JP3924077B2 - 電力蓄積式電動機、電力蓄積式電動機を用いた電力蓄積方法 - Google Patents

電力蓄積式電動機、電力蓄積式電動機を用いた電力蓄積方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力蓄積式電動機、この電力蓄積式電動機を用いた電力蓄積方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気機関車や電車等の鉄道車両(以下、「電動鉄道車両」という。)のブレーキ方式として、「電力回生ブレーキ方式」が知られている。この電力回生ブレーキ方式は、電動鉄道車両の駆動用電動機を発電機として用い、駆動車輪の車軸の回転エネルギーにより発電を行うことにより車両の制動を行い、発電により生成された電力(以下、「回生電力」という。)を電動鉄道車両に電力を供給する架空トロリー線に戻す方式である。この電力回生ブレーキ方式によれば、発電される電力を抵抗の熱エネルギーとして消費する方式に比べ、電気エネルギーを有効に活用することができる、という利点があるとされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の電力回生ブレーキ方式においては、以下のような問題点があった。
【0004】
▲1▼ 回生電流には高調波成分が多く含まれており、このような回生電流が架空トロリー線に戻されると、周辺の民家等において、電気機器にノイズが混入したり、各種の電磁障害等の原因となるおそれがある。
【0005】
▲2▼ 回生電力が架空トロリー線に戻された場合、その時点において同じ変電所管内の架空トロリー線区間を他の電動鉄道車両が走行していれば、回生電力は他の電動鉄道車両によって再度利用されるが、そのような条件が満たされない場合には、回生電力は単に架空トロリー線での電気抵抗として一部が消費されるのみで、残りは再利用されず、回生ブレーキの活用が図れず、電気エネルギーの有効活用は図れない。
【0006】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、回生電力のさらなる有効活用を図るとともに電磁障害等の発生を防止し得る電力蓄積式電動機、及び電力蓄積式電動機を用いた電力蓄積方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の電力蓄積式電動機は、固定子と、前記固定子に対向する位置に配置されるとともに回転可能に構成される第2回転子と、前記第2回転子に対向する位置に配置されるとともに回転可能に構成される第1回転子と、前記第2回転子の回転を抑止し又は前記回転の抑止を連続的に解除可能な第2回転子クラッチ手段と、外部から入力される電力を受け入れるとともに、外部へ電力を出力可能な電力入出力手段を備え、前記第1回転子と前記第2回転子が電動機を構成するように前記第1回転子又は前記第2回転子にカゴ形の誘導子、あるいは巻線形誘導子、あるいはコイル部材又は永久磁石部材若しくは強磁性体部材あるいはこれらの適宜の組み合わせを配設するとともに、前記第2回転子と前記固定子が電動機を構成するように前記第2回転子又は前記固定子にコイル部材又は永久磁石部材若しくは強磁性体部材あるいはこれらの適宜の組み合わせを配設し、前記第2回転子クラッチ手段により前記第2回転子の回転を抑止した状態で、前記電力入出力手段により前記第1回転子と前記第2回転子の間に回転移動磁界を発生させて前記第1回転子を回転させる第1回転状態とし、前記第2回転子クラッチ手段により前記第2回転子の回転を連続的に解除し、前記第1回転子の回転エネルギーを前記第2回転子に移し前記第1回転子と前記第2回転子の両者を回転させるとともに前記第2回転子をフライホイールとして用い前記回転エネルギーを蓄積する第2回転状態とし、前記第1回転状態又は前記第2回転状態のいずれかの状態における前記第1回転子の回転軸を利用することにより回転駆動源として用い、前記第2回転状態において前記第2回転子と前記固定子を発電機として用い、前記第2回転子に蓄積された回転エネルギーを前記電力入出力手段により電気エネルギーとして取り出すことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載の電力蓄積式電動機は、請求項1記載の電力蓄積式電動機において、前記電力入出力手段において外部から入力又は外部へ出力される電力は直流電力であり、前記電力入出力手段は、前記入力された直流電力を交流電力に変換して前記第1回転状態における回転移動磁界を発生させるとともに、前記第2回転状態から取り出される交流の電気エネルギーを直流電力に変換して出力する直流/交流変換手段を有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3記載の電力蓄積式電動機は、請求項1記載の電力蓄積式電動機において、前記電力入出力手段において外部から入力又は外部へ出力される電力は交流電力であり、前記電力入出力手段は、前記入力された交流電力の周波数を変えて任意値の新たな任意交流電力に変換し前記第1回転状態における回転移動磁界を発生させるとともに、前記第2回転状態から取り出される交流の電気エネルギーの周波数を変えて任意値の新たな任意交流電力に変換する交流周波数変換手段を有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4記載の電力蓄積式電動機を用いた電力蓄積方法は、固定子と、前記固定子に対向する位置に配置されるとともに回転可能に構成される第2回転子と、前記第2回転子に対向する位置に配置されるとともに回転可能に構成される第1回転子と、前記第2回転子の回転を抑止し又は前記回転の抑止を連続的に解除可能な第2回転子クラッチ手段と、外部から入力される電力を受け入れるとともに、外部へ電力を出力可能な電力入出力手段を設け、前記第1回転子と前記第2回転子が電動機を構成するように前記第1回転子又は前記第2回転子にコイル部材又は永久磁石部材若しくは強磁性体部材あるいはこれらの適宜の組み合わせを配設するとともに、前記第2回転子と前記固定子が電動機を構成するように前記第2回転子又は前記固定子にコイル部材又は永久磁石部材若しくは強磁性体部材あるいはこれらの適宜の組み合わせを配設して電力蓄積式電動機を構成し、前記第2回転子クラッチ手段により前記第2回転子の回転を抑止した状態で、前記電力入出力手段により前記第1回転子と前記第2回転子の間に回転移動磁界を発生させて前記第1回転子を回転させる第1回転状態とし、前記第2回転子クラッチ手段により前記第2回転子の回転を連続的に解除し、前記第1回転子の回転エネルギーを前記第2回転子に移し前記第1回転子と前記第2回転子の両者を回転させるとともに前記第2回転子をフライホイールとして用い前記回転エネルギーを蓄積する第2回転状態とし、前記第1回転状態又は前記第2回転状態のいずれかの状態における前記第1回転子の回転軸を利用することにより回転駆動源として用い、前記第2回転状態において前記第2回転子と前記固定子を発電機として用い、前記第2回転子に蓄積された回転エネルギーを前記電力入出力手段により電気エネルギーとして取り出すことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本実施形態に係る電動移動体を用いた輸送システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
(1)第1実施形態
図1は、第1実施形態である電気鉄道システムの全体構成を示す概念ブロック図である。また、図2は、図1に示す電気鉄道システムにおける電動鉄道車両のさらに詳細な構成を示す概念ブロック図である。
【0020】
図1に示すように、この電気鉄道システム1は、地上設備10Aと、電動鉄道車両20Aを備えて構成されている。ここに、電動鉄道車両20Aは、電動移動体に相当している。
【0021】
地上設備10Aは、軌道11と、駅12と、駅給電施設13Aと、変電所14を有している。ここに、軌道は、支持案内路に相当している。また、駅12は、停止施設に相当している。また、駅給電施設13Aと変電所14は、外部給電手段を構成している。
【0022】
軌道11は、図示してはいないが、コンクリート部材,鋼製部材,土構造物,バラスト道床等からなる支持構造物と、支持構造物の上に設けられるまくらぎ又はスラブマット等のレール支持体と、レール支持体の上に敷設されるレールを有して構成されている。
【0023】
駅12は、駅に関連する建築物である駅舎12aと、被輸送対象である旅客の乗降用のプラットホーム12bを有している。また、駅給電施設13Aは、銅(Cu),銅合金等の電気良導体で構成された部材であり、駅12の構内の軌道11の近傍等に設置される。この駅給電施設13Aは、軌道方向に延設されるような線状のものであってもよいし、ある限られた箇所に設置される点的なもののいずれであってもよい。変電所14は、商用電源等からの交流電力を所定電圧に変圧するとともに直流に変換し、駅給電施設13Aに供給する。
【0024】
また、電動鉄道車両20Aは、第1受電部21と、インバータ部22と、スイッチS1(図2(A)参照)と、蓄電部23Aと、コンバータ部24と、駆動・発電部25Aと、制御部26と、駆動車輪27aと、従動車輪27bを有している。ここに、第1受電部21は、受電手段に相当している。また、蓄電部23Aは、移動体内蓄電手段に相当している。また、駆動・発電部25Aは、電気的駆動源に相当している。また、制御部26は、電力制御手段に相当している。
【0025】
第1受電部21は、第1受電部材21aと、可動部材21bを有している。第1受電部材21aは、銅(Cu),銅合金,あるいはカーボン(C)等の電気良導体で構成された部材である。また、可動部材21bは、図示しない第1受電駆動源に取り付けられている。この図示していない第1受電駆動源は、バネ伸縮機構,電動モータ,油圧シリンダー,圧縮空気圧シリンダー,油空圧シリンダー,電磁石ソレノイド等により構成されている。
【0026】
インバータ部22は、半導体素子等により構成され、入力された直流を3相交流に変換して出力する。出力される3相交流の周波数は調整制御可能となっている。スイッチS1は、第1受電部材21aと蓄電部23Aの中間に配置され、電気的に回路を開閉する。
【0027】
蓄電部23Aは、入力された直流を蓄積電力として蓄積する機能を有している。蓄電部23Aは、図示はしていないが、例えば、ニッケル水素電池,リチウムイオン電池等を含む蓄電池(2次電池)により構成することができる。
【0028】
蓄電部23Aの一例としては、「ウルトラキャパシタ」が挙げられる。このウルトラキャパシタとは、図3に23A′で示すように、コンデンサCu と抵抗RとツェナーダイオードDz からなる蓄電要素を複数組用い、この蓄電要素を直列接続、又は並列接続、若しくはこれらを適宜組み合わせた直並列接続を行って蓄電回路を構成したものである。
