JP3920284B2 - フェノール樹脂硬化物の再生利用方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フェノール樹脂硬化物を再生利用して作製した成形体および真空断熱体に関する。
熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂を加熱硬化させたフェノール樹脂硬化物は、紙、木材などと併用することによって優れた複合材となるため、プリント基板、建材などに大量に使用されている。また、フェノール樹脂は紙成分とともに紙フェノール樹脂組成物としても使用されている。
しかし、このような複合材は、これを使用した製品を廃棄する時や、その製造工程に不良品が生じたときなどに大量に廃棄されている。
そこで、省資源の観点から、前記複合材を再生利用(再資源化)する技術が検討されている。
一般に、これら熱硬化性樹脂を基材とした複合材は、熱不溶融性であるため、原料として再利用または再資源化することは困難である。また、難分解性であるため、化学的に樹脂原料や燃料とすることも難しい。
そのため、現在では、前記複合材は、焼却させたときに生じる熱エネルギーとして再利用することが広く行われている。
一方、原料として有効に利用する方法としては、熱可塑性樹脂からなる廃材と熱硬化性樹脂からなる廃材を粉砕して粉末状にし、得られた粉末を加熱加圧成形することによって再生成形品を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1)。そして、前記再生成形品は、住宅建設資材などの一般的な構造材などに有効に活用されている。
特開平6−23751号公報
しかし、前記従来技術においては、フェノール樹脂硬化物の効率的な再生利用方法が開示されておらず、省資源化という要請を満たしていない。また、フェノール樹脂硬化物は構造材に再利用されているだけであり、リサイクルの付加価値が充分でないという問題がある。
そこで、本発明者らは、鋭意検討の結果、まずフェノール樹脂硬化物の効率的な再生利用方法を開発し、大量に廃棄されるフェノール樹脂硬化物を有用な原料として用い得ることを見出した。
すなわち、本発明の目的は、プリント基板などのフェノール樹脂硬化物を効率的に再生利用する方法を提供し、優れた付加価値を有する成形体を得ることにある。さらに、本発明の目的は、前記成形体を利用した高性能な断熱体を提供することにある。
本発明は、(a)フェノール樹脂硬化物を加熱処理して残さを含む熱分解物を得、(b)前記残さと熱分解物を分離し、ついで(c)前記熱分解物に少なくとも縮合剤、縮合触媒および溶媒を加えて湿潤ゲルを得、該湿潤ゲルを超臨界乾燥して溶媒を除去し、エアロゲルを得る、フェノール樹脂硬化物の再生利用方法に関する。前記超臨界乾燥の抽出溶媒として二酸化炭素を用いるのが好ましい。
本発明によれば、フェノール樹脂硬化物を効率的に再生利用することができ、大量に廃棄されるフェノール樹脂硬化物を有用な原料として用いることができる。さらに、前記方法により、優れた付加価値を有する成形体、および該成形体を利用した高性能な断熱体を提供することができる。
本発明は、(a)フェノール樹脂硬化物を加熱処理して残さを含む熱分解物を得る工程、および(b)前記残さと熱分解物を分離する工程を含み、さらに(c)前記分離した熱分解物を、ゲル化および乾燥することによって成形する工程を含むフェノール樹脂硬化物の再生利用方法により得られる成形体に関する。
ここで、本発明の成形体を得るためのフェノール樹脂硬化物の再生利用方法の工程図を示す図1を参照する。図1に示すように、まず工程(a)においてフェノール樹脂硬化物を加熱処理し、得られる残さを含む熱分解物とし、この熱分解物を再生利用する点に最大の特徴を有する。
そして、前記残さは固体状の炭化物であり、熱分解物はフェノールおよびメチル基含有フェノールなどのフェノール誘導体などからなる液状物であるため、続く工程(b)において分離し、工程(c)において再利用に供するのである。なお、工程(a)および工程(b)を同時に行っても、同様に再利用を行うことができる。
以下に、本発明の成形体を得るためのフェノールの再生利用方法を、各工程ごとに説明する。
まず、工程(a)においては、フェノール樹脂硬化物を加熱処理して残さを含む熱分解物を得る。
ここで用いることのできるフェノール樹脂硬化物としては、特に制限はないが、例えば一般的なレゾール形またはノボラック形のフェノール樹脂を硬化したものなどがあげられる。さらに、フェノール樹脂を、紙、木質、ガラスおよび/またはセラミックスなど他の材料と混合してなる複合材も利用することができる。
