以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は第1の実施の形態を備えた内視鏡装置の概略の構成を示し、図2は第1の実施の形態の内視鏡における硬度調整ユニット各部の構成を示し、図3は内視鏡の操作部付近の構造を示し、図4(A)及び(B)は図1のA−A線断面と図3のB−B線断面を示し、図5(A)及び(B)はカム体の具体例を示し、図6はC形リングの形状を示し、図7(A)ないし(C)は本実施の形態の作用の説明図を示し、図8は硬度調整ユニットを交換する手順を模式的に示す。
図1に示すように、内視鏡装置1は、撮像手段を内蔵した第1の実施の形態の電子内視鏡2(以下、単に内視鏡と略記)と、この内視鏡2に照明光を供給する光源装置3と、内視鏡2から出力される撮像信号を信号処理する信号処理装置4と、この信号処理装置4から出力される映像信号を画面上に表示するカラーモニタ5とから構成されている。
内視鏡2は、細長の挿入部6と、この挿入部6の後端側に連設された太幅の操作部7と、この操作部7の側部から延設されたユニバーサルケーブル8とを備え、ユニバーサルケーブル8の端部にはコネクタ9が設けられており、このコネクタ9は光源装置3に着脱自在で接続することができる。
挿入部6は、先端側から硬性の先端部11と、この先端部11の後端に形成され、湾曲自在の湾曲部12と、この湾曲部12の後端に形成され、長尺で可撓性を有する軟性部13とからなり、この軟性部13の後端は操作部7の前端に連結されている。この軟性部13の後端外周にはテーパ形状にして折れ止め機能を有する折れ止め部材10が設けてある。
挿入部6、操作部7、ユニバーサルケーブル8内には可撓性を有し、照明光を伝送する機能を有するファイバ束からなるライトガイド14が挿通され、コネクタ9に突出するように固定されたライトガイドコネクタ部15を光源装置3に接続することにより、光源装置3内のランプ16の照明光がレンズ17で集光されてライトガイドコネクタ部15の端面に供給される。
このライトガイド14で伝送された照明光は先端部11の照明窓に固定された先端面から前方に出射され、患部等の被写体を照明する。照明された被写体は照明窓に隣接して先端部11に設けられた観察窓に取り付けた対物レンズ18によりその結像位置に光学像を結ぶ。この結像位置には光電変換する機能を備えた撮像素子として電荷結合素子(CCDと略記)19が配置され、光学像を電気信号に変換する。
このCCD19は信号ケーブル21の一端と接続され、この信号ケーブル21は挿入部6内等を挿通されてその後端はコネクタ9の電気コネクタ22に接続され、この電気コネクタ22に接続される外部ケーブル23を介して信号処理装置4に接続される。この信号処理装置4内のドライブ回路24で発生したCCDドライブ信号がCCD19に印加されることにより、光電変換された撮像信号が読み出され、信号処理装置4内の信号処理回路25に入力され、標準的な映像信号に変換する処理を行う。この標準的な映像信号はカラーモニタ5に入力され、内視鏡画像表示領域5aにCCD19に結像された像をカラー表示する。
先端部11に隣接して設けられた湾曲部12はリング形状の多数の湾曲駒26が、隣接する湾曲駒26と上下、左右に対応する位置でリベット等で互いに回動自在に連結して構成され、最先端の湾曲駒26或いは先端部11に固着された湾曲ワイヤ27の後端は操作部7内のスプロケット28に連結され、このスプロケット28の軸には湾曲操作を行う湾曲操作ノブ29が取り付けられている(図1では簡単化のため、上下、或いは左右方向のみの湾曲機構の概略を示す)。
そして、この湾曲操作ノブ29を回動する操作を行うことにより、上下方向或いは左右方向に沿って配置した1対の湾曲ワイヤ27の一方を牽引、他方を弛緩させて牽引した湾曲ワイヤ27側に湾曲部12を湾曲させることができるようにしている。
操作部7には、湾曲操作ノブ29が設けられた位置より前方側に把持部56が設けられ、術者は把持部56を把持した片方の手(の把持に使用しない親指等の指)で湾曲操作ノブ29の操作等を行うことができるようにしている。
次に、上記挿入部6における軟性部13の硬度(可撓性)を調整する硬度調整手段(或いは可撓性調整手段)を説明する。
後述するように本実施の形態では少なくともコイル32及びワイヤ33をユニット化すると共に、このユニット化した先端側と後端側とを内視鏡2に取り付け及び取り外し可能、換言するとユニット化して内視鏡2(の軟性部13の前端と後端付近)に対して着脱可能な構造にしている。
軟性部13の外皮(外套)を形成する軟性管31の中には細長部材からなる硬度(可撓性)調整材が挿通されている。この硬度調整材としてはパイプ状に密巻き状態の金属製のコイル32と、このコイル32内に挿通された可撓性のワイヤ33とからなり、金属製のコイル32の先端と可撓性のワイヤ33の先端は後述する如く(図2参照)、接続部材84等を介して接続管38の内壁に固定されている。
