JP3921337B2 - 符号化/復号化選択方法及びその装置並びに制御プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

符号化/復号化選択方法及びその装置並びに制御プログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、符号化/復号化選択方法及びその装置並びに制御プログラムを記録した記録媒体に関し、詳しくは、多重化通信路のトラフィックの予測された変動態様に応じて被符号化データの符号化方式を選択し、多重化通信路を経て伝送されて来た符号化データの復号化を行う復号化方式を上記予測された変動態様に応じて選択し得る符号化/復号化選択方法及びその装置並びにそのための制御プログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術として、トールダイヤル網の専用線のトラフィック量を計測して音声符号化方式を切り換える技術が特開平1−311663号公報に記載されている。
この公報に記載される技術は、トラフィック計測部で常時トラフィック量を計測し、計測したトラフィック量をメインコントローラへ報告し、メインコントローラは、メモリを参照して報告されたトラフィック量が現在使用中の音声符号化ユニットの使用範囲にない場合に、現在使用中の音声符号化ユニットを該音声符号化ユニットで使用している音声符号化方式以外の音声符号化方式の符号化ユニットに切り換えるというものである。
【0003】
すなわち、トラフィック量が現在使用中の符号化ユニットの使用範囲より大きい場合には、使用中の音声符号化方式より高能率の音声符号化方式の符号化ユニットが存在するときはトラフィック量に応じた符号化ユニットに切り換え、存在しないときは符号化ユニットの切り換えは行わない。
また、トラフィック量が現在使用中の符号化ユニットの使用範囲より小さい場合には、使用中の音声符号化方式より低能率の音声符号化方式の符号化ユニットが存在するときはトラフィック量に応じた符号化ユニットに切り換え、存在しないときは符号化ユニットの切り換えは行わない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に記載された技術は、トラフィック測定部で常時測定されて、その都度報告されたトラフィック量が、現在使用中の符号化ユニットの使用範囲にあるか否かに従って、符号化ユニットの切り換えを行うものである。したがって、この技術は、測定時のトラフィック量のみが、音声符号化方式の切り換えに考慮されているだけである。
それ故、トラフィック量が変動する多重化伝送路において、その多重化通信路の使用開始時に、その変動を見越したトラフィック量に基づいた音声符号化方式の切り換えは、困難である。
【0005】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、多重化通信路のトラフィックの予測された変動態様に応じて符号化方式を選択し、多重化通信路を経て伝送されて来た符号化データの復号化方式を上記予測された変動態様に応じて選択し得る符号化/復号化選択方法及びその装置並びにそのための制御プログラムを記録した記録媒体を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、多重化通信網の多重化通信路に接続される、共に複数の送信装置及び受信装置のうちの、共に任意の個数の送信装置と受信装置との間のデータ通信において、該データ通信で必要となる数のデータチャネルの使用及び終了が無作為に継続している状態において、前記多重化通信路内の未使用のデータチャネルを前記任意の個数の送信装置と受信装置以外の任意の送信装置から任意の受信装置への他のデータ通信に使用して該他のデータ通信を開始するに際して、前記任意の送信装置において前記他のデータ通信で伝送したい被符号化データを符号化する符号化方式を複数種類の符号化方式の中から選択し、選択された符号化方式で符号化された前記被符号化データを受信した前記任意の受信装置で符号化された前記被符号化データを復号化する際の復号化方式を複数種類の復号化方式の中から選択する符号化/復号化選択方法に係り、前記多重化通信路のトラフィックの測定尺度と成り得る多重化通信路の使用状況量を測定し、測定した使用状況量を一定期間蓄積し、前記任意の送信装置における前記他のデータ通信の接続要求時刻における前記多重化通信路のトラフィックの変動態様を予測する際、過去の測定で得られ蓄積されている蓄積使用状況量の中から、過去における当該接続要求時刻と同時刻での特定使用状況量(過去における前記同時刻での使用状況量の蓄積がなければ、過去における当該接続要求時刻に近い時刻での使用状況量)を抽出し、抽出された過去における同時刻又は近い時刻での特定使用状況量の、平均使用状況量(蓄積使用状況量の平均値)に対する割合を算出し、算出された割合が、しきい値に基づいて、決められた複数の区分のうち、いずれの区分に入っているかによって、当該トラフィックの変動態様を予測し、予測された前記変動態様に基づいて前記被符号化データの符号化に用いる前記変動態様対応の符号化方式を前記複数種類の符号化方式の中から選択し、予測された前記変動態様を変動態様伝送用チャネルを経て前記任意の受信装置へ伝送し、前記任意の送信装置で符号化され前記多重化通信路内の未使用のデータチャネルを経て前記任意の受信装置で受信された前記被符号化データの復号化方式として、前記変動態様伝送用チャネルを経て受信された前記変動態様で決まる復号化方式を前記複数種類の復号化方式の中から選択することを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の符号化/復号化選択方法に係り、前記トラフィックの変動態様の予測に用いる使用状況量とは、データ伝送所要時間及び/又はメモリ使用量であることを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の符号化/復号化選択方法に係り、前記トラフィックの変動態様の予測に用いる前記使用状況量が、データ伝送所要時間、メモリ使用量及びデータ送信所要時間のうちのいずれかの組み合わせであり、これらの組み合わせの各要素を用いて行った予測区分のうち、トラフィックの変動としては最も悪い方向の予測区分を用いて、前記トラフィックの変動態様の予測が行われることを特徴としている。
【0009】
また、請求項4記載の発明は、多重化通信網の多重化通信路に接続される、共に複数の送信装置及び受信装置のうちの、共に任意の個数の送信装置と受信装置との間のデータ通信において、該データ通信で必要となる数のデータチャネルの使用及び終了が無作為に継続している状態において、前記多重化通信路内の未使用のデータチャネルを前記任意の個数の送信装置と受信装置以外の任意の送信装置から任意の受信装置への他のデータ通信に使用して該他のデータ通信を開始するに際して、前記任意の送信装置において前記他のデータ通信で伝送したい被符号化データを符号化する符号化方式を複数種類の符号化方式の中から選択し、選択された符号化方式で符号化された前記被符号化データを受信した前記任意の受信装置で符号化された前記被符号化データを復号化する際の復号化方式を複数種類の復号化方式の中から選択する符号化/復号化選択装置に係り、前記多重化通信路のトラフィックの測定尺度と成り得る多重化通信路の使用状況量を測定する測定手段と、該測定手段で測定された使用状況量を一定期間蓄積し、前記任意の送信装置における前記他のデータ通信の接続要求時刻における前記多重化通信路のトラフィックの変動態様を予測する際、過去の測定で得られ蓄積されている蓄積使用状況量の中から、過去における当該接続要求時刻と同時刻での特定使用状況量(過去における前記同時刻での使用状況量の蓄積がなければ、過去における当該接続要求時刻に近い時刻での使用状況量)を抽出し、抽出された過去における同時刻又は近い時刻での特定使用状況量の、平均使用状況量(蓄積使用状況量の平均値)に対する割合を算出し、算出された割合が、しきい値に基づいて、決められた複数の区分のうち、いずれの区分に入っているかによって、当該トラフィックの変動態様を予測する変動態様予測手段と、該変動態様予測手段で予測された前記変動態様に基づいて前記被符号化データの符号化に用いる前記変動態様対応の符号化方式を前記複数種類の符号化方式の中から選択する符号化選択手段と、前記予測手段で予測された前記変動態様を送信する送信手段と、該送信手段に接続され、予測された前記変動態様を前記任意の受信装置へ伝送する変動態様伝送用チャネルと、該変動態様伝送用チャネルを経て伝送された前記変動態様を受信する受信手段と、前記多重化通信路内の未使用のデータチャネルに接続され、前記任意の送信装置で符号化されて前記任意の受信装置で受信された前記被符号化データの復号化方式として、前記変動態様伝送用チャネルを経て受信された前記変動態様で決まる復号化方式を前記複数種類の復号化方式の中から選択する復号化選択手段とを設けたことを特徴としている。
【0010】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の符号化/復号化選択装置に係り、前記トラフィックの変動態様の予測に用いる使用状況量とは、データ伝送所要時間及び/又はメモリ使用量であることを特徴としている。
【0011】
また、請求項6記載の発明は、請求項4記載の符号化/復号化選択装置に係り、前記トラフィックの変動態様の予測に用いる前記使用状況量が、データ伝送所要時間、メモリ使用量及びデータ送信所要時間のうちのいずれかの組み合わせであり、これらの組み合わせの各要素を用いて行った予測区分のうち、トラフィックの変動としては最も悪い方向の予測区分を用いて、前記トラフィックの変動態様の予測が行われる構成になされていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項7記載の発明は、請求項4乃至6のうちのいずれか一に記載の符号化/復号化選択装置に係り、前記測定手段における使用状況量の測定は、前記任意の送信装置又は前記任意の受信装置で行うことを特徴としている。
【0013】
また、請求項8記載の発明は、請求項4記載の符号化/復号化選択装置に係り、前記多重化通信路が、パケット網を構成する送信側の交換装置内の中継回線装置と受信側の交換装置内の中継回線装置との間に形成される多重化通信路であり、前記変動態様伝送用チャネルは、前記パケット網内に形成される制御チャネルであることを特徴としている。
【0014】
また、請求項9記載の発明は、多重化通信網の多重化通信路に接続される、共に複数の送信装置及び受信装置のうちの、共に任意の個数の送信装置と受信装置との間のデータ通信において、該データ通信で必要となる数のデータチャネルの使用及び終了が無作為に継続している状態において、前記多重化通信路内の未使用のデータチャネルを前記任意の個数の送信装置と受信装置以外の任意の送信装置から任意の受信装置への他のデータ通信に使用して該他のデータ通信を開始するに際して、前記任意の送信装置において前記他のデータ通信で伝送したい被符号化データを符号化する符号化方式を複数種類の符号化方式の中から選択し、選択された符号化方式で符号化された前記被符号化データを受信した前記任意の受信装置で符号化された前記被符号化データを復号化する際の復号化方式を複数種類の復号化方式の中から選択する符号化選択装置に係り、前記多重化通信路のトラフィックの測定尺度と成り得る多重化通信路の使用状況量を測定する測定手段と、該測定手段で測定された使用状況量を一定期間蓄積し、前記任意の送信装置における前記他のデータ通信の接続要求時刻における前記多重化通信路のトラフィックの変動態様を予測する際、過去の測定で得られ蓄積されている蓄積使用状況量の中から、過去における当該接続要求時刻と同時刻での特定使用状況量(過去における前記同時刻での使用状況量の蓄積がなければ、過去における当該接続要求時刻に近い時刻での使用状況量)を抽出し、抽出された過去における同時刻又は近い時刻での特定使用状況量の、平均使用状況量(蓄積使用状況量の平均値)に対する割合を算出し、算出された割合が、しきい値に基づいて、決められた複数の区分のうち、いずれの区分に入っているかによって、当該トラフィックの変動態様を予測する変動態様予測手段と、該変動態様予測手段で予測された前記変動態様に基づいて前記被符号化データの符号化に用いる前記変動態様対応の符号化方式を前記複数種類の符号化方式の中から選択する符号化選択手段とを設けたことを特徴といている。
