期待することができる。
【0021】
(ヘ)糸条集束ガイドおよび糸条交絡装置とを同期させる手段が、駆動モーターと、この駆動モーターにゴデットローラーの回転軸方向に取り付けられたシャフトと、このシャフトに取り付けられ、糸条集束ガイドと糸条交絡装置の両者にそれぞれ連結された回転運動を往復運動に変換する手段とからなり、かかる手段により前記糸条集束ガイドと糸条交絡装置とが各々前記ゴデットローラーの回転軸方向に往復動するように構成されていること、 (ト)糸条集束ガイドおよび糸条交絡装置とを同期させる手段が、少なくとも二つの駆動モーターと、これら各駆動モーターにそれぞれゴデットローラーの回転軸方向に取り付けられたシャフトと、これら各シャフトに取り付けられ、糸条集束ガイドと糸条交絡装置の各々にそれぞれ連結された回転運動を往復運動に変換する手段とからなり、かかる手段により前記糸条集束ガイドと糸条交絡装置とが各々前記各ゴデットローラーの回転軸方向に往復動するように構成されていること。
【0022】
(チ)前記(ト)における糸条集束ガイドと糸条交絡装置とを同期移動させる手段が、前記各駆動モーターに取り付けられたシャフトが所定位置に回転したことを検出する少なくとも二つの位相検出手段を有し、一方の位相検出手段により所定位置が検出されたときにはこの位相検出手段が備えられたシャフトの回転を停止し、他方の位相検出手段により所定位置が検出されたときには前記停止したシャフトを回転させるように構成されていること、
(リ)前記糸条集束ガイドおよび糸条交絡装置とを同期させる手段が、駆動モーターと、この駆動モーターにゴデットローラーの回転軸方向に取り付けられたシャフトと、このシャフトに取り付けられ糸条集束ガイドと糸条交絡装置の両者にそれぞれ連結された回転運動を往復運動に変換する手段とからなる一方の装置と、駆動モーターと、この駆動モーターにゴデットローラーの回転軸方向に取り付けられたシャフトと、このシャフトに取り付けられ糸条交絡装置に連結された回転運動を往復運動に変換する手段とからなる他方の装置とを組み合わせる手段とからなり、かかる手段により前記糸条集束ガイドと各糸条交絡装置とが各々前記ゴデットローラーの回転軸方向に往復動するように構成されていること、
(ヌ)前記(リ)における前記糸条集束ガイドと複数の糸条交絡装置とを同期移動させる手段が、前記各駆動モーターに取り付けられたシャフトが所定位置に回転したことを検出する少なくとも二つの位相検出手段を有し、一方の位相検出手段により所定位置が検出されたときにはこの位相検出手段が備えられたシャフトの回転を停止し、他方の位相検出手段により所定位置が検出されたときには前記停止したシャフトを回転させるように構成されていること、
(ル)前記(リ)および(ヌ)において、複数の糸条交絡装置を同期させて移動させること、
(ヲ)シャフトと駆動モーターとの間に減速機が設けられていること、
(ワ)糸条集束ガイドおよび糸条交絡装置の往復運動の周期が5秒以上であること、および
(カ)糸条集束ガイドと糸条交絡装置が複数の糸条用であること。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の合成繊維の製造方法および糸条トラバース装置の詳細について説明する。
【0024】
本発明の製造方法に供する合成繊維としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンおよびアラミドなどからなる糸条が挙げられるが、紡出された糸条をゴデットローラーを用いて延伸・熱処理することが可能な素材であれば、特に限定されない。
【0025】
また、本発明で使用されるゴデットローラーの形態としては、通常、糸条を捲回して用いるネルソンローラおよび糸条を片掛けする単一ローラなどが挙げられ、好ましくは最低3セクション以上のゴデットローラーを使用する。すなわち、本発明の好ましい合成繊維の製造方法においては、延伸は2段以上の多段延伸とするものである。一般に、産業用繊維は高強度が必要とされるが、2段延伸以上の多段延伸処理にすることによって、高強度の合成繊維を得ることができる。
【0026】
また、本発明で使用される糸条は2糸条以上の多糸条であることが好ましい。
【0027】
本発明の合成繊維の製造方法においては、紡糸直後のゴデットローラーの前方または後方もしくは両方に配置した収束ガイド、即ち具体的には紡糸直後のゴデットローラーに糸条を旋回させる前および旋回させた後、もしくは旋回させる前または旋回させた後に糸条を通過させる糸条集束ガイドと、複数のゴデットローラーの間に配置した一つもしくは複数の延伸補助装置(糸条交絡装置と同義である。以下同じ。)とを同期させることにより、糸条をゴデットローラーの回転軸方向に往復運動させることが重要な要件である。
