JP3917158B2 - 多価不飽和油のカルシウム塩ケン化 - Google Patents

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Description

背景
本発明は、魚油などの高いグリセリド濃度の多価不飽和油からの、不飽和脂肪酸カルシウム塩栄養サプリメントの製造方法に関する。特に本発明は、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、デコソペンタエン酸(DPA)、リノレン酸(LNA)などのオメガ−3脂肪酸のような望ましい不飽和脂肪酸に富む、脂肪酸カルシウム塩に関する。
様々な不飽和脂肪酸は、ヒト、並びにペット及び家畜などの下等動物に対して、多様な栄養学的、及び生理学的利益を生み出すのに望ましいということが見出されており、そのため栄養サプリメントとして注目されている。例えばオメガ−3脂肪酸は、動物の受胎能力を上げ、その上他の栄養学的、及び生理学的な特性も持っていることが発見された。共役リノール酸(CLA’s)は、多様で複雑な生物活性のレベルを持つことが見出されている。免疫系刺激のみならず、抗発癌性の特性も立証されている。米国特許第5,914,346号明細書では、ナチュラルキラーリンパ球の機能を高めるCLAの使用について開示している。米国特許第5,430,066号明細書では、免疫系刺激によって、体重の減少、及び食欲不振を防ぐCLAの効果が記載されている。
CLAはまた、身体組成、特に脂肪体重と除脂肪体重との割合の変化に対して、十分な全身効果を発揮することも見出されている。米国特許第5,554,646号明細書、及び米国特許第6,020,378号明細書では、体脂肪を減少させ、除脂肪体重を増加させるためのCLAの使用を開示している。米国特許第5,814,663号明細書では、ヒトの目下の体脂肪レベル、または体重レベルを維持するためのCLAの使用を開示している。米国特許第6,034,132号明細書では、ヒトの体重を減少させて、肥満を治療するためのCLAの使用を開示している。CLAが骨塩量を維持、または増加させることも、米国特許第5,804,210号明細書により開示されている。
例えばヒトにとって有益な不飽和脂肪酸源を、乳牛及び肉牛に対して飼料として与えることが、有益な不飽和脂肪酸の栄養価が高い乳製品及び牛肉製品を、ヒトの消費のためにもたらすように、不飽和脂肪酸で家畜の食事を補うことが、家畜の脂肪酸の特徴を変えることもまた知られている。例えば、米国特許第5,143,737号明細書では、所望の不飽和脂肪を、反芻動物の飼料に加えることによって、反芻動物の乳及び肉の不飽和脂肪分が増加されうることを開示している。
こうして、反芻動物の飼料をCLAのような不飽和脂肪酸で補うことにより、CLA、及びその他の不飽和脂肪酸の栄養価の高い肉、及び乳が得られる。CLAの源を飼料として与えられた乳牛及び肉牛は、より低い脂肪量の乳製品、及び牛肉製品を生産するだけでなく、さらにその生産品もCLAの栄養価が高くなっている。ヒトに有益な不飽和脂肪酸による乳牛及び肉牛の食事補助はまた、乳製品中、及び牛肉製品中の望ましくない飽和脂肪酸を置き換えたり、量を減らすために使われている。
不飽和脂肪酸が生み出す有益な効果は、CLAだけに限定されるものではない。その他の不飽和脂肪酸が、糖尿病(米国特許第4,472,432号明細書)、心臓病(米国特許第4,495,201号明細書、米国特許第5,541,225号明細書、及び米国特許第5,859,055号明細書)、プロスタグランジン欠乏症(米国特許第5,043,328号明細書)、マラリア(米国特許第5,604,258号明細書)、骨粗しょう症(米国特許第5,618,558号明細書及び米国特許第5,888,541号明細書)、ガン(米国特許第5,763,484号明細書)、免疫システム機能(米国特許第5,767,156号明細書)、ハンチントン舞踏病(米国特許第5,837,731号明細書)、及び炎症(米国特許第5,861,433号明細書)の治療に有用であることが開示されている。前述の特許の開示は、すべて参考のために示す。
さらに、トランス−C18:1脂肪酸源を飼料として与えられた反芻動物は、減少した乳脂肪濃度、肝性トリアシルグリセロール、及びより低い産後早期の亜臨床的なケトーシスの発生率を持ち、過渡期の間リノレン(C18:2)脂肪酸源を飼料として与えると、PGF2αの合成が増加するであろうことがさらに見出された。したがって、リノレン脂肪酸は子宮の退縮を早め、臨床的及び亜臨床的な子宮の炎症の発生率を減少させ、受精率を増加させる方向に転換させる。
しかし不飽和脂肪酸は、第一胃内での細菌作用により、より飽和された、及び完全に飽和された脂肪酸への水素添加を受けるので、保護された形式で反芻動物に与えられなければならない。前述の米国特許第5,143,737号明細書は、第一胃内での細菌作用から不飽和脂肪酸を保護するために、毒性のない有機物質での不飽和脂肪酸のカプセル化を開示している。第一胃内での細菌作用から脂肪酸を保護する一般に最もよく知られた形式は、米国特許第4,642,317号明細書、米国特許第4,826,694号明細書、米国特許第4,853,233号明細書、及び米国特許第4,909,138号明細書によって開示されている脂肪酸カルシウム塩である。この脂肪酸の保護の形式は、乳用牛及び肉用牛の業界で広く受け入れられている。
