JP2018175761A - 毛穴分布状態の判定方法および毛穴からのナノ粒子の吸収量の判定方法 - Google Patents

毛穴分布状態の判定方法および毛穴からのナノ粒子の吸収量の判定方法 Download PDF

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愛子 笹井
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Abstract

【課題】毛穴の分布を簡便に且つ精度良く判定可能である毛穴分布状態の判定方法、および毛穴からのナノ粒子の吸収量の判定方法を提供する。【解決手段】生体適合性高分子で形成されたナノ粒子の内部または表面の少なくとも一方に蛍光物質を担持させた蛍光物質担持ナノ粒子を皮膚表面に塗布した後、蛍光ビデオマイクロスコープを用いて観察することにより皮膚表面の毛穴の分布状態を判定する。【選択図】図1

Description

本発明は、皮膚表面における毛穴の分布状態を測定する方法、および毛穴からのナノ粒子の吸収量を測定する方法に関する。
従来、ニキビ等の皮膚疾患の治療方法として、抗炎症剤や抗菌剤を含む皮膚外用剤が用いられる。そのため、経皮吸収性(皮膚バリア機能)の測定法が求められており、皮膚内部への物質の経皮吸収の研究が進められている。実際には、動物の皮膚を用いた検討が主になされており、対象物質を吸収させた皮膚を採取して切片を作成したり、または採取した皮膚をすりつぶして対象物質量を定量したりすることにより評価が行われている。
しかしながら、これらの方法では皮膚を採取する必要があるため、実際に人の皮膚を用いて測定を行うことは困難であった。そこで、経皮吸収性をin vivoで測定する方法が提案されている。例えば特許文献1には、蛍光ビデオマイクロスコープを用いて蛍光物質を塗布した皮膚を観察し、得られた画像によりin vivo経皮吸収性又は皮膚バリア機能を判定する方法が開示されている。
また、皮膚外用剤のニキビ治癒効果をより確実に発現させるためには、作用部位までの抗ニキビ活性成分の確実な到達に加えて、抗ニキビ活性成分を長期間に亘って放出させる、いわゆる徐放性を有することが望ましい。そこで、特許文献2には、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、または乳酸・グリコール酸共重合体のいずれかで形成された生体適合性ナノ粒子の内部または表面の少なくとも一方に抗アクネ菌活性成分を担持させた抗アクネ菌活性成分含有ナノ粒子を、粉末状、ゲル状、固形状の基材中または液中に分散させた抗ニキビ活性能を有する皮膚外用剤が開示されている。
特開2009−120513号公報 特開2015−67572号公報
ところで、皮膚外用剤の治癒効果をより確実に発現させるためには、皮膚表面からの吸収に加えて、毛穴を通して薬剤を皮膚深部まで吸収させることが好ましい。そのため、皮膚表面における毛穴の分布状態を測定することが重要となる。
特に、特許文献2のような抗アクネ菌活性成分含有ナノ粒子を含有する皮膚外用剤の場合、毛穴の分布状態を測定し、さらに毛穴へのナノ粒子の吸収状態を測定することは極めて重要となる。しかしながら、上記特許文献1の方法は、皮膚バリア機能や敏感肌の判定に有効であるが、毛穴の分布や毛穴へのナノ粒子の吸収を明確に判定することはできなかった。
本発明は、上記問題点に鑑み、毛穴の分布を簡便に且つ精度良く判定可能である毛穴分布状態の判定方法、毛穴からのナノ粒子の吸収判定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、生体適合性高分子で形成されたナノ粒子の内部または表面の少なくとも一方に蛍光物質を担持させた蛍光物質担持ナノ粒子を皮膚表面に塗布した後、蛍光ビデオマイクロスコープを用いて観察することにより皮膚表面の毛穴の分布状態を判定する毛穴分布状態の判定方法である。