【0028】
ここで、糸条集束ガイドとは、合成繊維を紡糸・延伸する際において走行糸条をまとめる役割を果たすガイドであり、好ましくは紡糸糸条をまとめるために用いるガイドであるが、延伸糸の糸道を規定するガイドであってもよい。
【0029】
また、延伸補助装置とは、ローラ上での単糸切れを防止するための糸条交絡装置、ドローポイント固定のための熱処理筒、延伸補助のための熱板、熱処理筒などの延伸を補助しスムーズに行う装置の総称である。
【0030】
さらに、本発明において、同期とは、糸条集束ガイドと延伸補助装置とが往復運動をする際に一定の関係を有することを意味し、好ましくは、糸条集束ガイドと延伸補助装置の両者が往復運動する際に一定の位相差を有していることを意味する。
【0031】
さらにまた、本発明において、ゴデットローラーの回転軸方向とは、運動のベクトルの1成分がゴデットローラーの回転軸と平行である場合を意味する。
【0032】
本発明においては、紡糸直後のゴデットローラー、つまり第1ゴデットローラーの前に取り付けた糸条集束ガイドを往復動(トラバース)させ、これに同期させて延伸補助装置の一つ又は複数個をトラバースさせることが重要である。これは、糸条集束ガイドのみをトラバースさせたときには、延伸補助装置と走行糸条の間にズレが生じることに起因して、糸条の擦過による単糸切れや糸条が切断してしまうためである。このことをふまえると、本発明においては、延伸補助装置として糸条交絡装置を使用する場合により好ましい効果が得られる。つまり、糸条交絡装置はエアー吹き出し交点に糸条を位置させる必要があり、走行糸条のズレに敏感であるからである。
【0033】
ここで、各ゴデットローラー間に糸条が捲回されていくにしたがい、糸ピッチが徐々に狭くなっていく工程である場合には、糸条集束ガイドのトラバースにおいて、この糸条集束ガイドのトラバース幅と延伸補助装置の取り付け位置での走行糸条のトラバース幅に差が生じる。このため、延伸補助装置のトラバース幅はその取り付け位置における走行糸条のトラバース幅に合わせる必要がある。
【0034】
なお、糸条集束ガイドと延伸補助装置とを往復動させる方法としては、モータの回転運動をカムによって往復運動に変える方法、モータの回転運動をボールねじによって往復運動に変える方法、シリンダの直線運動を繰り返し行なって往復運動にする方法、およびステッピングモータにギヤを介して往復運動にする方法などが挙げられる。
【0035】
また、糸条集束ガイドと延伸補助装置とを同期させる方法としては、2つ以上のモータやシリンダなどを用いる場合に、センサを用いてモータの回転軸やシリンダの位置および糸条の位置を検出し同期をとる方法などが挙げられるが、同期のしやすさや装置の簡略化などの観点から、1つのモータやシリンダなどの出力を1本の軸によって取り出し、それをカムやギヤを介して糸条集束ガイドと延伸補助装置とを同期させる方法が好ましい。
【0036】
それによって糸条をゴデットローラーの回転軸方向に往復運動させることができる。
【0037】
なお、本発明においては、糸条が少なくとも2糸条以上の多糸条である場合に、目的とする効果をより顕著に発現することができる。なぜならば、多糸条で製糸する場合には、ゴデットローラー上に付着物が堆積して製糸性に及ぼす影響が一層大きいからである。
【0038】
このように2糸条以上の多糸条の場合には、糸条集束ガイドをそれぞれの糸条ごとに、つまり糸条の個数取りつけ、全糸条が同時にトラバースするように設計することが好ましい。
【0039】
次に、糸条の往復運動の往復幅Y(mm)は、次式(1)を満足することが好ましい。
【0040】
XF≦Y≦2(XP−XF)・・・・(1)
ここで、式中のXFは糸幅(mm)、XPは隣接する糸条との糸ピッチ(mm)を示す。
【0041】
これは、糸条が元々走行している位置を外れるところまで、すなわち糸幅XFから隣接する糸が元々走行していた位置に到達するところまでの間を示しており、このようにすることによって、付着堆積物の効果的な抑制を行うことができるばかりか、ゴデットローラー表面の摩耗抑制効果も大きくなる。
【0042】
さらに、ゴデットローラー上での走行糸条のダメージ軽減およびトラバース装置の故障率の減少という点から、糸条集束ガイドの往復運動周期は、5秒以上が好ましく、30秒以上がさらに好ましい。
【0043】
