JP3918735B2 - Ofdm信号のパッシブ・レーダ受信機におけるクラッタの排除 - Google Patents

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Description

本発明は、各々が直交符号化キャリア上に発信される、シンボルのフレームを有する無線信号を受信するパッシブ・レーダ受信機に関する。
レーダの技術分野において、移動対象に対し理論的に達成可能な検出性能限界を達成することは、不可能に近く一般的に困難である。これは、検出性能は、レーダ受信機における同調フィルタの出力部での信号対熱雑音比に左右されるが、実際には、一般的に同調フィルタの出力部での熱雑音でなくクラッタにも左右されるからである。本文脈においては、クラッタという用語は、ゼロ・ドップラー効果を伴う全てのパス、として広義で解釈されるべきである。例えば、遠方のエミッタ及び受信機を有するバイスタティック・レーダの場合、クラッタは、以下のパス、つまりエミッタからの直接パス及び固定障害物による反射を追跡して受信されるそれぞれのパスの全てを示す。
当技術分野においてこれらの好ましくない信号を排除する様々な方法が知られているが、見過ごしがたい欠点を有している。例えば、適応できる排除法で、センサのアレイにより受信された信号の共分散行列を用いることに基づくものは、下記の制限がある。
−これらの方法は、その方向により特徴づけられる、限られた数の無相関干渉信号のみを除去する。従って、これらの方法は、クラッタにおいて異なる時間遅延を有するマルチパスが多いときは、クラッタを克服すると言う点では最適化されない。
−これらの方法によって、排除された信号と関連した盲目軸(blind axes)を作成することになり、該盲目軸上では、対象を検出することは不可能である。
−これらの方法は、角度圧縮後に信号対雑音比が正である信号のみを排除する。この排除は、レーダ処理の始めに、つまり、距離−ドップラー圧縮の前に行われる場合には限定的である。
本発明は、より具体的には、特定の直交周波数分割多重(OFDM)信号のパッシブ・レーダ受信機によって受信されたクラッタの全てのゼロ・ドップラー効果パスを排除することを目的とする。OFDM信号は、複数の位相状態または複数の振幅状態で、位相符号化された多数の直交サブキャリアを同時に発信すること、つまり、フーリエ変換の意味での、間隔1/Tの等間隔で、有限期間Tにわたる直交線のスペクトルにより特徴づけられる。
仏国特許出願第2776438号に開示されているバイスタティック・レーダは、欧州デジタル音声放送(DAB)標準及びデジタル・ビデオ放送(DVB)標準に準拠した無線及びテレビ放送において、符号化されたOFDM(COFDM)デジタル無線信号を処理する。よって、パッシブ・レーダ受信機へ適用する場合に用いられるエミッタによって送出されるこれらの信号は、白色雑音に対するのと同様に、発信されたスペクトルの最適使用を確実にし、マルチパス伝搬及び干渉に耐性を有する。
上記特許によると、レーダ受信機は、信号を検出するための複数の受信アンテナを有する。レーダ処理は、受信信号を発信信号の時間基準とドップラー距離相関させることに基づく。時間基準は、実施される無線電気通信操作に従って記録された信号を復号化することによって得られる。
しかし、レーダシステムのバイスタティックな特性により、直接パス信号の電力は、対象により反射される必要な信号の電力より強い。直接パスは、ドップラー距離相関を行う前に排除されるべきである。直接パスの距離−ドップラー第2ローブに含まれるエネルギは、一般的に熱雑音よりかなり大きいため、直接パス付近に配置された対象を検出するのは困難である。
本発明の目的は、直接パスの、又はより一般的には好ましくないゼロドップラー効果信号の、ドップラー距離相関前の受信信号の処理への寄与を減少させ、更には除去することである。
