JP3919097B2 - 眼鏡レンズの両眼視性能表示方法及びその装置 - Google Patents
眼鏡レンズの両眼視性能表示方法及びその装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、眼鏡レンズの両眼視性能を直接評価可能な形で表示する眼鏡レンズの両眼視性能表示方法並びにその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
眼鏡レンズ性能表示方法としては、左右の各レンズについて、レンズ表面の平均度数と非点収差を求め、その分布をレンズ表面上の等高線で表す方法等が知られている。
【0003】
しかしながら、レンズ表面の平均度数とレンズ表面の非点収差は、通常レンズ表面の曲面性能をあらわすだけもので、レンズを通して外界を観察するときの性能を直接あらわすことはできない。眼鏡装用者の視力でレンズを通して外界を観察するときの性能を考慮にいれた方法として、本発明者は、眼鏡レンズを通して3次元の外界を観察したときの見え方をシミュレーションする眼光学系のシミュレーション方法を提案している(例えば特許文献1参照)。この方法は、眼の網膜面に投影される光学像ではなく、視野内の全ての物体点に対して眼球を回旋させ、中心窩で捕らえた像を繋ぎ合わせた像として定義される回旋網膜像を作成して用いる方法である。回旋網膜像は眼鏡レンズを通して眼によって知覚される像に近似する。
【0004】
回旋網膜像及びその動画像は、眼鏡レンズを通して外界を見るときに感じるゆれ歪み、ボケをあらわすことができる。しかしながら、回旋網膜像は、画像内の各物体点を見るときのレンズ結像性能を画像に反映した結果であって、結像性能そのものを直接あらわしたものではない。例えば、画像の輝度変化が少ない部分では、PSFが異なっても回旋網膜像が同様の結果になることもある。そして、画素数の少ない原画像の場合では、広がり範囲の小さいPSFを完全に反映することができない。しかも、これらは両眼視の場合についてのものではない。
上記の問題を解決するために、本発明者は、レンズを通して外界を観察する時の眼鏡レンズ性能を表示し、性能指数を直接評価可能に表示する方法を提案した(例えば、特許文献2参照)。この性能指数には、明瞭指数のみではなく、平均度数エラー、残留非点収差、変形指数等も含まれる。また、本発明者は、眼鏡を装着した時の、眼鏡レンズを通して、両眼で見えるものをシミュレーションする方法を提案した(例えば特許文献3参照)。その画像を、両眼協働回旋網膜画像と呼ぶ。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−107129号公報(特許請求の範囲、[0006]〜[0013])
【特許文献2】
特開2002−14006号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開2002−45336号公報(特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、網膜回旋画像(RRI)および性能指数分布画像は、単眼視に基づいており、人間は通常、両眼で見るので、単眼視性能を使用しただけでは視力性能を評価するには、充分でない。また、単眼回旋網膜像と同様、両眼協働回旋網膜像にも、視力性能そのものを表すのは難しいという問題がある。
【0007】
本発明は、単に、単眼視から両眼視を類推するだけでなく、両眼で見るときの視力性能に影響を与える多数の要素を考慮することによって眼鏡レンズの両眼視性能を評価して視覚的に理解可能な形で表示することを可能にする眼鏡レンズ両眼性能表示方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、
左右両眼鏡レンズを通して視野を観察したときの眼鏡レンズの両眼視性能を表示する方法及び装置であって、視野内のある物体点を見るときの眼鏡レンズの両眼視性能を表わす両眼視性能指数を定義し、前記視野に分布する複数の物体点について、両眼視性能指数を求め、得られた両眼視性能指数の大きさを視覚的理解可能な形で表示することを特徴とする眼鏡レンズ両眼視性能表示方法および装置を提供する。
【0009】
【発明の実施形態】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1にかかる眼鏡レンズ両眼視性能指数分布画像作成の流れを示す図、図2は裸眼視野の座標系を示す図、図3は両眼協働回旋方向の定義を示す図、図4は眼鏡レンズを通して見る視野の座標系を示す図、図5は両眼輻輳角と上下斜位(左右視線上下のズレ)角の定義を示す図、図6は両眼視変形指数(点変形指数)の定義を示す図、図7はNavarro模型眼の光学パラメータ(非調節状態)を示す図、図8はNavarro模型眼の光学パラメータの調節パワー依存式を示す図、図9はPSFの説明図、図10は物体を見るときの眼鏡眼球光学系を示す図、図11は入射瞳の分割法を示す図である。以下、これらの図面を参照にしながら本発明の実施例1にかかる眼鏡レンズ両眼視性能表示方法を説明する。
【0010】
この実施例にかかる眼鏡レンズ両眼視性能指数表示方法は、視野内のコンピュータグラフィックスによって作成した三次元物体を、目の前の眼鏡レンズを通して見たときの眼鏡レンズ両眼視性能指数の分布を静止画像として作成し表示する方法である。ここでは、その画像を両眼視性能指数分布画像と呼ぶ。両眼視性能指数分布画像は、視野のデジタル画像であって、その画像の各画素に対する、濃淡値またはRGB三原色輝度は、物体点の実際の色または輝度を表さず、左右眼鏡レンズを通して両眼でその物体点を見たときの両眼視性能指数値を表す。
両眼視性能指数は抽象概念であり、数種の量または値で具体化できる。左右眼鏡レンズの矯正パワーエラー、両眼明瞭指数、両眼点変形指数等のような、単眼視からの類推値もあり、また、両眼視上下斜位角、輻輳値と調節度数との乖離、不等像指数などのような、両眼視独自のものももある。
視野画像にも、いくつかの種類がある。例えば、原画像は裸眼で見たときの画像であり歪みを含まず、光学系の物体空間における画像としてみなすこともできる。また、歪み原画像、すなわちレンズによる歪みを含む画像は、光学系の画像空間における画像としてみなすこともできる。さらに、特別な種類の視野画像もある。例えば、視野内の対応する物体点を、眼鏡レンズ(左右)表面上のどの位置を通って見るかを、その横座標、縦座標が表す画像である。この画像は、レンズ性能に問題がある場合に、直接その位置を決めるのに役立つことがある。
実施例1にかかる眼鏡レンズ両眼視性能指数の分布の作成は、大きく分けて、(1)原画像作成工程、(2)歪み原画像作成工程、(3)眼鏡フレーム位置取得工程、(4)両眼視性能指数取得工程、(5)両眼視性能指数分布画像作成工程、とからなる。
【0011】
(1) 原画像作成工程
この工程は、仮想三次元空間内にコンピュータグラフィックスによる仮想物体を作成して配置し、仮想三次元空間内の特定の位置に両眼回旋中点を置き、この両眼回旋中点を頂点とし且つ特定の中心視線の方向を中心軸とする特定視野角錐範囲に入る仮想物体の画像を原画像として作成するとともに、原画像の全ての画素に対応する物体点のそれぞれについて、物体点位置と両眼回旋中点との距離である物体点距離を求める工程である。以下詳細に説明する。