また、本発明の合成繊維の製造方法においては、ゴデットローラー表面の付着堆積物の汚れがひどくなる条件、つまりローラ表面温度が200℃以上で、かつ巻取速度が3000m/分以上の条件で実施する場合に、汚れ拡散による製糸性改善効果をより効果的に発揮することができる。
【0044】
次いで、本発明の糸条トラバース装置について、図面にしたがって説明する。
【0045】
図1は本発明の糸条トラバース装置が取り付けられた紡糸・延伸装置の概略を示す正面図、図2は同じく側面図、図3は本発明の糸条トラバース装置の第1実施例を示す概略図、図4は同じく第2実施例を示す概略図、図5は同じく第3実施例を示す概略図、図6は図4および図5に示した実施例における位相検出装置の制御手段の概略図である。
【0046】
本発明の糸条トラバース装置は、上記合成繊維の製造方法に直接用いられるものであり、紡糸直後のゴデットローラーに糸条を旋回させる前および旋回させた後、もしくは旋回させる前または旋回させた後に糸条を通過させる糸条集束ガイドを往復動(トラバース)させ、これに同期させて延伸補助装置の一つまたは複数をトラバースさせるものである。
【0047】
つまり、本発明の糸条トラバース装置は合成繊維糸条の紡糸・延伸時にゴデットローラー表面への付着物の堆積を抑制する装置であって、紡糸直後のゴデットローラーに糸条を旋回させる前および旋回させた後、もしくは旋回させる前または旋回させた後に糸条を通過させる糸条集束ガイドと、複数のゴデットローラーの間に配置した延伸補助装置とを同期させながら、ゴデットローラーの回転軸方向に往復動させる手段からなることを特徴とする。
【0048】
図1および図2に示したように、複数の合成繊維糸条(23)は、それぞれ紡糸ダクト(1)から紡出され、オイリングローラー(2)により油剤を給油された後、取り付け板(3)に取り付けられた糸条集束ガイド(6)を経て、第1ゴデットローラー(18)と第2ゴデットローラー(19)との間プレストレッチされ、第2ゴデットローラー(19)と第3ゴデットローラー(20)との間で一段目延伸され、さらに第3ゴデットローラー(20)と第4ゴデットローラー(21)の間で二段目延伸され、またさらに第4ゴデットローラー(21)と第5ゴデットローラー(22)の間でリラックスされてワインダー(W/D)へと巻き取られるが、第2ゴデットローラ(19)と第3ゴデットローラ(20)との間には延伸補助装置(5)、本実施例では糸条交絡装置が配置されている。ただし、本発明における糸条集束ガイドと延伸補助装置はこの位置に限定されるものではない。
【0049】
そして、図2に示したように、糸条集束ガイド(6)と延伸補助装置(5)とを同期させて平行に移動させる手段、つまり駆動モーター(4)と、この駆動モーター(4)にゴデットローラーの回転軸方向に取り付けられたシャフト(8)と、このシャフト(8)に取り付けられ糸条集束ガイド(6)と延伸補助装置(5)の両者にそれぞれ連結された二つのカム(7)とからなる手段が設けられており、かかる手段により、糸条集束ガイド(6)と延伸補助装置(5)とを正確に同期させて移動させることができ、これによって糸条(23)はゴデットローラーの回転軸方向に往復運動をする。
【0050】
図3は本発明の糸条トラバース装置の第1実施例を示すものであり、この装置においては、駆動モーター(4)にシャフト(8)が取り付けられている。駆動モーター(4)とシャフトは直接接していてもよいが、その間に図示したように減速機(9)を介した場合には、所望の回転速度が得られることから好ましく、走行糸条にダメージを与えることがないために、十分遅い速度で移動させることができる。
【0051】
ゴデットローラーの回転軸方向に取り付けられたシャフト(8)には、二つのカム(7a,7b)が取り付けられており、延伸補助装置取付板(10)に取り付けられた延伸補助装置(5)および糸条集束ガイド取付板(3)に取り付けられた糸条集束ガイド(6)は、それぞれの取付板(10,3)に備えられた摺動ころ(13a,13b)を介して各カム(7a,7b)と接している。
【0052】
また、延伸補助装置取付板(10)は、静止しているスライドレール(11)に取り付けられ、シャフト(8)の回転軸方向にスライドするようになっている。
【0053】
さらに、糸条集束ガイド取り付け板(3)は、同様に静止しているスライド軸受(12)にスライド軸(14)を用いて取り付けられており、シャフト(8)の回転軸方向にスライドするようになっている。
【0054】
