JP3915583B2 - 孔内面観察方法及び孔内面観察装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒等の孔内面を観察する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
筒等の孔内面を観察するための装置が特開平6−94452号公報、特開平6−292204号公報に開示されている。これらの従来装置では、コーンミラーに映される空洞内壁面の鏡像をカメラで撮影し、この撮影画像を直交座標平面における画像に展開している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、孔の中心とコーンミラーの円錐面の軸線とがずれている場合、直交座標平面上に展開された画像は歪んだものとなる。このような歪んだ展開画像の座標−輝度値の情報を用いて孔内面の定量的な評価(例えば、孔内面上にある欠点の大きさの評価)を精度良く行うことは困難である。
【0004】
本発明は、観察対象の孔内面の定量的な評価の精度を向上することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そのために請求項1の発明は、観察対象の孔内面を撮影手段で撮影する撮影工程と、前記撮影手段によって得られた撮影画像を直交座標平面における展開画像に展開する展開工程と、前記撮影画像の歪み、又は前記展開画像の歪みを補正する補正工程とを備える孔内面観察方法とした。
【0006】
歪みを補正した撮影画像を展開した画像は、歪みのない展開画像となる。撮影画像を展開した画像の歪みを補正した画像は、歪みのない展開画像となる。歪みのない展開画像は、孔内面の定量的な評価を精度良く行うことを可能にする。
【0007】
さらに請求項1の発明は、前記観察対象の孔内面の端縁を補正用情報源とし、前記孔内面の端縁に対応する前記展開画像における端縁展開画像を補正用情報とし、歪みのない前記端縁展開画像の基準座標を予め推定して設定しておき、前記補正工程は、前記端縁展開画像の座標を前記基準座標に変換するように、前記展開画像の座標を補正する工程とした。
【0008】
端縁展開画像に歪みがない場合には、端縁展開画像の座標は、基準座標に一致する。端縁展開画像に歪みがある場合、展開画像は、端縁展開画像の座標を基準座標に一致させるように座標補正される。このような座標補正は、歪みのない展開画像をもたらす。
【0009】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記撮影工程は、前記観察対象の孔内面をコーンミラーに映した鏡像を前記撮影手段で撮影してコーンミラー画像を得る工程とし、前記展開工程は、前記コーンミラー画像を展開画像に展開する工程とした。
【0010】
コーンミラーに映した孔内面の鏡像は、環状であり、コーンミラー画像を展開した画像は、帯状である。歪みのある帯状の展開画像は、歪みのない帯状の画像に補正される。
【0011】
請求項3の発明では、観察対象の孔内面を撮影する撮影手段と、前記撮影手段によって得られた撮影画像を直交座標平面における展開画像に展開する展開手段と、前記撮影画像の歪み、又は前記展開画像の歪みを補正する歪補正手段とを備える孔内面観察装置を構成した。
【0012】
歪補正手段による歪み補正は、歪みのない展開画像をもたらす。歪みのない展開画像は、孔内面の定量的な評価を精度良く行う上で有効である。
さらに請求項3の発明は、前記観察対象の孔内面の端縁を補正用情報源とし、前記孔内面の端縁に対応する前記展開画像における端縁展開画像を補正用情報とし、歪みのない前記端縁展開画像の基準座標を記憶する基準座標記憶手段と、前記端縁展開画像の座標を記憶する計測座標記憶手段と、前記端縁展開画像の座標を前記基準座標に変換するように、前記展開画像の座標を補正する座標補正手段とを備えた前記歪補正手段を構成した。
【0013】
端縁展開画像に歪みがある場合、座標補正手段は、端縁展開画像の座標を基準座標に変換するように、前記展開画像の座標を補正する。
請求項4の発明では、請求項3において、前記観察対象の孔内面を映すコーンミラーと、前記観察対象の孔内面をコーンミラーに映した鏡像を撮影するカメラとを備えた前記撮影手段を構成し、前記展開手段は、前記撮影手段によって撮影されたコーンミラー画像を展開画像に展開し、前記歪補正手段は、前記コーンミラー画像の歪み、又は前記展開画像の歪みを補正するようにした。
