JP3915678B2 - Ofdm受信機 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、OFDM受信機に関するもので、広域移動アクセスシステム(CSMA)と地上波デジタルテレビ放送(ISDB−T)の共用受信機に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing、以下OFDMと記す)を用いた通信方式や放送方式が検討または実用化されている。OFDMは、送るべき情報を複数の搬送波(キャリア)に分けて送信するマルチキャリア方式の一種である。
【0003】
OFDMを用いた通信方式の代表的な規格として、米国のIEEE802.11a、欧州のHIPERLAN type2、日本のCSMA(Carrier Sense Multiple Access)規格等があり、高速データ通信を目的としている。
【0004】
一方、OFDMを用いた放送方式の代表的な規格としては、欧州のDVB−T(Digital Video Broadcasting for Terrestrial Television Broadcasting)、日本のISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting for Terrestrial Television Broadcasting)があり、地上波ディジタルテレビ放送を目的としている。
【0005】
このように、通信と放送においてOFDMという共通の技術を用いることから、通信と放送を融合したシステムについて今後研究開発されることが考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者の考察によれば、OFDMにおける通信と放送の融合として、受信回路を共通化して通信と放送の双方を受信できる融合無線機を想定する場合、以下のような問題点がある。
【0007】
一般的にOFDMにおいては、OFDMのマルチキャリア信号を形成する処理として、送信側においてキャリア数に見合った逆高速フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transformation:以下IFFTと記す)処理が施される。送信されたOFDM信号を受信側で処理する場合には送信側と逆の処理であるFFT処理が施される。例えば送信側において、N(Nは2のべき乗)の入出力を持つNポイントのIFFT回路で処理されたOFDM信号を受信側で受けるためには、N個の入出力を持つNポイントのFFT回路が必要である。
【0008】
しかし、上述した規格の通信と放送の両者を受信できる融合無線機においては、通信方式におけるOFDM信号のキャリア数と放送方式におけるOFDM信号のキャリア数が一致しないため、送信側において、各OFDM信号を形成する処理の時に異なるポイント数のIFFT回路が用いられる。従って、受信側においても通信方式のOFDM信号を処理するFFT回路と放送方式のOFDMを処理するFFT回路をそれぞれ用意することが考えられるが、これは回路規模の増加に繋がってしまうという問題がある。しかし、単純にFFT回路を共通化すると、そのFFT回路の入出力のポイント数に合ったOFDM信号しか正しく受信できなくなる。
【0009】
本発明は上記点に鑑みて、OFDM信号の受信において、受信側のFFT回路のポイント数が、受信するOFDM信号が必要とするポイント数と異なる場合でも、正しくOFDM信号の受信処理を行えるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、所定の入力端子数を有する高速フーリエ変換回路と、前記入力端子数よりも少ないキャリア数で送信されたOFDM信号を受信し、受信したOFDM信号の各時系列データを、前記入力端子中の前記キャリア数分の入力端子へ入力する受信データ入力手段と、
前記入力端子のうち、前記受信信号入力手段が入力した先の入力端子以外の端子にゼロ値のデータを入力するヌルデータ入力手段と、前記高速フーリエ変換回路の、前記受信データ入力手段および前記ヌルデータ入力手段の入力に基づく前記入力端子数分の周波数系列データ出力のうち、前記受信データ入力手段が入力した前記時系列データの情報を有する周波数系列データを、入力されたデータを処理する回路に出力する選択出力手段と、を備えたOFDM受信機である。