特に、プリント基板に用いられる紙フェノール樹脂組成物は、使用量も多く、その廃材の再資源化が重要となっている。プリント基板の廃材を再生利用する場合には、基板に搭載されている部品や銅張りなどはあらかじめ除去しておくと収率が向上して好ましい。
また、前記フェノール樹脂硬化物は事前に粉砕しておくと、加熱処理において容易にフェノール樹脂を分解することができる。フェノール樹脂硬化物を粉砕するには、衝撃、圧縮、摩擦または剪断などの力を加えて行う一般的な手法を用いればよく、例えば、クラッシャー、ミルまたはグラインダーなどを用いることができる。フェノール樹脂硬化物を粉砕して得られる粉末の粒径は、加熱処理に要する時間を短縮することができるという点から、できるだけ小さいほうが好ましい。
この場合、粉砕条件を選択することによって、所望の粒径の粉末を得ることができる。必要に応じて、分級操作などを併用するのがよい。この分級操作として、風力選別、ふるいなどを利用するのが一般的である。
なお、本発明の成形体を得るための再生利用方法によれば、工程(a)における加熱処理によって、複合材を分解した後に部品や銅張りなどを容易に分離することもできる。
加熱処理の方法としては、残さを含む熱分解物を得ることができれば特に制限はないが、気相で行う熱分解法と液相で行う液相分解法を用いることができる。
加熱処理は、300℃以上でフェノール樹脂の分解および炭化が進行するため、300℃以上で行う。作業時間の効率性の観点から、好ましくは400℃以上の温度が適している。
また、加熱温度は、1000℃以上でもよいが、加熱処理に要するエネルギー効率の観点から、1000℃以下の温度で充分である。
さらに、残さから得られる炭化物粉末が完全に炭化させないという点から、800℃以下であるのが好ましい。これは、完全に炭化すると炭化物粉末またはそれによる成形体の熱伝導率が高くなってしまい、断熱材などへの利用が不適になるからである。
気相熱分解法においては、フェノール樹脂硬化物を加熱炉に挿入して行う。
この場合の雰囲気は、空気中でもよいが、500℃以上になると燃焼してしまうため、温度を高く設定するときには、低濃度酸素雰囲気下で行うのが好ましい。本発明における低濃度酸素雰囲気下とは、雰囲気の酸素濃度が0〜10%であることをいう。
したがって、この気相熱分解法は乾留によって行うことができる。また、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、または真空中でも行うことができる。
ここで用いる加熱炉としては、特に制限はないが、一般的な電気炉または雰囲気炉などを使用すればよく、さらに乾留炉、ロータリーキルンなどを使用すると工業的に処理しやすい。
一方、液相分解法においては、フェノール樹脂硬化物を溶剤とともに反応容器に挿入して加熱して分解反応を行う。
ここで用いる溶剤としては、一般的な溶媒を用いることができ、例えば水、メタノールなどのアルコール、エチレングリコールなどのグリコール、フェノールなどのフェノール化合物などがあげられる。
また、分解時に発生するラジカルを安定化させるために、例えばテトラリン、石油系重質油、食用油などの水素供与性溶剤を用いてもよい。さらに、必要であれば、水素ガスを供給してもよい。
反応容器としては、加熱時に溶剤の蒸気圧が上昇するために耐圧容器を使用する。
加熱時には、窒素などの気体によって加圧しておくと優れた効果を奏し得る。さらに、分解反応を促進するために、酸化鉄、酸化銅などの分解触媒を加えてもよい。
次に、工程(b)においては、工程(a)において得られた残さを含む熱分解物を、固体状の炭化物である残さと液状物である熱分解物とに分離する。
電気炉、雰囲気炉、乾留炉などの気相における加熱処理の場合には、熱分解物をガスとして加熱炉中から放出されるため、このガス状熱分解物を冷却して回収することにより炉内の残さと分離することができる。このときの冷却は、例えば加熱炉に水冷、空冷などのコールドトラップを設置して行うことができる。
また、液相における加熱処理の場合は、熱分解物を液状として回収できるため、ろ過、洗浄、抽出などの操作により残さと分離することができる。
工程(b)において分離した熱分解物は、工程(c)において成形することによって再利用する。
ここで、工程(b)で分離した熱分解物をゲル化および乾燥することによって成形する工程(c)について説明する。
