JP3922353B2 - ワークローディング装置、軸受軌道輪製造方法及び軸受 - Google Patents

ワークローディング装置、軸受軌道輪製造方法及び軸受 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸受軌道輪のようなリング形状をしたワークを研削盤等の工作機械にローディングするのに好適に用いられるワークローディング技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
軸受内外輪の軌道面を超仕上げ研削する場合、図5に示すようなワークローディング装置70が用いられていた。図5に示すワークローディング装置70は、旋回機構71を用いたローディングアーム72により、加工部73へのワーク供給・排出を行うものである。加工部73において、図示しないシューによりワークが研削される。
このワークローディング装置70では、ローディングアーム72が標準位置aにある時にローディングアーム72にワークの供給が行われ、ローディングアーム72が標準位置aから加工位置bまで旋回したところで、ワークへの加工が行われる。そして、ローディングアーム72が加工位置bから標準位置aまで戻ったところで、加工済みのワークの奥に次の未加工のワークが置かれ、突き出しシリンダにより未加工のワークを押し出すことで加工済みのワークをローディングアーム72から押し出して排出する。
このように、ローディングアーム72へのワークの出し入れを行い、かつ、ローディングアーム72の旋回が往復であるために、時間がかかることと、前記ワークの出し入れ時にワークがローディングアーム72に引っかかり易い欠点をもっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図5に示したローディング装置70では、標準位置aにおいてワークの供給と排出とを同時に行うため、加工部73にワークの無い時間があり、アイドルタイムが長くなってしまう。また、旋回機構71にベアリング等を要する機構が必要であり、部品点数が多く装置全体のコストが高くなる。また、軸受外輪軌道面の加工を行う場合などは、ワークをローディングアーム72で保持した状態でワークに砥石を当てて加工を施すが、ローディングアーム72の保持スペース内におけるワークの偏芯量のセット等、装置のセット替えには熟練と時間を要する。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ワークを片道搬送すること及びワークガイドへのワーク供給を加工中に行うことによりアイドルタイムの短縮と構造の簡素化を図れ、セット替えも容易に行えるワークローディング装置及び軸受軌道輪製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記構成により達成される。
(1) ワークを供給するインシュートと、
前記インシュートから供給されたワークを保持するワークガイドと、
前記ワークガイドに保持されたワークを加工部へ配置させるべく前記ワークガイドを進退移動させる移動機構と
前記ワークを前記加工部に配置させた後、前記ワークガイドを前記ワークから退避させる退避機構と、を備えたワークローディング装置において
前記ワークガイドは、回動ピンを介して前記移動機構と回動可能に連結されるとともに端部で前記退避機構とも連結されており、
前記インシュートから供給された未加工のワークを保持したワークガイドを前記移動機構により進行させてそのワークガイドで前記加工部に配置されていた加工済みのワークを加工部から押し出した後に前記ワークガイドを前記退避機構により退避位置まで回動させて未加工のワークを加工部に新たに配置させることを特徴とするワークローディング装置。
(2) 前記移動機構が前記ワークガイドを直進移動させる前記(1)に記載のワークローディング装置。
) 前記加工部で前記ワークの加工を行っている間に、前記ワークから退避させてきたワークガイドに次のワークが供給される前記(1)または(2)に記載のワークローディング装置。
) 前記ワークが円筒形であり、前記加工部で前記ワークの内周面又は外周面を加工する前記(1)〜()のいずれかに記載のワークローディング装置。
) 前記()に記載のワークローディング装置を用いて軸受軌道輪の内周面又は外周面の加工をすることを特徴とする軸受軌道輪の製造方法。
) 前記()に記載の軸受軌道輪の製造方法によって得られた軸受軌道輪が組み込まれた軸受。
【0006】
