JP3923826B2 - 無線受信回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、受信信号RFから中間信号IFを抽出するとともにその中間信号IFに含まれる不要成分であるイメージ信号成分を除去するイメージ処理を行なう無線受信回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、受信された高周波信号RF(Radio Frequency)と、そのRF信号に対し所定の周波数だけ低い周波数の信号LOとをミキシングして中間周波数の信号IF(Intermediate Frequency)を抽出するとともにそのIF信号に含まれるイメージ信号成分を除去するイメージ処理を行なう無線受信回路が知られている。ここで、信号LOは、例えば無線受信回路に内蔵された発振器回路により生成され、受信信号RFのキャリア周波数を下げるのに用いられる。
【0003】
図5は、無線受信回路を構成する、IF信号を抽出するためのダウンコンバート回路を示す図である。
【0004】
図5に示すダウンコンバート回路1は、ミキサ1_1とローパスフィルタ(LPF:Low Pass Filter)1_2から構成されている。ミキサ1_1には、RF信号と、図示しない発振回路からの、RF信号に対し所定の周波数だけ低い周波数のLO信号が入力される。このダウンコンバート回路1は、RF信号とLO信号をミキサ1_1でミキシングしてローパスフィルタ1_2を通過させることで、RF信号の周波数とLO信号の周波数の差の周波数を有するIF信号を抽出する。このようにして、RF信号をIF信号へと周波数変換(ダウンコンバート)する。ここで、ダウンコンバートにあたり、以下の問題がある。
【0005】
図6は、ダウンコンバートにおける問題を説明するための図である。
【0006】
ここでは、RF信号の周波数をωRF、LO信号の周波数をωLO、IF信号の周波数をωIFとする。ωRF−ωLO=ωIFの場合、即ちωRF>ωLOの場合を考えると、この図6のカーブAで示すように、周波数ωRFのRF信号と周波数ωLOのLO信号との差である周波数ωIFのIF信号にダウンコンバートされる。しかし、RF信号が、ωRF−2ωIFのωImageという周波数成分を持っていた場合、この図6のカーブBで示すように、ωLO−ωImage=ωIFとなり、これも周波数ωIFのIF信号にダウンコンバートされてしまうという問題がある。ここで、ωImageとなる周波数を持つ信号はイメージ信号と呼ばれる不要な信号であり、このような信号の周波数成分を除去する必要がある。
【0007】
そこで、無線受信回路では、イメージ信号を除去する処理(イメージ処理と称する)を行なうために、位相が相互に90°ずれたLO信号のQ成分及びI成分であるLOQ信号とLOI信号を生成し、これらLOQ信号,LOI信号それぞれでダウンコンバートして、後段で演算処理するということが行なわれている。
【0008】
図7は、位相が相互に90°ずれたLOQ信号,LOI信号それぞれでRF信号をダウンコンバートするダウンコンバート回路を示す図である。
【0009】
図7に示すダウンコンバート回路12は、ミキサ1_1とローパスフィルタ1_2のペア、およびミキサ1_3とローパスフィルタ1_4のペアから構成されている。ミキサ1_1,1_3には、RF信号と、図示しない発振回路からの、RF信号に対し所定の周波数だけ低い周波数のLOQ信号,LOI信号が入力される。これらLOQ信号,LOI信号は、位相が相互に90°ずれた信号である。
【0010】
このダウンコンバート回路12は、RF信号と、そのRF信号に対して所定の周波数分低く、かつ位相が相互に90°ずれたLOQ信号,LOI信号とを、ミキサ1_1,1_3によりそれぞれミキシングし、さらにローパスフィルタ1_2,1_4を通過させることで、RF信号に対して所定の周波数分低い、かつ位相が相互に90°ずれたIFQ信号,IFI信号を抽出する。
【0011】
図8は、図7に示すミキサ1_1の回路構成の一例を示す図である。
【0012】
尚、図7に示すミキサ1_3の回路構成も、この図8に示すミキサ1_1の回路構成と同様である。