【0012】
▲1▼ 原画像の基礎となる仮想物体の作成
まず、周知のコンピュータグラフィックスの手法によって、仮想三次元空間に仮想物体を作成して配置する。例えば、仮想室内に仮想の机、椅子、家具等を配置し、あるいは、仮想野外に仮想花壇、樹木、標識等を配置する。
【0013】
▲2▼ 原画像の作成
仮想三次元空間の特定の位置に左右眼球各単眼回旋中心点の中点である両眼回旋中点を置く。その後、両眼回旋中点を頂点とし且つ特定の中心視線の方向を中心軸とした特定角錐範囲である視野内にある仮想物体の画像を原画像として作成する。すなわち、図2に示されるように、左右眼球回旋中心点OL及びORの中点である両眼回旋中点Oを頂点とし,且つOLORと垂直な中心視線方向OAを中心軸とした四角錐A1A2A3A4を視野と設定し、その視野内の画像を作成し原画像とする。Oを原点としAOをx軸とした直交座標系における、視野四角錐内の任意の物体点P(x,y,z)の原画像座標は、μ=y/x,ν=z/xとする。視野内の各物体点をこのように画像に投影すると空間上任意の直線が常に画像上直線として映るので、歪みのない投影になる。この投影法で各物体点を表した画像を原画像とする。
▲3▼ 物体点距離の取得
また、原画像作成工程では、物体点P(x,y,z)から両眼回旋中心点Oまでの距離、すなわち物体距離をも座標値から求める。
【0014】
(2) 歪み原画像作成工程
この工程は、眼鏡レンズを通して原画像視野を見るときに生じる歪みを含めた画像を作成するとともに、各物体点を見るときに使用する眼鏡レンズ表面位置を求める。両眼視による物体点の位置は、両眼協働回旋方向で表す。従って、両眼協働回旋向の定義は両眼空間感覚を決める鍵である。本発明者の研究によれば、両眼協働回旋方向の定義は以下の原則を守るべきである。
【0015】
* 左右両眼それぞれの回旋方向から決まる両眼協働回旋方向は唯一である。
* 左右両眼それぞれの回旋方向の変化に伴って、両眼協働回旋方向は連続的に変化する。
* 両眼協働回旋方向に基づく空間感覚は、左右単眼のそれより著しく逸脱しない。
両眼協働回旋方向の定義方法のひとつに、Hering法則を利用する方法がある。Hering法則とは、Hering氏が1868年に提唱した法則で、左右両眼が常に同量、同一または反対方向に回旋するというものである。つまり、空間上任意一点を見るための両眼回旋運動は、同側性眼球運動(Version)と異側性眼球運動(Vergence)の二項に分解できる。
【0016】
図3に示されるように、P点を見るときの両眼それぞれの回旋は、両眼同一方向へ同角度ζの回旋であるVersionと、両眼球回旋中心とPの三点を含む平面である視線平面における反対方向へ同角度β/2の回旋であるVergenceとに分けることができる。同側性眼球運動(Version)方向を両眼協働回旋方向として定義する場合、その方向は左右両眼球回旋方向の角二等分線上にある。つまり、左右両眼回旋方向の単位ベクトルがそれぞれ
【数1】
とすると、両眼協働回旋方向の単位ベクトルは
【数2】
である。なお、βは輻輳角である。
【0017】
Hering法則は左右両眼を完全に平等であると仮定しているが、実際には程度差こそあれ、どちらかの眼を主に用いるという効き目現象がある。したがって、この発明では、効き目係数kを導入し、両眼協働回旋方向の単位ベクトルは
【数3】
であると提案する。ここで,0≦k≦1である。
左右視線間の角二等分線方向をもって両眼協働回旋方向と定義すると、裸眼でもすべての物体点への両眼協働回旋方向の延長線が一点に交わらないという欠点があり、物体の形は裸眼の場合にもすでに変化しているため、変形を新たに定義する必要が生じる。
その影響を避けるため、本発明者は、両眼協働回旋についての新たな定義を導入した。両眼協働回旋方向は、左右眼球視線の交点である輻輳注視点Pと両眼球回旋中心の中点Oと結ぶ方向と定義する。裸眼の場合、この輻輳注視点は物体点と完全に一致する。
【0018】
眼鏡レンズを通して物体点を見るときの両眼協働回旋方向決定には、眼鏡レンズによる屈折効果を考慮しなくてはならない。左眼および右眼回旋方向は、必ずしも物体点方向に向かわず、眼鏡レンズのそれぞれの後面を通過後の各単眼主光線方向、つまり、各単眼回旋方向に向かう。ここで、物体点から出射し、眼鏡レンズを通って単眼回旋中心点に向かう光線を単眼主光線と定義する。従って、裸眼の場合の、左右両眼球回旋方向より両眼協働回旋方向を求めることができる。ところが、眼鏡レンズを通して物体点を見るときの、右眼回旋中心点ORから右眼回旋方向に向かう右眼視線と、左眼視線とは、必ずしも一点に交わるとは限らない。図5に示されるように、右眼球回旋方向
【数4】
とOROLを含む平面である右眼視線平面と、左眼球回旋方向
【数5】
とOROLを含む平面である左眼視線平面とは一致しない。この場合の輻輳注視点P’を再定義しなくてはならない。
【0019】
この発明では、左右両眼球回旋方向
【数6】
との角二等分線方向
【数7】
とOROLを含む平面を両眼協働視線平面と定義する。左右両眼回旋方向
【数8】
の両眼視視線平面上への投影は、互いに交点P’で交わらなくてはならない。そして、交点P’を輻輳注視点と定義する。両眼協働回旋方向は、左右両眼球回旋方向
【数9】
との角二等分線方向
【数10】
又は中点OとP’を結ぶ方向と定義できる。
原画像視野及び眼鏡レンズを通してみた時の視野、あるいは眼鏡レンズ通過後視野内のある物体点の位置はすでに定義した。歪み原画像は、対応する物体点の、原画像視野から眼鏡レンズ通過後視野への位置変化によって決まる新たな位置へ、原画像における各画素が、置き換えられた画像である。
視野中心の物体点は、原画像視野からレンズ通過後視野へその位置を変えることはできない。これに対応する、この物体点を見るときの単眼視、両眼視、左眼、右眼の、回旋方向及び主光線を、「中心」という形容詞をつけて呼ぶ。例えば、中心両眼協働回旋方向、あるいは右眼中心主光線などである。原画像視野においても、眼鏡レンズ通過後視野においてと同様、中心両眼協働回旋方向には、直交座標系の各x軸が付与される。両者の直交座標系の原点は中点Oである。
【0020】
中心両眼協働回旋方向は、左右両中心主光線があらかじめ設定した左右眼鏡レンズ通過位置を通過するように光線追跡法を用いて求めることによって決めることができる。
【0021】
図4に示されるように、視野中心物体点A(x0,0,0)と、左右眼球回旋中心点OR(0,0,−d/2)とOL(0,0,d/2)との間に眼鏡レンズを配置すると、中心物体Aを見るためには、左眼球がOLA方向ではなく左光線の左レンズ通過点OLBLの方向に回旋し、右眼球がORA方向ではなく右光線の右レンズ通過点ORBRの方向に回旋する必要がある。光線ABLOLとABRORはそれぞれ左眼と右眼の中心主光線であり、ベクトル
【数11】
はそれぞれ左右中心眼球回旋方向である。
【数12】
