JP3924958B2 - 浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴槽水を、よりきれいに浄化できる浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の代表技術として、本発明者らが先に開示した風呂給湯器を図9に示す。
【0003】
図9において、符号101は風呂給湯器の全体構成を示し、給水をバーナで温水に加熱する給湯熱交換器103と、給水路に設けられ、給水温度を検知する水温センサ102および給水流量を検知する水量センサ101と、出湯路に設けられ、温水温度を検知する給湯センサ104および出湯流量を制御する給湯水量制御弁105と、浴槽133の浴槽水134を循環しバーナで温水に加熱する風呂熱交換器111と、浴槽133から前記風呂熱交換器111へ浴槽水134が流れる戻り通路113と、浴槽水134の水位を検出する水位センサ114と、浴槽水134を循環させる循環ポンプ132と、浴槽水134の湯温を検知する風呂センサ109と、給湯と風呂の通路を切り替える三方弁115および風呂熱交換器111とバイパス通路131を切り替えるバイパス三方弁122と、給湯の出湯路と戻り通路113を接続する通路にそれぞれ設けられた給湯電磁弁120および縁切弁121と、前記風呂熱交換器111とバイパス通路131の合流点から下流側にそれぞれ設けられた上部往き通路123および下部往き通路128と、前記上部往き通路123に設けられた排水三方弁124と、この排水三方弁124の下流側にそれぞれ設けられた、排水口130およびろ過材125とアルミニウム陽極126とステンレス陰極を兼用するろ過槽127と、このろ過槽127と前記下部往き通路128の合流点に設けられた循環三方弁129と、この循環三方弁129から浴槽133へ浴槽水134が流れる往き通路112と、浴槽133の浴槽水134が前記三方弁115へ流れる戻り通路113を備えた風呂給湯器である。
【0004】
上記の浴槽水134の浄化メカニズムは、循環ポンプ132を作動すると浴槽水134が戻り通路113,三方弁115,循環ポンプ132,浴槽水134が設定温度より低い場合は、バイパス三方弁131を風呂熱交換器111側に切り替え、上部往き通路123を通り、排水三方弁124をろ過槽127側に切り替え、ろ過槽127に配設したアルミニウム陽極126(ステンレス陰極との間に通電させる)からアルミニウムイオンが溶出し、浴槽水134の汚れ成分を凝集する水酸化アルミニウムが生成し、前記水酸化アルミニウムが汚れ成分を凝集し、ブロック化するとともに、ろ過材125の表面部に凝集層が形成され、この凝集層があたかも微細ろ過材層が形成され、細かな汚れ成分も浄化することが可能となり、浴槽水をよりきれいに浄化し、ろ過層127の下流側に設けた循環三方弁129を往き通路112側に切り替え、往き通路112を通り浴槽132に戻る。
【0005】
一方、浴槽水134が設定温度より高い場合、もしくは風呂熱交換器111で加熱する必要がない場合は、バイパス三方弁131をバイパス通路131側に切り替え、上部往き通路123,排水三方弁124,ろ過槽127で浄化、循環三方弁129,往き通路112を通り浴槽132に戻る。
【0006】
当然のことであるが、上記各種の弁の切り替えは、基本的に浄化信号を受けると、制御部(未図示)により、各種の弁の切り換え終了後、循環ポンプ132を作動させる。また浄化信号と同時もしくは設定時間に自動的に通電することによるアルミニウム陽極からのアルミニウムイオンを溶出させ、ろ過材125の表面部の凝集層で浴槽水を浄化する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、通電すると、アルミニウム陽極からアルミニウムイオンが溶出する一方、当然アルミニウム陽極から酸素ガス、ステンレス陰極から水素ガスが発生し、ろ過槽127の上部に滞留する。この滞留ガスは、通電条件(通電電流×通電時間)により、理論発生ガス量が決定され、前記通電条件,通電電流×通電時間の和が小の場合は、滞留ガスは少なく理論通電ができるが、凝集層が少なく、浄化性能が不十分となる。