接続管38等に取着したコイル32の先端付近の部位に可撓性ワイヤ33の先端部分を取着固定するようにしてもよく、可撓性ワイヤ33の先端を接続管38等に取着し、この取着部分より少し後方となる途中位置の可撓性ワイヤ33の部分にコイル32の先端をろう付け等で固定してもよく、それらの取着固定形式は問わない。このコイル32、ワイヤ33からなる硬度調整手段の先端側を接続管38に取着していることで、コイル32、ワイヤ33が他の内蔵物にからんで他の内蔵物を損傷するのを防いでいる。
なお、この接続管38を湾曲部12を形成する最後端の湾曲駒26から外すことによってワイヤ33の先端側を接続管38から取り外すことができるようにしている。
図3で示す如く、操作部7には上記硬度調整材の硬度を調整する操作を行う調整操作手段が設けられている。この調整操作手段は例えば折止め部材10に隣接する操作部7の前端部位に硬度調整操作(或いは可撓性調整操作)を行う円筒形状の硬度調整ノブ34を設けてあり、この硬度調整ノブ34を回動することにより後述する調整機構を稼働して軟性部13内に配置された上記硬度調整手段(或いは硬度可変手段)における硬度調整手段のコイル32とワイヤ33の状態を可変設定する操作を行うようになっている。硬度調整ノブ34の外周には指掛け溝36(図4(B)参照)が形成されている。
上記調整機構の具体的な構造を説明する。コイル32の手元側端部は操作部7の前端部内に配置されたコイルストッパ40の部材に固定的に取着されている。つまり、コイルストッパ40に形成された孔41内にコイル32の手元側端を嵌め込み、孔41内の前端段部穴42の端面に突き当たった状態で、その前記段部穴42内に、半田等のろうや接着剤などを流し込んで固着されている。
このようにコイルストッパ40の部材にコイル32の後端を取着した結果、コイル32の後端はその固着位置より後方側への移動と回転が規制(阻止)される。また、コイル32は挿入部6の軸まわりに回転しない状態で取り付けられている。
一方、コイル32内に挿通されたワイヤ33はコイルストッパ40の孔41を貫通して後方へ突き出して延出されており、コイル32に対して前後へ移動自在である。
上記コイルストッパ40は、軟性管31の後端を操作部7に固定する後端口金43に対してビス44で固定されている。従って、ビス44を外すことにより、後端口金43からコイルストッパ40を外すことが出来る。
この後端口金43はその外周に配置した円筒管45の前端部付近に上記ビス44及び別のビス46で固定されている。
上記ワイヤ33の手元側の端部、つまり後端は牽引部材47に形成した接続孔48に移動自在に差し込まれて、牽引部材47からdの間隔で設けられたストッパ49にろう50付け等により強固に固定されている。
そして、牽引部材47は間隔dが無くなるまで後方側へスライド移動すれば、ワイヤ33及びストッパ49と共に後方向への移動が可能である。図4(B)で示す如く、牽引部材47は一部が欠けた円筒状のリング部材からなる移動リング51の内壁面に接する状態で、ビス52によりその移動リング51に固定されている。従って、ビス52を外すことにより移動リング51から牽引部材47を外すことができる。
移動リング51の外周面は操作部7の円筒管45の内面に適合してほぼ密着するようにして嵌合し、移動リング51の前後方向への移動を許容する構成になっている。
つまり、移動リング51を前後方向への直線的に移動を案内するガイド手段を構成している。そして、上記牽引部材47は移動リング51と共に前記方向へ移動可能である。
円筒管45の外側にはその円筒管45の外周面に被嵌して回転自在に装着されたカム筒体53が設けられている。カム筒体53は硬度調整ノブ34の内面に形成された段部付きの孔54に嵌め込まれ、そのカム筒体53の前端は段部付きの穴54の前端に突き当たり前進移動が規制されている。
また、カム筒体53の後端は上記円筒管45に被嵌されたシール用リング90に当たりその後進移動が規制されている。カム筒体53は複数のC形リング89を介してシール用リング90に支えられている。
C形リング89のC形部分の開口部の幅は、軟性管31の外径より大きいが、円筒管45の外径よりは小さくなっている。このC形リング89の形状を図6に示す。
上記シール用リング90は操作部7の把持部56を形成する筒体57の前端に突き当って係止することにより後退できないように位置決めされている。シール用リング90の前半分は硬度調整ノブ34の後端部内面に嵌め込まれ、シール用リング90の後半分は上記筒体57の前端部内面に入り込んで嵌合している。
シール用リング90の前半分の外周と硬度調整ノブ34の間、及びシール用リング50の後半分の外周と上記筒体57の間にはそれぞれOリング等のシール部材58が介在している。
硬度調整ノブ34の前端は折止め部材10を支持する円環形状の支持部材59の後端に突き当たり、これにより前方への移動が規制されている。この支持部材59は後端口金43にねじ込み被嵌し、ビス60で後端口金43に締結されることにより回転止めがなされて取り付けられている。ビス60の取付け用孔部分は充填材61で封止されている。