【0029】
上記のコンデンサCu としては、大容量のものを使用する。また、各蓄電要素には、ツェナーダイオードDz が接続しており、各コンデンサCu は、ツェナーダイオードDz を介して電力入力線に接続されている。ツェナーダイオードDz は、接点なしに電気的なスイッチング(電気的な回路の開閉)を行うことができる「無接点スイッチ」の機能を果たす。このような構成により、大電力の蓄電、取出しを行うことが可能となる。
【0030】
したがって、単独の蓄電池、又は数個の蓄電池よりも非常に高い充電・放電性能を発揮させることができる。上記において、無接点スイッチは、電気的回路開閉手段に相当している。
【0031】
また、上記の各蓄電要素におけるコンデンサCu のかわりに、ニッケル水素電池,リチウムイオン電池等を含む蓄電池(2次電池)を用いてもよい。
【0032】
そのほか、上記以外の蓄電手段として、図示はしていないが、圧力容器内に収容された液体(例えば、所定組成の油)に圧力を加えて保持、この圧力によりエネルギーを蓄え、蓄えられた圧力を解放することにより蓄積エネルギーを取り出す構成のもの(アキュミュレータ)を用いてもよい。
【0033】
また、図示はしていないが、上記の蓄電部23A内には、抵抗器と、入力を抵抗器側へ切り換えるスイッチが備えられている。
【0034】
コンバータ部24は、半導体素子等により構成され、3相交流を直流に変換して出力する装置である。
【0035】
駆動・発電部25Aには、誘導電動機又は同期電動機等の交流電動機(図示せず)と、歯車機構等の動力伝達機構(図示せず)が設けられており、入力された3相交流の周波数に応じた回転速度で交流電動機が回転する。この際、電気鉄道における公知のPWMインバータ、PWMコンバータ等の制御が行われる。交流電動機の回転は、動力伝達機構により駆動車輪27aに伝達される。従動車輪27bは、駆動されず、車両の走行に応じて回転する車輪である。
【0036】
制御部26は、主制御部26aと、入力・表示部26bを有している。入力・表示部26bは、運転士等からの入力操作を主制御部26aに伝達し、車内信号や車両関連情報等を運転士等に表示する。主制御部26aは、中央演算処理装置(図示せず)と、情報記憶部(図示せず)等を有するコンピュータであり、電動鉄道車両20Aの上記各要素に接続され、これらを統括制御する。
【0037】
上記した電動鉄道車両20Aは、図示しないブレーキ装置を備えている。
【0038】
次に、上記した第1実施形態の電気鉄道システム1の作用について説明を行う。
【0039】
まず、図1の上部に示すように、電動鉄道車両20Aが駅12に到着し停止した場合には、主制御部26aは情報記憶部(図示せず)内に格納された運行プログラムデータ又は車外からの報知情報若しくは運転士等からの入力操作により、この車両の駅での停止を検知する。これに伴い、主制御部26aは、第1受電部21に受電開始指令信号を出力するとともに、スイッチS1に導通指令信号を出力する。
【0040】
第1受電部21は、主制御部26aからの受電開始指令信号を受け取ると、第1受電駆動源を駆動させて可動部材21bを図の下方へ伸長させ、第1受電部材21aを駅給電施設13Aに押接させる。これにより、第1受電部材21aと駅給電施設13Aは電気的に結合する。駅給電施設13Aには変電所14からの直流が通電されているので、この直流電力は、第1受電部材21aから車内に取り入れられる。取り込まれた直流電力の一部は、スイッチS1を経て蓄電部23Aに蓄積される。また、取り込まれた直流電力の一部は、インバータ部22に送られる。第1受電部材21aから車内に取り込まれた電力は、外部電力に相当している。なお、図2(B)に示すように、インバータ/コンバータ部22′の前段にさらにスイッチS2を設け、主制御部26aにより開閉制御するように構成してもよい。
【0041】
この場合、主制御部26aは、蓄電部23Aからの情報を監視し、蓄電部23Aの電力蓄積量が所定値に達した場合には、第1受電部21に受電停止指令信号を出力し、第1受電駆動源を上記とは逆方向に駆動させて可動部材21bを図の上方へ縮ませ、第1受電部材21aを駅給電施設13Aから離すとともに、スイッチS1に断路指令信号を出力して第1受電部材21aと蓄電部23Aとの間を遮断し、それ以上の蓄電を停止させる。
【0042】
次に、電動鉄道車両20Aが駅12から発車する時刻となった場合には、主制御部26aは情報記憶部(図示せず)内に格納された運行プログラムデータ又は車外からの報知情報若しくは運転士等からの入力操作により、この車両の駅からの発車時刻であることを検知する。これに伴い、主制御部26aは、第1受電部21に受電停止指令信号を出力するとともに、スイッチS1に断路指令信号を出力する。この際、上記のように、すでに第1受電部21に受電停止指令信号が出力され、スイッチS1に断路指令信号が出力されている場合には、その状態を維持する。
【0043】
次に、主制御部26aは、情報記憶部(図示せず)内に格納された運行プログラムデータ又は車外からの信号情報若しくは運転士等からの始動入力操作により、この車両を始動すべきことを検知する。これに伴い、主制御部26aは、インバータ部22に始動指令信号を出力する。これにより、インバータ部22において、蓄電部23Aからの蓄積電力は3相交流電力に変換され、駆動・発電部25Aに送られる。
【0044】
この際、主制御部26aは、情報記憶部(図示せず)内に格納された運行プログラムデータ又は車外からの信号情報若しくは運転士等からの入力操作により、車両を走行させる速度を設定し、この設定車両速度に応じた交流周波数設定指令信号をインバータ部22に出力し、3相交流の周波数を設定車両速度に応じた所定値に設定させる。
【0045】
駆動・発電部25A内の図示しない交流電動機は、3相交流の第2変換電力が供給されると、その第1周波数に応じた回転速度で回転を行う。この回転は、駆動・発電部25A内の図示しない動力伝達機構により駆動車輪27aに伝達され、電動鉄道車両20Aは、設定された車両速度に制御されつつ駆動走行を行う。
【0046】
次に、主制御部26aは、情報記憶部(図示せず)内に格納された運行プログラムデータ又は車外からの信号情報若しくは運転士等からの始動入力操作により、この車両を惰行走行又は制動すべきことを検知する。これに伴い、主制御部26aは、スイッチ24bに断路指令信号を出力するとともに、スイッチ22cに導通指令信号を出力する。これにより、駆動・発電部25Aには駆動用の3相交流電力は送られなくなる。
【0047】
駆動・発電部25A内の交流電動機Mは、3相交流電力が供給されなくなると、発電機として機能する。このため、回転速度に応じて3相交流の回生電力が発生し、この回生電力は、コンバータ部24に送られる。コンバータ部24は、送られてきた回生電力(3相交流)を直流電力に変換した後に、蓄電部23Aに送り、蓄積電力として蓄電部23Aに蓄積させる。
【0048】
この場合、主制御部26aは、蓄電部23Aからの情報を監視し、蓄電部23Aの電力蓄積量が所定値に達した場合には、蓄電部23A内の図示しない抵抗器の側へ入力を切り換え、それ以上の余剰電力は図示しない抵抗器の発熱として消費させ、蓄電部23Aへの過充電を防止する。あるいは、図2(C)に示すように、インバータ部22とコンバータ部24のかわりにインバータ/コンバータ部22Aを設け、さらにパンタグラフ28bとスイッチS3を設けて、蓄電しきれない余剰電力を架空トロリー線に戻すように構成してもよい。
【0049】
上記のようにして、駅と駅との中間を走行し、上記の回生ブレーキにより制動を行った後、最終的にはブレーキ装置(図示せず)により、次の駅に停止する。その後は、上記と同様の蓄電、駆動走行、惰行走行、制動等の動作を繰り返す。
【0050】
上記した第1実施形態の電気鉄道システム1は、以下のような利点を有している。
【0051】
1) 高調波成分が含まれている回生電力は、直流に変換されて蓄電部に蓄電され駆動用電源として再利用され、外部に放出されることがないので、従来のように回生電流が架空トロリー線に戻された場合の周辺民家等の電気機器ノイズや各種電磁障害等のおそれはまったくない。
【0052】
2) 従来のように所定の条件下でのみ回生電力の再利用が図られる場合とは異なり、回生電力は自己の車両内で再利用されるため、確実に電気エネルギーを有効活用することができる。従って、他の列車の有無に依存しないので、回生失効しない。
【0053】
3) 車両走行用の電力は、駅部でのみ給電され、駅と駅との中間区間では車内の蓄電部を電源とするため、駅と駅との間の架空トロリー線の設置は不要となり、非電化区間でも少ない投資費用で容易に実現可能である。なお、駅間距離の短い駅が連続するような区間では、駅給電施設を2駅ごと、あるいは3駅ごとに設けてもよい。また、駅間距離が長かったり、急勾配区間等においては、旅客の乗降する駅以外にも信号場のような臨時停車箇所を配置し給電施設を設けてもよい。
【0054】
4) 車両走行用の電力は、駅部でのみ給電され、駅と駅との中間区間で従来のようにパンタグラフのような受電設備と架空トロリー線との接触摺動集電を行わないので、集電関係部材やトロリー線のような摩耗による消耗部材は不要となり、輸送システムの運営コストを低減させることができる。
【0055】
(2)第2実施形態
次に、第2実施形態に係る電動移動体を用いた輸送システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。図4は、第2実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両のさらに詳細な構成を示す概念ブロック図である。ここに、電動鉄道車両20B,20B′は、電動移動体に相当している。基本は、図4(A)に示すように、入力用のインバータ(例えば、コンバータ/インバータ部22C)と、出力用のコンバータ(例えば、インバータ/コンバータ部24A)を必要とする。
【0056】
第2実施形態が上記した第1実施形態と異なる点は、図4(B)に示すように、インバータのかわりにサイクロコンバータ24Bを有するとともに、蓄電部23Aのかわりに蓄電部23Bを有し、蓄電部23Bをフライホイールとする場合、インバータ部を小容量化できる。
【0057】
蓄電部23Bは、交流電力を直接蓄積し、かつ交流電力を出力するものである。このような蓄電部23Bの一例としては、サイクロコンバータとフライホイール式蓄電装置の組み合わせが挙げられる。このフライホイール式蓄電装置とは、図5に23B′で示すように、交流電動機235aと、交流電動機235aの電動機回転軸235bに取り付けたフライホイール235cと、入出力端子235d,235e,235fにより構成したものである。