との単位ベクトル
【数13】
から前記両眼協働回旋方向、すなわち、眼鏡レンズ通過後視野におけるx’軸を求める。
【0022】
左右中心主光線のそれぞれの眼鏡レンズ上における位置、すなわち、主光線眼鏡レンズ通過後位置BR、BLは別々に設定することができず、単眼回旋中心点間の距離dおよび物体点までの距離には影響をうける。
眼鏡レンズ通過後視野における他の物体点位置は、その物体点を見たときの両眼協働回旋方向として求められる。図4に示されるように、任意点P(x,y、z)について、左右主光線PQRORおよびPQLQLを追跡し、輻輳注視点P’(x’、y’、z’)を求める。P’(x’、y’、z’)は眼鏡レンズ通過後視野における位置である。原画像におけるその位置μ=y/x、ν=z/xは、歪み原画像においては位置μ’=y’/x’、ν’=z’/x’に置き換わる。一方、左右主光線の各眼鏡レンズQL、QRにおける位置も求める。
歪み原画像作成工程では、視野内すべての物体点に対し光線追跡計算を行い、両眼協働回旋方向と左右主光線眼鏡レンズ通過位置を求める必要があるが、スプライン補間法という数学手法を用いれば、一定の誤差範囲内において少ない計算量で両眼協働回旋方向と左右主光線眼鏡レンズ通過位置を取得することが可能である。
【0023】
(3) 眼鏡フレーム位置取得工程
この工程は、歪み原画像作成工程で求められた左右両眼鏡レンズ通過位置の情報を用い、左右両眼鏡フレームの縁、隠しマークなどの原画像または歪み原画像上における位置を求め、眼鏡フレームマーク画像を作成する工程である。眼鏡フレームマーク画像と原画像または歪み原画像と対比することにより、画像上すべての物体が左右両眼鏡レンズのどの位置を通して観察されているかを正確に把握することができる。
【0024】
(4) 両眼視性能指数取得工程
この工程は、原画像または歪み原画像の各画素について両眼視性能指数を求める工程である。両眼視性能指数としては、矯正パワーエラー、両眼明瞭指数、両眼点変形指数、両眼上下斜位、輻輳調節間のズレ、不等像指数などがある。これら全ての両眼性能指数は、対応する物体点からの左右主光線を追跡し、両眼を各回線方向に回旋させることで求められる。両眼明瞭指数のような場合には、調節対応眼球光学系を左右両眼に導入する必要を生じることがある。両眼の調節パワーは、それぞれべつべつに、左右各レンズの度数不足量に基づいて設定できる。または、眼光学理論によって、同じ値、あるいは他の値に設定できる。
【0025】
▲1▼ 矯正パワーエラー取得工程
図10に示されるように、任意物体点Pから発射される光線がレンズ第1面Q点で屈折され、回旋中心点Oに向かう。P点を見るときのレンズ屈折効果は、P点を中心とする球面波(無限遠方物体点の場合は平面波)が主光線に沿って伝播し、光線と後方頂点球面(回旋中心点Oを中心とし、レンズ後方頂点Cを通過する球面)の交点Rに到達した時の波面の形状によって表わすことができる。点Rを原点、RO方向をx軸としたローカル座標系において、点R近傍の波面形状は、一般的に式
xD=(1/2)Dyyy2+Dyzyz+(1/2)Dzzz2
で表わすことができる。Dyy、Dyz及びDzzは光線追跡法を用いて求めることができる。
【0026】
波面の平均曲率は
Dave=(1/2)(Dmax+Dmin)= (1/2)(Dyy+Dzz)
と定義する。
一方、乱視を持つ目の屈折状態は、同様に点Rにおける矯正波面形状で表わすことができる。仮に乱視度数と方向を含めた遠用矯正波面を
xC=(1/2)Cyyy2+Cyzyz+(1/2)Czzz2
で表わすと、Cyy,Cyz、Czzが、その処方から求められる。
【0027】
調節量も、点Rにおける波面として次式で表わすことが出来る。
xA=(1/2)A(y2+z2)
ここで、Aは、調節パワー量であり、眼が調節を行っている間にはさらなる非点収差はおこらないものと仮定する。
残留波面は、ここでは次式で定義する。
x=xC−xA−xD
=(1/2)(Cyy−A−Dyy)y2+(Cyz−Dyz)yz+(1/2)(Czz−A−Dzz)z2
=(1/2)Syyy2+Syzyz+(1/2)Szzz2
そして、度数不足量及び残留非点収差を上記の式より次のように求める。
Save=(1/2)(Syy+Szz)及び
Sas=2{(1/4)(Syy−Szz)2+Syz2}1/2
度数不足量及び残留非点収差により、矯正パワーエラー評価ができる。両者がゼロであることが理想的である。度数不足量を矯正する、すなわち、Save=0、にするには、調節パワーは次式である必要がある。
A=(1/2)(Cyy+Czz)−(1/2)(Dyy+Dzz)=Cave−Daveしかしながら、Aの値には、0から最大Amaxの値を付与する必要がある。従って、Aは、次式で表す必要がある。
A= 0 Cave−Dave<0
A= Cave−Dave 0<Cave−Dave<Amax
A= Amax Cave−Dave>Amax
【0028】
両眼視を考える場合、左右両眼の調節パワーを、上記の式で求めたARとALそれぞれの値に、別々に設定することができる。あるいは、生理光学に従って、両眼同一値に設定することができる。同一値Aは、ARとALのうちの最小値、ARとALの平均値、輻輳値との矛盾が少ない値、最も明瞭な網膜画像が得られる値などが考えられる。この実施例では同一値AをARとALとして設定する。
両眼視を考える場合、両眼の残留非点収差のみではなく、左右両眼の間の差も少なくする必要がある。ここで、平均波面及び波面差を次のように定義する。
xave=(1/2)(xR+xL)
xdiff=(xR−xL)
両眼の残留非点収差も、矯正パワーエラーとして使用できる。
【0029】
光線追跡法では、視野内すべての物体点に対して矯正パワーエラーの計算を行う必要があるが、スプライン補間法という数学手法を用いれば、一定の誤差範囲内において少ない計算量で矯正パワーエラーを取得することが可能である。
【0030】
▲2▼ 両眼輻輳、上下斜位(左右視線上下のズレ)取得工程
視野内の物体点を両眼で見ると、図3に示されるように、物体点位置の方向は同側性回旋方向である両眼協働回旋方向にあり、物体点の距離は、輻輳角βを用いて求めることができる。図4に示されるように、眼鏡をかけて同じ物体点を見た場合、両眼球の視線方向が変化する、すなわち各眼球回旋方向が変化する。左眼球回旋方向OLQLと右眼球回旋方向ORQRの延長線の交点P’が存在すれば、輻輳角は角OLP’ORであるが、P’が必ずしも存在するとは限らない。
【0031】
図5のように、左右回旋中心を結ぶ直線OLORと左眼球回旋方向OLQL(単位ベクターはrR)を含む平面である左眼視線平面と、OLORと右眼球回旋方向ORQR(単位ベクターはrL)を含む平面である右眼視線平面とが一致しないことが一般的である。この場合、歪み原画像作成工程の説明に触れたように、輻輳注視点P’を再定義する必要がある。本発明では、両眼視線平面を、OLQLとORQRの角二等分線方向とOLORを含む平面であると定義する。
【0032】
