JP3923691B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆるステアバイワイヤシステムを採用した車両用操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステアバイワイヤシステムを採用した車両用操舵装置においては、ステアリングホイールを模した回転操作部材の回転操作に応じて制御される操舵用アクチュエータの動きを、その操作部材を車輪に機械的に連結することなく、舵角が変化するようにその車輪に伝達する。
【0003】
また、その車輪に作用する操舵抵抗に応じたトルクを操作部材に作用させる操作用アクチュエータを設けることで、ステアリングホイールと車輪とが機械的に連結された通常の車両と同様の操舵フィーリングをドライバーに付与している。さらに、ステアリングホイールと車輪とが機械的に連結された通常の車両においてはセルフアライニングトルクがステアリングホイールに作用することから、ステアバイワイヤシステムにおいては操作部材を直進操舵位置に復帰させるトルクを弾力に基づき発生させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の構成では、左右何れかに操舵した状態で駐停車し、操作用アクチュエータにより操作部材に付与されるトルクが解除された場合、ドライバーが操作部材から手を離すと、上記弾力の作用により操作部材は直進操舵位置に復帰するが、車輪は直進操舵位置に復帰しない。そのため、次に発車する際に操作部材の位置と舵角とが対応しないという問題がある。
【0005】
また、ステアバイワイヤシステムを採用した車両においては、操舵用アクチュエータの誤動作や故障等におけるフェールセーフのため、そのような異常時は操舵用アクチュエータによる舵角制御を解除し、操作部材を車輪に機械的に連結する手段を設けている。
しかし、フェールセーフのために操作部材と車輪とが機械的に連結される時、ドライバーに路面から車輪を介して操舵抵抗が作用するため、操舵に要するトルクが急激に変化し、操作部材が不慮に動いてしまうおそれがある。
【0006】
さらに、ステアバイワイヤシステムを採用した車両においては、舵角の変化を一定範囲に規制する車輪側ストッパーとは別に、操作部材の回転操作角度の変化を一定範囲に規制する操作部材側ストッパーを設け、操作部材の操作量を低減することが望まれている。
しかし、その操作部材側ストッパーにより許容される操作部材の最大回転操作角度が小さいと、その操作部材と車輪とが機械的に連結された時に舵角が大きくなると、操作部材側ストッパーにより操作部材の回転が阻止されることになるため、路面側から車輪を介して操作部材側が衝撃を受けて破損するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決することのできる車両用操舵装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、回転操作部材と、操舵用アクチュエータと、その操作部材の回転操作量に応じて操舵用アクチュエータを制御する制御手段と、その操舵用アクチュエータの動きを、その操作部材を車輪に機械的に連結することなく、その動きに応じて舵角が変化するようにその車輪に伝達する手段と、その操作部材を直進操舵位置に復帰させるトルクを弾力に基づき発生する手段と、その操作部材に作用するトルクを発生する操作用アクチュエータと、その操作用アクチュエータの発生トルクの制御手段と、その操作部材を車輪に、その操作部材の操作量に応じて舵角が変化するように機械的に連結可能、かつ、その連結を解除可能な手段とを備え、その操作用アクチュエータは、車速が零であってエンジン作動時は前記弾力に基づくトルクに釣り合うトルクを発生するように制御され、その操舵用アクチュエータによる舵角制御の異常時、および、車速が零であってエンジン停止信号が出力される時、その操作部材は車輪に機械的に連結され、車速が零であってエンジン停止信号が出力される時、その操作部材が車輪に機械的に連結された後に前記操作用アクチュエータのトルク発生が解除されることを特徴とする。
