JP3921306B2 - レーザ治療装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、治療部位に治療レーザ光を照射して治療を行うレーザ治療装置に関する。
【0002】
【従来技術】
体に生えている毛にレーザ光を照射することにより毛根を焼灼して脱毛を行うレーザ脱毛治療が知られている。毛根周辺には周囲の皮膚表皮よりもメラニンが多く含まれているので、メラニンに吸収されやすい波長のレーザ光を照射することにより、その熱エネルギが毛根部に放熱されて毛根が焼灼される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来、このレーザ脱毛では脱毛をしようとする皮膚に直径10〜20mmのレーザ光を照射して、その領域の中にある毛根を全て治療(焼灼)するようにしていたので、皮膚表皮に含まれるメラニンによるレーザ光吸収により、皮膚表皮に少なからずダメージを与えることになる。皮膚表皮へのダメージを少なくするため、レーザ光の出力やその照射時間を抑えすぎると、脱毛ができないところが生じたり、治療時間が長くなったりして治療の効率が悪い。
【0004】
本発明は、上記従来装置の欠点に鑑み、治療目的とする部位以外の組織に与えるダメージを軽減し、また、効率よく治療を行うことができる装置を提供することを技術課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0006】
(1) レーザ光源からの治療レーザ光を皮膚に照射して脱毛治療を行うレーザ治療装置において、メラニンに反応して温度変化を生じさせる検出レーザ光を治療レーザ光の照射範囲に照射する検出レーザ光照射手段と、前記検出レーザ光の照射により変化する皮膚の温度分布を得る撮像カメラを持ち、前記検出レーザ光が照射されてから毛根の熱緩和時間内に前記撮像カメラで撮像された画像を処理して毛穴位置を検出する検出手段と、治療レーザ光を治療部位上でスキャンさせるスキャナー部を持ち、前記検出手段により検出された毛穴位置に治療レーザ光を選択的に照射する選択的照射手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の形態を図面に基づいて説明する。図1は実施の形態である脱毛用のレーザ治療装置の外観略図を示す。
【0015】
1はレーザ装置本体であり、装置本体1内部には後述する制御部、脱毛用レーザ光源等が収納されている。7はレーザ照射条件等の各種設定条件を入力するためのコントロールパネル、8はレーザ光を照射するためのトリガ信号を発信するためのフットスイッチであり、レーザ装置本体1の正面には電源を入れるためのキースイッチ9が設けられている。
【0016】
2は装置本体1から出射されるレーザ光を導光するための光ファイバー、3はレーザ照射口を持つハンドピースユニットである。ハンドピースユニット3には赤外線に感度を持つCCDカメラのサーモグラフ6が備えられており、サーモグラフ6は、脱毛治療を行う前に皮膚表面の温度差によって毛穴(毛根)の位置や毛の太さを認識するために使用される(この認識方法は詳しく後述する)。
【0017】
図2はハンドピースユニット3の構成を示す図である。ハンドピースユニット3はスキャナー部11とハンドピースヘッド部12を備える。スキャナー部11内には、光ファイバ2内を通過してきた脱毛用レーザ光を照射部位上で直径1〜2mm程度の小スポットに成形するレンズ10(図3参照)、レーザ光を治療部位でXY方向にスキャンさせるための駆動ミラー13a、13b、それぞれの駆動モータ14a、14b、レーザ光の光路に挿脱されるレンズ15を備える。レンズ15は毛穴の位置を認識する時に光路に挿入され、皮膚表面上でレーザ光を拡散する。レンズ15の挿脱は駆動モータ16にて行われる。また、ハンドピースヘッド部12は、皮膚に当接させハンドピースユニットを安定させるためのヘッド先端部17を備える。
【0018】