【0058】
このような構成により、入出力端子235d〜235fに交流電力を入力することによって交流電動機235aを回転駆動させてフライホイール235cを回転させ、入力された交流の電気エネルギーをフライホイール235cの回転運動エネルギーとして蓄えることができる。
【0059】
また、交流電動機235aは、逆に用いれば交流発電機として機能するから、フライホイール235cの回転中に、入出力端子235d〜235fから交流電力を取り出すことができる。このようにして、フライホイール235cを用いて電気エネルギーを貯蔵し、又は取り出すことができる。このフライホイール式蓄電装置23B′の場合は、交流電力をそのまま蓄積し、かつ交流電力として出力できるため、交流を直流に変換するインバータ機能(例えば、第1実施形態におけるインバータ部22)は補充用のみの小容量のものですむ。
【0060】
なお、上記したような電動鉄道車両20Bに搭載するフライホイール式蓄電装置としては、電動機回転軸235bの中心線の方向が電動鉄道車両20Bの車輪の輪軸の中心線と平行な方向(以下、「x軸方向」という。)となる場合と、電動機回転軸235bの中心線の方向が電動鉄道車両20Bの進行方向と平行な方向(以下、「y軸方向」という。)となる場合と、電動機回転軸235bの中心線の方向がx軸とy軸とがなす平面に垂直な方向(以下、「z軸方向」という。)となる場合がある。
【0061】
これらの場合のうち、電動機回転軸235bの中心線の方向がx軸方向となる場合は、フライホイール式蓄電装置23B′の個数は1個でもよいし、2個以上でもよい。また、フライホイール235cの回転方向がいずれであっても特に問題はない。
【0062】
しかし、電動機回転軸235bの中心線の方向がy軸方向となる場合には、フライホイール235cの回転力の反力(以下、「回転反力」という。)が電動鉄道車両20Bに作用するため、互いに逆方向に回転する2個のフライホイール式蓄電装置を、車両の中心線上に配置し、それぞれの回転反力をキャンセルする必要がある。2個以上設ける場合は、互いに逆方向に回転する2個のものを1組とし、組単位で車両に搭載する必要がある。
【0063】
また、電動機回転軸235bの中心線の方向がz軸方向となる場合も、フライホイール235cの回転反力が電動鉄道車両20Bに作用するため、互いに逆方向に回転する2個のフライホイール式蓄電装置を、車両の中心線上で、かつ車両の中心点に対して対称な前後位置となるように配置し、それぞれの回転反力をキャンセルする必要がある。2個以上設ける場合は、互いに逆方向に回転する2個のものを1組とし、組単位で車両に搭載する必要がある。
【0064】
また、このz軸方向フライホイールの場合には、電動機回転軸235bが鉛直線(地球の中心に向かう方向の直線)から傾くと、元の鉛直線に復元しようとする復元力が車両の走行に悪影響を及ぼすため、「ジンバル機構」と呼ばれる機構によりフライホイール式蓄電装置全体を支持する必要がある。ジンバル機構とは、互いに直交する2つ又は3つの回転軸を有し、互いに直交する2方向又は3方向への角運動を付与可能な機構であり、ジャイロコンパス等に用いられている公知の機構である。
【0065】
なお、フライホイールの回転速度が減少すると、蓄積されている回転運動エネルギーも減少する。このため、蓄積エネルギーの減少を防ぐため、フライホイールの回転速度の減少を最小限に抑える必要がある。フライホイール回転速度を減少させる原因としては、フライホイール軸の軸受の摩擦、空気抵抗等がある。したがって、フライホイール軸の軸受に摩擦の少ないものを使用したり、空気抵抗を抑えるために、フライホイール全体を密閉室の内部に配置し、密閉室の内部の空気を抜いて略真空状態とする、という対策を行うと効果的である。
【0066】
(3)第3実施形態
次に、第3実施形態に係る電動移動体を用いた輸送システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。図6は、第3実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両のさらに詳細な構成を示す概念ブロック図である。
【0067】
図6に示すように、第3実施形態の電気鉄道システム3は、地上設備10Bと、電動鉄道車両20Cを備えて構成されている。ここに、電動鉄道車両20Cは、電動移動体に相当している。
【0068】
地上設備10Bは、上記した地上設備10Aとまったく同様の構成要素に加え、さらに、駅どうしの中間区間を含んで連続して配置される架空トロリー線15を有している。他の構成要素は、地上設備10Aの構成要素と同一の構成及び作用を有しているため、その説明は省略する。
【0069】
架空トロリー線15は、銅(Cu),銅合金等の電気良導体で構成された線状の部材であり、駅と駅の中間の軌道上方位置に張設される。この架空トロリー線15には、変電所(図6には図示せず。図1の14を参照。)が、商用電源等からの交流電力を所定電圧に変圧して供給するように構成されている。ここに、架空トロリー線15は、駅給電施設(図6には図示せず。図1の13Aを参照。)及び変電所とともに、外部給電手段を構成している。また、架空トロリー線15と変電所は、連続給電手段を構成している。
【0070】
また、電動鉄道車両20Cは、スイッチS9とインバータ/コンバータ部22Eを除き、上記した電動鉄道車両20Aとまったく同様の構成要素に加え、さらにパンタグラフ28bを有している。他の構成要素は、電動鉄道車両20Aの構成要素と同一の構成及び作用を有しているため、その説明は省略する。ここに、パンタグラフ28bは、第1受電部21とともに受電手段に相当している。
【0071】
パンタグラフ28bの受電部は、銅(Cu),銅合金,あるいはカーボン(C)等の電気良導体で構成された部材である。また、パンタグラフ28bは、図示しない第2受電駆動源に取り付けられている。この図示していない第2受電駆動源は、バネ伸縮機構,電動モータ,油圧シリンダー,圧縮空気圧シリンダー,油空圧シリンダー,電磁石ソレノイド等により構成されている。スイッチS9は、パンタグラフ28bと蓄電部23Aの中間、及びパンタグラフ28bとインバータ/コンバータ部22Eの中間に配置され、2つの電気的回路のうちのいずれかを選択するように切り換える。
【0072】
次に、この第3実施形態の電気鉄道システム3の作用について説明を行う。
【0073】
第3実施形態の電気鉄道システム3は、第1実施形態の電気鉄道システム1とほぼ同様な作用を有する。第3実施形態の電気鉄道システム3が、第1実施形態の電気鉄道システム1と作用の上で異なる点は、駅の中間区間において、蓄電部23Aの蓄積電力量が、次の駅まで走行するために必要な所要電力量を下回った場合の対処方法である。
【0074】
第3実施形態の電気鉄道システム3の場合は、駅間に架空トロリー線15が設置されている。このため、上記のように駅間で蓄積電力量が不足した場合には、主制御部26aは、蓄電部23Aからの報知情報若しくは運転士等からの入力操作により、蓄電部23Aにおける蓄積電力量の不足を検知する。これに伴い、主制御部26aは、図示しない第2受電駆動源に受電開始指令信号を出力するとともに、スイッチS9を切り換える切換指令信号を出力する。
【0075】
図示しない第2受電駆動源は、主制御部26aからの受電開始指令信号を受け取ると、パンタグラフ28bを図の上方へ変形させるように駆動し、パンタグラフ28bを架空トロリー線15に押接させる。これにより、パンタグラフ28bと架空トロリー線15は電気的に結合する。都市鉄道の場合、架空トロリー線15には一般に直流1500Vが変電所(図6には図示せず。図1の14を参照。)から通電されている。この直流電力は、パンタグラフ28bから車内に取り入れられ、スイッチS9を経て送られる。パンタグラフ28bから車内に取り込まれた電力は、外部電力に相当している。交流区間の場合には、パンタグラフから取り込まれ、変圧器で降圧され、コンバータで交流から直流に変換される。
【0076】
この場合、主制御部26aは、蓄電部23Aからの情報を監視し、蓄電部23Aの電力蓄積量が所定値に達した場合には、第2受電部28に受電停止指令信号を出力し、第2受電駆動源を上記とは逆方向に駆動させてパンタグラフ28bを図の上方へ変形させ、パンタグラフ28bを架空トロリー線15から離すとともに、スイッチS9に断路指令信号を出力してパンタグラフ28bと蓄電部23Aとの間を遮断し、それ以上の蓄電を停止させる。また、これらの制御をしなくとも、都市内においては、外部の電圧変動にバランスしてある程度、蓄電器への授受が行われる。
【0077】
また、電動機を発電機として機能させ、電力を回生させる場合は、図6(B)に示すような構成となる。
【0078】
上記した第3実施形態の電気鉄道システム3は、第1実施形態における1),2),4)と同様な利点に加え、さらに以下のような利点を有している。
【0079】
5) 車両走行用の電力は、駅間でも給電可能であるため、蓄電部の蓄積電力量不足のため、駅間で立往生するようなことが防止され、また、駅間距離が長かったり、急勾配区間等の所要電力量が多く必要な区間においても、追加の給電施設を設ける必要はなくなる。
【0080】
6) 周辺に民家等が存在しないような区間では、回生電力の高調波による電気機器ノイズや各種電磁障害等のおそれはないため、このような区間においては、図6におけるスイッチS10を第2受電部28の方へ切り換え、回生電力を架空トロリー線15に戻し他の列車へ帰すことが可能となる。このため、蓄電部の過充電を防止する場合に、単に抵抗器の発熱で消費するよりもエネルギーの有効活用を図ることが可能となる。
【0081】
(4)第4実施形態
次に、第4実施形態に係る電動移動体を用いた輸送システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。図7は、第4実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両のさらに詳細な構成を示す概念ブロック図である。
【0082】
図7に示すように、第4実施形態の電気鉄道システム4は、地上設備(図示せず)と、電動鉄道車両20Dを備えて構成されている。ここに、電動鉄道車両20Dは、電動移動体に相当している。
【0083】
この第4実施形態が上記した実施形態と異なる点は、異なる地上設備と、異なる電動鉄道車両20Dを有している点である。地上設備は、全体構成は図示してはいないが、上記した地上設備10Aとまったく同様の軌道11と、駅12(図示せず。図1参照。)と、上記した地上設備の場合とは異なる駅給電施設13Bを有している。駅給電施設13Bは、上記した駅給電施設13Aと同様の材質と形状を有する部材であり、駅12の構内の軌道11の近傍等に設置される。この駅給電施設13Bには、直流電力供給施設(図示せず)から直流電力が供給されている。直流電力供給施設(図示せず)は、商用電源等からの交流電力を所定電圧に変圧するとともに、整流装置(図示せず)等により直流に変換し駅給電施設13Bに供給する。ここに、駅給電施設13Bと、図示しない直流電力供給施設は、外部給電手段を構成している。