【0011】
これによって、OFDM受信機が、高速フーリエ変換回路の入力端子数よりも少ないキャリア数を有するOFDM信号を受信する場合において、受信データ入力手段が、この入力端子の数よりも少ないキャリア数を有するOFDM信号を受信し、受信したOFDM信号の各時系列データを、入力端子中のキャリア数分の入力端子へ直接あるいは間接的に入力し、またヌルデータ入力手段が、この入力端子のうち、受信信号入力手段が入力した先の入力端子以外の端子にゼロ値のデータを直接あるいは間接的に入力する。この場合、以下で詳述する様に、高速フーリエ変換回路の出力は受信信号入力手段が入力したデータおよびヌルデータ入力手段が入力したデータの情報を有する周波数系列データを出力する。そこで、選択出力手段が、高速フーリエ変換回路の周波数系列データ出力のうち、受信データ入力手段が入力した時系列データの情報を有する周波数系列データを、入力されたデータを処理する回路に出力するので、OFDM信号の受信において、受信側のFFT回路の入力ポイント数が、受信するOFDM信号のキャリア数と異なる場合でも、正しくOFDM信号の受信処理を行えるようにすることができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、OFDMの複数の通信規格の信号を受信するOFDM受信機であって、前記複数の通信規格の信号が送信されるキャリア数のうち大きい方のキャリア数分の入力端子数を有する高速フーリエ変換回路と、
前記入力端子数よりも少ないキャリア数をで送信されるOFDM信号を受信し、受信したOFDM信号の各時系列データを、前記入力端子中の前記キャリア数分の入力端子へ入力する受信データ入力手段と、前記入力端子のうち、前記受信信号入力手段が入力した先の入力端子以外の端子にゼロ値のデータを入力するヌルデータ入力手段と、前記高速フーリエ変換回路の、前記受信データ入力手段および前記ヌルデータ入力手段の入力に基づく前記入力端子数分の周波数系列データ出力のうち、前記受信データ入力手段が入力した前記時系列データの情報を有する周波数系列データを、入力されたデータを処理する回路に出力する選択出力手段と、を備えたOFDM受信機である。
【0013】
これによって、OFDMの複数の通信規格の信号を受信するOFDM受信機において、請求項1に記載のOFDM受信機と同等の効果を得ることができるので、OFDMの複数の通信規格の信号を受信するOFDM受信機において、高速フーリエ変換回路を共用することができる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のOFDM受信機において、前記選択出力手段は、前記高速フーリエ変換回路の前記周波数系列データ出力のうち、この出力の周波数順に、先頭の周波数系列データおよび前記先頭から[(前記入力端子数/前記キャリア数)−1]個おきの周波数系列データを、入力されたデータを処理する回路に出力することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明の一実施形態に係るOFDM受信機1の構成を示す。OFDMとは、送るべき情報を、互いに直交する周波数を有する複数の搬送波(キャリア)に分けて送信するマルチキャリア通信方式のことである。本実施形態においては、OFDM受信機1は、このOFDMを用いた通信方式の1つである広帯域移動アクセスシステム(以下CSMAと記す)、およびOFDMを用いた放送方式の1つである地上波デジタルTV(以下ISDB−T)の、OFDMの2つの異なる通信規格の信号を受信することができるようになっている。以下、CSMAで送受信に用いられる信号をC−OFDM信号と、ISDB−Tで送受信に用いられる信号をI−OFDM信号と記す。
【0016】
なお、C−OFDM信号の搬送波(キャリア)は52本、I−ODFM信号の搬送波は1405本であるが、それぞれの信号は送信側で64ポイント、2048ポイントの入出力端子を有するIFFT回路によって逆フーリエ変換されているので、送信後の搬送波の本数はそれぞれ実質的に64本、2048本となっている。
【0017】
OFDM受信機1は、I−OFDMアンテナ10、C−OFDMアンテナ11、C−OFDM無線機12、ガード除去部13、I−OFDM無線部15、ガード除去部16、FFT部17、ベースバンド処理部18、CPU19、スピーカ20、ディスプレイ21、入出力装置22、RAM23、およびHDD24から成る。