ORQRと両眼協働回旋方向(協働視線方向)を含む平面である両眼協働視線平面において、左眼視線OLQLPLの投影線と、右眼視線ORQRPRの交点がP’とすると、点P’は、輻輳注視点と定義され、輻輳角βは角OLP’ORと定義される。P’が無限遠方にある場合、輻輳角βが0で、P’が後方にある場合、両眼は開散状態にあり、輻輳角βは負の値をとる。
輻輳量は距離OP’の逆数によっても評価することができる、すなわち、次式に近似する(図3および図4参照)。
【数14】
本発明において、この値を輻輳パワーと定義する。この定義により、生理光学上、互いに密接な関係を持つ調節値と輻輳値の比較が容易となる。物体点を眼鏡レンズなしで見たとき、輻輳パワー及び調節パワーは略同一なる。眼鏡レンズをかけたとき、両者が一致しなくなることがある。このように両者が一致しないと眼鏡レンズのかけ心地を悪くすることがある。そこで、両眼視性能指数をPconv−Aと定義してもよい。Aは矯正パワーエラー取得工程で求めた値と同じ調節パワーである。
眼鏡レンズのかけ心地の悪さは、左眼単眼回旋方向と右眼単眼回旋方向との間の上下斜位によっても引き起こされることがある。図5のように、両眼視線平面が一致しない場合、両眼は互いに異なる角度の回旋をしなくてはならない。従って、両眼は、眼生理学に従って、常に縦方向同角度の回旋を行うので、かけ心地が悪くなることがある。これは、上斜位あるいは下斜位の場合と同様である。そこで、両眼視性能指数は、両眼の縦回旋角の差異と定義することができる。
【0033】
輻輳角と上下斜位(左右視線上下のズレ)角は、図5の下半分の四角錘で求めることができる。
【数15】
は左右視線単位ベクトルで、
【数16】
は、左右視線単位ベクトル
【数17】
と
【数18】
,の角二等分線である。ABはOLORおよび
【数19】
を含む両眼協働視線平面にあり、CDは
【数20】
を含み、両眼協働視線平面と垂直な平面にある。輻輳角βは∠AOB、上下斜位(左右視線上下のズレ)角δは∠CODとなる。輻輳の評価量は、そのまま輻輳角度∠AOBでも良いが、調節の比較を容易にするため、輻輳注視点P’からOまでの距離の逆数をもって定義し、ディオプタ単位にする。便宜上、上下斜位(左右視線上下のズレ)の評価量は、そのまま上下斜位(左右視線上下のズレ)角度∠CODでも良いが、100×2tan(∠COD/2)と定義し、プリズムディオプタを単位とする。
【0034】
両眼輻輳、上下斜位(左右視線上下のズレ)取得工程では、視野内すべての物体点に対し光線追跡を行い左右両眼球回旋方向、両眼協働回旋方向を求め、さらに両眼輻輳角、上下斜位(左右視線上下のズレ)角を求める必要があるが、スプライン補間法という数学手法を用いれば、一定の誤差範囲内において少ない計算量で両眼輻輳角、上下斜位(左右視線上下のズレ)角を取得することが可能である。
【0035】
▲3▼ 両眼変形指数(点変形指数)取得工程
この工程は、眼鏡レンズ上任意点を通して任意物体点を見るときに感じる変形の程度を表す変形指数(点変形指数)を求める。この発明では、点変形の意味は物体点を中心とする微小円形がレンズを通して見るとどのような形状に見えるかである。ほとんどの場合その形状は楕円と見なすことができるので、楕円のパラメータで変形指数(点変形指数)を定義することができる。
変形楕円は物体点主光線の近傍主光線を追跡することによって得られる。図6に示されるように、物体点Pを中心とし、半径drの円周上すべての物体点(dr,θ)から発する主光線を追跡すると、レンズ通過後の位置(dr’,θ’)が得られ、その軌跡、つまり変形楕円が求められる。drは空間上の長さではなく、OPからの偏角のタンジェントである。
【0036】
実際は、円周上の全ての点に対して主光線を追跡するのではなく、物体側偏角に対する像側偏角の偏導関数値∂μ’/∂u,∂μ’/∂ν,∂ν’/∂u,∂ν’/∂ν、又は、逆に、像側偏角似対する物体側偏角の偏導関数値∂μ/∂u’,∂μ/∂ν’,∂ν/∂u’,∂ν/∂ν’を求めれば、変形楕円が得られる。後者を例にし、偏導関数値∂μ/∂u’=A,∂μ/∂ν’=B,∂ν/∂u’=C,∂ν/∂ν’=Dと書き換えて説明すると、以下のとおりである。
【0037】
すなわち、
である。
【0038】
つまり、
である。ここで、
である。
【0039】
このように、p>0,0≦e≦1なので、拡大率dr’/drが方位角θ’によって変わる関数は楕円関数である(図10参照)。この楕円を点変形楕円と呼ぶ。最大、最小拡大率、つまり、点変形楕円の長軸と短軸との長さは、それぞれ、a={p/(1−e)}1/2,b={p/(1+e)}1/2となる。本発明では、スケールファクターの(ab)1/2と、長短軸比のa/bと、これら両者を組み合わせた量を点変形の程度(=度合)を表す変形指数(点変形指数)と定義する。ここで、
である。
【0040】
上記方法により、3つの点変形楕円を求める。すなわち、右眼回旋方向及び左眼回旋方向に基づく各単眼点変形楕円、および両眼回旋方向に基づく両眼点変形楕円である。両眼点変形のみではなく、左眼点変形楕円と右眼変形楕円との間の不一致も、物体点を両眼で見るときの心地悪さの原因となりうる。この不一致を不等像という。不等像表示指数として、本発明者は{(aRbR)/(aLbL)}1/2というスケールファクター率を定義した。また、これは、右点変形楕円面積と左点変形楕円面積との平方根に等しい。
視野内の全ての物体点に対して変形指数(点変形指数)の計算を行う必要があるが、スプライン補間法という数学手法を用いれば、一定の誤差範囲内において少ない計算量で、変形指数(点変形指数)を求めることが可能である。∂μ/∂u’,∂μ/∂ν’,∂ν/∂u’,∂ν/∂ν’を求めるには、近傍主光線追跡の方法以外に、予め計算しておいた主光線データのスプライン補間式の偏導関数値で求める方法もある。
【0041】
▲4▼ PSF取得工程
この工程では、物体点を両眼で見るときの明瞭度の評価法について述べる。この工程では、左右PSFを求め、それらを1つの両眼視PSFに合成する。原画像の各画素に対応する各物体点について、原画像作成工程で得られた物体距離より、物体点から左眼回旋中心および右眼回旋中心までの距離をそれぞれ求める。左右眼球光学系の調節パワーは、矯正パワーエラー取得工程で述べた方法により、求められる。左眼PSF、右眼PSFは、眼鏡レンズと、単眼回旋方向に従って回旋する調節対応眼球モデルを含む合成光学系において求められる。両眼PSFは左右各単眼PSFを合成することにより得られる。この工程をさらに詳しく以下に説明する。
【0042】
(ア) 調節依存性眼球モデルの導入
網膜上のPSFを求めるためには、眼球光学系の導入が必要である。この場合、眼には物体距離に合わせて調節作用があるので、それも考慮しなければならない。この実施例では、調節作用も考慮した眼球光学系モデルであるR.Navarroらによる調節依存性眼球モデルを用いた。Navarroのモデルでは近軸値のみならず、球面収差と色収差も眼の実測値に合わせるようになっている。簡単な4面構成で、そのうち3面は軸対称二次曲面の非球面である。水晶体は屈折率分布構造になっておらず、追跡計算が簡単である。曲率半径、厚み、非球面度は調節パワーの対数に比例して変化する。図7にNavarroらによる眼球モデルの無調節時の光学パラメータを示した。また、図8に調節依存するパラメータの依存式を示した。非球面はy2+z2+(1+Q)x2−2Rx=0で表される。Qは非球面度である。