したがって、上記の構造により、駆動モーター(4)によって回転させられる二つのカム(7a,7b)の溝に沿って糸条集束ガイド取付板(3)および延伸補助装置取付板(10)に備えられた摺動ころ(13a,13b)が動くことにより、シャフト(8)の回転軸方向へ糸条集束ガイド取付板(3)がスライド軸受け(12)とスライド軸(14)によりスライドし、延伸補助装置取付板(10)がスライドレール(11)をスライドすることにより、糸条集束ガイド(6)と延伸補助装置(5)は、それぞれゴデットローラーの回転軸方向に同期して往復動することになる。
【0055】
図4は本発明の糸条トラバース装置の第2実施例を示すものであり、この装置においては、糸条集束ガイド(6)と延伸補助装置(5)とを、それぞれ別々の駆動モータ(4a)および(4b)に取り付けられた別々のシャフト(8a,8b)に、それぞれ別々のカム(7a,7b)を介して取り付けることにより往復動させ、さらに各々のカム(7a,7b)が所定位置に回転したことを検出する位相検出手段をそれぞれ取り付け、図6に示した制御盤(17)により一方の位相検出手段により所定位置が検出されたときにはこの位相検出手段が備えられたシャフトの回転を停止し、他方の位相検出手段により所定位置が検出されたときには停止したシャフトを回転させ同期をとる構造としている。
【0056】
すなわち、この第2実施例においては、糸条集束ガイド(6)と延伸補助装置(5)は、別々の駆動モーター(4a,4b)によって駆動させられる以外は、上記第1実施例の手段と同様の構造により往復動する。
【0057】
また、第2実施例における位相検出手段としては以下のようなものが挙げられる。すなわち、各々のカム(7a,7b)には、近接センサの被検出部(16a)および被検出部(16b)がそれぞれ取り付けられており、減速機(9a,9b)などの駆動モータ(4a,4b)によって回転させられない部分に、近接センサ(15a)および近接センサ(15b)がそれぞれ設けられている。これら近接センサ(15a,15b)を取り付ける位置は、駆動モーター(4a,4b)によって回転させられない場所であれば何処でもよく、例えば減速機(9a,9b)のほかにも、軸受け部分などに設けてもよく、他にも延伸機本体などに設けてもよい。
【0058】
各々のカム(7a,7b)が回転し、被検出部(16a)と近接センサ(15a)もしくは被検出部(16b)と近接センサ(15b)が対向した場合には、近接センサ(15a, 15b)から出力された信号が被検出部(16a, 16b)で反射され、近接センサ(15a, 15b)によって検出される。
【0059】
そして、近接センサが対向した被検出部を検出した場合には、制御盤(17)に検出信号を入力する。制御盤(17)は、図6に示したように、近接センサ(15a)および近接センサ(15b)と、駆動モータ(4a)および駆動モータ(4b)とに接続されており、例えば、一方の近接センサ(15a)により検出信号が入力されたときには、この近接センサ(15a)が備えられた駆動モータ(4a)の回転を停止し、他方の近接センサ(15b)により検出信号が入力されたときには、停止した駆動モータ(4a)を回転させるように構成されている。
【0060】
ここで、本発明に用いる近接センサとしては光電型の近接センサが好ましいが、所望の目的を達成するもので有れば静電容量型や磁気型などであってもよい。
【0061】
この第2実施例によれば、糸条集束ガイド(6)と延伸補助装置(5)は正確に同期して往復動をする。延伸補助装置が複数ある場合には、最初に検出信号を入力した近接センサが取り付けられた駆動モーターから順次回転を停止し、一往復中で最後の検出信号が入力された場合に停止したすべての駆動モータを制御盤により駆動させればよい。
【0062】
そして、この第2実施例の態様は、糸条集束ガイドと延伸補助装置とを一つのシャフトで駆動させることが困難な場合に有効である。
【0063】
さらに、図5に示した第3実施例は、糸条集束ガイドと多数の延伸補助装置とを同期させて往復動させる手段として、上記第1実施例と第2実施例の二つの手段を組み合わせたものである。
【0064】
すなわち、図5に示した第3実施例においては、糸条集束ガイド(6)と延伸補助装置(5a)とを駆動モーター(4a)により駆動させ、第1実施例と同様にシャフト(8a)を用いて同期して往復動させると共に、これに位相検出手段を取り付け、さらに別の延伸補助装置(5b)を駆動モーター(4b)により駆動させると共に、同様にこれに位相検出手段を取り付け、これらの2つの部分を制御盤(17)により同期させることにより構成されている。
【0065】