また本発明は、上記構成の毛穴分布状態の判定方法において、前記蛍光物質が、フルオレセインまたはクマリンまたはそれらの塩、または自家蛍光物質から選ばれた1種以上であることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の毛穴分布状態の判定方法において、前記生体適合性高分子が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、または乳酸・グリコール酸共重合体のいずれかであることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の毛穴分布状態の判定方法において、前記蛍光物質担持ナノ粒子の平均粒子径が、40nm以上1000nm以下であることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の毛穴分布状態の判定方法において、前記蛍光物質担持ナノ粒子中の前記蛍光物質の内包率が0.01重量%以上10重量%以下であることを特徴としている。
また本発明は、生体適合性高分子で形成されたナノ粒子の内部または表面の少なくとも一方に蛍光物質を担持させた蛍光物質担持ナノ粒子を皮膚表面に塗布した後、蛍光ビデオマイクロスコープを用いて観察することにより毛穴からの前記ナノ粒子の吸収量を判定する方法である。
本発明の第1の構成によれば、生体適合性高分子で形成されたナノ粒子の内部または表面の少なくとも一方に蛍光物質を担持させた蛍光物質担持ナノ粒子を塗布した皮膚を蛍光ビデオマイクロスコープで撮影し、撮影された画像を解析することにより、蛍光物質の発光が強く認められる部分が、ナノ粒子が特に吸収され易く、且つ、皮膚表面を洗浄した後も残存し易い毛穴部分であると判定できる。従って、皮膚表面における毛穴の分布状態を簡便に且つ精度良く判定することができる。
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の毛穴分布状態の判定方法において、蛍光物質としてフルオレセインまたはクマリンまたはそれらの塩、または自家蛍光物質から選ばれた1種以上を用いることにより、人体や肌に対する刺激性を抑制しつつ、毛穴の分布状態を判定することができる。
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の毛穴分布状態の判定方法において、生体適合性高分子として、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、または乳酸・グリコール酸共重合体のいずれかを用いることにより、ナノ粒子が生体内で速やかに分解するため生体への刺激・毒性が低減される。
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成の皮膚外用剤において、蛍光物質担持ナノ粒子の平均粒子径を40nm以上1000nm以下とすることにより、ナノ粒子が毛穴深部まで送達され易くなり、毛穴以外の部分から皮膚内部への浸透を抑制することができる。
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成の皮膚外用剤において、蛍光物質担持ナノ粒子中の蛍光物質の内包率を0.01重量%以上10重量%以下とすることにより、蛍光物質担持ナノ粒子に内包される蛍光物質の内包率をできる限り高くし、且つ、蛍光物質担持ナノ粒子の粒子径を毛穴から良好に浸透できる程度に抑えることができる。
また、本発明の第6の構成によれば、生体適合性高分子で形成されたナノ粒子の内部または表面の少なくとも一方に蛍光物質を担持させた蛍光物質担持ナノ粒子を塗布した皮膚を蛍光ビデオマイクロスコープで撮影し、撮影された画像を解析することにより、蛍光物質の発光が強く認められる部分が、蛍光物質担持ナノ粒子の吸収量が多い毛穴部分であると判定できる。蛍光物質の発光強度と蛍光物質担持ナノ粒子の吸収量とは相関するため、ナノ粒子の吸収量を簡便に且つ精度良く判定することができる。
実施例において、女性被験者の顔の右頬にFITC内包PLGAナノ粒子の分散液を塗布した場合のUV写真 女性被験者の顔の左頬にFITC水溶液を塗布した場合のUV写真 女性被験者の顔の額部分のUV写真