【0043】
(イ) 単眼PSFの取得
A) PSFの意味
PSFは、図9に示したように、実物体の一点から放射された光線が結像面に集光される点(スポット)の集合状態を表す関数であり、単位面積あたりのスポット数で表わすことができる。完全な光学系であればPSFは結像点にすべてのスポットが集まり、その分布は結像面に垂直な直線となるが、通常は広がったガウス分布に類似した形状となる。
【0044】
B) PSFの取得方法
図10は物体点Pを、レンズ上のQ点を通して見た場合のPSFを求めるための合成光学系示す図である。物体点Pからの光線は、レンズ表面Q点で屈折され、射出方向は変化し、回旋点Oに到達する。眼には物体点Pが射出光線方向QOの延長線上にあるように見える。このように、Pを見るときはまず眼球の光軸をQO方向に回旋し、そしてPの距離およびQ点の屈折力に合わせて調節度を決め、調節を行う。この時点で光学系が固まり、PSFを求めることができる。
【0045】
上述のように、PSFは物体点から放射され、入射瞳を均等に分割した多数の領域の中心を通過した光線の、結像面上のスポットの密度である。入射瞳の位置は、厳密にいうと瞳孔の物体側共役点である。しかし、瞳孔位置は回旋によって変化し、調節状態によってもその共役点の位置が異なる。一方、回旋中心の位置は固定であるうえ、瞳孔の共役点との距離が物体距離に比べて微小である。したがって、裸眼の場合入射瞳の位置は回旋中心と考えても差し支えない。眼鏡を装用したとき、光学系全体の入射瞳の位置は回旋中心点の眼鏡レンズに対する共役点だが、累進レンズの場合通過点によってパワーが異なり、その位置が微妙に変化する。その変化量も物体距離に比較して微小であるので、入射瞳の位置はPQの延長線上のO’点にあり、PO=PO’と仮定することができる。
【0046】
正確なPSFを求めるには、入射瞳を均一分布の多数の小領域に分割することが重要である。図11のように、格子分割と螺線分割の二種類の分割法がある。格子分割は良い均等性が得られるが、四隅の無駄な部分があるため、予定光線の70%程度しか追跡できない。一方螺線分割では均等性を保ちながら無駄な光線追跡が生じない。この実施例では螺線分割法を採用した。
【0047】
このように、PSFは物体点から発射して入射瞳の均等分割点を通過する多数の光線を追跡し、網膜面上のスポットの密度を計算することで得られる。上記PSF取得方法は、すべての物体点と入射瞳分割点の組み合わせに対して光線追跡計算する必要があるが、スプライン補間法という数学手法を用いれば、一定の誤差範囲内において少ない計算量で網膜面上のスポット位置を求め、さらに網膜面上のスポットの密度であるPSFを取得することが可能である。
【0048】
以上の方法で求めたPSFは歪み原画像との畳み込み演算により、眼鏡レンズをかけて外界を見るときのボケを正確に反映することができる。しかし、このままの形のPSFでは、計算時間が長く、レンズの結像性能の定量分析などに用いるには不便である。PSFをある種の関数に近似させ、その関数のパラメータを用いれば、定量分析が容易に行える。以下PSFを二次元正規分布関数に近似させる方法を述べる。
【0049】
上記二次元正規分布関数において、μ,νはそれぞれ網膜上縦、横方向の偏移量、σμ,σν,ρは正規分布のパラメータである。これらのパラメータは下記の性質を持っている。
−1<ρ<1
σμ>0
σν>0
上式の指数部が−1/2となる点の軌跡は、
(μ2/σμ 2)+(ν2/σν 2)−(2ρμν/σμσν)=1−ρ2
で表わされる楕円で、PSFの広がる範囲を表わすことができる、楕円の長短軸の長さ比や、長軸の方向などは、非点収差の大きさと方向に密接に関係する。
【0050】
二次元正規分布関数のパラメータσμ,σν,ρを、光線データから求める方法を考えると、(μ,ν)結像平面に散布する多数の光線の交点(各交点が入射瞳上の各分割点に対応)の統計値を求めて、パラメータσμ,σν,ρにあてる方法が自然に浮かぶ。つまり、
【数21】
である。ここで、Nは光線数で、(μi,νi)は交点座標である。
σμ 0、σν 0、ρをそのまま近似正規分布のパラメータとすると、分布状況によっては、実際のPSFと乖離してしまうことも考えられる。その場合は適切な比例常数kを定め、σμ=kσμ 0、σν=kσν 0でパラメータを調整する必要がある。
【0051】
このように、網膜上光線スポットの統計量を用いて、PSFの近似関数となる二次元正規分布関数のパラメータを取得することができる。二次元正規分布関数極座標で表わすと便利な場合がある。つまり、μ=rcosθ、ν=rsinθを代入して整理すると、
になる。パラメータの変換は、
となる。
【0052】
上記の方法でPSFを二次元正規分布関数に近似させてそのパラメータを求める方法を採用する場合、すべての物体点に対して光線追跡および統計計算を行う必要があるが、スプライン補間法という数学手法を用いれば、一定の誤差範囲内において少ない計算量で二次元正規分布関数のパラメータを取得することが可能である。
【0053】
(ウ) 両眼PSFの合成
両眼視力は一般に単眼よりよいと言われている。したがって、両眼協働回旋網膜像のPSFは左右眼それぞれのPSFよりシャープな形になると予想される。両眼PSFの合成について、この実施例では、下記の原則を従うように行う。
* 左右両PSFが接近している場合、合成PSFは両方のPSFよりも分布が集中するものを採用する。
* 左右両PSFが著しく異なる場合、合成PSFはどちらか分布が集中するほうのPSFに近いものを採用する。
* 合成PSFの連続性と唯一性を保つ。
【0054】
左右両単眼のPSFより両眼合成PSFを求める方法の一例として、下記の方法提案する。PSFを正規分布関数で近似し、その代表楕円
r2=1/{A−Bcos(2θ−2α)}
で表わし、左眼のPSF代表楕円パラメータを、AL,BL,αL、右眼のPSF代表楕円パラメータAR,BR,αR、とすれば、合成PSF代表楕円のパラメータA,B,α、を下記のように求める。
つまり、
である。
【0055】
図12aに左右眼のPSF代表楕円(それぞれ左右楕円)と合成PSF代表楕円(合成楕円)を示している。この方法は必ずしも完全ではない。すなわち、図12bの場合、両眼とも非点収差が大きく、しかも方向が一致せず、合成PSFは不十分に小さい領域内に分布してしまう。したがって、合成楕円の大きさは、左右両楕円一致の度合いを加味して調整する必要がある。たとえば左右両楕円の共通部分の面積Scと、左右楕円の面積平均値(1/2)×(SR+SL)との比を係数κ=2Sc/(SR+SL)とすると、上記結果の楕円面積をκ倍拡大する方法がある。つまり、
とする。
【0056】
上記の方法で両眼合成PSFを二次元正規分布関数に近似させてそのパラメータを求める方法を採用する場合、すべての物体点に対して左右両単眼PSFのパラメータを求めさらに両眼PSFのパラメータを求める必要があるが、スプライン補間法という数学手法を用いれば、一定の誤差範囲内において少ない計算量で合成PSFのパラメータを取得することが可能である。