本発明の構成によれば、駐停車することで車速が零になり、エンジン停止信号が出力されると、操作部材は車輪に機械的に連結される。この操作部材と車輪の連結後に、操作部材を直進操舵位置に復帰させる弾力に基づくトルクに釣り合う操作用アクチュエータの発生トルクが零とされる。これにより、左右何れかに操舵された状態で駐停車した後にドライバーが操作部材から手を離しても、操作部材のみが車輪とは独立して直進操舵位置に復帰することはなく、次に発車する際に操作部材の位置と舵角とは対応する。
【0009】
前記操作部材の回転操作角度の変化を一定範囲に規制する操作部材側ストッパーと、舵角の変化を一定範囲に規制する車輪側ストッパーとを備え、その操作部材と車輪とが機械的に連結される時、その操作部材側ストッパーによる操作部材の回転操作角度の変化の規制は解除され、その操作部材側ストッパーにより回転操作角度の変化が規制される時の操作部材の最大回転操作角度は、その操作部材と車輪とが機械的に連結され、且つ、その車輪側ストッパーにより舵角変化が規制される時の操作部材の最大回転操作角度よりも小さく設定されているのが好ましい。
これにより、正常動作時においては操作部材側ストッパーにより操作部材の回転操作角度を規制することで操作部材の操作量を低減できる。また、フェールセーフや駐停車の際に操作部材と車輪とが機械的に連結される時は、操作部材側ストッパーによる操作部材の回転操作角度の変化の規制を解除し、車輪側ストッパーにより規制することで、路面側から車輪を介して操作部材側に衝撃が作用することはない。
【0010】
その操舵用アクチュエータによる舵角制御の異常時、その操作部材と車輪とが機械的に連結された後に前記操作用アクチュエータにより操舵補助力が付与されるのが好ましい。
これにより、フェールセーフのために操作部材と車輪とが機械的に連結される時に、操舵に要するトルクの急激な変化を防止できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1に示す車両の操舵装置は、ステアリングホイールを模した回転操作部材1の回転操作量に応じて制御される操舵用アクチュエータ2の動きを、その操作部材1を車輪4に機械的に連結することなく、舵角が変化するようにステアリングギヤ3を介して車輪4に伝達する。
【0012】
その操舵用アクチュエータ2は、例えばブラシレスモータ等の電動モータにより構成できる。そのステアリングギヤ3は、その操舵用アクチュエータ2の出力シャフトの回転運動をステアリングロッド7の直線運動に変換する運動変換機構を有する。そのステアリングロッド7の動きは、タイロッド8とナックルアーム9を介して車輪4に伝達される。そのステアリングギヤ3は、操舵用アクチュエータ2の動きを車輪4のトー角の変化に変換することで舵角を変化させることができれば構成は限定されず、公知のものを用いることができ、本実施形態では、車体に固定されるハウジング3aと、このハウジング3a内において操舵用アクチュエータ2により回転駆動されるボールナット3bと、そのボールナット3bに噛み合うボールスクリュー3cとを有し、そのボールスクリュー3cがステアリングロッド7に一体化されている。
【0013】
上記ステアリングロッド7の各端部近傍の外周それぞれに、車輪側ストッパー5a、5bが設けられている。一方の車輪側ストッパー5aが上記ステアリングギヤ3のハウジング3aの一端面に接することで、左操舵限界が規定され、他方の車輪側ストッパー5bがそのハウジング3bの他端面に接することで、右操舵限界が規定されている。すなわち、車輪側ストッパー5a、5bにより舵角の変化を一定範囲に規制している。
【0014】
その操作部材1は、車体側により回転可能に支持される入力シャフト10に同行回転するように接続されている。その操作部材1に作用するトルクを発生する操作用アクチュエータ19が設けられている。この操作用アクチュエータ19により操作部材1の操作反力を付与できる。この操作用アクチュエータ19は、その入力シャフト10と一体の出力軸を有するブラシレスモータ等の電動モータにより構成できる。
【0015】
その操作部材1を直進操作位置に復帰させるトルクを弾力に基づき発生する弾力付与機構30が設けられている。その操作部材1が操作状態でなくドライバーが操作力を付加しておらず、上記操作用アクチュエータ19が入力シャフト10にトルクを付加していない時、その弾力により操作部材1は直進操作位置に復帰する。なお、その操作部材1には回転位置を示す指標が設けられている。例えば通常の自動車と同様に、操作部材1を環状リム1aと、入力シャフト10と一体のハブ1bと、そのリム1aとハブ1bとを連結するアーム1cにより構成し、そのアーム1cを指標として回転位置を示すことができる形状にする。