この目的を達成するために、本発明によるレーダ受信機は、伝搬チャネルを介して受信され、それぞれが符号化された直交キャリア上に発信されるシンボルのフレームを有する無線信号を処理し、受信信号をデジタル・シンボル信号に変換する整形手段と、移動対象を区別するドップラー距離相関手段とを有し、シンボル信号における少なくとも好ましくないゼロ・ドップラー効果信号を排除するフィルタリング手段を有し、それにより、対象によって後方散乱した信号を実質的に含むフィルタリング済みシンボル信号を相関手段に印加することを特徴とする。
第1の実施形態において、特に受信チャネルを1つしか持たないレーダでは、フィルタリング手段は、直交キャリアに対応するシンボル信号のスペクトル線を生成する手段と、各々のスペクトル線における伝搬チャネルの伝達関数の係数を推定することによって好ましくないゼロ・ドップラー効果を検出する手段と、推定された伝達関数の係数から引き出された、好ましくないゼロ・ドップラー効果信号のスペクトル線をシンボル信号のスペクトル線から差し引く手段と、差し引く手段により生成されたスペクトル線をフィルタ済み信号に合成する手段とを有する。この第1の実施形態は、好ましくないゼロ・ドップラー効果信号、つまり、基本的に直接パス及びマルチパスから発生した信号を所与の発信機から除去する。
伝搬チャネルの伝達関数を、対象から後方散乱した信号と切り離してよりよく特徴付けるために、好ましくない信号のスペクトル線は、シンボル信号のスペクトル線から除去される前に、検出手段において各シンボルについて推定され、各フレームにわたって平均化される。
複数の受信チャネルを有するレーダについての2つめの実施形態において、整形手段は、複数の受信機手段を有し、受信機手段により受信された複数の信号をデジタルシンボル信号の形に整形し、フィルタリング手段は、それぞれが直交キャリアに対応するシンボル信号のスペクトル線のグループを生成する手段と、それぞれのキャリアに関連するグループのスペクトル線の2個ずつの積にそれぞれ依存する共分散行列を推定する手段と、共分散行列の逆行列を引き出す手段と、フィルタ済みスペクトル線のグループを生成するために、それぞれが前記キャリアに関連する前記スペクトル線のグループを、前記スペクトル線のグループとそれぞれの逆行列とを乗ずることによってフィルタリングする手段と、前記フィルタ済みスペクトル線のグループを、前記相関手段に印加される対象により後方散乱された信号を実質的に含むフィルタ済みシンボル信号に合成する手段とを備える。この実施形態はまた、相関された符号化COFDM信号以外の散乱も除去する。
伝搬チャネルの伝達関数をよりよく特徴付けるために、共分散行列が依存するスペクトル線の積は、シンボルのスペクトル線に依存し、各フレームにわたって平均化される。
第2の実施形態はまた、好ましくないゼロ・ドップラー効果信号における伝搬チャネルの伝達関数の係数を推定することにより、発信信号レプリカを、シンボル信号の1つのスペクトル線の関数として推定する手段も提供する。前記推定されたレプリカは、相関手段においてフィルタ済みシンボル信号に相関される。
本発明の他の特徴及び利点は、対応する添付図面を参照して示される本発明の複数の好ましい実施形態の以下の説明を読むことでより明らかになるであろう。
COFDM無線通信信号の主な特徴は、図1を参照して以下にその概要が示される。
これらのベースバンド信号は、シンボル周期T’で発信される。発信シンボルの各々に含まれるメッセージは、同時に発信される多数の正弦波により搬送される。これら正弦波は、以後簡潔化のため「キャリア」と称されるサブキャリアを構成し、位相符号化又は振幅符号化される。キャリア周波数f〜fは、間隔1/Tで等間隔である。発信される各シンボルSは、時間周期T’(T’>T)中において、下記の通り、キャリアを合計した結果である。
Figure 0003918735
ここで、jは−1の平方根(j=−1)を示し、tは時間を示す。