しかし、上記に列挙した特許によって開示された方法を用いても、不飽和脂肪酸は、カルシウム塩を形成するようには容易に反応しない。易流動性粒状物が形成するのではなく、強度の高い物質へと硬化する塊ができ、畜牛の摂食に必要な微粒子への粉砕が困難になる。得られた物質は保存安定性も不足している。生成物は発熱反応によって自動酸化し、生成物の塊を自由に流動する粒状物の状態から、硬い非晶質の状態に凝結させる傾向があり、このことから非反応性の出発物質が、かなりの量で最終生成物中に存在することが示唆される。
米国特許第6,559,324号明細書は、グリセリドを20重量%含んだ、不飽和脂肪酸のカルシウム塩を調製するための、加水分解の方法を開示している。米国特許第6,576,667号明細書は、60重量%という高含量のグリセリドを含んだ、不飽和脂肪酸のカルシウム塩を生成する方法が開示されている。両方の特許の開示は、参考により引用されている。しかし、魚油のような商業的な不飽和脂肪酸源は、100重量%という高いグリセリド含量を持っており、保存安定性がある易流動性の脂肪酸カルシウム塩へ変換する難しさが、依然として残ったままである。米国特許第6,576,667号明細書は、高いグリセリド含量の油を、パーム脂肪酸蒸留物(PFAD’s)のような低いグリセリド含量の脂肪酸原料油で、60重量%以下のグリセリド含量になるように希釈することによって、この問題に取り組んでいる。しかしこれもまた、脂肪酸カルシウム塩生成物中の不飽和脂肪酸濃度が減少し、反芻動物の食料の補助に十分な食事量の一環として与えられるには、より多くの量を必要とする。
米国特許第6,229,031号明細書は、100重量%という高いグリセリド含量を持つ、脂肪酸カルシウム塩を調製するケン化方法を開示している。この特許の開示も、参考により引用されている。しかし、不飽和度の高い脂肪酸から調製されたカルシウム塩は、保存安定性に欠けることが見出されている。
許容できる保存安定性を有する、不飽和脂肪酸カルシウム塩を調製する方法が求められている。
発明の要約
この必要性は本発明によって満足する。ケン化された不飽和脂肪酸カルシウム塩の保存安定性の改良は、酸素分圧を減じた雰囲気下で、米国特許第6,229,031号明細書記載のケン化方法を実施することにより、大きく改善されることが見出された。爆発もしくは火災、または反応過程の間、高温で成分及び最終物質が酸化することを防ぐため、反応工程から酸素を取り除くことは知られているが、本発明の方法において、空気中の酸素を最小限にすることによって、反応が完結した後の最終物質の貯蔵期間、及び保存安定性が改良されることは予想外のことであった。
不飽和脂肪酸カルシウム塩生成物の貯蔵期間及び保存安定性は、不飽和脂肪酸の濃度及び不飽和度に伴って変わる。多価不飽和脂肪酸の濃度が増えると貯蔵期間は減少する。不飽和脂肪酸カルシウム塩生成物は、業界での異議なく合格するために十分な、貯蔵期間及び保存安定性を持たなければならない。本発明の目的のために、「貯蔵期間」は、生成物の分解が、当業者に受け入れられると見なされる程度を超える前の所要期間と定義する。十分な保存安定性を持つ生成物にとって、貯蔵期間は生成物が製造してから反芻動物に飼料として与えられるまでに貯蔵に費やすと思われる期間を上回らなければならない。一般的に、これは約6ヶ月である。
ケン化されたカルシウム塩生成物が、一般的な貯蔵期間を超え、保存の不安定性を示す前に、グリセリド原料中に、一価の不飽和脂肪酸の高いレベルが必要とされる。しかし、多価不飽和脂肪酸の十分に低い量は、カルシウム生成物の貯蔵期間を、許容できないレベルまで減少させるであろう。より低い一価の不飽和脂肪酸の濃度において、多価不飽和脂肪酸の存在は、十分な貯蔵期間を持つ、他の安定な一価の不飽和脂肪酸カルシウム塩生成物に、保存安定性をもたらすであろう。それにもかかわらず、多くの脂肪酸グリセリド源は、カルシウム塩生成物に保存安定性をもたらすレベルで、一価及び多価不飽和脂肪酸を有している。例えば、パーム油カルシウム塩は、米国特許第6,229,031号明細書の方法によって調製すると、十分な保存安定性を有する。
そのため本発明の方法は、酸素存在下でケン化すると、不安定なカルシウム塩生成物を形成しない一価及び多価不飽和脂肪酸のレベルで、脂肪酸グリセリドのケン化に用いるときに特に有用である。本発明の目的のため、そのような脂肪酸グリセリドは、「大気中でケン化される際に、不安定なカルシウム塩生成物を形成するのに、十分な不飽和脂肪酸濃度を持った脂肪酸原料油」と定め、「不安定なカルシウム塩生成物」は、本明細書で定義した「貯蔵期間」が不十分であるカルシウム塩生成物として定義する。
それゆえ本発明の一つの態様によると、保存安定性のある脂肪酸カルシウム塩生成物を調製する方法は、次の方法による:(a)不飽和脂肪酸グリセリドの原料油;及び(b)混合物の総量の15%から19%までの重量となる、水酸化カルシウムの反応混合物を形成し;酸素分圧が、50torr未満まで減少された雰囲気下で、脂肪酸グリセリドがケン化され、脂肪酸カルシウム塩を形成する温度まで混合物を熱する。
反応雰囲気下での酸素分圧は、例えば窒素、二酸化炭素、もしくはアルゴンのような不活性ガスで混合物を覆うことによっても、または真空下で混合物を熱することによって低減してもよい。窒素で覆う方法は、雰囲気下の酸素を実質的に取り除く方法として好ましい。