【0016】
図2に示すように、その弾力付与機構30は、上記回転シャフト10と同軸心に一体化されることで上記操作部材1と同行回転するボールスクリューシャフト31と、このスクリューシャフト31を覆う筒状のハウジング32と、そのハウジング32の一端側(図2において上方側)に挿入固定される第1規制部材33と、そのハウジング32の他端側(図2において下方側)に挿入固定される第2規制部材34を有する。両規制部材33、34は筒状で、互いに対してスクリューシャフト31の軸方向の間隔をおいて配置される。そのハウジング32は車体に例えばボルトにより固定され、各規制部材33、34はハウジング32に例えば圧入されることで固定され、これにより、そのハウジング32と各規制部材33、34は車体側部材とされている。そのスクリューシャフト31は、そのハウジング32と第2規制部材34に嵌合されるベアリング35、36を介して車体側に支持される。
【0017】
そのスクリューシャフト31にボール38を介してボールナット39がねじ合わされる。そのナット39は、本体39aと、この本体39aの外周に例えば圧入されることで一体化される筒状部材39bと、この筒状部材39bの両端外周から外方に突出する第1および第2のフランジ39c、39dと、その筒状部材39bの内周に例えば圧入されることで一体化される抜け止め部材39eを有する。その筒状部材39bは2部材39b′、39b″を例えばねじ合わせることで構成され、その外周に後述のスライダー41、42とバネ43(弾性部材)の嵌合が可能とされている。
【0018】
そのナット39の各フランジ39c、39dの外周と、上記各規制部材33、34の内周は、そのスクリューシャフト31の軸方向に相対移動可能かつ軸中心に相対回転しないように、互いに対向すると共に非円形、例えば多角形に沿うものとされている。これにより、入力シャフト10の回転により、ナット39の車体側に対する軸方向移動が許容されると共に軸中心の回転は阻止される。
【0019】
そのナット39側の筒状部材39bの外周に、環形状の第1スライダー41と環形状の第2スライダー42が、スクリューシャフト31の軸方向に変位可能に嵌め合わされている。両スライダー41、42はスクリューシャフト31の軸方向に沿って互いに間隔をおいて並列する。両スライダー41、42の間においてナット39側の外周を囲むように圧縮コイルバネ43が配置される。各スライダー41、42に、そのバネ43の内部に向かい延びる筒状部41a、42aが形成されている。両スライダー41、42によりバネ43が挟まれることで、そのバネ43は、第1スライダー41にスクリューシャフト31の一端に向かう(図2において上方に向かう)弾力を作用させ、第2スライダー42にスクリューシャフト31の他端に向かう(図2において下方に向かう)弾力を作用させる。
【0020】
両スライダー41、42とバネ43は、車体側部材である上記両規制部材33、34の間に配置される。その第1規制部材33は第1スライダー41に対向する第1阻止面33aを有する。その第2規制部材34は第2スライダー42に対向する第2阻止面34aを有する。両阻止面33a、34aは、その間に両スライダー41、42とバネ43が位置するように配置される。図2は、上記操作部材1が直進操舵位置にある時の状態を示し、この時、そのバネ43の弾力により第1スライダー41は第1阻止面33aに押し付けられ、第2スライダー42は第2阻止面34aに押し付けられる。
【0021】
また、両スライダー41、42とバネ43は、ナット39側である上記両フランジ39c、39dの間に配置される。その第1フランジ39cは第1スライダー41に対向する第1受け面39c′を有する。その第2フランジ39dは第2スライダー42に対向する第2受け面39d′を有する。両受け面39c′、39d′は、その間に両スライダー41、42とバネ43が位置するように配置される。操作部材1が直進操舵位置にある時、第1受け面39c′は第1阻止面33aと、第2受け面39d′は第2阻止面34aと、スクリューシャフト31の軸方向において同一位置に配置される。
【0022】
その操作部材1が直進操舵位置にある時、そのナット39側の第1受け面39c′が第1スライダー41に接することで、そのバネ43の弾力により、そのスクリューシャフト31の他端に向かう(図2において下方に向かう)ナット39の変位が第1スライダー41を介して規制される。