【0014】
コーンミラー画像における歪み、又は展開画像における歪みは、歪補正手段によって補正される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。
【0016】
図1に示すように、CCDカメラ11の前方にはコーンミラー12が配置されており、コーンミラー12の後方には照明装置13が設置されている。コーンミラー12の軸線121とCCDカメラ11の光軸111とは、一致させてある。CCDカメラ11とコーンミラー12との間には円筒形状の観察対象14が配置される。観察対象14は、往復駆動手段15によって光軸111の方向に往復移動される。
【0017】
CCDカメラ11には第1の記憶手段16及び撮影指示手段17が信号接続されている。撮影指示手段17は、観察対象14が所定の位置に配置される毎にCCDカメラ11に撮影指示信号を出力する。図4(b)は、コーンミラー12が観察対象14に対して相対移動配置された状態を表しており、観察対象14とコーンミラー12との位置関係は、観察対象14が前記所定の位置に配置された状態を表す。コーンミラー12の実線位置S1は、撮影指示手段17がCCDカメラ11に対して最初の撮影指示信号を出力する相対位置である。以後、撮影指示手段17は、コーンミラー12が鎖線位置S2,S3,S4,S5,S6,S7に相対移動配置される毎に撮影指示信号をCCDカメラ11に出力する。
【0018】
CCDカメラ11は、撮影指示手段17からの撮影指示信号の入力に応答してコーンミラー12における鏡像を撮影する。コーンミラー12に映された鏡像は、観察対象14の円周面形状の孔内面141を映している。CCDカメラ11及びコーンミラー12は、観察対象14の孔内面141を撮影する撮影手段を構成する。
【0019】
図4(a)の画像G1は、コーンミラー12が実線位置S1に相対移動配置されたときにCCDカメラ11によって撮影された画像、即ちコーンミラー12における鏡像を撮影したコーンミラー画像である。画像G2,G3,G4,G5,G6,G7は、コーンミラー12が鎖線位置S2,S3,S4,S5,S6,S7に相対移動配置されたときにCCDカメラ11によって撮影された画像である。各画像G1〜G7のうちの円環形状の白抜き部分は、コーンミラー12の軸線121の方向に区分けして分割撮影した分割画像g1,g2,g3,g4,g5,g6,g7を表す。
【0020】
第1の記憶手段16は、CCDカメラ11によって得られた鏡像の画像における輝度値を極座標系の座標と共に記憶する。図2(a)の画像G(i)〔iは1〜6の整数〕は、画像G1〜G6のうちのいずれか1つを表し、g(i)は、画像G(i)における円環形状の白抜き部分の分割画像を表す。図2(b)の画像G(i+1)は、画像G2〜G7のうちのいずれか1つを表し、g(i+1)は、画像G(i+1)における円環形状の白抜き部分の分割画像を表す。CCDカメラ11の光軸111の位置を表す点Roは、極座標系の原点に設定されている。Zは極座標軸である。
【0021】
第1の記憶手段16には座標変換手段18が信号接続されている。座標変換手段18は、第1の記憶手段16において記憶されている座標−輝度値の情報における座標を極座標系からX−Y直交座標系に変換する。図4(b)のH1,H2,H3,H4,H5,H6,H7は、画像G1〜G7における分割画像g1〜g7を帯形状に展開した断片画像である。図3(a)のH(i),H(i+1)は、直交座標系上の断片画像である。断片画像H(i)は断片画像Hi(=H1,H2,H3,H4,H5,H6)のことであり、H(7)はH7のことである。図2(a)に示す極座標系上の点r11,r12,r13,r14,r21,r22,r23,r24は、図3(b)における直交座標系上では点h12,h13,h14,h21,h22,h23,h24に変換される。図2(b)に示す極座標系上の点r31,r32,r33,r34,r41,r42,r43,r44は、図3(a)における直交座標系上では点h31,h32,h33,h34,h41,h42,h43,h44に変換される。
【0022】
座標変換手段18には第2の記憶手段19が信号接続されている。第2の記憶手段19は、座標変換手段18によって座標変換された直交座標系上で表される座標−輝度値を記憶する。
