JP3922154B2 - Stainless steel for polymer electrolyte fuel cell separator, method for producing the same, and polymer electrolyte fuel cell - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐久性に優れるとともに接触抵抗値の小さい固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼とその製造方法、ならびにそのステンレス鋼製セパレータを用いた固体高分子型燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境保全の観点から、発電効率に優れ、CO2 を排出しない燃料電池の開発が進められている。この燃料電池はH2 とO2 を反応させて電気を発生させるものであり、その基本構造は、電解質膜(すなわちイオン交換膜),2つの電極(すなわち燃料極と空気極),O2 (すなわち空気)とH2 の拡散層,および2つのセパレータから構成される。そして、使用される電解質膜の種類に応じて、リン酸型燃料電池,溶融炭酸塩型燃料電池,固体電解質型燃料電池,アルカリ型燃料電池,固体高分子型燃料電池等が開発されている。
【0003】
これらの燃料電池のうち、固体高分子型燃料電池は、リン酸型燃料電池および溶融炭酸塩型燃料電池等に比べて、
(A) 発電温度が80℃程度であり、格段に低い温度で発電できる、
(B) 燃料電池本体の軽量化,小型化が可能である、
(C) 短時間で立上げできる、
(D) 燃料効率,出力密度が高い
等の利点を有している。このため、固体高分子型燃料電池は、電気自動車の搭載用電源,家庭用の定置型発電機,携帯用の小型発電機として利用するべく、今日もっとも注目されている燃料電池である。
【0004】
固体高分子型燃料電池は、高分子膜を介してH2 とO2 から電気を取り出すものであり、図2に示すように、ガス拡散層2,3(たとえばカーボンペーパ等)およびセパレータ4,5によって膜−電極接合体1を挟み込み、これを単一の構成要素(いわゆる単セル)とし、セパレータ4とセパレータ5との間に起電力を生じさせるものである。
【0005】
なお膜−電極接合体1は、MEA(すなわち Membrance-Electrode Assembly )と呼ばれており、高分子膜とその膜の表裏面に白金系触媒を担持したカーボンブラック等の電極材料を一体化したものであり、厚さは数10μm〜数100 μmである。ガス拡散層2,3は、膜−電極接合体1と一体化される場合も多い。
固体高分子型燃料電池を上記した用途に適用する場合は、このような単セルを直列に数十〜数百個つないで燃料電池スタックを構成して使用している。
【0006】
セパレータ4,5には、
(E) 単セル間を隔てる隔壁
としての役割に加え、
(F) 発生した電子を運ぶ導電体、
(G) O2 (すなわち空気)とH2 が流れる空気流路,水素流路、
(H) 生成した水やガスを排出する排出路
としての機能が求められる。さらに固体高分子型燃料電池を実用に供するためには、耐久性や電気伝導性に優れたセパレータ4,5を使用する必要がある。
【0007】
耐久性に関しては、電気自動車の搭載用電源として使用される場合は、約5000時間と想定されている。あるいは家庭用の定置型発電機等として使用される場合は、約 40000時間と想定されている。したがってセパレータ4,5には、長時間の発電に耐えられる耐食性等の特性が要求される。
また電気伝導性に関しては、セパレータ4,5とガス拡散層2,3との接触抵抗は極力低いことが望まれる。 その理由は、セパレータ4,5とガス拡散層2,3との接触抵抗が増大すると、固体高分子型燃料電池の発電効率が低下するからである。つまり、接触抵抗が小さいほど、電気伝導性が優れている。
【0008】
現在までに、セパレータ4,5としてグラファイト素材を用いた固体高分子型燃料電池が実用化されている。このグラファイト素材からなるセパレータ4,5は、接触抵抗が比較的低く、しかも腐食しないという利点がある。しかしながら衝撃によって破損しやすいので、小型化が困難であり、しかも空気流路6,水素流路7を形成するための加工コストが高いという欠点がある。グラファイト素材からなるセパレータ4,5が有するこれらの欠点は、固体高分子型燃料電池の普及を妨げる原因になっている。
【0009】
そこでセパレータ4,5の素材として、グラファイト素材に替えて金属素材を適用する試みがなされている。特に、耐久性向上の観点から、ステンレス鋼を素材としたセパレータ4,5の実用化に向けて、種々の検討がなされている。
たとえば特開平8-180883号公報には、不働態皮膜を形成しやすい金属をセパレータとして用いる技術が開示されている。しかし不働態皮膜の形成は、接触抵抗の上昇を招くことになり、発電効率の低下につながる。このため、これらの金属素材は、カーボン素材と比べて接触抵抗が大きく、しかも耐食性が劣る等の改善すべき問題点が指摘されていた。
【0010】
また特開平10-228914 号公報には、SUS304等の金属セパレータの表面に金めっきを施すことにより、接触抵抗を低減し、高出力を確保する技術が開示されている。しかし、薄い金めっきではピンホールの発生防止が困難であり、逆に厚い金めっきではコストの問題が残る。
また特開2000-277133 号公報には、フェライト系ステンレス鋼基材にカーボン粉末を分散させて、電気伝導性を改善したセパレータを得る方法が開示されている。しかしながらカーボン粉末を用いた場合も、セパレータの表面処理には相応のコストがかかることから、依然としてコストの問題が残っている。 また、表面処理を施したセパレータは、組立て時にキズ等が生じた場合に、耐食性が著しく低下するという問題点も指摘されている。
【0011】
さらに、電気伝導性を有する析出物を利用してセパレータの接触抵抗を低減しようとする試みがなされている。たとえば特開2000-214186 号公報には、M23C6 型炭化物あるいはM2 B型硼化物を表面に析出させたセパレータが開示されている。しかしながら、この技術で十分な析出量を得るためにはCやBを多量に添加しなければならないので、セパレータの素材となるステンレス鋼が硬質化する。しかもこれらのM23C6 型炭化物やM2 B型硼化物も硬度が大きいので、ステンレス鋼をセパレータに加工する際の成形性が著しく劣化するという問題がある。また、M23C6 型炭化物やM2 B型硼化物の金属元素(すなわちM)はCrを主体としているので、これらが析出するとステンレス鋼中のCrが減少して耐食性が劣化するという問題がある。
【0012】
【特許文献1】
特開平8-180883号公報
【特許文献2】
特開平10-228914 号公報
【特許文献3】
特開2000-277133 号公報
【特許文献4】
特開2000-214186 号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術が抱えている上記のような問題点に鑑み、耐食性が良好であると同時に、接触抵抗が小さい(すなわち電気伝導性に優れる)固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼とその製造方法、およびそれを用いた固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
【0014】
すなわち本発明は、素材となるステンレス鋼の表面に析出したラーベス相を利用することにより、表面処理を施さなくても接触抵抗が小さく、発電効率が優れ、かつステンレス鋼自体の耐食性が高い固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼とその製造方法、およびそれを用いた固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、接触抵抗を低く抑えた上で、高い耐食性を発揮するためのセパレータ用ステンレス鋼について、ステンレス鋼の成分,表面の析出物,ステンレス鋼板の析出物およびステンレス鋼板の成形性の観点から鋭意研究を行なった。その結果、次のような知見を得た。