また、その操作部材1が直進操舵位置にある時、そのナット39側の第2受け面39d′が第2スライダー42に接することで、そのバネ43の弾力により、そのスクリューシャフト31の一端に向かう(図2において上方に向かう)ナット39の変位が第2スライダー42を介して規制される。
【0023】
左操舵により、そのバネ43の弾力に抗して、そのナット39と第1スライダー41は同行してスクリューシャフト31の他端に向かい(図2において下方に向かい)変位する。図3は左操舵時の状態を示し、この時、そのバネ43の弾力により第1スライダー41は第1受け面39c′に押し付けられる。
右操舵により、そのバネ43の弾力に抗して、そのナット39と第2スライダー42は同行してスクリューシャフト31の一端に向かい(図2において上方に向かい)変位する。図4は右操舵時の状態を示し、この時、そのバネ43の弾力により第2スライダー42は第2受け面39d′に押し付けられる。
【0024】
車体側部材である第2規制部材34に、入力シャフト10の軸方向に沿って伸縮可能な第1電動シリンダ53が固定され、その第1電動シリンダ53の伸縮ロッド53aの先端に第1操作部材側ストッパー51が取り付けられている。図3において2点鎖線で示すように、その第1電動シリンダ53の伸縮ロッド53aが伸長した状態で、その第1操作部材側ストッパー51は規制位置とされる。その規制位置の第1操作部材側ストッパー51にナット39が接することで、操作部材1の操作が阻止され、左操作限界に至るものとされている。
【0025】
また、その車体側部材であるハウジング32に、入力シャフト10の軸方向に沿って伸縮可能な第2電動シリンダ54が固定され、その第2電動シリンダ54の伸縮ロッド54aの先端に第2操作部材側ストッパー52が取り付けられている。図4において2点鎖線で示すように、その第2電動シリンダ54の伸縮ロッド54aが伸長した状態で、その第2操作部材側ストッパー52は規制位置とされる。その規制位置の第2操作部材側ストッパー52にナット39が接することで、操作部材1の操作が阻止され、右操作限界に至るものとされている。
【0026】
これにより、その第1操作部材側ストッパー51によりナット39の変位を阻止することで左操作限界が規定され、その第2操作部材側ストッパー52によりナット39の変位を阻止することで右操作限界を規定されている。すなわち、操作部材側ストッパー51、52により操作部材1の回転操作角度の変化を一定範囲に規制している。
【0027】
その操作部材側ストッパー51、52による操作部材1の回転操作角度の変化の規制は、上記電動シリンダ53、54の伸縮ロッド53a、54aを図3、図4において実線で示すように縮小して操作部材側ストッパー51、52を解除位置に変位させることで解除される。
【0028】
図1に示すように舵角の変化により回転するように車輪4に機械的に連結される出力シャフト61が設けられている。すなわち、その出力シャフト61の一端にピニオン62が取り付けられ、そのピニオン62にかみ合うラック歯63が上記ステアリングロッド7に形成されている。これにより、舵角の変化によりステアリングロッド7が移動することで出力シャフト61が回転する。上記入力シャフト10と出力シャフト61とは同軸心に配置されている。
【0029】
その入力シャフト10と出力シャフト61との間に電磁クラッチ65が介在する。その電磁クラッチ65により入力シャフト10と出力シャフト61とを断接でき、その接続状態では入力シャフト10と出力シャフト61とは同行回転し、その切断状態では入力シャフト10の回転は出力シャフト61に伝達されない。通常状態では入力シャフト10と出力シャフト61との接続は切断されている。その入力シャフト10と出力シャフト61とが接続されることで、操作部材1は車輪4に、その操作部材1の回転操作量に応じて舵角が変化するように機械的に連結され、その接続が切断されることで、その機械的連結は解除される。
【0030】