本発明のケン化方法は一般的に、脂肪酸グリセリドの形で脂肪酸の含有量が、約45重量%より多く含み、及び大気中でケン化した際に、不安定なカルシウム塩生成物を作るのに十分な脂肪酸濃度を持つ、脂肪酸グリセリド原料油に適用される。この方法は、100重量%という高いグリセリドレベルを持つ魚油のような不飽和脂肪酸源から、保存安定性を有する生成物を形成させるために使うことができる。
本発明のもう一つの態様によれば、本発明の方法によって生成される、保存安定性のある不飽和脂肪酸カルシウム塩生成物が提供される。それゆえ本発明は、一般的にグリセリド濃度が大変高いそれらの酸の原料油から、大幅に原料油を希釈しなくても、たとえ有益な不飽和脂肪酸が、わずかしか含まれていない低いグリセリド濃度の原料油であっても、ヒトまたは家畜にとって有益な、保存安定性のある不飽和脂肪酸のカルシウム塩を提供する。したがって原則的に、有用なレベルの有益な不飽和脂肪酸を含むどんな不飽和油でも、本発明での使用に適しており、本発明のために不飽和油の定義の中に含まれる。
本発明は、合計の不飽和脂肪中の有益な不飽和脂肪酸が低いレベルであると、これまで見なされていた不飽和油にも使うことができる。なぜならば本発明では、原料油を飽和脂肪酸で希釈する必要がなく、不飽和脂肪酸濃度が経時的に実質的に維持されるからである。脂肪酸総量を基準にして、約3から約100重量%の不飽和脂肪酸を含み、保存安定性を持つ不飽和油のカルシウム塩は、本発明の方法を使って形成することができる。有益な不飽和脂肪酸濃度を基準として実用性があれば、有益な不飽和脂肪酸がより低いレベルの油を使ってもよい。
有益な不飽和脂肪酸の中で、有益な多価不飽和脂肪酸が特に好まれ、とりわけEPA、DHA、DPA及びLNAのようなオメガ−3脂肪酸、並びにリノレン酸、CLA及びアラキドン酸のようなオメガ−6脂肪酸が、再生産性及び他の有用性の点から好ましい。魚油のようなオメガ−3脂肪酸及びオメガ−6脂肪酸に由来する高いグリセリド含量を持つ油は、飽和脂肪酸での油の最初の希釈なしに、保存安定性のあるカルシウム塩生成物を作る本発明の方法によって、直接ケン化してもよい。その結果生成物は、従来、先行技術の方法を用いて得られなかった、オメガ−3及びオメガ−6脂肪酸の保存安定性のあるレベルで含んでいる。
それゆえ、本発明のさらに別の態様によれば、不飽和脂肪酸総含量が約40から約95重量%の間にある、少なくとも一つの不飽和脂肪酸を含む、易流動性の保存安定性がある飽和脂肪酸カルシウム塩生成物が提供される。好ましい生成物は、オメガ−3脂肪酸及びオメガ−6脂肪酸のような、有益な多価不飽和脂肪酸を含んでおり、DHA、EPA、DPA、LNA、リノレン酸及びアラキドン酸のうち少なくとも一つを含んだ生成物、特に好ましくは、それぞれ約1から約80重量%の間のレベルで含む生成物である。CLAのような共役多価不飽和脂肪酸もまた好ましい。
本発明の上述した並びにその他の事柄、特徴及び利点は、添付の図面と結び付けて下記に説明する、より好ましい実施形態の詳細な記載から、もっと容易に明らかになる。
図面の簡単な説明
図1は、本発明の一つの実施形態に従ってバッチ法を表している。
図2は、本発明の他のもう一つの実施形態に従って連続法を表している。
図3は、先行技術である窒素で覆う方法なしに形成した、不飽和脂肪酸カルシウム塩と比較して、本発明の一つの実施形態に沿って、窒素で覆う方法を用いてケン化した、不飽和脂肪酸カルシウム塩の、Oxipres法による酸化安定性の比較である。
図4は、先行技術である大気雰囲気下で形成した、不飽和脂肪酸カルシウム塩と比較して、本発明の一つの実施形態に沿って、真空下でケン化した、不飽和脂肪酸カルシウム塩の、Oxipres法による酸化安定性の比較である。
好ましい実施形態の詳細な記載
本発明は、不飽和の魚、動物及び植物性の脂肪、油、並びに酸性油及び酸性化された石鹸ストックのような物質を含む、他の不飽和脂肪酸グリセリドを、通常栄養サプリメントとして、特に第一胃バイパス飼料サプリメントとして有用性を持ち、保存安定性があり易流動性のある粉末状または粒状の脂肪酸カルシウム塩へ変換するプロセスを提供する。ここに使用した「グリセリド」という用語は、C10−C22脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、及びそのどんな混合物も含む。
代表的な脂肪酸グリセリド原料油は、C10からC22の脂肪酸、及び脂肪酸グリセリドの間の脂肪酸含量を有する。本発明のプロセスによってもたらされる経済的な利点は、加水分解法により不適当なカルシウム塩生成物を作るグリセリド濃度、及び大気中でケン化した場合、不安定なカルシウム塩生成物を作るのに十分な不飽和脂肪酸濃度を持つ、脂肪酸グリセリド原料油を使ったときに得られる。通常、約45重量%以上のグリセリド濃度のとき、脂肪酸グリセリド原料油は、適切なカルシウム塩を作るために加水分解をすることはできない。しかし本発明の方法は、脂肪酸の約15から約100重量%がグリセリドの形である、脂肪酸グリセリド原料油を使うことができる。本発明の方法はまた、より低いグリセリド濃度の脂肪酸グリセリド原料油、及びグリセリドがない脂肪酸原料油を使ったときも、カルシウム塩を形成する。