【0015】
また、請求項10記載の発明に係る記録媒体は、コンピュータに、請求項1乃至3のうちのいずれか一に記載の符号化/復号化方法を実現させるための制御プログラムが記載されていることを特徴としている。
【0016】
また、請求項11記載の発明に係る記録媒体は、コンピュータに、請求項4乃至8のうちのいずれか一に記載の符号化/復号化装置の機能を実現させるための制御プログラムが記載されていることを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。説明は、実施例を用いて具体的に説明する。
◇第1実施例
図1は、この実施例の符号化/復号化選択装置の電気的構成を示す図、図2は、同符号化/復号化選択装置を構成する対向交換装置のうちの一方の交換装置内の中継回線部の電気的構成の詳細図、また、図3は、同符号化/復号化選択装置を構成するた対向交換装置のうちの他方の交換装置内の中継回線部の電気的構成の詳細図である。
【0025】
この実施例の符号化/復号化選択置は、接続要求時刻に、既に、接続要求の通信で使用しようとする送信側の交換装置の中継回線部から受信側の交換装置の中継回線部まで形成されている、又は形成されるパケット網内の多重化通信路のトラフィックの変動態様をデータ伝送所要時間に基づいて予測し、その識別情報で多重化通信路を介して伝送しようとする音声データの音声符号化方式を選択し、該音声符号化方式で符号化されて多重化通信路内の通話路(データチャネルともいう。)を伝送されて来たデータを復号化する音声復号化方式を上記識別情報で選択する装置に係り、符号化/復号化選択装置10は、図1に示すように、音声データを中継回線3、パケット網4及び中継回線5を介して送受信する交換装置1と交換装置2とに次の構成要素を設けて構成される。
交換装置1A及び交換装置2Aは、交換装置1及び交換装置2と同様の構成であるので、その内部の構成の説明は、省略する。
これらのいずれの交換装置も、説明の都合上、図1のパケット網とは独立の構成要素ではなく、その一部を構成する構成要素である。
【0026】
すなわち、符号化/復号化選択装置10は、交換装置1には、中継回線部010−1〜010−n、中央制御部020、スイッチ部030、加入者回線部040−1〜040−n及び統計制御部050が設けられ、また,交換装置2には、中継回線部110−1〜110−n、中央制御部120、スイッチ部130、加入者回線部140−1〜140−n及び統計制御部150が設けられて構成される。
【0027】
なお、加入者回線部040〜040−nには、電話機060−1〜データ端末060−nが接続されている。加入者回線部140−1〜140−nには、電話機160−1〜データ端末160−nが接続されている。
なお、図1に示す交換装置1A及び交換装置2Aも、交換装置1及び交換装置2と同様に構成されているので、その細部の構成の説明は省略する。交換装置1Aには、電話機060−1A〜データ端末060−nAが接続されている。また、交換装置2Aには、電話機160−1A〜データ端末160−nAが接続されている。交換装置1Aは、中継回線3Aを経てパケット網4へ接続され、また、交換装置2Aは、中継回線5Aを経てパケット網4へ接続されている。
【0028】
中継回線部010−1〜010−nは、スイッチ部030及び中央制御部020に接続されて交換装置1と中継回線3との間を接続するインターフェイス機能と、音声圧縮機能と、多重化通信路のトラフィックの変動態様の予測に用いるデータ伝送所要時間を測定し、測定したデータ伝送所要時間を中央制御部020に通知する機能を有している。また、中継回線部110−1〜110−nは、スイッチ部130及び中央制御部120に接続されて交換装置2と中継回線5との間を接続するインターフェイス機能と、音声圧縮機能と、多重化通信路のトラフィックの変動態様の予測に用いるデータ伝送所要時間を測定し、測定したデータ伝送所要時間を中央制御部120に通知する機能を有している。
データ伝送所要時間は、多重化通信路の使用状況量の一例である。
【0029】
中央制御部020、120は、中継回線部010〜010−n,110〜110−nから通知されて来た測定時刻のデータ伝送所要時間を統計情報部050,150に転送する。また、加入者回線部040−1〜040−n,140−1〜140−nで検出され通知された接続要求に応答して統計情報部040,140に対し蓄積済みの過去の類似する測定時刻でのデータ伝送所要時間の問い合わせを行う。そして、問い合わせ結果に基づいてトラフィックの変動態様の予測を行う。その予測された変動態様を表す識別情報を中継回線部010−1〜010−n,110−1〜110−nに通知する。
過去の類似する測定時刻とは、過去におけるデータ伝送所要時間の測定時刻と接続要求時刻と一致する測定時刻とが一致するときはその時刻を、過去におけるデータ伝送所要時間の測定時刻と接続要求時刻とが一致しないときは、接続要求時刻に近い、例えば、接続要求時刻に一番近い測定時刻を言う。
【0030】
上記トラフィックの変動態様の予測は、接続要求時刻までに統計情報部040,140に蓄積されている全データ伝送所要時間の平均(平均データ伝送所要時間)に対して、問い合わせた結果(過去の類似する測定時刻でのデータ伝送所要時間)がどの位の割合となっているかを算出し、その割合がしきい値に従って区分されるいずれの範囲に入っているかによって行う。例えば、しきい値に従って区分され範囲の数は3段階である。第1の段階は、音声符号化/復号化部を使用しない段階で、平均データ伝送所要時間に対する過去の類似する測定時刻でのデータ伝送所要時間が70%未満である段階である。第2の段階は、第1の音声符号化方式を使用する段階で、過去の類似する測定時刻でのデータ伝送所要時間が平均データ伝送所要時間の70%以上130%未満である段階である。第3の段階は、第2の音声符号化方式を使用する段階で、過去の類似する測定時刻でのデータ伝送所要時間が平均データ伝送所要時間の130%以上である段階である。
【0031】
第1の段階で用いれる音声符号化方式は、PCM(Pulse Code Modulation)(パルス符号変調方式)(G.711)による音声符号化であり、第2の段階で用いれる音声符号化方式は、CS−ACELP(Conjugate Structure-Algeblaic Code Excited Linear Prediction)(共役構造代数符号励振線形予測方式)(G.729)と呼ばれる音声符号化方式であり、第3の段階で用いれる音声符号化方式は、MP−MLQ/ACELP(Multiple Pulse ?Maximum Likelihood Quantization/Algeblaic Code Excited Linear Prediction)(マルチパルス最ゆう量子化/代数符号励振線形予測方式)(G.723.1)による音声符号化方式である。CS−ACELPは、国際電気通信連合の電気通信標準化部門の勧告で示されるG.729で規定されている音声符号化方式で、8kbpsの情報量である。MP−MLQ/ACELPは、国際電気通信連合の電気通信標準化部門の勧告で示されるG.723.1で規定されている音声符号化方式で、MP−MLQが6.3kbps、ACELPは、5.3kbpsの情報量である。
【0032】
統計情報部050,150は、交換装置1から交換装置2へのデータ送信に要した時間(データ送信所要時間)の算出、交換装置2から交換装置1へのデータ受信に要した時間(データ受信所要時間)の算出並びにデータ送信所要時間及びデータ受信所要時間のうちの長い方の時間の選択を行い、測定時刻と上記選択された時間(すなわち、データ伝送所要時間)とを対応させた蓄積を行うほか、接続要求時刻までに蓄積されている全データ伝送所要時間の平均データ伝送所要時間の算出蓄積も行う。データ送信所要時間及びデータ受信所要時間の算出は、測定時刻に、中継回線部010,110から中央制御部020,120へ通知されたデータ送信時刻及びデータ受信時刻に基づいて行う。
【0033】
スイッチ部030は、電話機060−1〜データ端末060−nから加入者回線部040−1〜040−n,140−1〜140−nに入力された音声、データを相手の電話機160−1〜データ端末160−nに転送し得る中継回線部010−1〜010−nの選択を中央制御部020,120の制御の下に行う。
また、スイッチ部130は、電話機160−1〜データ端末160−nから加入者回線部140−1〜140−nに入力された音声、データを相手の電話機060−1〜データ端末060−nに転送し得る中継回線部110−1〜110−nの選択を中央制御部020,120の制御の下に行う。
【0034】
加入者回線部040−1〜040−n,140−1〜140−nは、当該加入者回線部に接続されている加入者による接続要求があったとき、その接続要求を検出し、その旨の通知を中央制御部020,120に行う。
【0035】
次に、中継回線部010−1〜010−n,110−1〜110−nのうちの中継回線部010−1,110−1詳細構成を、図2及び図3を参照して説明する。
中継回線部010−1は、中継回線インターフェイス部011、フレーム組立・分解部012、回線制御部013、トラフィック測定部014、音声符号化/復号化選択部015、音声符号化/復号化部016−1,016−2、データ処理部017から構成されている。中継回線部110−1は、中継回線インターフェイス部111、フレーム組立・分解部112、回線制御部113、トラフィック測定部114、音声符号化/復号化選択部115、音声符号化/復号化部116−1,116−2、データ処理部117から構成されている。
【0036】
中継回線インターフェイス部011,111は、交換装置内部で取り扱う信号を中継回線の電気的インターフェイスに準じた信号に変換し、また、中継回線からの信号をその逆変換を行う。
フレーム組立・分解部012,112は、回線制御信号、音声データ及び通信データを一時的に記憶し、中継回線のフレームフォーマットに準じた信号形式に組立/分解する機能を有する。また、回線輻輳時においては待ち合わせを行うための一時的な蓄積機能も果たす。
【0037】
回線制御部013,113は、中央制御部020,120からの指示に従って音声符号化/復号化選択部015,115の制御機能及びトラフィック測定部014,114の制御機能を行うほか、中継回線部010,110内部の通常の制御機能も有しており、交換装置1と交換装置2との間の通信に関する制御情報について相手局との情報の受け渡しも行う。
【0038】
トラフィック測定部014,114は、回線制御部013,113から測定データの送信指示を受けて予め決められたデータフォーマットに送信時刻を挿入し、それをフレーム組立・分解部012,112に送る。また、トラフィック測定部014,114は、中継回線部011,110から受け取った中継回線フレームフォーマットをフレーム組立・分解部012,112で分解して得られたその中の測定データをフレーム組立・分解部012,112から受け取る。
【0039】
音声符号化/復号化選択部015,115は、回線制御部013,113の制御により、スイッチ部030,130から入力される音声データをそのままフレーム組立・分解部012,112に送るか、音声符号化/復号化部016−1,116−1又は音声符号化/復号化部016−2,116−2のいずれか一方を経てフレーム組立・分解部012,112に送るかの選択機能を有する。
音声符号化/復号化部016−1,016−2、116−1,116−2は、電話機等から入力される音声符号化された音声データを他の音声符号化/復号化形式のデータに変えるための機能部あり、送信時にはその音声符号化方式で符号化し、受信時には該音声符号化方式で符号化されたデータを電話機で使用されている符号化方式に復号化するものである。
データ処理部018,118は、端末からのデータについてフレームフォーマットの組立・分解機能を有している。
【0040】
図1に示す交換装置を構成する各部は、この実施例では、その一部分がソフトウェアで構成され、他の部分は、ハードウェアで構成されている。
ソフトウェアで構成される部分のプログラムは、交換装置を構成する不揮発性の記憶装置に記憶されている。交換装置の稼動開始時に、交換装置を構成するメモリに読み出されそのプログラムを交換装置のプロセッサで実行することにより、以下に説明する実施例の動作の中のソフト的な処理が、順次進行して行くように構成されている。