上記硬度調整ノブ34はカム筒体53を介して円筒管45の外周面に被嵌しており、また、上述したようにカム筒体53は円筒管45の外周面に摺接し、その円筒管45の周りで回動自在でかつ前後方向への移動が規制された状態で回転操作可能に取り付けられている。
上記カム筒体53の外周には複数の係止用突起部(凸部)62が部分的に形成されている。この突起部62は硬度調整ノブ34の内面に形成された溝(凹部)63に嵌め込まれている。これによってカム筒体53は硬度調整ノブ34とは別体であるが、その突起部62と溝63との係合によって相互が非回転の接続がなされ、カム筒体53は硬度調整ノブ34と一体となって回転させられる。
上記カム筒体53には対向する2箇所に別れて同じ向きとピッチで2つのカム溝64a,64bが螺旋状に設けられている。図5(A)はそのカム筒体53のカム溝64a,64bの形状を示す。
カム溝64a,64bは2条カムであり、各カム溝64a,64bは同じ形であり、カム筒体53の軸に対して、一方を180度回転した位置に他方が重なるような対称となる位置にそれぞれ設けられている。
図5(A)ではカム溝64a,64bが単純な滑らかな溝形状(滑らかな螺旋形状)をしているが、この構造の代わりに図5(B)に示すように、例えば溝64bの途中に凹部64cがあったり、溝64bの端部に凹部64dが設けられている構造にして、これらの位置に後述するピン66a,66bが位置された場合に操作者にクリック感を与えるようにしてある。
また、図3に示すように円筒管45には対向する2箇所に別れて硬度調整ノブ34の回転中心軸方向に沿って長い長孔67a,67bが設けられている。移動リング51には2つのピン68a,68bがねじ止めにより植設されている。そして、各ピン68a,68bは対応する長孔67a,67bとカム溝64a,64bの両者に嵌め込まれている。
上記長孔67a,67bの前後端と中心軸方向長さは上記ワイヤ33の後端を移動させるべき範囲(図3中符号Gで示す領域)をカバーする長さに設定されている。また、カム筒体53に設けるカム溝64a,64bもそれ以上の中心軸方向の長さに設けられている。
上記硬度調整ノブ34を回動操作した場合、硬度調整ノブ34はカム筒体53のカム溝64a,64bによって長孔67a,67bに沿ってピン68a,68bを前方または後方へ移動し、これにより同じく牽引部材47を前方または後方へ移動させる。そして、牽引部材47がストッパ49に当たっていれば、コイル32内に挿通されたワイヤ33を前進または後退させる調整機構を構成している。
硬度調整ノブ34を図5(A)の符号Eで示す方向(図5(A)では左側が挿入部側とした状態で示している。)に回転させると、図5(A)で示すようにピン68aが(カム筒体53に対して)カム溝64aの中を矢印Fで示すように移動する。また、このピン68aは円筒管45の長手方向に形成した長孔67a内に貫通しているので、移動リング51はピン68aと共にこの長孔67aに沿って後方に移動する。つまり、ピン68aは実際には図5(A)で水平方向(右側)に移動する。
この移動により、移動リング51にビスで固定された牽引部材47も後方に移動し、この移動により図3の実線の位置から距離dだけ移動するとストッパ49に突き当たる。
また、牽引部材47及びストッパ49を後退させたときの力がコイル32に圧縮力として印加し、コイル32の硬度を可変調整するようになっている。まず、牽引部材47が後方側へ移動されない状態では、牽引部材47はコイルストッパ40に当たり、後方側への移動が規制されたコイル32は最も可撓性が高い状態、つまり、最も屈曲し易い、硬度が最も低い軟の状態にある(最軟状態)。
また、この状態から牽引部材47が後方へ移動すると、やがてストッパ49に当たり、ワイヤ33の後端も同時に後方に移動する結果、相対的にコイルストッパ40にはコイル32を前方側へ押し付ける圧縮作用が生じる。つまり、ワイヤ33にその後端を後方側へ移動させる力を加えることによりコイル32に圧縮力を与えることになり、この圧縮力により弾性を有するコイル32の可撓性を低い状態、つまり屈曲しにくい硬度(より正確には屈曲に対する硬度)が高い、硬い状態に設定できる。
この場合、牽引部材47の後方側への移動量に応じてコイル32への圧縮力の大きさを変更することができる。つまり、コイル32の可撓性の大きさ(硬度の大きさ)を変更する硬度調整手段を構成する。
一方、図3で示すように、操作部7において把持部56に隣接する前方位置には処置具挿入口71を形成する挿入口枠体72が設けられている。この挿入口枠体72は操作部7の内部において上記処置具挿入口71側と吸引管路74側とに分岐している分岐部材75に接続され、この分岐部材75の前端には挿入部6内に設けられた処置具チャンネルチューブ76の手元端の端部が接続部77により接続されている。
この分岐部材75はビス78により円筒管45に固定されている。この円筒管45はその後端がビス79により操作部7の湾曲操作機構等が取り付けられている枠体80に接続されている。この円筒管45は硬度調整ノブ34が回転されても回転しない構造で取り付けられている。