【0018】
C−OFDM無線部12は、C−OFDMアンテナ11で受信したC−OFDM信号に対して増幅、フィルタリング、周波数変換、A/D変換等の処理を施し、その結果のシリアルデータをガード除去部13に出力する。本明細書においてシリアルとは、連続したkビット(kは自然数)を1単位とするデータが、順に1個づつ出力される方式をいい、シリアルデータとはシリアルで出力されるデータのことをいう(図2(a)参照)。なお、本実施形態においては、kは例えば12である。
【0019】
ガード除去部13は、C−OFDM無線部12から入力された信号からガードインターバルを除去してFFT部17に出力する。ガードインターバルとは、乱反射等によるマルチパスの影響が受信に表れないようにするために、データシンボルの前後に付加されるデータのことである。OFDMにおいては、受信時には信号中の所定のガードインターバル部分が除去されるようになっている。なお、本実施形態においては、このガード除去部13として、回路構成がプログラム可能なICであるFPGA(Field Programable Gate Array)を用いている。
【0020】
I−OFDM無線部15は、I−OFDMアンテナ10で受信したC−OFDM信号に対して増幅、フィルタリング、周波数変換、A/D変換等の処理を施し、その結果のシリアルデータをガード除去部16に出力する。
【0021】
ガード除去部16は、I−OFDM無線部15から入力された信号からガードインターバルを除去してFFT部17に出力する装置である。本実施形態においては、このガード除去部16としてFPGAを用いている。
【0022】
FFT部17は、ガード除去部13またはガード除去部16から入力された信号に対してFFT(高速フーリエ変換)処理等を施し、その結果のデータをベースバンド処理部18に出力する。FFT部17にC−OFDM信号が入力された場合、出力は周波数方向の64本のパラレルデータとなり、I−OFDM信号が入力された場合、出力は周波数方向の2048本のパラレルデータとなる。本明細書においてパラレルとは、連続したkビット(kは自然数)を1単位とするデータの複数が、同時に並行して出力される方式をいい、i本(iは自然数)のパラレルデータとは、パラレルによってi個同時に入出力されるデータのことをいう(図2(b)参照)。FFT部17の構成については後に詳述する。
【0023】
ベースバンド処理部18は、FFT部17から受信したデータに対して後述する同期復調、デマッピング、デインターリーブ、ビタビ復号、デスクランブル等の誤り訂正・復号処理を施し、その結果をビット列としてCPU19に出力する回路である。このベースバンド処理部18としては、本実施形態においてはFPGAを用いている。このベースバンド処理部18の作動については後に詳述する。
【0024】
CPU19は、外部磁気記憶装置であるHDD(ハードディスクドライブ)24に記録されているプログラムを読み出し、そのプログラムに規定されている処理を実行する。またCPU19はその処理において必要であれば、HDD24および揮発性メモリであるRAM23に対して情報の書き込み/読み出しを行い、スピーカ20に対して音声信号を出力し、ディスプレイ21に対して画像信号を出力する。またCPU19は入出力装置22からOFDM受信機1のユーザによる入出力を受け付けるようになっている。
【0025】
図3に、FFT部17の構成を示す。FFT部17は、直列並列変換回路71、直列並列変換回路72、スイッチ73、FFT回路74、並列直列変換回路75、間引き回路76、振幅調整回路77、ゼロ信号生成回路78、直列並列変換回路79、および合成器80より構成される。
【0026】
直列並列変換回路71は、ガード除去部13から入力されたシリアルデータをM本(Mは自然数)のパラレルデータとして合成器80に出力する。また直列並列変換回路72は、ガード除去部16から入力されたシリアルデータをN本(Nは自然数)のパラレルデータとしてスイッチ73に出力する。なお、本実施形態においては、M=64、N=2048である。
【0027】
ゼロ信号生成回路78は、連続するゼロ値のデジタルデータを生成して直列並列変換回路79に出力するようになっている。
【0028】
