JP3926617B2 - マイクロチップ及び電気泳動装置 - Google Patents

マイクロチップ及び電気泳動装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3926617B2
JP3926617B2 JP2001381307A JP2001381307A JP3926617B2 JP 3926617 B2 JP3926617 B2 JP 3926617B2 JP 2001381307 A JP2001381307 A JP 2001381307A JP 2001381307 A JP2001381307 A JP 2001381307A JP 3926617 B2 JP3926617 B2 JP 3926617B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrophoresis
microchip
substrate
sample
well
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001381307A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003185627A (ja
Inventor
輝夫 藤井
鍾▲いく▼ 洪
雄飛 里井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aida Engineering Ltd
Original Assignee
Aida Engineering Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aida Engineering Ltd filed Critical Aida Engineering Ltd
Priority to JP2001381307A priority Critical patent/JP3926617B2/ja
Publication of JP2003185627A publication Critical patent/JP2003185627A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3926617B2 publication Critical patent/JP3926617B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はマイクロチップと呼ばれるような超小型電気泳動部材に関する。更に詳細には、本発明は1枚で一度に多数のDNA断片又は遺伝子断片などの被分析サンプルを電気泳動分析することができる電気泳動用マイクロチップに関する。
【0002】
【従来の技術】
極微量のタンパク質やDNA等の塩基配列を決定する方法として、ゲル電気泳動法が広く実施されている。電気泳動する際に、従来は試料をラジオアイソトープでラベルし、分析していたが、この方法では手間と時間がかかる難点があった。更に、放射能管理の点から常に最大限の安全性と管理が求められ、特別な施設内でなければ分析を行うことができない。このため、最近では、試料を蛍光体でラベルする方式が実用化されている。
【0003】
光を用いる方法では、蛍光ラベルしたDNA断片をゲル中を泳動させるが、泳動開始部から、15〜20cm下方に各泳動路毎に光励起部と光検出器を設けておき、ここを通過するDNA断片を順に計測する。例えば、配列を決定しようとするDNA鎖を鋳型として酵素反応(ダイデオキシ法)による操作で末端塩基種がわかった種々の長さのDNAを複製し、これらに蛍光体を標識する。つまり、蛍光体で標識されたアデニン(A)断片群,シトシン(C)断片群,グアニン(G)断片群およびチミン(T)断片群を得る。これらの断片群を混合して電気泳動用ゲルの別々の泳動レーン溝に注入し、電圧を印加する。DNAは負の電荷を持つ鎖状の重合体高分子のため、ゲル中を分子量に反比例した速度で移動する。短い(分子量の小さい)DNA鎖ほど早く、長い(分子量の大きい)DNA鎖ほどゆっくりと移動するので、分子量によりDNAを分画できる。
【0004】