上記挿入部6内には図4(A)に示すように様々な内蔵物が配置されている。つまり、上下、左右に対応する位置に配置された4本の湾曲操作ワイヤ27、中央付近に配置された2本の信号線21、中央の上部寄りに配置された2本のライトガイド14、下寄りに配置された処置具チャンネルチューブ76、右上に配置されたコイル32及びワイヤ33、左下側に配置された送気を行うための送気チューブ81及び送水するための送水チューブ82などが内蔵されている。
また、操作部7内にも図4(B)に示すような内蔵物が配置されている。操作部7内においての内蔵物の配置は特に分岐部材75付近で図4(A)と少し異なる。
次に本実施の形態の特徴的な構成となる硬度調整ユニット(単にユニットと略記)を図2で説明する。なお、図2(A)はユニットの先端側の着脱可能な取付機構(接続機構)を示し、図2(B)は図2(A)のC−C断面を示し、図2(C)はユニットの先端側を着脱可能な取付機構の変形例を示し、図2(D)は図2(C)のD−D断面を示す。
図2(A)に示すように、ユニット100を形成するコイル32の先端はワイヤ33の途中にろう101等で強固に固定されている。
また、接続部材84の一部が接続パイプ83に嵌め込まれ、ろう101等で強固に固定されている。そして、ワイヤ33の先端部を接続部材84に突き当たるまで接続パイプ83に挿入し、その一部をかしめることで強固に固定している。 かしめ部付近は、固定強度をさらに高めるためにワイヤ33と接続パイプ83の間が接着剤で接着されていてもいい。
上記のことから、接続部材84、接続パイプ83、ワイヤ33、コイル32、コイルストッパ40、牽引部材47、ストッパ49は一つのユニット100となる。
このユニット100の先端である接続部材84は、図2(B)に示すように、接続管38に先端からスライドさせて嵌め込まれ、接続管38の内側に抜けないようにフランジを形成している。接続管38の外側には湾曲駒26の一部が被さり、ビス89で固定されている。このように、湾曲駒26を接続管38に固定することで、接続部材84は接続管38に強固に位置決め接続される。
そして、ビス89を緩めて外すことにより湾曲駒26と接続管38とを分離して接続管38からユニット100の先端側の接続部材84を外すことができるようにしている。
なお、軟性部13を覆う軟性管31は金属管86とその外側の外皮85とで構成されている。また、湾曲部12を形成する湾曲駒26は編管87及びゴム外皮88で覆われている。そして、ゴム外皮88の後端と外皮85とを糸巻き及び接着剤で接続固定している。
なお、ユニット100の先端側を接続管38に強固に位置決め接続する接続手段は図2(C)(D)のようにビス102を用いたものであってもよい。すなわち、接続部材99がビス102によって接続管38に強固に接続されている。
いずれの接続手段も、湾曲駒26を接続管38から外せば、容易に接続管38から接続部材84(または99)を外すことができる。なお、接続部材84の接続部付近には、湾曲ワイヤ27を囲むコイルパイプ103があり、これは、ろう101等で接続管38に強固に固定(外れないように)されている。
硬度調整手段の先端側の接続部も後端側の接続部も、術者が外すことはできないように、完全に内視鏡2の内部に組み込まれている(品質を変えられないようにする為)。
次に本実施の形態の作用を説明する。
図7は、内視鏡2を患者の大腸に挿入している一使用場面を示す。最初は(A)のように、挿入部6(の軟性部13)が軟らかい状態で肛門91から曲がりくねったS状結腸92を苦痛少なく通過する。そのとき、軟性部13も曲がりながらS状結腸92を通過する。
軟性部13内のコイル32、ワイヤ33が曲がるとワイヤ33がコイル32内に引き込まれるが、dの遊びがあることで、コイル32が自然と硬くなることがない。dがなければ、硬度調整ノブ34を操作しなくても、軟性部13を曲げるだけでコイル32が硬くなってしまう。さて、内視鏡先端が下行結腸93から脾湾曲94付近に達する。
ここで、軟性部13を引いて、略直線状にすることで、(B)のように、S状結腸92を折り畳まれて略直線状になる。ここで硬度調整ノブ34を回して軟性部13を硬質化する。すると、(C)のように、S状結腸92が再び撓むこと無く、内視鏡先端が横行結腸95、肝湾曲97、上行結腸96を通過して盲腸98に速やかに到達することができる。
軟性部13を硬質化しないと、S状結腸92や横行結腸95で大きく撓んでしまい、なかなか先端が前進できなくなることがあるが、軟性部13を硬質化することで、S状結腸92や横行結腸95での撓みを極力小さくおさえられ、手元操作が先端に伝わりやすくなり、速やかな大腸深部への挿入が可能になる。
この軟性部13の硬度(可撓性)可変機能を多数の検査で繰り返し使ううちに、コイル32が塑性変形で次第に縮んできたり、ワイヤ33が塑性変形で次第に伸びてきたりして、機能が劣化する(初期ほど硬くならなくなる)ことがある。図3では、最軟状態での間隔dが更に開いている。このとき、以下のように修理できる。