【0041】
次に、図1乃至図3を参照して、この実施例の動作について説明する。
交換装置1に収容される電話機060−1以外の電話機060−2〜端末060−nのいずれかと、交換装置2に収容される電話機160−1以外の電話機060−2〜端末160−nのいずれかとの間で、パケット網4を介して通信が行われているものとする。
また、パケット網4内では、後述する交換装置1に収容される電話機060−1と、交換装置2に収容される電話機160−1との間の通話路を形成したい多重化通信路が、中継回線部010−1と中継回線部110−1との間に形成されているものとする。
この状態において、交換装置1の中央制御部020は、中継回線部010の回線制御部013に対して中継回線3等に形成される各多重化通信路のデータ伝送所要時間の定期的な測定指示を順次送出する。この測定指示は、電源投入後に交換装置1が稼動し始めた時のほか、予め決められた時間毎に定期的に行われる。以下の説明は、中継回線3に形成されている又は形成される多重化通信路のデータ伝送所要時間の定期的な測定である。
【0042】
測定指示を受けた回線制御部013は、多重化通信路のデータ伝送所要時間を測定するため、トラフィック測定部014に対して送信指示を送る。
トラフィック測定部014は送信指示を受けると、予め決められたデータフォーマットの中に送信時刻を挿入して測定データとしてフレーム組立・分解部012に送り、フレーム組立・分解部012において中継回線を経て伝送すべきフォーマットとして規定されている中継回線フレームフォーマットに上記測定データを挿入し、その中継回線フレームフォーマットは、中継回線インターフェイス部011を経て中継回線3上に送出される。
【0043】
このようにして、交換装置1から中継回線3、パケット網4、そして中継回線5を経て伝送されて来た中継回線フレームフォーマット内の測定データは、交換装置2の中継回線インターフェイス部110、フレーム組立・分解部112を経てトラフィック測定部114で受信される。
そのラフィック測定部114は、測定データの到達時刻(受信時刻)を記録し、かつ、送信時刻及び到達時刻を測定データとして交換装置1へ返送すべく該測定データをフレーム組立・分解部112に戻す。すると、その測定データは、交換装置1での送信と同様にして、フレーム組立・分解部112において中継回線フレームフォーマットに組み立てて、その中継回線フレームフォーマットは、中継回線インターフェイス部110を介して中継回線5上に送出され、そしてパケット網4、中継回線3を経て交換装置1へ送り返されて来る。
【0044】
交換装置1に返信されて来た中継回線フレームフォーマットは、中継回線部010の中継回線インターフェイス部011を経てフレーム組立・分解部012へ送られ、フレーム組立・分解部012で分解され、その中から取り出された測定データは、トラフィック測定部014で受信される。
トラフィック測定部014は、測定データに含まれている交換装置1(自局)の送信時刻及び交換装置2(相手局)の到達時刻を受信すると共に、交換装置1での測定データの返信時刻を測定し、これらの各時刻を回線制御部013を介して中央制御部020に通知する。
【0045】
中央制御部020は、通知された送信時刻及び到達時刻並びに返信時刻を統計情報部050に送ると、統計情報部050は、それらの各時刻に基づいて次の処理を行ってその処理結果を蓄積する。
すなわち、交換装置1から交換装置2へのデータ送信所要時間を送信時刻と到達時刻とを用いて算出し、交換装置2からのデータを交換装置1で受信するのに要したデータ受信所要時間を到達時刻と返信時刻とを用いて算出し、データ送信所要時間とデータ受信所要時間とを比較し、多重化通信路のトラフィックの変動態様が高いと考えられる所要時間を符号化方式の選択基準とするため、データ送信所要時間とデータ受信所要時間のうちの長い方の時間を測定時刻における当該多重化通信路のデータ伝送所要時間として該測定時刻に対応する前回のデータ伝送所要時間を更新し(定期的な更新を行い)、一定時間(次の更新時刻まで)蓄積する。この一定時間は、少なくとも1日以上である。
【0046】
このような蓄積が、交換装置1おいて、交換装置1に収容される各多重化通信路について続行されている途中に、交換装置1に収容されている電話機060−1から交換装置2に収容されている電話機160−1に対して接続要求が出されたもとする。
電話機060−1〜端末060−nからの発呼の状態監視を行っている加入者回線部040−1〜040−nのうちの加入者回線部040−1が、電話機060−1の発呼(接続要求)を検出し、そして当該電話機から送出された通信相手先のダイヤル番号を検出したとき、その接続要求を中央制御部020に通知する。
【0047】
中央制御部020は、受け取ったダイヤル番号に基づいて、中継回線部010−1を選択するスイッチング動作をスイッチ部030に生じさせて当該中継回線部010−1の選択を行う。上記中継回線部010−1は、接続要求時刻に、交換装置1から中継回線3、パケット網4、中継回線5を経て、ダイヤル番号で指定される相手先の電話機160−1が収容されている交換装置2までの全区間に亘って、既に、形成されている、又は形成される多重化通信路が収容され、他の通信に供され、また、このパケット網内の多重化通信路の中に、電話機016−1と電話機116−1との間に形成されるべき通話路を形成し得る空きの通話路があるとする。
スイッチ部030のスイッチング動作により、加入者回線部040と中継回線部010−1との間を接続する通話路が設定される。
【0048】
このようにして選択された中継回線部、例えば、中継回線部010−1において、接続要求時刻に、既に、形成されている、又は形成される上述のパケット網内の多重化通信路のトラフィックの変動態様を予測し、予測されたトラフィックの変動態様に応じた音声符号化方式により、音声の符号化を行う。その動作を以下に説明する。
中央制御部020が、上述したように、加入者回線部040−1から電話機060−1による発呼(接続要求)の検出を通知されると、中央制御部020は、統計情報部050に対して、過去の類似する測定時刻に対するデータ伝送所要時間の問い合わせを行う。統計情報部050は、その問い合わせを受けると、上記検出された接続要求の時刻に対応する過去の類似する測定時刻について蓄積情報を検索して過去の類似する測定時刻に対応するデータ伝送所要時間及び全データ伝送所要時間の平均データ伝送所要時間を中央制御部020に送る。
中央制御部020は、上記平均データ伝送所要時間と問い合わせたデータ伝送所要時間との割合がどの位になっているかを算出する。
【0049】
その割合がしきい値に従って区分されるいずれの範囲に入っているかによって、接続要求時刻における多重化通信路のトラフィックの変動態様の予測を中央制御部020で行う。上述したように、この実施例においては、区分され範囲の数は3段階としているから、上記割合が、平均データ伝送所要時間に対する過去の類似する測定時刻でのデータ伝送所要時間が70%未満である段階である第1の段階に入っているならば、トラフィックが相対的に小さいとの予測を行う。その識別情報が、中央制御部020から回線制御部013に通知されると、回線制御部013は、音声符号化/復号化選択部015にスイッチ部030から入力された音声データを選択させる。なお、スイッチ部030から入力された音声データは、PCM(G.711)と呼ばれる音声符号化方式の下で符号化されている。
【0050】
また、上記割合が、過去の類似する測定時刻でのデータ伝送所要時間が平均データ伝送所要時間の70%以上130%未満である第2の段階に入っているならば、トラフィックが相対的に大きいとの予測を行う。その識別情報が、中央制御部020から回線制御部013に通知されると、回線制御部013は、音声符号化/復号化選択部015に、スイッチ部030から入力された音声データを、CS−ACELP(G.729)と呼ばれる第1の音声符号化方式の下で符号化し直す音声符号化/復号化部016−1を選択させる。
【0051】
また、上記割合が、過去の類似する測定時刻でのデータ伝送所要時間が平均データ伝送所要時間の130%以上である第3の段階に入っているならば、トラフィックが相対的に一層大きいとの予測を行う。その識別情報が、中央制御部020から回線制御部013に通知されると、回線制御部013は、音声符号化/復号化選択部015に、スイッチ部030から入力された音声データを、MP−MLQ/ACELP(G.723.1)と呼ばれる第2の音声符号化方式の下で符号化し直す音声符号化/復号化部016−2を選択させる。
このようにして通話に供しようとする通話路を収容する多重化通信路のトラフィックの変動態様が予測されると、その予測されたトラフィックの変動態様を表す識別情報が、中央制御部020から中継回線部010−1の回線制御部013を経て、音声符号化/復号化選択部015に対して通知される。音声符号化/復号化選択部015は、通知された識別情報に対応する音声符号化/復号化部を選択する。
例えば、トラフィックの変動態様が上記第3の段階に入っているとすると、最も音声圧縮率の高い音声符号化/復号化部016−2が、音声符号化/復号化選択部015で選択される。
【0052】
上述したような発呼に対応する接続要求及び該接続要求に応答して選択した音声符号化方式の識別情報は、中継回線3、パケット網4、中継回線5を経て交換装置1と交換装置2との間に形成されている上述の多重化通信路のための公知の制御チャネルを経て交換装置2へ通知される。
交換装置2の中継回線部110−1までに上述のようにして形成されている制御チャネルを介して受信した交換装置1からの接続要求及び選択した音声符号化方式の識別情報が、中央制御部120から中継回線部110−1へ与えられる。この通知を受けた交換装置2の回線制御部113は、接続要求時刻に、既に、形成されている、又は形成される上述のパケット網内の多重化通信路を収容し通信に供されている中継回線部110−1を選択するスイッチングをスイッチ部130に生じさせて当該中継回線部110−1の選択を行う。
スイッチ部130のスイッチング動作により、中継回線部110−1と加入者回線部140−1との間を接続する通話路が設定される。
【0053】
このようにして、電話機016−1と電話機116−1との間に通話路が設定される。
また、音声符号化/復号化選択部115は、回線制御部113から受けた識別情報対応の音声符号化/復号化部116−2を選択する。
その通話において中継回線3、パケット網4及び中継回線5を経て送受される音声データの符号化、復号化は、上述のようにして選択された音声符号化/復号化部016−2、116−2で行われる。
【0054】
このように、この実施例の構成によれば、接続要求時刻に、既に、接続要求の通信で使用しようとする送信側の交換装置の中継回線部から受信側の交換装置の中継回線部まで形成されている、又は形成される多重化通信路のトラフィックの変動態様を過去の類似する測定時刻でのデータ伝送所要時間及び当該測定時刻までに蓄積されている全データ伝送所要時間の平均データ伝送所要時間に基づいて予測し、送信側においては予測されたトラフィックの変動態様に応じた音声符号化方式を、また、受信側においては予測されたトラフィックの変動態様に応じた音声復号化方式を選択するようにしているから、トラフィックの増大傾向にある場合には、単位ビット当たりの情報量を増加させ、単位時間当たりの送信データ量を少なくして中継回線の使用効率の向上を達成することができる。この効果は、トラフィックの変動態様の予測にデータ伝送所要時間を用いているから、その予測を正確に行うことができる。
【0055】
◇第2実施例
図4は、この発明の第2の実施例である符号化/復号化選択装置の電気的構成を示す図、図5は、同符号化/復号化選択装置を構成する対抗交換装置のうちの、一方の交換装置内の中継回線部の電気的構成の詳細図、また、図6は、同符号化/復号化選択装置を構成する対抗交換装置のうちの、他方の交換装置内の中継回線部の電気的構成の詳細図である。
この実施例の構成が、第1実施例のそれと大きく異なるところは、接続要求時刻に、既に、接続要求の通信で使用しようとする送信側の交換装置の中継回線部から受信側の交換装置の中継回線部までに形成されている、又は形成されるパケット網の多重化通信路のトラフィック量の変動態様の予測に、中継回線部に設けられる送信用一時記憶メモリのメモリ使用量を考慮した点である。その符号化/復号化選択装置10Aの変更部分は、次の通りである。