【0016】
1.Moを含有する高耐食性フェライト系ステンレス鋼板を素材とし、その表面にラーベス相を析出させることにより、セパレータの接触抵抗が改善される。すなわち図1に示すように、接触抵抗の改善効果は、ステンレス鋼中に析出物(すなわちラーベス相)として含まれるFe量,Cr量,Si量が下記の (1)式を満足する範囲で発揮される。なお (1)式において、析出物として含まれるFe量,Cr量,Si量は、析出物に含有されるFe,Cr,Siの質量の、ステンレス鋼板の質量に対する比率(質量%)を指す。
【0017】
[析出Fe]+[析出Cr]+2[析出Si]≧ 1.0 ・・・ (1)
[析出Fe]:ステンレス鋼中に析出物として含まれるFe量(質量%)
[析出Cr]:ステンレス鋼中に析出物として含まれるCr量(質量%)
[析出Si]:ステンレス鋼中に析出物として含まれるSi量(質量%)
2.Fe2Mo 型ラーベス相は、Fe,Moの他、Cr,Si,Nb,Ti等を含み、(Fe,Cr,Si)2(Mo,Nb,Ti) という形でステンレス鋼板の表面に析出するが、その組成が変化しても良好な電気伝導性が維持される。しかもステンレス鋼板の表面が酸化皮膜で覆われるのを抑制するので、接触抵抗の低減に有効な析出物である。
【0018】
3.Fe2Mo 型ラーベス相は燃料電池の動作環境であるpH1〜3においても安定しており、腐食や接触抵抗の増加による発電特性の劣化は認められない。
4.Fe2Mo 型ラーベス相が析出するタイミングや析出量は、ステンレス鋼板の成分および熱処理条件によって制御可能である。したがってステンレス鋼板の製造条件の大幅な変更は必要はなく、しかもステンレス鋼板の成形性も損なわずに接触抵抗を低減することが可能である。
【0019】
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであり、Cを0.03質量%以下、Nを0.03質量%以下、C+Nを0.03質量%以下、Crを16〜45質量%、Moを 1.0〜7.0 質量%、Siを 0.1〜3.0 質量%、 Mn を 1.0 質量%以下、 Al を 0.001 〜 0.2 質量%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有するステンレス鋼であって、かつステンレス鋼に析出物として含まれるFe量,Cr量およびSi量が下記の (1)式を満足する固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼である。
【0020】
[析出Fe]+[析出Cr]+2[析出Si]≧ 1.0 ・・・ (1)
[析出Fe]:ステンレス鋼中に析出物として含まれるFe量(質量%)
[析出Cr]:ステンレス鋼中に析出物として含まれるCr量(質量%)
[析出Si]:ステンレス鋼中に析出物として含まれるSi量(質量%)
前記した固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の発明においては、好適態様として、ステンレス鋼が前記組成に加えて、Ti または Nb を 0.01 〜 0.5 質量%、あるいは Ti および Nb を合計 0.01 〜 0.5 質量%含有することが好ましい。
【0021】
さらに析出物が、Fe2Mo 型ラーベス相であることが好ましい。
【0022】
また本発明は、Cを0.03質量%以下、Nを0.03質量%以下、C+Nを0.03質量%以下、Crを16〜45質量%、Moを 1.0〜7.0 質量%、Siを 0.1〜3.0 質量%、 Mn を 1.0 質量%以下、 Al を 0.001 〜 0.2 質量%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有するステンレス鋼に、圧延、焼鈍および酸洗を施してステンレス鋼板とし、さらに切削加工またはプレス加工によってガス流路を作製する工程において、ステンレス鋼板を製造する段階またはステンレス鋼板を製造した後の段階でFe2Mo 型ラーベス相を析出させる固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法である。
【0023】
前記した固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法の発明においては、好適態様として、ステンレス鋼が前記組成に加えて、Ti または Nb を 0.01 〜 0.5 質量%、あるいは Ti および Nb を合計 0.01 〜 0.5 質量%含有することが好ましい。
また本発明は、固体高分子膜、電極およびセパレータからなる固体高分子型燃料電池であって、セパレータとして上記した固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼を用いる固体高分子型燃料電池である。
【0024】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に係るステンレス鋼からなるセパレータの成分の限定理由を説明する。
C:0.03質量%以下,N:0.03質量%以下,C+N:0.03質量%以下
CおよびNは、ともにステンレス鋼中のCrと反応し、粒界にCr炭窒化物として析出するので、耐食性の低下をもたらす。したがってC,Nは、いずれも含有量が小さいほど好ましく、C:0.03質量%以下,N:0.03質量%以下であれば、耐食性を著しく低下させることはない。また、C含有量とN含有量の合計C+Nが0.03質量%を超えると、セパレータをプレス加工する際に生じる割れが著しく増加する。したがってC+Nは、0.03質量%以下とする。好ましくは、C: 0.015質量%以下,N: 0.015質量%以下,C+N:0.02質量%以下である。
【0025】
Si: 0.1〜3.0 質量%
Siは、脱酸のために有効で、しかもラーベス相の析出を促進する効果も有する元素であり、ステンレス鋼の溶製段階で添加される。この効果を得るためには、Siを 0.1質量%以上添加する必要がある。一方、 過度に含有させるとステンレス鋼板が硬質化し、しかも延性が低下するので、その含有量の上限を 3.0質量%とする。好ましくは 0.2〜1.5 質量%である。
【0026】
Mn: 1.0質量%以下
Mnは、Sと結合し、ステンレス鋼に固溶したSを低減する効果を有するので、Sの粒界偏析を抑制し、熱間圧延時の割れを防止するのに有効な元素である。Mn含有量が 1.0質量%以下であれば、この効果を十分に発揮する。好ましくは 0.001〜0.8 質量%である。
【0027】
Cr:16〜45質量%
Crは、ステンレス鋼板の耐食性を確保するために必要な元素であり、Cr含有量が16質量%未満では、セパレータとして長時間の使用に耐えられない。一方、Cr含有量が45質量%を超えると、σ相の析出によって靭性が低下する。したがってCr含有量は、16〜45質量%とした。好ましくは20〜45質量%である。なお、22〜35質量%の範囲が一層好ましい。
【0028】
Mo: 1.0〜7.0 質量%
Moは、ステンレス鋼板の耐隙間腐食性を改善するのに有効な元素である。本発明では、この効果に加えて、ラーベス相をステンレス鋼板の表面に析出させて電気伝導性を向上させるために添加する。これらの効果を発揮するするためには、 1.0質量%以上含有させる必要がある。一方、 7.0質量%を超えて添加すると、ステンレス鋼が著しく脆化して生産が困難になる。したがってMo含有量は、 1.0〜7.0 質量%とした。好ましくは 2.0〜5.0 質量%である。
【0029】
Al: 0.001〜0.2 質量%
Alは、製鋼工程における脱酸に有効な元素であり、その効果を得るためには 0.001質量%以上が必要である。一方、 0.2 質量%を超えて添加しても、その効果は飽和し、コストアップとなる。したがってAl含有量は、 0.001〜0.2 質量%とした。