【0013】
図8に示すミキサ1_1には、各一端が電源VDDに共通接続された抵抗1_11,1_13と、各ドレインが抵抗1_11,1_13の各他端に接続されるとともに各ソースが共通接続されたNMOSトランジスタ1_12,1_14と、共通接続されたNMOSトランジスタ1_12,1_14の各ソースとグラウンドGNDとの間に配置されたNMOSトランジスタ1_15とが備えられている。NMOSトランジスタ1_12,1_14のゲートには、LOQ信号を構成する、位相が相互に180°ずれたQ+信号,Q-信号が入力される。また、NMOSトランジスタ1_15のゲートにはRF信号が入力される。
【0014】
ミキサ1_1は、NMOSトランジスタ1_15のゲートに入力されたRF信号の論理と、NMOSトランジスタ1_12,1_14のゲートに入力されたQ+信号,Q-信号の論理とにより定まる、それらNMOSトランジスタ1_15,1_12,1_14のオン,オフ状態に応じて出力されるIF+信号,IF-信号を得る。これらIF+信号,IF-信号は、位相が相互に180°ずれた信号であり、前述したローパスフィルタ1_2に入力されそのローパスフィルタ1_2からIFQ信号として出力される。
【0015】
図9は、位相が相互に90°ずれたLOQ信号とLOI信号を生成する発振回路を示す図である。
【0016】
図9に示す発振回路11は、文献「IEEE J. of Solid−State Circuits,April 1998…Part1;Architecture & Transmitter」に提案されたクワドラチャ(Quadrature)発振回路であり、この発振回路11には、2つの差動発振回路100が備えられている。尚、2つの差動発振回路100の構成は同じであるため、ここでは1つの差動発振回路100の構成について説明する。
【0017】
差動発振回路100には、各一端が電源VDDに共通接続されるとともに各他端が互いに接続されたインダクタ111_1およびキャパシタ112_1からなる第1のLCタンクと、各一端が電源VDDに接続されるとともに各他端が互いに接続されたインダクタ111_2およびキャパシタ112_2からなる第2のLCタンクと、上記インダクタ111_1およびキャパシタ112_1の接続点とグラウンドGNDとの間に配置されたNMOSトランジスタ113_1と、上記インダクタ111_2およびキャパシタ112_2の接続点とグラウンドGNDとの間に配置されたNMOSトランジスタ113_2とが備えられている。NMOSトランジスタ113_1のゲートは、インダクタ111_2およびキャパシタ112_2の接続点に接続されている。また、NMOSトランジスタ113_2のゲートは、インダクタ111_1およびキャパシタ112_1の接続点に接続されている。
【0018】
また、発振回路11には、2つの差動発振回路100のうちの左側の差動発振回路100を構成するNMOSトランジスタ113_1,113_2に並列にNMOSトランジスタ113_3,113_4が備えられている。また、右側の差動発振回路100を構成するNMOSトランジスタ113_1,113_2に並列にNMOSトランジスタ113_5,113_6が備えられている。NMOSトランジスタ113_3,113_4の各ゲートは、右側の差動発振回路100を構成するNMOSトランジスタ113_1,113_2の各ゲートに接続されている。また、NMOSトランジスタ113_5,113_6の各ゲートは、左側の差動発振回路100を構成するNMOSトランジスタ113_2,113_1の各ゲートに接続されている。ここで、各2つのNMOSトランジスタ113_1,113_2を差動損失補償用トランジスタと称する。また、NMOSトランジスタ113_3,113_4,113_5,113_6をクワドラチャ位相保持用トランジスタと称する。この発振回路11の信号Q+,Q-,I+,I-が表わす電圧V(Q+),V(Q-),V(I+),V(I-)は、下記のように相互に位相が90度ずれた電圧である。
【0019】
V(Q+)=jV(I+
V(I-)=−V(I+
V(Q-)=−jV(I+
尚、信号Q+,Q-からLOQ信号が構成され、信号I+,I-からLOI信号が構成される。
【0020】
