JP3917316B2 - 画像圧縮装置および画像伸張装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静止画像である原画像の画素数を低減させて得られた画像データを記録媒体に記録し、その記録媒体から画像データを読み出して原画像を復元させる画像圧縮伸張装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像圧縮伸張装置における画像圧縮処理の例として、原画像を構成する多数の画素に含まれる所定数の画素値の平均値を求めて1つの画素を生成し、このような画素から成る縮小画像を記録媒体に記録するものが知られている。また画像圧縮伸張装置における画像伸張処理では、記録媒体から読み出された縮小画像に対して補間処理を施すことにより、原画像と同じ画素数の拡大画像が生成される。
【0003】
一方、他の画像圧縮伸張装置として、縮小画像に2次元離散コサイン変換を施して得られたDCT係数を記録媒体に記録し、記録媒体から読み出されたDCT係数に対して2次元逆離散コサイン変換を施してIDCT係数を得るものが知られている。IDCT係数は原画像の画素に含まれる一部の画素に対応しており、IDCT係数に対して補間処理を施すことによって、原画像と同じ画素数の拡大画像を生成することが可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
画像圧縮伸張装置によって再生された拡大画像は、理想的には原画像に一致すべきであるが、縮小画像を生成したときに原画像に含まれる情報の一部が欠落するため、通常、原画像に一致せず、画質は相対的に悪い。
【0005】
本発明は、縮小画像から、原画像に対応した拡大画像を再生する画像圧縮伸張装置において、拡大画像の画質を向上させることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る第1の画像圧縮装置は、複数の画素から成る第1のマトリクスによって構成される原画像データに基づいて、第1のマトリクスよりも少ない数の画素から成る第2のマトリクスによって構成される縮小画像データを生成する縮小画像生成手段と、縮小画像データに直交変換を施して縮小直交変換係数データを求める第1の直交変換手段と、第2のマトリクスよりも多い画素から成る第3のマトリクスの画素の構成を示す複数の画素構成モードから、1つの画素構成モードを設定するモード設定手段と、縮小直交変換係数データに対して、前記1つの画素構成モードに対応した第3のマトリクスによって構成される拡大画像データを得るように、逆直交変換を施す第1の拡大画像生成手段と、原画像データと拡大画像データの差に対応した誤差関数値を計算する誤差関数計算手段と、複数の画素構成モードから誤差関数値が最小になるような画素構成モードを選択するモード選択手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
画像圧縮装置は、縮小画像データと、モード選択手段によって選択された画素構成モードを示すパラメータとを記録媒体に記録する記録手段を備えていてもよい。また画像圧縮装置は、縮小直交変換係数データと、モード選択手段によって選択された画素構成モードを示すパラメータとを記録媒体に記録する記録手段を備えてもよい。
【0008】
縮小画像生成手段は例えば、第1のマトリクスに含まれる所定数の画素値の平均値を求め、この平均値を、第2のマトリクスに含まれ、所定数の画素に対応した1つの画素値として定める。この場合、平均値は例えば、第1のマトリクスに含まれる8×8の画素値から求められる。
【0009】
第1のマトリクスは例えば64×64の画素から成り、第2のマトリクスは例えば8×8の画素から成る。
【0010】
直交変換が2次元離散コサイン変換であるとき、逆直交変換は2次元逆離散コサイン変換である。この場合、第1、第2および第3のマトリクスがそれぞれ64×64、8×8およびm×nの画素から成り、第1の拡大画像生成手段が下記(1)式によって表される2次元逆離散コサイン変換により拡大画像データを得ることが好ましい。
【数2】
Figure 0003917316
ただし、 0≦i≦m-1 、 0≦j≦n-1 、I' (s,t) ji は拡大画像データの画素値、 u,v=0 のとき Cu,Cv=1/21/2、 u,v≠0 のとき Cu,Cv=1 、D(s,t) vuは2次元離散コサイン変換によって得られたDCT係数である。
【0011】
好ましくは誤差関数計算手段は、第1のマトリクスに含まれる画素と、第3のマトリクスに含まれ、第1のマトリクスの画素に対応した画素との差の二乗和を、誤差関数値として計算する。この場合、誤差関数計算手段は、第1および第3のマトリクスにそれぞれ含まれる全ての画素を用いて誤差関数値を計算してもよく、あるいは第1および第3のマトリクスにそれぞれ含まれる1部の画素のみを用いて誤差関数値を計算してもよい。
【0012】
本発明に係る第1の画像伸張装置は、記録媒体に記録されたパラメータと縮小画像データとを読み出すデータ読出手段と、縮小画像データに直交変換を施して縮小直交変換係数データを求める第2の直交変換手段と、縮小直交変換係数データに対して、パラメータによって示される画素構成モードに対応した第3のマトリクスによって構成される拡大画像データを得るように、逆直交変換を施す第2の拡大画像生成手段とを備えたことを特徴としている。
【0013】
本発明に係る第2の画像伸張装置は、第1の画像伸張装置とデータ読出手段の構成が異なり、データ読出手段は、記録媒体に記録されたパラメータと縮小直交変換係数データとを読み出すように構成されている。また第2の画像伸張装置には、直交変換手段が設けられていない。その他の構成は第1の画像伸張装置と同様である。
【0014】
本発明に係る第2の画像圧縮装置は、複数の画素から成る第1のマトリクスによって構成される原画像データに基づいて、第1のマトリクスよりも少ない数の画素から成る第2のマトリクスによって構成される縮小画像データを生成する縮小画像生成手段と、縮小画像データに直交変換を施して縮小直交変換係数データを求める第1の直交変換手段と、第2のマトリクスよりも多い画素から成る第3のマトリクスの画素の構成を示す複数の画素構成モードから、1つの画素構成モードを設定するモード設定手段と、縮小直交変換係数データに対して、1つの画素構成モードに対応した第3のマトリクスによって構成される拡大画像データを得るように、逆直交変換を施す第1の拡大画像生成手段と、拡大画像データにコントラスト係数を施すことによって、拡大画像データが有するコントラストが原画像データが有するコントラストに近くなるように、コントラスト係数を求めるコントラスト係数演算手段と、拡大画像データにコントラスト係数を施すことによって、拡大画像データを修正し、修正拡大画像データを求めるコントラスト変換手段と、原画像データと修正拡大画像データの差に対応した誤差関数値を計算する誤差関数計算手段と、複数の画素構成モードから誤差関数値が最小になるような画素構成モードを選択するモード選択手段とを備えたことを特徴としている。
