JP3917709B2 - 平板型水素分離膜モジュール - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、平板型水素分離膜モジュールに関し、詳しくは、高純度水素ガスの製造装置や精製装置に使用する平板型水素分離膜モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
水素混合ガスからの高純度の水素ガスを分離し回収する手段として、水素を選択的に透過する金属膜を使う方法が既に実用化されている。工業的な適用例としては、半導体製造などの工業での超高純度水素製造装置にPd膜法を使っている。また、近年、アンモニア製造等石油化学工業への適用も進みつつある。Pd膜の製造方法としては、次の様な方法がある。
▲1▼ PdやPd−Ag(パラジウム・銀)合金などの水素選択透過性金属を焼鈍して冷間圧延する。
▲2▼ Pd膜の支持体になる多孔質体の表面にメッキあるいは蒸着操作でPdまたはPd合金の薄膜を形成させる(例えば、電気メッキ,無電解メッキ,電子ビーム加熱による真空蒸着法などを応用したもの)。
工業的に使用するには、以上の様な手段で作られた水素透過性膜(箔)を外側にして水素混合ガス側に置き、透過する水素を集める空間を持ったベース板を組合わせて水素分離膜モジュールが構成される。両者の間には、一般に膜強度を補強する多孔板が挟まれている。
【0003】
なお、モジュールの形状には、ベース板が平板の場合と円筒の場合がある。
Pd合金による水素選択透過性膜を例として説明すると、Pd及びその合金膜は、水素を選択的に透過させる性質を持つ。その現象は、水素混合ガス中の水素分子がPd膜に吸着されて原子状態になり、更にイオン化して膜の反対側に拡散し、再結合して再び水素ガスになると説明されている。最近、Pd膜の性能改善努力が払われており、各種の希土類元素を配合する方法などが行われている。
【0004】
従来の水素分離膜モジュールの構成について、ベース板が平板構造である場合の例を、図3及び図4に基づいて説明する。なお、図3はモジュールの構成例を示すものであり、図4はモジュールの外観を示すものである。
冷間圧延によって製作したPd−Ag合金製の水素選択透過性箔1を補強板9の上に置く。補強板9は、多数の開口を形成したもので、総合的に強度を増すべく、複数枚で用いることが多い。この例では、3枚の補強板9を配設している。水素透過性箔1及び補強板9を通過して集まってくる精製水素を集めるための溝3を持ったベース板2をその下に置き、各部材(1,9及び2)の周囲にシール溶接11を施し、全体を一体化して分離膜モジュールとする。この例では、溝3に集まった精製水素ガスは、ベース板2に取付けられ溝3と導通するスイープガス導入管6から水蒸気等を流入させ、対向する側面に取付けた精製ガス抜出管7から精製水素ガスを抜き取る。なお、管6及び7は、ベース板2に溶接して取付けてある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、水素分離装置または精製装置内に配置固定された水素分離膜は、一般に加圧かつ高温雰囲気下(6〜10atm、400〜700°C)で使用される。従って、装置運転において、発停時には水素分離膜モジュール本体及びその取付配管は温度変化により伸縮する。従来の、水素分離膜モジュールの両端にスイープガス(及び水素)配管を取付けたものでは、主として取付配管の溶接部には熱応力履歴が加わるため、疲労欠陥が発生し、水素分離膜モジュールの寿命を縮めていた。そこで、事故防止のために日常点検(メンテナンス)を必要としたが、その費用及び水素分離膜の交換コストは多大なものであった。また、水素分離膜モジュールの寿命は、一日一回の発停を伴う運転の場合は、30〜120日であった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、水素分離膜モジュールの耐用性(寿命)及び製作コストを改善し、その低減を図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記目的を達成するために、ベース板の両面に外側から透過した水素を流すためのスイープガスが流れる複数本の溝を設け、該ベース板の両面に1又は複数枚の金属多孔体からなる補強板と、水素のみを選択的に透過する透過膜を配設し、更にベース板の中心部に複数本の孔を設け、両面の溝から流れたスイープガスと水素ガスが端部で折り返して上記中心孔にくるように配置した構成としている。
本発明では、上記構成としたことにより、水素分離膜モジュールのガス導入口と抜出口を、該モジュールの同一側面に配置することにより、モジュールに加わる熱応力の発生を防止している。なお、ベース板の製作コストは、機械加工法、精密鋳造法、エッチング法を検討した結果、許容圧損失を考慮して2mm(幅)×1.5mm(深さ)の溝を切る場合、エッチング法がベース板の加工及びその材料費の面で最も有利である。
【0007】
次に、本発明を適用した水素分離膜モジュールの構成を図1及び図2を用いて、説明する。
ベース板2,2は、その構造を、スイープガスが端部のヘッダ8aから導入されて両平面の各複数本の溝を流れ、反対側の端部で折り返しして中心部に設けた複数本の孔4を流れてもう1つのヘッダ8bから排出される構造とする。水素分離板は、ベース板2の両面に重ねた1〜3枚の金属多孔体からなる補強板9(一部を省略して示す)と、水素のみを選択的に透過する膜を接合した水素透過性箔1からなり、ベース板2,2の片端にガス導入管6、ガス排出管7にそれぞれヘッダ8a,8bを溶接により取付けることによって形成される。ベース板2,2の溝は、機械加工法、精密鋳造、エッチング等のいずれの方法で加工しても良いが、エッチングで溝を作り、それを2枚以上に分割して作製し、その後接合したもの、特に両面に溝加工した2枚を接合したものが安価に薄く作製できる。
【0008】