【0057】
(エ) PSFより明瞭指数の算出
明瞭指数は、ボケを表わすPSF(Point Spread Function)の広がる範囲の大きさを表わすもので、小さいほど画質がよく、はっきり見えるという意味である。上記のように、2次元正規分布関数で近似されるPSFは、その広がり範囲が楕円で表わすことができるので、楕円の大きさを表わす数値をそのPSFの明瞭指数として定義できる。大きさとは、面積σμ+σν、σμσν、(σμ 2+σν 2)1/2などである。楕円の面積を明瞭指数と定義する場合、楕円が線分に退化した場合、明瞭指数がゼロとなる。明瞭指数ゼロとは、いくら非点収差が大きくても画質がいいことになり、従って、楕円の面積を明瞭指数として定義することは適切ではない。また、楕円がその形を変えずに回転している間、明瞭指数は変わらない必要がある。この場合、σμ+σν、σμ+σνで、明瞭指数を定義するのは適切ではない。この実施例では、外接矩形の対角線長の半分を明瞭指数として定義する。つまり、p=(σμ 2+σν 2)1/2である。
【0058】
(5) 両眼視性能指数画像作成工程
この工程は、両眼視性能指数取得工程で求められた各画素に対応する物体点に対する結像両眼視性能指数を画像の濃淡値、またはRGB三原色輝度値に変換し、原画像、または歪み原画像上の位置に表示した場合の像を作成し、フレーム位置取得工程で作成したレンズフレームマーク画像とを合成して両眼視性能指数分布画像を作成する工程である。
【0059】
図13から19は実施例1において得られた各種両眼視性能指数の画像である。使用したレンズは左右レンズとも遠用0.00D加入2.50Dの眼鏡用累進fレンズ(HOYALUX SUMMITPRO;ホーヤ株式会社の商品名)である。図13は実施例1の原画像を示す図で、室内の情景を表わしている。目から壁までは2.5mで、卓上の白版までは80cm前後である。視野は左右96°、上下80°である。
【0060】
図14は視線のレンズ凸面通過位置のマップである。青い線は左眼レンズ、赤い線は右眼レンズのものである。方眼線のピッチは10mm、レンズ幾何学中心を中心とする同心円の半径間隔も10mmである。図15は平均左右残留波面の矯正パワーエラー分布図である。図16は輻輳調節バランス分布図である。図17は上下斜位(左右視線上下のズレ)分布図である。図18は両眼変形指数(点変形指数)分布図。変形指数(点変形指数)は、変形楕円の長短軸比で定義する。図19は両眼明瞭指数分布図である。明瞭指数は両眼PSFの大きさを視角のタンジェントで表わしたものである。
この実施例によれば、実際の情景を見たときの、レンズの両眼視性能の評価が視野画像を通して可能になる。
【0061】
(実施例2)
この実施例は、実施例1における両眼視性能指数分布画像の静止画像を、眼の位置(両眼回旋中点)と視線方向を変えながら時系列に多数作成し、動画像を得る例である。したがって、この実施例は、原画像を作成する際に、眼の位置、視線方向、仮想物体の移動や変形を時系列にどのように変えるかのストーリーを作成する工程と、時系列に得られた1枚1枚の静止画像を編集して動画像にする工程とを付加する外は基本的に実施例1と同じであるので、図20に全体の流れを示す図を掲げてその詳細説明は省略する。なお、ストーリーには、レンズ通過点のストーリーも必要であることは勿論である。また、ストーリー作成の方法としては、全ての時刻での眼の位置、視線方向及びレンズ通過点を定めるのではなく、スプライン補間法をとれば、滑らかな視線移動が実現される。
【0062】
上述の実施例2によれば、累進レンズを通して外界を見るとき両眼視性能の、眼の位置を変えたり、視線を移動したり、視線のレンズ上通過位置を変えたりした場合の変化を再現する動画像が得られる。したがって、眼球レンズの結像両眼視性能を実際の使用状況に極めて近い形で評価することが可能になる。さらに、この動画像の表示画面にレンズフレームマークを表示するようにすれば、視線のレンズ上での移動を確認しながらの評価が可能になる。
【0063】
次に、上述の実施例で示した方法を実施するための装置について簡単に説明する。図21は実施例の方法を実施するための装置の概略構成を示すブロック図である。図21に示したように、この装置は、プロセッサ61、読取専用メモリ(ROM)62、メインメモリ63、グラフィック制御回路64、表示装置65、マウス66、キーボード67、ハードディスク装置(HDD)68、外部記憶装置(FDD)69、プリンタ70、磁気テープ装置71等から構成されている。これらの要素は、データバス72によって結合されている。
【0064】
プロセッサ61は、装置全体を統括的に制御する。読取専用メモリ62には立ち上げ時に必要なプログラムが格納される。メインメモリ63には両眼視性能指数分布画像作成、表示を行うためのプログラムが格納される。グラフィック制御回路64はビデオメモリを含み、得られた画像データを表示信号に変換して表示装置65に表示する。マウス66は表示装置上の各種のアイコン、メニュー等を選択するポインティングデバイスである。ハードディスク装置68はシステムプログラム、両眼視性能指数分布画像作成、表示プログラム等が格納され、電源投入後にメインメモリ63にローディングされる。また、両眼視性能指数分布画像等のデータを一時的に格納する。
【0065】
外部記憶装置69は原画像データ等の必要なデータを、外部記憶メディア69aを通じて入力したり、必要に応じて外部記憶メディア69aにセービングしたりする。プリンタ装置70は両眼視性能指数分布画像等をプリントアウトするのに用いられる。磁気テープ装置71は必要に応じてプログラムやデータを磁気テープにセービングするのに使用する。なお、以上のべた基本構成を有する装置としては、高性能のパーソナルコンピュータや一般の汎用コンピュータを用いて構成することができる。
以上詳述したように、本発明の眼鏡レンズの両眼視性能表示方法および装置は、眼鏡レンズを通して外界を見るときの、視野内の全ての物体点について、眼鏡レンズ両眼視性能を表す両眼視性能指数を定義して求め、その両眼視性能指数の値すなわち大きさを、視覚的理解可能な形で表示することを特徴とする。従って、本発明によれば、眼鏡レンズの両眼視性能を、実際の使用状態にきわめて近い形で視覚的に評価可能となる。
【0066】
【発明の効果】
本発明の利点を以下にまとめる。
以上詳述したように、本発明は、視野内の各物体点を見るときの眼鏡レンズの両眼視性能を表わす両眼視性能指数を定義して求め、この両眼視性能指数を用いて眼鏡レンズの両眼視の性能評価を行い、また、この評価結果を表示できるようにしたもので、これにより、眼鏡レンズを装用した場合の両眼視性能を実際の使用状況に極めて近い形で評価及び表示することを可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 両眼視性能指数分布画像作成のながれを示す図である。
【図2】 裸眼視野の座標系を示す図である。