本発明の毛穴分布状態の判定方法は、生体適合性高分子で形成されたナノ粒子の内部または表面の少なくとも一方に蛍光物質を担持させた蛍光物質担持ナノ粒子を皮膚表面に塗布した後、蛍光ビデオマイクロスコープを用いて観察することにより皮膚表面の毛穴の分布状態を判定するものである。蛍光物質担持ナノ粒子を皮膚に塗布すると、蛍光物質担持ナノ粒子が毛穴の内部に入り込んで集まる。そして、蛍光ビデオマイクロスコープを用いて皮膚表面を観察することにより、ナノ粒子が集まる毛穴部分において蛍光物質の発光が強く認められる。このようにして毛穴の分布状態を判定することができる。
本発明に用いられる蛍光物質担持ナノ粒子を形成する生体適合性高分子は、生体への刺激・毒性が低く、投与後分解して代謝される生体内分解性のものが望ましい。このような素材としては、特に乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)を好適に用いることができる。
PLGAの分子量は、5,000〜200,000の範囲内であることが好ましく、15,000〜25,000の範囲内であることがより好ましい。乳酸とグリコール酸との組成比は1:99〜99:1であればよいが、乳酸1に対しグリコール酸が約1/3であることが好ましい。また、乳酸およびグリコール酸の含有量が25重量%〜65重量%の範囲内であるPLGAは、非晶質であり、かつアセトン等の有機溶媒に可溶であるから、好適に使用される。
また、PLGAナノ粒子中に水溶性の蛍光物質を内包する場合、PLGAの表面をポリエチレングリコール(PEG)で修飾しておくと、蛍光物質とPLGAとの親和性が向上し、内包量を増やせるため好ましい。本発明に用いられる生体適合性高分子としては、PLGAの他に、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)等が挙げられる。
PLGAナノ粒子中に内包、またはナノ粒子表面に担持される蛍光物質としては、フルオレセイン、クマリン又はそれらの塩に代表される蛍光マーカー(フルオロフォア)が挙げられる。塩としては、特に限定されないが、例えば、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、イソチオシアネート塩等が挙げられる。
また、上記の蛍光マーカーに代えて、自家蛍光物質を用いることもできる。自家蛍光は、ミトコンドリアやリソソームといった生物学的構造が光を吸収した際に起こる光の自然放出(フォトルミネッセンス)であり、人工的に加えられた蛍光マーカー由来の光を区別するために用いられる。自家蛍光物質としては、例えばヒノキチオール、クロロフィル、ポリフェノール、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、フラビン等が挙げられる。これらの自家蛍光物質は、特定の波長の励起光を当てることでその物質固有の波長の蛍光を発する。このようなフルオレセイン、クマリン又はそれらの塩、または天然由来の自家蛍光物質を使用することで、人体や肌に対する刺激を抑制しつつ、毛穴の分布状態を判定することができる。
上述したような蛍光物質のナノ粒子への内包率(内包量)が高いほど、蛍光ビデオマイクロスコープを用いて観察したときの蛍光強度も強くなるため好ましいが、蛍光物質の内包量に比例して蛍光物質担持ナノ粒子の粒子径も大きくなるため、ナノ粒子が毛穴の内部まで到達し難くなる。また、蛍光物質の含有量が多くなると副作用も懸念される。そのため、蛍光物質担持ナノ粒子中の蛍光物質の内包率(生体適合性高分子に対する蛍光物質の重量比)は0.01重量%以上10重量%以下が好ましく、0.01重量%以上5重量%以下が特に好ましい。
本発明に用いられる蛍光物質担持ナノ粒子は、1000nm未満の平均粒子径を有するものであれば特に制限はないが、一般に、毛穴の直径は200μm程度であるため、毛穴と毛の隙間から毛穴深部への浸透効果を高めるためには平均粒子径を300nm以下とすることが好ましい。また、皮膚細胞の大きさは15,000nm、皮膚細胞間隔は皮膚の浅い所と深い所でバラツキがあり70nm程度であるため、粒子径が100nm以上であれば毛穴以外の部分から皮膚内部への浸透を抑制することができる。従って、蛍光物質担持ナノ粒子の平均粒子径は40nm以上1000nm以下とすることが好ましく、100nm以上300nm以下とすることが特に好ましい。
