JP3924602B2 - 芳香族ポリカーボネート組成物および製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート組成物および製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は膨潤性層状珪酸塩を均一に分散させてなる芳香族ポリカーボネート組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネートは、優れた透明性や耐熱性、機械的性質などを有しているため、フィルム、樹脂などとして広範囲に使用されている。また、ポリマー単独では機械物性、耐熱性が不十分な場合、無機質充填剤を強化剤として用いることにより向上させる試みがなされている。たとえば無機質充填剤として、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、ガラスフレーク、タルク、マイカ、カオリン等が使用されている。
【0003】
しかし機械物性、耐熱性を十分満足させるためには強化剤を大量に添加する必要があり、この場合、強度や耐熱性は向上するものの、透明性や靭性、表面性が大きく低下し、さらには比重が大きくなるという問題がある。
【0004】
この原因として、無機質充填剤の分散不良や分散粒子のサイズが大きすぎることが考えられる。そこで最近になって無機質充填剤を分子レベルで分散させることで、非常に少量の含有量で、高度の強靭性、強度、ガスバリア性、さらには高度の熱安定性や難燃性を実現する研究が盛んに行われている。芳香族ポリカーボネートの場合、この技術により透明性を失うことなく機械強度や耐熱性の向上が期待されるため、自動車用窓、ハウジングへの用途が考えられる。
【0005】
上記無機質充填剤として膨潤性層状珪酸塩がある。膨潤性層状珪酸塩は厚さ1nmの単位層が数百枚程度積層をなしており、ポリマー中にある程度均一に分散したとしても分子レベルで分散することはこれまで不可能であった。
【0006】
しかし、特開昭第62−74957号公報において、ポリアミド中に4級アンモニウム塩で処理した膨潤性層状珪酸塩を分子レベルで分散させることが可能であることが報告され、その後ポリイミド(特開平第4−33955号公報,特開平第9−194723号公報,特開平第9−208822号公報)、エポキシ化合物(Chem.Mater.,5,1064(1994))、ポリスチレン(J.Am.Chem.Soc.,121,1615(1999))、ポリプロピレン(J.Appl.Polym.Sci.,63,137(1997))においても同様な報告がなされてきた。しかし、芳香族ポリカーボネートにおいては特開平第7−228762号公報に均一分散させる方法が開示されているが、ポリアミドのように分子レベルでの均一分散は達成されていない。芳香族ポリカーボネートはポリアミドとは異なり分子鎖中にエステル結合やベンゼン環を有するという構造上の特性から、膨潤性層状珪酸塩を4級アンモニウム塩で処理した程度では、分子レベルでの均一分散は達成されないことが考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、芳香族ポリカーボネート中における膨潤性層状珪酸塩の分散の問題に解決を与え、芳香族ポリカーボネート中に膨潤性層状珪酸塩を分子レベルで均一分散させる技術を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0009】
【課題を解決するための手段】
酸成分として、スルホン酸基を持つ芳香族ジカルボン酸残基を有する芳香族ポリカーボネート共重合体を相溶化剤として用いることにより、膨潤性層状珪酸塩が芳香族ポリカーボネート中に分子レベルで均一に分散できることが見出された。
【0010】
すなわち、本発明の一態様によれば、芳香族ポリカーボネートと、ジカルボキシ成分の10モル%以下のスルホン酸基を含有する芳香族ポリカーボネート共重合体と、膨潤性層状珪酸塩とをブレンドしてなる芳香族ポリカーボネート組成物が提供される。
【0011】
スルホン酸基が芳香族ポリカーボネート共重合体に含まれる芳香族ジカルボン酸残基の置換基であること、スルホン酸基がジカルボキシ成分の2〜5モル%であること、膨潤性層状珪酸塩が、有機オニウムイオンで処理されたものであること、その有機オニウムイオンが4級アンモニウムイオンであること、とりわけ下記式(1)で示されるものであること、
【0012】
【化2】
Figure 0003924602
【0013】
(式(1)中、R1,R2,R3およびR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基または−(OCH2CH2n−O−R5(R5は炭素数1〜30のアルキル基)である。)
膨潤性層状珪酸塩がモンモリロナイトおよび/または膨潤性マイカであること、芳香族ポリカーボネート組成物中に占める芳香族ポリカーボネート共重合体の量が0.5〜20重量%であり、かつ膨潤性層状珪酸塩の量が0.5〜10重量%であることが好ましい。