【0015】
画像圧縮装置は、縮小画像データと、コントラスト係数と、モード選択手段によって選択された画素構成モードを示すパラメータとを記録媒体に記録する記録手段を備えていてもよい。また画像圧縮装置は、縮小直交変換係数データと、コントラスト係数と、モード選択手段によって選択された画素構成モードを示すパラメータとを記録媒体に記録する記録手段を備えていてもよい。
【0016】
本発明に係る第3の画像伸張装置は、記録媒体に記録された縮小画像データとコントラスト係数とパラメータとを読み出すデータ読出手段と、縮小画像データに直交変換を施して縮小直交変換係数データを求める第2の直交変換手段と、縮小直交変換係数データに対して、パラメータによって示される画素構成モードに対応した第3のマトリクスによって構成される拡大画像データを得るように、逆直交変換を施す第2の拡大画像生成手段と、拡大画像データにコントラスト係数を施すことによって、拡大画像データを修正し、修正拡大画像データを求めるコントラスト変換手段とを備えたことを特徴としている。
【0017】
本発明に係る第4の画像伸張装置は、第3の画像伸張装置とデータ読出手段の構成が異なり、データ読出手段は、記録媒体に記録された縮小直交変換係数データとコントラスト係数とパラメータとを読み出すように構成されている。また第4の画像伸張装置には、直交変換手段が設けられていない。その他の構成は第3の画像伸張装置と同様である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1および図2は本発明の第1の実施形態である画像圧縮伸張装置を示すブロック図である。図1は画像圧縮装置を示し、図2は画像伸張装置を示す。
【0019】
被写体SPからの反射光は撮影光学系11によって集光され、これにより撮像素子12の受光面に被写体SPの画像が結像される。撮像素子12の受光面にはレッド(R)、グリーン(G)およびブルー(B)のカラーフィルタが設けられており、撮像素子12では、R、GおよびBの各画像に対応したアナログの電気信号がそれぞれ発生する。この電気信号はAD変換器13において、デジタルの電気信号であるR、GおよびBの画像信号に変換される。R、GおよびBの画像信号は図示しない画像処理回路において、輝度データY、および色差データCb、Crに変換され、メモリ14に格納される。
【0020】
輝度データY、および色差データCb、Crは、画像において水平方向に約1000個、垂直方向に約600個の画素が配列して構成される原画像データである。後述するように縮小画像生成部15では、64×64の画素から成る第1のマトリクスが原画像データから抽出され、第1のマトリクスの原画像データに対して縮小処理が施される。縮小処理において原画像データは、第2のマトリクスによって構成される縮小画像データに変換される。第2のマトリクスは第1のマトリクスよりも少ない数の画素から成る。すなわち縮小画像データは、第1のメモリ14に格納された輝度データY、および色差データCb、Crよりも圧縮されており、圧縮率は例えば64分の1である。縮小画像データは、ICメモリカード等の記録媒体RMに記録される。
【0021】
また縮小画像データは、第1のDCT処理部16において2次元離散コサイン変換(2次元DCT)を施され、DCT係数に変換される。2次元DCTによって得られたマトリクスは縮小DCT係数データを構成し、その要素数は縮小画像データを構成する第2のマトリクスと同じである。第1のモード設定部17では、第1の拡張IDCT処理部18において用いられる第3のマトリクスに対応した1つの画素構成モードが設定される。すなわち本実施形態では、第3のマトリクスの画素の構成を示す画素構成モードとして16種類のモードが予め用意されており、モード設定部17では、16個の画素構成モードから1つの画素構成モードが選択されて設定される。
【0022】
第1の拡張IDCT処理部18ではDCT係数に対して、後述する拡張2次元逆離散コサイン変換(拡張IDCT)が施され、モード設定部17において設定された画素構成モードの第3のマトリクスによって構成される拡大画像データが得られる。縮小画像生成部15および第1のDCT処理部16における処理によってデータの欠落が生じなければ、拡大画像データは原画像データに一致するが、通常はデータの一部が欠落するために、拡大画像データの各画素値は原画像データの各画素値とは異なったものとなる。誤差関数計算部19では、原画像データの各画素値と、これに対応する拡大画像データの画素値との差に対応した誤差関数値が計算される。この計算については後述する。
【0023】
誤差関数計算部19において誤差関数値の計算が終了すると、モード設定部17において次の画素構成モードが設定される。そして拡張IDCT処理部18では、新しく設定された画素構成モードに従って拡大画像データが得られる。次いで誤差関数計算部19では、再び誤差関数値が計算される。
【0024】
このようにして、16種類の画素構成モードについて誤差関数値が計算されると、モード選択部20では、誤差関数値が最小になるような、最適な画素構成モードが選択される。最適な画素構成モードを示すパラメータmdは、縮小画像生成部15において求められた縮小画像データと同様に、記録媒体RMに記録される。
【0025】
輝度データY、および色差データCb、Crに対応した縮小画像データと最適画素構成モードのパラメータmdは、それぞれ記録媒体RMから読み出される。縮小画像データは、第2のDCT処理部31において2次元DCTを施され、DCT係数に変換される。第2のモード設定部32では記録媒体RMから読み出されたパラメータmdに基づいて画素構成モードが設定される。DCT係数は、第2の拡張IDCT処理部33において拡張IDCTを施され、パラメータmdに対応した最適な画素構成モードの第3のマトリクスによって構成される拡大画像データが得られる。拡大画像データは輝度データY、および色差データCb、Crの形式で第2のメモリ34に格納される。
【0026】
図3は、図1および図2に示す画像圧縮伸張装置において処理される各画像データのマトリクスを示す図である。図4は縮小画像生成部15における縮小処理を示す図である。図3および図4を参照して縮小画像生成部15の作用を説明する。
【0027】
原画像データは約1000×600の画素値Pyxから成り、8×8の画素から成るブロックに分割される。図3においてブロックB1は、原画像データの左上隅のブロックを原点として、水平方向にsブロック目、垂直方向にtブロック目に位置する。水平方向に8個並び、かつ垂直方向に8個並ぶ64個のブロックによって第1のマトリクスM1が構成される。すなわち第1のマトリクスM1は64×64の画素値Pyxから成る。
【0028】
縮小画像生成部15では、第1のマトリクスM1によって構成される原画像データに基づいて第2のマトリクスM2が生成される。第2のマトリクスM2における画素値Rtsは下記(2)式によって示される。すなわち第2のマトリクスM2の画素値Rtsは、第1のマトリクスM1において、ブロックB1を構成する8×8の画素値Pyxの平均値を求めることによって得られる。
