JP3923264B2 - 使い捨てアンダーガーメント - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、失禁パンツや生理用パンツ、幼児用トレーニングパンツ等の使い捨てアンダーガーメントに関する。
【0002】
【従来の技術】
実開平7−43075号公報は、少なくとも縦横方向へ弾性伸縮性を有する繊維不織布から形成され、上下に延びる前胴周り部および後胴周り部と、それら胴周り部の間に位置して前後に延びる股間部とを有し、前後胴周り部の両側縁部が固着されて胴周り開口と一対の脚周り開口とが画成されたパンツ型の使い捨てアンダーガーメントを開示している。
【0003】
このアンダーガーメントは、脚周り開口の周縁部に硬化状態でゴム弾性を有する弾性部材を塗布して帯状弾性領域を形成し、脚周り開口の周縁部の伸長応力を周縁部を除く残余領域のそれよりも高くしてある。このアンダーガーメントでは、脚周り開口の周縁部が着用者の脚周りから離反することがなく、それが着用者の脚周りに密着する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
同号公報に開示のアンダーガーメントは、その脚周り開口が略円形を呈するものであり、そのような形状の脚周り開口を形成するために、股間部の両側を半円形に裁断しなければならず、その分だけ生地が無駄になってしまう。
【0005】
本発明の課題は、股間部の両側を半円形に裁断することなく、脚周り開口を形成し、生地の無駄を省くことができる使い捨てアンダーガーメントを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の前提は、弾性伸縮性を有する繊維不織布および/またはプラスチックフィルムから形成され、胴周り開口と一対の脚周り開口とを備えた使い捨てアンダーガーメントである。
【0007】
かかる前提における本発明の特徴は、アンダーガーメントが、前後に延びる股間部と、股間部の両側に一連につながるとともに、互いに対向して上下に延びる第1および第2胴周り部とを有し、第1および第2胴周り部の内面が互いに当接するように股間部を線において折曲されており、股間部の前端と胴周り開口との間を上下に延びる第1および第2胴周り部の前縁近傍、および股間部の後端と胴周り開口との間を上下に延びる第1および第2胴周り部の後縁近傍のそれぞれが互いに合掌状に重なり合った状態でホットメルト型接着剤、または、熱による溶着手段で固着され、第1および第2胴周り部の前縁と後縁とは、胴周り開口から股間部へ向かうにつれて次第に近づくように弧を画いて延び、脚周り開口が、記股間部の両側に位置して前後縁の間を前後に延びるスリットから形成され、スリットが、股間部の前端から後端へ向かうにつれて胴周り開口へ次第に近づくように延び、スリットは、前縁と後縁との間における前縁の側へ偏倚した位置に形成されていることにある。
【0010】
本発明の実施の態様の一例としては、前後に延びる脚周り用弾性部材が、実質的に非伸長状態にある前記アンダーガーメントの前記スリット近傍に取り付けられている。
【0011】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照し、本発明にかかる使い捨てアンダーガーメントの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0012】
図1,2は、前方から見たアンダーガーメント1の斜視図と、内面の側から示すアンダーガーメント1の展開平面図とである。図1では、前後方向を矢印Xで示し、上下方向を矢印Yで示す。なお、アンダーガーメント1の内面とは、着用者の肌に対向する面をいい、それの外面とは、着用者の肌に非対向の面をいう。
【0013】
アンダーガーメント1は、弾性伸縮性を有する生地から形成され、胴周り開口2と一対の脚周り開口3とを有する。アンダーガーメント1は、前後に延びる股間部4と、互いに対向して上下に延びる第1および第2胴周り部5,6とを有する。アンダーガーメント1では、第1および第2胴周り部5,6が股間部4の両側に一連につながっている。
【0014】
アンダーガーメント1では、第1および第2胴周り部5,6の前縁7近傍が合掌状に重なり合った状態で水密に固着され、第1および第2胴周り部5,6の後縁8近傍が合掌状に重なり合った状態で水密に固着されている。前縁7は、股間部4の前端9と胴周り開口2との間を上下に延びている。後縁7は、股間部4の後端10と胴周り開口2との間を上下に延びている。前縁7と後縁8とは、胴周り開口2から股間部4へ向かうにつれて次第に近づくように弧を画いて延びている。
【0015】
脚周り開口3は、股間部4の両側に位置して前後に延びる一対のスリット11から形成されている。スリット11は、前後縁7,8の間を直状に延びている。スリット11は、股間部4の前端7から後端8へ向かうにつれて胴周り開口2へ次第に近づくように延びている。スリット11は、前縁7と後縁8との間における前縁7の側へ偏倚した位置に形成されていることが好ましい。
