JP3926677B2 - スロットアンテナ - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、道路等に埋設されたライフラインのメンテナンスを行うに適したマンホールやハンドホールの蓋に装着可能なスロットアンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、ライフライン(上水道、下水道、電気、ガス、電話等)と呼ばれる供給施設の多くは、地下に埋没されており、その保守点検用として多種多様のマンホール等が設置されている。このライフラインの状態を把握し維持・管理する事は、人々の生活にとって必須であり、そのための装置が開発され実用化されている。また、維持・管理を効率的に行うための無線を利用した遠隔管理システムも導入されつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、施設が地下に埋没されている事から、ライフラインの状態を把握するにはマンホール内に立ち入ることになり、その作業が危険を伴う困難な作業となる。このため、マンホールにアンテナを設置して無線を利用した遠隔管理システムを構築することが考えられている。しかしながら、マンホールの多くは路上に設置されているため、マンホールに設置するアンテナには次に上げる多くの制限や問題点があり、有効なアンテナが実用化されていない。このため、無線を利用した遠隔管理システムの普及が制限されていた。
(1)従来のマンホールアンテナは、マンホールに何らかの加工を施さないと設置できないため、事前に加工を施してアンテナを設置することのできるマンホール又はマンホール蓋に現場にて交換する必要があった。
(2)多くのマンホールが路上に設置されていることから、突起を有するアンテナを設置できないため、従来の線状アンテナでは限界があった。
(3)従来のシステムは、上述したマンホールへの設置制限があることから、非効率のアンテナを使用せざるを得ず、そのため、無線送信出力を上げる事により通信品質を確保していた。しかし、大出力の無線機は消費電力が大きくバッテリの大容量化や、バッテリ充電の間隔を短期間にする必要があった。
(4)このように、無線装置用のバッテリを定期的に充電又は交換する必要があるが、マンホール蓋を開けなければ充電や交換を行うことができず、危険な路上作業を長時間行わなければならないという問題点があった。
【0004】
そこで、本発明は、マンホール等に加工を施すことがないと共に、マンホール等から突出することのないアンテナを提供することを目的としている。また、本発明は、さらにマンホール蓋を開けることなく充電可能な充電用コネクタを備えるアンテナを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、本発明のスロットアンテナは、地中に埋設される枠体の上部を閉塞する導電性の蓋に形成されている鍵穴に装着するスロットアンテナであって、前記鍵穴内に嵌着される導電性の本体部を備え、該本体部のほぼ中央に誘電体が充填されているスロット部が裏面から表面にわたり形成されており、該スロット部の給電点が前記本体部の裏面に設けられており、前記本体部の下部に、前記鍵穴より大きく形成されていると共に前記蓋の裏面に吸着可能なマグネット手段を備える取付部が設けられている。
【0006】
また、上記本発明のスロットアンテナにおいて、前記鍵穴より大きく形成されて前記蓋の裏面に対面して取り付けられる取付部が、前記本体部の下部に設けられており、該取付部が前記蓋と容量結合可能な大きさとされていてもよい。
【0007】
次に、上記第2の目的を達成することのできる本発明のスロットアンテナは、誘電体が充填されている前記スロット部が折り返しスロットにより構成されて、前記本体部が前記折り返しスロットの内部に前記誘電体により絶縁されて位置している内部導体部と、前記折り返しスロットを囲む外部導体部とから構成されており、前記誘電体の一部が取り除かれて、前記内部導体と前記外部導体とを充電端子とする充電用コネクタが、前記蓋のおもて側から充電プラグを装着できるよう形成されている。
また、上記本発明のスロットアンテナにおいて、前記内部導体と前記外部導体に、前記本体部の裏面において接続されている給電ケーブルが、充電用ケーブルを兼用してもよい。
【0008】
次に、上記第1の目的を達成することのできる本発明の第2のスロットアンテナは、地中に埋設される枠体の上部を閉塞する矩形状の形状とされている導電性の蓋の周縁部に装着されるスロットアンテナであって、一側が、前記蓋の周縁を挟持可能なコ字状の断面形状とされ、他側が、前記枠体の上縁に当接可能なL字状の断面形状とされた導電性の導体部を備え、前記蓋に装着された際に、前記枠体と前記蓋との間に形成されている空隙に収納される前記導体部の部位に、誘電体が充填されているスロット部が表面から裏面にわたり形成されており、該スロット部の給電点が前記導体部の裏面に設けられている。
