JP3926068B2 - 水素吸蔵合金を利用した熱利用システム - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素吸蔵合金の水素の吸蔵と放出とを繰り返して行わせ、水素の放出時に生じる吸熱作用を利用して冷熱出力を得る、あるいは水素の吸蔵時に生じる放熱作用を利用して熱出力を得る水素吸蔵合金を利用した熱利用システムに関する。
【0002】
水素吸蔵合金を利用した熱利用システムとして、特開10−220908号公報に開示された技術が知られている。例えば、この公報に開示されるセルは、図5に示すように、同一平衡水素圧で水素平衡温度が異なる高温、低温度水素吸蔵合金(以下、高温、低温合金)をそれぞれ封入する独立した容器(第1、第2容器J1、J2)を備え、各容器の一辺側を水素通路で連通した構造を採用したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、公報で示したような従来の構造では、例えば第1容器J1内の水素が第2容器J2に移動する例において、第1容器J1内のA部で放出された水素は、矢印Bで示すように、長い経路を通って第2容器J2へ導かれることになる。特に、第1容器J1の内部では水素吸蔵合金が充填されているため、水素移動のための圧力損失が大きく、結果的に単位時間当りの水素移動量が少なくなってしまう。また、従来のセルは、構造が複雑であり、製造コストを下げるために、簡素な構造が望まれていた。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は簡素な構造で、且つ単位時間当りの水素移動量を多くすることのできる水素吸蔵合金を利用した熱利用システムの提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1の手段〕
水素吸蔵合金を利用した熱利用システムは、水素吸蔵合金の水素の放出時の吸熱、あるいは水素の吸蔵時の放熱を利用したものであって、
水素吸蔵合金を封入するセルは、同一平衡水素圧で水素平衡温度が異なる水素吸蔵合金を、それぞれ別々の層に封入するように設けられ、
前記セル内で各層に仕切る仕切手段は、この仕切手段の各部において水素移動可能であり、且つ水素吸蔵合金の移動を阻止するものであることを特徴とする。
さらに、セル内には、水素が素通りできるパイプフィルタが各層に亘って複数配置され、仕切手段は、パイプフィルタが貫通配置されるものであり、このパイプフィルタによって各層の水素移動が可能であり、セルは、2枚のプレートを接合してなる偏平形状を呈し、プレートに形成された波形の窪みを利用して、複数のパイプフィルタが等間隔に配置されていることを特徴とする。
【0006】
〔請求項2の手段〕
請求項1の水素吸蔵合金を利用した熱利用システムにおいて
切手段は、パイプフィルタが貫通配置される帯状に形成され、その帯状部分には、各層の熱の伝達を抑制するための断熱穴が形成されていることを特徴とする。
【0007】
【発明の作用および効果】
〔請求項1の作用および効果〕
仕切手段は、水素を通過させるものであるため、仕切手段を介して隣接する層への水素の移動が可能であるため、ある層の内部の水素吸蔵合金が水素を放出する際、その水素は仕切手段を介して他の層の水素吸蔵合金へ移動する。同様に、ある層の内部の水素吸蔵合金が水素を吸蔵する際、仕切手段を介して他の層の水素吸蔵合金から水素を吸引する。
このように、仕切手段を介して他の層へ水素を移動させたり、他の層から水素を吸引したりする構造であるため、他の層へ移動する水素の圧力損失が小さく、且つ水素の移動経路が従来に比較して大変短くなる。この結果、単位時間当りの水素移動量が多くなって、水素吸蔵合金を利用した熱利用システムの能力を上げることができる。
また、セルは、1つの容器内に水素吸蔵合金の層とそれを仕切る仕切手段との簡単な構造であり、セルの製造コストを下げることができる。
【0008】
層に亘ってパイプフィルタを複数配置した構造であるため、仕切手段から離れた位置の水素吸蔵合金の放出する水素は、パイプフィルタを介して他の層へ導かれる。あるいは、仕切手段から離れた位置の水素吸蔵合金は、パイプフィルタを介して他の層から水素を吸引する。