メモリ使用量は、多重化通信路の使用状況量の一例である。
【0056】
すなわち、図4乃至図6に示すように、第1実施例と同様の多重化通信路のトラフィックの変動態様の予測に用いるメモリ使用量の定期的な測定指示又は接続要求時刻の測定指示が、交換装置21の中央制御部320,交換装置31の中央制御部320から中継回線部210−1,310−1を経て回線制御部213,313に与えられるときに、回線制御部213,313は、トラフィック測定部214,314に対して、フレーム組立・分解部212,312内の送信用一時記憶メモリ212−1,312−1の使用状況量の送信指示を送る機能を有する。上記定期的な測定指示には、電源投入後に交換装置21,31が起動を始めたときの測定指示も含まれる。
メモリ使用量は、多重化通信路の使用状況量の一例である。
【0057】
フレーム組立・分解部212,312は、送信用一時記憶メモリ212−1,312−1のメモリ使用量を測定してトラフィック測定部214,314に送る機能を有する。
回線制御部213,313は、フレーム組立・分解部212,312で測定されたメモリ使用量をトラフィック測定部214,314から受け取って中央制御部220,320に通知する機能を有する。
中央制御部220,320は、通知されたメモリ使用量を定期的な測定指示の時刻(測定時刻)対応に統計情報部250,350に蓄積させる。
統計情報部250,350は、過去の類似する時刻までに蓄積されているメモリ使用量全部の平均メモリ使用量を算出するほか、接続要求時刻に中央制御部220,320から問い合わせがあったとき過去の類似する時刻のメモリ使用量及び平均メモリ使用量を中央制御部220,320に通知する。
過去の類似する測定時刻とは、過去におけるメモリ使用量の測定時刻と接続要求時刻とが一致するときはその時刻を、過去におけるメモリ使用量の測定時刻と接続要求時刻とが一致しないときは、接続要求時刻に近い、例えば、接続要求時刻に一番近い測定時刻を言う。
なお、これ以外の点では、この実施例の構成は、図1乃至図3に示す第1実施例の構成と同一の構成であるので、図4〜図6においては、図1〜図3の構成部分と同一の各部には同一の符号を付してその説明を省略する。但し、交換装置21Aは、中継回線3Aを経てパケット網4へ接続され、また、交換装置31Aは、中継回線5Aを経てパケット網4へ接続されている。
【0058】
次に、図4〜図6を参照して、この実施例の動作について説明する。
この実施例においても、中央制御部220,320から回線制御部213,312に対する第1実施例と同様の定期的な測定時刻毎に、送信用一時記憶メモリ212−1,312−1のメモリ使用量を上記測定時刻対応に統計情報部250,350に蓄積させる動作が行われる。
すなわち、上記定期的な測定指示が回線制御部213,313に対して送られると、回線制御部213,313は、トラフィック測定部214,314に対して送信指示を通知する。トラフィック測定部214,314は、フレーム組立・分解部212,312に当該測定時刻における送信用一時記憶メモリ212−1,312−1のメモリ使用量を測定させてそのメモリ使用量をトラフィック測定部214,314に送らせる。
回線制御部213,313は、トラフィック測定部214,314から受け取ったメモリ使用量を中央制御部210,310に通知する。
中央制御部210,310は、通知されたメモリ使用量を測定時刻対応に統計情報部250,350に蓄積させる。
【0059】
このような蓄積動作が、交換装置21おいて、交換装置21に収容される各多重化通信路について繰り返されている状態において、交換装置21に収容されている電話機060−1から交換装置22に収容されている電話機160−1に対して接続要求が出されたものとする。
電話機060−1〜端末060−nからの発呼の状態監視を行っている加入者回線部040−1〜040−nのうちの加入者回線部040−1による電話機060−1の発呼の検出、そのダイヤル番号の中央制御部220への通知、接続要求時刻に、既に、形成されている上述の多重化通信路が収容され、他の通信に供されている中継回線部060−1を中央制御部220からのダイヤル番号に基づいて選択させるスイッチ部030にスイッチング動作を生る動作は、第1実施例と同じである。
スイッチ部030のスイッチング動作により、加入者回線部040−1と中継回線部210−1との間を接続する通話路が設定される。
【0060】
このようにして選択された中継回線部、例えば、中継回線部210−1において、接続要求時刻に、既に、形成されている、又は形成される上述の多重化通信路について予測されたトラフィックの変動態様に応じた音声符号化方式により、音声の符号化を行う。その動作を以下に説明する。
【0061】
中央制御部220が、上述したように、加入者回線部040−1から電話機060−1による発呼(接続要求)の検出を通知されると、中央制御部220は、統計情報部250に対して、過去の類似する時刻におけるメモリ使用量の問い合わせを行う。統計情報部250は、その問い合わせを受けると、過去の類似する測定時刻について蓄積情報を検索して過去の類似する測定時刻におけるメモリ使用量及び平均メモリ使用量を中央制御部220に送る。中央制御部220は、平均メモリ使用量に対して、問い合わせたメモリ使用量がどの位の割合になっているかを算出する。
【0062】
その割合がしきい値に従って区分されるいずれの範囲に入っているかによって、接続要求時刻に、既に、形成されている、又は形成される上述の多重化通信路のトラフィックの変動態様の予測を中央制御部220で行う。上述したように、この実施例においては、区分され範囲の数は3段階としているから、上記割合が、平均メモリ使用量に対する過去の類似する測定時刻でのメモリ使用量が30%未満である段階である第1の段階に入っているならば、トラフィックの変動態様はトラフィックが減少する方向でその割合が相対的に小さいとの予測を行う。その識別情報が、中央制御部220から回線制御部213に通知されると、回線制御部213は、音声符号化/復号化選択部015にスイッチ部030から入力された音声を選択させる。なお、スイッチ部030から入力された音声データは、PCM(G.711)と呼ばれる音声符号化方式の下で符号化されている。
【0063】
また、上記割合が、過去の類似する測定時刻でのメモリ使用量が平均メモリ使用量の30%以上50%未満である第2の段階に入っているならば、トラフィックの変動態様はトラフィックが増大する方向でその割合が相対的に大きいとの予測を行う。その識別情報が、中央制御部220から回線制御部213に通知されると、回線制御部213は、音声符号化/復号化選択部015に、スイッチ部030から入力された音声データを、CS−ACELP(G.729)と呼ばれる第1の音声符号化方式の下で符号化し直す音声符号化/復号化部016−1を選択させる。
【0064】
また、上記割合が、過去の類似する測定時刻でのメモリ使用量が平均メモリ使用量の50%以上である第3の段階に入っているならば、トラフィックの変動態様は増大する方向でその割合が相対的に一層大きいとの予測を行う。その識別情報が、中央制御部220から回線制御部213に通知されると、回線制御部213は、音声符号化/復号化選択部015に、スイッチ部030から入力された音声データを、1MP−MLQ/ACELP(G.723.)と呼ばれる第2の音声符号化方式の下で符号化し直す音声符号化/復号化部016−2を選択させる。
【0065】
このようにして、接続要求時刻に、既に、形成されている、又は形成される上述の多重化通信路のトラフィックの変動態様が予測されると、その予測されたトラフィックの変動態様を示す識別情報が、中央制御部220から中継回線部210−1の回線制御部213を経て、音声符号化/復号化選択部015に対して通知される。音声符号化/復号化選択部015は、通知された識別情報に対応する音声符号化/復号化部を選択する。
例えば、トラフィックの変動態様が上記第3の段階に入っているとすると、最も音声圧縮率の高い音声符号化/復号化部016−2が、音声符号化/復号化選択部015で選択される。
【0066】
上述したような発呼に対応する接続要求及び選択した音声符号化方式の識別情報の交換装置2への通知、その接続要求に基づくスイッチ部130への通話路の設定及び識別情報に基づく音声符号化/復号化部の選択の各動作は、第1実施例と同じである。
スイッチ部130のスイッチング動作により、中継回線部310−1と加入者回線部140−1との間を接続する通話路が設定される。
また、音声符号化/復号化選択部115は、回線制御部113から受けた識別情報対応の音声符号化/復号化部116−2を選択する。
【0067】
このようにして、電話機060−1と電話機160−1との間に通話路が設定され、その通話路を経て送受される音声データは、音声符号化/復号化部016−2、116−2で符号化され復号化されて通話に供される。
【0068】
このように、この実施例の構成によれば、接続要求時刻に、既に、接続要求の通信で使用しようとする送信側の交換装置の中継回線部から受信側の交換装置の中継回線部まで形成されている、又は形成される多重化通信路のトラフィック量の変動態様の予測を過去の類似する測定時刻のメモリ使用量及び平均メモリ使用量に基づいて予測し、送信側においては予測された変動態様に応じた音声符号化方式を、また、受信側においては予測された変動態様に応じた音声復号化方式を選択するようにしているから、トラフィックの増大傾向にある場合には、単位ビット当たりの情報量を増加させ、単位時間当たりの送信データ量を少なくして回線の使用効率の向上を達成することができる。この効果は、メモリ使用量の測定を交換装置21でのみ行うことができ、トラフィックの変動態様の決定を第1実施例よりも高速にすることができる。
【0069】
◇第3実施例
図7は、この発明の第3の実施例である符号化/復号化選択装置の電気的構成を示す図、図8は、同符号化/復号化選択装置を構成する対抗交換装置のうちの、一方の交換装置内の中継回線部の電気的構成の詳細図、また、図9は、同符号化/復号化選択装置を構成する対抗交換装置のうちの、他方の交換装置内の中継回線部の電気的構成の詳細図である。
この実施例の構成が、上述の第1実施例のそれと大きく異なるところは、接続要求時刻に、既に、接続要求の通信で使用しようとする送信側の交換装置の中継回線部から受信側の交換装置の中継回線部まで形成されている、又は形成される多重化通信路のトラフィックの変動態様の予測に、通話直前のデータ送信時間を考慮した点である。その符号化/復号化選択装置10Bの変更部分は、次の通りである。
【0070】
すなわち、図7乃至図9に示すように、電話機060−1,160−1から発呼(接続要求)が生じたとき、これに応答した交換装置41,51の中央制御部420,520から中継回線部410−1,510−1を経て回線制御部413,513に与えられるときに、回線制御部413,513は、トラフィック測定部414,514に対して、データ送信所要時間の送信指示を送る機能を有する。このデータ送信所要時間の測定は、第1実施例と同じである。
データ送信所要時間は、多重化通信路の使用状況量の一例である。
【0071】
回線制御部413,513は、データ送信所要時間をトラフィック測定部414,514から受け取って中央制御部420,520に通知する機能を有する。中央制御部420,520は、第1実施例と同様の定期的な測定指示、また、接続要求時刻の測定指示を送出し、定期的な測定時刻毎のデータ送信所要時間を測定時刻対応に統計情報部450,550に蓄積させ、また、接続要求時刻のデータ送信所要時間と平均データ送信所要時間との割合を算出し、その割合に基づく変動態様を予測する機能を有する。上記定期的な測定指示には、交換装置41,51の電源投入時に出される測定指示のほか、交換装置41,51から定期的に出される測定指示もある。
また、中央制御部420,520は、接続要求時刻に統計情報部450,550に問い合わせをする機能も有する。
【0072】
統計情報部450,550は、測定時刻毎のデータ送信所要時間を測定時刻対応に蓄積する機能、過去の類似する測定時刻までに蓄積されている全データ送信所要時間の平均データ送信所要時間を算出し蓄積する機能、中央制御部450,550からの問い合わせに対して平均データ送信所要時間を通知する機能を有する。