また、上記本発明の第2のスロットアンテナにおいて、前記蓋と対面する前記導体部における前記コ字状の一側と前記L字状の他側が、前記蓋と容量結合可能な大きさとされていてもよい。
【0009】
このような本発明によれば、平面導体の表面上から電波を放射することができるスロットアンテナとしたことから、マンホールから素子を突起させることのないアンテナとすることができると共に、半波長ダイポールと同程度に広い周波数帯域とすることができる。このように、アンテナが良好な動作(VSWRが良く利得が高い)をすれば良好な特性を得られないアンテナに比較して、同じ通信品質を確保する為の無線機出力を下げる事ができ、消費電力を節約することができる。すなわち、同じ容量のバッテリで長時間使用できることになることから、バッテリの交換・充電の頻度を低減することができる。
【0010】
ところで、スロットアンテナは、スロットに磁流を発生させて、周囲の導体に放射のための電流を流すことにより、その導体から電波を放射させるアンテナである。そこで、磁流が流れているスロットに誘電体を充填することにより、スロット長を短縮することができる。これにより、鍵穴の長さに応じたスロットアンテナの長さを実現することができる。具体的な誘電率は、与えられたスペースと目的の周波数により異なるが、比誘電率3〜4の誘電体を充填して、長さ約40mmのスロットとすると約1.9GHzに同調させることができる。
【0011】
また、マンホールの蓋を加工せずに、スロットアンテナを取り付ける為に、マンホールの鍵穴内にスロットアンテナの本体部を装着し、蓋の裏側からマグネット手段で取り付けることができるようにしている。これにより、上から鍵穴内に装着されているスロットアンテナを押す事によりスロットアンテナを鍵穴から取り外し、鍵穴として機能させることができる。スロットアンテナを鍵穴から取り外した場合は、蓋をしめる際に内側から鍵穴にスロットアンテナを取り付けて蓋をしめれば良い。なお、鍵穴に取り付けられたスロットアンテナは、マンホールの蓋と容量結合するようになり、蓋はグランドプレーンとして動作するようになる。
【0012】
さらに、誘電体の一部が取り除いて内部導体と外部導体とを給電端子とする給電用コネクタを形成するようにしたので、マンホール内にバッテリ駆動の通信機器を収納した際に、バッテリにマンホールの蓋を開けることなく充電することができるようになる。この場合、マンホール内においてはスロットアンテナの給電ケーブルを充電用ケーブルとして兼用することができる。
さらにまた、矩形状の形状とされている導電性の蓋の周縁に取り付けられるスロットアンテナとすると、マンホールの一種であるハンドホールのように蓋にアンテナを取り付けられる大きさの鍵穴がない場合でも、蓋と枠の間の空隙を利用してスロッアンテナを取り付けることができるようになる。この場合、本体部における蓋と対面する部位が蓋と容量結合可能な大きさとされて、スロットアンテナが安定動作するようにされている。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態にかかるスロットアンテナが適用されているマンホールの構成例を図1に示す。
図1に示すように地中にコンクリート製等の箱状とされたホール枠7が埋設され、このホール枠7の上部に鋳物等のマンホール蓋2が嵌着されることによりマンホール1が構成されている。マンホール蓋2は、図2にその構成が示されているように、例えば角が丸められた矩形状とされており、マンホール蓋2を開ける際に開蓋用の工具を挿入する鍵穴2aが形成されている。
【0014】
マンホール1内には無線機3と無線機3を駆動するバッテリ5が内蔵されている。この無線機3は、例えば上水道、下水道、電気、ガス、電話等の保守点検用の測定データを送信する無線機とされている。無線機3から導出された給電ケーブル6は、マンホール蓋2の鍵穴2aに着脱可能に装着されているスロットアンテナ10に接続されている。これにより、無線機3から給電ケーブル6に送出された送信信号(RF)がスロットアンテナ10から送信されるようになる。また、給電ケーブル6の中途にはRF/DC分離器4が接続されており、分離されたDC電圧が充電用としてバッテリ5に供給されるようになされている。このDC電圧は、破線で図示する充電器50からスロットアンテナ10に設けられている後述する充電用コネクタを介して給電ケーブル6上に供給される。このように、本発明のスロットアンテナ10を適用すると、マンホール蓋2を開けることなくバッテリ5に充電することができるようになる。