直列並列変換回路79は、ゼロ信号生成回路78から入力されたシリアルデータを(N−M)本のゼロ値のパラレルデータ(以下ヌルデータと記す)として合成器80に出力する。
【0029】
合成器80は、直列並列変換回路71からのM本のパラレルデータ入力と直列並列変換回路79からの(N−M)本のパラレルデータ入力とをまとめ、N本のパラレルデータとしてスイッチ73に出力する。
【0030】
スイッチ73は、CPU19からの切り替え制御により、直列並列変換回路72からの入力と合成器80からの入力のいずれかをFFT回路74に出力する。具体的には、OFDM受信機1がC−OFDM信号を受信する場合には、合成器80からの入力がFFT回路74に出力されるようにCPU19によって切り替えられ、またI−OFDM信号を受信する場合には、直列並列変換回路72からの入力がFFT回路74に出力されるようにCPU19によって切り替えられる。
【0031】
FFT回路74は、スイッチ73からのN本のパラレルデータ入力に対して高速フーリエ変換を施し、その結果をN本のパラレルデータとして出力するものである。このN本とは、C−OFDM信号とI−OFDM信号とが送信されるキャリア数のうち大きい方のキャリア数分の入力端子数、すなわちI−OFDM信号のキャリア数分の入力端子数である。このようなFFT回路を、NポイントのFFT回路という。この高速フーリエ変換によって、x[n](n=1、2、…、N)で表されるN個の入力データ、すなわち時系列データは、
【0032】
【数1】
Figure 0003915678
で表されるN個の出力データ、すなわち周波数系列データに変換される。なお、iは虚数単位である。図4にFFT回路74の入出力端子を示す。入力端子51には、上記したN個のデータx[n]が図中上側の端子から1個づつこの順にスイッチ73から入力される。出力端子54からは、上記したN個のデータy[k]が図中上側の端子から1個づつこの順に出力される。
【0033】
なお、FFT回路74にC−OFDM信号が入力される場合は、入力端子52に直列並列変換回路71からのM個のデータが入力され、入力端子53に直列並列変換回路79からのN−M個のヌルデータが入力されるようになっている。
【0034】
並列直列変換回路75は、FFT回路74から入力されたパラレルデータを1本のシリアルデータとして出力する。
【0035】
間引き回路76は、入力されたシリアルデータのうち、特定の順番のデータのみを振幅調整回路77に出力する。すなわち間引き回路76は、入力されたシリアルデータのうち、特定の順番のデータ以外を間引く。なお、間引き回路76がどの順番のデータを出力するかは、CPU19の制御によって決まる。具体的には、OFDM受信機1がC−OFDM信号を受信する場合は、先頭のデータおよび先頭から[(N/M)−1]個おきのデータのみを振幅調整回路77に出力する。また、OFDM受信機1がI−OFDM信号を受信する場合は、入力された全てのデータを振幅調整回路77に出力する。なお、先頭とは、一時にFFT回路74から出力されるデータの先頭をいう。
また、本実施形態においては、N/M=2048/64=32である。
【0036】
振幅調整回路77は、CPU19からの制御によって、間引き回路76から入力されたデータの値の絶対値に、CPU19が指定する比率を乗じた値をベースバンド処理部18に出力する。
【0037】
図5に、ベースバンド処理部18の動作機能の構成を示す。先述したように、ベースバンド処理部18はFPGAから成り、このFPGAの回路構成は、図5に示すような機能を実現するようになっている。以下、図5に表した各機能について説明する。ベースバンド処理部18の機能は、スイッチ81、同期復調部82、デマッピング部83、デインターリーブ部84、ビタビ復号部85、デスクランブル部86、同期復調部87、周波数デインターリーブ部88、時間デインターリーブ部89、デマッピング部91、ビタビ復号部92、バイトデインターリーブ部93、エネルギー逆拡散部94、およびリードソロモン復号部96によって構成される。
【0038】
スイッチ81は、CPU19の切り替え制御により、FFT部17の振幅調整回路77から入力されたシリアルデータを、同期復調部82および同期復調部87の何れか一方に出力する。具体的には、C−OFDM信号を受信する場合には、振幅調整回路77からの入力が同期復調部82に出力され、I−OFDM信号を受信する場合には同期復調部87に出力されるようにCPU19によって切り替えられる。