また特に通電電流×通電時間の和が大の場合は、浄化性能が向上するが、滞留ガスは多くなり理論通電は可能であるが、アルミニウム陽極とステンレス陰極の上部がガス空間層、たとえば電極が完全に水に浸からない状態となり、電流密度が大となり、電解電圧が著しく上昇するため、一般的な直流の定電流回路の上限電圧を著しく高くする必要があり、前記制御部の定電流回路を構成する電源トランスが大きくなり、かつ高価な回路構成にする必要があることから、大変不経済であること、さらにガス空間層が大となると、ろ過槽の上部からの水流により、ガスがガス気泡となり、前記ガス気泡がろ過材表面まで達し、ろ過材の表面部に形成された凝集層を破壊し、浄化性能が著しく低下するという新たな課題を見出したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1手段は、給水および浴槽水を温水に加熱する加熱部と、給水回路に設けられ給水温度を検知する給水水温検知部および給水流量を検知する流量検知部と、給湯回路に設けられ温水温度を検知する給湯水温検知部および給湯流量を制御する給湯水量制御部と、浴槽水循環回路に給湯する給湯弁部および前記給湯弁部の上流に給湯水および浴槽水の流れを検知する水流検知部と、前記浴槽水循環回路に浴槽水を循環する循環ポンプと、さらに浴槽水循環回路として循環回路,浄化回路,排水回路の回路構成を設け、浄化回路の一部に上部にアルミニウム陽極と耐食性金属陰極とを対極に設け、下部にろ過材を配設したろ過槽と、ろ過槽の下流側に浄化回路と循環回路を切り換える切換弁A、循環ポンプと給湯弁部との間に浴槽水循環回路を開閉する切換弁B、給湯弁部とろ過槽との間に浄化回路と循環回路に切り換える切換弁C、排水回路を開閉する切換弁Dを各々配設した構成において、前記アルミニウム陽極と耐食性金属陰極に通電した時に発生する生成ガスをろ過槽より排出する手段として、切換弁A,切換弁B,切換弁C,切換弁Dをガス抜き回路に切り換えした後、前記ガス抜き回路に一定時間通水してガス抜き制御手段を設けたものである。
【0009】
上記した第1手段によれば、切換弁A,切換弁B,切換弁C,切換弁Dをガス抜き回路に切り換えした後、前記ガス抜き回路に一定時間通水し、ろ過槽の上部に通電電解して発生した酸素ガス,水素ガスの滞留ガスを、ろ過槽の上部口より吸入通水し、前記滞留ガスを追い出す(ガスパージ)ことにより、ろ過槽の上部まで満水状態として、通電電解することができ、常に電流密度を一定密度で通電電解するとともに、低い電解電圧を保ちながら、予め設定した凝集量がろ過材の表面部に安定した凝集層が形成できる。この安定した凝集層の形成により、浴槽水の汚れ成分を凝集ろ過して、浴槽水をきれいに浄化することができる。
【0010】
また、前記電解電圧が低電圧になることにより、一般的に、浴槽水循環回路の一部に通電する場合、直流電解電圧は30V以下が望ましいことから、定電流回路に使用する電源トランスを小型化したものが使用できることから、制御部の設置スペースを小さくでき、安全性と経済性とを兼ね備えた浄化装置を構成することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施形態は、給水および浴槽水を温水に加熱する加熱部と、給水回路に設けられ給水温度を検知する給水水温検知部および給水流量を検知する流量検知部と、給湯回路に設けられ温水温度を検知する給湯水温検知部および給湯流量を制御する給湯水量制御部と、浴槽水循環回路に給湯する給湯弁部および前記給湯弁部の上流に給湯水および浴槽水の流れを検知する水流検知部と、前記浴槽水循環回路に浴槽水を循環する循環ポンプと、さらに浴槽水循環回路として循環回路,浄化回路,排水回路の回路構成を設け、浄化回路の一部に上部にアルミニウム陽極と耐食性金属陰極とを対極に設け、下部にろ過材を配設したろ過槽と、ろ過槽の下流側に浄化回路と循環回路を切り換える切換弁A、循環ポンプと給湯弁部との間に浴槽水循環回路を開閉する切換弁B、給湯弁部とろ過槽との間に浄化回路と循環回路に切り換える切換弁C、排水回路を開閉する切換弁Dを各々配設した構成において、前記アルミニウム陽極と耐食性金属陰極に通電した時に発生する生成ガスをろ過槽より排出する手段として、切換弁A,切換弁Bを、切換弁C,切換弁Dをガス抜き回路に切り換えした後、前記ガス抜き回路に一定時間通水してガス抜き制御手段を有するものである。