【0014】
本発明の他の一態様によれば、芳香族ポリカーボネートと、ジカルボキシ成分の10モル%以下のスルホン酸基を含有する芳香族ポリカーボネート共重合体と、膨潤性層状珪酸塩とを同時にブレンドする芳香族ポリカーボネート組成物の製造方法が提供される。
【0015】
なお、以下に説明する発明の実施の形態の中で、本発明の更なる特徴が明らかにされる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を実施例等を使用して説明する。なお、これらの実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【0017】
本発明で使用される膨潤性層状珪酸塩は、陽イオン交換能を有し、さらに層間に水を取り込んで膨潤する性質を示す層状珪酸塩で、スメクタイト系粘土鉱物や膨潤性マイカを例示することができる。たとえば、スメクタイト系粘土鉱物として、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリロナイトまたはこれらを天然または化学的に合成したもの、またこれらの置換体、誘導体、またはブレンド物を挙げることができる。膨潤性マイカとしては、化学的に合成した層間にたとえばLi,Naイオンを持った合成膨潤性雲母またはこれらの置換体、誘導体またはブレンド物を挙げることができる。膨潤性層状珪酸塩がモンモリロナイトおよび/または膨潤性マイカであることが好ましい。アスペクト比が50〜200と大きく、物性の向上効果が大きいからである。膨潤性層状珪酸塩の形態は、一般に、厚さ1nm,長さ100nm程度の板状を特徴とする。
【0018】
本発明では、上記膨潤性層状珪酸塩を有機オニウムイオンによって処理したものを用いるのが好ましい。分子レベルの分散を促進できるからである。
【0019】
使用される有機オニウムイオンは4級アンモニウムイオン、とりわけ、上記式(1)の構造を有する4級アンモニウムイオンが好ましい。芳香族ポリカーボネートに対し相溶性が高いからである。ここで、炭素数1〜30のアルキル基としては、炭素数1〜18のアルキル基がより好ましい。なお、R5の炭素数1〜30のアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
【0020】
上記式(1)で表される有機オニウムイオンとして具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライドドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オレイルジメチルベンジルクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンテトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンオレイルジメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンドデシルメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンテトラデシルメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンヘキサデシルメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンオレイルメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。
【0021】
膨潤性層状珪酸塩の有機オニウムイオンでの処理方法は、通常、膨潤性層状珪酸塩1重量部と有機オニウムイオン1〜10重量部とを水中でブレンドした後、乾燥する。水の量は膨潤性層状珪酸塩の1〜100倍である。またブレンドするときの温度は30℃〜70℃が好ましく、ブレンド時間は0.5〜2時間が好ましい。乾燥条件としては、70〜100℃で3日間常圧乾燥し、ついで2日間真空乾燥するが好ましい。
【0022】
芳香族ポリカーボネート共重合体や本明細書で単に「芳香族ポリカーボネート」という場合の芳香族ポリカーボネートを作製する場合の原料モノマーとしては、公知の芳香族ポリカーボネート原料であるビスフェノール類とビスアルキルカーボネート、ビスアリールカーボネート、ホスゲン等の炭酸ジエステルとが使用可能である。
【0023】
ビスフェノール類としては、具体的にはビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニルプロパン)、2,2−ビス(4,4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、フェノールフタレイン等が挙げられる。
【0024】