特開昭63−21556号公報には、レーザで照射される電気泳動装置のゲル上のラインと光ダイオードアレイの配列方向が電気泳動装置内のDNA断片の泳動方向と直角となるように構成されたDNA塩基配列決定装置が開示されている。この装置では、一対のガラス板の間にポリアクリルアミドなどのゲル電解質を充填し、ゲル電気泳動層を形成した後、該ゲル電気泳動層の一端にDNAサンプルを注入し、ゲル電気泳動層の両端をバッファ液に浸漬させながら、その両端に電圧を印加してDNAサンプルを電気泳動させることによりゲル電解質層上にDNA断片を展開する。光を用いる方法では、蛍光ラベルしたDNA断片をゲル中を泳動させるが、泳動開始部から、15〜20cm下方に各泳動路毎に光励起部と光検出器を設けておき、ここを通過するDNA断片を順に計測する。例えば、配列を決定しようとするDNA鎖を鋳型として酵素反応(ダイデオキシ法)による操作で末端塩基種がわかった種々の長さのDNAを複製し、これらに蛍光体を標識する。つまり、蛍光体で標識されたアデニン(A)断片群,シトシン(C)断片群,グアニン(G)断片群およびチミン(T)断片群を得る。これらの断片群を混合して電気泳動用ゲルの別々の泳動レーン溝に注入し、電圧を印加する。DNAは負の電荷を持つ鎖状の重合体高分子のため、ゲル中を分子量に反比例した速度で移動する。短い(分子量の小さい)DNA鎖ほど早く、長い(分子量の大きい)DNA鎖ほどゆっくりと移動するので、分子量によりDNAを分画できる。
【0005】
しかし、このような装置では一度に多量のサンプルを取り扱うことができるという利点があるものの、泳動作業に数十時間も要し、DNA診断などのような迅速な分析を必要とするような要望には答えることができなかった。
【0006】
このような迅速分析という要求に応えるために、図8に示されるようなマイクロチップと呼ばれる超小型DNA電気泳動部材が試作されている。従来のマイクロチップは、ガラス又は合成樹脂(例えば、アクリル樹脂)などの透明基板100に分離用チャネル102と、この分離用チャネル102と直交する導入用チャネル104を有する。分離用チャネル102の両端にはグランド側泳動媒体用ウエル106と高電圧側泳動媒体用ウエル108が配設されている。また、導入用チャネル104の一方の端部にはグランド側のDNAサンプル用ウエル110と高電圧側泳動媒体用ウエル112が配設されている。
【0007】
図9は図8におけるIX−IX線に沿った断面図である。図示されているように、透明基板100を貫通するように泳動媒体用ウエル106及び108が設けられ、この基板100の下面側に、泳動媒体用ウエル106及び108に連通する分離用チャネル102が配設されている。基板100の下面側に透明又は不透明な素材(例えば、合成樹脂フィルム)からなる遮蔽シート114が接着されている。この遮蔽シート114の存在により、ウエル及び溝内に泳動媒体及びDNAサンプルなどを注入することができる。
【0008】
図10は図8に示されたマイクロチップの使用方法を示す模式図である。先ず、ステップ(1)で、分離用チャネル102の高電圧側泳動媒体用ウエル108に電気泳動用の分離用泳動路となるべき泳動媒体(例えば、ゲル電解質)を分注する。次いで、ステップ(2)において、このウエル108から静かに圧力をかけて、分離用チャネル102及び導入用チャネル104に泳動媒体を充填させる。次いで、ステップ(3)において、ウエル106とウエル112に泳動媒体を分注する。次いで、ステップ(4)において、ウエル110にDNAサンプル(遺伝子断片)を分注する。その後、ステップ(5)において、導入用チャネル104のウエル110をグランド側とし、ウエル112を高電圧側とし、導入用チャネル104に電圧を印加し、DNAサンプルをウエル110からウエル112に向かって泳動させる。次いで、ステップ(6)において、導入用チャネル104への電圧印加を止め、分離用チャネル102のウエル106をグランド側とし、ウエル108を高電圧側とし、分離用チャネル102に電圧を印加し、チャネルの交差部116に存在するDNAサンプル(遺伝子断片)をウエル108に向かって泳動させる。分離用チャネル102の途中に光学測定位置118が存在し、この位置まで泳動された分離断片に光源(図示されていない)から励起光が照射され、断片に標識された蛍光体から発生された蛍光を受光手段(図示されていない)で受光し、分析を行う。このようなマイクロチップにより電気泳動を行う方法はPCT出願公開WO98/58247号公報及び特開2000−283960号公報などに記載されている。また、マイクロチップの製造方法はPCT出願公開WO98/45693号公報などに記載されている。
【0009】