【0012】
そして、アルミニウム電極と耐食性金属陰極に通電することより、発生する生成ガス(酸素ガス,水素ガス)がろ過槽の上部に滞留する滞留ガスを、ろ過槽の上部に設けた吸入口から通水し、前記滞留ガスをガス抜きすることにより、安定した凝集剤が生成し、ろ過材の表面部に凝集層として形成され、浴槽水の汚れ成分をきれいにろ過浄化することができる。
【0013】
本発明の第2実施形態は、通水手段として、循環ポンプによる浴槽水の通水または給湯弁部の開による給水の通水する通水制御手段を有するものである。
【0014】
そして、循環ポンプによる浴槽水の循環は、簡便作動でガス抜きができる。一方、給湯弁部と水量制御部を設定された制御にするのに、やや時間が必要となるが、予め設定した水量で確実にガス抜きができる。
【0015】
本発明の第3実施形態は、アルミニウム陽極と耐食性金属陰極の設定通電時間内に複数回通水する制御手段を有するものである。
【0016】
そして、設定通電時間に発生した滞留ガスを複数回に別けて、通水排出させることにより、滞留ガス量を電解電圧に影響しない、すなわち安定した電流密度、低電圧に保つ最少限量に留めることにより、ろ過材の表面部に凝集層を、より確実に形成できる。
【0017】
本発明の第4実施形態は、アルミニウム陽極と耐食性金属陰極に、通電と非通電の繰り返し制御において、前記非通電時に通水する制御手段を有したものである。
【0018】
そして、まず通電と非通電をくり返すことにより、、特に非通電時、生成ガスを上部に上昇させ、電極面から脱離させると、次の通電時、生成ガスがないことから、電解電圧を低い状態から開始できること、さらに非通電時に通水することにより、滞留ガスをより確実に排出することができる。
【0019】
本発明の第5実施形態は、アルミニウム陽極と耐食性金属陰極に通電する前に、通水する制御手段を有したものである。
【0020】
そして、通電する前に、通水し滞留ガス(生成ガス,溶存空気分離ガスおよび空気ガス)をガス抜きすることにより、常に滞留ガスをなくし、通電、すなわち電解電圧を低い状態から開始できる。
【0021】
本発明の第6実施形態は、給湯弁部の開時、給水を加熱通水する制御手段を有したものである。
【0022】
そして、加熱通水することにより、ろ過槽内の滞留ガスが加熱通水に加熱され、ガスが体積膨脹して浮上しやすくして、ガス抜き時間を短くできる。
【0023】
本発明の第7実施形態は、給水を少なくとも60℃以下に加熱する制御手段を有したものである。
【0024】
そしてまた、60℃以上に加熱された高温水を通水すると、ろ過材の表面部に形成された凝集層が破壊され、浄化性能が低下することから、凝集層が破壊されない温度とガス抜き時間を考慮し、60℃以下が望ましい。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例における浄化装置について図面を用い説明する。
【0026】
(実施例1)
図1は浄化装置の概略構成、図2は生成ガスのガス抜き制御の概略フローチャート、図3はガス抜き制御の概略タイムチャート、図4はガス抜き回路構成を各々示す。
【0027】
図1において、水は水入口より水温センサからなる給水水温検知部1、水量センサからなる流量検知部2を通り、熱交換器と燃焼バーナからなる加熱部18で熱を吸収して、給湯水量制御部4、給湯センサからなる給湯水温検知部3を通り、湯出口(未符号)より放出される。
【0028】
浴槽水20は、循環ポンプ7により浴槽19に取りつけられた風呂接続アダプタ21,戻り通路22,ふろセンサからなる浴槽水水温検知部8、水位センサからなる水位検知部25,循環ポンプ7,二方弁からなる切換弁B15,水流スイッチからなる水流検知部6,加熱部18,三方弁からなる切換弁C16,三方弁からなる切換弁A14,往き通路23,風呂接続アダプタ21の浴槽水循環回路の循環回路を循環する。また浴槽水20は、循環ポンプ7により浴槽19に取りつけられた風呂接続アダプタ21,戻り通路22,ふろセンサからなる浴槽水水温検知部8,循環ポンプ7,二方弁からなる切換弁B15,水流スイッチからなる水流検知部6,加熱部18,三方弁からなる切換弁C16,ろ過材13(アルミナボール:粒子径0.3〜0.5mmを使用)を配設しているろ過槽12,三方弁からなる切換弁A14,往き通路23,風呂接続アダプタ21の浴槽水循環回路の浄化回路を循環する。