ビスアルキルカーボネート類としては、具体的にはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート等が挙げられる。また、ビスアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネート、ビス(2,4−ジクロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)カーボネート、ビス(2−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2−シアノフェニル)カーボネート、ビス(4−メチルフェニル)カーボネート、ビス(3−メチルフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネート等が挙げられる。
【0025】
ビスフェノールとしてはビスフェノールAが、炭酸ジエステルとしてはジフェニルカーボネートが好ましい。
【0026】
本発明に使用される芳香族ポリカーボネートの製造方法には特に制限はないが、以下の3つの方法が例示できる。
【0027】
(1)ビスフェノール類のアルカリ金属塩と求核攻撃に活性な炭酸ジエステル誘導体とを原料とし有機溶媒とアルカリ水との界面にて重縮合反応させる界面重合法。
【0028】
(2)ビスフェノール類と求核攻撃に活性な炭酸ジエステル誘導体とを原料とし、ピリジン等の有機塩基中で重縮合反応させるピリジン法。
【0029】
(3)ビスフェノール類とビスアルキルカーボネートやビスアリールカーボネート等の炭酸ジエステルとを原料とし溶融重縮合させる溶融重合法。
【0030】
上記芳香族ポリカーボネートは、塩化メチレン溶媒に溶解し、25℃で測定を行ったとき、溶液粘度が0.3〜0.5のものを用いるのが好ましい。
【0031】
なお、芳香族ポリカーボネートや芳香族ポリカーボネート共重合体については、生成物である芳香族ポリカーボネート組成物に要求される物性の範囲内で、本明細書に記載する以外の他の成分を共重合成分として含んでいてもよい。さらに、生成物である芳香族ポリカーボネート組成物自体について、要求される物性の範囲内で、他の樹脂等をブレンドさせることも可能である。
【0032】
本発明に係るスルホン酸基を含有する芳香族ポリカーボネート共重合体は、ビスフェノール成分とジカルボキシ成分とを主成分とする。なお、上記ジカルボキシ成分は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステルに由来する芳香族ジカルボキシ成分(芳香族ジカルボン酸残基)とフォスゲンや炭酸ジエステルに由来する炭酸残基とからなっている。
【0033】
この芳香族ポリカーボネート共重合体中におけるスルホン酸基は、ビスフェノール成分と芳香族ジカルボキシ成分とのいずれに結合していてもよい。ビスフェノール成分のみと結合している場合には、この芳香族ポリカーボネート共重合体中に芳香族ジカルボキシ成分が存在する場合の他、存在しない場合も含まれる。
【0034】
しかしながら、芳香族ジカルボキシ成分(芳香族ジカルボン酸残基)と結合させる方が技術的に容易であることが多い。すなわち、この芳香族ポリカーボネート共重合体に含まれる芳香族ジカルボン酸残基の置換基であることが好ましい。具体的には、たとえば5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルフォスフォニウムスルホイソフタル酸を、スルホン酸基をもつ芳香族ジカルボン酸として使用することが好ましい。
【0035】
なお、上記したように、本発明においては、スルホン酸基は、必ずしも芳香族ジカルボキシ成分のみに結合することを意味せず、従って、芳香族ポリカーボネート共重合体中には、スルホン酸基と結合しない芳香族ジカルボキシ成分も存在し得、さらには複数のスルホン酸基が一つの芳香族ジカルボキシ成分単位と結合する場合も排除されない。ただし、説明を簡便にするため、以下においては、特に断らない限り、一つの芳香族ジカルボキシ成分単位に一つのスルホン酸基が結合している場合に限って説明してある。
【0036】
本発明に係る芳香族ポリカーボネート共重合体は、分子レベルでの膨潤性層状珪酸塩の分散性を向上させるためにブレンドされるが、この分子レベルでの膨潤性層状珪酸塩の分散性を向上させるためには、芳香族ポリカーボネート共重合体が、スルホン酸基を、ジカルボキシ成分の10モル%以下で含有することが好ましい。多すぎると膨潤性層状珪酸塩の凝集が起こり分散性は低下する傾向を示す。下限は特にないが、少なくなると、膨潤性層状珪酸塩の分散性が徐々に低下する。2〜5モル%であることがさらに好ましい。
【0037】
上記の芳香族ポリカーボネート共重合体の作製方法は公知のどのような方法によっても良い。
【0038】