具体的には、前記熱分解物に少なくとも縮合剤、縮合触媒および溶媒を加えて湿潤ゲルを得、該湿潤ゲルを乾燥して溶媒を除去して成形体を製造する。
ここでは、溶媒中で液状の熱分解物に縮合剤を反応させ、付加、縮合、さらには架橋して形成された微小粒子が集合してなるネットワーク骨格の湿潤ゲルを形成させる。
この際、反応を促進するために通常は加熱するのが好ましい。この場合の加熱温度は、用いる溶媒によって異なるが、例えば40〜200℃の範囲であればよく、100℃以下であるのが好ましい。
また、原料の選択、熱分解物の組成、反応条件などによって、得られる成形体の多孔度、密度などの物性を制御することができる。
縮合剤としては、アルデヒド化合物が適している。特に、ホルムアルデヒドが反応性が良いために好ましい。アルデヒド化合物は、縮合触媒の存在下で前記熱分解物に反応してメチロール基を付加したり、さらに縮合してメチレン結合によって重付加縮合反応しノボラック化したりする。
このようなアルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、加熱によってホルムアルデヒドを生成するパラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミンなどがあげられる。
縮合触媒としては、塩基触媒および/または酸触媒を用いる。塩基触媒は主にメチロール基などの付加反応を進行させ、酸触媒は主にメチレン結合などの重付加縮合反応を進行させる。本発明においては、前記熱分解物を良好に湿潤ゲルとするために、縮合触媒として塩基触媒を使用してゲル化を促進させるのが適している。塩基触媒としては、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸化物、アミン、アンモニアなど、一般的なフェノール樹脂製造用の触媒を用いることができる。
さらに、必要であるときには、ゲル骨格の強度を高めることによって、続く乾燥工程をスムーズに進行させるために、得られた湿潤ゲルを酸触媒の添加によって架橋するエージングを行うのも好ましい。この場合の酸触媒としては、硫酸、塩酸、りん酸、しゅう酸、酢酸、トリフルオロ酢酸など、一般的なフェノール樹脂製造用の触媒を用いることができる。
溶媒としては、前記熱分解物を溶解または分散することができるものであれば特に制限はない。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノールまたはブタノールなどのアルコール、エチレングリコールまたはプロピレングリコールなどのグリコールなどがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または混合して用いることができる。
さらに、ゲル化において、湿潤ゲルのゲル骨格の強度を高めて乾燥工程をスムーズに進行させるために、フェノール化合物を加えてもよい。このようなフェノール化合物としては、例えばフェノール、クレゾール、レゾルシン(1,3−ベンゼンジオール)、またはサリチル酸、オキシ安息香酸などのフェノールカルボン酸などを用いることができる。
前記熱分解物に少なくとも縮合剤、縮合触媒および溶媒を加え、従来公知の方法によって混合、撹拌することによって湿潤ゲルを得ることができる。
ついで、得られた湿潤ゲルの溶媒を除去して乾燥ゲル状態の微小な孔を多数有する成形体を得る。乾燥方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、超臨界乾燥などを用いることができる。ここでは、湿潤ゲルから溶媒が除去される際にゲル骨格の細孔内に生じる乾燥の応力によって、ゲルのネットワーク骨格がなるべく収縮して壊れないような方法や条件を選択することが重要である。
前述のゲル化やエージングにおいて充分な強度の骨格が形成されていれば、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥を用いることができる。
しかし、より効率的には、細孔内に乾燥の応力が発生しない凍結乾燥あるいは超臨界乾燥が適している。凍結乾燥では、凍結時のネットワークの破壊に注意する必要があることから、特に超臨界乾燥が好適である。これらの方法で得られる成形体はエアロゲルに分類される。
また、超臨界乾燥法としては、ゲル中の溶媒そのものの臨界点以上の温度、圧力で操作して乾燥する方法、ゲル中の溶媒を抽出溶媒で置換したのちに超臨界状態から乾燥する方法、ゲル中の溶媒と抽出溶媒との混合系の超臨界状態から抽出除去して乾燥する方法がある。