【0029】
一方、浴槽19への給湯は、水は注湯弁からなる給湯弁部5を開くと、水は水入口より水温センサからなる給水水温検知部1、水量センサからなる流量検知部2を通り、熱交換器と燃焼バーナからなる加熱源18で熱を吸収して、給湯水量制御部4、給湯センサからなる給湯水温検知部3、給湯弁部5を通り、給湯機能制御(詳細は省略する)、すなわち二方弁からなる切換弁B15を開制御すると、2回路給湯として、循環ポンプ7,戻り通路22と加熱部18,切換弁C,循環回路9,往き通路23を各々通り、浴槽19に取りつけられた風呂接続アダプタ21よりお湯はりされる。一方、二方弁からなる切換弁B15を閉制御すると、1回路給湯として、加熱部18,切換弁C16,循環回路9,往き通路23を各々通り、浴槽19に取りつけられた風呂接続アダプタ21よりお湯はりされる。本発明では、詳述しないが、特に全自動の場合、符号は省略しているが、戻り通路22と循環ポンプ7との間に、お湯はり水位(湯量)を検知する水位センサ25により、浴槽水20を正確にお湯はり時、自動足し湯する時に用いる。
【0030】
他方、ろ過槽12は、上記した顆粒状のアルミナボールからなるろ過材13(図示は省略しているが、ろ過材13を保持するろ床の上部に充填されている)と、前記ろ過材13の上部に一定の空間を設け、円筒形状からなるアルミニウム陽極26と、アルミニウム陽極26の外周に耐食性金属陰極として、円筒形状のステンレス陰極27を対極に設けた構成からなる。
【0031】
図4において、まず浴槽水20を利用して通水するガス抜き制御は、手動でリモコン24の浄化SWを「ON」すると、まず各種切換弁A,B,C,Dを浄化回路に切り換え、循環ポンプ7が作動し、浴槽水20が浄化回路を循環するとともに、凝集通電が開始される。そして凝集通電が一定時間経過すると、循環ポンプが停止し、各種切換弁A,B,C,Dをガス抜き回路に切り換える。すなわち、浴槽水20の戻り回路22の一部に設けている切換弁B15を「開」に切り換え、浴槽水20が循環する循環水回路に切り換える。またろ過槽12の下部に設けた切換弁A14を前記ろ過槽12からの通水を無くするように、「閉」回路に切り換える。また、浄化回路10側と循環回路9側に切り換える切換弁C16を浄化回路10側に切り換える。そしてまた、ろ過槽12から排水回路11側に切り換える切換弁D17を排水回路11側に切り換える。ここで重要なことは、前記ろ過槽12の下部に設けた切換弁A14を、必ず「閉」回路に切り換え、ガス抜き通水することがポイントである。
【0032】
上述した各種切換弁をガス抜き回路に切り換えた後、循環ポンプ7を一定時間作動させる。もし、ろ過槽12の下部に設けた切換弁A14が「開」で通水すると、ろ過槽12の上部に設けた浄化回路10から通水された水がろ過槽12を通り、前記ろ過槽12の上部に滞留している滞留ガス28は、下流側に流れようとするだけで、ガスは流速に打ち勝ってすぐに浮上してしまう。前記現象を繰り返すだけで、ガス抜きすることができない。一方、本発明のろ過槽12の下部に設けた切換弁A14を「閉」で通水すると、ろ過槽12の上部に設けた浄化回路10から通水の一部が流入し、ろ過槽12の下部への流れがないため、ろ過槽12内が満水になる方向となり、当然ろ過槽12の上部の滞留ガス28が吸入水により、押し出され、排水回路11側に流出される。本発明者らは、なぜ滞留ガス28が排出されるか現象を突き止めた。すなわち、浄化回路10から排水回路11側に通水すると、通水流により、ろ過槽12の上部の吸入口部29が負圧状態となり、ろ過槽12上部の滞留ガス28が通水流に混入され排出される。この現象は、あたかも通水流が空気を吸い込むの現象であるエジェクタと同作用となるもので、滞留ガス28が排出されると、吸入口部29から通水の一部が流入し、ろ過槽12内が満水になる方向と作用するものである。図中、黒三角は、「閉」回路を意味する。