まず、ビス60を後端口金43から外し、支持部材59(及び折れ止めチューブ10)を後端口金43から外す(軟性管31の前方側へずらす)。続いて硬度調整ノブ34も前方へ外す(ずらす)。次にピン68a,68bを移動リング51、カム筒体53から外す。
そしてカム筒体53を円筒管45から外す(軟性部13の前方側にずらす)。ここで、C形リング89のうちの一つか二つも前方にずらして円筒管45から外す。C形リング89は軟性管31上においては横方向に外せる(C形リング89の開口部が軟性管31の外径より大きいので)。
一つか二つのC形リング89を軟性管31から外した後に、カム筒体53を円筒管45上に戻し、ピン68a,68bをカム溝64a,64bに通して移動リング51に再固定する。外しておいたC形リング89を軟性管31の横から軟性管31にはめて、円筒管45上に戻すと、それはカム筒体53の前端部53aに当たる。
順次硬度調整ノブ34、支持部材59(及び折れ止めチューブ10)、ビス60を元に戻すと、硬度調整ノブ34と支持部材59の位置を前と変わらないので、C形リング89がカム筒体53の前端部53aと硬度調整ノブ34の間に入ったことで、カム筒体53は軟状態でC形リング89の幅の分、後方に位置することになる。つまり、コイル32に対してワイヤ33が相対的に伸びて(塑性変形)、軟状態でのコイルストッパ40と牽引部材47の間隔があいた分、C形リング89で埋めるということになる。C形リング89はスペーサの働きをなす。
別の調整方として、例えば、スペーサを牽引部材47とストッパ49の間に直接置くことも考えられる。そうすると、円筒管45も後端口金43から軟性管31の方に外し、円筒管45内の様々な内蔵物をかきわけて作業しなければならない。円筒管45を軟性管31の方に外すということは、円筒管45と枠体80の接続も外し、挿入口枠体72も分岐部材75から外し、分岐部材75も円筒管45から外すことになる。以上のように、作業がかなり煩雑になる。
これに対し本実施例では、内蔵物を囲む後端口金43、円筒管45の外側で、後端口金43、円筒管45内のコイル32とワイヤ33の硬質化時の相対位置関係を補正できるので、作業が比較的簡便で、かつ、他の内蔵物を損傷させてしまう恐れが全くない。
コイル32とワイヤ33の硬質化時の相対位置関係の補正方法は他の方法でもよいが、いずれにしても、後端口金43、円筒管45の外側において補正作業ができるようになっていればよい。
さて、軟性部13が硬い状態で非常に過酷な使い方をした場合、めったに起こらないであろうが、コイル32が座屈したり、ワイヤ33が切れたり、接続部材84と接続管38の接続が壊れたり、接続パイプ83と接続部材84、接続パイプ83とワイヤ33、コイル32とワイヤ33、ワイヤ33とコイルストッパ40、ワイヤ33とろう101のいずれかの固定が外れたりする可能性が考えられる。
また、前述したコイル32、ワイヤ33の塑性変形量が大きくなり、C形リング89による補正で対応しきれなくなる可能性も考えられる。そのため、本実施の形態では、コイル32とワイヤ33のユニット100、より正確には、接続部材84、接続パイプ83、ワイヤ33、コイル32、コイルストッパ40、牽引部材47、ストッパ49のユニット100が、内視鏡2の挿入部6、操作部7から取り外せ、新たなユニット100aを取り付けられるようになっている。図8を用いてその方法を述べる。
図8は、内視鏡2の構造を模式的に示した図であり、各構成要素の実際のサイズ、形態とはだいぶ異なる。なお、簡単化のために構成部材に対する符号は図8(A)のみで示し、図8(B)〜(D)では主要な部材のみに付けてある。
まず、内視鏡2の先端側では、ゴム外皮88の後端を軟性管31から外し、めくり上げる。次に湾曲部12後端を接続管38から外す。挿入部6内の様々な内蔵物をまとめて内蔵物104として示す。内蔵物104は、挿入部6または操作部7内で、ある程度たるんでいる為、先端部11を引っ張れば、接続管38先端と湾曲部12後端との間はある程度の距離なら開くことができる。
一方、操作部7側も、折れ止め部材10を後端口金43から外し、硬度調整ノブ34を前方にずらし、ピン68abを移動リング51から取って、カム筒体53、C形リング89、シール用リング90を順次軟性管31の前方側へずらしていき、挿入口枠体72を分岐部材75から取ったら円筒管45を後端口金43、枠体80から外して前方にずらし、筒体57まで前方にずらす(図8(A)参照)。
ここで、ひも105を接続部材84近傍に仮に取り付ける。また、牽引部材47を移動リング51から外し、コイルストッパ40を後端口金43から外す。牽引部材47、コイルストッパ40はいずれもビスで取り付け、取り外しができるので作業は容易である。
図8(B)に示すように、コイル32、ワイヤ33のユニット100を操作部側の空いた空間(もともと円筒管45があった空間)から外に取り出す。このとき、移動リング51が邪魔であれば、移動リング51はC形なので、内蔵物104から外してもよい。
以上のようにして、接続部材84に取り付けたひも105が軟性管31内に通される。