よって、1≦k≦Kのときの周波数f=k/Tのキャリアは期間Tと直交する。Δ=T’−Tはガード時間を示す。
よって、解析時間Tにわたって、COFDM信号は、周波数ステップ1/Tの等間隔で、それぞれが幅1/TのK個の線のスペクトルを含む帯域信号K/Tを構成する。キャリアは、例えば、アルファベット(1+j、1−j、−1+j、−1−j)に属する複素係数CK,iにより表される4段階位相符号を用いて個別に変調される。
実際には、K個の周波数及びI個の時間スロットから成る時分割多重及び周波数分割多重において、データ・メッセージは、数個のシンボル期間T’にわたって周波数fを数個しか占めないこともある。
発信時、シンボルはフレームに構成される。図2に示される各フレームは、I個のシンボルS〜Sを有する。フレームの第1シンボルSは、情報を全く搬送しない「ヌル」シンボルであり、発信信号の変調キャリア周波数Fから成る。シンボルSは、フレーム同期のために、つまり、時間基準を提供するために使用される。フレームの第2シンボルSは、とりわけ、伝搬チャネルを学習するためにレーダ受信機で使用され、エミッタにおいて所定の位相を有する周波数f〜fのK個のキャリアつまり正弦波を含む。シンボルSにおける、これらK個のキャリアは、発信信号を推定するためにレーダ受信機で使用され、各キャリアfは周波数及び位相基準としての働きをする。はじめの2つのシンボルのおかげで、少なくとも発信パラメータF、T、及びf〜fはこのように得ることができる。他のシンボルS〜Sは、各シンボルを部分的にまたは部分的でなく占める1つまたは複数のデータ・メッセージを搬送するように意図される。
無線通信において、受信されたシンボルは、時間周期Tにわたって受信された受信COFDM信号の周波数解析を用いて回復される。発信された周波数が、フーリエ変換(FFT)の意味で直交することにより、キャリアのそれぞれが復調されて、情報が再構成される。
実際には、発信された周波数の直交性は、以下の形態の干渉によって劣化する。
−シンボル間、キャリア内干渉:様々に符号化された信号が重なること、又は、解析時間Tが符号には適していない。
−シンボル間、キャリア間干渉:解析時間Tにわたる非直交信号。
−シンボル内、キャリア内干渉:様々に符号化された信号が重なること。
−シンボル内、キャリア間干渉:非固定信号。
これら干渉は、エミッタ及び受信機間の伝搬チャネルにおけるマルチパスと関連している。
ガード時間Δが、マルチパスによってもたらされる伝搬チャネルの時間的広がりより大きい場合、ガード時間Δを各シンボル周期T’に付加することにより、全ての種類の干渉が除去される。よって、各期間T’について、長さTの範囲が存在し、該範囲内では、受信マルチパス信号が同じように符号化される。
ドップラー−距離相関、COFDM信号のあいまいさ(ambiguity)関数、特に、該COFDM信号の2次ローブのあいまいさ関数を含む受信信号の処理が調べられなければならない。COFDM波形に関連するあいまいさ関数の2次ローブは、距離−ドップラー平面において比較的一定であり、主ローブに対する該2次ローブのレベルは、−10.log10(I.K)である。2次ローブは、主ローブの基部においてより低い。
従来のレーダ・バランスについての解析は、一般的に、直接パスに関連する2次ローブ内に含まれるエネルギが熱雑音に対して支配的であることを示す。
例えば、図3に示すバイスタティック・レーダを考えると、該バイスタティック・レーダは、P=1000Wの電磁力を照射するエミッタEM、G=10dBのアンテナ利得の受信機RE、周波数F=300MHzに対応するλ=1mの波長、d=40kmの受信機距離、40kmに等しい、エミッタ−対象距離EM−CB及び対象−受信機距離CB−RE、F=6dBの雑音ファクタ、レーダ等価表面(equivalent surface)SER=0dB、期間T=1msのI=100シンボル、125msのフレーム期間に対する250μsのガード時間及びB=1.5MHzの帯域幅に対するK=1500のキャリアを有する。