過去の類似する測定時刻とは、過去におけるデータ送信所要時間の測定時刻と接続要求時刻とが一致するときはその時刻を、過去におけるデータ送信所要時間の測定時刻と接続要求時刻とが一致しないときは、接続要求時刻に近い、例えば、接続要求時刻に一番近い測定時刻を言う。
なお、これ以外の点では、この実施例の構成は、図1〜図3に示す第1実施例の構成と同一の構成であるので、図7〜図9においては、図1〜図3の構成部分と同一の各部には同一の符号を付してその説明を省略する。但し、交換装置41Aは、中継回線3Aを経てパケット網4へ接続され、また、交換装置51Aは、中継回線5Aを経てパケット網4へ接続されている。
【0073】
次に、図7乃至図9を参照して、この実施例の動作について説明する。
この実施例においても、中央制御部420,520から回線制御部413,513に対して第1実施例と同様の定期的な測定指示の時刻毎に、第1実施例と同様にして得られる送信時刻と到達時刻とに基づいてデータ送信所要時間を測定時刻対応に統計情報部450,550に蓄積させる動作が行われる。
また、このような蓄積動作が、交換装置41おいて、交換装置41に収容される各多重化通信路について繰り返されている状態において、電話機060−1からの発呼の状態監視を行っている加入者回線部040−1〜040−nのうちの加入者回線部040−1による電話機060−1の発呼の検出、そのダイヤル番号の中央制御部420への通知、中央制御部420によるダイヤル番号に基づいて接続要求時刻に、既に、形成されている上述の多重化通信路を収容し、他の通信に供されている中継回線部410−1を選択するスイッチ部030のスイッチング動作に生じさせて中継回線部410−1を選択する動作も、第1実施例と同じである。
スイッチ部030のスイッチング動作により、加入者回線部040−1と中継回線部410−1との間を接続する通話路が設定される。
【0074】
このようにして選択された中継回線部、例えば、中継回線部410−1において、接続要求時刻に、既に、形成されている、又は形成される上述の多重化通信路のトラフィックの予測された変動態様に応じた音声符号化方式により、音声の符号化を行う。その動作を以下に説明する。
【0075】
上述の電話機060−1,160−1からの発呼(接続要求)に応答した中央制御部420によって、データ送信所要時間の測定が開始される。
すなわち、電話機060−1,160−1から発呼(接続要求)を受け取ったとき、中央制御部420,520は、トラフィック測定部414,514に対して、データ送信所要時間の測定指示を送る。トラフィック測定部414,514におけるデータ送信所要時間の測定は、第1実施例と同様にして行われる。
回線制御部413,513は、データ送信所要時間をトラフィック測定部414,514から受け取り、中央制御部420,520に通知する。
【0076】
この発呼(接続要求)時刻のデータ送信所要時間の測定と並行して、加入者回線部040−1から電話機060−1による発呼(接続要求)の検出が、中央制御部420に対して通知されると、中央制御部420は、統計情報部450に対して、平均データ送信所要時間の問い合わせを行う。統計情報部450は、その問い合わせを受けると、過去の類似する測定時刻までのデータ送信所要時間を検索して過去の類似する測定時刻までの平均データ送信所要時間を中央制御部420に送る。中央制御部420は、平均データ送信所要時間に対して、接続要求時刻のデータ送信所要時間がどの位の割合になっているかを算出する。
【0077】
その割合がしきい値に従って区分されるいずれの範囲に入っているかによって、接続要求時刻に、既に、形成されている、又は形成される上述の多重化通信路のトラフィックの変動態様の予測を中央制御部420で行う。上述したように、この実施例においては、区分され範囲の数は3段階としているから、上記割合が、平均データ送信所要時間に対し接続要求時刻のデータ送信所要時間が70%未満である段階である第1の段階に入っているならば、トラフィックの変動態様はトラフィックが減少する方向でその割合が相対的に小さいとの予測を行う。その識別情報が、中央制御部420から回線制御部413に通知されると、回線制御部413は、音声符号化/復号化選択部015にスイッチ部030から入力された音声を選択させる。なお、スイッチ部030から入力された音声データは、PCM(G.711)と呼ばれる音声符号化方式の下で符号化されている。
【0078】
また、上記割合が、接続要求時刻でのデータ送信所要時間が平均データ送信所要時間の70%以上130%未満である第2の段階に入っているならば、トラフィックの変動態様はトラフィックが増大する方向でその割合が相対的に大きいとの予測を行う。その識別情報が、中央制御部420から回線制御部413に通知されると、回線制御部413は、音声符号化/復号化選択部015に、スイッチ部030から入力された音声を、CS−ACELP(G.729)と呼ばれる第1の音声符号化方式の下で符号化し直す音声符号化/復号化部016−1を選択させる。
【0079】
また、上記割合が、接続要求時刻でのデータ送信所要時間が平均データ送信所要時間の130%以上である第3の段階に入っているならば、トラフィックの変動態様はトラフィックが増大する方向でその割合が相対的に一層大きいとの予測を行う。その識別情報が、中央制御部420から回線制御部413に通知されると、回線制御部413は、音声符号化/復号化選択部015に、スイッチ部030から入力された音声を、MP−MLQ/ACELP(G.723.1)と呼ばれる第2の音声符号化方式の下で符号化し直す音声符号化/復号化部016−2を選択させる。
【0080】
このように、接続要求時刻に、既に、形成されている、又は形成される上述の多重化通信路のトラフィックの変動態様が予測されると、その予測されたトラフィックの変動態様を示す識別情報が、中央制御部420から中継回線部410−1の回線制御部413を経て、音声符号化/復号化選択部015に対して通知される。音声符号化/復号化選択部015は、通知された識別情報に対応する音声符号化/復号化部を選択する。
例えば、トラフィックの変動態様が上記第3の段階に入っているとすると、最も音声圧縮率の高い音声符号化/復号化部016−2が、音声符号化/復号化選択部015で選択される。
【0081】
上述したような発呼(接続要求)及び選択した音声符号化方式の識別情報の交換装置51への通知、その接続要求に基づくスイッチ部130への通話路の設定及び識別情報に基づく音声符号化/復号化部の選択の各動作は、第1実施例と同じである。
スイッチ部130のスイッチング動作により、中継回線部510−1と加入者回線部140−1との間を接続する通話路が設定される。
また、音声符号化/復号化選択部115は、回線制御部113から受けた識別情報対応の音声符号化/復号化部116−2を選択する。
【0082】
このようにして、電話機016−1と電話機116−1との間に通話路が設定され、その通話において中継回線3、パケット網4及び中継回線5を経て送受される音声データは、音声符号化/復号化部016−2、116−2で符号化され復号化されて通話に供される。
【0083】
このように、この実施例の構成によれば、接続要求時刻に、既に、接続要求の通信で使用しようとする送信側の交換装置の中継回線部から受信側の交換装置の中継回線部まで形成されている、又は形成される多重化通信路のトラフィックの変動態様の予測を接続要求時刻のデータ送信所要時間及び当該接続要求時刻までの全データ送信所要時間の平均データ送信所要時間に基づいて予測し、送信側においては予測された変動態様に応じた音声符号化方式を、また、受信側においては予測された変動態様に応じた音声復号化方式を選択するようにしているから、トラフィックの増大傾向にある場合には、単位ビット当たりの情報量を増加させ、単位時間当たりの送信データ量を少なくして回線の使用効率の向上を達成することができる。この効果は、トラフィックの変動態様の予測にデータ送信所要時間を用いているから、その予測をより正確に行うことができる。
【0084】
◇第4実施例
この実施例の構成が、第1実施例のそれと大きく異なるところは、接続要求時刻に、接続要求の通信で使用しようとする送信側の交換装置の中継回線部から受信側の交換装置の中継回線部まで形成されている、又は形成される多重化通信路のトラフィックの変動態様の予測に用いるデータ伝送所要時間の測定を受信側で行うようにした点である。その要点を図1〜図3を参照して以下に説明する。
第1実施例と同様に、送信側を交換装置1であるとした場合に、交換装置2が受信側となり、その交換装置2において、その中央制御部120から回線制御部113に対して第1実施例と同様のデータ伝送所要時間の測定指示を定期的な測定時刻毎に送出する。
回線制御部113から測定指示を受けたトラフィック測定部114は、測定時刻(送信時刻)を挿入したデータフォーマットをフォーマット組立・分解部112に送り、それを中継回線フレームフォーマットにして中継回線インターフェイス部110−1を経て中継回線5,パケット網4,中継回線3を経て交換装置1へ送信する。
【0085】
交換装置1では、受信した中継回線フレームフォーマットは、その中継回線インターフェイス部010−1、フレーム組立・分解部012を経てトラフィック測定部014で受信する。
トラフィック測定部014では、測定データの到達時刻(受信時刻)を記録し、かつ、送信時刻及び到達時刻を測定データとして予め決められたデータフォーマットに挿入してフレーム組立・分解部012に戻す。その測定データを中継回線フレームフォーマットに挿入して中継回線インターフェイス部010−1を経て中継回線3,パケット網4,中継回線5を経て交換装置2へ送信する。
【0086】
交換装置2に返信されて来た中継回線フレームフォーマットは、中継回線インターフェイス部110−1を経てフレーム組立・分解部112に送られ分解されて測定データがトラフィック測定部114で受信される。また、トラフィック測定部114は、交換装置2での測定データの返信時刻に測定する。
中央制御部120は、トラフィック測定部114から受け取った送信時刻、受信時刻及び返信時刻を統計情報部150に通知する。
【0087】
統計情報部150は、通知された送信時刻及び受信時刻に基づいてデータ送信所要時間を、通知されたデータ受信時刻及び返信時間に基づいてデータ受信所要時間を算出し、算出したデータ送信所要時間とデータ受信所要時刻との第1実施例と同様の比較から得られる測定時刻のデータ伝送所要時間で前回の同一の測定時刻のデータ伝送所要時間を更新し、一定時間の間蓄積する。
【0088】
このような蓄積動作が、交換装置2において、交換装置2に収容される各多重化通信路について繰り返されている途中において、交換装置1に収容されている電話機060−1から交換装置2に収容されている電話機160−1に対して通信が開始されたもとする。
この発呼及びダイヤル番号が、第1実施例と同様のにして、加入者回線部040−1で検出され、中央制御部020に通知される。
【0089】
中央制御部020は、受け取ったダイヤル番号に基づいて、接続要求時刻に、接続要求の通信で使用しようとする送信側の交換装置の中継回線部から受信側の交換装置の中継回線部まで形成されている、又は形成される多重化通信路を収容する中継回線部010−1を選択するスイッチングをスイッチ部030に生じさせて当該中継回線部の選択を行う。
【0090】
このようにして選択された中継回線部、例えば、中継回線部010−1において、接続要求時刻に、接続要求の通信で使用しようとする送信側の交換装置の中継回線部から受信側の交換装置の中継回線部までの全区間に形成されている、又は形成される上述の多重化通信路の予測されたトラフィックの変動態様に応じた音声符号化方式により、音声の符号化を行う。その動作は、第1実施例と同様なので、その説明は繰り返さない。但し、次の点は、第1実施例と異なる。
すなわち、第1実施例では、問い合わせを交換装置1の統計情報部050に対して行うのに対して、この実施例では交換装置2の統計情報部150に対して行う点である。
そして、中央制御部020が、問い合わせた過去の類似する測定時刻のデータ伝送所要時間と全測定時刻のデータ伝送所要時間の平均データ伝送所要時間との割合の算出結果、すなわち、予測されたトラフィックの変動態様に応じた音声符号化方式を選択することは、第1実施例と同じである。例えば、音声符号化/復号化部016−2が選択される。