ようするに、一方の装置(A)は上記第実施例とほぼ同様の構成からなり、また他方の装置(B)は上記第2実施例の延伸補助装置(5)側の部分とほぼ同様の構成からなっており、本発明実施例ではこれらの装置(A)と(B)とを組み合わせて使用している。
【0066】
そして、この第3実施例における位相検出手段は以下のように構成されている。被検出部(16a,16b)は、一方の装置(A)側の延伸補助装置(5a)を駆動させるカム(7a)および他方の装置(B)側の延伸補助装置(5b)を駆動させるカム(7b)にそれぞれ取り付けられている。また、近接センサ(15a,15b)は、一方の装置(A)側の減速機(9a)および他方の装置(B)側の減速機(9b)にそれぞれ取り付けられている。
【0067】
両方の装置におけるカム(7a,7b)がそれぞれ回転し、近接センサ(15a)と被検出部(16a)もしくは近接センサ(15b)と被検出部(16b)とがそれぞれ対向した場合には、検出信号が出力される。近接センサ(15a,15b)はこれらの検出信号を制御板(17)へ送信する。制御盤(17)に近接センサ(15a)もしくは近接センサ(15b)から検出信号が入力された場合には、制御盤(17)は上述のように2つの駆動モータ(4a、4b)を制御する。この構造により、一方の装置(A)側の糸条集束ガイド(6)と延伸補助装置(5a)および他方の装置(B)側の延伸補助装置(5b)とは同期して往復動をする。
【0068】
また、他方の装置(B)部分が取り付けられる位置は、図2に示したゴデットローラー間で糸条付近であり、所望の目的を達成することができればどこの位置であってもよい。
【0069】
この第3実施例の態様によれば、第2実施例に示したような位相検出手段のみにより同期をとる手段に比して、コストを低減することができ、さらに正確に同期をとることができる。
【0070】
また、本発明の糸条トラバース装置の往復運動の周期は、走行糸条のダメージ軽減およびトラバース装置の故障率減少という点から、5秒以上にすることが好ましく、30秒以上であることがさらに好ましい。
【0071】
さらに、シャフト(8)の回転運動を往復運動に変換させるためには、上記カム(7)に代えて、ボールネジやギヤなどを用いてもよく、上記所望の目的を達成できる手段ならばこれらに限られるものではないが、コストや利用のしやすさの点からはカムの使用が好ましい。また、カムの形状を変更することにより、糸条集束ガイドおよび延伸補助装置のトラバース幅を所望の幅に変更することができ、両者と接する各々のカムの溝をシャフトに対してずらして取り付けることにより、糸条集束ガイドと延伸補助装置とを一定の位相差を有して同期させて往復動させることができる。
【0072】
そして、カムの形状を、糸条の往復運動の往復幅Y(mm)が上記の式(1)を満足するように設定することにより、付着堆積物の効果的な抑制を行うことができるばかりか、ゴデットローラー表面の摩耗抑制効果も大きくなる。
【0073】
本発明の糸条集束ガイド(6)および延伸補助装置(5)は、糸条数を限定するものではなく、好ましくは多糸条用のものである。多糸条とした場合には、ゴデットローラーの汚れが顕著に現れるため、目的とする効果をより顕著に発現することができる。
【0074】
本発明は、延伸補助装置として糸条交絡装置を使用する場合により好ましい効果が得られる。つまり、糸条交絡装置はエアー吹き出し交点に糸条を位置させる必要があり、走行糸条のズレに敏感であるためである。
【0075】
また、糸条集束ガイドと延伸補助装置とを往復運動させる手段としては、上記駆動モーター(4)、シャフト(8)およびカム(7)を用いる手段に代えて、流体シリンダーなどを用いてもよいが、装置の補修やコストの点からは上記の方法が好ましい。
【0076】
以上説明したように、本発明の合成繊維の製造方法および糸条トラバース装置によれば、ゴデットローラー上に付着物が堆積するのを防止することにより、ゴデットローラーを長時間初期の状態に維持させることができるばかりか、付着物除去のための停機を少なくして稼働率および生産効率を高めることが可能であり、しかも糸切れや毛羽の発生などの不具合を解消して品質・品位のすぐれた合成繊維を製造することが可能である。
【0077】
なかでも特に、産業用高強力繊維を、高速の直接紡糸延伸法で製造する場合に、ゴデットローラー上に付着物が堆積するのを抑制することができてより効果的である。
【0078】
【実施例】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0079】