【0039】
同期復調部82は、CSMAにおける位相変調系の復調(例えばQPSK、16QAM等)のために、スイッチ81から入力されたデータの伝送による劣化を除去してデマッピング部83に出力する等化処理機能である。例えばQPSKにおいては、変調されたデータは平面上の所定の点にマッピングされており、伝送によってその所定の点から多少ずれた変調データを元の所定の点に戻すことが、この等化処理に相当する。
【0040】
デマッピング部83は、同期復調部82から入力されたデータに対してシンボル点判定を行い、デインターリーブ部84に出力する。
【0041】
デインターリーブ部84は、デマッピング部83から入力されたシリアルデータに対して、各データ間の所定の出力順の入れ替えを行ってビタビ復号部85に出力する。なお、インターリーブとは、信号の送受信におけるバースト誤りの訂正を容易にするためにデータの順序を入れ替える技法である。
【0042】
ビタビ復号部85は、データの送受信における誤り訂正のためのアルゴリズムのひとつであるビタビアルゴリズムに従って、デインターリーブ部84から入力されたデータを復号してデスクランブル部86に出力する。
【0043】
デスクランブル部86は、ランダム誤り訂正のために、ビタビ復号部85から入力されたシリアルデータに対して所定の入れ替えを施し、この入れ替えられたデータをCPU19に出力する。
【0044】
同期復調部87は、同期復調部82と同等の機能を有する。
【0045】
周波数デインターリーブ部88は、デインターリーブ部84と同等の機能を有する。なお、ここで相互に入れ替えられるデータは、FFTされた後の各周波数成分の振幅であるので、この入れ替えは周波数デインターリーブとも呼ばれる。
【0046】
時間デインターリーブ部89は、周波数デインターリ−ブ部88からの入力に対して時間デインターリーブ処理を施してデマッピング部91に出力する。時間デインターリーブとは、連続するN個のシリアルデータを1つの単位とし、時系列に従って順次送信されるそれら各単位の順序を入れ替えることをいう。
【0047】
デマッピング部91は、デマッピング部83と同等の機能を有し、ビタビ復号部92は、ビタビ復号部85と同等の機能を有する。
【0048】
バイトデインターリーブ部93は、ビタビ復号部92からの入力に対してバイトデインターリーブ処理を施してエネルギー逆拡散部94に出力する。バイトデインターリーブとは、1つのシリアルデータ中の各ビットの順序を入れ替えることをいう。
【0049】
エネルギー逆拡散部94は、バイトデインターリーブ部93から入力されたデータから、エネルギー拡散のために挿入された信号を除去し、その信号が除去されたデータをリードソロモン復号部96に出力する。
【0050】
リードソロモン復号部96は、エネルギー逆拡散部94から入力されたデータをリードソロモン復号してCPU19に出力する。リードソロモン復号とは、誤り訂正のための復号処理の1つである。
【0051】
以上のような構成のOFDM受信機1において、まずI−OFDM信号を受信する場合について説明する。
【0052】
I−OFDM信号を受信する場合、OFDM受信機1のユーザが入出力装置22によってI−OFDM信号を受信する旨の入力を行う。この入力を検知したCPU19は、FFT部17のスイッチ73、間引き回路76を制御する。具体的には、直列並列変換回路72からの入力がFFT回路74に出力されるようにスイッチ73を切り替え、間引き回路76が入力された全ての信号を出力するように制御する。またCPU19は、ベースバンド処理部18中のスイッチ81の機能を制御する。具体的には、振幅調整回路77から入力されたデータが、同期復調部87に出力されるようにスイッチ81を切り替える。
【0053】
このような状態において、I−OFDMアンテナ10がI−OFDM信号を受信してI−OFDM無線部15に出力すると、信号はI−OFDM無線部15でデジタルのシリアル信号に変換され、ガード除去部16で所定のガードインターバルを除去され、直列並列変換回路72でN本のパラレルデータに変換され、FFT回路74でフーリエ変換され、並列直列変換回路75でシリアルデータに変換され、間引き回路76を経由して振幅調整回路77で振幅調整され、同期復調部87、周波数デインターリ−ブ部88、時間デインターリ−ブ部89、デマッピング部91、ビタビ復号部92、バイトデインターリーブ部93、エネルギー逆拡散部94、リードソロモン復号部96で上記した所定の復号等の処理を施され、CPU19に映像・音声信号として出力される。