しかし、従来のマイクロチップは基板100上に分離用チャネル102が1本しか配設されていないので、一度に1つのDNAサンプルしか分析できない。従って、分析すべきDNAサンプルの個数に応じた枚数のマイクロチップを準備しなければならなかった。また、基板100上に分離用チャネル102を複数本配設したとしても、導入用チャネル104及びそのためのウエル110,112及び印加電源なども、分離用チャネル102の本数に対応する個数だけ必要になり分析装置が大掛かりになる。従って、従来のマイクロチップは、多量のDNAサンプルが存在する場合、これらを迅速に分析するという要求を満たすことが困難であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、1枚で一度に多数の被分析サンプルを効率よく分析処理することができるマイクロチップを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、基板中に分離用チャネルと、該分離用チャネルと交差する導入用チャネルとをする電気泳動用マイクロチップにおいて、前記基板が複数の区画に分割されており、各区画内に前記分離用チャネルを複数本有し、各分離用チャネルの一方の端部は個別のグランド側泳動媒体用ウエルに連通し、他方の端部は単一の高電圧側泳動媒体用共通ウエルに連通していることを特徴とする電気泳動用マイクロチップにより解決される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の電気泳動用マイクロチップについて具体的に説明する。
【0013】
図1は本発明の電気泳動用マイクロチップの一例の上面図である。本発明の電気泳動用マイクロチップ1は円盤状基板3を有する。しかし、基板3は円盤状に限定されない。矩形、三角形又は多角形などの形状も可能である。円盤状基板3は透明素材から形成することが好ましい。このような透明素材は例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリプロピレン、シリコン樹脂などのプラスチック類又はガラスなどである。
【0014】
図示された円盤状基板3は4個の区画A,B,C,Dに分割されている。しかし、分割数は図示された4区画に限定されるわけではない。例えば、用途に応じて、2区画、3区画でもよくあるいは4区画よりも多い区画に分割することもできる。図示されているように、4個の区画A,B,C,Dに分割した場合、各区画を例えば、▲1▼分注工程、▲2▼電気泳動工程、▲3▼洗浄工程、▲4▼クリーニング泳動工程にそれぞれ割り振り、各工程作業を同時に実施し、そして、各工程作業終了後にマイクロチップ1を90゜回転し、再び各工程作業を同時に繰り返すことにより、一枚のマイクロチップで分析作業を連続的に効率よく実施することができる。
【0015】
図示された実施態様では、6本一組として、2組からなる合計12本の分離用チャネル5が各区画に配設されている。一組内の分離用チャネルの本数は図示された6本に限定されない。例えば、基板3のサイズに応じて、一組12本とすることもできる。各分離用チャネル5の一端は泳動電圧印加用のグランド側ウエル7に連通している。一方、各分離用チャネル5の他端は泳動電圧印加用の高電圧側共通ウエル9に連通している。図示された実施態様では、6本の分離用チャネルが1個の高電圧側共通ウエル9に連通している。従って、この6本一組の分離用チャネルを互いに対向するように配列することにより、12本の分離用チャネルからなる整列区域11を形成する。このような12本の分離用チャネル5からなる整列区域11を形成すると、下記で詳細に説明する光学的蛍光分析にとって極めて好都合である。
【0016】
複数本の分離用チャネル5のグランド側ウエル7から高電圧側共通ウエル9までの距離は各分離用チャネル5毎に同距離に、かつ、角部が無いように滑らかに形成されている。分離用チャネル5に直角などのような角部が存在すると電気泳動分析が困難になる。分離チャネルのグランド側ウエル7から高電圧側共通ウエル9までの距離が、分離チャネル毎に異なると正確な電気泳動分析が困難になる。
【0017】
分離用チャネル5は各分離用チャネル毎に、この分離用チャネルに交差する導入用チャネル13を有する。導入用チャネル13は一方の端部にグランド側ウエル15と、他方の端部に高電圧側ウエル17を有する。
【0018】
本発明のマイクロチップ1における分離用チャネル5及び導入用チャネル13の各溝は一般的に、深さが0.1μm〜1000μmの範囲内であり、幅は1μm〜500μmの範囲内である。ウエル7,9,15,17の上部直径は一般的に、φ1〜φ4の範囲内である。基板3の厚さは一般的に、1mm〜3mmの範囲内である。従って、ウエルの深さも一般的に、1mm〜3mmの範囲内である。従って、図面では、チャネル及びウエルは説明のために正規の縮尺を無視して誇張して図示されている。言うまでもなく、基板3の裏面には従来のマイクロチップと同様に、透明な素材(例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリプロピレン、シリコン樹脂などのプラスチック類又はガラス)からなる遮蔽シートが接着されている
【0019】