本発明に用いられる蛍光物質担持ナノ粒子の製造方法としては、蛍光物質を担持した1000nm未満の粒子径を有する粒子に加工することができる方法であれば特に限定されるものではないが、球形晶析法を用いることが非常に好ましい。球形晶析法は、化合物合成の最終プロセスにおける結晶の生成・成長プロセスを制御することで、球状の結晶粒子を設計し、その物性を直接制御して加工することができる方法である。この球形晶析法の一つに、エマルジョン溶媒拡散法(ESD法)がある。
ESD法は、次に示すような原理によってナノ粒子を製造する技術である。本法には、薬物を内包する基剤ポリマーとなる乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)等を溶解できる良溶媒と、これとは逆にPLGAを溶解しない貧溶媒の二種類の溶媒が用いられる。この良溶媒には、PLGAを溶解し、且つ貧溶媒へ混和するアセトン等の有機溶媒を用いる。そして、貧溶媒には、通常、ポリビニルアルコール水溶液等を用いる。
操作手順としては、まず、良溶媒中にPLGAを溶解後、このPLGAが析出しないように、薬物溶解液を良溶媒中へ添加混合する。このPLGAと薬物を含む混合液を、貧溶媒中に攪拌下、滴下すると、混合液中の良溶媒(有機溶媒)が貧溶媒中へ急速に拡散移行する。その結果、貧溶媒中で良溶媒の自己乳化が起き、サブミクロンサイズの良溶媒のエマルジョン滴が形成される。さらに、良溶媒と貧溶媒の相互拡散により、エマルジョン内から有機溶媒が貧溶媒へと継続的に拡散していくので、エマルジョン滴内のPLGA並びに薬物の溶解度が低下し、最終的に、薬物を包含した球形結晶粒子のPLGAナノ粒子が生成する(以上、ナノ粒子形成工程)。
上記球形晶析法では、物理化学的な手法でナノ粒子を形成でき、しかも得られるナノ粒子が略球形であるため、均質なナノ粒子を、触媒や原料化合物の残留といった問題を考慮する必要なく、容易に形成することができる。その後、良溶媒である有機溶媒を減圧留去し(溶媒留去工程)、懸濁液を乾燥し(乾燥工程)、生体適合性ナノ粒子を得る。そして、得られたナノ粒子をそのまま、或いは必要に応じて乾燥工程時に凍結乾燥等により複合化し(複合化工程)、複合粒子とした後、容器内に充填する。
上記良溶媒および貧溶媒の種類は、内包される蛍光物質の種類等に応じて決定されるものであり特に限定されるものではないが、製造された蛍光物質担持ナノ粒子は皮膚へ直接塗布されるため、人体に対して安全性が高く、且つ環境負荷の少ないものを用いる必要がある。このような貧溶媒としては、例えばポリビニルアルコール水溶液が好適に用いられ、良溶媒としては、例えばアセトンとエタノールの混合液が好適に用いられる。
また、ナノ粒子の表面に粘膜付着性を高めるキトサンを複合化したり、リン脂質(レシチン/フォスファチジルコリン)を複合化させたりして蛍光物質担持ナノ粒子の皮膚親和性を高めてもよい。
次に、ナノ粒子の表面に蛍光物質を付着(担持)させる方法について説明する。ここでは、凍結乾燥によりナノ粒子を複合化する際、ナノ粒子表面へ蛍光物質を静電気的に担持させる静電気的付着法を用いる。水溶液中でアニオン分子として存在する蛍光物質をナノ粒子表面へ静電気的に担持させるためには、ナノ粒子表面が正のゼータ電位を有するように帯電させておく必要がある。
一般に、液体中に分散された粒子の多くは正又は負に帯電しており、逆の電荷を有するイオンが粒子表面に強く引き寄せられ固定された層(固定層)と、その外側に存在する層(拡散層)とで、いわゆる拡散電気二重層が形成されており、拡散層の内側の一部と固定層とが粒子と共に移動するものと推定される。
ゼータ電位は、粒子から十分に離れた電気的に中性な領域の電位を基準とした場合の、上記移動が生じる面(滑り面)の電位である。ゼータ電位の絶対値が増加すれば、粒子間の反発力が強くなって粒子の安定性は高くなり、逆にゼータ電位が0に近づくにつれて粒子は凝集を起こしやすくなる。そのため、ゼータ電位は粒子の分散状態の指標として用いられている。