【0054】
CPU19は、入力された映像・音声信号のうち、映像信号をディスプレイ21に、音声信号をスピーカ20に出力する。あるいは、CPU19は、入力された映像・音声信号をHDD24に記録してもよい。
【0055】
このようにすることで、ユーザは受信したI−OFDM信号に含まれる映像・音声信号を視聴、録画することが可能となる。
【0056】
次に、OFDM受信機1において、C−OFDM信号を受信する場合について説明する。まず、OFDM受信機1のユーザが入出力装置22によってC−OFDM信号を受信する旨の入力を行う。この入力を検知したCPU19は、FFT部17のスイッチ73、間引き回路76を制御する。具体的には、直列並列変換回路71からの入力がFFT回路74に出力されるようにスイッチ73を切り替え、間引き回路76が入力された信号のうち先頭のデータおよび先頭から[(N/M)−1]個おきのデータを出力するように制御する。またCPU19は、ベースバンド処理部18中のスイッチ81の機能を制御する。具体的には、振幅調整回路77から入力されたデータが、同期復調部82に出力されるようにスイッチ81を切り替える。
【0057】
このような状態において、C−OFDMアンテナ11がC−OFDM信号を受信してC−OFDM無線部12に出力すると、信号はC−OFDM無線部12でデジタルのシリアル信号に変換され、ガード除去部13で所定のガードインターバルを除去され、直列並列変換回路71でM本のパラレルデータに変換され、合成器80でN−M本のヌルデータにまとめられ、FFT回路74でこのヌルデータと共にフーリエ変換され、並列直列変換回路75でシリアルデータに変換され、間引き回路76でN/M番目以外のデータが間引かれ経由して振幅調整回路77で振幅調整され、同期復調部82、デマッピング部83、デインターリーブ部84、ビタビ復号部85、デスクランブル部86で上記した所定の復号等の処理を施され、CPU19に通信データとして出力される。
【0058】
CPU19は、入力された通信データに対し、Webブラウザ、メーラ等の所定のプログラムに規定された処理を行う。
【0059】
このような作動において、C−OFDM信号はM本のキャリアからなる無線信号として送信されているので、このデータを適切に受信するためには、ガード除去部13でガードインターバルを除去されたM個の連続するシリアルデータを
x’[n](n=0、1、…、M−1)
とすると、FFT部17によって
【0060】
【数2】
Figure 0003915678
というデータを得ることができるようになっていなければならない。通常C−OFDM信号のフーリエ変換に用いられるM本の入出力端子を持つFFT回路は、このような変換を行うからである。本実施形態においては、上述した様にFFT回路74には1番目からM番目の入力端子にそれぞれx’[n](n=0、1、…、M−1)が入力され、それ以外の端子にはヌルデータが入力されるようになっている。具体的には、直列並列変換回路71が、OFDM信号の各時系列データを、入力端子中のM本の入力端子52へ合成器80を介して入力し、直列並列変換回路79が、FFT回路74の入力端子のうち、直列並列変換回路71が入力した先の入力端子52以外の入力端子53にゼロ値のデータを入力する。
【0061】
したがって、この場合にFFT回路74に入力されるデータx[n](n=0、1、…、N−1)は、
【0062】
【数3】
Figure 0003915678
となる。このx[n]をFFT回路74の入出力の関係を表す数1に代入すると、FFT回路74の出力は
【0063】
【数4】
Figure 0003915678
となる。
【0064】
また、間引き回路76では入力されたy[k]のうち、先頭のデータおよび先頭から[(N/M)−1]個おきのデータのみを出力する。すなわち、y[n](n=0、1、…、N−1)の入力に対しては、y[(N/M)k] (k=0、1、…、M−1)のデータのみを出力する。ここで、
【0065】
【数5】
Figure 0003915678