その操作部材1の操作量として、その入力シャフト10の回転角に対応する操作角δhを検出する角度センサ11が設けられている。その操作部材1の操作トルクTを検出するトルクセンサ12が入力シャフト10に設けられている。舵角に対応するステアリングロッド7の動きを検出する舵角センサ13が設けられている。その角度センサ11とトルクセンサ12と舵角センサ13は、コンピュータにより構成される制御装置20に接続される。また、その制御装置20に車速を検出する速度センサ29が接続される。その制御装置20により、上記操舵用アクチュエータ2と操作用アクチュエータ19と電動シリンダ53、54と電磁クラッチ65とが制御される。
【0031】
図5、図6のフローチャートは制御装置20による制御手順を示す。まず、イグニッションスイッチのオンにより制御装置20から電磁クラッチ65に切断信号が出力され、電動シリンダ53、54に規制信号が出力される(ステップ1)。これにより、電磁クラッチ65による入力シャフト10と出力シャフト61との接続は解除され、操作部材1と車輪4との機械的な連結は解除される。また、電動シリンダ53、54は伸長し、操作部材側ストッパー51、52は規制位置に位置されて操作部材1の回転操作角度の変化を一定範囲に規制する。
【0032】
次に、各センサによる操作角δh、操作トルクT、舵角δ、車速vの検出データは制御装置20に読み込まれる(ステップ2)。
【0033】
次に、検出された車速vが零か否かが判断され(ステップ3)、車速vが零でなければ検出された操作トルクTが零か否かが判断される(ステップ4)。
【0034】
ステップ4において検出操作トルクTが零でない場合、操作反力として目標操作トルクT* を付与できるように操作用アクチュエータ19を制御する(ステップ5)。その目標操作トルクT* は操作角δhと車速vの関数K1とされ、その関数K1は予め定められて制御装置20に記憶される。例えば、図7に示すように操作角δhが大きくなって車速vが小さくなる程に目標操作トルクT* の絶対値が小さくなるように関数K1を定める。この関数K1に基づき検出操作角δhと検出車速vに応じて定まる目標操作トルクT* から検出操作トルクTを差し引いた偏差が零になるように、操作用アクチュエータ19の発生トルクが制御される。これにより、パワーステアリング装置による操舵フィーリングと同様の操作フィーリングがドライバーに付与される。
【0035】
ステップ4において検出操作トルクTが零である場合、ドライバーは操作部材1に操作力を作用させていないことから、バネ43の弾力により操作部材1が直進操作位置に復帰するように、操作用アクチュエータ19の発生トルクは解除され(ステップ6)、ステップ2に戻る。
【0036】
ステップ3において車速vが零である場合、エンジン停止信号が出力されたか否かが判断される(ステップ7)。本実施形態では、そのエンジン停止信号はエンジンのイグニッションスイッチのオフにより制御装置20に出力される。
【0037】
ステップ7においてエンジン停止信号が制御装置20に入力されている時、制御装置20から電磁クラッチ65に接続信号が出力される(ステップ8)。これにより、電磁クラッチ65により入力シャフト10と出力シャフト61とが接続されることで、操作部材1は車輪4に機械的に連結される。
【0038】
その操作部材1と車輪4との機械的連結後に、制御装置20は操作用アクチュエータ19のトルク発生を解除して発生トルクを零にし(ステップ9)、上記電動シリンダ53、54に制御装置20から解除信号を出力する(ステップ10)。これにより、電動シリンダ53、54の伸縮ロッド53a、54aは縮小し、操作部材側ストッパー51、52は解除位置に変位される。すなわち、操作部材1と車輪4とが機械的に連結される時、操作部材側ストッパー51、52による操作部材1の回転操作角度の変化の規制は解除される。
【0039】
ステップ7においてエンジン停止信号が制御装置20に入力されていない場合、すなわち車速が零であってエンジンが作動している時、上記バネ43の弾力に基づき操作部材1を直進操作位置に復帰させるトルクに釣り合うトルクを、制御装置20は操作用アクチュエータ19に発生させ(ステップ11)、ステップ2に戻る。
【0040】