図3は制御系と光学系の構成を示した要部ブロック図である。20は装置全体の制御を行う制御部である。21は脱毛用のレーザ光源であり、本形態ではアレキサンドライトレーザ(波長755nm)を使用している。レーザ光源21からのレーザ光は、ミラー22、23で反射された後、レンズ28によって光ファイバ2へ集光して入射される。24はスキャナーコントローラであり、駆動モータ14a、14bの駆動を制御する。スキャナーコントローラ24からの制御信号はコネクタ部5、ケーブル4を介してスキャナー部11に送信され、駆動ミラー13a及び13bがそれぞれ揺動制御される。25はサーモグラフ6によって得られた画像を処理して毛穴の位置及びその大きさ(毛の太さ)を検出するための画像処理部である。
【0019】
サーモグラフ6による画像から毛穴の位置及びその大きさを検出する方法について説明する。
【0020】
レーザ脱毛治療では、メラニンに吸収されやすい波長のレーザ光を皮膚へ照射し、メラニンに吸収されたレーザ光の熱エネルギーを毛根部へ放熱することにより、毛根を焼灼し脱毛を行う。したがって、メラニンが多く集まっている場所ほどレーザ光の熱エネルギーを吸収するため、その部分の温度が一時的に高くなる。メラニンは皮膚表面(上皮)、毛根、毛穴にそって分布しているが、その分布密度は毛根部の方が他に比べはるかに高く、吸収されるエネルギー量が多くなる。また、一般的に毛が太いほど毛根の周囲にあるメラニンの量は多いためレーザ光を照射すると毛の細い場所よりも毛の太い場所の方が大きな熱量を持つ。このことを利用して、治療時におけるレーザ光照射範囲である皮膚表面の所定の領域に、予め弱い出力(皮膚に障害を与えない程度)の治療用レーザ光を検出用として拡散して照射しておき、その領域の温度分布をサーモグラフ6によって撮像する。この画像を基に温度が高くなっているところを識別すれば毛穴の位置が特定でき、その中心温度面積の大きさにより各位置での毛の太さや大きさが検出できることとなる。
【0021】
図4は画像処理部25にてサーモグラフ6による画像を処理して得られた温度分布の様子を概略的に示した図である。30はレーザ光の照射範囲を示す。31は等温線であり内側の等温線ほど温度が高くなっている。したがって、この例では各等温線31の中心A,B,C,Dが毛穴の位置として検出される。また、中心部における等温度の面積の大きさから、図に示すように各位置での毛穴の太さE,F,G,Hとして検出される。
【0022】
なお、サーモグラフ6を使用する場合、その撮像するタイミングはレーザ光が照射されてから毛根の熱緩和時間内に行うことが望ましい。熱緩和時間とは、レーザ光をターゲット(この場合はメラニン)に照射した時、ターゲット周囲の温度分布はその直径で決まる幅を持つガウシアン分布となるが、その分布の中心温度が50%に下がるまでの時間のことである。
【0023】
一般にメラニンの熱緩和時間は約10nsec〜1μsec、毛根の熱緩和時間は毛根の直径200〜400μmで約40msec〜100msecとされている。レーザ光をターゲットに照射後、メラニンは熱緩和時間までは急激に温度が上がるが、熱緩和時間を超えると放熱しながら緩やかな温度上昇に変わる。この時、メラニンから放熱された熱エネルギーは毛根に伝わりながら毛根の熱緩和時間まで同じように温度が急上昇する。その結果、毛根の熱緩和時間が継続している間は周囲との温度差ができやすい。毛根の熱緩和時間を超えてしまうと、毛根での温度上昇が抑えられてしまうと同時に周囲に熱が伝導してしまう。このため、毛根の熱緩和時間をあまり長く超えた後では、毛穴とその周囲との温度差が表れにくくなり、毛穴の認識は難しくなると思われる。
【0024】
毛穴の位置及びその大きさの検出は、次のようにして行うことも可能である。例えば、サーモーグラフィ用のCCDカメラの代わりに可視領域に感度を持つCCDカメラを使用し、脱毛用レーザ光が照射される実際の皮膚の状態を撮像する。その撮像画像から得られる色や形等によって毛穴の位置、毛の太さ等を認識する。また、メラニンに反応して蛍光を発する光を照射させたり、あるいはメラニンに反応し生体に害の無い蛍光剤を予め投与した後にその状態を撮像し、蛍光の発光状態から毛穴の位置、太さを検出する。