本発明の方法は、基本的にケン化されたどの不飽和脂肪酸カルシウム塩でも、特に多価不飽和脂肪酸カルシウム塩生成物の保存安定性を改良し、さらに当業者によって十分に保存安定化されたと見なされる。それゆえ本発明のプロセスは、先述の米国特許第6,576,667号明細書で開示された油も含めて、動物、植物または魚由来の不飽和油から、脂肪酸カルシウム塩を生成するためにも使うことができる。適切な植物油の例は、大豆油、綿実油、亜麻油、なたね油、及びその副生成物、並びに藻、昆布のような海の植物から得られる油、及びその副生成物などである。魚油由来の例は、メンハーデン、ニシン、サバ、シシャモ、テラピア、マグロ、イワシ、サンマ、オキアミ、サケ、アンチョビ、及びその副生成物などである。油の副生成物の例は、酸性油及び酸性化された石鹸ストックを含む。
そのような脂肪酸グリセリド原料油は、通常脂肪酸グリセリドの形で、脂肪酸の含量が約10から約100重量%、遊離した脂肪酸の重量で約0から約90%、並びに5%未満の水分、不溶性物質、及び不ケン化物を含んでいる。原料油はまた通常、多価不飽和の約30から約80重量%とともに、不飽和脂肪酸の総重量が約40%から約95%、好ましくは約60から約80重量%を含んでいる。それゆえ本発明の方法は、生成物の総重量を基にして、約30から約80重量%の1つ以上の不飽和脂肪酸を含む、保存安定性のある脂肪酸カルシウム塩を与える。その不飽和脂肪酸のうち約20から約70重量%は、1つ以上の多価不飽和脂肪酸である。カルシウム塩は5重量%未満、好ましくは1重量%未満の未反応グリセリドを含む。他の従来の生物活性原料を、既知の方法で従来のレベルまで、カルシウム塩生成物に加えることができる。
本発明のカルシウム塩は、畜牛のような反芻動物に対する第一胃不活性飼料サプリメントとして使われるが、不飽和脂肪酸カルシウム塩はまた、それぞれの種にとって有益な不飽和脂肪酸を含むように作られたとき、ヒト、並びにイヌ、ネコのようなペットなどの他の哺乳動物、並びに鳥及び魚を含む非哺乳動物の栄養サプリメントとしても、一般的に有用である。有益な不飽和脂肪酸カルシウム塩の栄養サプリメントもまた、不飽和脂肪酸が有益である種によって消費されるために、有益な不飽和脂肪酸の栄養価の高い肉、鶏肉、及び乳製品を生産するために家畜に与えられる。
ヒト、家畜、ペット、鳥または魚にとって有益な不飽和脂肪酸、及び本発明のケン化方法によって、保存安定性のある脂肪酸カルシウム塩に変換させ得る具体的な不飽和脂肪酸の例は、リノレン酸(C18:2)、アラキドン酸(C20:4)及びその異性体、DHA、EPA、DPA、LNAのようなオメガ−3脂肪酸及びその同類、オメガ−6脂肪酸、10、12及び9,11異性体を含むヒトのダイエタリーサプリメントとして有用性を持つCLA異性体、具体的な例としてはトランス10、トランス12;トランス10、シス12;シス10、トランス12;シス10、シス12;トランス9、トランス11;トランス9、シス11;シス9、トランス11及びシス9、シス11異性体、トランス−9−オクタデセン酸のようなC18:1異性体を含む、家畜のダイエタリーサプリメントとして有用性を持つ、トランス脂肪酸異性体である。特に好ましい生成物は、約1から約25重量%のDHA、約1から約25重量%のEPA、約1から約25重量%のDPA、約1から約75重量%のLNA、約0.5から約10重量%のアラキドン酸、約1から約80重量%のリノレン酸、及び約1から約80重量%のCLAから選ばれた少なくとも一つの多価不飽和脂肪酸を含んでいる。
脂肪酸カルシウム塩は、総重量に対して約10から約30重量%の範囲で脂肪酸グリセリドを含む原料油に、水酸化カルシウムを加えることによって調製される。水酸化カルシウムは、最終的なカルシウム塩生成物の組成で、約12から18重量%の間のレベルが好ましい。
必要であれば、約150から約300℃の間、好ましくは約180から約250℃の間の範囲に温度を上げるため、混合物に対して追加の熱が加えられる。本発明に従って、水酸化カルシウムは、化学量論的に同等な酸化カルシウム及び水に置き換えてもよい。本発明の目的のため、特許請求の範囲中の「水酸化カルシウム」という用語は、反応混合物中において化学量論的に同等な酸化カルシウム及び水による、水酸化カルシウムの置き換えを含んでいるものとする。
反応は所望の温度を維持するために、真空下、周囲圧力、または高い圧力下で行うことができる。反応は、酸素分圧が、保存安定性のある、ケン化されたカルシウム塩が形成するようなレベルまで下げられた大気環境下で行われる。酸素レベルの減圧は、窒素、二酸化炭素、もしくはアルゴンのような不活性ガスで密封された反応容器をパージするか、または真空に引くことにより達成してもよい。不活性ガスによるパージ、及び真空に引く方法は、本来の慣例で当業者にはよく知られている。例えば不活性ガスのパージは、1分間に約0.25から約50リットル、好ましくは1分間に約1.0から約20リットルの間の流速で、反応容器内に供給される、窒素、二酸化炭素、またはアルゴンのような不活性ガスの覆いを用いることにより達成される。密閉した容器を約250から約750mmHg、好ましくは約300から約500mmHgの間の真空度に引くこともでき、好ましくは窒素、二酸化炭素またはアルゴンのような不活性ガスを使うことである。
反応雰囲気下での酸素分圧のどんな減少でも、保存安定性における改良を与える。十分な貯蔵期間を持った、保存安定性のある生成物を作るために必要とされる減圧は、ケン化される脂肪酸グリセリド中の不飽和のレベル及び程度に依存し、不飽和のレベル及び程度が高ければ高いほど、反応雰囲気中の酸素濃度はより大きな減少を必要とする。一般的に酸素分圧は約100torr未満、好ましくは50torr未満の分圧、さらに好ましくは10torr未満の分圧である。酸素分圧の減少は、不活性ガスのパージで酸素を置き換えるか、または酸素分圧を所望のレベルまで減ずるために十分な、総圧力の減少に達するために必要となる真空に引くことによって達成される。