ステップ5において操作用アクチュエータ19を制御した後に、舵角δを目標舵角δ* にすることができ、且つ、操作部材1の操作量に対する舵角δの割合を車速に応じて変更できるように、制御装置20は上記操舵用アクチュエータ2を車速vと操作部材1の操作角δhとに応じて制御する(ステップ12)。その目標舵角δ* は操作角δhと車速vの関数K2とされ、その関数K2は予め定められて制御装置20に記憶される。すなわち、操作角δhに対する舵角δの割合を車速が増加する程に小さくするように、その操作角δhに対する目標舵角δ* の比率δ* /δhが検出車速vに応じて変更される。例えば図8に示すように、その比率δ* /δhは車速vが増加する程に小さくされる。その関数K2に基づき検出操作角δhと検出車速vに応じて定まる目標舵角δ* から検出舵角δを差し引いた偏差が零になるように、操舵用アクチュエータ2が制御される。これにより、操作部材1の回転操作量に応じて操舵用アクチュエータ2を制御することができる。
【0041】
次に、操舵用アクチュエータ2による舵角制御が異常か否かが判断される(ステップ13)。例えば、目標舵角δ* から検出舵角δを差し引いた偏差の絶対値が予め定めた設定値未満であれば舵角制御は異常でなく、設定値以上であれば舵角制御は異常であると判断する。その舵角制御が異常でなければステップ2に戻る。
【0042】
ステップ13において舵角制御が異常である場合、操作用アクチュエータ19の出力は解除されて操作用アクチュエータ19による舵角制御は解除される(ステップ14)。
【0043】
その操作用アクチュエータ19による舵角制御が解除される時、制御装置20から電磁クラッチ65に接続信号が出力される(ステップ15)。これにより、電磁クラッチ65により入力シャフト10と出力シャフト61とが接続されることで、操作部材1は車輪4に機械的に連結される。
【0044】
ステップ15にて電磁クラッチ65に接続信号が出力された後に、上記電動シリンダ53、54に制御装置20から解除信号が出力される(ステップ16)。これにより、電動シリンダ53、54の伸縮ロッド53a、54aは縮小し、操作部材側ストッパー51、52は解除位置に変位される。すなわち、操作部材1と車輪4とが機械的に連結される時、操作部材側ストッパー51、52による操作部材1の回転操作角度の変化の規制は解除される。
【0045】
その操作部材側ストッパー51、52により操作部材1の回転操作角度の変化が規制される時は、その規制時点における回転操作角度が操作部材1の最大回転操作角度となる。
その操作部材1と車輪4とが機械的に連結され、且つ、その操作部材側ストッパー51、52による操作部材1の回転操作角度の変化の規制が解除される時は、上記車輪側ストッパー5a、5bによる舵角変化の規制時点における回転操作角度が操作部材1の最大回転操作角度となる。
その操作部材側ストッパー51、52により回転操作角度の変化が規制される時の操作部材1の最大回転操作角度は、その操作部材1と車輪4とが機械的に連結され、且つ、その車輪側ストッパー5a、5bにより舵角変化が規制される時の操作部材1の最大回転操作角度よりも小さく設定され、例えば前者の最大回転操作角度は±360度とされ、後者の最大回転操作角度は±540度とされる。
【0046】
次に、操作用アクチュエータ19により操舵補助力が付与される(ステップ17)。その操舵補助力の大きさは予め定められて制御装置20に記憶され、例えば検出舵角δが大きく、検出車速vが小さい程に操舵トルクが小さくなるように設定され、その設定された操舵トルクと検出操作トルクTとの偏差が零になるように操作用アクチュエータ19を制御装置20により制御する。これにより、操作部材1と車輪4とが機械的に連結される時、操作用アクチュエータ19により操舵補助力を付与できる。
【0047】
次に、操作用アクチュエータ19による操舵補助制御が異常か否かが判断される(ステップ18)。例えば、その設定された操舵トルクから検出操作トルクTを差し引いた偏差の絶対値が予め定めた設定値未満であれば異常でなく、設定値以上であれば異常であると判断する。異常でなければステップ2に戻る。異常であれば操作用アクチュエータ19の出力を解除して操舵補助を解除し(ステップ19)、ステップ2に戻る。
【0048】
上記構成によれば、駐停車することで車速が零になり、イグニッションスイッチをオフにすることでエンジン停止信号が出力されると、操作部材1は車輪4に機械的に連結される。この操作部材1と車輪4の連結後に、操作部材1を直進操舵位置に復帰させる弾力に基づくトルクに釣り合う操作用アクチュエータ19の発生トルクが零とされる。これにより、左右何れかに操舵された状態で駐停車した後にドライバーが操作部材1から手を離しても、操作部材1のみが車輪4とは独立して直進操舵位置に復帰することはなく、次に発車する際に操作部材1の位置と舵角とは対応する。