【0084】
一方、第4実施形態の電動鉄道車両20Dが上記実施形態の電動鉄道車両と異なる点は、蓄電部23A,23B、駆動・発電部25Aのかわりにこれらの機能を兼ね備えた蓄電・駆動部25Cと、スイッチS12を有する点である。他の構成要素は、上記した実施形態の電動鉄道車両の構成要素と同一の構成及び作用を有しているため、その説明は省略する。
【0085】
次に、第4実施形態の電動鉄道車両20Dにおける蓄電・駆動部25Cの構成と作用について、図8を参照しつつ詳細に説明する。
【0086】
図8に示すように、この蓄電・駆動部25Cは、スイッチS13と、インバータ/コンバータ部252A1と、コンバータ/インバータ部252A2と、電力蓄積式交流電動機254Aと、第2回転子クラッチ機構255と、蓄電池256を有している。ここに、インバータ/コンバータ部252A1は、直流/交流変換手段に相当し、第2回転子クラッチ機構255は、第2回転子クラッチ手段に相当している。
【0087】
また、インバータ/コンバータ部252A1は、サイリスタ(図9のT1〜T6を参照。)等の半導体素子を有して構成され、一方の方向から入力された直流を降圧し交流に変換して出力するとともに、逆の方向から入力された交流を直流に昇圧整流して出力する装置であり、前者としてのみ用いる場合にはPWMインバータと呼ばれ、後者としてのみ用いる場合にはPWMコンバータと呼ばれる。
【0088】
図9は、PWMインバータで構成したインバータ/コンバータの構成を示す回路図である。図9に示すように、サイリスタT1,T2,T3,T4,T5,T6は、負荷の電圧e1,e2,e3の位相に同期して電気角120度ずつ通電する。このようにして、直流をU相,V相,W相の3相を有する3相交流に昇圧変換することができる。一方、逆に用いることにより、3相交流を直流に降圧、整流することができる。
【0089】
電力蓄積式交流電動機254Aは、固定子2540Aと、第1回転子2541Aと、第2回転子2542Aとスリップリング2546A(図10参照)を有している。また、固定子2540Aの内部には、固定子コイル部材2543A(図10参照)が設けられている。また、第1回転子2541Aの外部には、第1回転子コイル部材2544A(図10参照)が設けられている。この電力蓄積式交流電動機の詳細な構成については後述する。
【0090】
第2回転子クラッチ機構255は、クラッチ駆動源255aとクラッチディスク255bを有している。クラッチ駆動源255aは、油圧シリンダ,圧縮空気圧シリンダ,電磁ソレノイド,クランク機構やピニオン・ラック機構等の円運動を直線運動に変換する機構を電動モータ等の回転駆動源に取り付けた装置等からなり、主制御部26aに接続されて主制御部26aの制御を受け、略円盤状のクラッチディスク255bを、電力蓄積式交流電動機254Aの第2回転子2542Aに押し付けたり、あるいは離すことができる。
【0091】
また、クラッチディスク255bの盤面には、電磁石(図示せず)が配設されており、通電により、クラッチディスク225bが第2回転子2542Aの端部に磁気吸着し、第2回転子2542Aの回転を抑止したり、又は第2回転子2542Aの回転の抑止を連続的に解除することができる。また、固定子に通電することで、第2回転子をロックできるので、クラッチを省略することができる。
【0092】
蓄電池256は、ニッケル水素電池,リチウムイオン電池等を含む2次電池であり、直流電力を蓄積する。
【0093】
次に、上記した電力蓄積式交流電動機254Aの構成と作用について、図8ないし図12を参照しつつ、詳細に説明を行う。図10は、図8に示す電力蓄積式交流電動機の構成を示す図であり、図10(A)は分解斜視図を、図10(B)は横断面図を、それぞれ示している。
【0094】
図8及び図10に示すように、固定子2540Aは、電動鉄道車両20Dに固定された部材であり、内部に略円柱状の空洞を有している。この空洞の内壁面には、複数の固定子コイル部材2543Aが配置され、各固定子コイル部材2543Aは、後述する結線方式によって互いに結線されている。
【0095】
上記した固定子2540Aの内部の空洞には、第2回転子2542Aが収容されている。第2回転子2542Aは、非磁性体のカゴ形誘導子、又は巻線形誘導子、又は軟鋼やケイ素鋼等の強磁性材料からなる塊状の強磁性体部材であり、中央に略円柱状の空洞が形成された円柱状、又は厚肉円筒状に形成されている。この第2回転子2542Aの外径は、固定子2540Aの空洞の内径よりも小さい値に設定されている。また、第2回転子2542Aの両端部付近は、図示しない軸受で軸支され、第2回転子2542Aの外側面が固定子2540Aの空洞の内壁面に接触しないで回転することができるように構成されている。
【0096】
上記した第2回転子2542Aの内部の空洞には、第1回転子2541Aが収容されている。第1回転子2541Aは、略円柱状に形成されている。この第1回転子2541Aの外径は、第2回転子2542Aの空洞の内径よりも小さい値に設定されている。また、第1回転子2541Aの両端部付近は、図示しない軸受で軸支され、第1回転子2541Aの外側面が第2回転子2542Aの空洞の内壁面に接触しないで回転することができるように構成されている。
【0097】
また、第1回転子2541Aの外側面には、複数の第1回転子コイル部材2544Aが配置され、各第1回転子コイル部材2544Aは、後述する結線方式によって互いに結線されている。また、各第1回転子コイル部材2544Aには、スリップリング2546Aによって外部から3相交流が供給可能な構成となっている。スリップリングとは、直流電動機における整流子のような機能を有し、ブラシ等との摺動により固定側と回転側との間で3相交流の電流の授受を連続的に行うための公知の機構である。
【0098】
また、第2回転子2542Aの一端部には、第2回転子クラッチ機構255が、接離自在な構造で配置されている。
【0099】
次に、第1回転子2541Aのさらに詳細な構成について説明する。図11は、図8,図10に示す電力蓄積式交流電動機の第1回転子のさらに詳細な構成を示す図であり、図11(A)は横断面図を、図11(B)はコイルスロットの横断面図を、それぞれ示している。また、図12は、図8,図10に示す電力蓄積式交流電動機の第1回転子のさらに詳細な構成を示す図であり、図12(A)は3相交流のうちU相が通電された場合に発生する磁極を、図12(B)はを、3相交流のうちU相が通電されるU相コイルの結線状態を、それぞれ示している。
【0100】
図11に示すように、第1回転子2541Aは、略円盤状のケイ素鋼板を積み重ねるなどして構成した略円柱状の鉄心2548aの表面に形成された例えば24個の溝状のコイルスロット2548c(図11(B)を参照。)内に第1回転子コイル部材2544Aが配置されて構成されている。また、鉄心2548aは、円盤の外周の一部が3スロットごとに3スロット分が切り欠かれており、4つの部分が突出して突極部2548bを形成し、鉄心全体としては例えば4極巻線の場合は略「十」字状になっている。すなわち、第1回転子2541Aと第2回転子2542Aは、リラクタンスモータ(reluctance motor)型の交流同期電動機(シンクロナス・モータ)を構成している。
【0101】
第1回転子コイル部材2544Aは、3相交流のうちの一成分であるU相が通電されるU相コイル2547a(図11において白丸印で図示。)と、3相交流のうちの一成分であるV相が通電されるV相コイル2547b(図11において二重丸印で図示。)と、3相交流のうちの一成分であるW相が通電されるW相コイル2547c(図11において黒丸印で図示。)を有している。
【0102】
U相コイル2547aと、V相コイル2547bと、W相コイル2547cは、図11(A)及び図12(B)に示すように、相互に結線されている。この結線方式は、「4極巻線」といい、図12(A)に示すように、通電により4個の磁極N,S,N,Sが発生する。このような3組のコイルの結線の方式には、「デルタ(Δ)結線方式」と「スター(Y)結線方式」とがあり、いずれの結線方式でもよい。なお、巻線は、4極巻線だけでなく、8極巻線等も可能である。
【0103】
また、図示はしていないが、固定子2540Aの空洞の内壁面に配置された固定子コイル部材2543Aについても、第1回転子コイル部材2544Aと同様のU相コイル(図示せず)と、V相コイル(図示せず)と、W相コイル(図示せず)を有しており、3組のコイルは、第1回転子2541Aの場合と同様な4極巻線となるように、デルタ(Δ)結線方式、又はスター(Y)結線方式により相互に結線されている。
【0104】
また、軟鋼等からなる塊状の強磁性体部材である第2回転子2542Aは、例えば4極巻線の場合は図10(B)に示すように、外周の一部が4箇所切り欠かれており、4つの部分が突出して突極部を形成し、全体としては断面の輪郭形状が略「十」字状になっている。すなわち、第2回転子2542Aと固定子2540Aも、リラクタンスモータ(reluctance motor)型の交流同期電動機(シンクロナス・モータ)を構成している。
【0105】
3相交流のU相、V相、W相は、位相が120度ずつずれているから、3相交流を第1回転子2541AのU相コイル2547aと、V相コイル2547bと、W相コイル2547cに給電すれば、第1回転子2541Aの外周面上をN又はSの磁極が回転移動するような磁界(以下、「回転移動磁界」という。)が発生する。
【0106】
以下に、上記した蓄電・駆動部25Cを電動鉄道車両20Dの駆動源として使用する場合の動作について説明する。
【0107】
まず、図8において、主制御部26aが抑止指令信号を第2回転子クラッチ機構255に送り、クラッチディスク255bを第2回転子2542Aの端部に磁気吸着させれば、第2回転子2542Aは回転ができないように一時的に固定(抑止)される。したがって、この場合には、第2回転子2542Aは、第1回転子2541Aに対しては固定子の機能を果たす。また、固定子に通電することによっても、クラッチ無しで同様の機能を実現することが可能である。
【0108】
このような状態(以下、「第2回転子抑止状態」という。)で、主制御部26aが導通指令信号をスイッチS12に送ってスイッチS12を導通させると、第1受電部材21aが受電した直流電力がインバータ/コンバータ部252A1に入力される。
【0109】