また、本発明のマイクロチップ1における分離用チャネル5及び導入用チャネル13に充填される泳動媒体は例えば、ポリアクリルアミド、MC、HPMC、ジメチルアクリルアミド又はHECなどである。言うまでもなく、その他の泳動媒体も使用できる。
【0020】
図2は本発明の円盤状マイクロチップ1を使用する全自動式電気泳動装置の一例の概要構成図である。本発明による全自動式電気泳動装置20は、円盤状マイクロチップ1を載置するための円盤状の載置テーブル22を有する。この載置テーブル22は例えば、ベルト24と駆動装置(例えば、モータ)26により矢線方向に回転可能に構成されている。ベルト24を使用することなく、載置テーブル22をモータ26で直接回転駆動させることもできる。載置テーブル22を回転させるために、これら以外の公知慣用の回転駆動機構も当然使用できる。載置テーブル22の下部には蛍光検出ユニット28が配置されている。また、被分析サンプルをロードするためのサンプルロード機構30と、泳動分析後にマイクロチップ1の所定箇所のチャネルとポットを洗浄するためのサンプルクリーニング機構32を有する。サンプルロード機構30はY方向移動軸34と、X方向移動軸36を有する。昇降可能な多連ピペッタ機構38はX方向移動軸36に沿って運動可能な移動機構40に支持されている。サンプルクリーニング機構32もサンプルロード機構30と同様に構成されている。すなわち、Y方向移動軸42と、X方向移動軸44と、多連ピペッタ機構46と、この多連ピペッタ機構46を支持する移動機構48をそれぞれ備えている。更に、多連ピペッタ機構にピペッタチップを供給するためのピペッタチップストッカ(図示されていない)と被分析サンプルが充填されたマイクロタイタープレート(図示されていない)を搬送し、かつ載置しておくためのストッカーテーブル50を有する。電気泳動に要する時間が長い場合、サンプルロード機構30をサンプルクリーニング機構32として併用することもできる。従って、この場合、サンプルクリーニング機構32を省くこともできる。
【0021】
図3は載置テーブル22と蛍光検出ユニット28との配置構成を示す概要断面図である。載置テーブル22は外周にプーリ52を有する。プーリ52の上面には凹陥状の窪み54を有し、この窪み54内にマイクロチップ1が安定的に収容される。プーリ52はスラストベアリング56により回転可能に支持されている。スラストベアリング56は架台58に取り付けられている。載置テーブル22の内部は中空状であり、この中空部分を通して蛍光検出ユニット28の蛍光観察用対物レンズ系60がマイクロチップ1の直下にまで挿入される。蛍光観察用集光レンズ系60は、図1に示されたマイクロチップ1の分離用チャネル5の整列区域11に対応する位置に配置されている。このため、図3に示されるように、蛍光観察用集光レンズ系60の配置位置はマイクロチップ1の中心から偏位している。載置テーブル22の中空部内には更にマイクロチップ1の回転位置センサ59が配設されている。この位置センサ59により各工程に応じたマイクロチップ1の回転角度を検出して位置決めすることができる。
【0022】
蛍光検出ユニット28はマイクロチップを用いたゲル電気泳動装置で一般的に使用される公知慣用の蛍光検出系を使用することができる。従って、蛍光検出ユニット28は基本的に、集光レンズ60と、濾波フィルタ62と蛍光受光素子64とからなる。集光レンズ60としては例えば、屈折率分布型レンズアレーなどを使用できる。励起光源61から発射された励起光はプリズム63で屈折され、マイクロチップ1の測定個所11に照射される。この励起光照射系は例えば、顕微鏡の照明方式の一つである「同軸落射方式」と呼ばれる方式を利用することができる。この方式によれば、励起光源61を蛍光検出ユニット28と同じくマイクロチップ1の下部に配置させることができる。しかし、場合により、励起光源61をマイクロチップ1の上部に配置し、蛍光検出ユニット28をマイクロチップ1の下部に配置することもできるし、或いは励起光源61と蛍光検出ユニット28を両方ともマイクロチップ1の上部に配置することもできる。マイクロチップ1の測定個所11から発生された蛍光は、集光レンズ60を通過し、次いで、濾波フィルタ62に入射する。この濾波フィルタ62で蛍光成分以外の波長の迷光あるいはバックグランド光などはカットされる。その後、濾波フィルタ62を通過した蛍光は蛍光受光素子64で受光され、電気信号に変換される。蛍光受光素子としては例えば、CCD(荷電結合素子)ラインセンサ64などを使用できる。CCD(荷電結合素子)ラインセンサ64にはA/D変換器66とデータ処理部68がそれぞれ接続されている。濾波フィルタ及びCCD(荷電結合素子)ラインセンサ蛍光受光素子は当業者に公知である。蛍光検出ユニット28は図示されたようなマイクロチップ1の下部に配置する態様以外に、反射方式の蛍光検出系も使用できる。