図4は、エミッタEMと受信機REとの間のリンク・バランスを示す。
直接パス、及びマルチパスによりもたらされたクラッタに属する2次ローブに含まれるエネルギは、熱雑音に対して支配的である。直接パス・ローブのエネルギーレベルは、186−135=51dBであり、198−186=12dBの信号対熱雑音比を有する対象の推定レベルを超えている。
よって、本発明の目的は、ドップラー−距離相関前に、受信された広帯域信号における直接パス及びクラッタを効率的に排除して、移動対象を検出することである。
図5に示される本発明に従ったOFDM信号用のパッシブ・レーダ受信機REaは、受信信号整形回路1、相関信号フィルタリング回路2、相関信号検出器3、対象特定回路4、及び発信信号レプリカ推定器5を有する。
受信信号整形回路1は、通常のとおり、その入力部に、OFDM無線信号及びテレビ放送信号の受信用のものに類似した、アンテナ11及びOFDM無線周波数受信機段階12を備える。周波数変換に続いて、受信機段階12は、受信された次のベースバンド無線信号X(t)をデジタル化し、それを発信パラメータ及びチャネル推定回路13に印加する。
X(t)=TD(t)+SC(t)+B(t)
ここで、発信された各シンボル
Figure 0003918735
について、シンボルSの指標iを無視すると、
Figure 0003918735
は、図3に示すように、固定反射器RFによってもたらされ、クラッタに対応する、直接パス及びマルチパス上の、少なくとも1個のエミッタEM、又は、おそらく複数のOFDMエミッタから受信されるOFDM信号を示す。Hは、線fに対するこれらのパスに関連する伝搬チャネルEM−REaの伝達関数の対応する複素係数を示す。信号TD(t)は、直接パス及びマルチパスによってもたらされる好ましくないゼロ・ドップラー効果信号を重ならせることによって構成される。これらの好ましくない信号は、「相関信号」と呼ばれる。
Figure 0003918735
は、少なくとも1つの移動対象CBによる発信OFDM信号の後方散乱によってもたらされ、よって、ノンゼロ・ドップラー効果を受ける、受信されたOFDM信号を示す。該OFDM信号は、その電力が、相関信号TD(t)の電力と比較して非常に小さい、抽出されるべき好ましい信号を構成する。hは、対象CBの狭帯域伝達関数であり、τは、直接パスと、対象によって反射されるパスとの間のパスの差を示し、νは対象のドップラー周波数である。
−B(t)は、散乱(scatterer)と呼ばれる、干渉及び熱雑音信号などの相関OFDM信号以外の、好ましい帯域内で受信された信号を示す。
回路13は、キャリア周波数F及びシンボル周期Tなどの発信信号のパラメータを、フレーム(図2)の最初の2つのシンボルS及びSの解析の関数として推定し、時間基準を構成するようにする。発信信号の周期T’及び各シンボルの期間Tを知っているので、チャネルの時間的な長さは、各ガード時間Δ内で受信された信号を解析することによって、先行の時間基準に同期させるプロセスから引き出される。これは、チャネルの時間的長さより長い。
受信信号は、次に、切り捨て回路14で周期的に切り捨てられる。期間Tの受信シンボルの固定部分は、各周期T’のガード時間Δ内で受信された信号部分を差し引くことにより、また具体的には、各周期で引き出されたチャネル長を差し引くことにより回復される。
期間Tの、受信されたデジタル・ベースバンド信号のそれぞれの部分は、次に、フィルタリング回路2の入力部で、フーリエアナライザ21に印加される。アナライザは、ヒルベルト変換を用いて、各期間Tごとに、受信信号の実数(real)成分及び虚数(imaginary)成分を生成し、それら成分を高速フーリエ変換(FFT)を用いて解析して、切り捨て回路14によって送出された各シンボルSの周波数スペクトルを供給するようにする。周波数f〜fに対するシンボルのK個のスペクトル線SP〜SPは、検出器3及び減算器22の第1の入力に印加される。他の周波数と独立に発信された周波数に関連する各スペクトル線SPによって搬送される情報は、一方では、対応するスペクトル線の符号化に、もう一方では、伝搬チャネルの伝達関数Hに関連する。