インバータ/コンバータ252A1で3相交流に変換された電力は第1回転子2541Aへ入力される。これにより、スリップリング2546Aを介して第1回転子2541Aの第1回転子コイル部材2544A(U相コイル2547a及びV相コイル2547b及びW相コイル2547c)に3相交流が通電され、第1回転子2541Aの外周面上に回転移動磁界が発生し、この回転移動磁界と固定状態の第2回転子2542A(カゴ形の誘導子、あるいは巻線形誘導子、あるいは軟鋼等からなる塊状強磁性体部材)との間で磁気力が作用し、第1回転子2541Aは回転を始める。
【0110】
この場合、第1回転子2541Aは、鉄心の外周の一部が4箇所切り欠かれており、4つの部分が突出して突極部を形成し、全体としては略「十」字状になっている。第1回転子2541Aの鉄心のうち切り欠かれた部分では、第1回転子2541Aと第2回転子2542Aとの間のギャップ間隔が離れ、両者の距離が長くなっているため、磁束が通りにくくなっており、磁気抵抗が高い。逆に、第1回転子2541Aの鉄心のうち突出している部分では、第1回転子2541Aと第2回転子2542Aとの間のギャップ間隔が近く、両者の距離が短くなっているため、磁束が通りやすくなっており、磁気抵抗が低い。
【0111】
このような理由から、磁束は、つねに突極部2548b(図11(A)を参照。)の箇所のギャップを通って第1回転子2541Aから第2回転子2542Aへ、あるいは第2回転子2542Aから第1回転子2541Aへ流れる。このため、上記の回転移動磁界に沿って磁束が回転すると、第1回転子2541Aは、回転移動磁界の回転速度と同一の回転速度で(同期して)回転することになる。このように、第2回転子2542Aが固定された状態で第1回転子2541Aが回転する状態を、以下「第1回転状態」という。
【0112】
次に、主制御部26aが抑止解除指令信号を第2回転子クラッチ機構255に送り、クラッチディスク255bの第2回転子2542Aの端部への磁気吸着(回転の抑止)を解除させ、インバータをコンバータとして制動を加えると、第2回転子2542Aは徐々に回転可能な状態となり、第1回転子2541Aの制動エネルギーの回転の反動によって第2回転子2542Aは、第1回転子2541Aと同じ回転方向に徐々に回転を始める。この動作により、第1回転子2541Aの回転運動エネルギーは、徐々に第2回転子2542Aに移される。その後、十分な時間が経過すると、第2回転子2542Aは、走行中の第1回転子2541Aと同じ方向に回転している。
【0113】
これにより、第1回転子2541Aと第2回転子2542Aの両者が互いに逆方向に回転することになる。この場合、第2回転子2542Aは、フライホイールの機能を果たし、入力された電気エネルギーを回転エネルギーとして蓄積することになる。この状態を、以下「第2回転状態」という。
【0114】
上記した第1回転状態、又は第2回転状態のいずれかの状態では、第1回転子2541Aは回転駆動力を有しているから、これを回転駆動源として用い、第1回転子回転軸2549を動力伝達機構(図示せず)を介して駆動車輪27aに接続することにより、駆動車輪27aを駆動し、電動鉄道車両20Dを走行させることができる。
【0115】
次に、上記した蓄電・駆動部25Cを電動鉄道車両20Dの蓄電手段として使用する場合の動作について説明する。
【0116】
上記したように、第2回転子2542Aと固定子2540Aも、リラクタンスモータ(reluctance motor)型の交流同期電動機(シンクロナス・モータ)を構成しているから、第2回転子2542Aが回転中は、第2回転子2542Aと固定子2540Aが構成する交流同期電動機を交流発電機として用い、固定子コイル部材2543Aから交流電力を取り出すことができる。
【0117】
取り出した交流電力は、コンバータ/インバータ部252A2に送られ、直流に変換される。ここで、主制御部26aから切換指令信号をスイッチS13に送り、通電方向を蓄電池256に送る方向に切り換えれば、コンバータ/インバータ部252A2によって変換された直流電力は、蓄電池256に蓄積される。この蓄電池256に蓄積された直流電力は、適宜取り出され、上記と同様にして第1回転子2541Aを駆動するための電源となる。
【0118】
すなわち、第2回転子2542Aをフライホイールとして、このフライホイールに蓄積された回転運動エネルギーを交流電力に変換し、これを直流として電力を授受し、さらに交流電源として第1回転子2541Aを駆動することができる。したがって、この場合は、第2回転子2542A内の回転エネルギーが所定値以下となるまでは、電動鉄道車両20Dの外部から電力の供給を受けなくても車両を走行させることができる

【0119】
なお、上記したフライホイール式蓄電装置23B′の場合と同様に、フライホイールである第2回転子2542Aの軸受に摩擦の少ないものを使用したり、空気抵抗を抑えるために、交流電動機254A全体を密閉室の内部に配置し、密閉室の内部の空気を抜いて略真空状態とする、という対策を行うと、第2回転子2542Aの蓄積回転エネルギーの減少を最小限に抑えるのに効果的である。
【0120】
上記した第4実施形態の電力蓄積式交流電動機は、他の構成によっても実現可能である。例えば、図13(A)に示す第1変化例のように、内部に略円柱状の凹部を有する第1回転子2541A1の凹部の内壁面に複数の第1回転子コイル部材2544A1を配置してデルタ(Δ)結線方式又はスター(Y)結線方式により相互に結線し、第1回転子2541A1の内部の凹部内に第2回転子2542A1が収容され、第2回転子2542A1の内部にも同様の略円柱状の凹部が設けられ、この第2回転子2542A1の凹部内に固定子2540A1の突出部が収容されるとともにこの突出部の外周面に複数の固定子コイル部材2543A1を配置してデルタ(Δ)結線方式又はスター(Y)結線方式により相互に結線するようにしてもよい。このように構成しても、図8,10〜12に示した第4実施形態と全く同様の効果を得ることができる。ここに、257a,257bは歯車である。
【0121】
また、図13(B)に示す第2変化例のように、一方の側に略円柱状の凹部を有するとともに他方の側にリング溝状の凹部が設けられた第2回転子2542A2の一方の凹部内に第1回転子2541A2を収容し、第1回転子2541A2の外周面に複数の第1回転子コイル部材2544A2を配置してデルタ(Δ)結線方式又はスター(Y)結線方式により相互に結線し、第2回転子2542A2の他方のリング溝状凹部の内部にリング凸部状の固定子2540A2が収容され、この固定子2540A2の凸部表面に複数の固定子コイル部材2543A2を配置してデルタ(Δ)結線方式又はスター(Y)結線方式により相互に結線するようにしてもよい。このように構成しても、図8,10〜12に示した第4実施形態と全く同様の効果を得ることができる。また、この第2変化例の場合には、フライホイールである第2回転子2542A2の径を大きくできるため、回転慣性モーメントを大きくすることができ、蓄積し得る回転運動エネルギーを増大させることができる、という利点がある。ここに、257c,257dは歯車である。
【0122】
上記の第4実施形態の第1変化例、第2変化例に示すように、第2回転子は、必ずしも固定子の内部に収容されるように配設される必要はなく、固定子に対向する位置に配置されるとともに回転可能に構成されればよい。また、第1回転子は、必ずしも第2回転子の内部に収容されるように配設される必要はなく、第2回転子に対向する位置に配置されるとともに回転可能に構成されればよい。
【0123】
上記した第4実施形態の電気鉄道システム4は、第1〜3実施形態における1)〜6)と同様な利点に加え、さらに以下のような利点を有している。
【0124】
7) 蓄電部と駆動部を兼用することができ、電動鉄道車両に用いれば、車両の小型化、軽量化、蓄電部の保守の簡素化等に寄与する点が大である。
【0125】
8) 電動鉄道車両の個々の輪軸ごとに設置することができ、動力の分散、全体としての駆動力の増強、蓄電能力の向上等を図ることができる。
【0126】
9) 原理的に、時速80〜100キロメートル/時程度の電動鉄道車両まで適用可能であり、非常な高速走行は行わないが、省エネルギー性が重視される都市内交通、あるいは大都市近郊線区の鉄道に好適である。
【0127】
(5)第5実施形態
次に、第5実施形態に係る電動移動体を用いた輸送システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。図14は、第5実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両の電力蓄積式交流電動機254Bの構成を示す横断面図である。電力蓄積式交流電動機254B以外の他の要素の構成及び作用は上記した第4実施形態の場合とまったく同様であるので、その説明は省略する。
【0128】
図14に示すように、この電力蓄積式交流電動機254Bは、固定子2540Aと、第1回転子2541Bと、第2回転子2542Bと、スリップリング2546Bを有している。
【0129】
固定子2540Aは、電動鉄道車両に固定された部材であり、内部に略円柱状の空洞を有している。この空洞の内壁面には、複数の固定子コイル部材2543Aが配置され、各固定子コイル部材2543Aは、上記したデルタ(Δ)結線方式、又はスター(Y)結線方式により相互に結線されている。
【0130】
上記した固定子2540Aの内部の空洞には、第2回転子2542Bが収容されている。第2回転子2542Bは、軟鋼やケイ素鋼等の強磁性材料からなる塊状の強磁性体部材であり、中央に略円柱状の空洞が形成された円柱状、又は厚肉円筒状に形成されている。また、第2回転子2542Bの空洞の内壁面には、複数の第2回転子コイル部材2545Aが配置され、各第2回転子コイル部材2545Aは、上記したデルタ(Δ)結線方式、又はスター(Y)結線方式により相互に結線されている。また、各第2回転子コイル部材2545Aには、スリップリング2546Bによって外部から交流が供給可能な構成となっている。また、この第2回転子2542Bの外径は、固定子2540Aの空洞の内径よりも小さい値に設定されている。また、第2回転子2542Bの両端部付近は、図示しない軸受で軸支され、第2回転子2542Bの外側面が固定子2540Aの空洞の内壁面に接触しないで回転することができるように構成されている。
【0131】
上記した第2回転子2542Bの内部の空洞には、第1回転子2541Bが収容されている。第1回転子2541Bは、軟鋼やケイ素鋼等の強磁性材料からなる塊状の強磁性体部材であり、略円柱状に形成されている。この第1回転子2541Bの外径は、第2回転子2542Bの空洞の内径よりも小さい値に設定されている。また、第1回転子2541Bの両端部付近は、図示しない軸受で軸支され、第1回転子2541Bの外側面が第2回転子2542Bの空洞の内壁面に接触しないで回転することができるように構成されている。