このように、仕切手段から離れた位置の水素吸蔵合金であっても、パイプフィルタによってスムーズに水素の吸蔵や放出を行うことができる。また、水素を放出する層と水素を吸蔵する層との間に、他の層が介在する場合でも、パイプフィルタによって間に介在する層をバイパスすることができ、結果的にスムーズに水素の吸蔵や放出を行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、実施例および変形例に基づき説明する。
〔実施例の構成〕
この実施例を図1〜図4を用いて説明する。なお、図1はセルの要部断面斜視図、図2はセルの断面図、図3は積層したセルの斜視図である。
薄型に設けられたセルSは(図1、図2参照)、図3に示すように積層されて使用されるものであり、例えば冷房装置として使用する場合は、セルSの内部に封入した水素吸蔵合金の水素放出作用によって生じた吸熱によって、セルSに沿って流れる冷熱出力用熱媒体(例えば、水)を冷却し、その冷却された冷熱出力用熱媒体で室内に吹き出される空気を冷却して室内を冷房するものである。
【0010】
この実施例では、2段サイクルを示すものであり、薄型に設けられたセルSの積層体グループが少なくとも3つ用いられるものである。つまり、水素駆動を行う積層体グループと、第1冷熱出力を行う積層体グループと、第2冷熱出力を行う積層体グループとが用いられるものである。
【0011】
2段サイクルを構成するものでは、1つのセルSの内部には水素平衡圧力が異なる3種の水素吸蔵合金が封入される。この3種の水素吸蔵合金は、高温合金HM(同一平衡水素圧で水素平衡温度が最も高い高温度水素吸蔵合金の粉末)と、中温合金MM(中温度水素吸蔵合金の粉末)と、低温合金LM(同一平衡水素圧で水素平衡温度が最も低い低温度水素吸蔵合金の粉末)とに分類されるものであり、図1に示すように、1つの薄型のセルS内に3つの層に別れて封入される。つまり、セルSの内部には、高温合金HMによる第1の層S1 と、中温合金MMによる第2の層S2 と、低温合金LMによる第3の層S3 とが設けられる。
なお、各合金種の関係を図4のPT冷凍サイクル線図を用いて説明すると、水素吸蔵合金の特性が、相対的に高温側(図示左側)にあるのが高温合金HM、低温側(図示右側)にあるのが低温合金LM、両者の中間にあるのが中温合金MMである。
【0012】
1つのセルSの内部の3つの層S1 、S2 、S3 は、仕切手段1によって仕切られている。この仕切手段1は、各層S1 、S2 、S3 間の水素移動を可能とし、且つ各層S1 、S2 、S3 間の水素吸蔵合金の移動を阻止するものである。この実施例の仕切手段1は、各層S1 、S2 、S3 に亘って配置されたパイプフィルタ2が複数貫通配置されるものであり、このパイプフィルタ2によって各層S1 、S2 、S3 間の水素移動を可能にしている。このパイプフィルタ2は、セルSの内部の全域にほぼムラなく配置されている。パイプフィルタ2は、水素が素通りできるパイプ状のフィルタであり、パイプに形成された多数の微小穴によって水素が素通りでき、且つ水素吸蔵合金がパイプ内に進入するのを阻止するように設けられている。この微小穴は、金属パイプにエッチング処理して形成されたものである。
【0013】
セルSは、プレス成形された一対のプレート3、4をろう付けや溶接等により接合して構成されるものであり、セルSの内部には上述のように3つの層S1 、S2 、S3 に分けられた水素吸蔵合金(高温合金HM、中温合金MM、低温合金LM)を収容する3つの合金収容室が形成され、セルSとセルSとの間には、熱媒体が流れる熱媒体通路(熱媒体の流れを図1の矢印に示す)が形成される。この熱媒体通路は、各層の水素吸蔵合金毎に対応して独立して熱媒体を流すように設けられるものである。合金収容室および水素通路を形成する部分のプレート3、4は、波状に形成されており、熱媒体と水素吸蔵合金との熱交換率を向上するように設けられている。