ケン化反応に必要な時間は、1分から15分の間、より好ましくは5分から10分の間である。カルシウム塩の安定性は、反応時間の制限によって改良される。反応は、混合物がキャラメル状の塊へ変化することによって容易に確認される。さらに加熱及び攪拌を行うと、塊はさらにタフィー状の物質へ変化し、反応容器から取り出して易流動性の粒子へ容易に処理され得る。
本発明の工程は、バッチ法または連続法として用いてもよい。本発明の使用において好適な反応容器の例は、間接的にまたは直接的に加熱される、連続またはバッチリアクターを含み、非常に高粘度の物質に適する、複数の攪拌及びせん断要素を持った反応容器が適している。
本発明によるバッチ法は図1に描かれている。熱を除去するだけでなく(図示せず)、容器の内容物に熱を加えるために適応された(図示せず)密閉の生産容器10の内部18へ、脂肪酸グリセリド及び水酸化カルシウムは、ライン16及び17を通してそれぞれ加えられる。生産容器は、容器の内容物が均一な混合物を作るように、十分なせん断の下で容器内容物を混合するための翼12が装備されている。
生産容器はまた、容器内容物の上部で真空を作ることによって、または窒素、二酸化炭素、もしくはアルゴンのような不活性ガスで反応容器を覆うことによって、反応雰囲気から酸素を取り除くようにも適応されている。達成されるこの方法は、当業者にはよく知られている。図1の実施形態において、この場合は窒素であるが、ライン20は密閉容器へ不活性ガスのパージを供給し、ライン21を通って排出される。さらにライン21は、真空に引くことにも容易に適応できる。
反応混合物は不活性ガスのパージ、及び/または真空下で加熱、反応及び冷却される。冷却後、混合翼12は、排出口22においてリアクターから排出されるように生成物を砕いて、フレーク状及び粒状にする。
本発明による連続法は図2に示されている。原料油は、ライン50を通して加熱器52へ供給される。水酸化カルシウムはライン54を通して供給され、加熱器からライン58を通って供給される、加熱された原料油と混合される。水酸化カルシウム及び原料油の混合物は、ライン58を通って反応スクリューコンベヤー60へ供給され、スクリュー翼62はその均一な混合物を作るための十分なせん断下で、内容物を混合するために機能する。スクリューコンベヤーは、反応混合物に熱を供給することに適応している(図示せず)。
ライン64は、この場合も窒素だが、不活性ガスのパージを供給し、放出口66を通って放出する。これらのラインは真空に引くことにも適応できる。生成物はライン68を通って、冷却、粉砕するスクリューコンベヤー70へ排出され、スクリュー翼72は、排出口74においてスクリューコンベヤー70から排出されるように、生成物を砕いてフレーク状及び粒状にするために機能する。スクリューコンベヤー70は、反応混合物から熱を除去することに適応している(図示せず)。ライン76は、この場合も窒素だが、不活性ガスのパージを供給し放出口78を通って放出する。これらのラインは真空を引くことにも適応している。
本発明の脂肪酸カルシウム塩第一胃バイパス飼料サプリメントは、好都合なことに、従来の反芻動物飼料と混合して反芻動物に与えられてもよい。その飼料は代表的にはマメ科植物ヘイ、乾草、コーンサイレージ、牧草サイレージ、マメ科植物サイレージ、とうもろこし粒、えん麦、大麦、アルコール粕、ビール粕、大豆粕、及び綿実粕などの反芻動物の食用植物材料である。そのような混合物中のカルシウム塩サプリメントの量は、望ましくは飼料中の乾燥固形分の約5%を超えない、好ましくは飼料の乾燥固形分の約2から約4%の範囲である。反芻動物飼料に添加されるカルシウム塩の下限量については、特に制限はない。しかし実際には、カルシウム塩量が飼料の乾燥固形分の約0.5%未満では、少な過ぎて栄養サプリメントの十分な量を与えることができない。
本発明のカルシウム塩が、畜牛のような反芻動物のための第一胃不活性飼料サプリメントとして使うことができる一方で、ヒト、他の哺乳動物、並びに鳥及び魚を含む非哺乳動物への栄養サプリメントとしても一般的に有用である。それゆえ本発明による方法は、キャットフード、及びドッグフードのようなペットフードを含む食品へ、本発明の有益な不飽和脂肪酸カルシウム塩の効果的な量を追加する。効果的な量とは、有益な不飽和脂肪酸カルシウム塩の量を、約0.05から約1.5重量%含む食品へ供給する量を含んでいる。約0.1重量%から約0.5重量%の間の、有益な不飽和脂肪酸の含有量が好ましい。有益な不飽和脂肪酸の中では、共役多価不飽和脂肪酸などの多価不飽和脂肪酸が好ましい。これは非共役のオメガ−3及びオメガ−6脂肪酸、並びにCLA’sのような共役脂肪酸を含んでいる。オメガ−3脂肪酸の中では、DHA、EPA、DPA、及びLNAが好ましい。オメガ−6脂肪酸の中では、リノレン酸及びアラキドン酸が好ましい。
本発明はまた、本発明の有益な不飽和脂肪酸カルシウム塩を、記載されている範囲内で含有するキャットフード、及びドッグフードのようなペットフードなどの食品も含んでいる。キャットフード及びドッグフードは、従来のペットフード原料を組み合わせる従来の処方から、他の従来の方法で調製された乾燥性、半湿潤性、及び湿潤性のキャットフード、並びにドッグフードを含む。