となるので、間引き回路76の出力は、M本の入出力端子を持つFFT回路にx’[n]を入力した場合の出力と同様になる。したがって、適切にC−OFDM信号を受信できる。
【0066】
これを定性的に説明すると以下の様になる。C−OFDM信号を受信する場合のガード除去部13の出力の波形を図6(a)に示す。図中横軸が時間で縦軸がデータ値である。なおこの出力は、図中ではアナログ波形であるように表現されているが、実際にはある間隔でサンプリングされた離散的なM個の連続するデータである。tは、一時にFFT回路で変換される入力データの時間長である。
【0067】
この信号を仮にMポイントのFFT回路で変換した場合、その出力データは図7(a)に示すようなものになる。フーリエ変換は時間領域から周波数領域への変換であるので、横軸は周波数、縦軸は各周波数におけるデータの振幅である。この図のように、1/t間隔でM個の振幅データが得られる。
【0068】
次に、本実施形態のようにヌルデータとまとめられたC−OFDM信号を時間順に並べた波形を図6(b)に示す。この場合、信号の時間長が図6(a)の場合のN/M倍となる。これをNポイントのFFT回路で変換した出力データを図7(b)に示す。データ間の周波数の間隔がM/(Nt)となり、図7(b)の場合と比べて周波数間隔がM/Nと細かくなる。すなわち、C−OFDM信号にヌルデータを付加したことで、形式上変換後のOFDM信号の周波数分解能が高くなったと見ることができる。ただし、これら変換後のデータには、ヌルデータの情報も含まれており、実際には元のC−OFDM信号の情報を復元するためには、図7(b)中の周波数軸上の左から0番目、N/M番目、2N/M番目…のデータ、すなわち先頭のデータおよび先頭から[(N/M)−1]個おきのデータがあれば足りる。
【0069】
このように、間引き回路76は、FFT回路74の、直列並列変換回路71および直列並列変換回路79からの入力に基づく周波数系列データ出力のうち、直列並列変換回路71から入力された時系列データの情報を有する周波数系列データを、振幅調整回路77へ出力する。
【0070】
これによって、OFDM受信機1が、FFT回路74の入力端子数Nよりも少ないキャリア数を有するC−OFDM信号を受信する場合において、受信したC−OFDM信号の各時系列データを、入力端子中のキャリア数分の入力端子52へ入力し、またそれ以外の入力端子53にゼロ値のデータを入力する。そして、FFT回路74の出力は入力された時系列データの情報を有する周波数系列データ、すなわち先頭のデータおよび先頭から[(N/M)−1]個おきのデータを出力する。そして、FFT回路74の周波数系列データ出力のうち、先頭のデータおよび先頭から[(N/M)−1]個おきの周波数系列データを、振幅調整回路77に出力するので、C−OFDM信号の受信において、受信側のFFT回路の入力ポイント数が、受信するOFDM信号のキャリア数と異なる場合でも、正しくOFDM信号の受信処理を行えるようにすることができる。また、C−OFDM信号とI−OFDM信号の受信にFFT回路74を共用できる。
【0071】
なお、本実施形態においては、FFT回路74が所定の入力端子数を有する高速フーリエ変換回路を構成する。
【0072】
また、C−OFDM無線部12、ガード除去部13、および直列並列変換回路71が、高速フーリエ変換回路の入力端子数よりも少ないキャリア数を有するOFDM信号を受信し、受信したOFDM信号の各時系列データを、入力端子中のキャリア数分の入力端子へ入力する受信データ入力手段を構成する。
【0073】
なお、厳密に表現すれば、「入力端子数よりも少ないキャリア数を有するOFDM信号」とは、受信側にあるFFT回路74の入力端子数よりも少ない入力端子数の逆高速フーリエ変換回路で生成されたOFDM信号であると言える。
【0074】
また、ゼロ信号生成回路78および直列並列変換回路79が、高速フーリエ変換回路の入力端子のうち、受信信号入力手段が入力した先の入力端子以外の端子にゼロ値のデータを入力するヌルデータ入力手段を構成する。
【0075】
また、間引き回路76および振幅調整回路77が、高速フーリエ変換回路の、受信データ入力手段および高速フーリエ変換入力手段の入力に基づく入力端子数分の周波数系列データ出力のうち、受信データ入力手段が入力した時系列データの情報を有する周波数系列データを、入力されたデータを処理する回路に出力する選択出力手段を構成する。