【0023】
図4は、図2に示された多連ピペッタ機構38(又は46)の一例の概要構成斜視図である。図示された多連ピペッタ機構38は先端に8本のピペッタチップ70が装着されているが、図示された本数には限定されない。6本又は12本など適宜な本数のピペッタチップ70を装着することができる。多連ピペッタ機構38は例えば、Z軸スライドテーブル72に支持されている。これにより多連ピペッタ機構38は上下方向に昇降可能に構成される。多連ピペッタ機構38には更にピペッタ操作ソレノイド74が接続されており、これは電動シリンダ76に連通している。従って、ピペッタ操作ソレノイド74と電動シリンダ76とにより、ピペッタチップ70内の被分析サンプルをマイクロタイタープレートのウエル(図示されていない)及び/又はマイクロチップ1のポットから吸入及び/又は吐出することができる。
【0024】
本発明のマイクロチップ1を用いてゲル電気泳動を行うためには、マイクロチップ1のポット内に高電圧を印加するために電極を挿入しなければならない。図5は本発明のマイクロチップ1の所定のポットに電極を挿入した状態の電極カバー78の上面図である。前記のように、本発明のマイクロチップ1は▲1▼分注工程、▲2▼電気泳動工程、▲3▼洗浄工程、▲4▼クリーニング泳動工程の4区画に分割されている。従って、▲2▼電気泳動工程と▲4▼クリーニング泳動工程を実施するためにマイクロチップ1の所定のポットに電極を挿入しなければならない。一方、▲1▼分注工程と▲3▼洗浄工程では多連ピペッタ機構38がマイクロチップ1の所定のポットにアクセスしなければならない。従って、本発明の装置20で使用される電極カバー78は左右対称の鼓形状をしている。
【0025】
図6は図5におけるVI-VI線に沿った概要断面図である。電極セット80は電極カバー78に支持されている。電極セット80は各ウエルの位置に対応した位置にウエルの個数と同数の電極84を具備している。図示されていないが、この電極セット80は適当な高電圧電源に接続されている。電極カバー78は例えば、ヒンジ機構86で揺動可能に支持されており、このヒンジ機構86により、電極カバー78をマイクロチップ1の上面に被せ、電極84をマイクロチップ1の各ウエルに浸漬させることができる。また、分析終了後には必要に応じて、電極カバー82をマイクロチップ1から跳ね上げることができる。電極カバー78は例えば、電極コンタクト用ソレノイドと併用する事が好ましい。例えば、各作業工程の終了後にマイクロチップ1を回転させるときなど、マイクロチップ1のウエルから電極84を抜かなければならない。この場合、電極コンタクト用ソレノイド88により電極カバー78を実線で示される位置にまで上昇させておく。また、電気泳動を行う際、電極84をマイクロチップ1の各ウエルに電極84を挿入するため、電極コンタクト用ソレノイド88により電極カバー82を破線で示される位置にまで下降させる。電極カバー78を昇降させることができれば、電極コンタクト用ソレノイド88以外の機構も使用できる。
【0026】
図7は、図2に示された本発明の全自動式電気泳動装置20による分析動作を説明する流れ図である。先ず、ステップ701で、各チャネルに泳動媒体が注入された円盤状マイクロチップ1を準備する。次いで、ステップ702で、このマイクロチップ1を装置20の載置テーブル22にセットする。ステップ703で、載置テーブル22を回転させ、マイクロチップ1をサンプル導入位置まで回転移動させる。その後、ステップ704で、サンプルロード機構30を操作して多連ピペッタ機構38をテーブル50に配置されたマイクロタイタープレート上に移動させ、ピペッタチップ70でマイクロタイタープレートの所定の穴から被分析サンプルを吸引する。次いで、ステップ705で、載置テーブル22上のマイクロチップ1のサンプル導入ウエル15の位置にまでピペッタチップ70を移動させる。その後、ステップ707において、多連ピペッタ機構38を下降させ、マイクロチップ1の所定の各サンプル導入ウエル15に被分析サンプルを導入する。被分析サンプルの導入が完了したら、ステップ708で、載置テーブル22を回転させ、マイクロチップ1を電極位置にまで回転移動させる。マイクロチップ1の回転移動完了後、ステップ709において、電極84を具備した電極セット80が取り付けられた電極カバー82を下降させ、電極84を各ウエルに浸漬し、被分析サンプルと接触させる。