【0091】
上述したような発呼に対応する接続要求及び選択した音声符号化方式の識別情報の交換装置2への通知、この通知に基づくスイッチ部130への接続情報対応の通話路設定、識別情報対応の音声符号化/復号化部の選択も、第1実施例と同様にして行われる。
【0092】
スイッチ部130は、接続要求対応の通話路、すなわち、中継回線部110−1と加入者回線部140−1との間を接続する通話路を設定する。
また、音声符号化/復号化選択部115は、識別情報対応の、例えば、音声符号化/復号化部116−2を選択する。
このようにして、電話機060−1と電話機160−1との間に通話路が設定され、その通話において中継回線3、パケット網4及び中継回線5を経て送受される音声データは、音声符号化/復号化部016−2、116−2で符号化され復号化されて通話に供される。
【0093】
このように、この実施例の構成によれば、接続要求時刻に、既に、接続要求の通信で使用しようとする送信側の交換装置の中継回線部から受信側の交換装置の中継回線部まで形成されている、又は形成される上述の多重化通信路の予測されたトラフィックの変動態様を過去の類似する測定時刻のデータ伝送所要時間及び当該過去の類似する測定時刻までに蓄積されている全データ伝送所要時間の平均データ伝送所要時間に基づいて予測し、送信側においては予測された変動態様に応じた音声符号化方式を、また、受信側においては予測された変動態様に応じた音声復号化方式を選択するようにしているから、トラフィックの増大傾向にある場合には、単位ビット当たりの情報量を増加させ、単位時間当たりの送信データ量を少なくして中継回線の使用効率の向上を達成することができる。この効果は、トラフィックの変動態様の予測にデータ伝送所要時間を用いているから、その予測を正確に行うことができる。
【0094】
◇第5実施例
この実施例の構成が、第2実施例のそれと大きく異なるところは、接続要求時刻に、既に、接続要求の通信で使用しようとする送信側の交換装置の中継回線部から受信側の交換装置の中継回線部まで形成されている、又は形成される上述の多重化通信路のトラフィックの変動態様の予測に用いるメモリ使用量の測定を受信側で行うようにした点である。その要点を図4〜図6を参照して以下に説明する。
第2実施例と同様に、送信側を交換装置21であるとした場合に、交換装置31が受信側となり、その交換装置31において、その中央制御部320から回線制御部313に対して第2実施例と同様のメモリ使用量の測定指示を定期的な測定時刻毎に送出する。
【0095】
回線制御部313から測定指示を受けたトラフィック測定部314は、当該測定時刻のメモリ使用量をフォーマット組立・分解部312に測定させ、トラフィック測定部314に送らせる。
トラフィック測定部314は、上記メモリ使用量を回線制御部313に送り、そのメモリ使用量は、回線制御部313から中央制御部320に通知する。
中央制御部320は、通知されたメモリ使用量を上記測定指示の測定時刻対応に統計情報部350に蓄積させる。
【0096】
このような蓄積動作が、交換装置31において、交換装置31に収容される各多重化通信路について繰り返されている途中において、交換装置21に収容されている電話機060−1から交換装置31に収容されている電話機160−1に対して接続要求が出されたもとする。
この発呼及びダイヤル番号が、第2実施例と同様にして、加入者回線部040−1で検出され、中央制御部220に通知される。
【0097】
中央制御部220は、受け取ったダイヤル番号に基づいて、接続要求時刻に、既に、形成されている、又は形成される上述の多重化通信路を収容している中継回線部210−1を選択するスイッチングをスイッチ部030に生じさせて当該中継回線部210−1の選択を行う。
【0098】
このようにして選択された中継回線部、例えば、中継回線部010−1において、接続要求時刻に、既に、形成されている、又は形成される上述の多重化通信路のトラフィックの変動態様に応じた音声符号化方式により、音声の符号化を行う。その動作は、第2実施例と同様なので、その説明は繰り返さない。但し、次の点は、第2実施例と異なる。
すなわち、第2実施例では、問い合わせを交換装置1の統計情報部050に対して行うのに対して、この実施例では交換装置31の統計情報部350に対して行う点である。
そして、中央制御部220が、問い合わせた過去の類似する測定時刻でのメモリ使用量と過去の類似する測定時刻までの全メモリ使用量の平均メモリ使用量との割合の算出結果、すなわち、予測されたトラフィックの変動態様に応じた音声符号化方式を選択することは、第2実施例と同じである。例えば、音声符号化/復号化部016−2を選択する。
【0099】
上述したような発呼(接続要求)及びに選択した音声符号化方式の識別情報の交換装置31への通知、この通知に基づくスイッチ部130への接続情報対応の通話路設定、識別情報対応の音声符号化/復号化選択部115の選択も、第2実施例と同様にして行われる。
【0100】
スイッチ部130は、接続要求対応の通話路、すなわち、中継回線部310−1と加入者回線部140−1との間を接続する通話路を設定する。
また、音声符号化/復号化選択部115は、識別情報対応の音声符号化/復号化部116−2を選択する。かくして、電話機016−1と電話機116−1との間に通話路が設定される。上述のようにして形成された通話路を介して行われる通話において中継回線3、パケット網4及び中継回線5を経て送受される音声データの符号化、復号化は、上述のようにして選択された音声符号化/復号化部016−2、116−2で符号化され復号化されて通話に供される。
【0101】
このように、この実施例の構成によれば、接続要求時刻に、既に、接続要求の通信で使用しようとする送信側の交換装置の中継回線部から受信側の交換装置の中継回線部まで形成されている、又は形成される多重化通信路のトラフィックの変動態様を過去の類似する測定時刻のメモリ使用量及び当該過去の類似する測定時刻までに蓄積されている全メモリ使用量の平均メモリ使用量に基づいて予測し、送信側においては予測された変動態様に応じた音声符号化方式を、また、受信側においては予測された変動態様に応じた音声復号化方式を選択するようにしているから、トラフィックの増大傾向にある場合には、単位ビット当たりの情報量を増加させ、単位時間当たりの送信データ量を少なくして中継回線の使用効率の向上を達成することができる。この効果は、メモリ使用量の測定を交換装置31でのみ行うことができ、トラフィックの変動態様の決定を第4実施例よりも高速にすることができる。
【0102】
◇第6実施例
この実施例の構成が、第3実施例のそれと大きく異なるところは、接続要求時刻に、既に、接続要求の通信で使用しようとする送信側の交換装置の中継回線部から受信側の交換装置の中継回線部まで形成されている、又は形成される多重化通信路のトラフィックの変動態様の予測に用いるデータ送信所要時間の測定を受信側で行うようにした点である。その要点を図7〜図9を参照して以下に説明する。
第3実施例と同様に、送信側を交換装置41であるとした場合に、交換装置51が受信側となり、その交換装置51において、その中央制御部520から回線制御部513に対して第3実施例と同様のデータ送信所要時間の測定指示を定期的な測定時刻毎に、また、接続要求時刻に送出する。
回線制御部513から測定指示を受けたトラフィック測定部514は、測定時刻を挿入したデータフォーマットをフォーマット組立・分解部512に送り、それをフォーマット組立・分解部512で中継回線フレームフォーマットにして中継回線インターフェイス部111を経て中継回線5,パケット網4,中継回線3を経て交換装置41へ送信する。
【0103】
交換装置41では、受信した中継回線フレームフォーマットは、その中継回線インターフェイス部011、フレーム組立・分解部412を経てトラフィック測定部414で受信する。
トラフィック測定部414では、測定データの到達時刻(受信時刻)を記録し、かつ、送信時刻及び受信時刻を測定データとして予め決められたデータフォーマットに挿入してフレーム組立・分解部412に戻す。その測定データを中継回線フレームフォーマットに挿入して中継回線インターフェイス部011を経て中継回線3,パケット網4,中継回線5を経て交換装置52へ送信する。
【0104】
交換装置51に返信されて来た中継回線フレームフォーマットは、中継回線インターフェイス部111を経てフレーム組立・分解部512に送られ分解されて得られた測定データがトラフィック測定部514で受信される。また、トラフィック測定部514は、交換装置51での測定データの返信時刻に測定する。
中央制御部520は、トラフィック測定部514から受け取った送信時刻、受信時刻及び返信時刻を統計情報部550に通知する。
【0105】
統計情報部550は、通知された送信時刻及び受信時刻に基づいてデータ送信所要時間を算出し、算出したデータ送信所要時間で前回の同一の測定時刻のデータ送信所要時間を更新し、一定時間の間蓄積する。
【0106】
このような蓄積動作が、交換装置52において、交換装置52に収容される各多重化通信路について繰り返されている途中において、交換装置51に収容されている電話機060−1から交換装置52に収容されている電話機160−1に対して接続要求が出されたもとする。
この発呼及びダイヤル番号が、第3実施例と同様にして、加入者回線部040−1で検出され、中央制御部420に通知される。
【0107】
中央制御部420は、受け取ったダイヤル番号に基づいて、接続要求時刻に、既に、形成されている、又は形成される上述の多重化通信路が収容され、他の通信に供されている中継回線部410−1を選択するスイッチング動作をスイッチ部030に生じさせて当該中継回線部410−1の選択を行う。
スイッチ部030のスイッチング動作により、加入者回線部040−1と中継回線部410−1との間を接続する通話路が設定される。
【0108】
このようにして選択された中継回線部410−1において、接続要求時刻に、既に、形成されている、又は形成される上述の多重化通信路の予測されたトラフィックの変動態様に応じた音声符号化方式により、音声の符号化を行う。その動作は、第3実施例と同様なので、その説明は繰り返さない。但し、次の点は、第3実施例と異なる。
すなわち、第3実施例では、問い合わせを交換装置21の統計情報部250に対して行うのに対して、この実施例では交換装置51の統計情報部550に対して行う点である。
そして、中央制御部420が、接続要求時刻のデータ送信所要時間と過去の類似する測定時刻までのデータ送信所要時間の平均データ送信所要時間との割合の算出結果、すなわち、予測されたトラフィックの変動態様に応じた音声符号化方式を選択することは、第3実施例と同じである。例えば、音声符号化/復号化部016−2を選択する。
【0109】
上述したような発呼に対応する接続要求及び選択した音声符号化方式の識別情報の交換装置52への通知、この通知に基づくスイッチ部130への接続情報対応の通話路設定、識別情報対応の音声符号化/復号化選択部115の選択も、第3実施例と同様にして行われる。
スイッチ部130のスイッチング動作により、中継回線部510−1と加入者回線部140−1との間を接続する通話路が設定される。
また、音声符号化/復号化選択部115は、回線制御部113から受けた識別情報対応の音声符号化/復号化部116−2を選択する。
【0110】
このようにして、電話機060−1と電話機160−1との間に通話路が設定される。
上述のようにして形成された通話路を介して行われる通話において中継回線3、パケット網4及び中継回線5を経て送受される音声データの符号化、復号化は、上述のようにして選択された音声符号化/復号化部016−2、116−2で行われる。
【0111】
このように、この実施例の構成によれば、接続要求時刻に、既に、接続要求の通信で使用しようとする送信側の交換装置の中継回線部から受信側の交換装置の中継回線部まで形成される、又は形成される多重化通信路のトラフィックの変動態様を接続要求時刻のデータ送信所要時間及び過去の類似する測定時刻までに蓄積されている全データ送信所要時間の平均データ送信所要時間に基づいて予測し、送信側においては予測された変動態様に応じた音声符号化方式を、また、受信側においては予測された変動態様に応じた音声復号化方式を選択するようにしているから、トラフィックの増大傾向にある場合には、単位ビット当たりの情報量を増加させ、単位時間当たりの送信データ量を少なくして中継回線の使用効率の向上を達成することができる。この効果は、トラフィックの変動態様の予測にデータ送信所要時間を用いているから、その予測をより正確に行うことができる。