【0029】
【数3】
Figure 0003917316
ただし、原画像データにおいて原点は画像の左上隅C1の画素であり、xは画素の水平方向における座標、yは画素の垂直方向における座標を示す。
【0030】
図4に示す例では、第1のマトリクスM1に含まれるブロックB1は、160、158、183、211、221、226・・・の64個の画素値Pyxから成り、これら64個の画素値Pyxの平均値174が第2のマトリクスM2の対応画素値Ryxとして求められる。
【0031】
このように第2のマトリクスM2は8×8の画素値から成り、第2のマトリクスM2によって構成される縮小画像データは、原画像データよりも少ない画素によって元の画像を示すものである。換言すれば、原画像データにおいて水平方向にsブロック目、垂直方向にtブロック目に位置するブロックB1は、縮小画像データにおいて水平方向にs画素目、垂直方向にt画素目に位置する画素P1に対応する。
【0032】
図5は、第2のマトリクスM2の8×8の画素値と、これらの画素値のDCT係数とを示している。図3および図5を参照して、第1および第2のDCT処理部16、31において実行される2次元DCTを説明する。
【0033】
縮小画像データにおいて、第2のマトリクスM2の構成要素である画素値Rtsは、左上隅C2を原点とする(s,t)の座標系によって示されている。DCTを行なうため、画素値Rtsは(3)式に従って、第2のマトリクスM2において左上隅C3の画素を原点とする座標系に変換される。
【0034】
【数4】
Figure 0003917316
【0035】
DCTは、第1および第2のDCT処理部16、31において下記(4)式に従って行なわれる。
【数5】
Figure 0003917316
【0036】
DCTによって得られたDCT係数D(s,t) vuから成るマトリクスMDにおいて、原点(0,0)にあるDCT係数 (s,t) 00 は直流成分であり、残りの63個のDCT係数D(s,t) vuは交流成分である。直流成分は第2のマトリクスを構成する8×8の画素値の平均値に対応し、各交流成分は、それぞれ所定の空間周波数成分に対応している。
【0037】
次に、図3および図6を参照して、第1および第2の拡張IDCT処理部18、33において実行される拡張IDCTを説明する。
ここでは、説明の簡単のために、画像データのマトリクスが1次元的に配列されている場合について、すなわち1次元の拡張IDCTについて述べる。
【0038】
8つの画素Px(=P0,P1,P2, ...P7)が1次元的に配置されて成る画像データに対する1次元離散コサイン変換は下記(5)式によって表される。
【数6】
Figure 0003917316
【0039】
(5)式から理解されるように、1次元離散コサイン変換によって、8個の領域xにおける画素値Pxに基づいて空間周波数成分F(u)が求められる。空間周波数の種類の数(すなわち "u" の数)は領域xの数に等しく、領域xの数が8の場合は8である。すなわち、この場合、直流成分F(0)と7つの交流成分F(1)、F(2)、・・・F(7)とが求められる。
【0040】
1次元逆離散コサイン変換は下記(6)式によって表される。
【数7】
Figure 0003917316
【0041】
(6)式から理解されるように、1次元逆離散コサイン変換によって、8個の空間周波数成分F(u)に基づいて画素値P'xが求められる。
【0042】
図6は、画素値P'xにおいて、直流成分F(0)に関する成分と、交流成分F(1)、F(2)、F(3)に関する成分とを示している。直流成分F(0)に関する画素値P'xの成分A0は
【数8】
Figure 0003917316
によって示される。交流成分F(1)に関する画素値P'xの成分A1は
【数9】
Figure 0003917316
によって示される。交流成分F(2)に関する画素値P'xの成分A2は
【数10】
Figure 0003917316
によって示される。交流成分F(3)に関する画素値P'xの成分A3は
【数11】
Figure 0003917316
によって示される。
【0043】
画素値P'xは、全ての空間周波数成分F(0)、F(1)、F(2)、・・・F(7)に関する画素値P'xの成分の和である。例えばx=1における画素値は、下記(7)式によって表される。
【数12】
Figure 0003917316
【0044】
図6には、(7)式における空間周波数成分F(0)、F(1)、F(2)、F(3)に関する画素値の成分A01、A11、A21、A31が示されている。
【0045】
x=1における画素値P'1を求めるのと同様な手法によって、すなわち各空間周波数成分F(0)、F(1)、・・・F(7)に関する画素値P'xの各成分A0、A1、A2、A3・・・の曲線(図6参照)において補間することによって、任意の領域xにおける画素値P'xを求めることができる。例えば、画素の領域xの範囲0〜7を64等分した場合、すなわちx=0, 0.125, 0.25, 0.375, 0.5, 0.625, .... 7.75, 7.875 に関する画素値は、(8)式によって求められる。
【0046】
【数13】
Figure 0003917316
なお(8)式において、コサインの分母を128としたのは、領域xを整数として扱えるようにしたためである。
【0047】
このようにして領域xの範囲をさらに細かく分割して逆離散コサイン変換を行なうことを、この明細書では「拡張IDCT」と呼んでいる。換言すると、拡張IDCTとは、通常のIDCTにより得られる画素データのサンプリング数を、通常のDCT係数の数A個よりも多いB個となるようにIDCTを施すことである。拡張IDCTは、上述のような1次元配列の画像データの場合と同様にして2次元配列の画像データにも適用できる。(9)式は2次元配列の場合の拡張IDCTを行なって、画素値I' (s,t) jiを求めるための式を示している。
【0048】
【数14】
Figure 0003917316
【0049】
(9)式に示される拡張IDCTによれば、マトリクスMDを構成する8×8のDCT係数D(s,t) vuは、図3に示すように、m×nの画素値I' (s,t) jiから成る第3のマトリクスM3に変換される。図7は第3のマトリクスM3が64×64の画素によって構成される例を示している。
【0050】
第3のマトリクスM3は、前述したように拡大画像データを構成する。mおよびnは、8、16、32、64のいずれかの値をとる整数であり、画素構成モードによって異なる。図8に示すように、画素構成モードは0から15まであり、例えば画素構成モード0のマトリクスは64×64の画素から成り、画素構成モード1のマトリクスは64×32の画素から成る。
【0051】
第3のマトリクスM3において、横方向に並ぶ画素の数mと縦方向に並ぶ画素の数nとは必ずしも一致しない。そこで、m×nの画素から成る第3のマトリクスM3は、下記(10)式に従って、64×64の画素から成る第4のマトリクスM4に変換される。
【数15】
Figure 0003917316
【0052】