【0015】
次に、本発明の実施の形態にかかるスロットアンテナの第1の構成を図3および図4に示す。ただし、図3は第1の構成のスロットアンテナをマンホール蓋2の鍵穴2aに装着した平面図であり、図4は図2に示すA−A線で切断した際の断面図である。
これらの図に示すように、スロットアンテナ10は直方体状の金属製とされている本体部11と、本体部11の下部から4方あるいは両側へ平板状に延伸している取付部14から構成されている。本体部11は、鍵穴2a内に嵌挿できる外形形状とされている導体部13から構成されており、導体部13のほぼ中央部にはおもて面から裏面まで貫通しているスロット部12が形成されている。このスロット部12内には誘電体が充填されて、使用周波数の波長に対するスロット部12のスロット長を短くできるようにしている。例えば、長さ約40mmのスロット部12内に比誘電率3〜4の誘電体を充填することにより、約1.9GHzに同調させることができる。また、誘電体をスロット部12内に充填することにより、スロット部12内に塵埃等が入り込むことを防止することができる。なお、導体部13のおもて面にはカバー15を貼着するようにしてもよい。さらに、導体部13の裏面には、スロットアンテナ10の給電点に給電する給電ケーブル6が接続されている。
【0016】
また、平板状の取付部14には、それぞれマグネット部14aが設けられており、このマグネット部14aによりスロットアンテナ10がマンホール蓋2の裏面に吸着されている。マグネット部14aは、マグネットとマグネットを抱持する強磁性体の枠体からなり、十分な吸着強度を有している。これにより、スロットアンテナ10の本体部11をマンホール蓋2の鍵穴2a内に挿入して、取付部14のマグネット部14aをマンホール蓋2の裏面に吸着させることにより、スロットアンテナ10を確実にマンホール蓋2に取り付けることができる。取り付けられた際には、取付部14とマンホール蓋2とが対面し、その間に静電容量が発生するため、取付部14とマンホール蓋2とは容量結合し、高周波的に接続されるようになる。従って、マンホール蓋2がグランドプレーンとして動作し、スロットアンテナ10は安定した動作を行えるようになる。さらに、マンホール蓋2に設けられている鍵穴2aを利用してスロットアンテナ10は取り付けられているため、マンホール蓋2に何らの加工も施すことなくスロットアンテナ10をマンホール蓋2に取り付けることができる。さらに、このスロットアンテナ10を取り付けてもマンホール蓋2から突出する部分を皆無とすることができる。
なお、何らかの事情によりマンホール蓋2を開ける場合は、開蓋用の工具の先端を鍵穴2aに挿入することにより、マグネット部14aにより吸着されていたスロットアンテナ10がマンホール蓋2からはずれるようになるため、マンホール蓋2を従来通り容易に開けることができるようになる。
【0017】
次に、本発明の実施の形態にかかるスロットアンテナの第2の構成を図5および図6に示す。ただし、図5および図6に示すスロットアンテナは充電用コネクタを備える構成とされており、図5は第2の構成のスロットアンテナをマンホール蓋2の鍵穴2aに装着した平面図であり、図6は図2に示すA−A線で切断した際の断面図である。
これらの図に示すように、第2の構成のスロットアンテナ10は直方体状の金属製とされている本体部20と、本体部20の下部から4方あるいは両側へ平板状に延伸している取付部25から構成されている。本体部20は、鍵穴2a内に嵌挿可能な外形形状とされている外部導体部22と、スロット部21内に位置する内部導体部23から構成されており、外部導体部22のほぼ中央部にはおもて面から裏面まで貫通している折り返されたスロット部21が形成されている。この折り返されたスロット部21の間には内部導体部23が配置されている。また、スロット部21内には誘電体が充填されて、使用周波数の波長に対するスロット部21の折り返しスロット長を短くできるようにしている。また、誘電体をスロット部21内に充填することにより、スロット部21内に塵埃等が入り込むことを防止することができる。なお、本体部20の裏面には、スロットアンテナ10の給電点に給電する給電ケーブル6が、内部導体部23および外部導体部22にそれぞれ接続されている。
【0018】