また、正常動作時においては操作部材側ストッパー51、52により操作部材1の回転操作角度を規制することで操作部材1の操作量を低減できる。フェールセーフや駐停車の際に操作部材1と車輪4とが機械的に連結される時は、操作部材側ストッパー51、52による操作部材1の回転操作角度の変化の規制を解除し、車輪側ストッパー5a、5bにより規制することで、路面側から車輪4を介して操作部材1側に衝撃が作用することはなく、弾力付与機構30等が破損するのを防止できる。
さらに、フェールセーフのために操作部材1と車輪4とが機械的に連結される時に、操舵補助力を付与することで操舵に要するトルクの急激な変化を防止できる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、ステアバイワイヤシステムにおいて左右に操舵した状態で駐停車しても、次の発車時に操作部材の位置と舵角とを対応させることができ、また、操作部材と車輪を機械的に連結した時に、舵角が大きくなっても操作部材側に衝撃が作用するのを防止できると共に、操舵に要するトルクの急激な変化を防止して操作部材が不慮に動くのを防止できる車両用操舵装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の操舵装置の構成説明図
【図2】本発明の実施形態の操舵装置の直進操舵時における要部の断面図
【図3】本発明の実施形態の操舵装置の左操舵時における要部の断面図
【図4】本発明の実施形態の操舵装置の右操舵時における要部の断面図
【図5】本発明の実施形態の操舵装置の制御手順を示すフローチャート
【図6】本発明の実施形態の操舵装置の制御手順を示すフローチャート
【図7】本発明の実施形態の操舵装置における操作角と目標操作トルクとの関係を示す図
【図8】本発明の実施形態の操舵装置における目標舵角と操作角と車速との関係を示す図
【符号の説明】
1 回転操作部材
2 操舵用アクチュエータ
3 ステアリングギヤ
4 車輪
5a、5b 車輪側ストッパー
19 操作用アクチュエータ
20 制御装置
30 弾力付与機構
51、52 操作部材側ストッパー
65 電磁クラッチ
Claims (3)
- 回転操作部材と、
操舵用アクチュエータと、
その操作部材の回転操作量に応じて操舵用アクチュエータを制御する制御手段と、
その操舵用アクチュエータの動きを、その操作部材を車輪に機械的に連結することなく、その動きに応じて舵角が変化するようにその車輪に伝達する手段と、
その操作部材を直進操舵位置に復帰させるトルクを弾力に基づき発生する手段と、
その操作部材に作用するトルクを発生する操作用アクチュエータと、
その操作用アクチュエータの発生トルクの制御手段と、
その操作部材を車輪に、その操作部材の操作量に応じて舵角が変化するように機械的に連結可能、かつ、その連結を解除可能な手段とを備え、
その操作用アクチュエータは、車速が零であってエンジン作動時は前記弾力に基づくトルクに釣り合うトルクを発生するように制御され、
その操舵用アクチュエータによる舵角制御の異常時、および、車速が零であってエンジン停止信号が出力される時、その操作部材は車輪に機械的に連結され、
車速が零であってエンジン停止信号が出力される時、その操作部材が車輪に機械的に連結された後に前記操作用アクチュエータのトルク発生が解除されることを特徴とする車両用操舵装置。 - 前記操作部材の回転操作角度の変化を一定範囲に規制する操作部材側ストッパーと、
舵角の変化を一定範囲に規制する車輪側ストッパーとを備え、
その操作部材と車輪とが機械的に連結される時、その操作部材側ストッパーによる操作部材の回転操作角度の変化の規制は解除され、
その操作部材側ストッパーにより回転操作角度の変化が規制される時の操作部材の最大回転操作角度は、その操作部材と車輪とが機械的に連結され、且つ、その車輪側ストッパーにより舵角変化が規制される時の操作部材の最大回転操作角度よりも小さく設定されている請求項1に記載の車両用操舵装置。 - その操舵用アクチュエータによる舵角制御の異常時、その操作部材と車輪とが機械的に連結された後に前記操作用アクチュエータにより操舵補助力が付与される請求項1または2に記載の車両用操舵装置。
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