【0025】
次に、レーザ治療における動作について説明する。術者は、レーザ光を照射する前に脱毛を行う範囲の毛を剃り、冷却用ジェル等を皮膚に塗布しておく。次にコントロールパネル7にて装置側の必要な各種設定を行った後、目的の治療領域がハンドピースヘッド部12の下に来るように、ハンドピースユニット3のヘッド先端部17を皮膚へ当接させる。この状態でハンドピースユニット3を安定させ、コントロールパネル7の毛穴位置認識用の図示無きスキャンスイッチを押す。
【0026】
スキャンスイッチが押されると、制御部20は駆動モータ16を駆動させ、レンズ15をレーザ光路上に挿入させた後、レーザ光源21より出力の弱いレーザ光(治療に使用するレーザ出力に対して1/20〜1/100程度)を毛穴位置認識用のレーザ光として出射させる。一般に脱毛に使用されるレーザ光の出力は10〜40J/cm2であるので毛穴位置認識用のレーザ光の出力としては0.1〜2J/cm2程度が望ましい。
【0027】
レーザ光源21から出射された毛穴位置認識用のレーザ光は光ファイバー2によってハンドピースユニット3に導光される。光ファイバー2から出たレーザ光はレンズ10によって直径1〜2mm程度にされるが、レンズ15にて拡散させて、直径2cmほどの領域を一度に照射する。なお、このときは駆動ミラー13a、13bはイニシャライズにより基準位置に置かれている。
【0028】
レーザ光が皮膚に照射されると、前述したようにメラニンにレーザ光からの熱エネルギーが蓄積され、毛根とその周囲との温度差が生じてくる。レーザ照射がされた領域は、毛根の熱緩和時間内のタイミングでサーモグラフ6により撮像され、画像処理部25により温度分布情報が得られる。この温度分布情報から前述のようにして毛穴の位置とその大きさが検出される。各毛穴の位置は座標位置に置き換えられ、その位置情報と各位置での大きさの情報は制御部20に記憶される。
【0029】
画像処理手段25による検出が終了すると、制御部20は電子音又はコントロールパネル7に備わっている図示無きモニタにて術者に毛穴の位置認識が終了したことを知らせる。同時に、レンズ15をレーザ光路から退避させ、直径1〜2mmの脱毛用レーザ光のスキャンによる照射を可能にする。
【0030】
術者はハンドピースユニット3を保持した状態でフットスイッチ8を押すことにより脱毛用レーザ光の照射指令を装置に行う。指令信号が入力されると、スキャナーコントローラ24は記憶された位置情報に基づいて駆動モータ14a、14bを駆動し、制御部20はレーザ光源21からのレーザ出射のタイミングを制御する。図4の例では、まず、スキャナーコントローラ24は毛穴位置Aにレーザ光が照射されるように駆動ミラー13a、13bの角度を調整する。制御部20はその角度調整ができたタイミングでレーザ光源1からレーザ光を出射させる。次に、毛穴位置Bにレーザ光が照射されるように駆動ミラー13a、13bの角度を調整してレーザ光を出射させ、これを毛穴位置C、Dへと順次行っていく。このようにしてレーザ光の出射とそのスキャンの制御により、各毛穴位置A〜Dに向けてレーザ光が選択的に照射されるので、周囲組織へのダメージを軽減できる。
【0031】
また、このとき制御部20は、各毛穴位置毎の毛の太さに応じて最適なレーザの照射出力、照射時間の照射条件を変えて各々照射するようにレーザ光源21の駆動を制御する。
【0032】
毛の太さに応じたレーザの照射出力、照射時間について説明する。レーザ脱毛の原理は、毛根周辺に存在するメラニンにレーザ光が吸収され、その蓄えられた熱が毛根に伝達されて破壊される。このときのレーザ照射は、メラニンや上皮を破壊しない程度でかつ毛根を焼くに十分なエネルギを、メラニンや皮膚の熱緩和時間より長く、毛根の熱緩和時間より短い時間で照射する必要がある。メラニンの熱緩和時間は約10nsec〜1μsec、上皮の熱緩和時間は3〜10msec、毛根の熱緩和時間は約40msec〜100msecとされている。しかし、毛根の太さ(毛の太さ、大きさ)によって前述の熱緩和時間が異なり、その時間より長いレーザ照射時間では蓄えられたエネルギが周囲に拡散されてしまい、毛根の破壊効果が低下する。従って、レーザ照射時間は10〜40msecの範囲で調整する。さらに、無駄に皮膚の温度上昇を招くことなく、効率的な脱毛を行うためには、毛根の太さに応じた出力のレーザを照射する。毛根の太さに応じた最適なレーザ出力、照射時間は予め定量的に求めておき、そのデータを基に決定させれば良い。