この差動発振装置100では、インダクタ111_1およびキャパシタ112_1からなる第1のLCタンクと、インダクタ111_2およびキャパシタ112_2からなる第2のLCタンクとが、NMOSトランジスタ113_2,113_1にクロスカップルに接続されて、互いに180°位相のずれた発振信号I-,I+が出力される。NMOSトランジスタ113_1,113_2は、インダクタ111_1,111_2が有する寄生抵抗などによるエネルギー損失を補う役割を担うとともに、このエネルギー損失を補うのに十分な利得を有する。
【0021】
尚、差動発振回路100を構成するキャパシタ112_1,112_2として、印加電圧によって容量値が変化する、いわゆる電圧制御可変容量を有するデバイスであるバラクタ等を用いれば、制御電圧に応じた発振周波数の発振信号を出力する電圧制御発振装置(VCO;Voltage Controlled Oscillator)が実現できる。図9ではキャパシタ112_1,112_2のそれぞれの一端は電源VDDに接続されているが、電圧制御発振装置の場合、キャパシタ112_1,112_2のこれらの一端は、可変容量制御信号の端子へ接続されていてもよい。
【0022】
ところで、このような発振回路11では、LOI信号とLOQ信号の位相が逆転する可能性がある。すなわち、V(Q+)=−jV(I+),V(I-)=−V(I+),V(Q-)=jV(I+)となる可能性がある。この発振回路11が組み込まれた無線受信回路において、LOI信号とLOQ信号の位相関係が定まらないと、後段でのイメージ処理の実行にあたりIF信号に含まれるイメージ信号成分を除去することは困難であるという問題がある。
【0023】
本発明は、上記事情に鑑み、IF信号に含まれるイメージ信号成分を十分に除去することができる無線受信回路を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の無線受信回路は、受信信号と、所定周波数の信号とをミキシングして中間信号を抽出するとともにその中間信号に含まれるイメージ信号成分を除去するイメージ処理を行なう無線受信回路において、
(1)上記所定周波数の信号であって位相が相互に略90°ずれたI成分信号とQ成分信号を生成する発振回路
(2)受信信号に、上記発振回路で生成されたI成分信号とQ成分信号をそれぞれミキシングして2つの中間信号を抽出するダウンコンバート回路
(3)上記ダウンコンバート回路で得られた2つの中間信号を入力してイメージ処理を行なうイメージ処理回路
(4)上記発振回路で生成されたI成分信号とQ成分信号との間でいずれが位相が略90°進んだ信号であっていずれが位相が略90°遅れた信号であるかを検出する位相検出回路
(5)上記ダウンコンバート回路と上記イメージ処理回路との間に介在し、上記位相検出回路による検出結果に応じて、上記ダウンコンバート回路から出力された2つの中間信号の、上記イメージ処理回路への入力パスを切り替える信号切替回路を備えたことを特徴とする。
【0025】
無線受信回路において、受信信号RFと、そのRF信号に対し所定周波数低いLO信号とをミキシングして中間信号IFを抽出するにあたり、位相が相互に90°ずれた2つのLO信号であるLOI信号とLOQ信号を生成する発振回路では、LOI信号とLOQ信号の位相が逆転する可能性がある。LOI信号とLOQ信号の位相関係が定まらないと、IF信号に含まれるイメージ信号成分の影響を十分に減ずることは困難である。
【0026】
本発明は、発振回路で生成されたLOI信号とLOQ信号との間でいずれが位相が90°進んだ信号であっていずれが位相が90°遅れた信号であるかを位相検出回路で検出し、その検出結果に応じて、上記ダウンコンバート回路から出力された2つのIF信号の、上記イメージ処理回路への入力パスを信号切替回路で切り替えるものであるため、LOI信号とLOQ信号の位相が逆転していた場合であっても、ダウンコンバート回路から出力された2つのIF信号を切り替えて後段のイメージ処理回路に出力することができる。従って、IF信号に含まれるイメージ信号成分を十分に除去することができる。
【0027】