【0033】
そして、ガス抜き回路で循環ポンプ7を再び作動し、一定時間ガス抜き通水を行い、設定時間経過すると、循環ポンプ7を停止し、再び各種切換弁A,B,C,Dを浄化回路に切り換え、浄化運転する。図示はしていないが、給湯弁部5使用して通水する場合は、切換弁B15を「閉」回路、上述した切換弁A14,C16,D17はガス抜き回路とし、前記給湯弁部5を「開」とし、一定時間通水することにより、ろ過槽12の上部に滞留している滞留ガス29を同作用で排出することができる。
【0034】
前記に記述した通水を時間制御する一定時間とは、ガス抜き時間を意味し、電解通電条件による生成ガス量と通水量により決定させる。一例で説明すると、ろ過槽12の大きさが内径φ100mm,高さ250mm,ろ過材13の顆粒径0.3〜0.5mmでろ過材層60mm,アルミニウム陽極26形状として、外径φ75mm,長さ100mm,内径φ40の穴形状,ステンレス陰極27形状として、内径φ90,長さ100mmで、板厚0.6mmで、前記ろ過槽12の上部面とアルミニウム陽極26,ステンレス陰極27を同一面とし、前記ろ過槽12の上部面と電極の上面との空間距離15mmの場合、(1)通電電流:350mA,(2)通電時間:30分で発生する生成ガス量は、約120cm3 (詳細な計算は省略する……クーロンの法則),(3)通水量:6l/分において、(4)ガス抜き時間:35秒以上が必要で、好ましくは40秒が最適条件であった。
【0035】
(実施例2)
実施例1では詳述しなかったが、浴槽水20の汚れ度が濁度2.0度の場合、前記濁度2.0度を1.0度(本発明者らが目視評価できれいと感じる濁度)にするための電解通電条件は、(1)通電電流:350mA,(2)通電時間:60分,(a)浴槽水20の循環流量条件:6l/分で浄化することができるが、前記条件での発生する生成ガス量は、約240cm3 の場合、約30分で電極の上面に滞留ガス29が達し、そのまま通電すると、電極の上部が水に浸せきしないままとなり、当然電解電圧が上昇、言い換えれば電流密度が大となり、通電用定電流回路に大きく影響してしまう。一例であるが、通電用定電流回路の最大電圧は、入浴する水回路に使用する場合、30V以下が望ましいことから、前記滞留ガスが多量に発生し、電解電圧が、30V以上になると、定電流回路では、設定した通電電流が低下する。通電電流が低下することは、必要な凝集剤の生成と、ろ過材13の表面部に形成する凝集層が少なくなり、浄化機能が低下してしまうことから、電極の上部に滞留ガスが達しない前に、前記滞留ガスをガス抜き回路にし、ガス抜き通水する必須条件となる。
【0036】
よって設定通電時間内に複数回ガス抜き通水制御が必要で、前記ガス抜き通水制御として、ガス抜き回数は、通電電解条件により異なるが、滞留ガスの理論生成量が10〜100cm3 に1回程度ガス抜き通水することが望ましい。上述したろ過槽構成では、本発明者らの実験検証により、(1)通電電流:350mAの場合、10分〜20に1回ガス抜き通水することにより、確実に滞留ガスを排出させると、電解電圧が上昇することなく、安定した低電圧で通電ができ、浴槽水の浄化性能を安定して保持することができる。
【0037】
(実施例3)
通電電解制御とガス抜き制御の制御方法を、図5(a)のフローチャート、(b)のタイムチャートに示す。
【0038】
図中、通電電解制御として、通電と非通電を繰り返し制御するとともに、前記非通電に、ガス抜き制御として、各種切換弁をガス抜き回路に切り換え後、循環ポンプを作動し通水するか、または給湯弁部を開として給水するものである。
【0039】
非通電にガス抜き通水することにより、前記非通電時、生成ガスは電極表面から脱離し、ろ過槽の上部に上昇滞留させることにより、通水により確実に滞留ガスを排出できる。また非通電時、生成ガスは電極表面から脱離することにより、ガス分圧(ガス濃度)による、局部的な電圧を無くし、安定した電圧、すなわちより安定した定電流で通電をすることができる。
【0040】
(実施例4)
通電電解制御とガス抜き制御の制御方法を図6のタイムチャートに示す。
【0041】