具体例としては、たとえば次のプロセスを挙げることができる。すなわち、芳香族ポリカーボネートを仕込み、280℃で融解する。その後、133hPaで5分間、13.3hPaで5分間撹拌する。撹拌後、芳香族ポリカーボネートに対し、ビスフェノールAを0.025〜0.25mol%、5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレートを0.01〜0.1mol%、ビスフェノールAナトリウムを0.00001〜0.0001mol%となるように加え、280℃、常圧で5分間、1.33hPa以下で2時間撹拌を行い目的物を得る。
【0039】
上記スルホン酸基を持つ芳香族ポリカーボネート共重合体は、塩化メチレン溶媒に溶解し、25℃で測定を行ったとき、溶液粘度が0.2〜0.4のものを用いるのが好ましい。
【0040】
本発明の芳香族ポリカーボネート組成物における膨潤性層状珪酸塩の含有率は、0.5〜10重量%であることが好ましい。この範囲より少ないと物性の向上の程度が不十分になる場合がある。この範囲より多いと分散が不十分になる場合がある。特に1〜5重量%であるとより高い分散性が得られる。
【0041】
また、本発明の芳香族ポリカーボネート組成物に占める芳香族ポリカーボネート共重合体の量が0.5〜20重量%であることが好ましく、1〜10重量%であることがさらに好ましい。膨潤性層状珪酸塩の高い分散性が得られるからである。0.5重量%未満では分散効果が発揮しがたい場合がある。また、20重量%を超えると芳香族ポリカーボネート組成物の物性が低下する傾向が強くなる。
【0042】
なお、芳香族ポリカーボネート共重合体はブレンドの際、再分配反応等により次第に構造を変えていくが、上記における「芳香族ポリカーボネート共重合体の量」は、ブレンドに供された芳香族ポリカーボネート共重合体の重量を生成物である芳香族ポリカーボネート組成物の重量で割って得られる値である。
【0043】
芳香族ポリカーボネートとスルホン酸基を含有する芳香族ポリカーボネート共重合体と膨潤性層状珪酸塩とをブレンドして、膨潤性層状珪酸塩をポリマー中に分散させる方法としては、たとえば膨潤性層状珪酸塩と芳香族ポリカーボネート共重合体とを、芳香族ポリカーボネートの重合時に添加し均一に分散させるか、もしくは芳香族ポリカーボネート、膨潤性層状珪酸塩および芳香族ポリカーボネート共重合体を、溶融混練または溶液分散によりブレンドし、分散させる方法を採用することができる。ブレンドの順序は任意に選ぶことができるが、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリカーボネート共重合体、膨潤性層状珪酸塩を同時にブレンドするのが、再現性の点で有利である。
【0044】
本発明で言う分子レベルでの均一に分散とはX線解析で測定した膨潤性層状珪酸塩の(001)面の底面反射に由来する回折ピークが変化して、層の面間距離が増大するかまたは回折ピークが消失することを意味する。つまり、膨潤性層状珪酸塩の層間に芳香族ポリカーボネート組成物が入り込み、膨潤性層状珪酸塩の層が一枚一枚層剥離しているか、もしくは5層以下の多層物が平行もしくはランダムに混在している状態を言う。
【0045】
【実施例】
次に本発明の実施例および比較例を詳述する。
【0046】
(原料)
本実施例に使用したモンモリロナイトはクニミネ工業(株)のもの、塩化ヤシアルキルジメチルベンジルアンモニウムは日本油脂(株)のもの、塩化メチレン、ビスフェノールA、ジフェニルカーボネート、5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレート、ビスフェノールAナトリウムは関東化学(株)のもの、PC(芳香族ポリカーボネート、パンライトL−1250)は帝人化成(株)のものを使用した。
【0047】
(膨潤性層状珪酸塩の4級アンモニウムイオン処理)
モンモリロナイト100g、塩化ヤシアルキルジメチルベンジルアンモニウム100gに水10Lを加え、室温で2時間撹拌を行い、ろ過により粗生成物を得た。さらに、水10Lで3回洗浄を行った後、100℃で3日間熱風乾燥し、ついで2日間真空乾燥を行い4級アンモニウムイオン処理されたモンモリロナイトを得た。X線解析により、その層の面間距離を測定した。
【0048】
(溶液粘度測定)
芳香族ポリカーボネート共重合体125mgをジクロロメタン10mLに溶解し、25℃で測定を行った。
【0049】
(膨潤性層状珪酸塩の層の面間距離測定)
膨潤性層状珪酸塩の層の面間距離は、広角X線解析装置(理学電機(株)CN2155)を用い、芳香族ポリカーボネート組成物の層状珪酸塩の(001)面の底面反射に由来する回折ピークより求めた。
【0050】
(機械特性評価)
日精樹脂工業(株)製 NISSEI PS 20を使用して樹脂成形を行った後、(株)東洋ボールドウィン製10tonテンシロン、(株)東洋精機製作所製H.D.T ε V.S.P.T TESTERを使用して、JIS規格K7203に記載された方法により機械特性の評価を行った。
【0051】
[参考例]
(スルホン酸基をもつ芳香族ジカルボン酸を構成要素に含む芳香族ポリカーボネート共重合体の合成)