ここで、上記発振回路は、コイルとキャパシタを結合したLCタンク回路を使った構成の2つの差動発振回路を位相保持用のトランジスタで相互に結合したクワドラチャ発振回路であることが好ましい。
【0028】
近年、無線通信トランシーバー技術の発達とともに、数GHzレベルの高周波数で互いに位相が90度ずれてなる2つのLO信号であるLOI信号とLOQ信号を出力する必要性が高まっている。そこで、このようなクワドラチャ発振回路を備えると、上記LOI信号とLOQ信号を簡単に生成することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態の無線受信回路の構成を示す図である。
【0031】
図1に示す無線受信回路10は、受信信号RFと、そのRF信号に対し所定の周波数低いLO信号とをミキシングして受信信号RFの周波数より低い中間信号IFを抽出するとともにそのIF信号に含まれるイメージ信号成分を除去するイメージ処理を行なう無線受信回路である。
【0032】
この無線受信回路10には、位相が相互に90°ずれたLO信号のI成分及びQ成分であるLOI信号とLOQ信号を生成する、前述した発振回路11が備えられている。
【0033】
また、この無線受信回路10には、受信されたRF信号に、発振回路11で生成されたLOI信号とLOQ信号をそれぞれミキシングして2つのIFQ,IFI信号を抽出するダウンコンバート回路12が備えられている。ダウンコンバート回路12は、ミキサ1_1とローパスフィルタ1_2のペア、およびミキサ1_3とローパスフィルタ1_4のペアから構成されている。ミキサ1_1,1_3には、RF信号と、発振回路11からの、RF信号に対し所定の周波数低いLOQ信号,LOI信号が入力される。これらLOQ信号,LOI信号は、位相が相互に90°ずれた信号である。ダウンコンバート回路12は、RF信号と、LOQ信号,LOI信号とを、ミキサ1_1,1_3によりそれぞれミキシングし、さらにローパスフィルタ1_2,1_4を通過させることで、RF信号に対して所定の周波数低くかつ、位相が相互に90°ずれたIFQ信号,IFI信号を抽出する。
【0034】
さらに、無線受信回路10には、ダウンコンバート回路12で得られた2つのIFQ信号,IFI信号を入力してイメージ処理を行なうイメージ処理回路13と、発振回路11で生成されたLOQ信号とLOI信号との間でいずれが位相が90°進んだ信号であっていずれが位相が90°遅れた信号であるかを検出する位相検出回路(Phase Detector)14と、ダウンコンバート回路12とイメージ処理回路13との間に介在し、位相検出回路14による検出結果に応じて、ダウンコンバート回路12から出力された2つのIFQ信号,IFI信号の、イメージ処理回路13への入力パスを切り替える信号切替回路15とが備えられている。
【0035】
図2は、図1に示す位相検出回路の回路図である。
【0036】
位相検出回路14は、第1のフリップフロップ14_1と第2のフリップフロップ14_2から構成されている。第1のフリップフロップ14_1の正相データ端子D,逆相データ端子DNには、発振回路11からのLOQ信号の成分である、位相が相互に180°ずれたQ+信号,Q-信号が入力される。また、第1,第2のフリップフロップ14_1,14_2の正相クロック端子CK,逆相クロック端子CKNには、発振回路11からのLOI信号の成分である、位相が相互に180°ずれたI+信号,I-信号が入力される。この位相検出回路14は、以下のようにして、LOQ信号とLOI信号との間でいずれが位相が90°進んだ信号であっていずれが位相が90°遅れた信号であるかを検出する位相検出信号PDを構成する、論理が相互に異なるQ2信号,QN2信号を出力する。
【0037】
図3は、図2に示す第1のフリップフロップ14_1の回路図である。
【0038】
尚、図2に示す第2のフリップフロップ14_2の回路図も、この図3に示す第1のフリップフロップ14_1の回路図と同様である。
【0039】
第1のフリップフロップ14_1は、差動アンプが2つ結合されたものと同様の機能を有する。ここでは、左側の差動アンプのゲインをA1、右側の差動アンプのゲインをA2として説明する。
【0040】