また、平板状の取付部25には、それぞれマグネット部25aが設けられており、このマグネット部25aによりスロットアンテナ10がマンホール蓋2の裏面に吸着されている。マグネット部25aは、マグネットとマグネットを抱持する強磁性体の枠体からなり、十分な吸着強度を有している。これにより、スロットアンテナ10の本体部20をマンホール蓋2の鍵穴2a内に挿入して、取付部25のマグネット部25aをマンホール蓋2の裏面に吸着させることにより、スロットアンテナ10を確実にマンホール蓋2に取り付けることができる。取り付けられた際には、取付部25とマンホール蓋2とが対面し、その間に静電容量が発生するため、取付部25とマンホール蓋2とは容量結合し、高周波的に接続されるようになる。従って、マンホール蓋2がグランドプレーンとして動作し、スロットアンテナ10は安定した動作を行えるようになる。さらに、マンホール蓋2に設けられている鍵穴2aを利用してスロットアンテナ10は取り付けられているため、マンホール蓋2に何らの加工も施すことなくスロットアンテナ10をマンホール蓋2に取り付けることができる。さらに、このスロットアンテナ10を取り付けてもマンホール蓋2から突出する部分を皆無とすることができる。
なお、何らかの事情によりマンホール蓋2を開ける場合は、開蓋用の工具の先端を鍵穴2aに挿入することにより、マグネット部25aにより吸着されていたスロットアンテナ10がマンホール蓋2からはずれるようになるため、マンホール蓋2を従来通り容易に開けることができるようになる。
【0019】
ところで、第2の構成のスロットアンテナ10には充電用コネクタ24が形成されており、充電用コネクタ24に充電プラグ52が装着された状態を示す構成を図7および図8に示す。ただし、図7はその状態を示す平面図であり、図8はその中央で切断した断面図である。
これらの図に示すように、充電用コネクタ24は本体部20の一端部におけるスロット部21内の誘電体を除去することにより構成されており、外部導体部22と内部導体部23とが充電用の端子として兼用されている。すなわち、内部導体部23は外部導体部22と絶縁して設けられており、スロット部21内に充填されている誘電体により保持されている。
【0020】
充電プラグ52は充電器50から導出された充電ケーブル51の先端に設けられており、ほぼ中央に配置されている絶縁体55と、絶縁体55を挟持するように両面に貼着等によりそれぞれ固着されている第1端子53と第2端子54とから構成されている。そして、上記したように構成された充電用コネクタ24内に、充電プラグ52を挿入すると、第1端子53が内部導体部23に接触し、第2端子54が外部導体部22に接触するようになる。そして、図6に示すように内部導体部23および外部導体部22には給電ケーブル6が接続されているため、充電ケーブル51からのDC電圧は給電ケーブル6上に伝達される。給電ケーブル6には図1に示すようにRF/DC分離器4が挿入されて、分離されたDC電圧はバッテリ5に供給されるようになる。このように、マンホール蓋2を開けることなくマンホール1に内蔵されているバッテリ5を、充電器50により充電できるようになる。
【0021】
次に、本発明の実施の形態にかかる第3の構成のスロットアンテナが適用されているマンホールの一種であるハンドホールの構成例を図9に示す。
図9に示すように地中に鋳物製等の箱状とされた小型のホール枠33が埋設され、このホール枠33の上部に鋳物等のハンドホール蓋31が被着されることによりハンドホール30が構成されている。ハンドホール蓋31は、矩形状とされており、裏面に形成されている軸受がホール枠33の側壁から突出するよう形成されている支軸32に嵌入されて、ホール枠33に対して回動可能とされている。このハンドホール蓋31における軸受が形成されている縁部に対向する縁部に切欠が形成されており、この切欠に工具の先端を挿入してハンドホール蓋31の縁部を持ち上げることにより開けることができるようにされている。
【0022】
ハンドホール30内には無線機と無線機を駆動するバッテリを内蔵することができる。この無線機は、例えば上水道、下水道、電気、ガス、電話等の保守点検用の測定データを送信する無線機とされている。図示しない無線機から導出された給電ケーブル34は、ハンドホール蓋31の周縁に着脱可能に装着されているスロットアンテナ40に接続されている。これにより、無線機から給電ケーブル34に送出された送信信号がスロットアンテナ40から送信されるようになる。
【0023】
次に、本発明の実施の形態にかかるスロットアンテナの第3の構成を図10および図11に示す。ただし、図10は図9のB部を拡大して示す上面図であり、図11は図9のB部を拡大して示す断面図である。