【0030】
Tiを0.01〜0.5 質量%またはNbを0.01〜0.5 質量%,あるいはTiおよびNbを合計0.01〜0.5 質量%
TiおよびNbは、ステンレス鋼中のC,Nを炭窒化物として固定し、プレス成形性を改善するのに有効な元素である。TiまたはNbを添加する場合は、Ti含有量が0.01質量%以上またはNb含有量が0.01質量%以上でその効果が発揮される。またTiおよびNbを添加する場合は、TiおよびNbを合計0.01質量%以上含有すると、その効果が発揮される。一方、TiまたはNbを添加する場合に、Ti含有量が 0.5質量%またはNb:含有量が 0.5質量%を超えると、その効果は飽和する。またTiおよびNbを添加する場合は、TiおよびNbが合計 0.5質量%を超えると、その効果は飽和する。したがってTiまたはNbを添加する場合は、Tiを0.01〜0.5 質量%またはNbを0.01〜0.5 質量%含有させ、TiおよびNbを添加する場合は、TiおよびNbを合計0.01〜0.5 質量%させる。
【0031】
本発明では、セパレータの素材となるステンレス鋼板の熱間加工性を向上するために上記した元素の他に、Ca,Mg, REM(すなわち希土類元素),Bをそれぞれ 0.1質量%以下、 あるいはステンレス鋼板の靭性向上の目的でNi:1質量%以下を添加しても良い。また、接触抵抗値を低減するために、Ag:1質量%以下,Cu:5質量%以下を添加し、さらにAgを微細に分散させる目的でV: 0.5質量%以下を添加しても良い。
【0032】
その他の元素は、残部Feおよび不可避的不純物である。
さらに本発明では、ステンレス鋼板に析出物(すなわちラーベス相)として含まれるFe,Cr,Siの量が下記の (1)式を満足する必要がある。なお (1)式において、析出物として含まれるFe量,Cr量,Si量は、析出物に含有されるFe,Cr,Siの質量の、ステンレス鋼板の質量に対する比率(質量%)を指す。
【0033】
[析出Fe]+[析出Cr]+2[析出Si]≧ 1.0 ・・・ (1)
[析出Fe]:ステンレス鋼中に析出物として含まれるFe量(質量%)
[析出Cr]:ステンレス鋼中に析出物として含まれるCr量(質量%)
[析出Si]:ステンレス鋼中に析出物として含まれるSi量(質量%)
前記した通り、 Fe2Mo 型ラーベス相は、一般に合金成分を含んだ(Fe,Cr,Si)2(Mo,Nb,Ti) という形でステンレス鋼板の表面に析出するが、ラーベス相として析出すれば、その組成が変化しても接触抵抗を低減する効果は発揮される。 ラーベス相に含まれる元素は、炭化物または窒化物としても析出することが知られており、ステンレス鋼板のC含有量,N含有量が本発明の範囲であれば、析出物(すなわちラーベス相)のFe含有量,Cr含有量,Si含有量が (1)式を満足するときに、析出したFe,Cr,Siの大部分がラーベス相に含まれる。したがってステンレス鋼板の表面にラーベス相を析出させて、接触抵抗を低減するためには (1)式を満足する必要がある。
【0034】
次に本発明の固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法について説明する。
本発明のセパレータの素材となるステンレス鋼板を製造するにあたって、製造技術を特に限定する必要はなく、従来から知られている通常の製造技術がすべて適用できる。たとえば製鋼工程は転炉,電気炉等でステンレス鋼を溶製し、強攪拌真空酸素脱炭処理法(いわゆるSS−VOD)によって2次精錬を行なうのが好適である。こうして溶製したステンレス鋼の鋳造は、生産性,品質の面から連続鋳造が好ましい。得られたスラブは熱間圧延を施して熱延ステンレス鋼板とした後、 800〜1150℃で焼鈍を施し、さらに酸洗処理を行なう。
【0035】
次いで切削加工によって所定の形状のセパレータを作製する場合は、熱延ステンレス鋼板に溝を切削してセパレータとするのが好ましい。
あるいはプレス加工によって所定の形状のセパレータを作製する場合は、焼鈍を施した熱延ステンレス鋼板に冷間圧延を行ない、所定の厚さを有する冷延ステンレス鋼板とした後、プレス加工してセパレータとするのが好ましい。なお必要に応じて、冷間圧延で得られた冷延ステンレス鋼板に焼鈍( 800〜1150℃)を施して酸洗処理を行なった後、プレス加工しても良い。
【0036】
ラーベス相は 500〜800 ℃の温度範囲で析出するが、通常の熱間圧延や焼鈍の工程、あるいはその後の冷却過程では、ほとんど析出しない。ステンレス鋼板の表面に析出物(すなわちラーベス相)を析出させるためには、ステンレス鋼板を製造する段階またはステンレス鋼板を製造した後の段階で所定の処理を施す。ここでステンレス鋼板を製造した後の段階とは、ステンレス鋼板をセパレータの形状に加工した後の段階も含む。ただしラーベス相が析出するとステンレス鋼板の加工性が損なわれるので、ステンレス鋼板をセパレータの形状に加工した後の段階でラーベス相を析出させるのが好ましい。
【0037】
ラーベス相を析出するためには、時効処理を施せば良いが、ラーベス相を析出する場合は、ラーベス相の析出量が、ステンレス鋼板の成分,時効温度,時効時間に応じて変化するので、実験データや操業データに基づいて適宜設定する。ただしラーベス相は 500〜800 ℃の温度範囲で析出しやすいので、時効温度は 500〜800 ℃が好ましい。
【0038】
また、本発明の成分のステンレス鋼板の場合、たとえば時効温度を 600℃とすると、時効時間は10hr程度で、ステンレス鋼板の表面に接触抵抗を低減するのに十分な析出物(すなわちラーベス相)が析出する。
ステンレス鋼板をセパレータの形状に加工するためにプレス成形した後で時効処理を施すと、ステンレス鋼板の表面に歪みが蓄積されてラーベス相の析出が促進される。したがってプレス成形した後で時効処理を施すと、時効時間を短縮することが可能である。
【0039】
さらに酸洗処理を施して表面スケールを除去すると、不働態皮膜とラーベス相からなる接触抵抗の低い表面が得られる。 また、特に高い耐食性が要求される場合には、光輝焼鈍を施して厚さ100nm 程度のCrを主成分とする緻密な酸化皮膜(いわゆるBA皮膜)を生成させても良い。
このようにして作製したセパレータを用いて固体高分子型燃料電池を製造すると、接触抵抗が低く、発電効率が優れ、かつ耐食性が高い固体高分子型燃料電池が製造できる。
【0040】
【実施例】
転炉およびSS−VODによって表1に示す成分のステンレス鋼を溶製し、さらに連続鋳造法によって厚さ200mm のスラブとした。このスラブを1250℃に加熱した後、熱間圧延によって厚さ4mmの熱延ステンレス鋼板とし、さらに焼鈍( 850〜1100℃)および酸洗処理を施した。次いで、冷間圧延によって厚さ0.3mm とし、さらに焼鈍( 850〜1100℃)および酸洗処理を施して冷延ステンレス鋼板とした。
【0041】
【表1】
【0042】
得られた冷延ステンレス鋼板の板幅中央部かつ長手方向中央部から 200mm×200mm のサンプルを8枚ずつ切り出した。鋼番号1〜10の冷延ステンレス鋼板から切り出した各1〜2枚のサンプルにラーベス相の析出処理(すなわち時効処理:温度 600℃,時間10〜100hr )を施し、さらに研磨によりスケールを除去した後、硝酸を5質量%とフッ酸を 2.5質量%含む酸洗液を用いて酸洗処理を施した。
【0043】
こうして析出処理と酸洗処理を施したサンプルについて、電解抽出法によって析出物(すなわちラーベス相)の定量分析を行ない、析出物として含まれるFe,Cr,Si量を測定した。さらに接触抵抗の測定および硫酸を用いた腐食試験を行なった。その結果を表2に示す。なお表2にはラーベス相の析出量を、ステンレス鋼板の質量に対する比率(質量%)で示す。
【0044】
【表2】
【0045】