また、各層S1 、S2 、S3 を仕切る仕切手段1は、パイプフィルタ2が貫通配置される帯状に形成されており、その帯状部分には、各層の熱の伝達を抑制するための断熱穴1aが形成されている。
【0014】
2段サイクルは、高温合金HMから低温合金LMへ水素を移動させる水素駆動部と、低温合金LMから中温合金MMへ水素を移動させる第1冷熱出力部と、中温合金MMから高温合金HMへ水素を移動させる第2冷熱出力部とから構成される。
【0015】
水素駆動部は、加熱用熱媒体と高温合金HMとを熱交換して高温合金HMを加熱するとともに、冷却用熱媒体と低温合金LMとを熱交換して低温合金LMを冷却することで、高温合金HMから低温合金LMへ水素を移動させるものである。この時、中温合金MMは抑制用熱媒体と熱交換されるものの、その中温合金MMを収容する合金収容室の内圧が上昇して、中温合金MMが水素を放出するように設定されている。
【0016】
第1冷熱出力部は、冷却用熱媒体と中温合金MMとを熱交換して中温合金MMを冷却することで、低温合金LMから中温合金MMへ水素を移動させるものである。この時、高温合金HMは抑制用熱媒体と熱交換されて、高温合金HMの水素の吸蔵と放出とが抑制される。また、この時、低温合金LMは、室内空気を冷房して冷熱が奪われた冷熱出力用熱媒体と熱交換されるが、その冷熱出力用熱媒体の温度(例えば13℃くらい)では、低温合金LMは水素を放出するように設けられている。
【0017】
第2冷熱出力部は、冷却用熱媒体と高温合金HMとを熱交換して高温合金HMを冷却することで、中温合金MMと低温合金LMから高温合金HMへ水素を移動させるものである。この時、中温合金MMおよび低温合金LMは、室内空気を冷房して冷熱が奪われた冷熱出力用熱媒体と熱交換されるが、その冷熱出力用熱媒体の温度(例えば13℃くらい)では、低温合金LMは水素を放出するように設けられている。
【0018】
ここで、第1、第2冷熱出力部で低温合金LMおよび中温合金MMに熱交換される冷熱出力用熱媒体は、低温合金LMおよび中温合金MMが水素を放出する際に熱が奪われて冷房に適した低温(約7℃)になる。
上記で示した加熱用熱媒体は、図示しない加熱手段(例えば、燃焼装置)によって加熱されるものである。
抑制用熱媒体は、加熱用熱媒体の一部が使用されるものである。
冷却用熱媒体は、外気と熱交換されて冷却された熱媒体を使用するものであり、例えばクーリングタワー等を使用して、外気中に熱媒体の一部を蒸発させることによって冷却したものを使用するものである。
【0019】
上記で示した水素駆動部、第1冷熱出力部、第2冷熱出力部は、各層S1 、S2 、S3 の水素吸蔵合金(高温合金HM、中温合金MM、低温合金LM)と熱交換される熱媒体を切り替えることによって実効されるものであり、熱媒体の切替は、図示しない分配器によって成される。つまり、この図示しない分配器によって、3つ以上の積層体グループは、水素駆動部→第1冷熱出力部→第2冷熱出力部の順で切り替えられる。
【0020】
次に、水素駆動部、第1冷熱出力部、第2冷熱出力部の各作動を数値を用いた一例を用いて説明する。
水素駆動部に切り替えられた積層体グループは、高温合金HMが加熱用熱媒体と熱交換され、中温合金MMが抑制用熱媒体と熱交換され、低温合金LMが放熱用熱媒体と熱交換される。
高温合金HMが加熱用熱媒体(80℃)と熱交換されることにより、高温合金HMを収容する合金収容室の内圧が上昇し、高温合金HMが水素を放出する。
中温合金MMが抑制用熱媒体(56℃)と熱交換されることにより、中温合金MMを収容する合金収容室の内圧が上昇し、中温合金MMが水素を放出する。
低温合金LMが放熱用熱媒体(28℃)と熱交換されることにより、低温合金LMを収容する合金収容室の内圧が下がり、低温合金LMが水素を吸蔵する。
【0021】
このように、高温合金HMが加熱用熱媒体と熱交換され、中温合金MMが抑制用熱媒体と熱交換され、低温合金LMが放熱用熱媒体と熱交換されることにより、高温合金HMの合金収容室内が80℃:1.0MPa、中温合金MMの合金収容室内が56℃:1.0MPa、低温合金LMの合金収容室内が28℃:0.9MPaとなり、高温合金HMが水素を放出(図4の▲1▼)するとともに、中温合金MMも少量の水素を放出(図4の▲1▼’)し、低温合金LMは高温、中温合金HM、MMから放出された水素を吸蔵する(図4の▲2▼)。