【0033】
以上、本実施の形態ではレーザ光にアレキサンドライトレーザ光を使用したがこれに限るものではなく、メラニンに吸収されやすく、毛根周辺のメラニンまで届くような波長のレーザ光であれば良い。具体的にはルビーレーザやダイオードレーザ等が挙げられる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、皮膚全体の照射に比べ余計な場所へのレーザ照射が避けられるため、治療目的部位以外の皮膚組織に与える障害を軽減させることができる。また、治療目的とする部位の位置に対してそれぞれレーザ光を照射できるため、治療をより確実に効率良くできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】装置の外観を示す図である。
【図2】ハンドピースユニットの詳細を示す図である。
【図3】光学系と制御系を示すブロック図である。
【図4】レーザ光を照射した時の皮膚上の温度分布を示す模式図である。
【符号の説明】
1 装置本体
3 ハンドピースユニット
6 CCDカメラ
7 コントロールパネル
8 フットスイッチ
20 制御部
21 レーザ光源
24 スキャナーコントローラ
25 画像処理部
【発明の属する技術分野】
本発明は、治療部位に治療レーザ光を照射して治療を行うレーザ治療装置に関する。
【0002】
【従来技術】
体に生えている毛にレーザ光を照射することにより毛根を焼灼して脱毛を行うレーザ脱毛治療が知られている。毛根周辺には周囲の皮膚表皮よりもメラニンが多く含まれているので、メラニンに吸収されやすい波長のレーザ光を照射することにより、その熱エネルギが毛根部に放熱されて毛根が焼灼される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来、このレーザ脱毛では脱毛をしようとする皮膚に直径10〜20mmのレーザ光を照射して、その領域の中にある毛根を全て治療(焼灼)するようにしていたので、皮膚表皮に含まれるメラニンによるレーザ光吸収により、皮膚表皮に少なからずダメージを与えることになる。皮膚表皮へのダメージを少なくするため、レーザ光の出力やその照射時間を抑えすぎると、脱毛ができないところが生じたり、治療時間が長くなったりして治療の効率が悪い。
【0004】
本発明は、上記従来装置の欠点に鑑み、治療目的とする部位以外の組織に与えるダメージを軽減し、また、効率よく治療を行うことができる装置を提供することを技術課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0006】
(1) レーザ光源からの治療レーザ光を皮膚に照射して脱毛治療を行うレーザ治療装置において、メラニンに反応して温度変化を生じさせる検出レーザ光を治療レーザ光の照射範囲に照射する検出レーザ光照射手段と、前記検出レーザ光の照射により変化する皮膚の温度分布を得る撮像カメラを持ち、前記検出レーザ光が照射されてから毛根の熱緩和時間内に前記撮像カメラで撮像された画像を処理して毛穴位置を検出する検出手段と、治療レーザ光を治療部位上でスキャンさせるスキャナー部を持ち、前記検出手段により検出された毛穴位置に治療レーザ光を選択的に照射する選択的照射手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の形態を図面に基づいて説明する。図1は実施の形態である脱毛用のレーザ治療装置の外観略図を示す。
【0015】