【0132】
また、第1回転子2541Bは、外周の一部が切り欠かれており、4つの部分が突出して突極部を形成し、第1回転子全体の断面形状としては略「十」字状になっている。すなわち、第1回転子2541Bと第2回転子2542Bの第2回転子コイル部材2545Aは、リラクタンスモータ(reluctance motor)型の交流同期電動機(シンクロナス・モータ)を構成している。
【0133】
また、第2回転子2542Bは、外周の一部が切り欠かれており、4つの部分が突出して突極部を形成し、第2回転子全体の断面の輪郭形状としては略「十」字状になっている。すなわち、第2回転子2542Bと固定子2540Aの固定子コイル部材2543Aも、リラクタンスモータ(reluctance motor)型の交流同期電動機(シンクロナス・モータ)を構成している。
【0134】
この第5実施形態のように構成しても、図8,10〜12に示した第4実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
【0135】
(6)第6実施形態
次に、第6実施形態に係る電動移動体を用いた輸送システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。図15は、第6実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両の電力蓄積式交流電動機254Cの構成を示す横断面図である。電力蓄積式交流電動機254C以外の他の要素の構成及び作用は上記した第4実施形態の場合とまったく同様であるので、その説明は省略する。
【0136】
図15に示すように、この電力蓄積式交流電動機254Cは、固定子2540Bと、第1回転子2541Bと、第2回転子2542Cと、スリップリング2546B及び2546Cを有している。
【0137】
固定子2540Bは、電動鉄道車両に固定された部材であり、軟鋼やケイ素鋼等の強磁性材料からなる塊状の強磁性体部材であり、内部に略円柱状の空洞を有している。
【0138】
上記した固定子2540Bの内部の空洞には、第2回転子2542Cが収容されている。第2回転子2542Cは、軟鋼やケイ素鋼等の強磁性材料からなる塊状の強磁性体部材であり、中央に略円柱状の空洞が形成された円柱状、又は厚肉円筒状に形成されている。また、第2回転子2542Cの空洞の内壁面には、複数の第2回転子コイル部材2545Aが配置され、各第2回転子コイル部材2545Aは、上記したデルタ(Δ)結線方式、又はスター(Y)結線方式により相互に結線されている。また、各第2回転子コイル部材2545Aには、スリップリング2546Bによって外部から交流が供給可能な構成となっている。
【0139】
また、第2回転子2542Cの外周壁面には、複数の第2回転子コイル部材2545Bが配置され、各第2回転子コイル部材2545Bは、上記したデルタ(Δ)結線方式、又はスター(Y)結線方式により相互に結線されている。また、各第2回転子コイル部材2545Bには、スリップリング2546Cによって外部から交流が供給可能な構成となっている。
【0140】
また、この第2回転子2542Cの外径は、固定子2540Bの空洞の内径よりも小さい値に設定されている。また、第2回転子2542Cの両端部付近は、図示しない軸受で軸支され、第2回転子2542Cの外側面が固定子2540Bの空洞の内壁面に接触しないで回転することができるように構成されている。
【0141】
上記した第2回転子2542Cの内部の空洞には、第1回転子2541Bが収容されている。第1回転子2541Bは、軟鋼やケイ素鋼等の強磁性材料からなる塊状の強磁性体部材であり、略円柱状に形成されている。この第1回転子2541Bの外径は、第2回転子2542Cの空洞の内径よりも小さい値に設定されている。また、第1回転子2541Bの両端部付近は、図示しない軸受で軸支され、第1回転子2541Bの外側面が第2回転子2542Cの空洞の内壁面に接触しないで回転することができるように構成されている。
【0142】
また、第1回転子2541Bは、外周の一部が切り欠かれており、4つの部分が突出して突極部を形成し、第1回転子全体の断面形状としては略「十」字状になっている。すなわち、第1回転子2541Bと第2回転子2542Cの第2回転子コイル部材2545Aは、リラクタンスモータ(reluctance motor)型の交流同期電動機(シンクロナス・モータ)を構成している。
【0143】
また、固定子2540Bは、内壁の一部が切り欠かれており、4つの部分が突出して突極部を形成し、固定子全体の内壁断面の輪郭形状としては略「十」字状になっている。すなわち、第2回転子2542Cの第2回転子コイル部材2545Bと固定子2540Bも、リラクタンスモータ(reluctance motor)型の交流同期電動機(シンクロナス・モータ)を構成している。
【0144】
この第6実施形態のように構成しても、図8,10〜12に示した第4実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
【0145】
なお、この第6実施形態では、第2回転子2542Cにおける第2回転子コイル部材2545Aと第2回転子コイル部材2545Bとの間には、磁気的絶縁部材が配置されてもよい。また、第2回転子2542Cの厚みを大きくし、磁力線が第2回転子コイル部材2545Aと第2回転子コイル部材2545Bの両方を貫通しないように構成してもよい。
【0146】
上記した第6実施形態の電力蓄積式交流電動機は、他の構成によっても実現可能である。例えば、図16に示す第1変化例のように、略円柱状の固定子2540B1の周囲を覆うようにして略円筒状の第1回転子2541B1を配置し、第1回転子2541B1の周囲を覆うようにして略円筒状の第2回転子2542C1を配置し、第1回転子2541B1の外壁面に複数の第1回転子コイル部材2545A1を配置してデルタ(Δ)結線方式又はスター(Y)結線方式により相互に結線し、第1回転子2541B1の内壁面に複数の第1回転子コイル部材2545B1を配置してデルタ(Δ)結線方式又はスター(Y)結線方式により相互に結線して構成してもよい。このように構成しても、図8,10〜12に示した第4実施形態と全く同様の効果を得ることができる。ここに、257e,257fは歯車である。
【0147】
上記した第6実施形態の電力蓄積式交流電動機は、他の構成によっても実現可能である。例えば、図17に示す第2変化例のように、略円柱状の固定子2540B2の周囲を覆うようにして略円筒状の第1回転子2541B2を配置し、固定子2540B2と第1回転子2541B2の両方の周囲を覆うようにして略円筒状の第2回転子2542C2を配置し、固定子2540B2の外壁面に複数の固定子コイル部材2545B2を配置してデルタ(Δ)結線方式又はスター(Y)結線方式により相互に結線し、第1回転子2541B2の外壁面に複数の第1回転子コイル部材2545A2を配置してデルタ(Δ)結線方式又はスター(Y)結線方式により相互に結線して構成してもよい。このように構成しても、図8,10〜12に示した第4実施形態と全く同様の効果を得ることができる。ここに、257g,257hは歯車である。
【0148】
(7)第7実施形態
次に、第7実施形態に係る電動移動体を用いた輸送システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。図18は、第7実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両の電力蓄積式交流電動機254Dの構成を示す横断面図である。電力蓄積式交流電動機254D以外の他の要素の構成及び作用は上記した第4実施形態の場合とまったく同様であるので、その説明は省略する。
【0149】
図18に示すように、この電力蓄積式交流電動機254Dは、固定子2540Bと、第1回転子2541A′と、第2回転子2542Dと、スリップリング2546A及び2546Cを有している。
【0150】
固定子2540Bは、電動鉄道車両に固定された部材であり、軟鋼やケイ素鋼等の強磁性材料からなる塊状の強磁性体部材であり、内部に略円柱状の空洞を有している。
【0151】
上記した固定子2540Bの内部の空洞には、第2回転子2542Dが収容されている。第2回転子2542Dは、軟鋼やケイ素鋼等の強磁性材料からなる塊状の強磁性体部材であり、中央に略円柱状の空洞が形成された円柱状、又は厚肉円筒状に形成されている。また、第2回転子2542Dの外周壁面には、複数の第2回転子コイル部材2545Bが配置され、各第2回転子コイル部材2545Bは、上記したデルタ(Δ)結線方式、又はスター(Y)結線方式により相互に結線されている。また、各第2回転子コイル部材2545Bには、スリップリング2546Cによって外部から交流が供給可能な構成となっている。
【0152】
また、この第2回転子2542Dの外径は、固定子2540Bの空洞の内径よりも小さい値に設定されている。また、第2回転子2542Dの両端部付近は、図示しない軸受で軸支され、第2回転子2542Dの外側面が固定子2540Bの空洞の内壁面に接触しないで回転することができるように構成されている。
【0153】
上記した第2回転子2542Dの内部の空洞には、第1回転子2541A′が収容されている。第1回転子2541A′は、略円盤状のケイ素鋼板を積み重ねるなどして構成した略円柱状の鉄心の表面に形成された複数の溝状のコイルスロット(図示せず)内に第1回転子コイル部材2544Aが配置されて構成されている。
【0154】
また、この第1回転子2541A′の外径は、第2回転子2542Dの空洞の内径よりも小さい値に設定されている。また、第1回転子2541A′の両端部付近は、図示しない軸受で軸支され、第1回転子2541A′の外側面が第2回転子2542Dの空洞の内壁面に接触しないで回転することができるように構成されている。
【0155】
また、第2回転子2542Dは、内壁の一部が切り欠かれており、4つの部分が突出して突極部を形成し、第2回転子全体の内壁断面の輪郭形状としては略「十」字状になっている。すなわち、第1回転子2541A′の第1回転子コイル部材2544Aと第2回転子2542Dは、リラクタンスモータ(reluctance motor)型の交流同期電動機(シンクロナス・モータ)を構成している。
【0156】
また、固定子2540Bは、内壁の一部が切り欠かれており、4つの部分が突出して突極部を形成し、固定子全体の内壁断面の輪郭形状としては略「十」字状になっている。すなわち、第2回転子2542Dの第2回転子コイル部材2545Bと固定子2540Bも、リラクタンスモータ(reluctance motor)型の交流同期電動機(シンクロナス・モータ)を構成している。
【0157】