上記ナノ粒子形成工程においてカチオン性高分子を貧溶媒中に添加すると、形成されたナノ粒子の表面がカチオン性高分子により修飾(被覆)され、粒子表面のゼータ電位が正となる。そして、凍結乾燥によりナノ粒子を複合化する際に蛍光物質を添加することにより、水溶液中で負の電荷を持つアニオン分子となった蛍光物質が静電気的相互効果によりナノ粒子表面に所定量担持される。
また、生体内の細胞壁は負に帯電しているが、従来の球形晶析法で製造されたナノ粒子の表面は、一般的に負のゼータ電位を有しているため、電気的反発力によりナノ粒子の細胞接着性が悪くなるという問題点があった。従って、本発明のようにカチオン性高分子を用いて蛍光物質担持ナノ粒子の表面が正のゼータ電位を有するように帯電させることは、負帯電の細胞壁に対する蛍光物質担持ナノ粒子の接着性を増大させ、毛穴内部への残存性を向上させる観点からも好ましい。
このようにして製造した、蛍光物質が内包または表面担持された蛍光物質担持ナノ粒子を、水や含水エタノール等の分散液中に所定の割合で分散させて皮膚に塗布する。また、乳液、化粧水、スキンクリーム、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、パウダー状美容液、ジェル等の製剤にすることもできる。
そして、蛍光物質担持ナノ粒子を塗布した皮膚を蛍光ビデオマイクロスコープで撮影し、撮影された画像を解析することにより、蛍光物質の発光が強く認められる部分が、蛍光物質担持ナノ粒子が集まった毛穴部分であると判定できる。以上のようにして得られた画像を毛穴の分布状態の判定に利用することができる。また、画像の輝度を解析することにより数値化して解析することも可能である。
本発明で用いられる蛍光ビデオマイクロスコープは、観察対象物(皮膚)の表面を拡大して撮影可能であり、特定の波長の励起光を照射したときの反射光(蛍光)を撮影可能である。蛍光ビデオマイクロスコープとしては、例えば皮膚画像解析システム(VISIA−Evo、CANFIELD SCIENTIFIC社製)が挙げられるが、他の機器を用いることもできる。
さらに、蛍光物質の発光が強く認められる部分は蛍光物質担持ナノ粒子が多数存在する部分であるため、蛍光物質担持ナノ粒子の挙動が可視化される。従って、本発明を利用して毛穴へのナノ粒子の吸収量を推定することもできる。内包される物質が異なる場合でもナノ粒子の挙動は変化しないと考えられるため、本発明の毛穴の分布状態の判定方法を用いて、抗炎症性成分、皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制成分等の抗ニキビ活性成分を担持したナノ粒子の毛穴からの吸収量を推定することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。以下、実施例により本発明の効果についてさらに詳細に説明する。
[FITC内包PLGAナノ粒子の作製]
1重量%のポリビニルアルコール(PVA EG05、日本合成化学工業製)水溶液200mLを貧溶媒とした。また、乳酸・グリコール酸共重合体(和光純薬工業製PLGA7520)1gをアセトン・エタノール混合液(混合比2:1)120mLに溶解させ、ここにFITC(フルオレセインイソチオシアネート)40mgを精製水10mLに溶解させた溶液を添加し、均一に混合し良溶媒とした。
貧溶媒を40℃、400rpmで攪拌下、一定速度(4mL/分)で良溶媒を滴下した。滴下終了後5分間攪拌したのち、減圧下200rpmで攪拌しながら4時間で有機溶媒を留去した。その後、遠心分離操作によって過剰のポリビニルアルコールを除去し、約1日かけて凍結乾燥を行いFITC内包PLGAナノ粒子の凍結乾燥粉末1.2gを得た。得られたナノ粒子内のFITCの内包率を定量したところ0.1重量%であった。
[FITC内包PLGAナノ粒子を用いた毛穴分布状態の判定]
上記実施例1において作製したFITC内包PLGAナノ粒子を用いて、モニター試験により毛穴分布状態を判定した。判定方法は、洗顔後の女性被験者の顔の右頬に、実施例1で作製したFITC内包PLGAナノ粒子0.2重量%を精製水に分散させた試験液(FITC含有率0.0002重量%)を塗布した。また、比較対照例として、顔の左頬にFITC水溶液(FITC含有率0.001重量%)を塗布した。