上記構成のワークローディング装置によれば、インシュートから供給されたワークがワークガイドで保持され、移動機構が進退移動することによりワークガイドに保持されたワークが加工部へ配置される。未加工のワークを保持したワークガイドが進行することによりそのワークガイドが、加工部に配置されていた加工済みのワークを加工部から押し出した後に前記ワークガイドを前記退避機構により退避位置まで回動させて未加工のワークを加工部に新たに配置させる。したがって、加工部にワークの無い時間を短縮でき、アイドルタイムが短くなる。また、ワークガイドを進退移動させる移動機構は簡単な構造にすることができ、特にワークガイドを直進移動させる場合は構造を大幅に簡素化できる。そして、セット替え時の作業を、熟練と時間を要することなく簡単に行うことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明第1実施形態のワークローディング装置10を軸受軌道輪加工装置40に組み込んだ様子を示している。この軸受軌道輪加工装置40は、軸受内輪の外周軌道面に、超仕上げ加工を施すことができる。
なお、以下に説明するワークローディング装置は、超仕上げに限らず、ワークに研削やその他の加工を施す加工装置にも、用いることができる。
【0008】
ワークローディング装置10は、インシュート11、ワークガイド12、移動機構13、退避機構14を備えている。
軸受軌道輪加工装置40は、加工部41を備えている。
インシュート11は、円筒形に形成された複数の未加工のワーク(軌道輪素材)60を積み重ねて収容する。インシュート11の下端部からワーク60が一個づつ下方へ供給される。
インシュート11の下端付近には、インシュート11内において次に供給されるワーク60を検出するための定配部ワーク有無検出近接スイッチ45と、インシュート11内にあるワーク60の径に応じて位置調整される上定配ピン46と、ワーク60の落下をストップする下定配ピン47とが備えられている。
【0009】
本実施形態では、ワークガイド12は、ワーク60の軸方向寸法(幅寸法)とほぼ同等の厚さ寸法を有する板状に形成されている。ワークガイド12は、その後端部にローラ15を備え、前端部にワーク60の外周面を支持する湾曲凹状の(上方に開口したフック状の)支持部16を備えている。支持部16は、インシュート11から落下してきたワーク60が加工部41側に飛び出すのを防ぐようにそのワーク60を保持する。
図1には、ワークガイド12が標準位置(アンローディング位置)にある状態を示している。この状態のワークガイド12の支持部16にワーク60が有るか否かを検出するためのワーク有無検出近接スイッチ44が備えられている。
【0010】
移動機構13は、基体18、ワークガイド前後シリンダ19、ワークガイド前進端ストッパ20、ワークガイド後進端ストッパ21を備えている。移動機構13は、ワークガイド12を後進端位置Aから前進端位置Bまで直進移動させる。
ワークガイド12は、ワークガイド12のほぼ中央部の回動ピン17を介して基体18に回動可能に取り付けられている。基体18上には、ストロークアーム22が固定されている。ワークガイド前後シリンダ19のロッドの先端部は、ストロークアーム22に結合されている。ワークガイド前後シリンダ19は、ストロークアームを直進移動させることで、基体18及びワークガイド12を前進・後進させる。ワークガイド前進端ストッパ20及びワークガイド後進端ストッパ21は、ストロークアーム22に当接して、ワークガイド12の前進端位置B及び後進端位置Aを設定する。
【0011】
移動機構13は、ロッドが縮む方向にワークガイド前後シリンダ19を駆動することによって、ストロークアーム22がワークガイド前進端ストッパ20に衝突する前進端位置Bまで基体18とともにワークガイド12を前進移動させ、ワークガイド12が保持している未加工のワーク60を加工部41に運ぶ。
移動機構13は、ロッドが伸びる方向にワークガイド前後シリンダ19を駆動することによって、ストロークアーム22がワークガイド後進端ストッパ21に衝突する後進端位置Aまで基体18とともにワークガイド12を後進移動させ、ワークガイド12の支持部16をインシュート11の下方に位置させる。
【0012】
退避機構14は、ガイドレール23、ワークガイド上下シリンダ24を備えている。ガイドレール23は、断面視コ字形状をなし、ワークガイド12の移動方向に沿って直線状に形成されている。ガイドレール23の内面にワークガイド12に設けられたローラ15が転動可能に配置されている。
ワークガイド上下シリンダ24のロッドは、ガイドレール23に結合されている。
【0013】
ワークガイド12が前後進する際に、ガイドレール23内をワークガイド12に設けられたローラ15が転動する。退避機構14は、ワークガイド12が保持しているワーク60が加工部41に運ばれるまでの間は、ワークガイド上下シリンダ24を駆動せずロッドを縮めたままにし、ワークガイド12を定常位置(本実施形態では水平姿勢)Cのまま直進移動させる。そして、ワークガイド12が保持しているワーク60が加工部41に運ばれた時に、ワークガイド上下シリンダ24をロッドが伸びる方向に駆動することによって、ガイドレール23を介してワークガイド12の後端側を上昇させ、回動ピン17まわりにワークガイド12の支持部16側を図中の下方である退避位置Dまで回動させる。