第4のマトリクスM4を構成する画素値J’(s,t) yxにおいて、例えばmが64、nが8のとき、0≦i≦63、0≦j≦7であるので、添字x、yはそれぞれ
x=i
8×j≦y≦8×j+7
の値をとる。すなわち、この例において、xとiは1対1に対応するが、1つのjに対して8個のyが対応する。例えば、
J’(s,t) 00=I’(s,t) 00
J’(s,t) 10=I’(s,t) 00
J’(s,t) 20=I’(s,t) 00
J’(s,t) 30=I’(s,t) 00
J’(s,t) 40=I’(s,t) 00
J’(s,t) 50=I’(s,t) 00
J’(s,t) 60=I’(s,t) 00
J’(s,t) 70=I’(s,t) 00
である。
【0053】
第4のマトリクスM4における画素値J' (s,t) yxの座標(x,y)は、第2のマトリクスM2と同様に、左上隅の画素を原点としている。そこで、第4のマトリクスM4の画素値J' (s,t) yxを原画像データと同じ座標系に戻すため、(11)式に従って座標変換が行なわれ、第5のマトリクスM5が求められる。すなわち第5のマトリクスM5は座標変換された拡大画像データを示している。
【0054】
【数16】
Figure 0003917316
【0055】
(11)式から理解されるように、第3および第4のマトリクスM3、M4に対応するブロックB1(図3参照)の位置(s,t)と、第4のマトリクスM4における画素値J' (s,t) yxの位置(x,y)とに基づいて、拡大画像データ(第5のマトリクスM5)における画素値が座標変換される。すなわち第5のマトリクスM5における画素値Jt*8+y,s*8+x は、第3のマトリクスM3における画素値I' (s,t) jiと、座標系が異なるだけであり、対応する画素同士は同じ値を有する。
【0056】
図9は画素構成モード0〜7における第5のマトリクスM5の一部をそれぞれ示し、図10は画素構成モード8〜15における第5のマトリクスM5の一部をそれぞれ示す。
【0057】
誤差関数値E(s,t) は下記(12)式に従って計算される。なお(12)式において、第5のマトリクスM5の画素値Jt*8+y,s*8+x は、画素値Jyxに書き換えられている。
【数17】
Figure 0003917316
【0058】
誤差関数値は、第1のマトリクスM1に含まれる画素と、第5のマトリクスM5に含まれ、第1のマトリクスM1の画素に対応した画素との差の二乗和であるが、上述したように、第3および第5のマトリクスM3、M5における対応した画素同士は同じ値を有する。したがって誤差関数値は、第1のマトリクスM1に含まれる画素と、第3のマトリクスM3に含まれ、第1のマトリクスM1の画素に対応した画素との差の二乗和である、と見做すことができる。
【0059】
図1を参照して説明したように、誤差関数計算部19では画素構成モード0〜15について、誤差関数値が計算される。図11は各画素構成モードにおける誤差関数値の例を示している。この図に示される例では、画素構成モード0における誤差関数値が最小であり、第3のマトリクスM3としては64×64の画素から構成されるものであることが最良である。
【0060】
図12は、モード選択部20(図1参照)において実行され、誤差関数値が最小になるような画素構成モードを選択するモード選択ルーチンのフローチャートである。
【0061】
ステップ101では、パラメータmx、mdの初期値がそれぞれ0に定められ、また誤差関数値の最小値Emin が初期値E(0)に定められる。ステップ102では、誤差関数値E(mx)がステップ102の実行前における最小値Emin よりも小さいか否かが判定される。誤差関数値E(mx)が最小値Emin よりも小さいとき、ステップ103が実行され、誤差関数値E(mx)が最小値Emin として置き換えられるとともに、パラメータmxが最小値Emin に対応したパラメータmdとして置き換えられる。これに対し、誤差関数値E(mx)が最小値Emin 以上であるとき、ステップ103はスキップされる。
【0062】
ステップ104では、パラメータmxが1だけインクリメントされる。ステップ105では、パラメータmxが16に等しくなったか否かが判定される。パラメータmxが16に達していないとき、ステップ102が再び実行される。これに対し、パラメータmxが16であるとき、全ての画素構成モードにおける誤差関数値E(mx)に関して、ステップ102の判定が実行されたので、モード選択ルーチンは終了する。
【0063】
このようにして、16種類の画素構成モードについて誤差関数値が計算され、誤差関数値が最小になるような画素構成モードを示すパラメータmdが検出される。このパラメータmdは0〜15の整数であり、前述したように記録媒体RM(図1参照)に記録される。
【0064】
以上のように本実施形態によれば、縮小画像データに対して、DCTと拡張IDCTを施すことにより、原画像データと大きさが同じでm×nの画素から成る拡大画像データ(拡大画像)が得られる。拡張IDCTでは、(9)式に示されるように、第3のマトリクスM3を構成する全ての画素値に関して2次元逆離散コサイン変換を行なうことによって、拡大画像の画素値が求められる。したがって本実施形態によれば、縮小画像データを生成したときに欠落した情報が存在するにも拘わらず、原画像に近い画像を再生することが可能となり、再生された拡大画像の画質を向上させることができる。
【0065】
また本実施形態では、誤差関数計算部19において、誤差関数値が最小になるような画素構成モードが選択され、この画素構成モードを示すパラメータmdが記録媒体RMに記録される。したがって画像伸張装置(図2参照)では、最適な画素構成モードを用いて拡張IDCTを実行することができ、再生画像の画質を向上させることができる。
【0066】
図13および図14は第2の実施形態である画像圧縮伸張装置を示すブロック図である。図13は画像圧縮装置を示し、図14は画像伸張装置を示す。図1および図2に示す第1の実施形態と同一または相当する構成要件に関しては、同じ符号を用いている。
【0067】
第1の実施形態と異なる構成を説明する。縮小画像生成部15において生成された縮小画像データは記録媒体RMには記録されず、DCT処理部16において2次元離散コサイン変換によって得られた、マトリクスMD(図3参照)を構成する縮小DCT係数データが記録媒体RMに記録される。モード選択部20において選択された、最適な画素構成モードを示すパラメータmdも、第1の実施形態と同様に記録媒体RMに記録される。
【0068】
縮小DCT係数データとパラメータmdは記録媒体RMから読み出され、パラメータmdはモード設定部32に入力され、縮小DCT係数データは拡張IDCT処理部33に入力される。モード設定部32では、パラメータmdに基づいて最適な画素構成モードが設定される。拡張IDCT処理部33において、縮小DCT係数データは、最適な画素構成モードに従って拡張2次元逆離散コサイン変換を施され、拡大画像データが得られる。すなわち第2の実施形態では、記録媒体RMには、DCT係数によって構成される縮小DCT係数データが記録されているので、拡張IDCT処理部33の前段にDCT処理部は設けられていない。