【0023】
第1の記憶手段16、座標変換手段18及び第2の記憶手段19は、コーンミラー12の軸線121の方向に区分けして分割撮影した分割画像g1〜g7を直交座標平面における断片画像H1〜H7に展開する展開手段23を構成する。
【0024】
第2の記憶手段19には展開座標連係手段20が信号接続されており、展開座標連係手段20には接続線設定手段201が信号接続されている。展開座標連係手段20は、隣同士の断片画像H(i),H(i+1)を接続する。この接続は、図3(a)に第1の接続線L1及び第2の接続線L2で示す接続座標を一致させることである。即ち、展開座標連係手段20は、断片画像H(i)側の第2の接続線L2と、断片画像H(i+1)側の第1の接続線L1とを一致させるように、第2の記憶手段19によって記憶された断片画像H(i),H(i+1)の座標を連係する。図2(a)における円C1は、第1の接続線L1に対応し、円C2は、第2の接続線L2に対応する。
【0025】
第1の接続線L1と第2の接続線L2とは、接続線設定手段201によって予め設定される。第1の接続線L1と第2の接続線L2を一致させることは、断片画像H(i+1)における点h41,h42,h43,h44と断片画像H(i)における点h11,h12,h13,h14とを一致させることである。そして、断片画像H(i+1)のY座標が(Y−δ)〔δは接続線L1,L2の間隔〕に変換される。第1の接続線L1と第2の接続線L2とを一致させた場合、第2の接続線L2上の輝度値が排除されて第1の接続線L1上の輝度値が採用される。そして、接続線L1,L2上の座標、及び接続線L1,L2間の座標以外の断片画像H(i),H(i+1)における座標は、排除される。図3(a)における除去調整画像h(i),h(i+1)は、隣り合う断片画像H(i),H(i+1)の両端部をコーンミラー12の軸線121の方向に一部除去した画像を表す。図3(b)のH(i,i+1)は、隣同士の断片画像H(i),H(i+1)の部分である除去調整画像h(i),h(i+1)を接続した接続画像を表す。
【0026】
展開座標連係手段20には接続指示手段21が信号接続されており、接続指示手段21には撮影指示手段17が信号接続されている。CCDカメラ11に対する撮影指示手段の最終出力の後、撮影指示手段17は、接続指示手段21に撮影完了信号を出力する。撮影完了信号の出力は、第2の記憶手段19が全ての断片画像H(i),H(i+1)を記憶した後に行われる。接続指示手段21は、撮影完了信号の入力に応答して断片画像H(i),H(i+1)の連続的な接続を行う。
【0027】
展開座標連係手段20には第3の記憶手段22が信号接続されている。第3の記憶手段22は、隣同士の断片画像H(i),H(i+1)を展開座標連係手段20によって接続して形成された接続画像ΣH〔図4(b)に図示〕の座標−輝度値を記憶する。
【0028】
展開座標連係手段20、接続線設定手段201及び第3の記憶手段22は、隣り合う断片画像H1〜H7を接続する接続手段24を構成する。
第1の実施の形態における撮影工程は、観察対象14の孔内面141をコーンミラー12に映した鏡像をCCDカメラ11で撮影する工程である。第1の実施の形態における展開工程は、コーンミラー12の軸線121の方向に区分けして分割撮影した分割画像g1〜g7を直交座標平面における断片画像H1〜H7に展開する工程である。第1の実施の形態における接続工程は、隣り合う断片画像H(i),H(i+1)を接続する工程である。第1の実施の形態における接続工程は、展開工程後に遂行される。
【0029】
第3の記憶手段22には座標補正手段25が信号接続されており、座標補正手段25には基準座標記憶手段26が信号接続されている。図5(a)に示す除去調整画像h(1)は、分割画像g1を展開した画像である。図5(a)に示す分割画像g1は、孔内面141の中心軸線142とコーンミラー12の軸線121とが一致した状態のときに得られる画像である。図6(a)における接続画像ΣHは、孔内面141の中心軸線142とコーンミラー12の軸線121とが一致した状態のときに得られる画像である。図5(b)に示す除去調整画像he(1)は、分割画像ge1を展開した画像である。図5(b)に示す分割画像ge1は、孔内面141の中心軸線142とコーンミラー12の軸線121とが一致していない状態のときに得られる画像である。図6(b)における接続画像ΣHeは、孔内面141の中心軸線142とコーンミラー12の軸線121とが一致していない状態のときに得られる画像である。