次いで、接触抵抗が低く、かつ耐食性が良好であったステンレス鋼板とその比較のためのステンレス鋼板について、各々4枚のサンプルをプレス加工によってセパレータの形状に加工した後、2枚1組でラーベス相の析出処理(すなわち時効処理:温度 600℃,時間10hr)を施し、さらに 450℃の溶融塩(NaOH25質量%,NaNO3 75質量%)に浸漬してスケール改質を行なった後、硝酸を5質量%とフッ酸を 2.5質量%含む酸洗液を用いて酸洗処理を施した。こうして作製した単セルを用いて発電特性を調査した。その結果を表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
これらの測定方法,試験方法を以下に説明する。
接触抵抗の測定:
ラーベス相の析出処理を施したサンプルと析出処理を施さないサンプルの中央部から、それぞれ50mm×50mmの試験片を4枚切り出した。さらに、図3に示すように2枚の試験片8を両面から3枚の同じ大きさのカーボンペーパ(東レ製 TGP-H-120)9で交互に挟み、さらに銅板に金めっきを施した電極10を接触させ、単位面積あたり 137.2N/cm2 (すなわち 14kgf/cm2 )の圧力をかけて2枚の試験片8間の抵抗を測定し、接触面の面積を乗じ、さらに接触面の数(=2)で除した値を接触抵抗値とした。
【0048】
なお接触抵抗値の算出は、2枚1組で試験片を交換しながら6回行ない、その平均値を表2に示す。また参考例として、表面に厚さ約 0.1μmの金めっきを施したステンレス鋼板(SUS304相当)、および厚さ5mmのグラファイト板についても、同様に接触抵抗値を算出した。その結果を表2に併せて示す。
耐食性の評価:
JIS G0591 に準拠して5質量%硫酸腐食試験を実施した。接触抵抗の測定に用いた50mm×50mmの試験片を5質量%硫酸中に浸漬して、80℃で7日間保持した後の重量変化を測定した。なお耐食性は、4枚の試験片の単位面積あたりの重量減少量の平均値が 0.1g/m2 以下を良(○), 0.1g/m2 超えを不可(×)として評価して表2に示す。
【0049】
発電特性の評価:
表2に示した接触抵抗が低くかつ耐食性が良好であった鋼番号7,8および比較のための鋼番号3,9について、4枚のサンプルをプレス加工によってセパレータの形状に加工した後、2枚1組でラーベス相の析出処理(すなわち時効処理:温度 600℃,時間10hr)を施し、さらに 450℃の溶融塩(NaOH25質量%,NaNO3 75質量%)に浸漬してスケール改質を行なった後、硝酸を5質量%とフッ酸を 2.5質量%含む酸洗液を用いて酸洗処理を施した。さらに高分子膜,電極,ガス拡散層2,3が一体化された有効面積50cm2 の膜−電極接合体1(エレクトロケム社製 FC50-MEA )を用いて、図2に示す形状の単セルを作成した。単セルの空気流路6と水素流路7は、いずれも高さ1mm,幅2mmの矩形とし、全体で17列配置した。カソード側には空気を流し、アノード側には超高純度水素(純度 99.9999体積%)を80±1℃に保持したバブラにより加湿した後供給して、電流密度 0.4A/cm2 の出力電圧を測定した。
【0050】
また同様の条件で2000時間にわたって連続して発電させた後、出力電圧を測定した。この単セルの発電実験の期間中は、単セル本体の温度は80±1℃に保持した。また膜−電極接合体1,カーボンペーパ9等は試験片を替えるたびに新品に取り替えた。
参考例として、ステンレス鋼板(SUS304相当)を上記の鋼番号3および7〜9と同様の形状に加工した後、表面に金めっき(厚さ約 0.1μm)を施したセパレータ、および厚さ3mmのグラファイト板の片面に幅2mm,高さ1mmの溝を2mm間隔で17列配置したセパレータを用いて、上記と同様に電流密度 0.4A/cm2 の出力電圧を測定した。その結果を表3に示す。
【0051】
以上のようにして測定した析出物(すなわちラーベス相)として含まれるFe量,Cr量,Si量から (1)式の左辺(=[析出Fe]+[析出Cr]+2[析出Si])を算出し、[析出Fe]+[析出Cr]+2[析出Si]と接触抵抗値との関係を図1に示す。なお、析出物として含まれるFe量,Cr量,Si量は、析出物に含有されるFe,Cr,Siの質量の、ステンレス鋼板の質量に対する比率(質量%)を指す。
【0052】
表2から明らかなように、本発明のステンレス鋼板(すなわち鋼番号5〜8)は全て耐食性の評価が良(○)であった。さらに、その表面に析出物(すなわちラーベス相)を析出させると、接触抵抗値は4〜8mΩ・cm2 であり、金めっきステンレス鋼板あるいはグラファイト板と同等の接触抵抗値が得られた。
また図1から、[析出Fe]+[析出Cr]+2[析出Si]が (1)式を満足する範囲で、金めっきステンレス鋼板あるいはグラファイト板と同等の接触抵抗値が得られることが分かる。
【0053】
これに対して鋼番号2〜3のように、ラーベス相の析出処理を施していないステンレス鋼板、あるいは析出処理を施したものの析出量が少ないステンレス鋼板では、接触抵抗値が高かった。またCr含有量の低いステンレス鋼板(鋼番号1),Mo含有量の低いステンレス鋼板(鋼番号2),C含有量の高いステンレス鋼板(鋼番号9),C+Nの高いステンレス鋼板(鋼番号10)は、耐食性の評価が不可(×)であった。さらにMo含有量の低いステンレス鋼板(鋼番号3)では、接触抵抗値は低減するものの、ラーベス相の析出に伴って固溶Moが減少するので耐食性が劣化する結果となった。
【0054】
さらに表3から明らかなように、良好な接触抵抗値と耐食性を示したステンレス鋼板(鋼番号7,8)を用いた単セルでは、初期の出力電圧および2000時間経過後の出力電圧ともに、金めっきステンレス鋼板あるいはグラファイト板を用いた単セルと同等の発電特性が得られた。
これに対して接触抵抗の高いステンレス鋼板(鋼番号3)では、初期の出力電圧が十分ではなく、耐食性の低いステンレス鋼板(鋼番号9)では、2000時間経過後の出力電圧が著しく低下する。
【0055】
なお、ここではプレス加工の後でラーベス相の析出処理を行なう例について説明したが、ステンレス鋼板の製造工程で析出処理を行なっても良いし、あるいはプレス加工の前に析出処理を行なっても良い。またステンレス鋼板をセパレータの形状に加工する方法は、切削加工,コイニング等の方法を用いても良い。
【0056】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、接触抵抗値が低く、かつ耐食性に優れた固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼が得られる。 したがって、従来から耐久性の問題から高価なグラファイト製セパレータを使用していた固体高分子型燃料電池に、安価なステンレス鋼製セパレータを提供することが可能となった。
【0057】
なお、本発明は、固体高分子型燃料電池用セパレータに限らず、電気伝導性を有するステレンス製電気部品としても広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】[析出Fe]+[析出Cr]+2[析出Si]と接触抵抗との関係を示すグラフである。
【図2】固体高分子型燃料電池の例を模式的に示す斜視図である。
【図3】接触抵抗の測定に用いた試料を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 膜−電極接合体
2 ガス拡散層
3 ガス拡散層
4 セパレータ
5 セパレータ
6 空気流路
7 水素流路
8 試験片
9 カーボンペーパ
10 電極[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a stainless steel for a polymer electrolyte fuel cell separator having excellent durability and a small contact resistance value, a method for producing the same, and a polymer electrolyte fuel cell using the stainless steel separator.