PC(L−1250)127gを仕込み、280℃で融解した。その後、100mmHgで5分間、10mmHgで5分間撹拌した。撹拌後、ビスフェノールA5.7g(0.025mol)、5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレート4.2g(0.01mol)、ビスフェノールAナトリウム2.7mmg(0.00001mol)を加え、280℃、常圧で5分間、1mmHg以下で2時間撹拌を行い目的物を得た。
【0052】
[実施例1]
PC(L−1250)947g、参考例1で得た芳香族ポリカーボネート共重合体10g(溶液粘度:0.25)、4級アンモニウムイオン処理したモンモリロナイト43gをルーダー(PCM−30,池貝鉄工(株)製)を用いて280℃で溶融混練を行った。溶融混練後、日精樹脂工業(株)製NISSEI PS20を用いて、成形温度330℃、金型温度80℃で射出成形を行い、(株)東洋ボールドウィン製10tonテンシロン、(株)東洋精機製作所製H.D.Tε V.S.P.T TESTERを使用して、JIS規格K7203に記載された方法により機械特性の評価を行った。なお、透明性は良好であった。
【0053】
[実施例2]
参考例1で得た芳香族ポリカーボネート共重合体(溶液粘度:0.25)を100g使用した以外は実施例1と同様に行った。なお、透明性は良好であった。
【0054】
[比較例1]
PC(L−1250)1000gをルーダー(PCM−30,池貝鉄工(株))を用いて280℃で溶融混練を行った。溶融混練後、日精樹脂工業(株)製NISSEI PS20を用いて、成形温度330℃、金型温度80℃で射出成形を行い、(株)東洋ボールドウィン製 10tonテンシロン、(株)東洋精機製作所製H.D.T ε V.S.P.T TESTERを使用して、JIS規格K7203に記載された方法により機械特性の評価を行った。
【0055】
【表1】
Figure 0003924602
【0056】
【発明の効果】
本発明によって得られる芳香族ポリカーボネート組成物は、膨潤性層状珪酸塩が分子レベルで均一に分散しており、透明性を失うことなく、機械強度、耐熱性の向上が期待され、電子機器、自動車部品の用途が考えられる。

Claims (9)

  1. 芳香族ポリカーボネートと、
    芳香族ジカルボン酸残基と炭酸残基とを有する芳香族ポリカーボネート共重合体であって、当該芳香族ジカルボン酸残基と炭酸残基との合計であるジカルボキシ成分の10モル%以下のスルホン酸基を含有する芳香族ポリカーボネート共重合体と、
    膨潤性層状珪酸塩と
    をブレンドしてなる芳香族ポリカーボネート組成物。
  2. 前記スルホン酸基が、前記芳香族ポリカーボネート共重合体に含まれる芳香族ジカルボン酸残基の置換基である、請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート組成物。
  3. 前記スルホン酸基が前記ジカルボキシ成分の2〜5モル%である、請求項1または2に記載の芳香族ポリカーボネート組成物。
  4. 前記膨潤性層状珪酸塩が、有機オニウムイオンで処理されたものである、請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート組成物。
  5. 前記有機オニウムイオンが4級アンモニウムイオンである、請求項4に記載の芳香族ポリカーボネート組成物。
  6. 前記4級アンモニウムイオンが下記式(1)で示される、請求項5に記載の芳香族ポリカーボネート組成物。
    Figure 0003924602
    (式(1)中、R1,R2,R3およびR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基または−(OCH2CH2n−O−R5(R5は炭素数1〜30のアルキル基)である。)
  7. 前記膨潤性層状珪酸塩がモンモリロナイトおよび/または膨潤性マイカである、請求項1〜6のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート組成物。
  8. 前記芳香族ポリカーボネート組成物中に占める芳香族ポリカーボネート共重合体の量が0.5〜20重量%であり、かつ膨潤性層状珪酸塩の量が0.5〜10重量%である請求項1〜7のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート組成物。
  9. 芳香族ポリカーボネートと、芳香族ジカルボン酸残基と炭酸残基とを有する芳香族ポリカーボネート共重合体であって、当該芳香族ジカルボン酸残基と炭酸残基との合計であるジカルボキシ成分の10モル%以下のスルホン酸基を含有する芳香族ポリカーボネート共重合体と、膨潤性層状珪酸塩とを同時にブレンドする芳香族ポリカーボネート組成物の製造方法。
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