1はレーザ装置本体であり、装置本体1内部には後述する制御部、脱毛用レーザ光源等が収納されている。7はレーザ照射条件等の各種設定条件を入力するためのコントロールパネル、8はレーザ光を照射するためのトリガ信号を発信するためのフットスイッチであり、レーザ装置本体1の正面には電源を入れるためのキースイッチ9が設けられている。
【0016】
2は装置本体1から出射されるレーザ光を導光するための光ファイバー、3はレーザ照射口を持つハンドピースユニットである。ハンドピースユニット3には赤外線に感度を持つCCDカメラのサーモグラフ6が備えられており、サーモグラフ6は、脱毛治療を行う前に皮膚表面の温度差によって毛穴(毛根)の位置や毛の太さを認識するために使用される(この認識方法は詳しく後述する)。
【0017】
図2はハンドピースユニット3の構成を示す図である。ハンドピースユニット3はスキャナー部11とハンドピースヘッド部12を備える。スキャナー部11内には、光ファイバ2内を通過してきた脱毛用レーザ光を照射部位上で直径1〜2mm程度の小スポットに成形するレンズ10(図3参照)、レーザ光を治療部位でXY方向にスキャンさせるための駆動ミラー13a、13b、それぞれの駆動モータ14a、14b、レーザ光の光路に挿脱されるレンズ15を備える。レンズ15は毛穴の位置を認識する時に光路に挿入され、皮膚表面上でレーザ光を拡散する。レンズ15の挿脱は駆動モータ16にて行われる。また、ハンドピースヘッド部12は、皮膚に当接させハンドピースユニットを安定させるためのヘッド先端部17を備える。
【0018】
図3は制御系と光学系の構成を示した要部ブロック図である。20は装置全体の制御を行う制御部である。21は脱毛用のレーザ光源であり、本形態ではアレキサンドライトレーザ(波長755nm)を使用している。レーザ光源21からのレーザ光は、ミラー22、23で反射された後、レンズ28によって光ファイバ2へ集光して入射される。24はスキャナーコントローラであり、駆動モータ14a、14bの駆動を制御する。スキャナーコントローラ24からの制御信号はコネクタ部5、ケーブル4を介してスキャナー部11に送信され、駆動ミラー13a及び13bがそれぞれ揺動制御される。25はサーモグラフ6によって得られた画像を処理して毛穴の位置及びその大きさ(毛の太さ)を検出するための画像処理部である。
【0019】
サーモグラフ6による画像から毛穴の位置及びその大きさを検出する方法について説明する。
【0020】
レーザ脱毛治療では、メラニンに吸収されやすい波長のレーザ光を皮膚へ照射し、メラニンに吸収されたレーザ光の熱エネルギーを毛根部へ放熱することにより、毛根を焼灼し脱毛を行う。したがって、メラニンが多く集まっている場所ほどレーザ光の熱エネルギーを吸収するため、その部分の温度が一時的に高くなる。メラニンは皮膚表面(上皮)、毛根、毛穴にそって分布しているが、その分布密度は毛根部の方が他に比べはるかに高く、吸収されるエネルギー量が多くなる。また、一般的に毛が太いほど毛根の周囲にあるメラニンの量は多いためレーザ光を照射すると毛の細い場所よりも毛の太い場所の方が大きな熱量を持つ。このことを利用して、治療時におけるレーザ光照射範囲である皮膚表面の所定の領域に、予め弱い出力(皮膚に障害を与えない程度)の治療用レーザ光を検出用として拡散して照射しておき、その領域の温度分布をサーモグラフ6によって撮像する。この画像を基に温度が高くなっているところを識別すれば毛穴の位置が特定でき、その中心温度面積の大きさにより各位置での毛の太さや大きさが検出できることとなる。
【0021】
図4は画像処理部25にてサーモグラフ6による画像を処理して得られた温度分布の様子を概略的に示した図である。30はレーザ光の照射範囲を示す。31は等温線であり内側の等温線ほど温度が高くなっている。したがって、この例では各等温線31の中心A,B,C,Dが毛穴の位置として検出される。また、中心部における等温度の面積の大きさから、図に示すように各位置での毛穴の太さE,F,G,Hとして検出される。
【0022】