そして、水素駆動部が実行された積層体グループは、分配器によって第1冷熱出力部へ切り替えられる。
【0022】
第1冷熱出力部に切り替えられた積層体グループは、高温合金HMが抑制用熱媒体と熱交換され、中温合金MMが放熱用熱媒体と熱交換され、低温合金LMが冷熱出力用熱媒体と熱交換される。
高温合金HMが抑制用熱媒体(58℃)と熱交換されることにより、高温合金HMを収容する合金収容室の内圧が高温合金HMが水素の吸蔵および放出を行わない圧力に設定される。
中温合金MMが放熱用熱媒体(28℃)と熱交換されることにより、中温合金MMを収容する合金収容室の内圧が下がり、中温合金MMが水素を吸蔵し、低温合金LMが水素を放出する。
低温合金LMが水素を放出するため、低温合金LMの合金収容室内で吸熱が生じ、低温合金LMと熱交換された冷熱出力用熱媒体が例えば7℃に冷やされる。なお、低温合金LMは、室内空気へ吹き出される空気と熱交換して温度上昇した冷熱出力用熱媒体の温度が例えば13℃くらいでは、低温合金LMを収容する合金収容室の内圧が中温合金MMを収容する合金収容室の内圧より高くなるように設けられている。
【0023】
このように、高温合金HMが抑制用熱媒体と熱交換され、中温合金MMが放熱用熱媒体と熱交換され、低温合金LMが冷熱出力用熱媒体と熱交換されることにより、高温合金HMの合金収容室内が58℃:0.5MPa、中温合金MMの合金収容室内が28℃:0.4MPa、低温合金LMの合金収容室内が13℃:0.5MPaとなり、低温合金LMが水素を放出(図4の▲3▼)し、中温合金MMが水素を吸蔵(図4の▲4▼)する。低温合金LMが水素を放出する際、吸熱作用により低温合金LMと熱交換される冷熱出力用熱媒体から熱を奪い冷熱出力用熱媒体の温度を低下させる。なお、高温合金HMは、抑制用熱媒体と熱交換されて高温合金HMは水素の吸蔵および放出は行わない。
そして、第1冷熱出力部が実行された積層体グループは、分配器によって第2冷熱出力部へ切り替えられる。
【0024】
第2冷熱出力部に切り替えられた積層体グループは、高温合金HMが放熱用熱媒体と熱交換され、中温合金MMおよび低温合金LMが冷熱出力用熱媒体と熱交換される。
高温合金HMが放熱用熱媒体(28℃)と熱交換されることにより、高温合金HMを収容する合金収容室の内圧が下がり、高温合金HMが水素を吸蔵する。
中温合金MMおよび低温合金LMが水素を放出するため、中温合金MMおよび低温合金LMの合金収容室内で吸熱が生じ、中温合金MMおよび低温合金LMと熱交換された冷熱出力用熱媒体が例えば7℃に冷やされる。なお、中温合金MMも、冷熱出力用熱媒体が13℃くらいでは、中温合金MMを収容する合金収容室の内圧が高温合金HMを収容する合金収容室の内圧より高くなるように設けられている。
【0025】
このように、高温合金HMが放熱用熱媒体と熱交換されることにより、高温合金HMの合金収容室内が28℃:0.1MPa、中温合金MMの合金収容室内が13℃:0.2MPa、低温合金LMの合金収容室内が13℃:0.5MPaとなり、中温合金MMが水素を放出(図4の▲5▼)するとともに、低温合金LMも水素を放出(図4の▲3▼’)し、高温合金HMが水素を吸蔵する(図4の▲6▼)。中温合金MMおよび低温合金LMが水素を放出する際、吸熱作用により中温合金MMおよび低温合金LMと熱交換される冷熱出力用熱媒体から熱を奪い冷熱出力用熱媒体の温度を低下させる。
そして、第2冷熱出力部が実行された積層体グループは、分配器によって水素駆動部へ切り替えられる。
【0026】
なお、第1、第2冷熱出力部で低温合金LMおよび中温合金MMが水素を放出する際に熱が奪われて低温になった冷熱出力用熱媒体は、図示しない室内空調機の室内熱交換器に供給されて、室内に吹き出される空気と熱交換されて室内を冷房する。
【0027】
〔実施例の効果〕