【0069】
その他の構成および作用は第1の実施形態と同じである。
【0070】
図15および図16は第3の実施形態である画像圧縮伸張装置を示すブロック図である。図15は画像圧縮装置を示し、図16は画像伸張装置を示す。図1および図2に示す第1の実施形態と同一または相当する構成要件に関しては、同じ符号を用いている。
【0071】
第1の実施形態と異なる構成を説明する。
第3の実施形態の画像圧縮装置において、第1の拡張IDCT処理部18と誤差関数計算部19の間に、コントラスト係数計算部21と第1のコントラスト変換部22が設けられている。誤差関数計算部19の後段には、モード・コントラスト係数設定部23が設けられている。また、画像伸張装置において、拡張IDCT処理部33の後段には第2のコントラスト変換部35が設けられている。その他の構成は、基本的に第1の実施形態と同様である。
【0072】
コントラスト係数計算部21では、拡大画像データにおけるコントラストの低下を補正するためのコントラスト係数が求められる。すなわちコントラスト係数は、拡大画像データが有するコントラストが原画像データが有するコントラストにできるだけ近くなるように、拡大画像データに施されるものである。コントラスト変換部22では、コントラスト係数con を用いて拡大画像データが修正される。
【0073】
図3に示される画像データの構成は第3の実施形態においても共通であるので、図3および図17を参照して、コントラスト係数計算部21において実行されるコントラスト係数con の演算、およびコントラスト変換部22、35において実行される拡大画像データの修正について説明する。
【0074】
原画像データのブロックB1を構成する8×8のマトリクスにおいて、水平方向に延びる1つの列を構成する8個の画素が例えばPy0、Py1、Py2、Py3、Py4、Py5、Py6、Py7の値をとり、これらに対応する拡大画像データの8個の画素が例えばJy0、Jy1、Jy2、Jy3、Jy4、Jy5、Jy6、Jy7の値をとるとする。また、原画像データの8個の画素Py0、Py1・・・Py7の平均値がAPであり、拡大画像データの8個の画素Jy0、Jy1・・・Jy7の平均値がAJであるとする。
【0075】
縮小画像生成部15および第1のDCT処理部16における処理によってデータの一部が欠落するため、拡大画像データの各画素値は原画像データとは異なる値をとる。すなわち拡大画像データの各画素値は、原画像データと比較して、平均値AJに近くなり、全体的に変化量は小さくなる。換言すれば、拡大画像データのコントラストは原画像データよりも低下する。
【0076】
そこでコントラスト係数計算部21では、拡大画像データのコントラストをできるだけ原画像データに近づけるための修正係数として、下記(13)〜(18)式に従ってコントラスト係数con が求められる。コントラスト変換部22、35では、コントラスト係数con を用いて、拡大画像データの各画素値において、平均値AJよりも大きい値をとるものに対しては、より大きい値をとるように修正され、平均値AJよりも小さい値をとるものに対しては、より小さい値をとるように修正され、中間修正拡大画像データの画素Jc y0、Jc y1・・・Jc y7が求められる。
【0077】
なおこの修正に先立ち、拡大画像データの画素値の平均値AJが原画像データの画素値の平均値APに等しくなるように、拡大画像データの各画素値には補正係数が乗じられる。例えば平均値APが平均値AJの1.05倍であった場合、拡大画像データの各画素値には補正係数として1.05が乗じられ、拡大画像データの画素値は平均値AJ’(=AP)をとるように補正される。すなわち、修正された拡大画像データの画素Jc y0、Jc y1・・・Jc y7の平均値AJ’は原画像データの平均値APに等しい。
【0078】
コントラスト係数con の求め方について詳述する。
なお、第3および第5のマトリクスM3、M5における対応した画素同士は同じ値を有し、コントラスト係数con は第5のマトリクスM5の画素値を用いて、計算される。すなわちコントラスト係数con の計算では、第5のマトリクスM5の画素値を拡大画像データとして用いる。
【0079】
まず(13)式に従って、第5のマトリクスM5(拡大画像データ)に含まれる64×64個の画素Jyxの平均値ave'が求められる。また、(14)式に従って第1のマトリクス(原画像データ)に含まれる64×64個の画素Pyxの平均値ave が求められる。
【0080】
【数18】
Figure 0003917316
【数19】
Figure 0003917316
【0081】
次いで、上述したように、平均値ave'が平均値ave に等しくなるように、画素Jyxに補正係数が乗じられる。以下の説明では、この補正係数を乗じたものを画素Jyxとして説明する。すなわち、64×64個の画素Jyxの平均値はave である。
【0082】
中間修正拡大画像データの画素Jc yxが(15)式によって定義される。すなわち中間修正拡大画像データの画素Jc yxは、画素Jyxと平均値ave との差に修正係数con を乗じたことによって得られる修正値(Jyx−ave )×con に対して、平均値ave を加算することにより得られる。
【数20】
Figure 0003917316
【0083】
(15)式において画素Jc yxは、con=1 のとき拡大画像データの画素Jyxに等しくなり、con=0 のとき平均値ave に等しくなる。またcon >1 のとき、画素Jc yxは拡大画像データの画素Jyxに対してコントラストが増加せしめられる。このようにコントラスト係数con を最適値に定めることにより、原画像データの画素Pyxに近い画素Jc yxを有する修正拡大画像データを得ることができる。
【0084】
修正拡大画像データを計算するため、まず、(16)式に従って中間修正拡大画像データの画素値と原画像データの画素値との二乗誤差の合計E(s,t) が、第1および第5のマトリクスM1、M5に関して求められる。
【数21】
Figure 0003917316
【0085】
二乗誤差の合計E(s,t) は正の値をとり、コントラスト係数con の値によって変化する。したがって(16)式をコントラスト係数con によって偏微分し、その値が0となるようにコントラスト係数con を選べば、そのとき、合計E(s,t) は最小になり、そのコントラスト係数con は最適値を有する。すなわち、最適なコントラスト係数con は(17)式および(18)式に従って求められる。
【数22】
Figure 0003917316
【数23】
Figure 0003917316
【0086】
この最適なコントラスト係数con は、コントラスト変換部22、35において、拡大画像データの画素Jyxを修正するために用いられる。すなわち(15)式に従って拡大画像データの画素Jyxが修正され、原画像データが有するコントラストにできるだけ近いコントラストを有する修正拡大画像データが得られる。