左側の差動アンプは、各一端が電源VDDに共通接続された抵抗14_11,14_12と、抵抗14_11,14_12の各他端に各ドレインが接続されたNMOトランジスタ14_13,14_14と、NMOトランジスタ14_13,14_14の各ソースにドレインが接続されたNMOトランジスタ14_15とから構成されている。また、右側の差動アンプは、各一端が電源VDDに共通接続された抵抗14_21,14_22と、抵抗14_21,14_22の各他端に各ドレインが接続されたNMOトランジスタ14_23,14_24と、NMOトランジスタ14_23,14_24の各ソースにドレインが接続されたNMOトランジスタ14_25とから構成されている。NMOトランジスタ14_23のゲートはNMOトランジスタ14_14,14_24のドレインに接続され、NMOトランジスタ14_24のゲートはNMOトランジスタ14_13,14_23のドレインに接続されている。
【0041】
また、第1のフリップフロップ14_1には、NMOトランジスタ14_15,14_25のソースとグラウンドGNDとの間に配置されたNMOSトランジスタ14_31が備えられている。このNMOSトランジスタ14_31は定電流源としての機能を有し、このNMOSトランジスタ14_31には所定のバイアス電圧VBが印加される。
【0042】
図4は、図2に示す位相検出回路に入力されるLOQ信号の成分であるQ+信号,Q-信号およびLOI信号の成分であるI+信号,I-信号と、そのタイミング期間を示す図である。
【0043】
図4に示すように、Q+信号はI+信号に対して位相が90°遅れている。また、Q-信号もI-信号に対して位相が90°遅れている。このようなQ+信号,I+信号,Q-信号,I-信号が位相検出回路14を構成する第1のフリップフロップ14_1に入力される。
【0044】
期間t1(I+信号>I-信号)において、Q+信号,Q-信号が第1のフリップフロップ14_1にロード(load)され、その第1のフリップフロップ14_1からQ1信号,QN1信号が出力される。ここで、Q1信号とQN1信号の電位差はゲインA1×(Q+信号−Q-信号)の値となる。
【0045】
期間t2(I+信号<I-信号)において、Q1信号,QN1信号が第2のフリップフロップ14_2にタイミングt11でラッチ(latch)される。第2のフリップフロップ14_2から出力されるQ2信号とQN2信号の電位差は、ラッチした瞬間(タイミングt11)におけるゲインA2×A1×(Q+信号−Q-信号)の値である。図4に示すとおり、この場合は必ずQ+信号>Q-信号である。タイミングt11では、Q1信号は電源電圧VDD付近の値となり、一方QN1信号は数百mV程度の値となる。この値は、定電流源MOSトランジスタ(NMOSトランジスタ14_31)のVds(ドレイン−ソース間の電圧)と、I+信号,I-信号が入力されるMOSトランジスタ(NMOSトランジスタ14_15,14_25)のVdsの和である。このため、第2のフリップフロップ14_2にとっては、Q1信号=H,QN1信号=Lと考えてよいので、最終出力であるQ2信号,QN2信号も各々H,Lとなる。
【0046】
再び、I+信号>I-信号(期間t3)において、Q+信号,Q-信号がロードされるが、上述したように、Q1信号とQN1信号の電位差はきわめて大きくなっているため、第1のフリップフロップ14_1の正相データ端子D,逆相データ端子DNに小さなQ+信号,Q-信号が入力されたとしても、Q1信号とQN1信号の電位が逆転するまでには至らない。従って、Q1信号とQN1信号の大小関係はこの時点で確定される。
【0047】
このように、Q+信号はI+信号に対して位相が90°遅れており、またQ-信号もI-信号に対して位相が90°遅れている場合は、位相検出回路14からQ2信号=H,QN2信号=Lが出力される。このようにして、位相検出回路14からQ2信号,QN2信号からなる位相検出信号PDが信号切替回路15に向けて出力される。
【0048】
信号切替回路15は、位相検出回路14からの位相検出信号PDに応じて、ダウンコンバート回路12から出力された2つのIFQ信号,IFI信号の、イメージ処理回路13への入力パスを切り替える。このようにして、イメージ処理回路13でイメージ処理を行なう。