【0016】
図2では、スリット11が股間部4の前端7から後端8へ向かうにつれて次第に離間するように延びている。アンダーガーメント1では、図2に示すように、股間部4を二分して前後に延びる線Z1とスリット11を後縁7の方向へ延長したと仮定したときの線Z2とのなす角度θが20〜45°の範囲にあることが好ましい。
【0017】
図2の平面図からアンダーガーメント1を作るには、第1および第2胴周り部5,6の内面が互いに当接するように股間部4を線Z1において折曲し、第1および第2胴周り部5,6の前後縁7,8近傍を固着する。
【0018】
スリット11の近傍には、スリット11と並行して前後に延びる帯状の脚周り用弾性部材12が実質的に非伸長状態で取り付けられている。アンダーガーメント1では、脚周り用弾性部材12を前後に伸長させた状態でスリット11の近傍に取り付けてもよい。胴周り開口2の周縁部には、胴周り開口2を囲繞する帯状の胴周り用弾性部材13が伸長状態で取り付けられている。それら弾性部材12,13の取り付け時では、アンダーガーメント1が実質的に非伸長状態にある。
【0019】
このアンダーガーメント1では、脚周り開口3が前後に延びるスリット11から形成されているので、生地を裁断する必要がなく、生地の無駄を省くことができる。アンダーガーメント1では、スリット11が股間部4の前端7から後端8へ向かって胴周り開口2へ近づくように延びているので、後端8の側における股間部4の面積を前端7の側における股間部4のそれよりも大きくすることができる。アンダーガーメント1では、股間部4の後端8の側が着用者の股間を広く被覆する。
【0020】
このアンダーガーメント1では、スリット11の長さを調節するだけで、脚周り開口3の周囲長を変えることができる。アンダーガーメント1では、それらスリット11の離間寸法を調節するだけで、股間部4の幅寸法を変えることができる。また、アンダーガーメント1では、スリット11近傍に脚周り用弾性部材12が取り付けられているので、脚周り開口3の周縁部の伸長応力を高くすることができ、着用者の脚周りに対する脚周り開口3の周縁部の密着性を向上させることができる。
【0021】
図3,4は、アンダーガーメント1の実施例を示す斜視図と、図3のA−A線断面図とである。アンダーガーメント1の内面には、体液を吸収、保持するための吸液性パッド14が取り付けられている。
【0022】
パッド14は、股間部4を中心として胴周り開口2へ向かって前後に延びている。パッド14は、透液性表面シート15と、不透液性裏面シート16と、それらシート15,16の間に介在する吸液性コア17とから形成されている。コア17は、表面シート15と裏面シート16とに接合されている。パッド14では、コア17の周縁から周方向外方へ延びるそれらシート15,16の周縁部が水密に固着されている。
【0023】
裏面シート16の外面には、粘着剤18が間欠的に塗布されている。パッド14は、粘着剤18を介してアンダーガーメント1の内面に貼着されている。アンダーガーメント1では、パッド14の他に、生理用ナプキンをその内面に貼着して使用することもできる。
【0024】
アンダーガーメント1を形成する生地には、伸縮性かつ疎水性の繊維不織布、伸縮性かつ不透液性のプラスチックフィルム、伸縮性かつ疎水性の繊維不織布を重ね合わせた2層の不織布、それぞれ伸縮性を有する疎水性の繊維不織布と不透液性のプラスチックフィルムとをラミネートした複合シート、伸縮性を有する織物のいずれかを使用することができる。弾性部材12,13には、伸縮性かつ疎水性の繊維不織布、または、帯状や糸状のエラストマーを使用することができる。
【0025】
伸縮性の繊維不織布としては、メルトブローンやスパンボンドの各製法により製造されたものを使用することができる。伸縮性の繊維不織布の構成繊維には、熱可塑性エラストマー樹脂を溶融、紡糸した伸縮性繊維を使用することができる。また、熱可塑性エラストマー樹脂繊維からなる疎水性繊維不織布の少なくとも片面に、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、のいずれかの熱可塑性合成樹脂を溶融、紡糸した捲縮繊維からなる疎水性繊維不織布を貼り合わせた複合不織布を使用することもできる。
【0026】
表面シート15には、親水性繊維不織布、または、微細な多数の開孔を有するプラスチックフィルムを使用することができる。裏面シート16には、疎水性繊維不織布、または、不透液性のプラスチックフィルム、疎水性繊維不織布にプラスチックフィルムを固着した複合シートのいずれかを使用することができる。
【0027】