【0087】
図18は、コントラスト係数計算部21において実行され、(18)式に従ってコントラスト係数con を求めるプログラムのフローチャートである。
【0088】
ステップ201では、原画像データの画素Pyxと拡大画像データの画素Jyxとの積PJの初期値が0に定められ、画素Jyxの二乗JJの初期値が0に定められる。またステップ201では、第1および第5のマトリクスM1、M5において左上隅に位置する画素の縦座標yが(t×8)によって求められ、同様にしてステップ202では、マトリクスM1、M5において左上隅に位置する画素の横座標xが(s×8)によって求められる(図3参照)。すなわち、左上隅の画素が含まれる8×8のブロックは、原画像データおよび拡大画像データにおいて、水平方向にsブロック目、縦方向にtブロック目に位置している。
【0089】
ステップ203では、原画像データの画素Pyxと拡大画像データの画素Jyxとの積が求められ、ステップ203における前回の計算結果である積PJに加算される。また、画素Jyxの二乗が求められ、ステップ203における前回の計算結果である二乗JJに加算される。
【0090】
ステップ204では、画素の横座標xに1が加算される。ステップ205では、画素の横座標xがマトリクスM1、M5から離れたときの値(s×8)+64に等しいか否かが判定される。画素の横座標xがマトリクスM1、M5の範囲内にあるとき、ステップ203が再び実行される。これに対して横座標xがマトリクスM1、M5から離れたとき、ステップ206において画素の縦座標yに1が加算された後、ステップ207において、画素の縦座標yがマトリクスM1、M5から離れたときの値(t×8)+64に等しいか否かが判定される。画素の縦座標yがマトリクスM1、M5の範囲内にあるとき、ステップ202へ戻り、横座標xが初期値(s×8)にリセットされる。そして、ステップ203、204、205から成るループが再び実行される。
【0091】
このようにしてマトリクスM1、M5を構成する64×64個の画素に関して積和PJと二乗和JJが求められると、ステップ208において、(18)式に従ってコントラスト係数con が計算される。これにより、このプログラムは終了する。
【0092】
図19は、コントラスト変換部22、35において実行され、(15)式に従って修正拡大画像データの画素Jc yxを求めるプログラムのフローチャートである。
【0093】
ステップ301では、第1および第5のマトリクスM1、M5において左上隅に位置する画素の縦座標yが(t×8)によって求められ、同様にしてステップ302では、マトリクスM1、M5において左上隅に位置する画素の横座標xが(s×8)によって求められる。ステップ303では、(15)式に従って修正拡大画像データの画素Jc yxが計算される。
【0094】
ステップ304では、画素の横座標xに1が加算される。ステップ305では、画素の横座標xがマトリクスM1、M5から離れたときの値(s×8)+64に等しいか否かが判定される。画素の横座標xがマトリクスM1、M5の範囲内にあるとき、ステップ303が再び実行される。これに対して横座標xがマトリクスM1、M5から離れたとき、ステップ306において画素の縦座標yに1が加算された後、ステップ307において、画素の縦座標yがマトリクスM1、M5から離れたときの値(t×8)+64に等しいか否かが判定される。画素の縦座標yがマトリクスM1、M5の範囲内にあるとき、ステップ302へ戻り、横座標xが初期値(s×8)にリセットされる。そして、ステップ303、304、305から成るループが再び実行される。
【0095】
このようにしてマトリクスM1、M5を構成する64×64個の画素の全てについてステップ303が実行されると、このプログラムは終了する。
【0096】
誤差関数計算部19では、原画像データの各画素値と、コントラスト変換部22によって得られた拡大画像データの画素値との差に基づいて誤差関数値が計算される。誤差関数値の計算は、第1の実施形態と同じである。誤差関数計算部19において誤差関数値の計算が終了すると、モード設定部17において次の画素構成モードが設定される。そして拡張IDCT処理部18、コントラスト係数計算部21、コントラスト変換部22の順に処理が行なわれ、誤差関数計算部19において、再び誤差関数値が計算される。
【0097】
図20、図21は、16種類の画素構成モード0〜15において、コントラスト変換部22によって得られた修正拡大画像データの一部を示し、対応する原画像データは、第1の実施形態と同じである(図4参照)。第1の実施形態における修正拡大画像データ(図9および図10参照)と比較することから理解されるように、第3の実施形態によれば、コントラスト係数計算部21とコントラスト変換部22、35を設けたことによって、拡大画像データにおいて相対的に大きい値を有する画素は、修正拡大画像データでは、より大きい値に修正され、拡大画像データにおいて相対的に小さい値を有する画素は、修正拡大画像データでは、より小さい値に修正される傾向にある。
【0098】
誤差関数計算部19において、16種類の画素構成モードについて誤差関数値が計算されると、モード・コントラスト係数設定部23において、誤差関数値が最小になるような、最適な画素構成モードが選択される。最適な画素構成モードの選択は第1の実施形態において説明したモード選択ルーチン(図12参照)によって行なわれる。
【0099】
最適な画素構成モードには1つのコントラスト係数con が対応しており、画素構成モードの選択によってコントラスト係数con が自動的に設定される。最適な画素構成モードを示すパラメータmdとコントラスト係数con は、縮小画像生成部15において求められた縮小画像データと同様に、記録媒体RMに記録される。
【0100】
図22は各画素構成モードにおけるコントラスト係数と誤差関数値の例を示している。この図に示される例では、画素構成モード0における誤差関数値が最小であり、画素構成モードに対応したコントラスト係数は1.545 である。すなわち第3のマトリクスM3としては64×64の画素から構成されるものであることが最良である。
【0101】
以上のように本実施形態によれば、第1の実施形態によって得られる効果に加えて、コントラスト係数con を用いたことによって、原画像により近い画像を再生することが可能となる。
【0102】
図23および図24は第4の実施形態である画像圧縮伸張装置を示すブロック図である。図23は画像圧縮装置を示し、図24は画像伸張装置を示す。図15および図16に示す第3の実施形態と同一または相当する構成要件に関しては、同じ符号を用いている。
【0103】
第3の実施形態と異なる構成を説明する。縮小画像生成部15において生成された縮小画像データは記録媒体RMには記録されず、DCT処理部16において2次元離散コサイン変換によって得られた、マトリクスMD(図3参照)を構成する縮小DCT係数データが記録媒体RMに記録される。モード・コントラスト係数設定部23において選択された、最適な画素構成モードを示すパラメータmdと、この画素構成モードに対応したコントラスト係数con も、第3の実施形態と同様に記録媒体RMに記録される。