[0002]
[Prior art]
In recent years, from the viewpoint of global environmental conservation, it has excellent power generation efficiency, CO2The development of fuel cells that do not emit carbon dioxide is underway. This fuel cell is H2And O2To generate electricity, and its basic structure is an electrolyte membrane (ie, ion exchange membrane), two electrodes (ie, fuel electrode and air electrode), O2(Ie air) and H2The diffusion layer is composed of two separators. Depending on the type of electrolyte membrane used, phosphoric acid fuel cells, molten carbonate fuel cells, solid electrolyte fuel cells, alkaline fuel cells, solid polymer fuel cells, and the like have been developed.
[0003]
Among these fuel cells, solid polymer fuel cells are compared to phosphoric acid fuel cells and molten carbonate fuel cells.
(A) The power generation temperature is about 80 ° C, and it can generate power at a much lower temperature.
(B) The fuel cell body can be reduced in weight and size.
(C) Start up in a short time,
(D) High fuel efficiency and power density
And so on. For this reason, the polymer electrolyte fuel cell is the fuel cell that is attracting the most attention today for use as a power source for mounting an electric vehicle, a stationary generator for home use, and a small portable generator.
[0004]
The polymer electrolyte fuel cell has an H2And O2As shown in FIG. 2, the membrane-
[0005]
The membrane-
When the polymer electrolyte fuel cell is applied to the above-described use, a fuel cell stack is formed by connecting several tens to several hundreds of such single cells in series.
[0006]
For
(E) Bulkhead separating single cells
In addition to its role as
(F) a conductor that carries the generated electrons,
(G) O2(Ie air) and H2Air flow path, hydrogen flow path,
(H) Discharge channel for discharging generated water and gas
Function is required. Furthermore, in order to put the polymer electrolyte fuel cell into practical use, it is necessary to use
[0007]
In terms of durability, when used as a power source for mounting on an electric vehicle, it is assumed to be about 5000 hours. Or, if it is used as a home-use generator, it is assumed that it is about 40,000 hours. Therefore, the
In terms of electrical conductivity, it is desirable that the contact resistance between the
[0008]
To date, polymer electrolyte fuel cells using a graphite material as
[0009]
Therefore, an attempt has been made to apply a metal material as a material for the
For example, Japanese Patent Application Laid-Open No. 8-180883 discloses a technique that uses a metal that easily forms a passive film as a separator. However, the formation of a passive film causes an increase in contact resistance, leading to a decrease in power generation efficiency. For this reason, it has been pointed out that these metal materials have problems to be improved such as a contact resistance larger than that of the carbon material and inferior in corrosion resistance.
[0010]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 10-228914 discloses a technique for reducing contact resistance and ensuring high output by performing gold plating on the surface of a metal separator such as SUS304. However, it is difficult to prevent pinholes with thin gold plating, and conversely with thick gold plating, the problem of cost remains.
Japanese Patent Application Laid-Open No. 2000-277133 discloses a method of obtaining a separator having improved electrical conductivity by dispersing carbon powder in a ferritic stainless steel substrate. However, even when carbon powder is used, a cost problem still remains because the surface treatment of the separator requires a corresponding cost. Further, it has been pointed out that the separator subjected to the surface treatment has a problem that the corrosion resistance is remarkably lowered when scratches or the like are generated during assembly.
[0011]
Furthermore, attempts have been made to reduce the contact resistance of the separator by using precipitates having electrical conductivity. For example, Japanese Patent Laid-Open No. 2000-214186 discloses Mtwenty threeC6Type carbide or M2A separator having a B-type boride deposited on its surface is disclosed. However, in order to obtain a sufficient amount of precipitation with this technique, a large amount of C and B must be added, so that the stainless steel as the separator material becomes hard. And these Mtwenty threeC6Type carbide and M2Since the B-type boride has a high hardness, there is a problem that the formability when processing stainless steel into a separator is remarkably deteriorated. Mtwenty threeC6Type carbide and M2Since the metal element (namely, M) of the B-type boride is mainly composed of Cr, there is a problem that when these precipitate, Cr in the stainless steel decreases and the corrosion resistance deteriorates.
[0012]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 8-180883
[Patent Document 2]
Japanese Patent Laid-Open No. 10-228914
[Patent Document 3]
JP 2000-277133 A
[Patent Document 4]
Japanese Unexamined Patent Publication No. 2000-214186
[0013]
[Problems to be solved by the invention]
In view of the above-mentioned problems of the prior art, the present invention is a stainless steel for a polymer electrolyte fuel cell separator having good corrosion resistance and low contact resistance (that is, excellent electrical conductivity). And a method for producing the same, and a polymer electrolyte fuel cell using the same.
[0014]
In other words, the present invention uses a Laves phase precipitated on the surface of stainless steel as a raw material, so that the contact resistance is low even without surface treatment, the power generation efficiency is excellent, and the stainless steel itself has high corrosion resistance. It is an object of the present invention to provide a stainless steel for a molecular fuel cell separator, a method for producing the same, and a solid polymer fuel cell using the same.
[0015]
[Means for Solving the Problems]
The inventors of the present invention have developed a stainless steel component, a surface precipitate, a stainless steel plate precipitate, and a stainless steel plate formability with respect to stainless steel for a separator for exhibiting high corrosion resistance while keeping contact resistance low. We conducted earnest research from the viewpoint. As a result, the following knowledge was obtained.