超臨界乾燥の抽出溶媒としては、水、二酸化炭素、メタノール、エタノールなどのアルコール、炭化水素などを用いる。二酸化炭素は、比較的低温で超臨界となるためにゲル骨格の変質などを防ぐことができ、また不燃性であるために作業性に優れているので、好ましく用いることができる。
乾燥に供する湿潤ゲルは、あらかじめ所望する成形体のサイズに調節しておいてもよいが、収縮を生じることがあるために、通常は乾燥した後に成形するのが好ましい。湿潤ゲルは、ブロック形状のバルク体として行うことができる。さらに、乾燥を敏速に行うために、湿潤ゲルを粒状、粉状または繊維状にしてから乾燥してもよい。
このように前記湿潤ゲルを乾燥して得られる成形体は、多数の微小な孔を有しており、ガスバリア性容器に充填することによって優れた断熱体を提供する。この場合の断熱体の製造方法としては、前記成形体をガスバリア性容器に充填した後、真空排気して封止する。
前記ガスバリア性容器としては、真空封止したときに内部の真空度を保持できるものであれば特に制限はない。例えば、鋼鉄、銅、アルミニウムおよびステンレスなどの金属材料、ガラス、陶器などの無機材料を加工して成形したものが利用できる。
また、通気性の低いテフロン(ポリフッ化エチレン)などのフッ素系樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂などのビニルアルコール系樹脂、ポリアクリロニトリルなどのアクリロニトリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ナイロンなどのポリアミド樹脂、およびポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂などを単独で、または積層して複合化したものを用いることができる。
さらに、これらの樹脂からなる層に金属箔を接着したり、金属、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物を蒸着したりしてガスバリア性を高めた多層構造のラミネートフィルムなども好適に用いることができる。
真空断熱体内部の真空度は、容器内に充填する成形体の平均粒径、粒度分布などによって異なるが、100Torr以下であるのが好ましく、10Torr以下であればより好適である。このときの真空断熱体の常温での熱伝導率は、0.015kcal/mh℃以下であり、条件によっては0.01kcal/mh℃以下となり、優れた断熱性能を有するようになる。
容器を真空封止する直前に、ガスバリア性容器内を乾燥処理し、水分などを除去しておくとより効果的である。
また、真空断熱体の断熱性能を長期間保持するため、密閉容器内に生成する気体成分、主として、窒素、酸素、二酸化炭素および水蒸気などの空気成分を吸着する吸着剤を一緒に封入しておくとよい。
この吸着剤には、物理的、化学的に気体を吸収する一般的なものを用いることができる。例えば、窒素に対しては、真空ゲッタ材であるリチウム系、バリウム系、チタン系またはジルコニウム系の合金、リチウム−バリウム系合金などを用いるのが効果的である。
酸素に対しては、鉄粉、無水硫酸第一鉄などの鉄系脱酸素剤、チタン系脱酸素剤、マグネシウム系脱酸素剤およびサルコミン系コバルト錯体などの酸素吸収剤を用いるのがよい。
水素に対してはパラジウム微粉などを用い、アルゴンなどの希ガスに対してはモレキュラーシーブス(分子ふるい)などが好適に用いられる。
二酸化炭素に対しては、物理的吸着剤としてモレキュラーシーブス、ゼオライトおよび活性炭などがあげられる。化学的吸着剤として、金属無機化合物、有機化合物、ソーダ灰、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムおよび水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、エタノールアミン系のアミン化合物、および遊離アミノ基を担持した固体物質などがあげられる。
水分に対しては、ゼオライト、モレキュラーシーブス、塩化カルシウム、酸化カルシウム、硫化カルシウム、無水硫酸マグネシウム、五酸化リンおよび吸水性高分子など一般的に知られている吸湿、吸水材料の水分吸着剤を用いることができる。
有機ガス成分に対しては、活性炭、モレキュラーシーブス、ゼオライト、シリカおよびアルミナなどの各種の吸着剤を用いることができる。
ここで、工程(c)において得られる微小な孔を多数有する成形体を用いた断熱体について詳しく説明する。