なお、以下の実施例における各特性の評価は次の方法にしたがって行った。
[ローラ汚れ]
24時間ごとに目視によりローラ上の糸道の状態を観察し、○が汚れが軽微、△が汚れ有り、×が汚れ多く糸揺れ大と判定した。
[単糸切れ]
単糸切れ検知装置により、24時間ごとに単糸切れ個数をカウントし、1千万m当たりの単糸切れ個数を表した。
[糸切れ]
1日当たりの糸切れ回数を表した。
【0080】
[実施例1]
固有粘度(IV)が1.19のポリエチレンテレフタレートチップをエクストルーダ型溶融紡糸装置に供給して紡糸した。紡糸温度は300℃とし、15μmの空隙を有する金属フィルターを通して濾過し、孔数72個の口金を通して紡糸した。
【0081】
紡糸糸条を口金面から350mmの間の300℃の高温雰囲気下を通過させた後、約20℃の冷風を吹きつけて冷却固化させた。その後、オイリングローラで油剤を付与し、第1ゴデットローラで引き取り、得られた未延伸糸を一旦巻き取ることなく第1ゴデットローラと第2ゴデットローラとの間で1.06倍のプレストレッチを行い、次いで第2ゴデットローラと第3ゴデットローラとの間で3.70倍に延伸し、第3ゴデットローラと第4ゴデットローラとの間で1.40倍に延伸し、第4ゴデットローラと第5ゴデットローラとの間で1.0%のリラックスを行って、3300m/分の速度でワインダーで巻取ることにより、延伸糸を得た。
【0082】
各ゴデットローラー温度は、第1ゴデットローラが70℃、第2ゴデットローラが100℃、第3ゴデットローラが120℃、第4ゴデットローが240℃、第5ゴデットローラが無加熱とした。また、各ゴデットローラーへの糸条の捲回数は、第1ゴデットローラが3回、第2ゴデットローラが3回、第3ゴデットローラが4回、第4ゴデットローラが7回、第5ゴデットローラが5回とした。
【0083】
第5ゴデットローラ捲回中の糸条に対し、単糸切れ検知装置を設置し、その個数をカウントし、また、糸切れ回数も併せて評価した。
【0084】
上記の延伸・熱処理工程において、図1および図2に示したように、第1ゴデットローラ(18)の前方に設けた糸条集束ガイド(6)と、第2ゴデットローラ(19)と第3ゴデットローラ(20)との間に設けた延伸補助装置(5)とを同期して往復運動させ、糸条(23)をゴデットローラー上でこのゴデットローラーの回転軸方向にトラバースさせた。
【0085】
ここで、糸幅XFは5.0mm、隣接する糸条との糸ピッチXPは15.0mmであり、2(XP−XF)の値は20mmであった。
【0086】
糸条集束ガイドおよび延伸補助装置を同期させて往復動させる機構としては、図3に示した構造の糸条トラバース装置を用いた。なお、本実施例においては延伸補助装置としてエアガイドを用いた。
【0087】
この場合には、駆動モーターと減速機を用いてシャフトの回転数を2rpmとすることにより往復運動周期を30秒に、また、引取りローラ上のトラバース幅を16mmに、それぞれ設定した。これらの条件およびローラ汚れ、単糸切れ、糸切れの評価結果を表1に併せて示した。
【0088】
実施例1においては、糸条をゴデットローラー上でトラバースさせることに
より、ゴデットローラー表面の状態が4日目までは汚れが少ない状態を維持することができ、単糸切れや糸切れが著しく少ないという効果が認められた。
【0089】
[実施例2]
実施例1において、糸条トラバース装置として、図4に示した構造を有するものを用いた。糸条集束ガイドと延伸補助装置の位置、カムの形状、シャフトの回転数は実施例1と同様のものとした。これらの条件およびローラ汚れ、単糸切れ、糸切れの評価結果を表1に併せて示した。
【0090】
[実施例3]
実施例1において、糸条トラバース装置として、図5に示した構造を有するものを用いた。装置(A)側の部分は実施例1と同様の位置とし、装置(B)側のの延伸補助装置(5)の位置は、図1の第3ゴデットローラーと第4ゴデットローラーの間の位置とした。カムの形状、シャフトの回転数は実施例1と同様のものとした。これらの条件およびローラ汚れ、単糸切れ、糸切れの評価結果を表1に併せて示した。
【0091】
この結果、表1に示したように実施例1と同等の好結果が認められた。
【0092】
[実施例4〜6]
トラバース幅を8.0mmにした以外は、全て実施例1〜3と同様の条件で実施した。これらの条件およびローラ汚れ、単糸切れ、糸切れの評価結果を表1に併せて示した。
【0093】
この結果、表1に示したように実施例1〜3と同等の好結果が認められた。
【0094】
[比較例1]