これらの図に示すように、スロットアンテナ40は一側の断面形状がコ字状に形成されていると共に、他側の断面形状がL字状とされている金属製の導体部41と、ホール枠とハンドホール蓋31との間に形成されている空隙33a内に収納される部位におもて面から裏面まで貫通しているスロット部42とから構成されている。このスロット部42内には誘電体が充填されて、使用周波数の波長に対するスロット部42のスロット長を短くできるようにしている。例えば、長さ約40mmのスロット部12内に比誘電率3〜4の誘電体を充填することにより、約1.9GHzに同調させることができる。また、誘電体をスロット部42内に充填することにより、スロット部42内に塵埃等が入り込むことを防止することができる。
【0024】
給電ケーブル34は誘電体が充填されているスロット部42をまたぐように導体部41の裏面に接続されている。これにより、無線機から給電ケーブル34を介してスロットアンテナ40を励振すると、スロットアンテナ40から送信されるようになる。なお、スロットアンテナ40をハンドホール蓋31の周縁部に取り付けた際に、コ字状およびL字状の導体部41はハンドホール蓋31と対面するようになる。これにより、導体部41とハンドホール蓋31との間に静電容量が発生して、導体部41とハンドホール蓋31とは容量結合し、高周波的に接続されるようになる。従って、ハンドホール蓋31がグランドプレーンとして動作し、スロットアンテナ40は安定した動作を行えるようになる。
【0025】
以上の説明した本発明にかかるスロットアンテナにおいて、マンホール蓋2あるいはハンドホール蓋31と容量結合する導体部は、十分な容量結合できるようにその大きさが調整されている。また、スロットアンテナをマンホール蓋2の鍵穴2aを利用して取り付ける場合は、鍵穴2aの長さに応じてスロット部内に充填されている誘電体の誘電率を調整することにより、鍵穴2aに取り付けられるスロットアンテナとすることができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように、平面導体の表面上から電波を放射することができるスロットアンテナとしたことから、マンホールから素子を突起させることのないアンテナとすることができると共に、半波長ダイポールと同程度に広い周波数帯域とすることができる。このように、アンテナが良好な動作(VSWRが良く利得が高い)をすれば良好な特性を得られないアンテナに比較して、同じ通信品質を確保する為の無線機出力を下げる事ができ、消費電力を節約することができる。すなわち、同じ容量のバッテリで長時間使用できることになることから、バッテリの交換・充電の頻度を低減することができる。
【0027】
ところで、スロットアンテナは、スロットに磁流を発生させて、周囲の導体に放射のための電流を流すことにより、その導体から電波を放射させるアンテナである。そこで、磁流が流れているスロットに誘電体を充填することにより、スロット長を短縮することができる。これにより、鍵穴の長さに応じたスロットアンテナの長さを実現することができる。具体的な誘電率は、与えられたスペースと目的の周波数により異なるが、比誘電率3〜4の誘電体を充填して、長さ約40mmのスロットとすると約1.9GHzに同調させることができる。
【0028】
また、マンホールの蓋を加工せずに、スロットアンテナを取り付ける為に、マンホールの鍵穴内にスロットアンテナの本体部を装着し、蓋の裏側からマグネット手段で取り付けることができるようにしている。これにより、上から鍵穴内に装着されているスロットアンテナを押す事によりスロットアンテナを鍵穴から取り外し、鍵穴として機能させることができる。スロットアンテナを鍵穴から取り外した場合は、蓋をしめる際に内側から鍵穴にスロットアンテナを取り付けて蓋をしめれば良い。なお、鍵穴に取り付けられたスロットアンテナは、マンホールの蓋と容量結合するようになり、蓋はグランドプレーンとして動作するようになる。
【0029】
さらに、誘電体の一部が取り除いて内部導体と外部導体とを給電端子とする給電用コネクタを形成するようにしたので、マンホール内にバッテリ駆動の通信機器を収納した際に、バッテリにマンホールの蓋を開けることなく充電することができるようになる。この場合、マンホール内においてはスロットアンテナの給電ケーブルを充電用ケーブルとして兼用することができる。