【0112】
◇第7実施例
この実施例の構成が、第1実施例乃至第3実施例のそれと大きく異なるところは、接続要求時刻に、既に、接続要求の通信で使用しようとする送信側の交換装置の中継回線部から受信側の交換装置の中継回線部まで形成されている、又は形成される多重化通信路のトラフィックの変動態様の予測に用い得る使用状況量としての、送信側で測定したデータ伝送所要時間、メモリ使用量及びデータ送信所要時間のうちの任意の組み合わせ及びその過去の値に基づいて行うようにした点である。その要点を図1の構成を例にして以下に説明する。
すなわち、第1実施例乃至第3実施例と同様に、上記任意の組み合わせの各使用状況量の定期的な測定及び接続要求時刻の測定を行い、その各使用状況量を測定時刻毎に統計情報部050に蓄積し、接続要求時刻に中央制御部020から問い合わせがあったとき、データ伝送所要時間及びメモリ使用量については、過去の類似する測定時刻までの全使用状況量の平均使用状況量を各使用状況量毎に算出して上記過去の類似する測定時刻の各使用状況量と対応する各平均使用状況量とを中央制御部020に通知し、データ送信所要時間については、過去の類似する測定時刻までの全使用状況量の平均使用状況量を算出してその平均使用状況量を中央制御部020に通知する。
【0113】
中央制御部020は、データ伝送所要時間及びメモリ使用量については、上記過去の類似する測定時刻の各使用状況量と対応する各平均使用状況量との割合が、どの位であるかを算出し、データ送信所要時間については、接続要求時刻の使用状況量と上記過去の類似する測定時刻までの全使用状況量の平均使用状況量との割合が、どの位であるかを算出する。その割合が、上記使用状況量毎の3つの区分のうちのいずれに入るかを判定し、この判定のうちのトラフィックの変動としてはより悪い方向にあることを示す変動態様を音声符号化方式の選択に用いるべくその識別情報を中継回線部010−1に通知する。
中継回線部010−1は、音声符号化/復号化選択部015にその識別情報を送るる。音声符号化/復号化選択部015は、識別情報対応の音声符号化/復号化部を選択する。例えば、音声符号化/復号化部0160−2を選択する。
【0114】
この選択動作と並行して、上記接続要求を受けた中央制御部020は、上記接続要求のダイヤル番号で電話機160−1が収容されている加入者回線部040を中継回線部010−1に接続させるスイッチングをスイッチ部030に生じさせて当該中継回線部010−1の選択を行う。この中継回線部010−1には、上記接続要求時刻に、既に、形成されている、又は形成される上述のパケット網内の多重化通信路が収容され、他の通信に供されており、また、このパケット網内の多重化通信路の中に、電話機060−1と電話機160−1との間に形成されるべき通話路を形成し得る空きのデータチャネルがあるとしていることは、他の実施例と同じである。
スイッチ部030のスイッチング動作により、加入者回線部040−1と中継回線部010−1との間を接続する通話路が設定される。
【0115】
また、中央制御部020は、接続要求の通知を受けたとき、交換装置1から中継回線3、パケット網4,中継回線5を経て形成される公知の制御チャネルを経て交換装置2へ上記発呼の接続要求及び上記符号化方式の識別情報を通知する。この通知を受けた交換装置2の回線制御部113は、接続要求時刻に、既に、形成されている、又は形成される上述のパケット網内の多重化通信路を収容する中継回線部110−1を選択するスイッチングをスイッチ部130に生じさせて当該中継回線部110−1の選択を行う。
スイッチ部130のスイッチング動作により、中継回線部110−1と加入者回線部140−1との間を接続する通話路が設定される。
【0116】
このようにして、電話機016−1と電話機116−1との間に通話路が設定される。また、回線制御部113は、識別情報を音声符号化/復号化選択部115へ送って音声符号化/復号化選択部115に音声符号化/復号化部116−2を選択させる。上述のようにして形成された通話路を介して行われる通話において中継回線3、パケット網4及び中継回線5を経て送受される音声データの符号化、復号化は、上述のようにして選択された音声符号化/復号化部016−2、116−2で行われる。
【0117】
このように、この実施例の構成によれば、接続要求時刻に、既に、接続要求の通信で使用しようとする送信側の交換装置の中継回線部から受信側の交換装置の中継回線部まで形成される、又は形成されるパケット網内の多重化通信路のトラフィックの変動態様を測定されたデータ伝送所要時間、メモリ使用量及びデータ送信所要時間のうちの任意の組み合わせ及びその過去の値に基づいて予測し、送信側においては予測された変動態様に応じた音声符号化方式を、また、受信側においては予測された変動態様に応じた音声復号化方式を選択するようにしているから、トラフィックの増大傾向にある場合には、単位ビット当たりの情報量を増加させ、単位時間当たりの送信データ量を少なくして中継回線の使用効率の向上を達成することができる。
また、その組み合わせにより、多重化通信路のトラフィックの変動により適応した符号化、復号化の選択が可能になる。
【0118】
◇第8実施例
この実施例の構成が、第4実施例乃至第6実施例のそれと大きく異なるところは、接続要求時刻に、既に、接続要求の通信で使用しようとする送信側の交換装置の中継回線部から受信側の交換装置の中継回線部まで形成されている、又は形成されるパケット網内の多重化通信路のトラフィックの変動態様の予測に用いる使用状況量としての、受信側で測定したデータ伝送所要時間、メモリ使用量及びデータ送信所要時間のうちの任意の組み合わせ及びその過去の値に基づいて行うようにした点である。その要点を図1の構成を例にして以下に説明する。
すなわち、第4実施例乃至第6実施例と同様に、上記任意の組み合わせの各使用状況量の定期的な測定及び接続要求時刻の測定を行い、その各使用状況量を測定時刻毎に統計情報部150に蓄積し、発呼があってその接続要求時刻に中央制御部120から問い合わせがあったとき、統計情報部150は、データ伝送所要時間及びメモリ使用量については、過去の類似する測定時刻までの全使用状況量の平均使用状況量を各使用状況量毎に算出して上記過去の類似する測定時刻の各使用状況量とこれに対応する各平均使用状況量とを中央制御部020に通知し、データ送信所要時間については、過去の類似する測定時刻までの全使用状況量の平均使用状況量を算出して中央制御部020にする。
【0119】
中央制御部020は、データ伝送所要時間及びメモリ使用量については、上記過去の類似する測定時刻の各使用状況量と対応する各平均使用状況量との割合が、どの位であるかを算出し、データ送信所要時間については、接続要求時刻の使用状況量と上記過去の類似する測定時刻までの全使用状況量の平均使用状況量との割合が、どの位であるかを算出する。その割合が、上記使用状況量毎の3つの区分のうちのいずれに入るかを判定し、この判定のうちのトラフィックの変動としてはより悪い方向にあることを示す変動態様を音声符号化方式の選択に用いるべくその識別情報を中継回線部010−1に通知する。
中継回線部010−1は、音声符号化/復号化選択部015にその識別情報を送るる。音声符号化/復号化選択部015は、識別情報対応の音声符号化/復号化部を選択する。例えば、音声符号化/復号化部060−2を選択する。
【0120】
この選択動作と並行して、上記接続要求を受けた中央制御部020は、上記接続要求のダイヤル番号で電話機060−1が収容されている加入者回線部040−1を中継回線部010−1に接続させるスイッチングをスイッチ部030に生じさせて当該中継回線部010−1の選択を行う。この中継回線部010−1には、上記接続要求時刻に既に形成されている、又は形成される上述のパケット網内の多重化通信路が収容されており、また、このパケット網内の多重化通信路の中に、電話機060−1と電話機160−1との間に形成されるべき通話路を形成し得る空きのデータチャネルがあるとしていることは他の実施例と同じである。スイッチ部030のスイッチング動作により、加入者回線部040−1と中継回線部010−1との間を接続する通話路が設定される。
【0121】
また、中央制御部020は接続要求の通知を受けたとき、交換装置1から中継回線3、パケット網4,中継回線5を経て形成される公知の制御チャネルを経て交換装置2へ上記発呼の接続要求及び上記符号化方式の識別情報を通知する。
この通知を受けた交換装置2の回線制御部113は、中継回線部110−1を選択するスイッチングをスイッチ部130に生じさせて当該中継回線部110−1の選択を行う。
スイッチ部130のスイッチング動作により、中継回線部110−1と加入者回線部140−1との間を接続する通話路が設定される。
【0122】
このようにして、電話機016−1と電話機116−1との間に通話路が設定される。そして、回線制御部113は、識別情報を音声符号化/復号化選択部115へ送って音声符号化/復号化選択部115に音声符号化/復号化部116−2を選択させる。上述のようにして形成された通話路を介して行われる通話において中継回線3、パケット網4及び中継回線5を経て送受される音声データの符号化、復号化は、上述のようにして選択された音声符号化/復号化部016−2、116−2で行われる。
【0123】
このように、この実施例の構成によれば、接続要求時に、接続要求の通信で使用しようとする送信側の交換装置の中継回線部から受信側の交換装置の中継回線部まで形成されている、又は形成されるパケット網内の多重化通信路のトラフィックの変動態様を接続要求時刻に受信側で測定したデータ伝送所要時間、メモリ使用量及びデータ送信所要時間のうちの任意の組み合わせ及びその過去の値に基づいて予測し、送信側においては予測された変動態様に応じた音声符号化方式を、また、受信側においては予測された変動態様に応じた音声復号化子方式を選択するようにしているから、トラフィックの増大傾向にある場合には、単位ビット当たりの情報量を増加させ、単位時間当たりの送信データ量を少なくして中継回線の使用効率の向上を達成することができる。
また、その組み合わせにより、トラフィックの正確さ、トラフィックの変動態様の決定の高速化を享受することができる。
【0124】
以上、この発明の実施例を、図面を参照して詳述してきたが、この発明の具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもそれらはこの発明に含まれる。
例えば、使用状況量の測定のうちの定期的な測定時刻は、不定期的に行われるようにしてもよい。その場合に、測定の時刻間隔に粗密を与えるようにしてもよい。
パケット網は、ATM交換網のほか、ルータで構成される交換網、IPスイッチで構成される交換網等の蓄積交換網で代替されてもよい。
また、パケット網に形成される多重化通信路は、他の蓄積交換網の多重化通信路で代替され得るほか、トラフィックが変動する他の多重化通信路、例えば、マルチドロップ形式の多重化通信路とされてもよい。
上述のトラフィックの変動態様がどの区分に入るかを決める上記割合を固定とする場合について説明したが、上記割合を可変にする、例えば、過去の使用状況量の履歴に従って可変にするようにしてもよい。
これらいずれの場合であっても、定期的な測定は、送信側で行うほか、受信側で行ってもよい。符号化及び復号化を受けるデータとしては、画像データとしてもよい。