【0030】
図5(a)の分割画像g1において円で示す端縁画像Tgは、孔内面141の端縁143に対応する。同様に、図5(b)の分割画像ge1において円で示す端縁画像Tgeは、孔内面141の端縁143に対応する。図5(a)の除去調整画像h(1)において直線で示す端縁展開画像Th1〔図6(a)にも図示〕は、端縁画像Tgを展開した画像である。図6(a)における端縁展開画像Th2は、図6(c)に示す孔内面141の別の端縁144に対応する。図6(b)におけるThe1〔図5(b)にも図示〕は、端縁展開画像Th1に対応した歪みのある端縁展開画像であり、The2は、端縁展開画像Th2に対応した歪みのある端縁展開画像である。
【0031】
基準座標記憶手段26には端縁展開画像Th1の座標(直交座標平面における座標)が基準座標として予め記憶されている。この基準座標は、予め推定して設定される。第3の記憶手段22は、除去調整画像h(i),h(i+1)の座標を記憶している。第3の記憶手段22は、端縁展開画像の座標を記憶する計測座標記憶手段となる。座標補正手段25は、第3の記憶手段22から得られる端縁展開画像の座標情報と、基準座標記憶手段26から得られる端縁展開画像Th1の座標情報とに基づいて、接続画像ΣHの歪み補正を行う。この歪み補正は、第3の記憶手段22から得られる端縁展開画像の座標を端縁展開画像Th1の座標に変換するように行われる。即ち、図6(b)に示す歪みのある端縁展開画像The1の座標(Xe,Yt)は、歪みのない端縁展開画像Th1の座標(Xe,Yo)に補正される。そして、歪みのある接続画像ΣHeの任意の座標(Xe,Ye)は、座標〔Xe,Ye−(Yt−Yo)〕に補正される。
【0032】
従って、図6(b)に示す歪みのある接続画像ΣHeは、図6(a)に示す歪みのない接続画像ΣHに補正される。又、図5(b)に示す歪みのある帯状の除去調整画像he(1)は、図5(a)に示す歪みのない帯状の除去調整画像h(1)に補正される。
【0033】
座標補正手段25には第4の記憶手段27が信号接続されている。第4の記憶手段27は、歪みのない接続画像ΣHの座標−輝度値を記憶する。第3の記憶手段22、座標補正手段25、基準座標記憶手段26及び第4の記憶手段27は、展開画像の歪みを補正する歪補正手段30を構成する。
【0034】
第4の記憶手段27には表示手段28及び評価手段29が信号接続されている。表示手段28は、第4の記憶手段27に記憶された接続画像ΣHの座標−輝度値に基づいて、歪み補正した接続画像ΣHを表示する。評価手段29は、第4の記憶手段27に記憶された接続画像ΣHの座標−輝度値に基づいて、孔内面141における欠点の有無、欠点の個数、欠点の大きさ等の定量的な評価を行う。
【0035】
第1の実施の形態では以下の効果が得られる。
(1−1)図6(a)に示すように、欠点画像Ko1,Ko2が端縁展開画像Th1,Th2の近くにあるような場合、図6(b)では、欠点画像Ko1に対応する欠点画像Ko1eが歪みのない端縁展開画像Th1に対応する直線t1からはみ出してしまう。あるいは欠点画像Ko2に対応する欠点画像Ko2eが歪みのない端縁展開画像Th2に対応する直線t2からはみ出してしまう。孔内面141の定量的な評価は、直線t1,t2間における座標−輝度値の情報を用いて行われるが、欠点画像Ko1e,Ko2eが直線t1,t2間からはみ出てしまうと、孔内面141の定量的な評価が困難になる。
【0036】
撮影画像であるコーンミラー画像を展開した展開画像の歪みを補正した画像(接続画像ΣH)は、歪みのない展開画像となる。従って、歪みのない展開画像(接続画像ΣH)においては、孔内面141上にある欠点が直線t1,t2間からはみ出してしまうようなことはない。即ち、歪みのない展開画像(接続画像ΣH)は、孔内面141の定量的な評価を精度良く行うことを可能にする。
【0037】
(1−2)図4(b)に示すように、孔内面141上の欠点Kの画像が隣同士の関係にある分割画像にわたっている(例えば、分割画像g2,g3に欠点画像K1,K2が表れる)とする。そうすると、接続された隣同士の断片画像H2,H3における欠点Kの欠点画像K3,K4〔図4(b)に図示〕は、連続的な画像となる。従って、孔内面141における欠点の個数、大きさ等の評価を接続画像ΣHの座標−輝度値に基づいて行うことができ、接続した断片画像H1〜H7を用いた観察対象14の孔内面141の定量的な評価を精度良く行うことができる。
