JP3920588B2 - ルアー - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、ルアー(疑似餌)に関し、さらに詳しくは、正確なキャスティング(狙ったポイントに投げる動作)を可能にすると共に魚を食い付かせやすくするルアーに関する。
【0002】
【従来の技術】
図13は、特許第2700871号公報に開示されたルアーの内部機構を示す模式図である。
このルアー500は、ライン(釣糸)Lおよび図示しないフック(釣針)を取り付けうるボディ51と、そのボディ51から左右に突き出た胸ビレ52a,52bと、尾部から突き出た尾ビレ53と、前記胸ビレ52a,52bおよび前記尾ビレ53とを互いに相反する方向に揺動する連動機構54とを具備して構成されている。
【0003】
ルアー500をリトリーブ(ルアーを引いてくる動作)すると、胸ビレ52a,52bに水の抵抗がかかるが、強さにアンバランスがある。例えば、胸ビレ52aにかかる水の抵抗が小さく、胸ビレ52bにかかる水の抵抗が大きいと、図14の矢印に示すように、胸ビレ52aの端がボディ51から遠ざかり且つ胸ビレ52bの端がボディ51に近づく方向に傾く。すると、連動機構54により、図14の矢印に示すように、胸ビレ52bの方向に尾ビレ53が傾く。これにより、図14の一点鎖線で示すように、ルアー500が旋回する。ところが、図14の一点鎖線で示すようにルアー500が旋回すると、先とは逆に胸ビレ52aにかかる水の抵抗が大きくなり、胸ビレ52bにかかる水の抵抗が小さくなる。すると、胸ビレ52aの端がボディ51に近づき且つ胸ビレ52bの端がボディ51から遠ざかる方向に傾く。すると、連動機構54により、胸ビレ52aの方向に尾ビレ53が傾く。これにより、先とは逆方向にルアー500が旋回する。これが繰り返されて、ルアー500が揺動する。
上記の原理により、ロッド(釣り竿)を左右に振るテクニックを駆使せずとも、単純なリトリーブを継続するだけで、ルアー500が左右にくねり、これにつられて魚が食い付きやすくなる。
【0004】
なお、胸ビレ52a,52bや尾ビレ53を可動にすることでボディ1が鋭く揺動するが、胸ビレ52a,52bが固定でもルアー500は揺動する(動きは多少鈍くなる)。
【0005】
また、実用新案登録第3058812号公報には、亀型のボディから突出した4足(左前足,右前足,左後足,右後足)を、ロッドアクションによるライン張力の変化で振動させることで、亀本来の動きを模擬し、魚をヒットさせやすくしたルアーが開示されている。
【0006】
さらに、特許第3069856号公報には、ボディの左右両側に、付け替えパーツを任意の角度で嵌合させて取り付けるようにしたルアーが開示されている。
【0007】
さらにまた、実用新案登録第3039621号公報には、蝦型のボディの両側に羽毛状の平衡翼を設けると共に、該ボディの下腹部に水中姿勢を安定化する平衡体を延伸したルアーが開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のルアー500では、ボディ51から胸ビレ52a,52bが突出しているため、キャスティング時に空中を飛翔している間、胸ビレ52a,52bに空気抵抗がかかり、飛距離が短くなったり、方向が曲がったりし、アングラー(釣り人)が狙ったポイントに正確にキャスティングすることが難しくなる問題点がある。
【0009】
また。実用新案登録第3058812号公報、特許第3069856号公報および実用新案登録第3039621号公報に開示されたルアーも、ボディからの突出部(足,付け替えパーツ,平衡翼,平衡体)があるため、同様の問題点がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、正確なキャスティングを可能にすると共に魚を食い付かせやすくするルアーを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