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の構成によれば、多重化通信網の多重化通信路に接続される1以上の送信装置及び該1以上の数と同数又は異なる数の着信装置のうちの任意の送信装置から任意の受信装置へ、上記任意の送信装置及び上記任意の受信装置を含むいずれかの送信装置といずれかの受信装置によっても使用可能な上記複数と同数又は異なる数のデータチャネルを収容し得る多重化通信路を経てデータ通信を開始しようとする場合に、上記多重化通信路内の幾つかのデータチャネルが、既に、いずれかの送信装置といずれかの受信装置によって使用されている状態にあるとき、上記多重化通信路のトラフィックの測定尺度と成り得る使用状況量を測定蓄積し、測定された使用状況量及び蓄積されている使用状況量の平均使用状況量に基づいて上記多重化通信路のトラフィックの変動態様を予測し、予測した変動態様で決まる符号化方式で上記データ通信の伝送対象のデータを符号化して上記任意の受信装置へ伝送すると共に、上記予測した変動態様を上記任意の受信装置へ伝送する一方、上記任意の受信装置においては、上記任意の送信装置から受信した変動態様で決まる復号化方式で受信した上記符号化されたデータを復号化するようにしているから、トラフィックの増大傾向にある場合には、単位ビット当たりの情報量を増加させ、単位時間当たりの送信データ量を少なくして多重化通信路の使用効率の向上を達成することができる。
【0126】
また、トラフィックの変動態様の予測にデータ伝送所要時間及びデータ送信所要時間を用いると、その予測を正確に行うことができ、また、メモリ使用量を用いると、トラフィック変動態様の決定を高速にすることができる。
また、データ伝送所要時間、メモリ使用量及びデータ送信所要時間の組み合わせにより、トラフィックの変動により適応した符号化及び復号化の選択が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この実施例の符号化/復号化選択装置の電気的構成を示す図である。
【図2】同符号化/復号化選択装置を構成する対向交換装置のうちの一方の交換装置内の中継回線部の電気的構成の詳細図である。
【図3】同符号化/復号化選択装置を構成するた対向交換装置のうちの他方の交換装置内の中継回線部の電気的構成の詳細図である。
【図4】この発明の第2の実施例である符号化/復号化選択装置の電気的構成を示す図である。
【図5】同符号化/復号化選択装置を構成する対抗交換装置のうちの、一方の交換装置内の中継回線部の電気的構成の詳細図である。
【図6】同符号化/復号化選択装置を構成する対抗交換装置のうちの、他方の交換装置内の中継回線部の電気的構成の詳細図である。
【図7】この発明の第3の実施例である符号化/復号化選択装置の電気的構成を示す図である。
【図8】同符号化/復号化選択装置を構成する対抗交換装置のうちの、一方の交換装置内の中継回線部の電気的構成の詳細図である。
【図9】同符号化/復号化選択装置を構成する対抗交換装置のうちの、他方の交換装置内の中継回線部の電気的構成の詳細図である。
【符号の説明】
1,2等 交換装置
010−1,110−n等 中継回線部(測定手段、送信手段及び受信手段)
011,111等 中継回線インターフェイス部(測定手段の一部、送信手段及び受信手段)
012,112等 フレーム組立・分解部(測定手段の一部)
013,113等 回線制御部(測定手段の一部)
014,114等 トラフィック測定部(測定手段の残部)
015,115等 音声符号化/復号化選択部(符号化選択手段、復号化選択手段)
020,120等 中央制御部(変動態様予測手段)
3,5等 中継回線(変動態様伝送用チャネル)

Claims (11)

  1. 多重化通信網の多重化通信路に接続される、共に複数の送信装置及び受信装置のうちの、共に任意の個数の送信装置と受信装置との間のデータ通信において、該データ通信で必要となる数のデータチャネルの使用及び終了が無作為に継続している状態において、
    前記多重化通信路内の未使用のデータチャネルを前記任意の個数の送信装置と受信装置以外の任意の送信装置から任意の受信装置への他のデータ通信に使用して該他のデータ通信を開始するに際して、
    前記任意の送信装置において前記他のデータ通信で伝送したい被符号化データを符号化する符号化方式を複数種類の符号化方式の中から選択し、選択された符号化方式で符号化された前記被符号化データを受信した前記任意の受信装置で符号化された前記被符号化データを復号化する際の復号化方式を複数種類の復号化方式の中から選択する符号化/復号化選択方法であって、
    前記多重化通信路のトラフィックの測定尺度と成り得る多重化通信路の使用状況量を測定し、
    測定した使用状況量を一定期間蓄積し、
    前記任意の送信装置における前記他のデータ通信の接続要求時刻における前記多重化通信路のトラフィックの変動態様を予測する際、過去の測定で得られ蓄積されている蓄積使用状況量の中から、過去における当該接続要求時刻と同時刻での特定使用状況量(過去における前記同時刻での使用状況量の蓄積がなければ、過去における当該接続要求時刻に近い時刻での使用状況量)を抽出し、抽出された過去における同時刻又は近い時刻での特定使用状況量の、平均使用状況量(蓄積使用状況量の平均値)に対する割合を算出し、算出された割合が、しきい値に基づいて、決められた複数の区分のうち、いずれの区分に入っているかによって、当該トラフィックの変動態様を予測し、
    予測された前記変動態様に基づいて前記被符号化データの符号化に用いる前記変動態様対応の符号化方式を前記複数種類の符号化方式の中から選択し、
    予測された前記変動態様を変動態様伝送用チャネルを経て前記任意の受信装置へ伝送し、
    前記任意の送信装置で符号化され前記多重化通信路内の未使用のデータチャネルを経て前記任意の受信装置で受信された前記被符号化データの復号化方式として、前記変動態様伝送用チャネルを経て受信された前記変動態様で決まる復号化方式を前記複数種類の復号化方式の中から選択することを特徴とする符号化/復号化選択方法。
  2. 前記トラフィックの変動態様の予測に用いる使用状況量とは、データ伝送所要時間及び/又はメモリ使用量であることを特徴とする請求項1記載の符号化/復号化選択方法。
  3. 前記トラフィックの変動態様の予測に用いる前記使用状況量が、データ伝送所要時間、メモリ使用量及びデータ送信所要時間のうちのいずれかの組み合わせであり、これらの組み合わせの各要素を用いて行った予測区分のうち、トラフィックの変動としては最も悪い方向の予測区分を用いて、前記トラフィックの変動態様の予測が行われることを特徴とする請求項1記載の符号化/復号化選択方法。
  4. 多重化通信網の多重化通信路に接続される、共に複数の送信装置及び受信装置のうちの、共に任意の個数の送信装置と受信装置との間のデータ通信において、該データ通信で必要となる数のデータチャネルの使用及び終了が無作為に継続している状態において、
    前記多重化通信路内の未使用のデータチャネルを前記任意の個数の送信装置と受信装置以外の任意の送信装置から任意の受信装置への他のデータ通信に使用して該他のデータ通信を開始するに際して、
    前記任意の送信装置において前記他のデータ通信で伝送したい被符号化データを符号化する符号化方式を複数種類の符号化方式の中から選択し、選択された符号化方式で符号化された前記被符号化データを受信した前記任意の受信装置で符号化された前記被符号化データを復号化する際の復号化方式を複数種類の復号化方式の中から選択する符号化/復号化選択装置であって、
    前記多重化通信路のトラフィックの測定尺度と成り得る多重化通信路の使用状況量を測定する測定手段と、
    該測定手段で測定された使用状況量を一定期間蓄積し、前記任意の送信装置における前記他のデータ通信の接続要求時刻における前記多重化通信路のトラフィックの変動態様を予測する際、過去の測定で得られ蓄積されている蓄積使用状況量の中から、過去における当該接続要求時刻と同時刻での特定使用状況量(過去における前記同時刻での使用状況量の蓄積がなければ、過去における当該接続要求時刻に近い時刻での使用状況量)を抽出し、抽出された過去における同時刻又は近い時刻での特定使用状況量の、平均使用状況量(蓄積使用状況量の平均値)に対する割合を算出し、算出された割合が、しきい値に基づいて、決められた複数の区分のうち、いずれの区分に入っているかによって、当該トラフィックの変動態様を予測する変動態様予測手段と、
    該変動態様予測手段で予測された前記変動態様に基づいて前記被符号化データの符号化に用いる前記変動態様対応の符号化方式を前記複数種類の符号化方式の中から選択する符号化選択手段と、
    前記予測手段で予測された前記変動態様を送信する送信手段と、
    該送信手段に接続され、予測された前記変動態様を前記任意の受信装置へ伝送する変動態様伝送用チャネルと、
    該変動態様伝送用チャネルを経て伝送された前記変動態様を受信する受信手段と、
    前記多重化通信路内の未使用のデータチャネルに接続され、前記任意の送信装置で符号化されて前記任意の受信装置で受信された前記被符号化データの復号化方式として、前記変動態様伝送用チャネルを経て受信された前記変動態様で決まる復号化方式を前記複数種類の復号化方式の中から選択する復号化選択手段とを設けたことを特徴とする符号化/復号化選択装置。
  5. 前記トラフィックの変動態様の予測に用いる使用状況量とは、データ伝送所要時間及び/又はメモリ使用量であることを特徴とする請求項4記載の符号化/復号化選択装置。
  6. 前記トラフィックの変動態様の予測に用いる前記使用状況量が、データ伝送所要時間、メモリ使用量及びデータ送信所要時間のうちのいずれかの組み合わせであり、これらの組み合わせの各要素を用いて行った予測区分のうち、トラフィックの変動としては最も悪い方向の予測区分を用いて、前記トラフィックの変動態様の予測が行われる構成になされていることを特徴とする請求項4記載の符号化/復号化選択装置。
  7. 前記測定手段における使用状況量の測定は、前記任意の送信装置又は前記任意の受信装置で行うことを特徴とする請求項4乃至6のうちのいずれか一に記載の符号化/復号化選択装置。
  8. 前記多重化通信路は、パケット網を構成する送信側の交換装置内の中継回線装置と受信側の交換装置内の中継回線装置との間に形成される多重化通信路であり、前記変動態様伝送用チャネルは、前記パケット網内に形成される制御チャネルであることを特徴とする請求項4記載の符号化/復号化選択装置。
  9. 多重化通信網の多重化通信路に接続される、共に複数の送信装置及び受信装置のうちの、共に任意の個数の送信装置と受信装置との間のデータ通信において、該データ通信で必要となる数のデータチャネルの使用及び終了が無作為に継続している状態において、
    前記多重化通信路内の未使用のデータチャネルを前記任意の個数の送信装置と受信装置以外の任意の送信装置から任意の受信装置への他のデータ通信に使用して該他のデータ通信を開始するに際して、
    前記任意の送信装置において前記他のデータ通信で伝送したい被符号化データを符号化する符号化方式を複数種類の符号化方式の中から選択し、選択された符号化方式で符号化された前記被符号化データを受信した前記任意の受信装置で符号化された前記被符号化データを復号化する際の復号化方式を複数種類の復号化方式の中から選択する符号化選択装置であって、
    前記多重化通信路のトラフィックの測定尺度と成り得る多重化通信路の使用状況量を測定する測定手段と、
    該測定手段で測定された使用状況量を一定期間蓄積し、前記任意の送信装置における前記他のデータ通信の接続要求時刻における前記多重化通信路のトラフィックの変動態様を予測する際、過去の測定で得られ蓄積されている蓄積使用状況量の中から、過去における当該接続要求時刻と同時刻での特定使用状況量(過去における前記同時刻での使用状況量の蓄積がなければ、過去における当該接続要求時刻に近い時刻での使用状況量)を抽出し、抽出された過去における同時刻又は近い時刻での特定使用状況量の、平均使用状況量(蓄積使用状況量の平均値)に対する割合を算出し、算出された割合が、しきい値に基づいて、決められた複数の区分のうち、いずれの区分に入っているかによって、当該トラフィックの変動態様を予測する変動態様予測手段と、
    該変動態様予測手段で予測された前記変動態様に基づいて前記被符号化データの符号化に用いる前記変動態様対応の符号化方式を前記複数種類の符号化方式の中から選択する符号化選択手段とを設けたことを特徴とする符号化選択装置。
  10. コンピュータに、請求項1乃至3のうちのいずれか一に記載の符号化/復号化方法を実現させるための制御プログラムを記載した記録媒体。
  11. コンピュータに、請求項4乃至8のうちのいずれか一に記載の符号化/復号化装置の機能を実現させるための制御プログラムを記載した記録媒体。
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