【0038】
(1−3)観察対象14の孔内面141の端縁143は、展開画像の歪みを補正するための補正用情報源として好適であり、孔内面141の端縁143に対応する端縁展開画像Th1は、展開画像の歪みを補正するための補正用情報として好適である。
【0039】
(1−4)図6(a)に示すように、歪みのない展開画像(接続画像ΣH)に楕円形状の欠点画像K5があるとする。欠点画像K5は、図6(b)に示すように歪みのある展開画像(接続画像ΣHe)では欠点画像K5eのように歪む。そうすると、欠点画像K5における楕円長軸径Lの長さと、欠点画像K5eにおける楕円長軸径Leの長さとが異なってしまう。歪みのある展開画像(接続画像ΣHe)を歪みのない展開画像(接続画像ΣH)に画像補正することは、欠点画像K5における楕円長軸径の長さを本来の長さに補正する。即ち、このような画像補正は、画像中の対象物の精度のよい評価を可能にする。
【0040】
(1−5)観察対象14の孔内面141の全体は、図4(b)に示すように単一の展開画像としての接続画像ΣHで表される。観察対象14の孔内面141の全体を単一の接続画像ΣHで表せば、表示手段28を用いた孔内面141の評価が容易になる。
【0041】
(1−6)展開座標連係手段20は、隣り合う断片画像H(i),H(i+1)の部分である除去調整画像h(i),h(i+1)を接続する。コーンミラー12のエッジ付近の画像は、正確性に欠けた画像となるおそれがあるが、除去調整画像h(i),h(i+1)は、コーンミラー12のエッジ付近の画像の情報を含まない。従って、断片画像H(i),H(i+1)の両端部を軸線121の方向に一部除去した除去調整画像h(i),h(i+1)を接続する接続工程は、観察対象14の孔内面141の定量的な評価精度の向上に寄与する。
【0042】
本発明では以下のような実施の形態も可能である。
(1)図7に示すように、CCDをリニアに配列したラインセンサ311を内蔵する撮影手段31によって観察対象14の孔内面141を撮影する場合に本発明を適用すること。
【0043】
この場合、孔内面141の撮影は、観察対象14あるいは撮影手段31を回転して行う。観察対象14を回転して孔内面141を撮影する場合、歪み補正は、観察対象14の回転姿勢の情報、孔内面141の回転姿勢の情報、孔内面141の中心軸線142と撮影手段31の光軸312との相対位置関係の情報、孔内面141の端縁143の情報等に基づいて行われる。撮影手段31を回転して孔内面141を撮影する場合、歪み補正は、撮影手段31の回転姿勢の情報、孔内面141の中心軸線142と撮影手段31の光軸312との相対位置関係の情報、孔内面141の端縁143の情報等に基づいて行われる。
【0044】
(2)孔内面141の径、コーンミラー12の径、孔内面141の中心軸線142とコーンミラー12の軸線121とのずれ量、中心軸線142と軸線121との傾き角度等の情報に基づいて歪み補正を行うこと。
【0045】
(3)孔内面141の端縁143,144の理想的な形状が展開されたときの端縁展開画像を推定し、欠点が端縁展開画像に掛かっている場合には、欠点が端縁展開画像に掛かっている部分の歪み補正を前記推定された端縁展開画像に基づいて行うようにすること。端縁143,144の形状は、第1の実施の形態では円であるが、これ以外の形状、例えば楕円、多角形等の任意の形状でもよい。
【0046】
(4)第1の実施の形態における分割画像を隣同士で接続した後、この接続画像の歪み補正を行った後、歪み補正した接続画像を直交座標平面上の画像に展開すること。
【0047】
隣同士の分割画像の接続は、例えば図2(a)において、円環形状の分割画像g(i)における円C2と、円環形状の分割画像g(i+1)における円C1とを同一半径の円周にして重ね合わせることである。
【0048】
歪み補正は、例えば、図5(b)における端縁画像Tgeを図5(a)における端縁画像Tgに一致させるように、前記接続画像の座標を補正することである。
【0049】
分割画像を断片画像に展開する展開工程は、隣り合う分割画像g1〜g7を接続する接続工程を遂行した後に遂行される。