各シンボル・フレームの循環的な学習段階において、検出器3は、フレームの各シンボルのスペクトル線から、
Figure 0003918735
のように、基準信号SR(t)のスペクトル線を引き出す。
Figure 0003918735
は、フレームのシンボルS〜Sの間に、線SPについて、伝搬チャネル伝達関数のI−1個の係数を平均したものである。つまり、事実上、
Figure 0003918735
であり、これにより、チャネルの伝達関数が、瞬時の振幅及び位相の変動にあまり依存しないようになるため、チャネルの伝達関数の推定が改善される。この平均化は、後方散乱された対象信号SC(t)を無視することができ、よって、伝搬チャネル及び相関信号が特徴付けられることを意味する。雑音信号b(t)は、フレームにおいて受信された散乱の平均を示し、該散乱は、実質的に、散乱B(t)より小さい変動を有する熱雑音から成る。
フレームに渡って平均化された伝達関数の係数
Figure 0003918735
を記憶した後、検出器3は、フレームに渡って平均化されたゼロ・ドップラー効果相関信号のスペクトル線、つまり、係数
Figure 0003918735
に依存する信号SR(t)の平均化された線を減算器22のK秒の入力時に印加する。減算器は、フレームの各シンボルS〜Sに関連する受信信号のスペクトル線SP〜SPから、信号SR(t)の線を差し引く。減算器22は、次に、フィルタ済み信号のスペクトル線を生成する。
X’(t)=SC(t)+B(t)−b(t)
において、直接パス及びマルチパスによりもたらされたゼロ・ドップラー効果に寄与する相関信号は、各周波数fについて
Figure 0003918735
を差し引くことにより除去される。
フィルタリング回路2で、信号X’(t)の線は、シンセサイザ23において、逆高速フーリエ変換FFT−1を用いて合成される。該シンセサイザ23は、主に対象後方散乱信号SC(T)を有するデジタル信号X’(t)のシンボルのストリームを再構成する。信号X’(t)は、対象区別回路4に印加される。
これと平行して、発信信号レプリカ推定器5は、検出器3及び基準信号SR(t)のスペクトル密度により推定されたチャネルの伝達関数の係数
Figure 0003918735
を受信し、下記のように、発信信号のレプリカRe(t)を推定する。
Figure 0003918735
仏国特許出願第2776438号に開示されているレーダ受信機のドップラー・チャネルと同様に、対象区別回路4は、ドップラー−距離相関器41を含む。相関器41内のドップラー・チャネルは、ドップラー効果のために、互いに対して予め決めた周波数オフセットが割り当てられている。ドップラー・チャネルは、周波数の変化により、フィルタリング信号X’(t)の複数の速度事例を構成し、それぞれが、各キャリアf〜fについて、発信信号のレプリカRe(τ)に相関させられている。合計後、角度集束回路42は、移動対象の角度位置事例を決定する。最後に、一定誤警報処理(CFAP)回路43は、探索中の移動対象についての位置及び速度データに関連する「プロット」を抽出する。
この第1の実施形態はバイスタティック・レーダについて説明されてきたが、モノスタティック・レーダに適用することもできる。この実施形態はまた、複数の受信アンテナ、つまり複数のフィルタリング操作を有するレーダに用いることができる。そのためには、フィルタリング回路2について、各受信アンテナに関連したK個のスペクトル線について、伝達関数係数
Figure 0003918735
に依存するスペクトル線が差し引かれる。前記フィルタリング回路2においては、図6に示される回路4bと同様に、回路4のドップラー・チャネル内で平行に処理されるべきアンテナの数と同じ数のフィルタ済み信号X’(t)が生成される。