図8(C)に示すように、操作部7側の空いた空間まで通されたひも105先端に、新しいコイル32a、ワイヤ33aのユニット100aの接続部材84aを仮に取り付ける。
図8(D)に示すように、ひも105を先端側の12と接続管38の間まで引っ張り、接続部材84a〜109aの新しいユニット100aを軟性管31内に挿通する。コイルストッパ40aを後端口金43に、牽引部材47aを移動リング51にビス固定する。接続部材84aからひも105を外し、接続部材84aを接続管38に引っかけたら、湾曲部12を接続管38にかぶせて固定する。以下、分解したときの逆の手順で全部品を組み付けていく。
以上のようにして、コイル32、ワイヤ33のユニット100を新しいものに取り換えるのに、内蔵物104を軟性管31から外す必要がない、仮に、内蔵物104を軟性管31から外すことになると、再び図4(A)のようなレイアウトで内蔵物104を軟性管31に挿通するのは容易な作業ではない。
本実施の形態では、先端部11、湾曲部12、軟性部13、操作部7を完全に切り離すことなく、一部にわずかなスペースを作るだけで、コイル32、ワイヤ33のユニットを交換できる。また、作業スペースも小さくて済み、作業も容易である。
また、軟性管31には接続管38、後端口金43が一体的に取り付いているが、コイル32、ワイヤ33のユニットは接続管38、後端口金43から容易に分離できるので、軟性管31は交換する必要はない。
コイル32、ワイヤ33のユニットの内視鏡2への接続部が軟性管31の端部から離れた軟性管31の中間部位内にあると、取り付け、取り外しができなくなる(また非常にやりずらい)が、本実施の形態のように、コイル32、ワイヤ33のユニット100の内視鏡2への接続部が軟性管31端部近傍にあることで、取り付け、取り外しが容易にできる。
また、コイル32、ワイヤ33の硬度調整手段のユニット100の後端側も、硬度調整ノブ34、カム筒体53といった硬度調整操作部材と分離できるので、硬度調整機能を実現する構成要素のうち、それら硬度調整操作部材は交換する必要がない。以上のことで、修理コストを極力安く抑えられる。
このように本実施の形態によれば、硬度調整手段の交換が必要になった場合には、この硬度調整手段のみの交換を比較的簡単にでき、従来例に比べてその交換作業が簡単かつ短時間で行うことができるし、硬度調整手段の交換のみで済むし、ユーザ側の経済的な負担も小さい等のメリットもある。
なお、これまで述べた硬度調整手段は、コイル32とワイヤ33以外にも、形状記憶合金や流体圧を用いたものなど、他の手段でもよい。
本実施の形態よれば以下の効果を有する。
挿入部6内の硬度調整手段を内視鏡2から取り外し及び取り付けができる構造にしているので、硬度調整手段の機能が低下した場合等には新しい硬度調整手段に比較的簡単に交換できる。従って硬度調整の機能を維持し易い内視鏡2を提供できる。これに対し、従来例では硬度調整手段が軟性管から分離できないので時間及び手間がかかる分解などしなければ達成できない。
また、本実施の形態では、内視鏡2内部に取り付け、取り外し部を設けているので、術者(ユーザ)側には勝手にいじれないようになっており、メーカ側で設定した品質を確保できる。
(第2の実施の形態)
図9に示すように、本実施の形態では、接続管38にパイプ114がろう等で接続管38と一体的に強固に固定されている。そのパイプ114内に、ワイヤ33先端が挿通され、パイプ114に対して、半田や接着剤などの固着手段115で固定されている。
パイプ114の周辺には、図2(B)と同様、湾曲ワイヤ27を囲むコイルパイプ103がろう等で強固に接続管38と一体的に固定されている。固着手段115は、例えばろうよりもかなり低い温度で溶解するものである。あるいは、固着手段115はある溶剤によって溶解するものである。
図9より後方側では図10に示すように、ワイヤ33の先端側にコイル32の先端がろう106で固着され、またワイヤ33の後端は牽引部材47にろう50などで強固に固定されている。但し、本実施の形態ではストッパ49を設けていない。
図10はコイル32、ワイヤ33の自然状態を示すが、その時はコイルストッパ40と牽引部材47の間に「d」の距離がある。これを操作部7内に組むとき、図3のコイルストッパ40と牽引部材47のように、その間隔が殆どなくなるように、ワイヤ33後端をコイル32に内に押し込んだ状態で、それに関連する部材である牽引部材47、移動リング51、カム溝68a,68b、カム筒体53等が組まれている。
つまり、組み込まれた状態で、コイル32は「d」の分、伸ばされて長くなる。コイル32は自然な元の形態では密着型のコイルであるが、図3のように組み立てた時点ではコイル素線同士の間に若干の隙間を有するコイルになっている。 そして、この「d」の距離は図3のGの距離よりも小さい。
挿入部6がストレートの状態では、差「G−d」の値がワイヤ33によりコイル32に圧縮力をかけるためのワイヤ牽引ストローク(硬度調整範囲)となる。 その他は第1の実施の形態と同様の構成である。
次に作用を説明する。