なお、サーモグラフ6を使用する場合、その撮像するタイミングはレーザ光が照射されてから毛根の熱緩和時間内に行うことが望ましい。熱緩和時間とは、レーザ光をターゲット(この場合はメラニン)に照射した時、ターゲット周囲の温度分布はその直径で決まる幅を持つガウシアン分布となるが、その分布の中心温度が50%に下がるまでの時間のことである。
【0023】
一般にメラニンの熱緩和時間は約10nsec〜1μsec、毛根の熱緩和時間は毛根の直径200〜400μmで約40msec〜100msecとされている。レーザ光をターゲットに照射後、メラニンは熱緩和時間までは急激に温度が上がるが、熱緩和時間を超えると放熱しながら緩やかな温度上昇に変わる。この時、メラニンから放熱された熱エネルギーは毛根に伝わりながら毛根の熱緩和時間まで同じように温度が急上昇する。その結果、毛根の熱緩和時間が継続している間は周囲との温度差ができやすい。毛根の熱緩和時間を超えてしまうと、毛根での温度上昇が抑えられてしまうと同時に周囲に熱が伝導してしまう。このため、毛根の熱緩和時間をあまり長く超えた後では、毛穴とその周囲との温度差が表れにくくなり、毛穴の認識は難しくなると思われる。
【0024】
毛穴の位置及びその大きさの検出は、次のようにして行うことも可能である。例えば、サーモーグラフィ用のCCDカメラの代わりに可視領域に感度を持つCCDカメラを使用し、脱毛用レーザ光が照射される実際の皮膚の状態を撮像する。その撮像画像から得られる色や形等によって毛穴の位置、毛の太さ等を認識する。また、メラニンに反応して蛍光を発する光を照射させたり、あるいはメラニンに反応し生体に害の無い蛍光剤を予め投与した後にその状態を撮像し、蛍光の発光状態から毛穴の位置、太さを検出する。
【0025】
次に、レーザ治療における動作について説明する。術者は、レーザ光を照射する前に脱毛を行う範囲の毛を剃り、冷却用ジェル等を皮膚に塗布しておく。次にコントロールパネル7にて装置側の必要な各種設定を行った後、目的の治療領域がハンドピースヘッド部12の下に来るように、ハンドピースユニット3のヘッド先端部17を皮膚へ当接させる。この状態でハンドピースユニット3を安定させ、コントロールパネル7の毛穴位置認識用の図示無きスキャンスイッチを押す。
【0026】
スキャンスイッチが押されると、制御部20は駆動モータ16を駆動させ、レンズ15をレーザ光路上に挿入させた後、レーザ光源21より出力の弱いレーザ光(治療に使用するレーザ出力に対して1/20〜1/100程度)を毛穴位置認識用のレーザ光として出射させる。一般に脱毛に使用されるレーザ光の出力は10〜40J/cm2であるので毛穴位置認識用のレーザ光の出力としては0.1〜2J/cm2程度が望ましい。
【0027】
レーザ光源21から出射された毛穴位置認識用のレーザ光は光ファイバー2によってハンドピースユニット3に導光される。光ファイバー2から出たレーザ光はレンズ10によって直径1〜2mm程度にされるが、レンズ15にて拡散させて、直径2cmほどの領域を一度に照射する。なお、このときは駆動ミラー13a、13bはイニシャライズにより基準位置に置かれている。
【0028】
レーザ光が皮膚に照射されると、前述したようにメラニンにレーザ光からの熱エネルギーが蓄積され、毛根とその周囲との温度差が生じてくる。レーザ照射がされた領域は、毛根の熱緩和時間内のタイミングでサーモグラフ6により撮像され、画像処理部25により温度分布情報が得られる。この温度分布情報から前述のようにして毛穴の位置とその大きさが検出される。各毛穴の位置は座標位置に置き換えられ、その位置情報と各位置での大きさの情報は制御部20に記憶される。
【0029】
画像処理手段25による検出が終了すると、制御部20は電子音又はコントロールパネル7に備わっている図示無きモニタにて術者に毛穴の位置認識が終了したことを知らせる。同時に、レンズ15をレーザ光路から退避させ、直径1〜2mmの脱毛用レーザ光のスキャンによる照射を可能にする。
【0030】