実施例1と同様の条件でポリエチレンテレフタレートの溶融紡糸を行なうに際し、糸条集束ガイドと延伸エアガイドを往復動させずに、糸条を各ゴデットローラーに捲回してワインダーにて巻き取り、ローラ汚れ、単糸切れ、糸切れを評価した結果を表1に併せて示した。
【0095】
この結果、糸条をゴデットローラー上でトラバースさせない場合は、ローラ表面の状態が2日目までは汚れが軽微な状態を維持することができたが、単糸切れが3日目に急激に増加し、以降巻取りが出来ない状態となって、糸切れも著しく悪い傾向であった。
【0096】
[比較例2]
実施例1と同様の条件でポリエチレンテレフタレートの溶融紡糸を行なうに際し、糸条集束ガイドと延伸エアガイドを同期させずに往復動させ、糸条を各ゴデットローラーに捲回してワインダーに巻き取り、ローラ汚れ、単糸切れ、糸切れを評価した結果を表1に併せて示した。
【0097】
このように、糸条集束ガイドと延伸エアガイドを同期させずに往復動させた場合には、糸条はゴデットローラー上でトラバースをするものの、延伸エアガイドと走行糸条との間にズレが生じ、糸条の擦過による単糸切れや糸切れが発生し、巻取りができない悪い状態となった。
【0098】
【表1】
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、ゴデットローラー上に付着物が堆積するのを抑制することにより、ゴデットローラーを長時間初期の状態に維持させることができることから、付着物除去のための停機を少なくして稼働率および生産効率を高めることが可能であり、しかも糸切れや単糸切れの発生などの不具合を解消して、品質・品位のすぐれた合成繊維を製造することが可能となる。
【0100】
したがって、本発明は、合成繊維、特に産業用繊維の直接紡糸延伸に用いられる延伸熱処理ローラ表面の汚れ抑制において、顕著な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この図は、本発明の糸条トラバース装置が取り付けられた紡糸・延伸装置の概略を示す正面図である。
【図2】この図は、図1の側面図である。
【図3】この図は、本発明の糸条トラバース装置の一例を示す概略図である。
【図4】この図は、本発明の糸条トラバース装置の他の一例を示す概略図である。
【図5】この図は、本発明の糸条トラバース装置の、さらに他の一例を示す概略図である。
【図6】この図は、図4および図5に示した糸条トラバース装置における位相検出装置の制御手段の概略図である。
【符号の説明】
1 紡糸ダクト
2 オイリングローラー
3 糸条集束ガイド取付板
4,4a,4b 駆動モータ
5,5a,5b 延伸補助装置
6 糸条集束ガイド
7,7a,7b カム
8,8a,8b シャフト
9,9a,9b 減速機、
10 延伸補助装置取付板
11 スライドレール
12 スライド軸受
13,13a,13b摺動ころ
14 スライド軸
15,15a,15b近接センサ
16,16a,16b被検出部
17 制御板
18 第1ゴデットローラー
19 第2ゴデットローラー
20 第3ゴデットローラー
21 第4ゴデットローラー
22 第5ゴデットローラー
23 糸条
Claims (16)
- 溶融紡糸した合成繊維糸条を複数のゴデットローラーを用いて延伸・熱処理し、引き続いて巻き取る合成繊維の製造方法であって、紡糸直後のゴデットローラーに糸条を旋回させる前および旋回させた後、もしくは旋回させる前または旋回させた後に糸条を通過させる糸条集束ガイドと、前記複数のゴデットローラーの間に配置した一つまたは複数の糸条交絡装置とを同期させて、糸条をゴデットローラーの回転軸方向に往復運動させることを特徴とする合成繊維の製造方法。
- 前記延伸が、少なくとも2段以上の多段延伸であることを特徴とする請求項1に記載の合成繊維の製造方法。
- 前記糸条が、少なくとも2糸条以上の多糸条であることを特徴とする請求項1または2に記載の合成繊維の製造方法。
- 前記往復運動における往復幅Y(mm)が、次式(1)を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成繊維の製造方法。
XF≦Y≦2(XP−XF)・・・・(1)
式中;XFは糸幅(mm)、XPは隣接する糸条との糸ピッチ(mm)を示す。 - 前記往復運動の周期が、5秒以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の合成繊維の製造方法。