図5を参照して上記に詳述される実施形態において、受信信号X’(t)は、少なくとも1つのCOFDMエミッタEM及び受信機REa間の直接パス及びマルチパスの寄与を除去するように処理される。しかし、必要周波数帯域における干渉及び熱雑音等の散乱は、相関器41により処理される信号X’(t)では除去されない。
図6に示される第2の実施形態においては、レーダ受信機REbは、全ての相関した好ましくない信号及び散乱を排除しようとする。
COFDM信号用の受信機REbは、それぞれ複数の受信機12〜12に接続された複数の受信機アンテナ11〜11を有する(このときN≧2である)。レーダ受信機REbは、図5に示される受信機REaと同様の構造になっているが、回路13b、14b、2b及び4bの間に、それぞれがアンテナ11〜11に関連するN個の並列な受信チャネルを有する点で異なる。
検出器3及びレプリカ推定器5は変更されない。検出器3は、アンテナ11〜11のうちの1つに関連する基準信号SR(t)を、例えばアンテナ11に接続された第1チャネルのK個のスペクトル線SP11〜SPK1の関数として生成する。該スペクトル線は、切り捨て回路14bにより供給されたN個の受信シンボルストリームを解析するアナライザ21bにより送出される。推定器5は、対象区別回路4内のN個のドップラー−距離相関器41bに印加される狭帯域発信信号レプリカRe(t)を生成する。
受信機REbは、受信機REaと、好ましくないゼロ・ドップラー効果TD(t)及び散乱B(t)を除去する狭帯域フィルタリング回路2bにおいて実質的に異なる。
フィルタリング回路2bは、受信信号X(t)〜X(t)の各シンボルについて並列にK個のスペクトル線を生成するスペクトルアナライザ21bと、相関器41bにN個のフィルタ済み信号X’(t)〜X’(t)を供給するフーリエシンセサイザ23bとの間に、連続して共分散行列計算モジュール24bと、逆共分散行列計算モジュール25bと、フィルタリングモジュール26bとを有する。
アナライザ21bによって送出された周波数fの各線SPについて、モジュール24bは、N×N共分散行列Rを推定する。該N×N共分散行列Rでは、所与のランクnの行は、所与のアンテナ11に関連する受信されたスペクトル線SPknとN個のアンテナ11〜11に関連する受信スペクトル線SPk1〜SPkNの共役との積でできており、積は、所定の期間中にシンボルについて平均化される。このとき、1≦n≦Nである。前記積を平均化するための所定の期間は、シンボル期間Tよりかなり長いことが好ましく、例えば、フレームの期間、つまり、I−1個のシンボルS〜Sにわたって平均化される積である。多数のシンボル、つまり、フレームを構成する約100のシンボルにわたる前記積の平均化は、アンテナによって受信される、高レベルの好ましくない信号に対して対象信号を無相関にする。スペクトル線の相互直交関係によって、共分散行列R〜Rは符号化に依存しなくなる。
次に、モジュール25bは、K個の共分散行列の逆行列R −1〜R −1を引き出し、記憶する。これらのK個のN×N逆行列は、モジュール26bにおいてK個のフィルタとして使用されて、スペクトルアナライザ21bによって送出された、それぞれが、N個のスペクトル線SP11〜SP1NからSPK1〜SPKNを有するK個の各グループをフィルタリングする。よって、所与の周波数fについて受信されたN個のスペクトル線SPk1〜SPkNの各グループは、フィルタによってフィルタされ、該フィルタは、各シンボルについて、そのシンボルについて受信されたN個のスペクトル線SPk1〜SPkNから成る列ベクトルと周波数fと逆行列R −1との積を供給する。フィルタリングモジュール26bにより供給されたK個のフィルタリング信号のN個のグループは、次に、N個のシンボル時間信号X’(t)〜X’(t)を相関器41bに送出するシンセサイザ23bに印加される。対象区別回路4bでは、N個の相関器41bの後に角度集束回路42b及びCFAP回路43bが続く。