さらにまた、矩形状の形状とされている導電性の蓋の周縁に取り付けられるスロットアンテナとしたので、マンホールの一種であるハンドホールのように蓋にアンテナを取り付けられる鍵穴がない場合でも、蓋と枠の間にスロッアンテナを取り付けることができるようになる。この場合、本体部における蓋と対面する部位が蓋と容量結合可能な大きさとされて、スロットアンテナが安定動作するようにされている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるスロットアンテナが適用されているマンホールの構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかるスロットアンテナが適用されているマンホールにおけるマンホール蓋の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかるスロットアンテナの第1の構成を示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかるスロットアンテナの第1の構成を示すA−A断面図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかるスロットアンテナの第2の構成を示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかるスロットアンテナの第2の構成を示すA−A断面図である。
【図7】本発明の実施の形態にかかるスロットアンテナの第2の構成における充電用コネクタの構成を示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態にかかるスロットアンテナの第2の構成における充電用コネクタの構成を示す断面図である。
【図9】本発明の本発明の実施の形態にかかる第3の構成のスロットアンテナが適用されているマンホールの一種であるハンドホールの構成例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態にかかるスロットアンテナの第3の構成を示すB部を拡大した上面図である。
【図11】本発明の実施の形態にかかるスロットアンテナの第3の構成を示すB部を拡大した断面図である。
【符号の説明】
1 マンホール、2 マンホール蓋、2a 鍵穴、3 無線機、4 RF/DC分離器、5 バッテリ、6 給電ケーブル、7 ホール枠、10 スロットアンテナ、11 本体部、12 スロット部、13 導体部、14 取付部、14aマグネット部、15 カバー、20 本体部、21 スロット部、22 外部導体部、23 内部導体部、24 充電用コネクタ、25 取付部、25a マグネット部、30 ハンドホール、31 ハンドホール蓋、32 支軸、33 ホール枠、33a 空隙、34 給電ケーブル、40 スロットアンテナ、41導体部、42 スロット部、50 充電器、51 充電ケーブル、52 充電プラグ、53 第1端子、54 第2端子、55 絶縁体
Claims (6)
- 地中に埋設される枠体の上部を閉塞する導電性の蓋に形成されている鍵穴に装着するスロットアンテナであって、
前記鍵穴内に嵌着される導電性の本体部を備え、該本体部のほぼ中央に誘電体が充填されているスロット部が裏面から表面にわたり形成されており、該スロット部の給電点が前記本体部の裏面に設けられており、
前記本体部の下部に、前記鍵穴より大きく形成されていると共に前記蓋の裏面に吸着可能なマグネット手段を備える取付部が設けられていることを特徴とするスロットアンテナ。 - 前記取付部が、前記蓋と容量結合可能な大きさとされていることを特徴とする請求項1記載のスロットアンテナ。
- 誘電体が充填されている前記スロット部が折り返しスロットにより構成されて、前記本体部が前記折り返しスロットの内部に前記誘電体により絶縁されて位置している内部導体部と、前記折り返しスロットを囲む外部導体部とから構成されており、前記誘電体の一部が取り除かれて、前記内部導体と前記外部導体とを充電端子とする充電用コネクタが、前記蓋のおもて側から充電プラグを装着できるよう形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスロットアンテナ。
- 前記内部導体と前記外部導体に、前記本体部の裏面において接続されている給電ケーブルが、充電用ケーブルを兼用していることを特徴とする請求項3記載のスロットアンテナ。
- 地中に埋設される枠体の上部を閉塞する矩形状の形状とされている導電性の蓋の周縁部に装着されるスロットアンテナであって、
一側が、前記蓋の周縁を挟持可能なコ字状の断面形状とされ、他側が、前記枠体の上縁に当接可能なL字状の断面形状とされた導電性の導体部を備え、前記蓋に装着された際に、前記枠体と前記蓋との間に形成されている空隙に収納される前記導体部の部位に、誘電体が充填されているスロット部が表面から裏面にわたり形成されており、該スロット部の給電点が前記導体部の裏面に設けられていることを特徴とするスロットアンテナ。 - 前記蓋と対面する前記導体部における前記コ字状の一側と前記L字状の他側が、前記蓋と容量結合可能な大きさとされていることを特徴とする請求項5記載のスロットアンテナ。
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