[0016]
1. The contact resistance of the separator is improved by using a high corrosion resistance ferritic stainless steel sheet containing Mo as a raw material and depositing a Laves phase on the surface thereof. In other words, as shown in Fig. 1, the effect of improving contact resistance is exhibited as long as the amount of Fe, Cr, and Si contained in the stainless steel as precipitates (ie, Laves phase) satisfy the following formula (1). Is done. In the formula (1), the amounts of Fe, Cr, and Si contained as precipitates indicate the ratio (mass%) of the mass of Fe, Cr, and Si contained in the precipitate to the mass of the stainless steel plate.
[0017]
[Precipitated Fe] + [Precipitated Cr] +2 [Precipitated Si] ≧ 1.0 (1)
[Precipitated Fe]: Amount of Fe (mass%) contained as a precipitate in stainless steel
[Precipitated Cr]: Cr content (mass%) contained as a precipitate in stainless steel
[Precipitated Si]: Amount of Si contained in stainless steel as a precipitate (mass%)
2. Fe2Mo-type Laves phase includes Fe, Mo, Cr, Si, Nb, Ti, etc. (Fe, Cr, Si)2Although it precipitates on the surface of the stainless steel sheet in the form of (Mo, Nb, Ti), good electrical conductivity is maintained even if the composition changes. And since it suppresses that the surface of a stainless steel plate is covered with an oxide film, it is a precipitate effective in reducing contact resistance.
[0018]
3. Fe2The Mo-type Laves phase is stable even at
4). Fe2The timing and amount of precipitation of the Mo-type Laves phase can be controlled by the components of the stainless steel plate and the heat treatment conditions. Therefore, it is not necessary to significantly change the manufacturing conditions of the stainless steel plate, and it is possible to reduce the contact resistance without impairing the formability of the stainless steel plate.
[0019]
The present invention has been made based on the above findings. C is 0.03% by mass or less, N is 0.03% by mass or less, C + N is 0.03% by mass or less, Cr is 16 to 45% by mass, and Mo is 1.0 to 7.0%. Mass%, Si 0.1-3.0 mass%, Mn The 1.0 Mass% or less, Al The 0.001 ~ 0.2 mass%It is a stainless steel with a composition consisting of Fe and inevitable impurities in the balance, and the amount of Fe, Cr and Si contained in the stainless steel as precipitates satisfies the following formula (1). Stainless steel for molecular fuel cell separator.
[0020]
[Precipitated Fe] + [Precipitated Cr] +2 [Precipitated Si] ≧ 1.0 (1)
[Precipitated Fe]: Amount of Fe (mass%) contained as a precipitate in stainless steel
[Precipitated Cr]: Cr content (mass%) contained as a precipitate in stainless steel
[Precipitated Si]: Amount of Si contained in stainless steel as a precipitate (mass%)
In the invention of the stainless steel for the polymer electrolyte fuel cell separator described above, as a preferred embodiment, in addition to the above composition, stainless steel,Ti Or Nb The 0.01 ~ 0.5 % By mass, or Ti and Nb The total 0.01 ~ 0.5 mass%It is preferable to contain.
[0021]
TheFurthermore, the precipitate is Fe2A Mo-type Laves phase is preferred.
[0022]
In the present invention, C is 0.03% by mass or less, N is 0.03% by mass or less, C + N is 0.03% by mass or less, Cr is 16 to 45% by mass, Mo is 1.0 to 7.0% by mass, and Si is 0.1 to 3.0% by mass., Mn The 1.0 Mass% or less, Al The 0.001 ~ 0.2 mass%In the step of producing a gas flow path by cutting or pressing, a stainless steel plate is obtained by rolling, annealing and pickling stainless steel having a composition comprising Fe and the inevitable impurities in the balance. At the stage of manufacturing or after the manufacture of stainless steel sheet2This is a method for producing stainless steel for a polymer electrolyte fuel cell separator in which an Mo-type Laves phase is precipitated.
[0023]
In the invention of the method for producing stainless steel for the polymer electrolyte fuel cell separator described above, as a preferred embodiment, stainless steel is added to the above composition,Ti Or Nb The 0.01 ~ 0.5 % By mass, or Ti and Nb The total 0.01 ~ 0.5 mass%It is preferable to contain.
MaThe present invention also relates to a solid polymer fuel cell comprising a solid polymer membrane, an electrode and a separator, wherein the above-mentioned stainless steel for a solid polymer fuel cell separator is used as the separator.
[0024]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
First, the reasons for limiting the components of the separator made of stainless steel according to the present invention will be described.
C: 0.03 mass% or less, N: 0.03 mass% or less, C + N: 0.03 mass% or less
C and N both react with Cr in the stainless steel and precipitate as Cr carbonitrides at the grain boundaries, resulting in a decrease in corrosion resistance. Therefore, the smaller the content of C and N, the better. If C: 0.03% by mass or less and N: 0.03% by mass or less, the corrosion resistance will not be significantly reduced. On the other hand, if the total C + N of the C content and the N content exceeds 0.03% by mass, cracks generated when the separator is pressed are remarkably increased. Therefore, C + N is 0.03% by mass or less. Preferably, C: 0.015 mass% or less, N: 0.015 mass% or less, and C + N: 0.02 mass% or less.
[0025]
Si: 0.1-3.0 mass%
Si is an element that is effective for deoxidation and also has an effect of promoting the precipitation of the Laves phase, and is added during the melting stage of stainless steel. In order to obtain this effect, it is necessary to add Si by 0.1% by mass or more. On the other hand, if it is contained excessively, the stainless steel plate becomes hard and the ductility is lowered, so the upper limit of its content is made 3.0% by mass. Preferably it is 0.2-1.5 mass%.
[0026]
Mn: 1.0 mass% or less
Mn combines with S and has the effect of reducing S dissolved in the stainless steel, so it is an effective element for suppressing grain boundary segregation of S and preventing cracking during hot rolling. If the Mn content is 1.0% by mass or less, this effect is sufficiently exhibited. Preferably it is 0.001-0.8 mass%.
[0027]
Cr: 16-45% by mass
Cr is an element necessary for ensuring the corrosion resistance of the stainless steel plate. If the Cr content is less than 16% by mass, it cannot be used for a long time as a separator. On the other hand, if the Cr content exceeds 45% by mass, the toughness decreases due to the precipitation of the σ phase. Therefore, the Cr content is set to 16 to 45% by mass. Preferably it is 20-45 mass%. In addition, the range of 22-35 mass% is still more preferable.
[0028]
Mo: 1.0-7.0% by mass
Mo is an element effective for improving the crevice corrosion resistance of the stainless steel plate. In the present invention, in addition to this effect, the Laves phase is added to the surface of the stainless steel plate to improve electrical conductivity. In order to exert these effects, it is necessary to contain 1.0% by mass or more. On the other hand, if added over 7.0% by mass, the stainless steel becomes extremely brittle and production becomes difficult. Therefore, the Mo content is set to 1.0 to 7.0% by mass. Preferably it is 2.0-5.0 mass%.