図中、通電電解制御する前に、必ずガス抜き制御をすることにより、浴槽水循環回路に、各種条件で混入滞留される空気、例えば入浴剤から発生するガスや吸着空気等が循環ポンプを作動(浄化や沸き上げ)するとろ過槽12の上部に滞留空気が滞留しやすく、この滞留空気が多くなると、実施例1で詳述したように、通電で悪影響することから、通電電解制御する前に、ガス抜き制御することにより、安定し、かつ浄化に必要なろ過材の表面部に凝集層を形成することができる。
【0042】
通電電解制御する前のガス抜き制御として、複数回繰り返し制御、すなわち通水とガス抜きを繰り返し制御することにより、より確実にガス抜き作用効果が大となることから、本発明の範囲である。
【0043】
(実施例5)
ガス抜き制御時の通水を加熱制御するフローチャートを図7に示す。
【0044】
ガス抜き制御時、図1の浄化装置の加熱部18(熱源がガスの場合、バーナ燃焼し熱交換器で加熱や熱源が電気の場合、直接加熱等)で通水を加熱することにより、温水により、粘性が低く(小さく)なり、ろ過槽12に吸入されやすくなること、さらに前記温水により、滞留ガスが加熱され体積膨脹して浮上しやすくなり、ガス抜き時間が短縮することができる。さらにまた、ろ過槽12の湯温が上昇し、電解電圧を低下させる方向となり、安定して凝集剤を生成に寄与する良化する方向に働くものである。
【0045】
(実施例6)
通水加熱制御時のガス抜き時間と、浄化性能(濁度)比較を図8に示す。
【0046】
図中、通水温度を(1)23℃,(2)35℃,(3)55℃,(4)60℃,(5)70℃に変化させたもので、通水温度が高くなると、ガス抜き時間は短くなる。これは実施例5で詳述したように、粘性が低く(小さく)なり、ろ過槽12に吸入されやすく、滞留ガスが加熱され体積膨脹して浮上することによる。一方、通水温度が高く、特に高温になると、ろ過材13の表面部に形成された凝集層が破壊、すなわち凝集剤の結合力が低下し、凝集層の機能(凝集層の開孔目が大きくなり、浴槽水20中の細かな汚れ成分、例えば一般細菌等の物理ろ過性能が著しく悪化する)が変化して、浄化性能が低下することから、ガス抜き時間と凝集機能を考慮すると、望ましい通水温度は、35〜60℃、より好ましい通水温度は、35〜55℃の範囲である。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明から明らかのように、本発明の浄化装置によれば次の効果が得られる。
【0048】
ガス抜き回路側に各種切換弁を切り換え後、一定時間通水することにより、ろ過槽の上部に滞留している滞留ガスを排出させ、通電時の電解電圧の安定と、凝集剤を一定量、確実に生成させ、浴槽水の汚れ成分をろ過材層で浄化し、きれいにすることができる。
【0049】
また、通水手段として、循環ポンプによる浴槽水または給湯弁部を開とし給水を通水することにより、確実に滞留ガスを排出することができる。
【0050】
また、設定通電時間内に、複数回ガス抜き通水することにより、電解電圧を上昇させなくし、より電解電圧を安定し、凝集剤を一定量、確実に生成することができる。
【0051】
また、通電と非通電を繰り返すとともに、前記非通電時に、通水することにより、より確実にガス抜きをすることができる。
【0052】
また、通電する前に、ガス抜き通水をすることにより、循環水回路に混入した空気を排出し、より電解電圧を安定し、凝集剤を一定量、確実に生成することができる。
【0053】
また、加熱通水することにより、ガス抜き時間を短くすることができる。
そしてまた、加熱通水温度を60℃以下にすることにより、ろ過材の表面部に形成された凝集層を破壊することなくなり、安定した浄化性能を保つことができる。実施例のろ過材は、アルミナボールろ過材であるが、ガラスビーズろ過材,浜砂ろ過材などの顆粒状のろ過材には、すべて適用できる。他方、実施例では詳述していないが、カートリッジフィルタ,すなわち繊維性フィルタ,糸巻きフィルタ,ガラス繊維フィルタやステンレス繊維フィルタ,多孔質セラミックフィルタ等にも、本発明の浄化装置のガス抜き制御方法が有効である。
【0054】