本発明のオメガ−3脂肪酸カルシウム塩、特にDHA、EPA、DPA、及びLNAから選ばれる1つ以上のオメガ−3脂肪酸を含むカルシウム塩は、参照として本明細書に組み込まれている米国特許第6,576,667号明細書により開示されている、受胎能力を高める方法にも用いることができる。出願人はDHA及びEPAに加えて、DPA及びLNAも、反芻動物及び他の動物の受胎能力を高めることを、以前確認している。本発明は、オメガ−3脂肪酸のより高いレベルで、脂肪酸カルシウム塩の生成を可能にしており、それによって、有用な効果を得るために、飼料として与えなければならない量を減らしている。それゆえ本発明は、本発明のオメガ−3脂肪酸カルシウム塩を使っている特許による方法を含み、さらにその特許では言及されていない、オメガ−3脂肪酸カルシウム塩を開示している。
これは、本発明の範囲を限定しているとして解釈されるべきではなく、本発明はオメガ−3脂肪酸が栄養学的なまたは癒しの効果を提供する、原則的にどんな動物にとっても栄養サプリメントとして有用性を持つ、有益な不飽和脂肪酸が豊富なカルシウム塩を形成できる方法を提供する。
以下に示す非限定的な例は、本発明のある側面を説明している。他に断りがない限り、すべての割合及びパーセント値は重量によるものであり、温度はすべて摂氏温度である。
実施例
実施例1
メンハーデンの魚油360グラムを、混合翼が取り付けられた密閉のグラスライニング容器に添加した。1分間に0.5リットルの窒素を容器に加えた。メンハーデンの魚油を30℃に熱し、84グラムの水酸化カルシウムを加え十分に混合した。容器を再度密封した。混合物を攪拌し、温度が205℃に上がるまで加熱した。その温度でケン化反応が起こり、温度が230℃に上昇した。ケン化反応の間淡い煙が放出され、物質は黄色いタフィー状の物質となった。物質を容器内で25℃まで冷却し、その温度で窒素の覆いを外し、容器を開けた。冷却中に硬くなった物質を容器から取り出し、小さい粒状の乾燥した易流動性カルシウム塩に加工した。
実施例2
メンハーデンの魚油を、窒素の覆いをしていない密閉のグラスライニング容器に添加した以外は、実施例1と同様に行った。メンハーデンの魚油を25℃まで加熱し、水酸化カルシウムを加え十分に混合した。容器を再度密封した。真空ガスとして窒素を用い、密封した容器内で280mmHgまで真空を引いた。混合物を攪拌し、温度が225℃になるまで加熱した。その温度でケン化反応が起こり、温度が245℃に上昇した。ケン化反応の間淡い煙が放出され、物質は黄色いタフィー状の物質となった。物質を容器内で30℃まで冷却し、その温度で窒素の覆いを外し、容器を開けた。冷却中に硬くなった物質を容器から取り出し、小さい粒状の乾燥した易流動性カルシウム塩に加工した。
実施例3
メンハーデンの魚油1キログラムを、鋤状の混合器と真空排気口を取り付けたステンレス鋼の容器に添加した。1分間に3リットルの流速を持った、窒素の覆いを容器に供給した。メンハーデンの魚油を25℃まで加熱し、200グラムの水酸化カルシウムを加え、10から20rpmの間に設定した鋤状の混合器を使って、十分に混合した。混合物を205℃になるまで加熱し、その温度でケン化反応が起こり、温度が212℃に上昇した。ケン化反応の間淡い煙が放出され、物質は黄色いタフィー状の物質となった。物質を容器内で77℃まで冷却し、混合器の速さを25から40rpmの間に高めた。物質は容器内で冷却し続けられ、冷却されるにつれ物質は硬くなった。物質を38℃まで冷却し、その温度で窒素の覆いを外し、容器を開けた。物質を容器から取り出し、小さい粒状の乾燥した易流動性カルシウム塩に加工した。
実施例4
800グラムのメンハーデンの魚油、及び160グラムの水酸化カルシウムを用いて、実施例3を繰り返した。
実施例5
21キログラムのメンハーデンの魚油、及び4.2キログラムの水酸化カルシウムを用いて、実施例3を繰り返した。メンハーデンの魚油を、鋤状の混合器と内部粉砕機を取り付けたステンレス鋼の容器に添加した。1分間に25リットルの流速を持った窒素の覆いを容器に供給した。メンハーデンの魚油を66℃まで加熱し、水酸化カルシウムを加え、25から40rpmの間に設定した、鋤状の混合器を使って十分に混合した。ケン化反応の間、温度は210℃まで上昇した。ケン化反応が終わり次第、鋤状混合器の速さを10から20rpmの間に下げ、内部粉砕機を作動させた。物質を容器内で102℃まで冷却し続け、鋤状の混合器の速さを25から40rpmの間に上げ、内部粉砕機を停止させた。物質を55℃まで冷却し、その温度で窒素の覆いを外し、容器を開けた。物質を容器から取り出し、小さい粒状の乾燥した易流動性カルシウム塩に加工した。
実施例6
52℃に加熱した22キログラムのメンハーデンの魚油、及び4.4キログラムの水酸化カルシウムを用いて、実施例5を繰り返した。ケン化反応の間、温度は210℃まで上昇した。物質を容器内で207℃まで冷却し、鋤状混合器の速さを10から20rpmの間に下げ、内部粉砕機を作動させた。物質を容器内で163℃まで冷却し続け、鋤状の混合器の速さを25から40rpmの間に上げ、内部粉砕機を停止させた。物質を55℃まで冷却し、その温度で窒素の覆いを外し、容器を開けた。物質を容器から取り出し、小さい粒状の乾燥した易流動性カルシウム塩に加工した。
実施例7