[0029]
Al: 0.001 to 0.2 mass%
Al is an element effective for deoxidation in the steelmaking process, and 0.001% by mass or more is necessary to obtain the effect. On the other hand, even if added over 0.2% by mass, the effect is saturated and the cost is increased. Therefore, the Al content is set to 0.001 to 0.2% by mass.
[0030]
0.01 to 0.5% by mass of Ti or 0.01 to 0.5% by mass of Nb or 0.01 to 0.5% by mass of Ti and Nb
Ti and Nb are effective elements for fixing C and N in stainless steel as carbonitrides and improving press formability. When Ti or Nb is added, the effect is exhibited when the Ti content is 0.01% by mass or more or the Nb content is 0.01% by mass or more. Moreover, when adding Ti and Nb, the effect will be exhibited, if Ti and Nb are contained 0.01 mass% or more in total. On the other hand, when Ti or Nb is added, if the Ti content exceeds 0.5% by mass or the Nb: content exceeds 0.5% by mass, the effect is saturated. In addition, when Ti and Nb are added, if Ti and Nb exceed 0.5 mass% in total, the effect is saturated. Therefore, when adding Ti or Nb, 0.01 to 0.5 mass% of Ti or 0.01 to 0.5 mass% of Nb is contained, and when adding Ti and Nb, the total of Ti and Nb is 0.01 to 0.5 mass%.
[0031]
In the present invention, in order to improve the hot workability of the stainless steel plate as the material of the separator, in addition to the above elements, Ca, Mg, REM (ie, rare earth element) and B are each 0.1% by mass or less, or the stainless steel plate For the purpose of improving toughness, Ni: 1% by mass or less may be added. In order to reduce the contact resistance value, Ag: 1 mass% or less, Cu: 5 mass% or less may be added, and V: 0.5 mass% or less may be added for the purpose of finely dispersing Ag.
[0032]
Other elements are the balance Fe and inevitable impurities.
Furthermore, in the present invention, the amount of Fe, Cr, Si contained as a precipitate (that is, Laves phase) in the stainless steel plate needs to satisfy the following formula (1). In the formula (1), the amounts of Fe, Cr, and Si contained as precipitates indicate the ratio (mass%) of the mass of Fe, Cr, and Si contained in the precipitate to the mass of the stainless steel plate.
[0033]
[Precipitated Fe] + [Precipitated Cr] +2 [Precipitated Si] ≧ 1.0 (1)
[Precipitated Fe]: Amount of Fe (mass%) contained as a precipitate in stainless steel
[Precipitated Cr]: Cr content (mass%) contained as a precipitate in stainless steel
[Precipitated Si]: Amount of Si contained in stainless steel as a precipitate (mass%)
As mentioned above, Fe2Mo-type Laves phase generally contains alloy components (Fe, Cr, Si)2Although it precipitates on the surface of the stainless steel plate in the form of (Mo, Nb, Ti), if it is deposited as Laves phase, the effect of reducing the contact resistance is exhibited even if its composition changes. Elements contained in the Laves phase are known to precipitate also as carbides or nitrides, and if the C content and N content of the stainless steel plate are within the scope of the present invention, the precipitate (ie Laves phase) When the Fe content, Cr content, and Si content satisfy Eq. (1), most of the precipitated Fe, Cr, and Si are contained in the Laves phase. Therefore, it is necessary to satisfy the formula (1) in order to deposit Laves phase on the surface of the stainless steel plate and reduce the contact resistance.
[0034]
Next, the manufacturing method of the stainless steel for polymer electrolyte fuel cell separators of this invention is demonstrated.
When manufacturing the stainless steel plate used as the material of the separator of the present invention, it is not necessary to specifically limit the manufacturing technique, and all conventional manufacturing techniques known in the art can be applied. For example, in the steelmaking process, it is preferable to melt stainless steel in a converter, electric furnace or the like and perform secondary refining by a strong stirring vacuum oxygen decarburization method (so-called SS-VOD). The casting of the stainless steel thus melted is preferably continuous casting in terms of productivity and quality. The obtained slab is hot-rolled to obtain a hot-rolled stainless steel plate, and then annealed at 800 to 1150 ° C. and further pickled.
[0035]
Next, when a separator having a predetermined shape is produced by cutting, it is preferable to cut a groove in a hot-rolled stainless steel plate to obtain a separator.
Alternatively, when producing a separator having a predetermined shape by press working, the hot-rolled stainless steel plate subjected to annealing is cold-rolled to obtain a cold-rolled stainless steel plate having a predetermined thickness, and then press-worked to obtain a separator. It is preferable to do this. If necessary, the cold-rolled stainless steel plate obtained by cold rolling may be annealed (800 to 1150 ° C) and pickled, and then pressed.
[0036]
The Laves phase precipitates in the temperature range of 500 to 800 ° C., but hardly precipitates in the normal hot rolling or annealing process or the subsequent cooling process. In order to deposit precipitates (that is, Laves phase) on the surface of the stainless steel plate, a predetermined treatment is performed at the stage of manufacturing the stainless steel sheet or after the stainless steel sheet is manufactured. Here, the stage after manufacturing the stainless steel plate includes the stage after processing the stainless steel plate into the shape of the separator. However, since the workability of the stainless steel plate is impaired when the Laves phase is precipitated, it is preferable to deposit the Laves phase at a stage after the stainless steel plate is processed into the shape of the separator.
[0037]
In order to precipitate the Laves phase, an aging treatment may be applied. However, when the Laves phase is precipitated, the amount of Laves phase precipitation varies depending on the composition of the stainless steel sheet, the aging temperature, and the aging time. Set appropriately based on data and operational data. However, since the Laves phase easily precipitates in the temperature range of 500 to 800 ° C, the aging temperature is preferably 500 to 800 ° C.
[0038]
In the case of the stainless steel plate of the present invention, for example, if the aging temperature is 600 ° C., the aging time is about 10 hours, and there is sufficient precipitate (ie, Laves phase) on the surface of the stainless steel plate to reduce the contact resistance. Precipitate.
When an aging treatment is performed after press forming to process the stainless steel plate into the shape of a separator, strain is accumulated on the surface of the stainless steel plate and the precipitation of Laves phase is promoted. Therefore, the aging time can be shortened by applying an aging treatment after press molding.
[0039]
Further, when pickling treatment is performed to remove the surface scale, a surface having a low contact resistance consisting of a passive film and a Laves phase can be obtained. In addition, when particularly high corrosion resistance is required, a bright oxide film (so-called BA film) having Cr as a main component and having a thickness of about 100 nm may be formed by performing bright annealing.
When a polymer electrolyte fuel cell is produced using the separator thus produced, a polymer electrolyte fuel cell having low contact resistance, excellent power generation efficiency, and high corrosion resistance can be produced.