本実施の形態で、コイル32、ワイヤ33のユニット111は、ワイヤ33、コイル32、コイルストッパ40、牽引部材47の4部品のみで構成され、第1の実施の形態の同ユニット100に比べて部品点数が少ないので、初期コストだけでなく、交換するときもより低コストで交換できる。
また、図9に示す固定方法では、パイプ114や周辺のコイルパイプ103がろう101で固定されているのに対し、固着手段115は例えば、ろうより明らかに低い温度で溶ける半田であれば、その温度でパイプ114を加熱することで、パイプ114やコイルパイプ103が接続管38から外れることなく、ワイヤ33をパイプ114から外すことができる。
もちろん、その温度で所定時間内(例えば数秒)の加熱作業では、他の内蔵物を損傷させることないように、他の内蔵物とパイプ114との間に幾分の距離をおいて作業がなされる(いずれも接続管38内ではあるが)。また、軟性管31は螺旋状管や編状管などを重ねた主に金属で構成した金属管86と、その外側に樹脂で構成した外皮85からなるが、上記加熱作業では外皮85が溶けてしまうことがないように、外皮85とパイプ114の距離や、加熱温度、時間が設定されている。
また、固着手段115がある溶剤で溶解する接着剤の場合、その溶剤を固着手段115に塗布しても、パイプ114やコイルストッパ103が接続管38から外れることはないし、他の内蔵物や軟性管31を損傷させることもないように、各要素の材質が選定されている。
図12に示すように、一般に、密着コイル(シース)32にワイヤ(シースに沿って設けたガイド部材或いは芯部材)33を通し、コイル32を曲げると、コイル32とワイヤ33の一端が固定されていた場合、ワイヤ他端はコイル内に引き込まれる。その引き込み量は図12の数式に示すごとくである。
ここで、密着コイル32とは、自然状態で素線同士が接しているものであるが、その接し方は、素線同士の間に密着力(圧縮力)が殆ど掛からない状態のものでもよいし、ある程度の密着力(圧縮力)がすでに掛かっているものでもよい。また、必ずしもコイル(螺旋)状でなくても、複数のリング状やパイプ状の部材が互いに接するように並べられてもよい。
図13は、患者191に対する大腸内視鏡検査を行う時の、術者121が内視鏡2を普通に持った情景を上から見た図である。一般に、術者121は左手で操作部7の把持部56を持ち、右手で挿入部6の軟性部13を持つ。操作部7は、術者121の胸面(または腹面)に対して、その軸がほぼ平行(体の上下、左右の方向であり、前後ではない)になるように把持する。
挿入部6は、逆に、軸が術者121の前後方向になるように持つ。そこで、操作部7側の軸と挿入部6側の軸との間に形成される角度a1は少なくとも90°である(挿入部6が長い機種で、術者121の右手で軟性部13の先端側を持つほど、軟性部13手元側が撓みやすくなるので、角度a1は更に大きくなる)。 このように、術者121が自然に内視鏡2を持っただけでも、挿入部6の手元側には少なくとも90°のループが形成される。前の実施の形態での図3の「d」や、本実施の形態での図10の「d」は、コイル32が少なくとも90°のループ時でもコイル32が自然と硬くならないような距離になっている。
例えば、コイル素線径が0.6mm、ワイヤ径が1.0mmでクリアランスが殆どないと仮定すると、(R−r)は0.8mmで、aを90°とすると、引き込み量Xは約1.3mmとなる。そこで、「d」は1.3mm以上である。そうしないと、術者121が軟性部13を硬くしようと意図していないのに、検査時に通常通り内視鏡2を持っただけで、硬度調整ノブ34を最軟状態の位置にしておいても自然と軟性部13が硬くなってしまう。dが1.3mm以上であれば、術者121が何もしていないのに自然と硬くなるのを防げる。
dの設け方は、図3の牽引部材47とストッパ49の間に設けてもいいし、本実施の形態のようにコイルストッパ40と牽引部材47の間に設けてあって、操作部7の組み付け時にコイル32を強制的にdの分、疎巻き状態にしてもよい。また、最初から自然状態で密着巻きでなく、素線間の隙間の合計がdになるような疎巻きコイルを用いてもよいし、自然状態で密着型のコイル32の一部にdの隙間を形成(コイル32を塑性変形的に引き延ばして形成)したものを用いてもよい。
さて、図11には、内視鏡2を収納等する内視鏡設置器材110に内視鏡2を設置した例を示す。この内視鏡設置器材110は、例えば内視鏡を運搬、保管する為の運搬ケースでもいいし、内視鏡2を洗滌・消毒する為の内視鏡洗浄機や内視鏡消毒器であってもいいし、内視鏡を保管するハンガであってもいい。いずれにしても、内視鏡挿入部を少しでも曲げて設置する器材であれば、いずれも当てはまる。
例えば図11のような内視鏡設置器材110には、内視鏡2の挿入部6を約300°曲げて収容する。もし、コイル32先端が図の部位112まであるような場合は、コイル32も300°曲がることになるので、上述と同じサイズのコイル、ワイヤを使うとすると、xは約4.2mmなので、「d」は4.2mm以上が望ましい。4.2mm未満では、内視鏡を内視鏡設置器材110にセットした時にコイルに圧縮力がかかる。