仕切手段1として用いたパイプフィルタ2は、水素を素通りさせるものであるため、ある層の内部の水素吸蔵合金が水素を放出する際、その放出された水素はパイプフィルタ2をバイパス手段として流れ、他の層の水素吸蔵合金へ移動する。同様に、ある層の内部の水素吸蔵合金が水素を吸蔵する際、バイパス手段として作用するパイプフィルタ2を介して他の層の水素吸蔵合金から水素を吸引する。
【0028】
このように、セルSの内部に複数配置されたパイプフィルタ2を介して各層S1 、S2 、S3 間において水素の移動が容易に行われる構造であるとともに、水素の移動経路が従来に比較して大変短い。この結果、水素移動のための圧力損失が従来に比較して大変小さく、結果的に単位時間当りの水素移動量が多くなって、ヒートポンプの能力を上げることができる。
また、セルSは、1つの容器内に水素吸蔵合金の層S1 、S2 、S3 と、それを仕切る仕切手段1との簡単な構造であり、セルSの製造コストを下げることができる。
【0030】
〔変形例〕
上記の実施例では、積層グループを固定し、熱媒体を分配器で切り替えて供給する例を示したが、例えば分配器を積層グループと一体化し、積層グループ内で分配器を回転させたり、分配器の周囲で積層グループを回転させたり、分配器の内部で積層グループを回転させるなど、他の手段で各積層体グループに供給される熱媒体を切り替えても良い。
【0031】
上記の実施例では、室内を冷房する例を示したが、冷熱出力用の熱媒体で冷蔵運転や冷凍運転に用いるなど、他の冷却装置として用いても良い。
上記の実施例では、室内を冷房する例に示したが、冷暖房装置に適用しても良い。具体的な一例を示すと、燃焼装置で加熱された加熱用熱媒体を室内空調機の室内熱交換器に導いて室内暖房を行うように設けても良い。また、燃焼装置で加熱された加熱用熱媒体を床暖房マット、浴室乾燥機などに接続し、加熱用熱媒体の供給によって床暖房、浴室暖房などを行うように設けても良い。
【0032】
上記の実施例では、各熱媒体の一例として水を用いたが、不凍液やオイルなど他の液体の熱媒体を用いても良いし、空気など気体の熱媒体を用いても良い。
上記の実施例では、2段サイクルを例に示したが、1段あるいは3段以上のサイクルに本発明を適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 セルの要部断面斜視図である(実施例)。
【図2】 セルの断面図である(実施例)。
【図3】 積層したセルの斜視図である(実施例)。
【図4】 PT冷凍サイクル線図である(実施例)。
【図】 セルの正面図である(従来例)。
【符号の説明】
HM 高温合金(高温水素吸蔵合金)
MM 中温合金(中温水素吸蔵合金)
LM 低温合金(低温水素吸蔵合金)
S セル
S1 第1の層
S2 第2の層
S3 第3の層
1 仕切手段
1a 断熱穴
2 パイプフィルタ

Claims (2)

  1. 水素吸蔵合金の水素の放出時の吸熱、あるいは水素の吸蔵時の放熱を利用した水素吸蔵合金を利用した熱利用システムであって、
    水素吸蔵合金を封入するセルは、同一平衡水素圧で水素平衡温度が異なる水素吸蔵合金を、それぞれ別々の層に封入するように設けられ、
    前記セル内で各層に仕切る仕切手段は、この仕切手段の各部において水素移動可能であり、且つ水素吸蔵合金の移動を阻止するものであり、
    前記セル内には、水素が素通りできるパイプフィルタが前記各層に亘って複数配置され、
    前記仕切手段は、前記パイプフィルタが貫通配置されるものであり、このパイプフィルタによって前記各層の水素移動が可能であり、
    前記セルは、2枚のプレートを接合してなる偏平形状を呈し、前記プレートに形成された波形の窪みを利用して、前記複数のパイプフィルタが等間隔に配置されていることを特徴とする水素吸蔵合金を利用した熱利用システム。
  2. 請求項1の水素吸蔵合金を利用した熱利用システムにおいて
    記仕切手段は、前記パイプフィルタが貫通配置される帯状に形成され、その帯状部分には、前記各層の熱の伝達を抑制するための断熱穴が形成されていることを特徴とする水素吸蔵合金を利用した熱利用システム。
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