また、実施例では、リモコンによる手動操作で説明したが、自動制御手段、たとえば浄化装置により、自動的に浴槽に給湯する場合は、浴槽水が風呂接続アダプタ以上に給湯または水位センサや水位スイッチ等の予め設定した水位量により、浴槽に水位が有りと判定、より確実な方法として、ユーザが設定した水位と設定した湯温を判定すると、通電制御とガス抜き制御する自動制御方法も本発明の範囲である。
【0055】
さらにまた、本発明では、耐食性金属陰極としてステンレス陰極で説明したが、耐食性金属とは、通常の浴槽水で、サビ等により浴槽水が明らかに汚れる成分(浴槽水が変色等)が溶出するもの以外で、例えばアルミニウム,銅,ニッケル,チタン,白金,金,銀等の純板および鉄合金,アルミニウム合金,銅合金等が使用できるが、経済性とサビ等の考慮すると、オーステナイト系ステンレス,アルミニウムが好ましい陰極材料である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の浄化装置の構成図
【図2】本発明の実施例1の浄化装置におけるガス抜き制御のフローチャート
【図3】同制御のタイムチャート
【図4】同制御のガス抜き回路の構成図
【図5】(a)本発明の実施例3の浄化装置におけるガス抜き制御のフローチャート
(b)同制御のタイムチャート
【図6】本発明の実施例4の浄化装置におけるガス抜き制御のタイムチャート
【図7】本発明の実施例5の浄化装置におけるガス抜き制御のフローチャート
【図8】本発明の実施例6の浄化装置におけるガス抜き制御のガス抜き時間と浄化性能比較図
【図9】従来の風呂給湯器の構成図
【符号の説明】
1 給水水温検知部
2 流量検知部
3 給湯水温検知部
4 給湯水量制御部
5 給湯弁部
6 水流検知部
7,132 循環ポンプ
8 浴槽水水温検知部
9 循環回路
10 浄化回路
11 排水回路
12,127 ろ過槽
13,125 ろ過材
14 切換弁A
15 切換弁B
16 切換弁C
17 切換弁D
18 加熱部
19,133 浴槽
20,134 浴槽水
21 風呂接続アダプタ
22 戻り通路
23 往き通路
24 リモコン
25 水位検出部
26,126 アルミニウム陽極
27 ステンレス陰極
28 滞留ガス
29 吸入口部

Claims (7)

  1. 給水および浴槽水を温水に加熱する加熱部と、給水回路に設けられ給水温度を検知する給水水温検知部および給水流量を検知する流量検知部と、給湯回路に設けられ温水温度を検知する給湯水温検知部および給湯流量を制御する給湯水量制御部と、浴槽水循環回路に給湯する給湯弁部および前記給湯弁部の上流に給湯水および浴槽水の流れを検知する水流検知部と、前記浴槽水循環回路に浴槽水を循環する循環ポンプと、浴槽水循環回路として循環回路,浄化回路,排水回路の回路構成を設け、浄化回路の一部に上部にアルミニウム陽極と耐食性金属陰極とを対極に設け、下部にろ過材を配設したろ過槽と、ろ過槽の下流側に浄化回路と循環回路を切り換える切換弁A、循環ポンプと給湯弁部との間に浴槽水循環回路を開閉する切換弁B、給湯弁部とろ過槽との間に浄化回路と循環回路に切り換える切換弁C、排水回路を開閉する切換弁Dを各々配設した構成において、前記アルミニウム陽極と耐食性金属陰極に通電した時に発生する生成ガスをろ過槽より排出する手段として、切換弁A,切換弁Bを、切換弁C及び切換弁Dをガス抜き回路に切り換えした後、前記ガス抜き回路に一定時間通水してガス抜き制御してなる浄化装置。
  2. 通水手段として、循環ポンプによる浴槽水の通水また給湯弁部の開による給水の通水としてなる請求項1記載の浄化装置。
  3. アルミニウム陽極と耐食性金属陰極の設定通電時間内に複数回通水してなる請求項1記載の浄化装置。
  4. アルミニウム陽極と耐食性金属陰極に通電と非通電を繰り返す制御において、前記非通電時に通水してなる請求項1記載の浄化装置。
  5. アルミニウム陽極と耐食性金属陰極に通電する制御前に、通水してなる請求項1記載の浄化装置。
  6. 給湯弁部の開時、給水を加熱通水してなる請求項2記載の浄化装置。
  7. 給水を少なくとも60℃以下に加熱制御してなる請求項6記載の浄化装置。
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