図2の窒素で覆った装置を使う連続法において、メンハーデンの魚油を230℃まで予熱し、油の20重量%の割合で加えられた水酸化カルシウムとともに、重量減少測定器によって装置の中へ量りとった。混合物の温度は、装置内で排出温度である250℃まで上昇した。物質を冷却し、粒状の易流動性のカルシウム塩へと粉砕した。6時間の連続した生産工程で、450ポンドのカルシウム塩が生産された。
実施例8
バッチ法において、40ポンドのメンハーデンの魚油、及び7ポンドの水酸化カルシウムを、図1の窒素で覆った装置へ添加した。容器は220℃の温度で作動させた。物質が濃度の高い液体となったときに、物質をボールバルブを通して重力流によって、冷却した受け皿へ排出した。物質は30分間で受け皿の上で結晶化した。その物質をためておき、製粉して粒状の易流動性カルシウム塩とした。
実施例9
1キログラムの大豆酸性油を、鋤状の混合器を取り付けたステンレス鋼の容器に添加し、実施例3にしたがって窒素で覆う流速を設定し、196℃まで昇温した。200グラムの水酸化カルシウムを加え、10から20rpmの間に設定した鋤状の混合器を使って、十分に混合した。混合物を202℃になるまで加熱すると、その温度でケン化反応が起こり、温度が207℃まで上昇した。ケン化反応の間淡い煙が放出され、物質は黄色いタフィー状の物質となった。物質を重力によって反応器から取り出した。物質は冷えるにつれて硬くなり、小さい粒状の乾燥した易流動性カルシウム塩に加工した。
次に示す例では、カルシウム塩生成物の安定性を、Oxipres法によって測定している。Oxipres法は、ASTMの酸素爆発法の改良である。酸素爆発法と異なって、伝統的な油浴の熱移動媒体はなく、円形の圧力記録計の代わりに圧力変換器が使われる。酸化安定性のための酸素爆発法は、加速された酸化のモデルである。その方法では、高められた温度、並びに脂肪及び油の酸化安定性を形に表すために、高められた圧力の純度の高い酸素を用いる。
測定される物質は、ステンレス鋼の酸素爆発容器が装着された、ガラス試験容器へ投入される。純度の高い酸素の既知量が、これらの場合5barが容器に加えられ、容器を密封する。密封された容器は一定温度のオーブン中に置かれる。本実施例では60℃及び80℃である。圧力変換器は、容器中に残存する酸素量を測定する。酸素の消費量は、実験の間に起きる爆発の圧力降下により決まる。酸素は酸化が起きたときに消費される。圧力変換器からの出力は、時間−圧力の関係をグラフ化するコンピュータに送られ、60秒ごとにデータが記憶される。
出力されたグラフは2つの特性を表している。第一は誘導時間であり、これは時間ゼロから、酸化劣化のグラフの傾きの大幅な変化が起こる点までの時間として定義される。第二は酸化速度であり、酸化が起こったとき、誘導時間直後の酸化劣化グラフの傾きに一致する。これら2つの特性は、同等の条件下で、互いに関連のある物質の酸化安定性を比較するのに向いている。
比較例−窒素の覆いまたは真空がない
窒素の覆いがない状態で、メンハーデンの魚油を38℃まで加熱して、実施例3を繰り返した。混合物を207℃になるまで加熱し、その温度でケン化反応が起こり、温度は215℃まで上昇した。物質は重力により容器から排出した。物質は冷えると硬くなり、小さい粒状の乾燥した易流動性カルシウム塩に加工した。
実施例10
55℃に昇温した22キログラムのメンハーデン魚油、及び4.4キログラムの水酸化カルシウムを用いて、実施例5を繰り返した。混合物を実施例9と同様に加熱した。ケン化反応の間淡い煙が放出され、物質は黄色いタフィー状の物質となった。この時点で窒素の覆いを外し、物質を底にあるバルブを通して重力により取り出した。物質を冷やし、2インチの厚みの層に丸めた。物質は硬くなり、物質を65℃以下に冷えた。物質を小さい粒状の乾燥した易流動性カルシウム塩に加工した。
図3は、比較例のカルシウム塩と実施例10のケン化カルシウム塩とを、60℃においてOxipres法で測定した、酸化安定性を比較したものである。グラフは、窒素の覆いの下で作られたカルシウム塩のサンプルが、大気条件下で作られたサンプルよりも、より高い耐酸化性を示したことを表している。大気条件下で作られたカルシウム塩の誘導時間が7.9時間であるのに対して、窒素下で作られたカルシウム塩の誘導時間は27.2時間である。誘導時間は酸化の開始に対する相対的な耐性である。
実施例11
比較例、及び実施例2のカルシウム塩を、それぞれ20:80の重量比で、中和した植物脂肪酸(パーム脂肪酸蒸留物)のカルシウム塩と共に混合した。図4は、80℃においてOxipres法で測定した、2つのサンプルの酸素安定性の比較を表している。グラフは、それぞれのサンプルにとって、最初の酸化に対する耐性が似ていることを意味する両方のカルシウム塩の誘導時間が、同等であることを示している。真空下で作られたカルシウム塩は、大気雰囲気下で作られたサンプルよりも、初期の酸化開始後の酸化速度が遅いことを反映した、酸化の傾きを伴った曲線を示している。
このように先述の例は、本発明のケン化方法、及びそれから得られる保存安定性について明らかにしている。先述の例と好ましい実施形態の説明は、限定としてよりはむしろ例示として捉えられるべきであり、本発明は特許請求の範囲によって定義される。特許請求の範囲に示す本発明から逸脱することなく、上記の特徴の多数の変形、及び組み合わせが利用でき、そのような改変は、全て特許請求の範囲に含まれるものとする。