本発明を適用した水素分離膜モジュールは、ベース板2を中心におき、その両表面に補強板9、更にその外側両面に水素透過性膜1が置かれている。該モジュールに導入されるスイープガスは、2枚のベース板2の合わせ部に形成された孔4を通り、各口のベース板2,2の水素透過膜1,1側に開口した孔10aを通ってベース板2,2の端部から該ベース板の幅方向に並設されている溝3の中を流れ、水素透過膜1の内側に浸出する水素を、スイープガス導入管の取付け側と反対端に押し流し、ベース板2,2の端の穴10bからベース板2,2の合わせ面の孔4側に流入させ、スイープガス導入時の流れ方向と逆行して、精製水素抜出管7からモジュール外に抜き出され、製品水素となる。なお、スイープガスには、一般に水蒸気が使われる。
【0009】
【作用】
本発明では、水素分離膜モジュールに接続される水素混合ガス(原料)配管及び精製水素ガス配管が同一側面に取付けてあるため、水素分離膜モジュールの一端は、自由端となり、該膜及び水素ガス導入・抜出管は熱伸縮から開放された状態で運転ができる。従って、膜モジュールへの配管取付け溶接部での熱応力も発生せず、ベース板両外面に水素透過箔を取付けるようにしたことにより、膜モジュールの総合的な製作コストダウンを図ることができる。
【0010】
【実施例】
先ず、本発明の効果の比較例として、従来法の性能を概説する。
(比較例)
従来法を用いた、水素分離膜モジュールの製造工程において曲げ加工が必要な円筒方式では、加工歩留りは約60%を越えなかったが、図3および図4に示す平板法式では、歩留りは約90%程度となり、実用性が改善された。しかし、従来の平板ベース方式では、運転中に配管取付け部の疲労破壊事故が多発し、トラブルが通常のように起こっていた。
実験室で、一般的手法により製作したPd箔水素分離膜モジュールに繰返し熱応力を加える実験を行なった結果を次に示す。
実験条件:加熱炉で供試体を600°Cに加熱したのち取出して、室温(約30°C)で空冷(それぞれ供試体温度が安定したのち1時間保持)した。
実験結果:溶接部の欠陥発生に至った温度変化の繰返し回数 25回。
なお、管取付部の破損事故の発生時迄の期間は約100日と推定された。
この従来例モジュールでは、ベース板はSUS材とし、機械加工法を適用した。ベース板の寸法は、70mm(W)×300mm(L)×5mm(t)であった。供試したベース板に取付けたガス導入・抜出管はSUS管、長さ100mm(L)である。
【0011】
(実施例)
SUS材をベース板2とする両面に水素透過箔1,1を取付けて本発明の水素分離膜モジュールを試作し、その実機耐用性を予測した。水素分離膜モジュールの大きさは、従来例と同じとし、ベース板2の加工はケミカルエッチング法で行なった。ベース板厚は、必要溝寸法2mm(幅)×1.5mm(深さ)の両面加工が可能な5mm(厚)とした。実験は前記の従来比較例と同一条件で行なったが、溶接部組織欠陥の発生が認められた温度変化回数は75回となり、実機における耐用日数は約300日と推定され、改善効率が大きいことが確認できた。
本水素分離膜モジュールは、2枚のベース板2,2を合わせているが、両面に水素透過性箔があり、部品数は従来型の2モジュールと同一である。しかし、ベース板2,2の厚みが小さいため、モジュール厚さは小さくなり、コンパクトな配置が可能になる。
モジュール組立てコストは、膜面積当り、30%程度従来方式より低くなる。
【0012】
【発明の効果】
本発明では、水素分離膜モジュールの同一側面にガス導入・抜出管が設けられているため、温度変化が生じた場合も、該取付け管がモジュールの両端に配置された場合の様に水素分離膜モジュールを配管が固縛することがないので、配管取付溶接部に熱応力の発生がない。
従って、従来型の水素分離膜モジュールでの課題となっていた配管取付け部での熱応力発生による疲労破壊トラブルを防止することができる。
さらに、本発明では、ベース板の製作にエッチング法を適用することで、従来の機械加工法を適用するものに比べてベース板製造コストを1/3程度に低減することができ、経済的に有利である。
さらにまた、本発明の水素分離膜モジュールでは、両面に水素透過膜を持つため、従来方式より単位膜面当りのコストは低くなり、実装置内でのコンパクトな配列が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る水素分離膜モジュールを示す分解斜視図である。
【図2】図1における水素分離膜モジュールのベース板を示す断面拡大図である。
【図3】従来の水素分離膜モジュールを示すもので、その分解斜視図である。
【図4】図3における水素分離膜モジュールの外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 水素透過膜
2 ベース板
3 溝
4 孔
5 枠
6 スイープガス導入管
7 精製水素抜出管
8a,8b ヘッダ
9 補強板
10a スイープガス流入用ベース板端穴
10b スイープガス流出用ベース板端穴
11 シール溶接
Claims (2)
- ベース板の両面に外側から透過した水素を流すためのスイープガスを流す複数本の溝を設け、該ベース板の両面に1又は複数枚の金属多孔体からなる補強板と水素のみを選択的に透過する透過膜を配設し、ベース板の中心部に、両面の溝から流れたスイープガスと水素ガスが端部で折り返して流れるように複数本の孔を設けたことを特徴とする平板型水素分離膜モジュール。
- 上記ベース板が、その両面にエッチングにより溝加工した板を2枚接合したものであることを特徴とする請求項1に記載の平板型水素分離膜モジュール。
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1997
- 1997-04-23 JP JP10567697A patent/JP3917709B2/ja not_active Expired - Lifetime
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