その後、ステップ710で、電源から導入チャネル両端のグランド側のサンプル導入ウエル15と高電圧側ウエル17との間に高電圧に印加し、被分析サンプルをサンプル導入ウエル15から導入チャネル内に電気泳動手法により移動させ、被分析サンプルが導入用チャネル13と分離用チャネル5との交差点に達した段階で高電圧印加を止め、次いで、電源を分離チャネル5のグランド側ウエル7と高電圧側共通ウエル9との間に高電圧を印加し、導入用チャネル13と分離用チャネル5との交差点上にある被分析サンプルを高電圧側共通ウエル9に向かって電気泳動させる。その後、ステップ711において、被分析サンプルが電気泳動されて分離用チャネル5の整列区域11に達した段階で、蛍光検出ユニット28により被分析サンプルからの蛍光を受光し、この蛍光受光データをA/D変換及びデジタル処理して画像化し、各被分析サンプルの電気泳動パターンを取得する。電気泳動終了後、ステップ712において、電極カバー78を上昇させ、電極84をマイクロチップ1から離別させる。その後、ステップ713において、載置テーブル22を回転させ、マイクロチップ1を洗浄位置にまで回転移動させる。ステップ714で、サンプルクリーニング機構32を駆動させ、多連ピペッタ機構46を下降させ、ピペッタチップ70をマイクロチップ1のサンプル導入ウエル15から残存している被分析サンプルを吸引し、廃棄する。その後、ステップ715で、同じ多連ピペッタ機構46を用いてマイクロチップ1のサンプル導入ウエル15にゲルを注入する。次いで、ステップ716において、載置テーブル22を回転させて、マイクロチップ1をクリーニング泳動位置にまで回転移動させる。その後、ステップ717で、電極カバー78を下降させ、電極84を各ウエルに挿入し、ウエル内のゲルに接触させる。次いで、ステップ718において、グランド側ウエルと高電圧側ウエルとの間で高電圧を印加し、分離用チャネル5及び導入用チャネル13内に残っている被分析サンプルを電気泳動させて掃去し、分離用チャネル5及び導入用チャネル13内をクリーニングする。クリーニング泳動終了後、ステップ719で、電極カバー78を上昇させ、電極84をマイクロチップ1から離別させる。その後、前記のステップ703に戻り、続いて、ステップ704〜719を繰り返す。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、円盤状基板を例えば、4個の区画に分割し、各区画を例えば、▲1▼分注工程、▲2▼電気泳動工程、▲3▼洗浄工程、▲4▼クリーニング泳動工程にそれぞれ割り振り、各工程作業を同時に実施し、そして、各工程作業終了後にマイクロチップを90゜回転し、再び各工程作業を同時に繰り返すことにより、一枚のマイクロチップで分析作業を連続的に効率よく実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気泳動用マイクロチップの一例の上面図である。
【図2】図1に示された円盤状マイクロチップ1を使用する全自動式電気泳動装置の一例の概要構成図である。
【図3】図2に示された全自動式電気泳動装置載置20におけるテーブル22と蛍光検出ユニット28との配置構成を示す概要断面図である。
【図4】図2に示された全自動式電気泳動装置載置20における多連ピペッタ機構38(又は46)の一例の概要構成斜視図である。
【図5】マイクロチップ1に電極カバー78を被せた状態の上面図である。
【図6】図5におけるVI-VI線に沿った概要断面図である。
【図7】図2に示された本発明の全自動式電気泳動装置20による分析動作を説明する流れ図である。
【図8】従来のDNA電気泳動用マイクロチップの一例の概要平面図である。
【図9】図8におけるIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】図8に示されたDNA電気泳動用マイクロチップの使用方法を示す概要模式図である。
【符号の説明】
1 本発明のマイクロチップ
3 基板
5 分離用チャネル
7 分離用チャネルのグランド側ウエル
9 分離用チャネルの高電圧側共通ウエル
11 分離用チャネルの整列区域
13 導入用チャネル
15 導入用チャネルのグランド側ウエル
17 導入用チャネルの高電圧側共通ウエル
20 全自動式電気泳動装置
22 マイクロチップ載置テーブル
28 蛍光検出ユニット
30 サンプルロード機構
32 サンプルクリーニング機構
34,42 Y方向移動軸
36,44 X方向移動軸
40,48 移動機構
38,46 多連ピペッタ機構
50 ストッカーテーブル
52 プーリ
56 スラストベアリング
58 架台
59 マイクロチップ回転位置センサ
60 集光レンズ
61 励起光源
62 濾波フィルタ
63 プリズム
64 蛍光受光素子
70 ピペッタチップ
72 Z軸スライドテーブル
74 ピペッタ操作ソレノイド
76 電動シリンダ
78 電極カバー
80 電極セット
84 電極
86 ヒンジ機構
88 電極コンタクト用ソレノイド