本発明の一つの実施形態に従ってバッチ法を表している。 本発明の他のもう一つの実施形態に従って連続法を表している。 先行技術である、窒素で覆う方法なしに形成した不飽和脂肪酸カルシウム塩と比較して、本発明の一つの実施形態に沿って、窒素で覆う方法を用いてケン化した、不飽和脂肪酸カルシウム塩との、Oxipres法による酸化安定性の比較である。 先行技術である、大気雰囲気下で形成した不飽和脂肪酸カルシウム塩と比較して、本発明の一つの実施形態に沿って、真空下でケン化した不飽和脂肪酸カルシウム塩との、Oxipres法による酸化安定性の比較である。

Claims (24)

  1. (a)不飽和脂肪酸グリセリド原料油;及び(b)混合物総重量に対して15%から19%までの水酸化カルシウム;を含む反応混合物を作ること、並びに
    酸素分圧を50torr未満まで低減した雰囲気下で、前記脂肪酸グリセリドがケン化反応して脂肪酸カルシウム塩を形成する温度まで混合物を加熱すること、
    を含む、保存安定性を有する脂肪酸カルシウム塩生成物の調製方法。
  2. 前記酸素分圧は、加熱の間、不活性ガスが前記混合物を覆うことによって減圧される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記不活性ガスが窒素を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記の酸素分圧が、真空下で前記混合物を加熱することにより減圧される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記不飽和脂肪酸グリセリド原料油が、大気雰囲気下でケン化した際不安定なカルシウム塩生成物を形成するために十分な不飽和脂肪酸濃度を持つ、請求項1に記載の方法。
  6. 前記不飽和脂肪酸グリセリド原料油が多価不飽和脂肪酸である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記多価不飽和脂肪酸が、オメガ−3及びオメガ−6脂肪酸、並びに一方または両方の組み合わせから成る群より選ばれる、請求項6に記載の方法。
  8. 前記多価不飽和脂肪酸が、DHA、EPA、DPA、及びLNAから成る群より選ばれる、1つ以上のオメガ−3脂肪酸を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記多価不飽和脂肪酸が、1つ以上の共役脂肪酸を含む、請求項6に記載の方法。
  10. 前記1つ以上の共役脂肪酸が、1つ以上のCLA異性体を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記不飽和脂肪酸グリセリド原料油がメンハーデン、ニシン、サバ、シシャモ、テラピア、マグロ、イワシ、サンマ、及びオキアミの油から成る群より選ばれる、請求項1に記載の方法。
  12. 前記不飽和脂肪酸グリセリド原料油がDHA、EPA、DPA、LNA、リノレン酸、及びアラキドン酸から成る群より選ばれる、1つ以上のオメガ−3及びオメガ−6脂肪酸を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記混合物を冷却する工程、及び固体の易流動性粒状脂肪酸カルシウム塩生成物を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  14. 前記混合物が、前記酸素分圧を保存安定性の改良を与えるために効果的な量まで減じた、前記雰囲気下で冷却される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記カルシウム塩が、1つ以上の有益な不飽和脂肪酸を含み、請求項1に記載の方法によって調製される脂肪酸カルシウム塩。
  16. 多価不飽和脂肪酸を含む、請求項15に記載の脂肪酸カルシウム塩。
  17. 前記多価不飽和脂肪酸が、オメガ−3及びオメガ−6脂肪酸、並びに一方または両方の組み合わせからなる群より選ばれる、請求項16に記載の脂肪酸カルシウム塩。
  18. 前記多価不飽和脂肪酸がDHA、EPA、DPA、LNA、リノレン酸、及びアラキドン酸から成る群より選ばれる、1つ以上のオメガ−3及びオメガ−6脂肪酸を含む、請求項17に記載の脂肪酸カルシウム塩。
  19. 前記多価不飽和脂肪酸が、1つ以上の共役脂肪酸を含む、請求項16に記載の脂肪酸カルシウム塩。
  20. 前記1つ以上の共役脂肪酸が、1つ以上のCLA異性体を含む、請求項19に記載の脂肪酸カルシウム塩。
  21. 請求項1に記載の方法により調製される、脂肪酸カルシウム塩。
  22. 前記不飽和脂肪酸グリセリド原料油がメンハーデン、ニシン、サバ、シシャモ、テラピア、マグロ、イワシ、サンマ、及びオキアミの油から成る群より選ばれる、請求項21に記載の脂肪酸カルシウム塩。
  23. 前記不飽和脂肪酸グリセリド原料油がDHA、EPA、DPA、LNA、リノレン酸、及びアラキドン酸から成る群より選ばれる、1つ以上のオメガ−3及びオメガ−6脂肪酸である、請求項22に記載の脂肪酸カルシウム塩。
  24. 請求項15、16、17、18、19、20、21、22または23に記載の脂肪酸カルシウム塩を含む、第一胃バイパス飼料サプリメント。
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