この第7実施形態のように構成しても、図8,10〜12に示した第4実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
【0158】
(8)第8実施形態
次に、第8実施形態に係る電動移動体を用いた輸送システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。図19は、第8実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両の蓄電・駆動部25Dの構成を示す概念ブロック図である。蓄電・駆動部25D以外のシステムの他の要素の構成及び作用は上記した第4実施形態の場合とまったく同様であるので、その説明は省略する。
【0159】
この第8実施形態が上記した第4〜第7実施形態と異なる点は、インバータ部部252A3とサイクロコンバータ部252Bを備えた点であり、これら以外の蓄電・駆動部の他の要素の構成及び作用は上記した第4実施形態の場合とまったく同様であるので、その説明は省略する。
【0160】
サイクロコンバータ部252Bは、サイリスタ(図示せず)等の半導体素子を有して構成され、入力された交流電力を、任意の周波数の交流電力に変換して出力する装置である。サイクロコンバータ部としては、公知の構成のCF−VF(constant frequency - variable frequency )型(商用電源のような一定周波数の電源を入力とし、可変周波数の交流を出力する場合。)あるいはVF−VF(variable frequency - variable frequency )型(入力、出力とも周波数が可変の場合)等が使用可能である。このサイクロコンバータ部252Bは、交流周波数変換手段に相当している。
【0161】
この第8実施形態のように構成しても、外部から供給される電力が交流である点が異なるだけであり、交流電力をサイクロコンバータ252Bで周波数変換させ、第1回転子の駆動に適した周波数の交流として出力すれば、図8,10〜12に示した第4実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
【0162】
上記各実施形態において、スリップリング2546A〜2546C等は、回転子電力取出し手段に相当するとともに、回転子電力供給手段に相当している。
【0163】
(9)第9実施形態
次に、第9実施形態に係る電動移動体を用いた輸送システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。図20は、第9実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両の構成を示す概念ブロック図である。
【0164】
この第9実施形態は、極めて大きな容量を有するフライホイールである第2回転子2542′と、第1回転子2541′と、クラッチ255′と、インバータ/コンバータ部252A4と、電流制限抵抗Rと、制御用スイッチS17,S18,S19を有している。
【0165】
この第9実施形態のように構成すれば、1個のインバータで簡素な構成によって、上記実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0166】
(10)第10実施形態
次に、第10実施形態に係る電動移動体を用いた輸送システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。図21は、第10実施形態である電気鉄道システムにおける第1回転子の構成を示す横断面図である。
【0167】
この第10実施形態は、第5,6実施形態における第1回転子2541Bのかわりに、各突極部に交互にN磁極,S磁極がくるように構成された永久磁石からなる第1回転子2541Dを有している。この形式の電動機は、「永久磁石式DCモータ」と呼ばれることがあるが、本発明においては、この形式の電動機も「交流電動機」に含むものとする。
【0168】
この第10実施形態のように構成しても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0169】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0170】
例えば、上記した各実施形態の電気鉄道システムにおいては、支持案内路として軌道(11)を備えているが、本発明はこれらの例には限定されず、他の構成の支持案内路を備えた電動移動体を用いた輸送システム、例えば、新交通システムのように略「U」字状断面の走行路構造物内を走行する電動移動体であってもよいし、モノレールのようにビーム(梁)状構造物に跨座又は懸垂して走行する電動移動体であってもよい。さらに、建物内部に設けられるエレベーターを電動移動体とし、その支持案内レール状構造物を支持案内路としてもよい。要は、電動移動体を支持し案内しつつ走行させる支持案内路であればどのようなものであってもよいのである。
【0171】
また、上記した各実施形態の電気鉄道システムにおいては、支持案内路として軌道(11)を備えているが、本発明はこれらの例には限定されず、他の構成の電動移動体を用いた輸送システム、例えば、トロリーバスのように、走行する部分は一般の道路であり、案内等は車両の運転手等が行うような、支持案内路を持たない輸送システムであってもよい。
【0172】
また、上記した各実施形態の電気鉄道システムにおいては、外部電力が交流電力の場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれらの例には限定されず、他の場合、例えば、外部電力が直流電力の場合であってもよい。外部電力が直流の場合には、変圧・整流部22bは不要となる。
【0173】
また、上記した第3実施形態の電気鉄道システムにおいては、連続給電手段として変電所と架空トロリー線を例に挙げて説明したが、本発明はこれらの例には限定されず、他の構成の連続給電手段、例えば、架空トロリー線のかわりに、レール状又は梁(ビーム状)に形成された部材を用いて駅を含む区間で連続的に給電を行う第3給電軌条を用いる連続給電手段であってもよい。
【0174】
また、上記した各実施形態の電気鉄道システムにおいては、輸送の対象となる被輸送対象が旅客(人)の場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれらの例には限定されず、他の場合、例えば、被輸送対象が人と貨物、あるいは被輸送対象が貨物専用の場合であってもよい。
【0175】
また、上記した第4〜第8実施形態の電力蓄積式交流電動機においては、第2回転子クラッチ手段として、電磁クラッチ式の第2回転子クラッチ機構255を例に挙げて説明したが、本発明はこれらの例には限定されず、他の構成の第2回転子クラッチ手段、例えば、摩擦クラッチ(摩擦力を利用するクラッチ)等であってもよい。あるいは、固定子に通電することでクラッチを省略してもよい。
【0176】
また、上記した第4〜第7実施形態の電力蓄積式交流電動機においては、第1回転子と第2回転子、及び第2回転子と固定子が交流同期電動機(シンクロナス・モータ)を構成するものを例に挙げて説明したが、本発明はこれらの例には限定されず、他の構成の電力蓄積式交流電動機、例えば、1回転子と第2回転子、及び第2回転子と固定子が交流誘導電動機(インダクション・モータ)を構成するものであってもよい。
【0177】
また、上記した第4〜第8実施形態の電力蓄積式交流電動機においては、コイルに対向する部分は、強磁性体等からなる塊状強磁性体部材で構成される例について説明したが、本発明はこれらの例には限定されず、他の構成、例えば、永久磁石部材で構成してもよい。この場合、上記した第4〜第8実施形態のように、コイル側を「4極巻線」で構成するときは、4つの磁極N,S,N,Sが略十字状になるように配置する必要がある。
【0178】
また、上記した第4〜第8実施形態の電力蓄積式交流電動機においては、電動移動体を用いた輸送システム(例えば、電気鉄道システム4等)の電動移動体(例えば、電動鉄道車両20A〜20D)の蓄電・駆動部に用いる例について説明したが、本発明はこれらの例には限定されず、この電力蓄積式交流電動機は他の用途、例えば、離島等における風力や波動等を用いた蓄電・駆動源等に使用してもよい。
【0179】
また、上記した第4〜第8実施形態の電力蓄積式交流電動機においては、第1回転子と第2回転子、又は第2回転子と固定子に切欠部を設けてリラクタンスモータ(reluctance motor)を構成する例について説明したが、本発明はこれらの例には限定されず、切欠部はいずれの側に設けられてもよいし、両方の側に設けられてもよい。
【0180】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし請求項4記載の発明によれば、固定子と、前記固定子に対向する位置に配置されるとともに回転可能に構成される第2回転子と、前記第2回転子に対向する位置に配置されるとともに回転可能に構成される第1回転子と、前記第2回転子の回転を抑止し又は前記回転の抑止を連続的に解除可能な第2回転子クラッチ手段と、外部から入力される電力を受け入れるとともに、外部へ電力を出力可能な電力入出力手段を備え、前記第1回転子と前記第2回転子が電動機を構成するように前記第1回転子又は前記第2回転子にカゴ形の誘導子、あるいは巻線形誘導子、あるいはコイル部材又は永久磁石部材若しくは強磁性体部材あるいはこれらの適宜の組み合わせを配設するとともに、前記第2回転子と前記固定子が電動機を構成するように前記第2回転子又は前記固定子にコイル部材又は永久磁石部材若しくは強磁性体部材あるいはこれらの適宜の組み合わせを配設し、前記第2回転子クラッチ手段により前記第2回転子の回転を抑止した状態で、前記電力入出力手段により前記第1回転子と前記第2回転子の間に回転移動磁界を発生させて前記第1回転子を回転させる第1回転状態とし、前記第2回転子クラッチ手段により前記第2回転子の回転を連続的に解除し、前記第1回転子の回転エネルギーを前記第2回転子に移し前記第1回転子と前記第2回転子の両者を回転させるとともに前記第2回転子をフライホイールとして用い前記回転エネルギーを蓄積する第2回転状態とし、前記第1回転状態又は前記第2回転状態のいずれかの状態における前記第1回転子の回転軸を利用することにより回転駆動源として用い、前記第2回転状態において前記第2回転子と前記固定子を発電機として用い、前記第2回転子に蓄積された回転エネルギーを前記電力入出力手段により電気エネルギーとして取り出すように構成したので、電動鉄道車両等の電動移動体に用いれば、小型化、軽量化、蓄電部の保守の簡素化等に寄与し、車両等の個々の輪軸ごとに設置することができ、動力の分散、全体としての駆動力の増強、蓄電能力の向上等を図ることができ、さらに、省エネルギー性が重視される都市内交通、あるいは大都市近郊線区の鉄道に好適である、という利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 1実施形態である電気鉄道システムの全体構成を示す概念ブロック図である。