そして、試験液の塗布直後に皮膚画像解析システム(VISIA−Evo、CANFIELD SCIENTIFIC社製)を用いてUV写真を撮影し、毛穴の分布状態を評価した。なお、試験液およびFITC水溶液を塗布していない顔の額部分をブランク(無処理)として同様にUV写真を撮影した。結果を図1〜図3に示す。
図1は、女性被験者の顔の右頬にFITC内包PLGAナノ粒子の分散液を塗布した場合のUV写真であり、図2は、同じ女性被験者の顔の左頬にFITC水溶液を塗布した場合のUV写真であり、図3は、同じ女性被験者の顔の額部分のUV写真である。図1に示すように、FITC内包PLGAナノ粒子の分散液を塗布した場合、図3に比べて毛穴の位置でFITCの強い発光が認められ、毛穴の分布状態が明確に判定できた。これに対し、FITC水溶液を塗布した場合は、図2に示すように、図3と比べて皮膚全体がぼんやりと光る程度であり、毛穴の分布状態が明確に判定できなかった。
実施例2の結果より、FITCをナノ粒子に内包した場合と内包しなかった場合とで毛穴の分布状態の判定に大きな差が見られたのは、FITCをナノ粒子に内包しない場合はFITCが皮膚表面にとどまり毛穴の内部まで到達しないため、皮膚全体に広がって蛍光が弱くなってしまうのに対し、FITCをナノ粒子に内包した場合は毛穴の内部にナノ粒子が集まり、毛穴の内部のFITC量が多くなって蛍光が強くなるためであると考えられる。
本発明の毛穴分布状態の判定方法は、生体適合性高分子で形成されたナノ粒子の内部または表面の少なくとも一方に蛍光物質を担持させた蛍光物質担持ナノ粒子を皮膚表面に塗布した後、蛍光ビデオマイクロスコープを用いて観察するだけで、従来に比べて毛穴の分布状態を明りょうに判定することができる。特に、蛍光物質としてフルオレセインまたはクマリンまたはそれらの塩、または自家蛍光物質から選ばれた1種以上を用い、生体適合性ナノ粒子を、生体への刺激・毒性が低く、投与後分解して代謝されるポリ乳酸、ポリグリコール酸、または乳酸・グリコール酸共重合体のいずれかで形成した場合に好適な判定方法となる。
また、蛍光物質の発光強度と蛍光物質担持ナノ粒子の吸収量とは相関するため、蛍光物質の発光が強く認められる部分がナノ粒子の吸収量が多い毛穴部分であると判定でき、毛穴からのナノ粒子の吸収量を簡便に且つ精度良く判定することができる。

Claims (6)

  1. 生体適合性高分子で形成されたナノ粒子の内部または表面の少なくとも一方に蛍光物質を担持させた蛍光物質担持ナノ粒子を皮膚表面に塗布した後、蛍光ビデオマイクロスコープを用いて観察することにより皮膚表面の毛穴の分布状態を判定する毛穴分布状態の判定方法。
  2. 前記蛍光物質が、フルオレセインまたはクマリンまたはそれらの塩、または自家蛍光物質から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の毛穴分布状態の判定方法。
  3. 前記生体適合性高分子が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、または乳酸・グリコール酸共重合体のいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の毛穴分布状態の判定方法。
  4. 前記蛍光物質担持ナノ粒子の平均粒子径が、40nm以上1000nm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の毛穴分布状態の判定方法。
  5. 前記蛍光物質担持ナノ粒子中の前記蛍光物質の内包率が0.01重量%以上10重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の毛穴分布状態の判定方法。
  6. 生体適合性高分子で形成されたナノ粒子の内部または表面の少なくとも一方に蛍光物質を担持させた蛍光物質担持ナノ粒子を皮膚表面に塗布した後、蛍光ビデオマイクロスコープを用いて観察することにより毛穴からの前記ナノ粒子の吸収量を判定する方法。
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