信号X’(t)〜X’(t)の照射図は、図7に示されるように、相関したOFDM信号及び散乱が受信される方向に、盲目軸、つまり「ギャップ」を有する。
発信されたCOFDM信号における連続するシンボルのタイミング図である。 COFDM信号フレームのタイミング図である。 エミッタ及び受信機の間のパス、つまり、直接パス、マルチパス、及び対象によって反射したパスを示す図である。 相関器の出力への様々な寄与(直接パス、マルチパス、対象、雑音)の出力を示す図である。 本発明の第1の実施形態に従う1個のアンテナを有するレーダ受信機の概略ブロック図である。 複数のアンテナが図5に従う、レーダ受信機の概略ブロック図である。 レーダ受信機の第2の実施形態のアンテナ・アレイの照射図である。
符号の説明
1、1b 受信信号整形手段
2、2b 相関信号フィルタリング回路
3 信号検出器
4、4b 対象区別回路
5 信号レプリカ推定器
11〜11 受信アンテナ
12〜12 受信段階
13、13b 発信パラメータ及びチャネル推定回路
14、14b 切り捨て回路
21 フーリエアナライザ
22 減算器
23、23b シンセサイザ
24b 共分散行列計算モジュール
25b 逆共分散行列計算モジュール
26b フィルタリングモジュール
41、42b ドップラー−距離相関器
42、42b 角度集束回路
43、43b 誤警報処理(CFAP)回路

Claims (3)

  1. 複数の受信機手段(11、12〜11、12)を有し、該受信機手段は伝搬チャネル(EM〜RE)を介して受信され符号化された直交キャリア(f〜f)上に送信されるシンボルのフレームを有する無線信号である複数の信号を受信し、
    受信された該複数の信号をディジタルシンボル信号(X〜X)に整形する整形手段(1b)と、
    移動目標を識別するための目標識別手段(4b)とを有するレーダ受信機において、
    前記直交キャリア(f〜f)に対応するシンボル信号(X〜X)のスペクトル線のグループ((SP11〜SP1N)〜(SPK1〜SPKN))を発生する手段(21b)と、
    それぞれのキャリア(f)に関連するグループ毎に2つずつのスペクトル線(SPK1〜SPKN)の積に依存する共分散行列(R〜R)を推定する手段(24b)と、
    前記共分散行列の逆行列(R −1〜R −1)を推定する手段(25b)と、
    フィルタ済みスペクトル線のグループを生成するために、前記スペクトル線のグループとそれぞれの逆行列とを乗ずることによってそれぞれが前記キャリア(f〜f)に関連する前記スペクトル線のグループをフィルタリングする手段(26b)と、
    前記フィルタ済みスペクトル線のグループから、前記目標識別手段(4b)に印加される対象(CB)により後方散乱された信号を実質的に含むフィルタ済みシンボル信号(X’〜X’)を合成する手段(23b)と
    を含むことを特徴とするレーダ受信機。
  2. 前記共分散行列(R〜R)を決める前記スペクトル線の積は、シンボルのスペクトル線によって決まり、各フレームにわたって平均化されることを特徴とする請求項1に記載のレーダ受信機。
  3. 発信信号レプリカ(Re)を、好ましくないゼロ・ドップラー効果信号の伝搬チャネルの伝達関数の係数を推定することにより前記シンボル信号(X)の1つのスペクトル線(SP11〜SPK1)の関数として推定する手段(3、5)を有し、前記推定されたレプリカは、目標識別手段(4b)でフィルタ済みシンボル信号(X’〜X’)に相関されることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーダ受信機。
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