(5)第1の実施の形態における端縁画像を有する分割画像の歪み補正を行った後、歪み補正された分割画像に隣の分割画像を接続し、以下、順次前の分割画像に後の分割画像を接続していった後、接続画像を直交座標平面上の画像に展開すること。
【0050】
(6)第1の実施の形態における端縁展開画像を有する断片画像の歪み補正を行った後、歪み補正された断片画像に隣の断片画像を接続し、以下、順次前の断片画像に後の断片画像を接続してゆくこと。
【0051】
(7)第1の実施の形態において、第1の接続線L1を図3(a)の断片画像H(i),H(i+1)の上端に設定し、第2の接続線L2を図3(a)の断片画像H(i),H(i+1)の下端に設定すること。
【0052】
(8)図8(a),(b)に示すように、隣り合う断片画像H(i),H(i+1)を重複させることなく接続すること。この場合、隣り合う断片画像H(i),H(i+1)は、撮影範囲が重複していない画像である。なお、隣り合う断片画像H(i),H(i+1)の代わりに、隣り合う除去調整画像h(i),h(i+1)を用いてもよい。
【0053】
(9)第1の実施の形態において、観察対象14を固定し、CCDカメラ11とコーンミラー12との距離を保ったまま両者を移動して撮影を行うこと。
(10)第1の実施の形態において、CCDカメラ11において焦点、倍率を合わせながらコーンミラー12のみを移動して撮影を行うこと。
【0054】
(11)第1の実施の形態において、撮影指示手段17を用いないでコーンミラー12又は観察対象14を等速で移動させ、CCDカメラ11による撮影を所定時間間隔で行うこと。この場合、前記所定時間間隔及び前記等速の移動速度は、撮影範囲を考慮して設定する必要がある。
【0055】
(12)第1の実施の形態の図3において、重なり合う接続線L2,L1における輝度値として、点h11,h12,h13,h14・・・と点h41,h42,h43,h44・・・との重なり合う点同士の輝度値の平均値を採用すること。
【0056】
(13)第1の実施の形態の図3において、重なり合う接続線L2,L1における輝度値として、点h11,h12,h13,h14・・・と点h41,h42,h43,h44・・・との重なり合う点の周囲近傍の輝度値から決定されたを採用すること。
【0057】
この輝度値の決定としては、平均値、メディアン等の統計量、線形補間による近似の決定が考えられる。
(14)第1の実施の形態において、新たな断片画像を第2の記憶手段19に上書き記憶した後、コーンミラー12(又は観察対象14)が移動している間に、第3の記憶手段22に記憶されている接続画像に展開座標連係手段20によって前記新たな断片画像を接続し、新たに作成された接続画像を第3の記憶手段22に上書きすること。
【0058】
この実施の形態では、全ての断片画像を記憶する必要がなく、コーンミラー12(又は観察対象14)が移動している間に接続処理を行って処理時間を短縮することができる。
【0059】
(15)第1の実施の形態において、観察対象14の移動方向を第1の実施の形態の場合とは逆にして孔内面141を撮影してゆくようにすること。
前記した実施の形態から把握できる技術思想について以下に記載する。
【0060】
〔1〕請求項1及び請求項2のいずれか1項において、前記コーンミラーの軸線の方向に区分けして分割撮影した分割画像を平面の断片画像に展開する展開工程と、隣り合う前記断片画像を接続する接続工程とを備え、前記補正工程は連続的に接続された全ての断片画像の歪みを補正する内面観察方法。
【0061】
〔2〕請求項1及び請求項2のいずれか1項において、前記コーンミラーの軸線の方向に区分けして分割撮影した分割画像を平面の断片画像に展開する展開工程と、隣り合う前記分割画像を接続する接続工程とを備え、前記補正工程は、接続された全ての分割画像の歪みを補正する内面観察方法。
【0062】
〔3〕請求項3及び請求項4のいずれか1項において、前記展開手段は、前記分割画像の座標を記憶する第1の座標記憶手段と、前記第1の座標記憶手段によって記憶された前記分割画像の座標を前記断片画像の座標に変換する展開用座標変換手段と、前記平面画像の座標を記憶する第2の座標記憶手段とを備えている記載の内面観察装置。
【0063】
〔4〕請求項3及び請求項4及び前記〔3〕項のいずれか1項において、隣り合う前記分割画像又は隣り合う前記断片画像を接続する接続手段を備える内面観察装置。