本発明で得られる成形体は、前述のように、フェノール樹脂分解物が縮合剤と反応して付加、縮合、さらには架橋した微小粒子が集合してゲル骨格を形成している。そのため、ゲル骨格のネットワークは、微小な孔を形成してなる多孔質構造である。その物性は、密度が低く、優れた断熱性能を有しており、そのまま断熱体として利用できる。
前記成形体としては、ブロック形状のバルク体の場合には、そのまま断熱体として利用できる。また、粒状、粉状、繊維状の場合には、前記成形体を容器に充填することによって形状保持して用いるのが、任意の形状に対応できるために実用的である。
また、前記成形体は、使用環境によっては、ゲル骨格が水酸基を含むため吸湿による物性低下を起こしやすいこともある。このために、容器中に充填することによって対策することができる。容器としては、前述のように形状を保持できればいかなる材料からなってもかまわないが、防湿性を持たせると信頼性が高くなるので好ましい。
本発明で得られる断熱体において、優れた断熱性能を得るには、成形体の密度が500kg/m3以下、平均空孔直径が1μm以下であるのが好ましい。さらに、特に優れた断熱性能を得るには、前述のガスバリア性容器を使用して、真空排気して封止することによって真空断熱体を得る。
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに制限されるものではない。
本発明のフェノール樹脂硬化物の再生利用方法における工程(c)により断熱体を製造する場合について説明する。
図2に、工程(c)において得られる成形体(微小多孔体)の断面図を示す。フェノール樹脂硬化物を加熱処理工程によってフェノール樹脂分解物を得る。この分解物に、少なくとも縮合剤、縮合触媒、および溶媒を加えて縮合処理するゲル化工程によって湿潤ゲルを得る。この湿潤ゲルをブロック形状にしてから、乾燥して湿潤ゲルの溶媒を除去し、乾燥ゲル状態の成形体(微小多孔体)7を得る。
こうして得られるバルク状微小多孔体7は、フェノール樹脂の熱分解物が縮合剤と反応して付加、縮合、さらには架橋した微小粒子が3次元的に集合してゲル骨格を形成したものであり、乾燥して溶媒が除かれた際に多くの微小な空孔8を形成してなる低密度の多孔質構造である。
図3に、本発明で得られる別の成形体(微小多孔体)の断面図を示す。フェノール樹脂硬化物を図1の工程(c)にしたがって作製する。その際、ゲル化によって得られる湿潤ゲルをビーズ状に造粒した後、乾燥することによって粉状の成形体(微小多孔体)9となる。
この成形体9は、多くの微小な空孔を有しており、低密度な乾燥ゲル状態である。断熱体として利用する場合には、形態保持するために容器の中に充填して使用するか、バインダー等を用いて任意の形状に成形して使用する必要がある。
図4に、本発明で得られる成形体(微小多孔体)を用いた断熱体の断面図を示す。
フェノール樹脂硬化物から得られる成形体(微小多孔体)10を容器11に充填し、容器蓋12で密閉する。こうして形状保持することによって断熱体が構成される。容器11および容器蓋12として金属−プラスティックフィルムなどのガスバリア性材料を用いて、これに成形体を充填して真空排気して封止することによって、優れた断熱性能を有する真空断熱体を提供できる。
《実施例1》
使用済み製品から回収した紙フェノール樹脂組成物を基材とするプリント基板をクラッシャー式粉砕機によって粗砕し、部品や銅などの金属類を分離分別した。得られた数cmサイズのフェノール樹脂硬化物を雰囲気炉に挿入しておき、窒素気流下600℃で1時間の加熱処理を行った。炉内の残さを回収するとともに、気化した熱分解物を冷却して回収することによって、フェノール樹脂の熱分解物を得た。
この熱分解物4重量部に、縮合剤としてホルムアルデヒド37%水溶液5重量部、および縮合触媒として塩基触媒炭酸ナトリウム0.04重量部を混合し、さらに溶媒として水100重量部を混合し、60℃にて充分に撹拌した後に、約90℃で1週間かけてゲル化を行った。得られた褐色の湿潤ゲルを酸触媒のトリフルオロ酢酸を含むアセトン中に放置することにより、エージングして架橋を促進させたのち、溶媒の水をアセトンで置換、抽出した。
溶媒をアセトンに置換したパネル形状の湿潤ゲルを耐圧容器に封入し、20℃において液体二酸化炭素を入れてから昇温して、45℃で約90気圧の超臨界二酸化炭素にて置換した。この後圧力を解放して乾燥し、微小な孔を多数有する成形体を得た。