第1の観点では、本発明は、頭部に釣糸取付部(2)を持つネズミ形のボディ(1)と、前記ボディ(1)に対する角度を変え得るようにヒンジ(5,6)で前記ボディ(1)の左面及び右面に取り付けられた耳(7,8)とを具備し、前記耳(7,8)は、尻部から頭部への空気流によりボディ(1)に対する角度が小さくなると共に頭部から尻部への水流によりボディ(1)に対する角度が大きくなることを特徴とするルアー(100)を提供する。
上記第1の観点によるルアー(100)では、キャスティング時に空中を飛翔している間は尻部から頭部への空気流となるので、ボディ(1)に対する耳(7,8)の角度が小さくなる。よって、空気抵抗により飛距離が短くなったり、方向が曲がったりすることがない。すなわち、狙ったポイントに正確にキャスティングできるようになる。
一方、リトリーブ時には頭部から尻部への水流となるので、ボディ(1)に対する耳(7,8)の角度が大きくなる。よって、ボディ(1)が揺動し、魚を食い付かせやすくすることが出来る。
【0012】
第2の観点では、本発明は、第1端に釣糸取付部(2)を持つボディ(1)と、前記ボディ(1)に対する角度を変え得るように前記ボディ(1)に取り付けられ且つ前記ボディ(1)の第2端から第1端への空気流によりボディ(1)に対する角度が小さくなると共に第1端から第2端への水流によりボディ(1)に対する角度が大きくなる可動板状体(7,8)とを具備してなることを特徴とするルアー(100)を提供する。
上記第2の観点によるルアー(100)では、キャスティング時に空中を飛翔している間は第2端から第1端への空気流となるので、ボディ(1)に対する可動板状体(7,8)の角度が小さくなる。よって、空気抵抗により飛距離が短くなったり、方向が曲がったりすることがない。すなわち、狙ったポイントに正確にキャスティングできるようになる。
一方、リトリーブ時には第1端から第2端への水流となるので、ボディ(1)に対する可動板状体(7,8)の角度が大きくなる。よって、ボディ(1)が揺動し、魚を食い付かせやすくすることが出来る。
【0013】
第3の観点では、本発明は、上記構成のルアー(100)において、前記ボディ(1)は、動物を模した形であり、前記可動板状体(7,8)は、耳,ヒレ,舌,羽根の少なくとも一つを模した形であることを特徴とするルアー(100)を提供する。
上記第3の観点によるルアー(100)では、耳,ヒレ,舌,羽根を持つ動物に似せた形にしたので、例えばフィッシュ・イータ(魚食性の魚)や食虫魚に対する誘引能力をより高めることが可能となり、釣果の向上を期待できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態にかかるプラグタイプのルアーを示す上面図である。図2は、図1の左側面図である。図3は、図1の底面図である。図4は、図1の正面図である。図5は、図1の後面図である。図6は、図1のA−A’断面図(縦断面図)である。
【0016】
このルアー100は、図示しないライン(釣糸)を取り付けるためのアイレット2を頭部に持つネズミ形のボディ1と、フック(釣針)H1,H2を取り付けるためのアイレット3,4と、前記ボディ1に対する角度を変え得るようにヒンジ5,6でボディ1の左面及び右面に取り付けられた耳7,8とを具備して構成されている。
【0017】
耳7,8は、ヒンジ5,6でボディ1に取り付けられているため、ボディ1に対する角度が可変である。図1〜図6は、角度が最も小さくなった状態(以下、閉じた状態という)を表している。また、図7〜図9は、角度が最も大きくなった状態(以下、開いた状態という)を表している。
【0018】
ボディ1の材料は、例えばABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂や,バルサや,堅いウッドである。
耳7,8の材料は、例えばABS樹脂や,ポリカーボネートである。
【0019】
次に、前記ルアー100を使用したフィッシングの手順について説明する。
(1)アングラーは、ロッドRに装着されたリールEに巻き付けられたラインLの先端をルアー100のアイレット2に結ぶ。図10に示すように、ルアー100を垂らした状態では、重力により耳7,8は開いた状態になる。