【0064】
〔5〕前記接続手段は、隣り合う前記平面画像を連続的に接続するように、前記第2の座標記憶手段によって記憶された前記平面画像の座標を接続する展開座標接続手段を備えている前記〔4〕項に記載の内面観察装置。
【0065】
【発明の効果】
本発明では、前記撮影手段によって得られた撮影画像を直交座標平面における展開画像に展開し、前記撮影画像の歪み、又は前記展開画像の歪みを補正するようにしたので、観察対象の孔内面の定量的な評価の精度を向上し得るという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示すブロック図を組み込んだ簡略図。
【図2】(a),(b)は、鏡像の画像を示す画像図。
【図3】(a)は、展開された断片画像の画像図。(b)は、接続された断片画像の画像図。
【図4】(a)は、分割画像の画像図。(b)は、分割画像と断片画像との関係を示す簡略図。
【図5】(a),(b)は、分割画像及び除去調整画像を示す画像図。
【図6】(a)は、歪みのない展開画像を示す画像図。(b)は、歪みのある展開画像を示す画像図。(c)は、撮影手段の簡略図。
【図7】別の実施の形態を示す斜視図。
【図8】別の実施の形態を示し、(a)は、展開された断片画像の画像図。(b)は、接続された断片画像の画像図。
【符号の説明】
11…撮影手段を構成するCCDカメラ。12…撮影手段を構成するコーンミラー。121…軸線。14…観察対象。141…孔内面。143…端縁。16…展開手段を構成する第1の記憶手段。18…展開手段を構成する座標変換手段。19…展開手段を構成する第2の記憶手段。22…歪補正手段を構成する計測座標記憶手段としての第3の記憶手段。23…展開手段。25…歪補正手段を構成する座標補正手段。26…歪補正手段を構成する基準座標記憶手段。27…歪補正手段を構成する第4の記憶手段。30…歪補正手段。31…撮影手段。g1,g2,g3,g4,g5,g6,g7…分割画像。H1,H2,H3,H4,H5,H6,H7,H(i),H(i+1)…断片画像。Th1,The1…端縁展開画像。ΣH,ΣHe…展開画像としての接続画像。
Claims (4)
- 観察対象の孔内面を撮影手段で撮影する撮影工程と、
前記撮影手段によって得られた撮影画像を直交座標平面における展開画像に展開する展開工程と、
前記撮影画像の歪み、又は前記展開画像の歪みを補正する補正工程とを備える孔内面観察方法であって、
前記観察対象の孔内面の端縁を補正用情報源とし、前記孔内面の端縁に対応する前記展開画像における端縁展開画像を補正用情報とし、歪みのない前記端縁展開画像の基準座標を予め推定して設定しておき、前記補正工程は、前記端縁展開画像の座標を前記基準座標に変換するように、前記展開画像の座標を補正する工程である孔内面観察方法。 - 前記撮影工程は、前記観察対象の孔内面をコーンミラーに映した鏡像を前記撮影手段で撮影してコーンミラー画像を得る工程であり、前記展開工程は、前記コーンミラー画像を展開画像に展開する工程である請求項1に記載の孔内面観察方法。
- 観察対象の孔内面を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段によって得られた撮影画像を直交座標平面における展開画像に展開する展開手段と、
前記撮影画像の歪み、又は前記展開画像の歪みを補正する歪補正手段とを備える孔内面観察装置であって、
前記観察対象の孔内面の端縁を補正用情報源とし、前記孔内面の端縁に対応する前記展開画像における端縁展開画像を補正用情報とし、前記歪補正手段は、歪みのない前記端縁展開画像の基準座標を記憶する基準座標記憶手段と、前記端縁展開画像の座標を記憶する計測座標記憶手段と、前記端縁展開画像の座標を前記基準座標に変換するように、前記展開画像の座標を補正する座標補正手段とを備えている孔内面観察装置。 - 前記撮影手段は、前記観察対象の孔内面を映すコーンミラーと、前記観察対象の孔内面をコーンミラーに映した鏡像を撮影するカメラとを備え、前記展開手段は、前記撮影手段によって撮影されたコーンミラー画像を展開画像に展開し、前記歪補正手段は、前記コーンミラー画像の歪み、又は前記展開画像の歪みを補正する請求項3に記載の孔内面観察装置。
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