【図3】 両眼協働回旋方向の定義を示す図である。
【図4】 眼鏡レンズを通して見る視野の座標系を示す図である。
【図5】 両眼輻輳角と上下斜位(左右視線上下のズレ)角の定義を示す図である。
【図6】 両眼変形指数(点変形指数)の定義を示す図である。
【図7】 Navarro模型眼の光学パラメータ(非調節状態)を示す図である。
【図8】 Navarro模型眼の光学パラメータの調節パワー依存式を示す図である。
【図9】 PSFの説明図である。
【図10】 物体点を見るときの眼鏡レンズ眼球光学系を示す図である。
【図11】 入射瞳分割法を示す図である。
【図12】 両眼PSFの合成説明図である。
【図13】 実施例1の原画像を示す図である。
【図14】 実施例1における両眼視線のレンズ凸面通過位置のマップを示す図である。
【図15】 実施例1における平均左右残留波面の度数不足量分布図を示す図である。
【図16】 実施例1における調節輻輳バランス分布図を示す図である。
【図17】 実施例1における上下斜位(左右視線上下のズレ)分布図を示す図である。
【図18】 実施例1における両眼変形指数(点変形指数)分布図を示す図である。
【図19】 実施例1における両眼明瞭指数分布図を示す図である。
【図20】 両眼視性能指数分布画像の動画像作成のながれを示す図である。
【図21】 本発明にかかる眼鏡レンズ両眼視性能を求め表示する方法を実施するための装置の構成を示すブロック図である。
Claims (15)
- 左右両眼鏡レンズを通して視野を観察したときの眼鏡レンズの両眼視性能を表す方法であって、視野内の任意の物体点を見るときの眼鏡レンズの両眼視性能を表わす両眼視性能指数を、左右眼鏡レンズの矯正パワーエラー、前記各物体点を見るときの左眼球回旋方向と右眼球回旋方向から求められる両眼上下斜位(左右視線上下のズレ)、前記各物体点を見るときの左眼球回旋方向と右眼球回旋方向から求められる両眼輻輳値と調節度数の乖離度合い、前記各物体点を見るときの変形の程度を表わす両眼点変形指数、前記各物体点を見るときの左右光学不等像の度合いを表す不等像指数、又は、前記各物体点を両眼で見るときの明瞭さの程度を表わす両眼明瞭指数としたとき、前記視野に分布する物体点に対する両眼視性能指数を求め、得られた両眼視性能指数の大きさを視覚的に理解可能な形で表示することを特徴とする眼鏡レンズ両眼視性能表示方法。
- 左右両眼鏡レンズを通して視野を観察したときの眼鏡レンズの両眼視性能を表示する方法であって、視野内の任意の物体点に対する眼鏡レンズの両眼視性能を表わす両眼視性能指数を、左右眼鏡レンズの矯正パワーエラー、前記各物体点を見るときの左眼球回旋方向と右眼球回旋方向から求められる両眼上下斜位(左右視線上下のズレ)、前記各物体点を見るときの左眼球回旋方向と右眼球回旋方向から求められる両眼輻輳値と調節度数の乖離度合い、前記各物体点を見るときの変形の程度を表わす両眼点変形指数、前記各物体点を見るときの左右光学不等像の度合いを表す不等像指数、又は、前記各物体点を両眼で見るときの明瞭さの程度を表わす両眼明瞭指数としたとき、前記視野の投影画像の画素に対応した物体点に対して両眼視性能指数を求め、各画素に、対応する物体点を見る時の前記両眼視性能指数の値に応じて決める濃淡値またはRGB三原色輝度値を付与し、前記視野の両眼視性能指数分布画像を作成することを特徴とする眼鏡レンズ両眼視性能表示方法。
- 前記両眼視性能指数分布画像を作成する工程は、左眼回旋中心点と右眼回旋中心点との中点である両眼回旋中点を特定の場所に置き、前記両眼回旋中点を頂点とする特定角錐範囲である視野の画像を原画像として作成する原画像作成工程と、前記視野の物体点を眼鏡レンズを通して見た場合の歪みを含む歪み原画像を、光線追跡法を用いて作成する歪み原画像作成工程と、
前記歪み原画像作成工程で得られた物体点からの主光線の左右眼鏡レンズ通過位置データを用い、左右眼鏡フレームの前記原画像または前記歪み原画像上の位置を表す眼鏡フレームマーク画像を作成する眼鏡フレーム位置取得工程と、
前記眼鏡レンズ及び眼球モデルよりなる光学系において、前記原画像または前記歪み原画像の画素に対応する物体点に対する両眼視性能指数を取得する両眼視性能指数取得工程と、
前記両眼視性能指数取得工程で得られた両眼視性能指数の値に応じて決めた濃淡値またはRGB三原色輝度値を、前記原画像または前記歪み原画像の対応画素に付与して両眼視性能指数分布画像を作成するとともに、その両眼視性能分布画像を、前記眼鏡フレーム位置取得工程で作成された眼鏡フレームマーク画像と合成する工程と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の眼鏡レンズ両眼視性能表示方法。 - 前記両眼視 性能指数分布画像を作成する工程は、仮想三次元空間内にコンピュータグラフィックスによる仮想物体を作成して配置し、仮想三次元空間内の特定の位置に両眼回旋中点を置き、前記両眼回旋中点を頂点とし且つ特定の中心視線の方向を中心軸とする特定角錐範囲である視野内にある仮想物体の画像を原画像として作成するとともに、前記原画像の画素に対応する物体点について、各物体点と両眼回旋中点との距離である物体点距離を求める原画像作成工程と、
物体点を見るときの前記物体点に対する左右単眼眼球回旋方向により唯一の方向に決められる両眼協働回旋方向を定義し、視野の中心にある物体点に対する両眼協働回旋方向である中心両眼協働回旋方向を、左右眼球から中心物体点に向かう主光線である左右単眼中心主光線がそれぞれ両眼鏡レンズ上特定位置を通過するように光線追跡法を用いて求め、中心両眼協働回旋方向を中心軸とする視野である眼鏡レンズ通過後視野における物体点の位置を、各該物体点に対する両眼協働眼球回旋方向として、各物体点について、光線追跡法で求め、眼鏡レンズ通過後視野の画像、すなわち眼鏡レンズの各該物体点に対する歪みを含む画像である歪み原画像を作成するとともに、各該物体点に対する左右単眼主光線の左右両眼鏡レンズ通過位置を求める歪み原画像作成工程と、
前記歪み原画像作成工程で得られた各該物体点に対する左右単眼主光線の左右両眼鏡レンズ通過位置データを用い、左右両眼鏡フレームの前記原画像または前記歪み原画像上の位置を表す眼鏡フレームマーク画像作成する眼鏡フレーム位置取得工程と、
眼球光学モデルとして、左右両眼に対して調節対応眼球光学系モデルを導入し、前記原画像または前記歪み原画像の各画素に対応する各物体点について、前記原画像作成工程で得られた物体点距離より物体点から左右各単眼回旋中心点までの距離を計算し、前記原画像又は前記歪み原画像の各画素に対応する各物体点について、各物体点から各単眼回旋中心点までの距離及び前記歪み原画像作成工程で得られた主光線の左右両眼鏡レンズ通過位置における度数に合わせて、左右両眼の調節パワーを同一または異なるように設定し、前記原画像または歪み原画像の各画素に対応する各物体点について、前記眼鏡レンズと、前記物体点に対する眼球回旋方向に合わせて回旋する調節対応眼球光学系モデルとの合成光学系における眼鏡レンズ両眼視性能指数を取得する両眼視性能指数取得工程と、