【0104】
縮小DCT係数データとパラメータmdとコントラスト係数con は記録媒体RMから読み出され、パラメータmdはモード設定部32に入力され、縮小DCT係数データとコントラスト係数con は拡張IDCT処理部33に入力される。モード設定部32では、パラメータmdに基づいて最適な画素構成モードが設定される。拡張IDCT処理部33において、縮小DCT係数データは、最適な画素構成モードに従って拡張2次元逆離散コサイン変換を施され、拡大画像データが得られる。すなわち第4の実施形態では、記録媒体RMには、DCT係数によって構成される縮小DCT係数データが記録されているので、拡張IDCT処理部33の前段にDCT処理部は設けられていない。
【0105】
その他の構成および作用は第3の実施形態と同じである。
【0106】
図25は、第5の実施形態においてコントラスト係数con を求めるプログラムのフローチャートである。第5の実施形態におけるその他の構成は第3の実施形態と同じである。
【0107】
図25の各ステップは、図18における対応するステップに付された符号に「200」を加算して示されている。例えば、図25のステップ403は図18のステップ203に対応する。
【0108】
第3の実施形態では、コントラスト係数con は、64×64の全ての画素を用いて誤差関数値が計算される。これに対して、第5の実施形態では、ステップ404、406において、それぞれx=x+8、y=y+8と記されているように、第1および第5のマトリクスM1、M5において縦方向および横方向に8画素おきに実行される。すなわち、64×64の画素のうち間引きによって選択された64個の画素のみを用いて誤差関数値が計算され、ステップ408では、64個の画素に基づいてコントラスト係数con が求められる。
【0109】
修正拡大画像データJc yxは、図19に示されるのと同じプログラムによって求められる。
【0110】
その他の構成および作用は第3の実施形態と同じである。
【0111】
上記各実施形態では、直交変換として2次元離散コサイン変換を、また逆直交変換として2次元逆離散コサイン変換を用いていたが、これらに限定されず、公知の他の直交変換および逆直交変換を採用することもできる。
【0112】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、縮小画像から、原画像に対応した拡大画像を再生する画像圧縮伸張装置において、拡大画像の画質を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である画像圧縮伸張装置に含まれる画像圧縮装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態である画像圧縮伸張装置に含まれる画像伸張装置を示すブロック図である。
【図3】図1および図2に示す画像圧縮伸張装置において処理される各画像データのマトリクスを示す図である。
【図4】縮小画像生成部における縮小処理を示す図である。
【図5】第2のマトリクスの8×8の画素値と、これらの画素値から成る画像データに対応したDCT係数とを示す図である。
【図6】画素値における直流成分F(0)に関する成分と、交流成分F(1)、F(2)、F(3)に関する成分とを示す図である。
【図7】8×8のマトリクスのDCT係数と、再生画像データの第3のマトリクスを構成する画素値とを示す図である。
【図8】各画素構成モードにおける画素数を示す図である。
【図9】画素構成モード0〜7における第5のマトリクスの一部をそれぞれ示す図である。
【図10】画素構成モード8〜15における第5のマトリクスの一部をそれぞれ示す図である。
【図11】画素構成モード0〜15における誤差関数値の例を示す図である。
【図12】モード選択ルーチンのフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施形態である画像圧縮伸張装置に含まれる画像圧縮装置を示すブロック図である。
【図14】本発明の第2の実施形態である画像圧縮伸張装置に含まれる画像伸張装置を示すブロック図である。
【図15】本発明の第3の実施形態である画像圧縮伸張装置に含まれる画像圧縮装置を示すブロック図である。
【図16】本発明の第3の実施形態である画像圧縮伸張装置に含まれる画像伸張装置を示すブロック図である。
【図17】原画像データ、拡大画像データおよび中間修正拡大画像データの画素値の例を示す図である。
【図18】コントラスト係数を求めるためのプログラムのフローチャートである。
【図19】修正拡大画像データの画素値を求めるためのプログラムのフローチャートである。
【図20】第3の実施形態において、画素構成モード0〜7における第5のマトリクスの一部をそれぞれ示す図である。
【図21】第3の実施形態において、画素構成モード8〜15における第5のマトリクスの一部をそれぞれ示す図である。
【図22】各画素構成モードにおけるコントラスト係数と誤差関数値の例を示す図である。
【図23】本発明の第4の実施形態である画像圧縮伸張装置に含まれる画像圧縮装置を示すブロック図である。
【図24】本発明の第4の実施形態である画像圧縮伸張装置に含まれる画像伸張装置を示すブロック図である。
【図25】第5の実施形態においてコントラスト係数を求めるプログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
15 縮小画像生成部
16 第1のDCT処理部
17 第1のモード設定部
18 第1の拡張IDCT処理部
19 誤差関数計算部
20 モード選択部
21 コントラスト係数計算部
22 第1のコントラスト変換部
23 モード・コントラスト設定部
31 第2のDCT処理部
32 第2のモード設定部
33 第2の拡張IDCT処理部
35 第2のコントラスト変換部
RM 記録媒体
M1 第1のマトリクス
M2 第2のマトリクス

Claims (18)

  1. 複数の画素から成る第1のマトリクスによって構成される原画像データに基づいて、前記第1のマトリクスよりも少ない数の画素から成る第2のマトリクスによって構成される縮小画像データを生成する縮小画像生成手段と、
    前記縮小画像データに直交変換を施して縮小直交変換係数データを求める第1の直交変換手段と、
    前記第2のマトリクスよりも多い画素から成る第3のマトリクスの画素の構成を示す複数の画素構成モードから、1つの画素構成モードを設定するモード設定手段と、
    前記縮小直交変換係数データに対して、前記1つの画素構成モードに対応した第3のマトリクスによって構成される拡大画像データを得るように、逆直交変換を施す第1の拡大画像生成手段と、
    前記原画像データと拡大画像データの差に対応した誤差関数値を計算する誤差関数計算手段と、
    前記複数の画素構成モードから前記誤差関数値が最小になるような画素構成モードを選択するモード選択手段と
    を備えたことを特徴とする画像圧縮装置。
