JP3922462B2 - 赤外光放射装置および時系列変換パルス分光計測装置ならびに赤外光放射方法 - Google Patents
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光源1としてフェムト秒レーザが用いられる。光源1としては、例えば、モード同期、エルビウム(Er)ドーピングのファイバレーザが用いられる。このモード同期ファイバレーザ1は、例えば平均パワー10mW、フェムト秒レーザパルスL1を、波長780nm、時間幅120フェムト秒、繰り返し周波数48.5MHzで伝送する。
光源1から放射されたフェムト秒レーザパルスL1は、ビームスプリッタ2で分割される。一方のフェムト秒レーザパルスは、励起用パルスレーザ光L2としてパルス光放射手段(赤外光放射装置)5に照射される。このとき、励起用パルスレーザ光L2は光チョッパ3により変調された後、対物レンズ4によって集光される。このパルス光放射手段5は例えば光伝導素子であり、励起用パルスレーザ光L2が照射されたときに瞬間的に電流が流れ、遠赤外光パルスL3を放射する。この遠赤外光パルス(THz(テラヘルツ)光パルス)L3は、放物面鏡6,7により導光され測定試料8に照射される。その試料8の反射又は透過パルス光(同図では透過パルス光)L3’は、放物面鏡9,10を経て検出手段12へと導光される。
また、特許文献2に示された技術のように、偏光子を光路に挿入することによって所望の偏光を得ることとすれば、目的の偏光成分は得ることができるが、それ以外の成分の光をまったく使用せずに失ってしまうことになる。
一方、放射されるテラヘルツ光の偏光面を回転させるようにパルス光放射手段自体を回転させる方法も考えられるが、励起用レーザパルス光が回転するパルス光放射手段に追随するように制御する必要があり、さらに、回転するパルス光放射手段に電圧を印加するためのケーブルの処理が問題となる。
すなわち、本発明にかかる赤外光放射装置は、パルス励起光が照射されて光キャリアを生成する光伝導膜と、該光伝導膜上に形成され、その先端間に間隙を介して配置された、赤外光を放射する一対の第1アンテナ電極膜と、前記光伝導膜上に形成され、その先端間に前記間隙を介しかつ前記第1アンテナ電極膜に対して角度を有して配置された、赤外光を放射する一対または複数対の第2アンテナ電極膜と、前記第1アンテナ電極膜および前記第2アンテナ電極膜に対して、それぞれ独立に電圧を印加する制御部と、を備えていることを特徴とする。
なお、第1アンテナ電極膜に印加する電圧と、第2アンテナ電極膜に印加する電圧は、それぞれ選択的に異なる時刻に印加することとしても良く、あるいは、同時に異なる位相で印加することとしても良い。
図1には、本発明の一実施形態にかかるテラヘルツ光放射装置(赤外光放射装置)の要部が示されている。なお、本実施形態のテラヘルツ光放射装置は、図3を用いて説明した時系列変換パルス分光計測装置に適用されるものである。
一対の第1アンテナ電極膜21aは、図において左右の位置に設けられており、一対の第2アンテナ電極膜21bは、図において上下の位置に設けられている。すなわち、第1アンテナ電極膜21aと第2アンテナ電極膜21bとの向きは、平面視して略90°異なるように(略直交するように)設けられている。
各アンテナ電極膜21の基端部には、図示しないリード線と接続される給電部30が設けられている。各アンテナ電極膜21の先端部には、対向するアンテナ電極膜の先端部との間で間隙32を有して位置するアンテナ部34が設けられている。なお、これらアンテナ電極膜21のパターンは、放射するテラヘルツ光の周波数帯域に応じて適宜決定される。
間隙32は、第1アンテナ電極膜21aと第2アンテナ電極膜21bとの共有となっている。換言すると、第1アンテナ電極膜21aの間隙と第2アンテナ電極膜21bの間隙とは共通している。
図示されていないが、第1アンテナ電極膜および第2アンテナ電極膜に対して、それぞれ独立に電圧を印加する制御部が設けられている。制御部は、電圧を印加するタイミングや電圧波形を制御する機能を有している。
まず、制御部により、所定時間間隔にわたって、第1アンテナ電極膜21aのみに電圧を印加する。この場合、第2アンテナ電極膜21bには電圧を印加しない。この状態で、励起用パルスレーザ光L2(図3参照)をアンテナ電極膜21に照射する。すると、第1アンテナ電極膜21aにのみ電圧が印加されているので、第1アンテナ電極膜21aの配置に応じた固定された偏光のみを得ることができる。
このように、制御部によって各アンテナ電極膜21a,bに印加する電圧を選択的に切換えることとしたので、アンテナ電極膜21a,bの配置に対応した異なる偏光を、異なる時刻で得ることができる。
制御部によって、第1アンテナ電極膜21aおよび第2アンテナ電極膜21bに対して、同時にかつ異なる位相で電圧を印加する。具体的には、第1アンテナ電極膜21aに対して正弦波とされた電圧を印加し、第2アンテナ電極膜21bに対して同一の振幅・周期を有するが位相が異なる正弦波を印加する。この状態で、励起用パルスレーザ光L2(図3参照)をアンテナ電極膜21に照射する。すると、円偏光とされたテラヘルツ光が放射されることになる。
また、第2アンテナ電極膜21bに印加する正弦波電圧の位相だけでなく振幅も異ならせるようにすれば、楕円偏光とされたテラヘルツ光が放射されることになる。
このような使用により、例えば円二色性検出器などの計測を行うことができる。
したがって、放射光の損失を伴うことなくかつ簡易な構成で放射光の偏光を実現することができる。
また、本実施形態では、時系列変換パルス分光計測装置に適用されるテラヘルツ光放射装置について説明したが、本発明の赤外光放射装置はこれに限定されるものではなく、他の用途に用いることもできる。
21a 第1アンテナ電極膜
21b 第2アンテナ電極膜
22 光伝導膜
32 間隙
Claims (5)
- パルス励起光が照射されて光キャリアを生成する光伝導膜と、
該光伝導膜上に形成され、その先端間に間隙を介して配置された、赤外光を放射する一対の第1アンテナ電極膜と、
前記光伝導膜上に形成され、その先端間に前記間隙を介しかつ前記第1アンテナ電極膜に対して角度を有して配置された、赤外光を放射する一対または複数対の第2アンテナ電極膜と、
前記第1アンテナ電極膜および前記第2アンテナ電極膜に対して、それぞれ独立に電圧を印加する制御部と、
を備えていることを特徴とする赤外光放射装置。 - 前記制御部は、前記第1アンテナ電極膜に印加する電圧と、前記第2アンテナ電極膜に対して印加する電圧とを選択的に切り替えることを特徴とする請求項1記載の赤外光放射装置。
- 前記制御部は、前記第1アンテナ電極膜および前記第2アンテナ電極膜に対して、異なる位相で電圧を印加することを特徴とする請求項1記載の赤外光放射装置。
- パルス励起光を発振する光源と、
請求項1〜3のいずれかに記載の赤外光放射装置と、
を備えていることを特徴とする時系列変換パルス分光計測装置。 - パルス励起光が照射されて光キャリアを生成する光伝導膜上に形成され、その先端間に間隙を介して配置された、赤外光を放射する一対の第1アンテナ電極膜に電圧を印加し、
前記光伝導膜上に形成され、その先端間に前記間隙を介しかつ前記第1アンテナ電極膜に対して角度を有して配置された、赤外光を放射する一対または複数対の第2アンテナ電極膜に電圧を印加することを特徴とする赤外光放射方法。
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