術者はハンドピースユニット3を保持した状態でフットスイッチ8を押すことにより脱毛用レーザ光の照射指令を装置に行う。指令信号が入力されると、スキャナーコントローラ24は記憶された位置情報に基づいて駆動モータ14a、14bを駆動し、制御部20はレーザ光源21からのレーザ出射のタイミングを制御する。図4の例では、まず、スキャナーコントローラ24は毛穴位置Aにレーザ光が照射されるように駆動ミラー13a、13bの角度を調整する。制御部20はその角度調整ができたタイミングでレーザ光源1からレーザ光を出射させる。次に、毛穴位置Bにレーザ光が照射されるように駆動ミラー13a、13bの角度を調整してレーザ光を出射させ、これを毛穴位置C、Dへと順次行っていく。このようにしてレーザ光の出射とそのスキャンの制御により、各毛穴位置A〜Dに向けてレーザ光が選択的に照射されるので、周囲組織へのダメージを軽減できる。
【0031】
また、このとき制御部20は、各毛穴位置毎の毛の太さに応じて最適なレーザの照射出力、照射時間の照射条件を変えて各々照射するようにレーザ光源21の駆動を制御する。
【0032】
毛の太さに応じたレーザの照射出力、照射時間について説明する。レーザ脱毛の原理は、毛根周辺に存在するメラニンにレーザ光が吸収され、その蓄えられた熱が毛根に伝達されて破壊される。このときのレーザ照射は、メラニンや上皮を破壊しない程度でかつ毛根を焼くに十分なエネルギを、メラニンや皮膚の熱緩和時間より長く、毛根の熱緩和時間より短い時間で照射する必要がある。メラニンの熱緩和時間は約10nsec〜1μsec、上皮の熱緩和時間は3〜10msec、毛根の熱緩和時間は約40msec〜100msecとされている。しかし、毛根の太さ(毛の太さ、大きさ)によって前述の熱緩和時間が異なり、その時間より長いレーザ照射時間では蓄えられたエネルギが周囲に拡散されてしまい、毛根の破壊効果が低下する。従って、レーザ照射時間は10〜40msecの範囲で調整する。さらに、無駄に皮膚の温度上昇を招くことなく、効率的な脱毛を行うためには、毛根の太さに応じた出力のレーザを照射する。毛根の太さに応じた最適なレーザ出力、照射時間は予め定量的に求めておき、そのデータを基に決定させれば良い。
【0033】
以上、本実施の形態ではレーザ光にアレキサンドライトレーザ光を使用したがこれに限るものではなく、メラニンに吸収されやすく、毛根周辺のメラニンまで届くような波長のレーザ光であれば良い。具体的にはルビーレーザやダイオードレーザ等が挙げられる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、皮膚全体の照射に比べ余計な場所へのレーザ照射が避けられるため、治療目的部位以外の皮膚組織に与える障害を軽減させることができる。また、治療目的とする部位の位置に対してそれぞれレーザ光を照射できるため、治療をより確実に効率良くできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】装置の外観を示す図である。
【図2】ハンドピースユニットの詳細を示す図である。
【図3】光学系と制御系を示すブロック図である。
【図4】レーザ光を照射した時の皮膚上の温度分布を示す模式図である。
【符号の説明】
1 装置本体
3 ハンドピースユニット
6 CCDカメラ
7 コントロールパネル
8 フットスイッチ
20 制御部
21 レーザ光源
24 スキャナーコントローラ
25 画像処理部
Claims (1)
- レーザ光源からの治療レーザ光を皮膚に照射して脱毛治療を行うレーザ治療装置において、メラニンに反応して温度変化を生じさせる検出レーザ光を治療レーザ光の照射範囲に照射する検出レーザ光照射手段と、前記検出レーザ光の照射により変化する皮膚の温度分布を得る撮像カメラを持ち、前記検出レーザ光が照射されてから毛根の熱緩和時間内に前記撮像カメラで撮像された画像を処理して毛穴位置を検出する検出手段と、治療レーザ光を治療部位上でスキャンさせるスキャナー部を持ち、前記検出手段により検出された毛穴位置に治療レーザ光を選択的に照射する選択的照射手段と、を備えることを特徴とするレーザ治療装置。
Priority Applications (5)
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