Claims (4)

  1. 透明な基板中に、分離用チャネルと、該分離用チャネルにサンプルを導入するサンプル注入用ウエルを持った導入用チャネルとを有する電気泳動用マイクロチップにおいて、
    前記基板は、該基板の中心を起点として円周方向に2区画以上に分割されており、分注工程と電気泳動工程とを同時に実施するために、このうちの、少なくとも一区画は分注工程に配置され、少なくとも残りの一区画は電気泳動工程に配置されるものであり、かつ、電気泳動工程に配置された前記一区画は、分注工程に配置された前記一区画が前記分注工程の後に前記基板の中心を回転中心として360度を区画数で割った角度分だけ回転することにより配置されるものであって、
    前記各区画には複数本で一組の分離用チャネルが2組配設されており、各組の各分離用チャネルの一方の端部は個別のグランド側泳動媒体用ウエルに連通し、他方の端部は単一の高電圧側泳動媒体用共通ウエルに連通しており、前記2組の高電圧側泳動媒体用共通ウエルを基板の中心側において対向して配列させることにより、一方の組の分離用チャネルの列と他方の組の分離用チャネルの列とが整列された、蛍光検出のための整列区域を基板の中心側に有し、
    前記2組の各分離用チャネルのグランド側泳動媒体用ウエルは同一直線上に配置されていることを特徴とする電気泳動用マイクロチップ。
  2. 前記基板はポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリプロピレン、シリコン樹脂及びガラスからなる群から選択される素材により形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロチップ。
  3. 前記基板は4個の区画に分割され、各区画には6本一組の分離用チャネルが2組配設されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロチップ。
  4. (a)透明な基板中に、分離用チャネルと、該分離用チャネルにサンプルを導入するサンプル注入用ウエルを持った導入用チャネルとを有する電気泳動用マイクロチップと、
    前記基板は、該基板の中心を起点として円周方向に2区画以上に分割されており、分注工程と電気泳動工程とを同時に実施するために、このうちの、少なくとも一区画は分注工程に配置され、少なくとも残りの一区画は電気泳動工程に配置されるものであり、かつ、電気泳動工程に配置された前記一区画は、分注工程に配置された前記一区画が前記分注工程の後に前記基板の中心を回転中心として360度を区画数で割った角度分だけ回転することにより配置されるものであって、
    前記各区画には複数本で一組の分離用チャネルが2組配設されており、各組の各分離用チャネルの一方の端部は個別のグランド側泳動媒体用ウエルに連通し、他方の端部は単一の高電圧側泳動媒体用共通ウエルに連通しており、前記2組の高電圧側泳動媒体用共通ウエルを基板の中心側において対向して配列させることにより、一方の組の分離用チャネルの列と他方の組の分離用チャネルの列とが整列された、蛍光検出のための整列区域を基板の中心側に有し、
    前記2組の各分離用チャネルのグランド側泳動媒体用ウエルは同一直線上に配置されている
    (b)前記マイクロチップをその上面に載置するための回転可能な載置テーブルと、
    (c)前記載置テーブルの下部であって、前記マイクロチップの分離用チャネルの蛍光検出のための整列区域に対応する位置に配置された蛍光検出ユニットと、
    (d)前記分離用チャネルと導入用チャネルの両端間に電気泳動をおこさせるための高電圧を印加するための、各ウエルの位置に対応した位置にウエルの個数と同数の電極を具備する電極セットを支持する左右対称の鼓形状をした電極カバーを有する電源ユニットと、
    (e)前記マイクロチップの所定のウエルに被分析サンプルをロードするための、X,Y及びZ方向に移動可能なサンプルロード機構と、
    (f)前記マイクロチップの所定のウエル内の残留被分析サンプルを除去して分離用チャネル及び導入用チャネルをクリーニングするための、X,Y及びZ方向に移動可能なサンプルクリーニング機構と、
    を具備していることを特徴とする電気泳動装置。
JP2001381307A 2001-12-14 2001-12-14 マイクロチップ及び電気泳動装置 Expired - Fee Related JP3926617B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001381307A JP3926617B2 (ja) 2001-12-14 2001-12-14 マイクロチップ及び電気泳動装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001381307A JP3926617B2 (ja) 2001-12-14 2001-12-14 マイクロチップ及び電気泳動装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003185627A JP2003185627A (ja) 2003-07-03
JP3926617B2 true JP3926617B2 (ja) 2007-06-06