[0040]
【Example】
Stainless steel having the components shown in Table 1 was melted by a converter and SS-VOD, and further a slab having a thickness of 200 mm was formed by a continuous casting method. This slab was heated to 1250 ° C., and then hot rolled into a hot-rolled stainless steel plate having a thickness of 4 mm, and further subjected to annealing (850 to 1100 ° C.) and pickling treatment. Subsequently, the thickness was reduced to 0.3 mm by cold rolling, and further annealed (850 to 1100 ° C.) and pickled to obtain a cold rolled stainless steel sheet.
[0041]
[Table 1]
[0042]
Eight 200 mm × 200 mm samples were cut out from the central portion of the obtained cold-rolled stainless steel plate and the central portion in the longitudinal direction. Laves phase precipitation treatment (ie, aging treatment: temperature 600 ° C.,
[0043]
The samples subjected to the precipitation treatment and the pickling treatment were subjected to quantitative analysis of precipitates (namely, Laves phase) by the electrolytic extraction method, and the amounts of Fe, Cr, and Si contained in the precipitates were measured. Furthermore, the contact resistance was measured and a corrosion test using sulfuric acid was performed. The results are shown in Table 2. Table 2 shows the amount of Laves phase precipitation as a ratio (% by mass) to the mass of the stainless steel plate.
[0044]
[Table 2]
[0045]
Next, for a stainless steel plate having low contact resistance and good corrosion resistance and a stainless steel plate for comparison, each sample was processed into the shape of a separator by pressing, and then a pair of two Laves phases (Ie, aging treatment: temperature 600 ° C.,
[0046]
[Table 3]
[0047]
These measurement methods and test methods will be described below.
Contact resistance measurement:
Four test pieces each having a size of 50 mm × 50 mm were cut out from the central portion of the sample subjected to the Laves phase precipitation treatment and the sample not subjected to the precipitation treatment. Further, as shown in FIG. 3, two
[0048]
The contact resistance value was calculated 6 times while exchanging the test pieces with one set of two sheets, and the average value is shown in Table 2. As reference examples, contact resistance values were similarly calculated for a stainless steel plate (equivalent to SUS304) having a surface plated with gold of about 0.1 μm and a graphite plate having a thickness of 5 mm. The results are also shown in Table 2.
Evaluation of corrosion resistance:
A 5% by mass sulfuric acid corrosion test was performed in accordance with JIS G0591. A 50 mm × 50 mm test piece used for measurement of contact resistance was immersed in 5% by mass sulfuric acid, and the weight change after being kept at 80 ° C. for 7 days was measured. Corrosion resistance is 0.1 g / m on average of weight loss per unit area of four test pieces.2The following is good (○), 0.1 g / m2The excess is evaluated as impossible (x) and shown in Table 2.
[0049]
Evaluation of power generation characteristics:
For
[0050]
Moreover, after generating electricity continuously over 2000 hours on the same conditions, the output voltage was measured. During the period of the power generation experiment of this single cell, the temperature of the single cell main body was maintained at 80 ± 1 ° C. The membrane-
As a reference example, a stainless steel plate (equivalent to SUS304) was processed into the same shape as the
[0051]
From the amount of Fe, Cr, and Si contained as precipitates (ie Laves phase) measured as described above, the left side of equation (1) (= [Precipitated Fe] + [Precipitated Cr] + 2 [Precipitated Si]) FIG. 1 shows the calculated relationship between [deposited Fe] + [deposited Cr] +2 [deposited Si] and the contact resistance value. The amounts of Fe, Cr, and Si contained as precipitates indicate the ratio (mass%) of the mass of Fe, Cr, and Si contained in the precipitate to the mass of the stainless steel plate.
[0052]
As is clear from Table 2, all the stainless steel plates of the present invention (namely,
Moreover, it can be seen from FIG. 1 that the contact resistance value equivalent to that of the gold-plated stainless steel plate or the graphite plate can be obtained in the range where [deposited Fe] + [deposited Cr] +2 [deposited Si] satisfies the formula (1).
[0053]
On the other hand, the contact resistance value was high in the stainless steel plate not subjected to the Laves phase precipitation treatment as in
[0054]
Further, as is apparent from Table 3, in the single cell using the stainless steel plate (steel numbers 7 and 8) showing a good contact resistance value and corrosion resistance, both the initial output voltage and the output voltage after 2000 hours are gold. Power generation characteristics equivalent to those of a single cell using a plated stainless steel plate or graphite plate were obtained.
On the other hand, in the stainless steel plate (steel number 3) with high contact resistance, the initial output voltage is not sufficient, and in the stainless steel plate (steel number 9) with low corrosion resistance, the output voltage after 2000 hours is remarkably lowered.
[0055]
In addition, although the example which performs the precipitation process of a Laves phase after a press process was demonstrated here, a precipitation process may be performed in the manufacturing process of a stainless steel plate, or a precipitation process may be performed before a press process. . Further, as a method of processing the stainless steel plate into the shape of the separator, methods such as cutting and coining may be used.
[0056]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, a stainless steel for a polymer electrolyte fuel cell separator having a low contact resistance value and excellent corrosion resistance can be obtained. Therefore, it has become possible to provide an inexpensive stainless steel separator for a polymer electrolyte fuel cell that has conventionally used an expensive graphite separator due to durability problems.
[0057]
In addition, this invention can be widely utilized not only as a polymer electrolyte fuel cell separator but as an electrical component made of Stellens having electrical conductivity.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a graph showing the relationship between [precipitation Fe] + [precipitation Cr] +2 [precipitation Si] and contact resistance.
FIG. 2 is a perspective view schematically showing an example of a polymer electrolyte fuel cell.
FIG. 3 is a cross-sectional view schematically showing a sample used for measurement of contact resistance.
[Explanation of symbols]
1 Membrane-electrode assembly
2 Gas diffusion layer
3 Gas diffusion layer
4 Separator
5 Separator
6 Air flow path
7 Hydrogen flow path
8 Test pieces
9 Carbon paper
10 electrodes
Claims (6)
[析出Fe]+[析出Cr]+2[析出Si]≧ 1.0 ・・・ (1)
[析出Fe]:ステンレス鋼中に析出物として含まれるFe量(質量%)
[析出Cr]:ステンレス鋼中に析出物として含まれるCr量(質量%)
[析出Si]:ステンレス鋼中に析出物として含まれるSi量(質量%)C is 0.03% by mass or less, N is 0.03% by mass or less, C + N is 0.03% by mass or less, Cr is 16 to 45% by mass, Mo is 1.0 to 7.0% by mass, Si is 0.1 to 3.0% by mass , and Mn is 1.0 % by mass. The following is a stainless steel containing 0.001 to 0.2 % by mass of Al , with the balance being composed of Fe and inevitable impurities, and the amount of Fe, Cr and Si contained in the stainless steel as precipitates are as follows: A stainless steel for a polymer electrolyte fuel cell separator characterized by satisfying the formula (1).
[Precipitated Fe] + [Precipitated Cr] +2 [Precipitated Si] ≧ 1.0 (1)
[Precipitated Fe]: Amount of Fe (mass%) contained as a precipitate in stainless steel
[Precipitated Cr]: Cr content (mass%) contained as a precipitate in stainless steel
[Precipitated Si]: Amount of Si contained in stainless steel as a precipitate (mass%)
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