【0014】
加工部41は、内径シュー43を有している。内径シュー43は、ワーク60が加工位置に到達したところでワーク60の内周部に挿入される。そして、ワーク60を内径シュー43で支持しつつ、外周面に工具を当てて研削し、研削が完了したところで内径シュー43がワーク60の内周部から抜かれる。
排出シュート42は、加工部41において外周研削が完了したワーク60を図示しないバケット等に搬出するのに用いられる。
【0015】
第1実施形態のワークローディング装置10を用いた軸受軌道輪加工装置40では、インシュート11から未加工のワーク60が落下すると、後進端位置Aにおいてワークガイド12の支持部16にワーク60が保持される。次に、移動機構13によってワークガイド12が前進端位置Bまで前進移動される。そこで、内径シュー43がワーク60の内周部に挿入される。その後、退避機構14によりワークガイド12が定常位置Cから退避位置Dまで回動され、移動機構13により退避位置Dにあるままのワークガイド12が後進移動される。ワーク60には、図示しない工具により超仕上げ研削が行われる。そして、ワークガイド12が後進端位置Aに到達するまでの間に、あるいは到達した後に、退避機構14によりワークガイド12が退避位置Dから定常位置Cまで戻り回動される。そして、加工部41でワーク60が加工されている間に、後進端位置Aにおいて、インシュート11から未加工の次のワーク60が落下してワークガイド12に保持される。
【0016】
加工部41において研削が完了したワーク60は、内径シュー43が抜かれることによって自重で排出シュート42に落下するが、バッキングプレート27(図2参照)にくっついて落下しないこともある。ワーク60が落下しない場合も、ワークガイド12が次のワーク60を保持しながら後進端位置Aから前進端位置Bに移動することで、ワークガイド12の先端によってバッキングプレート27にくっついているワーク60を押し出して排出シュート42へ強制的に排出する。
【0017】
図2に第1実施形態のワークローディング装置10においてのセット替えを行う場合における部品構成を示す。
セット替えを行う際には、インシュート11、面板25、ワークガイド12、カバー26が取り替えられる。
【0018】
上記構成のワークローディング装置10によれば、加工部41で加工を行っている間に、ワークガイド12に次のワークをセットするので、加工部41にワーク60の無い時間を大幅に短縮でき、アイドルタイムが短くなる。また、ワークガイド12を進退移動させる移動機構13は旋回しないので、装置の構造を簡素化できる。そして、セット替えの部品数が少ないため、セット替え時の作業を熟練と時間を要することなく、簡単に行うことができる。
【0019】
図3に、本発明第2実施形態のワークローディング装置50を軸受軌道輪加工装置40に組み込んだ様子を示す。なお、以下に示す実施形態において、既に説明した部材等と同様な構成・作用を有する部材等については、図中に同一符号又は相当符号を付することにより、説明を簡略化或いは省略する。
【0020】
この軸受軌道輪加工装置40では、軸受外輪の内周軌道面に、超仕上げ加工を施すことができる。加工部41には外径シュー51が備えられている。
本実施形態におけるワークガイド12は、外径シュー51に干渉しないように逃げ部を備えている。具体的には、外径シュー51の幅方向に外径シュー51を避けた位置に前進移動されるような薄板を用いてワークガイド12を構成することができる。外径シュー51との干渉を避けるように機能すれば、逃げ部の形態は何でもよく、限定されない。
本実施形態におけるワークガイド12は、回動ピン17を介して、ワークプッシャー18aに取り付けられている。ワークプッシャー18aは、基体18に隣接してワークガイド12の進退方向に沿って延びた固定板18bに対して相対移動する。固定板18bは、ワークガイド12とともに、ワーク60を下から支える。
【0021】
ワークガイド12は、ワーク60を保持しながら後進端位置Aから前進端位置Bまで移動する際に、加工部41の外径シュー51上にある既に加工済みのワーク60を押し出して排出シュート42に強制的に排出する。
符号52は、シューアンカーボルトを示す。符号53は、アッパーガイドを示す。符号54は、アッパーガイド上下シリンダを示す。符号55は、アッパーガイド下降端調整ねじを示す。
【0022】