検査で必要としている時以外にもコイルに負荷をかけることになり、コイルやワイヤの劣化(コイルの塑性変形での縮みや、ワイヤの塑性変形での伸び)を早めてしまう要因になり得る。また、図11でコイル32先端が部位111であれば、コイル32は210°のループなので、xは約2.9mmで、dは2.9mm以上が望ましい。もちろん、コイル、ワイヤのサイズが変われば、望ましいdの値も代わる。
以上のことから、dはコイル32の90°以上のループに対応できる(自然と硬くならない)距離にすべきである。さらに望ましくは、dが、本内視鏡2を挿入部を曲げて(コイル32を曲げて)周辺器材にセットした時に対応できる(自然と硬くならない)距離にする。そうすることで、術者の意図しない時に硬くなるのを防げ、コイル、ワイヤの劣化を早めることはない。
本実施の形態によれば、コイル32、ワイヤ33のユニットを前の実施の形態よりシンプルで低コストにできる効果がある。その他は第1の実施の形態と同様である。
[付記]
(1)軟性部を有し、軟性部の硬度(可撓性)が可変(調整可能)な硬度調整手段を内蔵する内視鏡において、
前記硬度調整手段を内視鏡内部の組み込み部分に対して取り付け、取り外し可能にしたことを特徴とする内視鏡。
(2)上記(1)において、硬度調整手段の先端を軟性部の先端側の一部に、後端を操作部の一部に機械的に接続をした。
(3)上記(1)において、硬度調整手段の挿入部内の部材を操作部側の少なくとも一部の部材と分離可能にした。
(4)上記(1)において、硬度調整手段は、軟性部外套を構成する軟性管と分離可能にした。
(5)上記(4)において、硬度調整手段は、他の内蔵物が軟性管内を通って内視鏡先端部と操作部に接続されたままの状態で、内視鏡から取り付け、取り外し可能にした。
(6)細長の軟性部にこの軟性部の硬度を調整する硬度調整手段を内蔵する内視鏡において、
前記硬度調整手段を前記軟性部に対して着脱可能に設けたことを特徴とする内視鏡。
(7)上記(6)において、前記硬度調整手段は、前記軟性部を挿通するワイヤと、このワイヤの外側に設けられるコイルと、前記ワイヤの先端を前記軟性部の先端部に着脱可能に固定し前記ワイヤの基端を前記軟性部の基端側で連結する操作部に着脱可能に固定する固定手段とを具備することを特徴とする。
(8)軟性部を有し、軟性部の硬度(可撓性)が可変(調整可能)な硬度調整手段を内蔵する内視鏡において、
前記硬度調整手段をユニット化し、前記ユニットの先端及び後端を内視鏡内部の組み込み部分に対して取り付け、取り外し可能にしたことを特徴とする内視鏡。
(9)軟性部内に硬度調整手段を設けた内視鏡において、
前記硬度調整手段を硬質化したときの最大硬度の補正作業が、軟性部内の内蔵物を操作部側で囲む筒部材の外側で作業可能にしたことを特徴とする内視鏡。 (10)上記(9)において、硬度調整手段は、シースと芯からなり、硬質化したときの、シース後端と芯後端の相対位置を補正するスペーサ部材を上記筒部材の外側に設置することで補正可能とした。
(付記9、10の背景)
<従来の技術> 従来の技術の欄に記載したものと同様。
<従来の問題点> 硬度調整機能を繰り返し使用するうち、ワイヤが塑性変形で伸びたり、コイルが塑性変形で縮んだりするなど、劣化したときに、それを(容易に)補正する方法が示されていない。
<目的> 硬度調整機能の経時的劣化に対して、機能を容易に補正できるようにする。
この目的を達成するために、操作部において、挿入部から操作部内へ延出した内蔵物を囲む筒部材の外側において、硬度調整機能の補正作業を可能にした。 <効果> 硬度調整機能を容易に補正できる。
(11)複数素子からなるシースとシースに沿って設けたガイド部材からなり、シースに対してガイド部材が相対的に移動して圧縮力をかけることで軟性部の硬度を調整可能にした硬度調整手段を内蔵した内視鏡において、
シースが所定量曲がっても、シースが硬質化しないようにシースとガイド部材の相対的移動に対して遊び部分を設けたことを特徴とする。
(12)上記(11)において、所定量90°以上の曲げである。
(13)上記(11)において、所定量は、内視鏡挿入部を丸めて設置する周辺器材に内視鏡を設置したときにシースが曲がる量である。
(付記11〜13の背景)
<従来の技術> 従来の技術の欄に記載したものと同様。
<従来の問題点> 従来の構成だと、挿入部が少し曲がっただけで、操作部を操作しなくても、コイルに圧縮力がかかって、コイルが硬質化してしまう恐れがある。術者が意図していないのに自然と挿入部が硬くなるのは挿入性を悪くしたり、また、硬度調整手段の劣化を早める要因になり得る。
<目的> 術者の意図しないときに挿入部が自然と硬くなるのを防ぐ。
この目的を達成するために、シースとシースに沿ったガイド部材からなる硬度調整手段において、挿入部を所定量曲げても硬度調整手段が硬質化しないように、シースとガイド部材の相対的移動に対する遊び部を設けた。
<効果> 術者が意図しないときに硬度調整手段が硬くなるのを防げる。