前記眼鏡レンズ両眼視性能指数の値に応じて決めた濃淡値またはRGB三原色輝度値を、前記原画像または前記歪み原画像の対応画素に付与して両眼視性能指数分布画像を作成するとともに、前記両眼視性能指数分布画像を前記眼鏡フレーム位置取得工程で作成された眼鏡フレームマーク画像と合成する両眼視性能指数分布画像作成工程と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の眼鏡レンズ両眼視性能表示方法。 - 左右眼鏡レンズを通して外界を観察したときの眼鏡レンズの両眼視性能を評価し表示する方法であって、仮想三次元空間内にコンピュータグラフィックスによる仮想物体を作成して配置し、眼の位置(即ち両眼回旋中点の位置)、中心視線方向及びレンズ系通過点、仮想物体変形量、仮想物体移動量の時系列変化のストーリーを作成し、そのストーリーにしたがって各時点において請求項1ないし4のいずれかに記載の眼鏡レンズ両眼視性能表示方法を用いて眼鏡レンズ両眼視性能指数分布画像を作成し、全ての時点におけるこの眼鏡レンズ両眼視性能指数分布画像を編集して眼鏡レンズ両眼視性能指数分布画像の動画像を作成することを特徴とする眼鏡レンズ両眼視性能表示方法。
- 左右残留波面より求める度数不足量あるいは残留非点収差を、前記矯正パワーエラーとして定義することを特徴とする請求項1〜5に記載の眼鏡レンズ両眼視性能表示方法。
- 左右残留波面の平均又は差である波面より求める度数不足量あるいは残留非点収差を前記矯正パワーエラーとして定義することを特徴とする請求項1〜5に記載の眼鏡レンズ両眼視性能表示方法。
- 各物体点を見るときの前記両眼輻輳値と、前記調節度数との差を前記乖離度合いとして定義することを特徴とする請求項1〜5記載の眼鏡レンズ両眼視性能表示方法。
- 前記両眼点変形指数は、前記各物体点を中心とする微小円形がレンズを通して両眼で見たときに、いかに変化するかを決めることにより求められ、前記変形微小円形は近似楕円であることを特徴とする請求項1〜5に記載の眼鏡レンズ両眼視性能表示方法。
- 前記楕円の長軸と短軸との比を両眼点変形指数として定義することを特徴とする請求項1〜5に記載の眼鏡レンズ両眼視性能表示方法。
- 前記不等像指数は、前記各物体点を中心とする微小円形が左右レンズを通して見たときに、いかに変化するかを決めることにより求められ、左右両眼の各変形微小円形は近似楕円であることを特徴とする請求項1〜5に記載の眼鏡レンズ両眼視性能表示方法。
- 右眼点変形楕円面積と左眼点変形楕円面積との比の平方根を、前記不等像指数として定義することを特徴とする請求項11に記載の眼鏡レンズ両眼視性能表示方法。
- 前記各物体点を見るときの左右両眼の単眼PSF(Point spread function)を求め、さらに左右PSFの広がる範囲を近似楕円とし、左右楕円を両眼視楕円に合成し、両眼視楕円の外接長方形対角線長の半分を両眼明瞭指数として定義することにより両眼明瞭指数を求めることを特徴とする請求項12に記載の眼鏡レンズ両眼視性能表示方法。
- 左右眼鏡レンズを通して外界を観察したときの眼鏡レンズの両眼視性能を表示する装置であって、仮想三次元空間内にコンピュータグラフィックスによる仮想物体を作成して配置し、仮想三次元空間内の特定の位置に両眼回旋中点を置き、前記両眼回旋中点を頂点とし且つ特定の中心視線の方向を中心軸とする特定角錐範囲である視野内にある仮想物体の画像を原画像として作成するとともに、前記原画像の画素に対応する物体点について、各物体点と両眼回旋中点との距離である物体点距離を求める原画像作成手段と、各物体点を見る時の、前記物体点に対する左右単眼眼球回旋方向により唯一の方向に決められる、両眼協働回旋方向を定義し、視野の中心にある物体点に対する両眼協働回旋方向である中心両眼協働回旋方向を、左右眼球から中心物体点に向かう主光線である左右単眼中心主光線がそれぞれ両眼鏡レンズ上特定位置を通過するように光線追跡法を用いて求め、各物体点について、中心両眼協働回旋方向を中心軸とする視野である眼鏡レンズ通過後視野における物体点の位置を各該物体点に対する両眼協働眼球回旋方向として光線追跡法で求め、眼鏡レンズ通過後視野の画像、すなわち眼鏡レンズの各該物体点に対する歪みを含む画像である歪み原画像を作成するとともに、各物体点について、各該物体点に対する左右単眼主光線の左右両眼鏡レンズ通過位置を求める歪み原画像作成手段と、前記歪み原画像作成工程で得られた各該物体点に対する左右単眼主光線の左右両眼鏡レンズ通過位置データを用い、左右両眼鏡フレームの前記原画像または前記歪み原画像上の位置を表す眼鏡フレームマーク画像作成する眼鏡フレーム位置取得手段と、前記眼球光学モデルとして左右両眼に対して調節対応眼球光学系モデルを導入し、前記原画像または前記歪み原画像の各画素に対応する各物体点について、前記原画像作成工程で得られた物体点距離より、物体点から左右各単眼回旋中心点までの距離を計算し、前記原画像または歪み原画像の各画像に対応する各物体点について、各物体点から各単眼回旋中心点までの距離および前記歪み原画像作成工程で得られた主光線の左右両眼鏡レンズ通過位置における度数に合わせて、左右両眼の調節パワーを同一または異なるように設定し、前記原画像または歪み原画像の各画素に対応する各物体点について、前記眼鏡レンズと、前記物体点に対する眼球回旋方向に合わせて回旋した眼球光学系モデルとの合成光学系における眼鏡レンズ両眼視性能指数である左右眼鏡レンズの矯正パワーエラー、前記各物体点を見るときの左眼球回旋方向と右眼球回旋方向から求められる両眼上下斜位(左右視線上下のズレ)、前記各物体点を見るときの左眼球回旋方向と右眼球回旋方向から求められる両眼輻輳値と調節度数の乖離度合い、前記各物体点を見るときの変形の程度を表わす両眼点変形指数、前記各物体点を見るときの左右光学不等像の度合いを表す不等像指数、又は、前記各物体点を両眼で見るときの明瞭さの程度を表わす両眼明瞭指数を取得する両眼視性能指数取得手段と、前記眼鏡レンズ両眼視性能指数の値に応じて決めた濃淡値またはRGB三原色輝度値を、前記原画像または前記歪み原画像の対応画素に付与して両眼視性能指数分布画像を作成するとともに、前記フレーム位置取得工程で作成された眼鏡フレームマーク画像と合成する両眼視性能分布画像作成手段と、を有することを特徴とする眼鏡レンズ両眼視性能表示装置。
- 眼鏡レンズを通して外界を観察したときの眼鏡レンズの両眼視性能を表示する装置であって、仮想三次元空間内にコンピュータグラフィックスによる仮想物体を作成して配置し、眼の位置(即ち両眼回旋中点の位置)、中心視線方向及びレンズ系通過点、仮想物体変形量、仮想物体移動量の時系列変化のストーリーを作成し、そのストーリーにしたがって各時点で請求項1〜13のいずれかに記載の眼鏡レンズ両眼視性能表示方法を用いて眼鏡レンズ両眼視性能指数分布画像を作成し、全ての時点における該各眼鏡レンズ両眼視性能指数分布画像を編集して眼鏡レンズ両眼視性能指数分布画像の動画像を作成する手段を有することを特徴とする眼鏡レンズ両眼視性能表示装置。
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