- 前記ゴデットローラーの表面温度が200℃以上、巻取速度が3000m/分以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の合成繊維の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の合成繊維の製造方法に使用する装置であって、紡糸直後のゴデットローラーに糸条を旋回させる前および旋回させた後、もしくは旋回させる前または旋回させた後に糸条を通過させる糸条集束ガイドと、複数のゴデットローラーの間に配置した糸条交絡装置と、これら糸条集束ガイドおよび糸条交絡装置を同期させゴデットローラーの回転方向に往復運動させる手段とからなることを特徴とする糸条トラバース装置。
- 前記糸条集束ガイドおよび糸条交絡装置とを同期させる手段が、駆動モーターと、この駆動モーターにゴデットローラーの回転軸方向に取り付けられたシャフトと、このシャフトに取り付けられ、糸条集束ガイドと糸条交絡装置の両者にそれぞれ連結された回転運動を往復運動に変換する手段とからなり、かかる手段により前記糸条集束ガイドと糸条交絡装置とが、各々前記ゴデットローラーの回転軸方向に往復動するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の糸条トラバース装置。
- 前記糸条集束ガイドおよび糸条交絡装置を同期させる手段が、少なくとも二つの駆動モーターと、これら各駆動モーターにそれぞれゴデットローラーの回転軸方向に取り付けられたシャフトと、これら各シャフトに取り付けられ糸条集束ガイドと糸条交絡装置の各々にそれぞれ連結された回転運動を往復運動に変換する手段とからなり、かかる手段により前記糸条集束ガイドと糸条交絡装置とが各々前記各ゴデットローラーの回転軸方向に往復動するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の糸条トラバース装置。
- 前記糸条集束ガイドと糸条交絡装置を同期させる手段が、前記各駆動モーターに取り付けられたシャフトが所定位置に回転したことを検出する少なくとも二つの位相検出手段を有し、一方の位相検出手段により所定位置が検出されたときにはこの位相検出手段が備えられたシャフトの回転を停止し、他方の位相検出手段により所定位置が検出されたときには前記停止したシャフトを回転させるように構成されていることを特徴とする請求項9に記載の糸条トラバース装置。
- 前記糸条集束ガイドおよび糸条交絡装置を同期させる手段が、駆動モーターと、この駆動モーターにゴデットローラーの回転軸方向に取り付けられたシャフトと、このシャフトに取り付けられ糸条集束ガイドと糸条交絡装置の両者にそれぞれ連結された回転運動を往復運動に変換する手段とからなる一方の装置と、駆動モーターと、この駆動モーターにゴデットローラーの回転軸方向に取り付けられたシャフトと、このシャフトに取り付けられ糸条交絡装置に連結された回転運動を往復運動に変換する手段とからなる他方の装置とを組み合わせた手段とからなり、かかる手段により前記糸条集束ガイドと各糸条交絡装置とが、各々前記ゴデットローラーの回転軸方向に往復動するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の糸条トラバース装置。
- 前記糸条集束ガイドと複数の糸条交絡装置を同期移動させる手段が、前記各駆動モーターに取り付けられたシャフトが所定位置に回転したことを検出する少なくとも二つの位相検出手段を有し、一方の位相検出手段により所定位置が検出されたときには、この位相検出手段が備えられたシャフトの回転を停止し、他方の位相検出手段により所定位置が検出されたときには、前記停止したシャフトを回転させるように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の糸条トラバース装置。
- 前記複数の糸条交絡装置を同期させて移動させることを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載の糸条トラバース装置。
- 前記シャフトと駆動モーターとの間に減速機が設けられていることを特徴とする請求項7〜13のいずれか1項に記載の糸条トラバース装置。
- 前記糸条集束ガイドおよび糸条交絡装置の往復運動の周期が5秒以上であることを特徴とする請求項7〜14のいずれか1項に記載の糸条トラバース装置。
- 前記糸条集束ガイドと糸条交絡装置が、複数の糸条用であることを特徴とする請求項7〜15のいずれか1項に記載の糸条トラバース装置。
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