第2実施形態のワークローディング装置50を用いた軸受軌道輪加工装置40では、インシュート11から未加工のワーク60が落下すると、後進端位置Aにおいてワークガイド12の支持部16にワーク60が保持される。次に、移動機構13によってワークガイド12が前進端位置Bまで移動される。そのとき、ワークガイド12が加工部41の外径シュー51上にある既に加工済みのワーク60を押し出して排出シュート42に強制的に排出する。そしてワークガイド12によって未加工のワーク60が外径シュー51上に置かれる。外径シュー51によりワークを支持しながら、図示しない砥石により内周軌道面研削が行われる。ワーク60が外径シュー51に置かれた後、退避機構14によりワークガイド12が定常位置Cから退避位置Dまで回動される。そして、移動機構13により退避位置Dにあるままのワークガイド12が前進端位置Bから後進端位置Aに向けて戻り移動される。
【0023】
そして、ワークガイド12が後進端位置Aに到達するまでの間に、退避機構14によりワークガイド12が退避位置Dから定常位置Cまで戻り回動される。こうして、インシュート11から次のワークが転がり出すのを防止する。例えば、ワークガイド前後シリンダ19の側面に適宜なスイッチを設けておき、そのスイッチによりワークプッシャー18aの位置を検出して、ワークガイド12の動作を制御するのに役立てることができる。
そして、後進端位置Aにおいて、インシュート11から未加工の次のワーク60が落下してワークガイド12に保持される。ワークガイド12は、後進端位置Aから前進端位置Bまで移動して、未加工のワーク60を加工部41に運ぶと同時に加工部41において既に加工の完了しているワーク60を排出シュート42に強制的に排出する。
【0024】
図4に第2実施形態のワークローディング装置50においてのセット替えを行う場合における部品構成を示す。
セット替えを行う際には、インシュート11、面板25、ワークガイド12、カバー26、アッパーガイド53が取り替えられる。
【0025】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良等が可能である。
例えば、ワークガイド12を前後進移動させるワークガイド前後シリンダ19やワークガイド12を回動させるワークガイド上下シリンダ24に代えて、ラックとピニオンとによる直動機構やボールねじによる直動機構を用いてもよい。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ワークを片道搬送することによりアイドルタイムの短縮と構造の簡素化を図れ、セット替えも容易に行えるワークローディング装置及び軸受軌道輪製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す外観図である。
【図2】第1実施形態の要部の分解斜視図である。
【図3】第2実施形態の外観図である。
【図4】第2実施形態の要部の分解斜視図である。
【図5】従来のローディング装置の平面図である。
【符号の説明】
10,50 ワークローディング装置
11 インシュート
12 ワークガイド
13 移動機構
14 退避機構
16 支持部
41 加工部
60 ワーク

Claims (6)

  1. ワークを供給するインシュートと、
    前記インシュートから供給されたワークを保持するワークガイドと、
    前記ワークガイドに保持されたワークを加工部へ配置させるべく前記ワークガイドを進退移動させる移動機構と
    前記ワークを前記加工部に配置させた後、前記ワークガイドを前記ワークから退避させる退避機構と、を備えたワークローディング装置であって
    前記ワークガイドは、回動ピンを介して前記移動機構と回動可能に連結されるとともに端部で前記退避機構とも連結されており、
    前記インシュートから供給された未加工のワークを保持したワークガイドを前記移動機構により進行させてそのワークガイドで前記加工部に配置されていた加工済みのワークを加工部から押し出した後に前記ワークガイドを前記退避機構により退避位置まで回動させて未加工のワークを加工部に新たに配置させることを特徴とするワークローディング装置。
  2. 前記移動機構が前記ワークガイドを直進移動させる請求項1に記載のワークローディング装置。
  3. 前記加工部で前記ワークの加工を行っている間に、前記ワークから退避させてきたワークガイドに次のワークが供給される請求項1または2に記載のワークローディング装置。
  4. 前記ワークが円筒形であり、前記加工部で前記ワークの内周面又は外周面を加工する請求項1〜のいずれかに記載のワークローディング装置。
  5. 請求項に記載のワークローディング装置を用いて軸受軌道輪の内周面又は外周面の加工をすることを特徴とする軸受軌道輪の製造方法。
  6. 請求項に記載の軸受軌道輪の製造方法によって得られた軸受軌道輪が組み込まれた軸受。
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