【0049】
このように、本実施形態では、発振回路11で生成されたLOI信号とLOQ信号との間でいずれが位相が90°進んだ信号であっていずれが位相が90°遅れた信号であるかを位相検出回路14で検出し、その検出結果に応じて、ダウンコンバート回路12から出力された2つのIFQ信号,IFI信号の、イメージ処理回路13への入力パスを信号切替回路15で切り替えるものであるため、LOI信号とLOQ信号の位相が逆転していた場合であっても、ダウンコンバート回路12から出力された2つのIFQ信号,IFI信号を切り替えて後段のイメージ処理回路13に出力することができる。従って、IF信号に含まれるイメージ信号成分を十分に除去することができる。
【0050】
尚、本実施形態では、発振回路11で生成されたLOI信号とLOQ信号を位相検出回路14に直接入力する例で説明したが、それらLOI信号とLOQ信号の周波数を分周回路で分周してから位相検出回路14に入力してもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の無線受信回路によれば、IF信号に含まれるイメージ信号成分を十分に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の無線受信回路の構成を示す図である。
【図2】図1に示す位相検出回路の回路図である。
【図3】図2に示す第1のフリップフロップ14_1の回路図である。
【図4】図2に示す位相検出回路に入力されるLOQ信号の成分であるQ+信号,Q-信号およびLOI信号の成分であるI+信号,I-信号と、そのタイミング期間を示す図である。
【図5】無線受信回路を構成する、IF信号を抽出するためのダウンコンバート回路を示す図である。
【図6】ダウンコンバートにおける問題を説明するための図である。
【図7】位相が相互に90°ずれたLOQ信号,LOI信号それぞれでRF信号をダウンコンバートするダウンコンバート回路を示す図である。
【図8】図7に示すミキサ1_1の回路構成の一例を示す図である。
【図9】位相が相互に90°ずれたLOQ信号とLOI信号を生成する発振回路を示す図である。
【符号の説明】
1_1,1_3 ミキサ
1_2,1_4 ローパスフィルタ
10 無線受信回路
11 発振回路
12 ダウンコンバート回路
13 イメージ処理回路
14 位相検出回路
14_1 第1のフリップフロップ
14_2 第2のフリップフロップ
14_11,14_12,14_21,14_22 抵抗
14_13,14_14,14_15,14_23,14_24,14_25,14_31 NMOSトランジスタ

Claims (2)

  1. 受信信号と、所定周波数の信号とをミキシングして中間信号を抽出するとともに該中間信号に含まれるイメージ信号成分を除去するイメージ処理を行なう無線受信回路において、
    前記所定周波数の信号であって位相が相互に略90°ずれたI成分信号とQ成分信号を生成する発振回路と、
    受信信号に、前記発振回路で生成されたI成分信号とQ成分信号をそれぞれミキシングして2つの中間信号を抽出するダウンコンバート回路と、
    前記ダウンコンバート回路で得られた2つの中間信号を入力してイメージ処理を行なうイメージ処理回路と、
    前記発振回路で生成されたI成分信号とQ成分信号との間でいずれが位相が略90°進んだ信号であっていずれが位相が略90°遅れた信号であるかを検出する位相検出回路と、
    前記ダウンコンバート回路と前記イメージ処理回路との間に介在し、前記位相検出回路による検出結果に応じて、前記ダウンコンバート回路から出力された2つの中間信号の、前記イメージ処理回路への入力パスを切り替える信号切替回路とを備えたことを特徴とする無線受信回路。
  2. 前記発振回路は、コイルとキャパシタを結合したLCタンク回路を使った構成の2つの差動発振回路を位相保持用のトランジスタで相互に結合したクワドラチャ発振回路であることを特徴とする請求項1記載の無線受信回路。
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