(2)アングラーが、ロッドRを振ってキャスティングすると、極く初めは頭部を先にして飛ぶが、ラインLを引っ張って飛ぶため、図11に示すように、途中からは尻部が先になって飛ぶ。この状態になると、尻部から頭部への空気流になるため、耳7,8が閉じる。よって、空気抵抗が小さくなり、飛距離を伸ばすことが出来る。また、方向が曲がることもなくなる。
【0020】
(3)リールEにラインLを巻き取ってリトリーブすると、図12に示すように、頭部から尻部への水流になるため、耳7,8が開く。これにより、水抵抗でボディ1が揺動する。また、水面では、“パシャパシャ”といった水をはじく音を発生させる。これにより、魚Fを引きつけることが出来る。なお、ロッドRをあおるテクニックを併用すれば、ボディ1をよじらせて耳7,8の一方だけを水に接触させることが可能となり、パシャ音に加えて、バス音を発生させることも出来る。さらに、ストップ&ゴー(リーリングをしては止めるという動作)を行うことで、耳7,8がひらひらと開閉するため、魚Fを誘惑する能力をさらに高めることが出来る。
【0021】
なお、ボディ1をネズミ以外の動物(例えば、魚や虫)を模した形にし、耳7,8の代わりにヒレ,舌,羽根などの板状体を模した形にしてもよい。
【0022】
【発明の効果】
本発明のルアーによれば、キャスティング時や着水後に沈んでいく間はボディに対する耳の角度が小さくなり、空気抵抗により飛距離が短くなったり、方向が曲がったりすることがなくなる。すなわち、狙ったポイントに正確にキャスティングできるようになる。また、リトリーブ時にはボディに対する耳の角度が大きくなり、ボディが揺動し、魚を食い付かせやすくすることが出来る。また、耳を必要に応じて畳めるので、タックルボックス(道具箱)や輸送容器内で場所を取らない利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるルアー(耳を閉じた状態)を示す上面図である。
【図2】図1の左側面図である。
【図3】図1の底面図である。
【図4】図1の正面図である。
【図5】図1の後面図である。
【図6】図1の縦断面図である。
【図7】耳を開いた状態のルアーの上面図である。
【図8】図7の左側面図である。
【図9】図7の正面図である。
【図10】キャスティング前の状態を示す説明図である。
【図11】キャスティングによりルアーが飛翔中の状態を示す説明図である。
【図12】リトリーブ時のルアーの状態を示す説明図である。
【図13】従来のルアーの一例を示す模式図である。
【図14】図13のルアーの動きを示す説明図である。
【符号の説明】
100 ルアー
1 ボディ
2,3,4 アイレット
5,6 ヒンジ
7,8 耳
H1,H2 フック
L ライン
Claims (3)
- 第1端に釣糸取付部(2)を持ち前記第1端と反対側の端部である第2端および中央の少なくとも一方にフック取付部(4,3)を持つボディ(1)と、前記ボディ(1)に対する角度を変え得るように且つ前記第1端と前記第2端を結ぶ軸線に対称に前記ボディ(1)に取り付けられ且つ前記第1端と反対側の端部である第2端から前記第1端への空気流によりボディ(1)に対する角度が小さくなると共に前記第1端から前記第2端への水流によりボディ(1)に対する角度が大きくなる可動板状体(7,8)とを具備してなることを特徴とするルアー(100)。
- 請求項1に記載のルアー(100)において、前記ボディ(1)は、動物を模した形であり、前記可動板状体(7,8)は、耳,ヒレ,舌,羽根の少なくとも一つを模した形であり、前記第1端は前記動物の頭部であり、前記第2端は前記動物の尻部であることを特徴とするルアー(100)。
- 請求項1に記載のルアー(100)において、前記ボディ(1)は、ネズミを模した形であり、前記可動板状体(7,8)は、耳を模した形であり、前記第1端は前記ネズミの頭部であり、前記第2端は前記ネズミの尻部であることを特徴とするルアー(100)。
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