  2. 前記縮小画像データと、前記モード選択手段によって選択された画素構成モードを示すパラメータとを記録媒体に記録する記録手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像圧縮装置。
  3. 前記縮小直交変換係数データと、前記モード選択手段によって選択された画素構成モードを示すパラメータとを記録媒体に記録する記録手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像圧縮装置。
  4. 前記縮小画像生成手段が、前記第1のマトリクスに含まれる所定数の画素値の平均値を求め、この平均値を、前記第2のマトリクスに含まれ、前記所定数の画素に対応した1つの画素値として定めることを特徴とする請求項1に記載の画像圧縮装置。
  5. 前記平均値が、前記第1のマトリクスに含まれる8×8の画素値から求められることを特徴とする請求項4に記載の画像圧縮装置。
  6. 前記第1のマトリクスが64×64の画素から成り、前記第2のマトリクスが8×8の画素から成ることを特徴とする請求項1に記載の画像圧縮装置。
  7. 前記直交変換が2次元離散コサイン変換であり、前記逆直交変換が2次元逆離散コサイン変換であることを特徴とする請求項1に記載の画像圧縮装置。
  8. 前記第1、第2および第3のマトリクスがそれぞれ64×64、8×8およびm×nの画素から成り、かつ前記第1の拡大画像生成手段が下式によって表される2次元逆離散コサイン変換により前記拡大画像データを得ることを特徴とする請求項7に記載の画像圧縮装置。
    Figure 0003917316
    ただし、 0≦i≦m-1 、 0≦j≦n-1 、I' (s,t) ji は拡大画像データの画素値、 u,v=0 のとき Cu,Cv=1/21/2、 u,v≠0 のとき Cu,Cv=1 、D(s,t) vuは前記2次元離散コサイン変換によって得られたDCT係数である。
  9. 前記誤差関数計算手段が、前記第1のマトリクスに含まれる画素と、前記第3のマトリクスに含まれ、前記第1のマトリクスの画素に対応した画素との差の二乗和を、前記誤差関数値として計算することを特徴とする請求項1に記載の画像圧縮装置。
  10. 前記誤差関数計算手段が、前記第1および第3のマトリクスにそれぞれ含まれる全ての画素を用いて前記誤差関数値を計算することを特徴とする請求項9に記載の画像圧縮装置。
  11. 前記誤差関数計算手段が、前記第1および第3のマトリクスにそれぞれ含まれる1部の画素のみを用いて前記誤差関数値を計算することを特徴とする請求項9に記載の画像圧縮装置。
  12. 請求項2に記載された画像圧縮装置によって前記記録媒体に記録された前記パラメータと縮小画像データを読み出すデータ読出手段と、
    前記縮小画像データに直交変換を施して縮小直交変換係数データを求める第2の直交変換手段と、
    前記縮小直交変換係数データに対して、前記パラメータによって示される画素構成モードに対応した第3のマトリクスによって構成される拡大画像データを得るように、逆直交変換を施す第2の拡大画像生成手段と
    を備えたことを特徴とする画像伸張装置。
  13. 請求項3に記載された画像圧縮装置によって前記記録媒体に記録された前記パラメータと縮小直交変換係数データとを読み出すデータ読出手段と、
    前記縮小直交変換係数データに対して、前記パラメータによって示される画素構成モードに対応した第3のマトリクスによって構成される拡大画像データを得るように、逆直交変換を施す第3の拡大画像生成手段と
    を備えたことを特徴とする画像伸張装置。
  14. 複数の画素から成る第1のマトリクスによって構成される原画像データに基づいて、前記第1のマトリクスよりも少ない数の画素から成る第2のマトリクスによって構成される縮小画像データを生成する縮小画像生成手段と、
    前記縮小画像データに直交変換を施して縮小直交変換係数データを求める第1の直交変換手段と、
    前記第2のマトリクスよりも多い画素から成る第3のマトリクスの画素の構成を示す複数の画素構成モードから、1つの画素構成モードを設定するモード設定手段と、
    前記縮小直交変換係数データに対して、前記1つの画素構成モードに対応した第3のマトリクスによって構成される拡大画像データを得るように、逆直交変換を施す第1の拡大画像生成手段と、
    前記拡大画像データにコントラスト係数を施すことによって、前記拡大画像データが有するコントラストが前記原画像データが有するコントラストに近くなるように、前記コントラスト係数を求めるコントラスト係数演算手段と、
    前記拡大画像データに前記コントラスト係数を施すことによって、前記拡大画像データを修正し、修正拡大画像データを求めるコントラスト変換手段と、
    前記原画像データと修正拡大画像データの差に対応した誤差関数値を計算する誤差関数計算手段と、
    前記複数の画素構成モードから前記誤差関数値が最小になるような画素構成モードを選択するモード選択手段と
    を備えたことを特徴とする画像圧縮装置。
  15. 前記縮小画像データと、前記コントラスト係数と、前記モード選択手段によって選択された画素構成モードを示すパラメータとを記録媒体に記録する記録手段を備えたことを特徴とする請求項14に記載の画像圧縮装置。
  16. 前記縮小直交変換係数データと、前記コントラスト係数と、前記モード選択手段によって選択された画素構成モードを示すパラメータとを記録媒体に記録する記録手段を備えたことを特徴とする請求項14に記載の画像圧縮装置。
  17. 請求項15に記載された画像圧縮装置によって前記記録媒体に記録された前記縮小画像データとコントラスト係数とパラメータとを読み出すデータ読出手段と、
    前記縮小画像データに直交変換を施して縮小直交変換係数データを求める第2の直交変換手段と、
    前記縮小直交変換係数データに対して、前記パラメータによって示される画素構成モードに対応した第3のマトリクスによって構成される拡大画像データを得るように、逆直交変換を施す第2の拡大画像生成手段と、
    前記拡大画像データに前記コントラスト係数を施すことによって、前記拡大画像データを修正し、修正拡大画像データを求めるコントラスト変換手段と
    を備えたことを特徴とする画像伸張装置。
  18. 請求項16に記載された画像圧縮装置によって前記記録媒体に記録された前記縮小直交変換係数データとコントラスト係数とパラメータとを読み出すデータ読出手段と、
    前記縮小直交変換係数データに対して、前記パラメータによって示される画素構成モードに対応した第3のマトリクスによって構成される拡大画像データを得るように、逆直交変換を施す第3の拡大画像生成手段と、
    前記拡大画像データに前記コントラスト係数を施すことによって、前記拡大画像データを修正し、修正拡大画像データを求めるコントラスト変換手段と
    を備えたことを特徴とする画像伸張装置。
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