表裏面シート15,16を形成する不織布としては、スパンレース、ニードルパンチ、メルトブローン、サーマルボンド、スパンボンド、ケミカルボンド、エアースルー、の各製法により製造されたものを使用することができる。非伸縮性の繊維不織布の構成繊維には、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、の各繊維、ポリエチレン/ポリプロピレン、または、ポリエチレン/ポリエステルからなる芯鞘型複合繊維または並列型複合繊維を使用することができる。
【0028】
コア17は、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子との混合物、または、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子と熱可塑性合成樹脂繊維との混合物であり、所要の厚みに圧縮されている。コア17は、ポリマー粒子の脱落や型崩れを防止するためにその全体がティッシュペーパーに被覆されていることが好ましい。ポリマー粒子としては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系のものを使用することができる。
【0029】
なお、アンダーガーメントは、図示はしていないが、肌当接側に位置する伸縮性かつ透液性の表面シートと、肌非当接側に位置する伸縮性かつ不透液性の裏面シートとから形成され、それらシートの間に吸液性コアが介在するものであってもよい。この場合、表裏面シートの伸縮性を阻害しないように、コアの周縁から外方へ延びるそれらシートの周縁部が間欠的に固着され、コアが表裏面シートのうちの少なくとも表面シートの内面に間欠的に固着されていることが好ましい。伸縮性かつ透液性の表面シートには、伸縮性かつ親水性の繊維不織布を使用することができる。伸縮性かつ不透液性の裏面シートには、前記実施の形態にかかるアンダーガーメント1を形成する生地を使用することができる。
【0030】
第1および第2胴周り部5,6の固着、表裏面シート15,16の固着、表裏面シート15,16に対するコア17の接合、弾性部材12,13の取り付けには、ホットメルト型接着剤、または、ヒートシールや超音波接合等の熱による溶着手段を利用することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明にかかる使い捨てアンダーガーメントによれば、脚周り開口が前後に延びるスリットから形成されているので、生地を裁断する必要がなく、生地の無駄を省くことができる。
【0032】
また、このアンダーガーメントでは、スリットが股間部の前端から後端へ向かって胴周り開口へ近づくように延びているので、後端の側における股間部の面積を前端の側における股間部のそれよりも大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】前方から見たアンダーガーメントの斜視図。
【図2】内面の側から示すアンダーガーメントの展開平面図。
【図3】アンダーガーメントの実施例を示す斜視図。
【図4】図3のA−A線断面図。
【符号の説明】
1 使い捨てアンダーガーメント
2 胴周り開口
3 脚周り開口
4 股間部
5 第1胴周り部
6 第2胴周り部
7 前縁
8 後縁
9 前端
10 後端
11 スリット
12 脚周り用弾性部材
Claims (2)
- 弾性伸縮性を有する繊維不織布および/またはプラスチックフィルムから形成され、胴周り開口と一対の脚周り開口とを備えた使い捨てアンダーガーメントにおいて、
前記アンダーガーメントが、前後に延びる股間部と、前記股間部の両側に一連につながるとともに、互いに対向して上下に延びる第1および第2胴周り部とを有し、
前記第1および第2胴周り部の内面が互いに当接するように前記股間部を線において折曲されており、
前記股間部の前端と前記胴周り開口との間を上下に延びる前記第1および第2胴周り部の前縁近傍、および前記股間部の後端と前記胴周り開口との間を上下に延びる前記第1および第2胴周り部の後縁近傍のそれぞれが互いに合掌状に重なり合った状態でホットメルト型接着剤、または、熱による溶着手段で固着され、
前記第1および第2胴周り部の前記前縁と前記後縁とは、前記胴周り開口から前記股間部へ向かうにつれて次第に近づくように弧を画いて延び、
前記脚周り開口が、前記股間部の両側に位置して前記前後縁の間を前後に延びるスリットから形成され、
前記スリットが、前記股間部の前端から後端へ向かうにつれて前記胴周り開口へ次第に近づくように延び、
前記スリットは、前記前縁と前記後縁との間における前記前縁の側へ偏倚した位置に形成されていることを特徴とする前記アンダーガーメント。 - 前後に延びる脚周り用弾性部材が、実質的に非伸長状態にある前記アンダーガーメントの前記スリット近傍に取り付けられている請求項1に記載のアンダーガーメント。
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