得られた成形体は、密度約250kg/m3、細孔の平均空孔直径約40nmのエアロゲルであった。このパネル形状の成形体の熱伝導率は、平均温度24℃において0.015kcal/mh℃であった。この値は、一般的な断熱材であるグラスウール(熱伝導率;約0.03kcal/mh℃)の約1/2の値であり、優れた断熱性能を有していた。
《実施例2》
使用済み製品から回収した紙フェノール樹脂組成物を基材とするプリント基板をクラッシャー式粉砕機によって粗砕し、部品や銅などの金属類を分離分別した。得られた数mmサイズのフェノール樹脂硬化物を溶剤のテトラリンおよび酸化鉄触媒と共に耐熱容器に挿入しておき、加熱温度430℃、窒素圧20気圧で1時間の加熱処理を行った。ろ過によって残さを除いて分離回収することによって、熱分解物を得た。
上記の熱分解物3重量部に、縮合剤としてホルムアルデヒド37%水溶液6重量部、縮合触媒として塩基触媒炭酸ナトリウム0.05重量部、およびフェノール類化合物としてレゾルシン2重量部を加え、さらに溶媒として水およびイソプロパノールを各50重量部混合し、室温にて充分に撹拌した後に、約90℃で1週間かけてゲル化を行った。得られた湿潤ゲルを酸触媒の無水しゅう酸を含むアセトン中に放置することにより、エージングして架橋強化を促進するとともに、溶媒の水およびイソプロパノールをアセトンで置換、抽出した。
溶媒をアセトンに置換した湿潤ゲルを直径約1mm以下に粉砕してから、耐圧容器に封入し、20℃で液体二酸化炭素を入れてから昇温して、70℃で約150気圧の超臨界二酸化炭素にて置換した。この後圧力を解放し、乾燥して微小な孔を多数有する成形体を得た。
得られた成形体は、密度約150kg/m3、細孔の平均空孔直径約50nmのエアロゲルであった。この粉状の成形体をABS樹脂製のパネル形状の容器に充填して断熱体を構成した。この熱伝導率は、平均温度24℃において0.013kcal/mh℃であった。この値は、一般的な断熱材であるグラスウール(熱伝導率;約0.03kcal/mh℃)の約1/2以下であり、優れた断熱性能を有していた。
《実施例3》
紙フェノール樹脂組成物を基材としたプリント基板の製造時の端材を原料として用いた。このフェノール樹脂硬化物に、実施例1と同様に加熱処理、ゲル化、およびエージングを施した。乾燥は、溶媒をアセトンに置換した湿潤ゲルを室温で1週間自然乾燥した後に、約50℃の恒温槽中で充分にアセトンを除去して微小な孔を多数有する成形体を得た。
得られた成形体は、密度約500kg/m3、細孔の平均孔径約25nmであった。この成形体を120℃で乾燥処理を行った後に、アルミ/ポリエチレンテレフタレートラミネートフィルムで構成されたパネル状のガスバリア性容器の中に充填した。さらに、真空ポンプを用いて、排気到達真空度1Torrまで排気した後に密閉して真空断熱体を得た。真空断熱体の熱伝導率を測定した結果、平均温度24℃において0.006kcal/mh℃であった。この値は、一般的な断熱材であるグラスウール(熱伝導率;約0.03kcal/mh℃)の約1/5であり、優れた断熱性能を有していた。
以上のように本発明のフェノール樹脂硬化物の再生利用方法における工程(c)によれば、プリント基板などのリサイクルの難しいフェノール樹脂硬化物から新たに断熱性能という機能を付加した成形体をうることができ、廃材を有効に再資源化することができる。さらに、得られた成形体を用いて、優れた断熱性能を有する断熱体を提供することができる。
本発明のフェノール樹脂硬化物を再生利用して作製した成形体は、真空断熱体に適用することができる。
本発明のフェノール樹脂硬化物の再生利用方法の工程図である。 本発明の一実施例におけるバルク状微小多孔体の断面図である。 本発明の一実施例における粉状微小多孔体の断面図である。 本発明の一実施例における成形体を用いた断熱体の断面図である。
符号の説明
7 成形体(バルク状微小多孔体)
8 空孔
9 成形体(粉状微小多孔体)
10 成形体(微小多孔体)
11 容器
12 容器蓋

Claims (2)

  1. (a)フェノール樹脂硬化物を加熱処理して残さを含む熱分解物を得、(b)前記残さと熱分解物を分離し、ついで(c)前記熱分解物に少なくとも縮合剤、縮合触媒および溶媒を加えて湿潤ゲルを得、該湿潤ゲルを超臨界乾燥して溶媒を除去し、エアロゲルを得る、フェノール樹脂硬化物の再生利用方法
  2. 前記超臨界乾燥の抽出溶媒として二酸化炭素を用いた、請求項1に記載のフェノール樹脂硬化物の再生利用方法
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