【0076】
また、本実施形態においては、図4に示すように、1〜M番目の入力端子52にC−OFDM信号の時系列データを入力し、M+1〜N番目の入力端子53にヌルデータを入力するようになっているが、必ずしもこのような並びでデータの入力を行う必要はない。例えば、1〜N−M番目の入力端子にヌルデータを入力し、N−M+1〜N番目のデータにC−OFDM信号の時系列データを入力してもよい。ただし、入力データの並びに応じた間引き回路76および振幅調整回路77の処理を行う必要がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るOFDM受信機1の構成を示す図である。
【図2】(a)はシリアルデータの概要を示す図であり、(b)はパラレルデータの概要を示す図である。
【図3】FFT部17の構成を示す図である。
【図4】FFT回路74の入出力端子を示す概念図である。
【図5】ベースバンド処理部18の動作機能の構成を示す図である。
【図6】C−OFDM信号の時系列データを示す図である。
【図7】C−OFDM信号の周波数系列データを示す図である。
【符号の説明】
1…OFDM受信機、10…I−OFDMアンテナ、
11…C−OFDMアンテナ、12…C−OFDM無線部、
13、16…ガード除去部、15…I−OFDM無線部、17…FFT部、
18…ベースバンド処理部、19…CPU、20…スピーカ、
21…ディスプレイ、22…入出力装置、23…RAM、24…HDD、
51、52、53…入力端子、54…出力端子、71、72、
79…直列並列変換回路、73…スイッチ、74…FFT回路、
75…並列直列変換回路、76…間引き回路、77…振幅調整回路、
78…ゼロ信号生成回路、80…合成器、81…スイッチ、
82、87…同期復調部、83、91…デマッピング部、
84…デインターリーブ部、85、92…ビタビ復号部、
86…デスクランブル部、88…周波数デインターリ−ブ部、
89…時間デインターリ−ブ部、93…バイトデインターリーブ部、
94…エネルギー逆拡散部、96…リードソロモン復号部。

Claims (3)

  1. 所定の入力端子数を有する高速フーリエ変換回路と、
    前記入力端子数よりも少ないキャリア数で送信されたOFDM信号を受信し、受信したOFDM信号の各時系列データを、前記入力端子中の前記キャリア数分の入力端子へ入力する受信データ入力手段と、
    前記入力端子のうち、前記受信信号入力手段が入力した先の入力端子以外の端子にゼロ値のデータを入力するヌルデータ入力手段と、
    前記高速フーリエ変換回路の、前記受信データ入力手段および前記ヌルデータ入力手段の入力に基づく前記入力端子数分の周波数系列データ出力のうち、前記受信データ入力手段が入力した前記時系列データの情報を有する周波数系列データを、入力されたデータを処理する回路に出力する選択出力手段と、を備えたOFDM受信機。
  2. OFDMの複数の通信規格の信号を受信するOFDM受信機であって、
    前記複数の通信規格の信号が送信されるキャリア数のうち大きい方のキャリア数分の入力端子数を有する高速フーリエ変換回路と、
    前記入力端子数よりも少ないキャリア数で送信されるOFDM信号を受信し、受信したOFDM信号の各時系列データを、前記入力端子中の前記キャリア数分の入力端子へ入力する受信データ入力手段と、
    前記入力端子のうち、前記受信信号入力手段が入力した先の入力端子以外の端子にゼロ値のデータを入力するヌルデータ入力手段と、
    前記高速フーリエ変換回路の、前記受信データ入力手段および前記ヌルデータ入力手段の入力に基づく前記入力端子数分の周波数系列データ出力のうち、前記受信データ入力手段が入力した前記時系列データの情報を有する周波数系列データを、入力されたデータを処理する回路に出力する選択出力手段と、を備えたOFDM受信機。
  3. 前記選択出力手段は、前記高速フーリエ変換回路の前記周波数系列データ出力のうち、この出力の周波数順に、先頭の周波数系列データおよび前記先頭から[(前記入力端子数/前記キャリア数)−1]個おきの周波数系列データを、入力されたデータを処理する回路に出力する請求項1または2に記載のOFDM受信機。
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