【図2】 図1に示す電気鉄道システムにおける電動鉄道車両のさらに詳細な構成を示す概念ブロック図である。
【図3】 図1,2に示す電動鉄道車両の蓄電部の一例であるウルトラキャパシタの構成を示す回路図である。
【図4】 2実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両のさらに詳細な構成を示す概念ブロック図である。
【図5】 図4に示す電動鉄道車両の蓄電部の一例であるフライホイール式蓄電装置の構成を示す斜視図である。
【図6】 3実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両のさらに詳細な構成を示す概念ブロック図である。
【図7】 4実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両のさらに詳細な構成を示す概念ブロック図である。
【図8】 図7に示す電動鉄道車両の蓄電・駆動部のさらに詳細な構成を示す概念ブロック図である。
【図9】 図8に示すインバータ/コンバータ部の構成例を示す回路図である。
【図10】 図8に示す電力蓄積式交流電動機の構成を示す図であり、図10(A)は分解斜視図を、図10(B)は横断面図を、それぞれ示している。
【図11】 図8,図10に示す電力蓄積式交流電動機の第1回転子のさらに詳細な構成を示す図であり、図11(A)は横断面図を、図11(B)はコイルスロットの横断面図を、それぞれ示している。
【図12】 図8,図10,図11に示す電力蓄積式交流電動機の第1回転子のさらに詳細な構成を示す図であり、図12(A)は3相交流のうちU相が通電された場合に発生する磁極を、図12(B)はを、3相交流のうちU相が通電されるU相コイルの結線状態を、それぞれ示している。
【図13】 4実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両の電力蓄積式交流電動機の変化例の構成を示す図であり、図13(A)は第1変化例の縦断面図を、図13(B)は第2変化例の縦断面図を、それぞれ示している。
【図14】 5実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両の電力蓄積式交流電動機の構成を示す横断面図である。
【図15】 6実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両の電力蓄積式交流電動機の構成を示す横断面図である。
【図16】 6実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両の電力蓄積式交流電動機の第1変化例の構成を示す縦断面図である。
【図17】 6実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両の電力蓄積式交流電動機の第2変化例の構成を示す縦断面図である。
【図18】 7実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両の電力蓄積式交流電動機の構成を示す横断面図である。
【図19】 8実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両の蓄電・駆動部の構成を示す概念ブロック図である。
【図20】 9実施形態である電気鉄道システムにおける電動鉄道車両の蓄電・駆動部の構成を示す概念ブロック図である。
【図21】 10実施形態である電気鉄道システムにおける第1回転子の構成を示す横断面図である。
【符号の説明】
1〜4 電気鉄道システム
10A,10B 地上設備
11 軌道
12 駅
12a 駅舎
12b プラットホーム
13A,13B 駅給電施設
14 変電所
15 架空トロリー線
20A〜20D 電動鉄道車両
21 第1受電部
21a 第1受電部材
21b 可動部材
22 インバータ部
22′,22A インバータ/コンバータ部
22B 変圧部
22C コンバータ/インバータ部
22D インバータ部
22E インバータ/コンバータ部
23A 蓄電部
23A′ ウルトラキャパシタ
23B 蓄電部
23B′ フライホイール式蓄電装置
24 コンバータ部
24A インバータ/コンバータ部
24B サイクロコンバータ部
24C コンバータ/インバータ部
25A 駆動・発電部
25C,25D 駆動・蓄電部
26 制御部
26a 主制御部
26b 入力・表示部
27a 駆動車輪
27b 従動車輪
28b パンタグラフ
235a 交流電動機
235b 電動機回転軸
235c フライホイール
235d〜235f 入出力端子
252A1 インバータ/コンバータ部
252A2 コンバータ/インバータ部
252A3 インバータ部
252B サイクロコンバータ部
254A〜254D 電力蓄積式交流電動機
255 第2回転子クラッチ機構
255a クラッチ駆動源
255b クラッチディスク
256 蓄電池
257a〜257h 歯車
2540A,2540B 固定子
2541A,2541A′,2541B 第1回転子
2542A〜2542D 第2回転子
2543A 固定子コイル部材
2544A 第1回転子コイル部材
2545A,2545B 第2回転子コイル部材
2546A〜2546C スリップリング
2547a U相コイル
2547b V相コイル
2547c W相コイル
2548a 鉄心
2548b 突極部
2548c コイルスロット
2549 第1回転子回転軸
Cu コンデンサ
Dz ツェナーダイオード
R 抵抗
S1〜S16 スイッチ
T1〜T6 サイリスタ

Claims (4)

  1. 固定子と、
    前記固定子に対向する位置に配置されるとともに回転可能に構成される第2回転子と、
    前記第2回転子に対向する位置に配置されるとともに回転可能に構成される第1回転子と、
    前記第2回転子の回転を抑止し又は前記回転の抑止を連続的に解除可能な第2回転子クラッチ手段と、
    外部から入力される電力を受け入れるとともに、外部へ電力を出力可能な電力入出力手段を備え、
    前記第1回転子と前記第2回転子が電動機を構成するように前記第1回転子又は前記第2回転子にカゴ形の誘導子、あるいは巻線形誘導子、あるいはコイル部材又は永久磁石部材若しくは強磁性体部材あるいはこれらの適宜の組み合わせを配設するとともに、前記第2回転子と前記固定子が電動機を構成するように前記第2回転子又は前記固定子にコイル部材又は永久磁石部材若しくは強磁性体部材あるいはこれらの適宜の組み合わせを配設し、
    前記第2回転子クラッチ手段により前記第2回転子の回転を抑止した状態で、前記電力入出力手段により前記第1回転子と前記第2回転子の間に回転移動磁界を発生させて前記第1回転子を回転させる第1回転状態とし、
    前記第2回転子クラッチ手段により前記第2回転子の回転を連続的に解除し、前記第1回転子の回転エネルギーを前記第2回転子に移し前記第1回転子と前記第2回転子の両者を回転させるとともに前記第2回転子をフライホイールとして用い前記回転エネルギーを蓄積する第2回転状態とし、
    前記第1回転状態又は前記第2回転状態のいずれかの状態における前記第1回転子の回転軸を利用することにより回転駆動源として用い、
    前記第2回転状態において前記第2回転子と前記固定子を発電機として用い、前記第2回転子に蓄積された回転エネルギーを前記電力入出力手段により電気エネルギーとして取り出すことを特徴とする電力蓄積式電動機。
  2. 請求項1記載の電力蓄積式電動機において、
    前記電力入出力手段において外部から入力又は外部へ出力される電力は直流電力であり、
    前記電力入出力手段は、
    前記入力された直流電力を交流電力に変換して前記第1回転状態における回転移動磁界を発生させるとともに、前記第2回転状態から取り出される交流の電気エネルギーを直流電力に変換して出力する直流/交流変換手段を有することを特徴とする電力蓄積式電動機。
  3. 請求項1記載の電力蓄積式電動機において、
    前記電力入出力手段において外部から入力又は外部へ出力される電力は交流電力であり、
    前記電力入出力手段は、
    前記入力された交流電力の周波数を変えて任意値の新たな任意交流電力に変換し前記第1回転状態における回転移動磁界を発生させるとともに、前記第2回転状態から取り出される交流の電気エネルギーの周波数を変えて任意値の新たな任意交流電力に変換する交流周波数変換手段を有することを特徴とする電力蓄積式電動機。
  4. 固定子と、
    前記固定子に対向する位置に配置されるとともに回転可能に構成される第2回転子と、
    前記第2回転子に対向する位置に配置されるとともに回転可能に構成される第1回転子と、
    前記第2回転子の回転を抑止し又は前記回転の抑止を連続的に解除可能な第2回転子クラッチ手段と、
    外部から入力される電力を受け入れるとともに、外部へ電力を出力可能な電力入出力手段を設け、
    前記第1回転子と前記第2回転子が電動機を構成するように前記第1回転子又は前記第2回転子にコイル部材又は永久磁石部材若しくは強磁性体部材あるいはこれらの適宜の組み合わせを配設するとともに、前記第2回転子と前記固定子が電動機を構成するように前記第2回転子又は前記固定子にコイル部材又は永久磁石部材若しくは強磁性体部材あるいはこれらの適宜の組み合わせを配設して電力蓄積式電動機を構成し、
    前記第2回転子クラッチ手段により前記第2回転子の回転を抑止した状態で、前記電力入出力手段により前記第1回転子と前記第2回転子の間に回転移動磁界を発生させて前記第1回転子を回転させる第1回転状態とし、
    前記第2回転子クラッチ手段により前記第2回転子の回転を連続的に解除し、前記第1回転子の回転エネルギーを前記第2回転子に移し前記第1回転子と前記第2回転子の両者を回転させるとともに前記第2回転子をフライホイールとして用い前記回転エネルギーを蓄積する第2回転状態とし、
    前記第1回転状態又は前記第2回転状態のいずれかの状態における前記第1回転子の回転軸を利用することにより回転駆動源として用い、
    前記第2回転状態において前記第2回転子と前記固定子を発電機として用い、前記第2回転子に蓄積された回転エネルギーを前記電力入出力手段により電気エネルギーとして取り出すことを特徴とする電力蓄積式電動機を用いた電力蓄積方法。
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