Family

ID=27592034

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001381307A Expired - Fee Related JP3926617B2 (ja) 2001-12-14 2001-12-14 マイクロチップ及び電気泳動装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3926617B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007107915A (ja) * 2005-10-11 2007-04-26 Shimadzu Corp キャピラリ流路における電気泳動方法及びマイクロチップ処理装置
US9162225B2 (en) 2009-03-30 2015-10-20 Konica Minolta, Inc. Microchip
JP7460053B2 (ja) 2020-06-12 2024-04-02 株式会社ピーエムティー 操作装置及び操作方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003185627A (ja) 2003-07-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6017765A (en) Fluorescence detection capillary array electrophoresis analyzer
AU773950B2 (en) High density electrophoresis device and method
US7964077B2 (en) Automated two-dimensional electrophoresis apparatus and instrument constituting the apparatus
JP3559648B2 (ja) キャピラリーアレー電気泳動装置
JP3467995B2 (ja) キャピラリー電気泳動装置
JP4813244B2 (ja) サンプル分離吸着器具
US6740219B2 (en) Electrophoresis analysis apparatus and sample vessel used therefor
EP2184602A1 (en) Micro-channel chip for electrophoresis and method for electrophoresis
EP1055925A2 (en) Biochip reader and electrophoresis system
JP3566207B2 (ja) キャピラリアレイ検出用回転共焦スキャナ
CA2317541A1 (en) Capillary electrophoresis array
JP2004507756A (ja) 多種サンプルの同時装填のための電気泳動装置
US20060275181A1 (en) Substrate and device for bioassay and method for making the substrate
KR20020032361A (ko) 전기영동장치
EP0294524A1 (en) Real time scanning electrophoresis apparatus for DNA sequencing
JP2000146910A (ja) 電気泳動システム
JP2002214194A (ja) 電気泳動装置
JP3926617B2 (ja) マイクロチップ及び電気泳動装置
JP2000346828A (ja) 電気泳動装置
CN111812091B (zh) 芯片凝胶电泳及其在线uv-vis成像检测装置
CA2483450A1 (en) Process and device for parallel analysis of biomolecules
JPH06294771A (ja) 電気泳動媒体及びそれを用いる分析装置
TWI281947B (en) A capillary biochip and detecting device of the same
JPH0814537B2 (ja) Dna配列決定のための実時間走査電気泳動装置
JP3570425B2 (ja) キャピラリー電気泳動装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040331

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050517

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050715

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20050715

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060829

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20061027

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061027

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061128

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070124

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070227

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070228

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110309

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120309

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120309

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130309

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130309

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees