JP3915300B2 - 光走査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光走査装置に係り、特に、光偏向器の面倒れに起因する走査線のピッチむらを効果的に補正し、走査光学系のレイアウトの自由度を拡大する光走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
光走査装置は、デジタル複写機やレーザプリンタの画像形成装置の書き込み装置として広く利用されており、レーザ光源から射出した光ビームを、複数の反射面を有し、高速で駆動される回転多面鏡で偏向走査し、この偏向走査ビームを結像光学系により被走査面上にスポット結像すると共に、等速度で走査させる方式のものが一般的である。
【0003】
このような光走査装置を用いた画像形成装置に対し、高画質化、生産性向上、消費電力低減等の要求が高まっている。
【0004】
出力画像の高画質化には画像形成装置を形成する光走査装置以外のサブシステム、例えば帯電装置、現像装置、転写装置、定着装置等を含む画像形成装置全体のシステム構成の最適化が必要であるが、光走査装置としては、単位長さ当たりの書き込み本数を増やす、所謂高解像度化が必要であり、これに伴って光走査装置の単位時間当たりの書き込み本数を増やさなければならない。
【0005】
すなわち、生産性向上と高画質化を同時に満たすには、より高速で移動する被走査面に対し、より高密度で書き込みを行う必要がある。
【0006】
従来の光走査装置の構成を変えずにこれを実現するには、光偏向器の回転数を増加させなければならないが、光偏向器の回転数を増加させると、回転多面鏡の駆動装置への負荷が大きくなり、消費電力が増大すると共に、発熱や騒音が大きくなり、故障率が上がるという問題がある。
【0007】
このような光偏向器への負荷増大を解決し、高速、高解像度を実現するものとして、特開平9−96773号公報(以下、先行技術1という)に記載のものがある。
【0008】
上記先行技術1には、主走査方向にのみパワーを有するfθレンズ系と副走査方向にのみパワーを有するシリンドリカルミラーよりなる走査光学系を採用すると共に、光ビームを反射偏向された光ビームがなす走査角の中心方向からfθレンズを透過して入射し、反射偏向された光ビームに再びfθレンズを透過させる、所謂ダブルパス正面入射方式とした光走査装置が開示されている。
【0009】
さらに、この先行技術1には、光偏向器の回転多面鏡の各反射面の面幅より大きい幅の光ビームを入射させることが開示されている。
【0010】
走査光学系をダブルパス正面入射方式とし、偏向面の面幅よりも大きい幅を持つ光ビームを入射させることにより、光学系を対称構成として光学特性を安定させ、かつ回転多面鏡を大径化することなく回転多面鏡の面数を増やすことが可能となり、光偏向器への負荷増大を伴わず、高速、高解像度を実現できる。
【0011】
また、上記構成において、光偏向器の反射面と被走査面との間の副走査方向の倍率(以下、共役倍率という)を適切に選択することにより、被走査面上の走査位置による共役点位置の変化(以下、共役点の湾曲という)と副走査方向の像面湾曲を良好に補正できることも開示されている。
【0012】
次に、簡単な構成で像面湾曲、又は共役点の湾曲を低減するものとして、特開平9−230274号公報(以下、先行技術2という)記載のものがある。
【0013】
この先行技術2には、図9に示される如く、偏向角の中央方向から、副走査方向に角度をなして入射した光ビームを反射偏向し、回転多面鏡26を含む結像光学系の後段にシリンドリカルミラー34を配置した走査光学系において、シリドリカルミラー34の折り返し角度を適宜設定することにより、副走査方向の像面湾曲、又は共役点の湾曲を低減することが開示されている。なお、シリンドリカルミラー34の反射光が感光ドラム31へ至る構成となっている。
【0014】
すなわち、シリンドリカルミラー34の折り返し方向、及び折り返し角度を適宜設定することにより、走査中心と走査端に至る光ビームの光路長差をコントロールして共役点の湾曲を低減している。
【0015】
このように、主走査方向のパワーを有するfθレンズ系と副走査方向にのみパワーを有するシリンドリカルミラーよりなる走査光学系では、共役倍率とシリンドリカルミラーの折り返し角度を適宜選択することにより、共役点の湾曲を制御し、ピッチむらのない良好な画質を得ることが知られている。
【0016】
しかしながら、主走査方向にのみパワーを有するfθレンズ系と副走査方向にのみパワーを有するシリンドリカルミラーの組み合わせでは、共役倍率はシリンドリカルミラーの配置でほぼ決定してしまうが、画像形成装置内の光走査装置レイアウト自由度の制約によっては、シリンドリカルミラーを所望の位置に配置することが困難となり、共役点の湾曲を効果的に補正する共役倍率を選択できないことがある。
【0017】
また、共役点の湾曲量を低減できるシリンドリカルミラーの折り返し角度も、同様の理由により最適な角度に設定できないことがある。
【0018】
図10は、前記先行技術1の第1の実施の形態として示されているレンズデータを用いて、シリンドリカルミラーの配置、すなわち共役倍率を変えて、共役点の湾曲が完全に補正されるときのシリンドリカルミラーでの折り返し角を求めて、プロットしたグラフである。
【0019】
図10の横軸は、fθレンズ系の傾け角度を表している。傾け方向は正面入射する光ビームとレンズ法線のなす角度が大きくなる方向である。
【0020】
先行技術2に記載されているように、結像光学系を偏心させることにより、シリンドリカルミラー上での走査線湾曲量を変えることができ、共役点の湾曲量を調整できる。
【0021】
図10から、共役倍率とシリンドリカルミラーの折り返し角度には関係があることがわかる。すなわち、共役点の湾曲を効果的に低減するには、共役倍率が小さい場合にはシリンドリカルミラーの折り返し角度を小さく、共役倍率が大きい場合にはシリンドリカルミラーの折り返し角度を大きくすることが望ましい。そして、この条件を満たすレイアウトとすることにより、共役点の湾曲を効果的に補正し、走査線のピッチむらを抑制した良好な画質を得ることができる。
【0022】
ところが、シリンドリカルミラーの折り返し角度が50°を超えると、共役倍率とfθレンズ系の傾け角度を選択しても共役点の湾曲を完全に補正することが困難となる。
【0023】
本発明は上記事実を考慮し、主走査方向にのみパワーを有するfθレンズ系と、副走査方向にのみパワーを有するシリンドリカルミラーからなる走査光学系を採用し、シリンドリカルミラーの配置の自由度に制約がある場合でも、特にシリンドリカルミラーの折り返し角度が50°を超えるような走査光学系のレイアウトにおいても走査線のピッチむらを確実に抑制し、良好な画質を得られる光走査装置を得ることが目的である。
【0024】
また、上記目的に加え、共役点位置を調整可能な光走査装置を提供し、コストアップを伴わず、高解像度化に適した光走査装置を得ることが目的である。
【0025】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、光源と、光源から射出した光ビームを主走査対応方向に長い線像として結像させる第1の結像光学系と、前記線像の結像位置又はこの結像位置を含む周辺領域に反射面を有する光偏向器と、主走査方向にのみ収束力を有し前記光偏向器により偏向走査された光ビームを主走査方向に結像させる第2の結像光学系と、副走査方向にのみ収束力を有するシリンドリカルミラーとを備え、前記第2の結像光学系の主走査方向に結像させるレンズは、前記光偏向器の反射面と被走査面とが幾何光学的に略共役な関係をなすと共に、前記シリンドリカルミラーでの折り返し角度が50°以上である光走査装置であって、前記光偏向器への入射光ビームを、偏向範囲の中央方向から前記光偏向器の回転軸に直交する平面に対して副走査方向に角度をなして入射させ、前記第2の結像光学系を構成するレンズを、主走査対応方向の軸回りに前記入射光ビームとなす角度が大きくなる方向に傾けて配置し、前記光偏向器の反射面と被走査面との間の副走査方向の倍率である共役倍率をM、前記シリンドリカルミラーの配置や折り返し角度を適宜選択することで被走査面上の走査位置による共役点位置が変化する共役点の湾曲の量をC、光偏向器の最大面倒れ量をδ、共役点の製造ばらつきをZ、副走査方向の解像度をRとしたとき、(1)式を満足するように、走査光学系を設定することを特徴としている。
【0026】
(C/2+Z)×tan(2δ/M)<2.54/R・・・(1)
ただし、
C:共役点の湾曲量(mm)、
Z:共役点位置の製造誤差(mm)、
δ:光偏向器の最大面倒れ量(°)、
M:共役倍率、
R:副走査方向の解像度(scan/inch)、
である。
【0027】
請求項1に記載の発明によれば、主走査方向にのみパワーを有するfθレンズ系と副走査方向にのみパワーを有するシリンドリカルミラーよりなる走査光学系を備え、光源から射出した光ビームを第1の結像光学系により主走査方向に長い線像として結像させ、この線像の結像位置又はこの結像位置を含む周辺領域に反射面を有する光偏向器により反射偏向した後、走査光学系により被走査面上にスポット結像させると共に、等速度で走査する。
【0028】
光偏向器への入射光ビームは、走査範囲の中央方向から光偏向器の回転軸に直交する平面に対して角度をなして進み、fθレンズを透過して入射する。
【0029】
fθレンズは、入射光ビームとなす角度が大きくなる方向に傾け配置されており、光偏向器により反射偏向された光ビームが再び透過するダブルパス正面入射方式となっている。第2の結像光学系の主走査方向に結像させるレンズ(fθレンズ)は、光偏向器の反射面と被走査面とが幾何光学的に略共役な関係をなす。fθレンズを透過した偏向光ビームは、副走査方向にのみ収束力を有するシリンドリカルミラーによる50°以上の角度で折り返されて被走査面に至る。
【0030】
そして、光偏向器の最大面倒れ量をδ、光偏向器の反射面と被走査面との間の副走査方向の倍率である共役倍率をM、共役点の製造ばらつきをZ、副走査方向の解像度をRとしたとき、シリンドリカルミラーの配置や折り返し角度を適宜選択することで被走査面上の走査位置による共役点位置が変化する共役点の湾曲量Cが(1)式を満足するように、走査光学系を設定する。(1)式を満足することにより、共役点の湾曲量に許容量を与え、かつ製造誤差も考慮したうえで、走査線のピッチむらが副走査方向の走査線間隔の1/10以下となり良好な画質を得ることができる。
【0031】
図11は、光偏向器の反射面と被走査面との間の光路を示している。図11(A)は主走査平面を示し、図11(B)は主走査平面と直交する副走査平面を示している。また、説明の便宜上、光路を展開すると共に、光ビームの光偏向器PMの反射面への副走査方向の入射角度を0として作図している。なお、光偏向器PMの反射面に反射された光ビームは、2枚構成のfθレンズFL1、FL2を透過し、シリンドリカルミラーSMで反射した後、被走査面(線分AC)へと至るようになっている。
【0032】
被走査面上へ発生する走査線のピッチむらの原因は、光偏向器PMの面倒れである。面倒れは光偏向器PMの機械加工精度や、光偏向器PMを駆動モータ(図示せず)に取り付けるときの傾きにより発生し、一定角度で光偏向器の反射面に入射した光ビームに対する副走査方向の反射方向を面毎に異ならせるという現象を引き起し、被走査面上での書き込み位置を面毎にばらつかせる。この問題を解決するために用いられる面倒れ補正光学系は、図11(B)に示すように、光偏向器の反射面Oと被走査面Bを共役関係(物点と像点の関係)とすることにより、理想の光路(線分OB)から外れた光ビームOHを被走査面上ではほぼ理想の走査位置に導き、ピッチむらを抑制する。この働きにより光偏向器に面倒れの許容誤差を与えたうえでピッチむらのない良好な画質が得られるので、高価な部品を用いることなく光走査装置を構成できる。
【0033】
しかし、光偏向器PMと被走査面と共役な関係とならしめたとしても、現実的なピッチむら補正能力には、共役点がどの程度正確に被走査面位置と一致しているか、すなわち共役点と被走査面の隔差が大きく影響する。
【0034】
図12は、面倒れがある場合の光ビームの光路を模式的に示した副走査断面の図である。
【0035】
面倒れδにより理想の光路OBからずれた光路をたどる光ビームは、共役点Eでは光路によらず副走査方向の同一位置に到達する。しかし、被走査面Fがこの共役点Eと一致していないと被走査面F上での光ビームの到達位置は一定とならない。
【0036】
共役点Eが被走査面Fから離れ隔差Dを引き起こす主な原因は、共役点の湾曲と共役点位置の製造のばらつきであり、さらに隔差Dとあいまって被走査面F上での光ビームの到達位置の誤差を拡大するのが共役倍率Mである。
【0037】
まず、共役点の湾曲について説明する。
【0038】
図11(A)に示すようにfθレンズFL1、FL2には、被走査面上の画像幅ACを走査するために±θの偏向角をカバーし、シリンドリカルミラーSMとの組み合わせで、被走査面上の任意の偏向角に比例した位置に光ビームをスポット結像させる特性、光偏向器の反射面Oと被走査面F(図12参照)とを共役な関係とする特性などが要求される。
【0039】
しかし、図11(A)に示すような2枚構成のfθレンズFL1、FL2とシリンドリカルミラーSMの組み合わせでこれら全ての特性を完全に補正することは非常に難しい。
【0040】
このため、走査中心に至る光路OB、走査端に至る光路OA及びOCにおける共役点は、それぞれの被走査面からわずかにずれ、画像エリア全域での共役点は、Ea、Eb、Ecで示すような湾曲した軌跡となるのが普通である。
【0041】
この共役点湾曲は、シリンドリカルミラーSMの配置、及びシリンドリカルミラーSMの折り返し角度を適宜選択することにより、低減可能なことは前述の通りであるが、走査光学系のレイアウトに制約がある場合は、残存する共役点の湾曲を考慮して走査光学系全体の構成でピッチむらを抑制しなければならない。
【0042】
次に、共役点位置の製造のばらつきについて説明する。共役点は、光偏向器PMと被走査面の間に配設された光学系による光偏向器の反射面の像であるから、この光学系の倍率が変化すると像のできる位置、すなわち共役点位置も変化する。
【0043】
例えば、シリンドリカルミラーSMの曲率半径に加工誤差があるとこの現象が生じる。しかし、光学部品の加工誤差を完全になくすことは不可能であるから、ピッチむらを抑制するには共役点位置の製造ばらつきを考慮する必要がある。
【0044】
このように、被走査面Fと共役点Eとの隔差D(図12参照)は、走査光学系の設計において残存する共役点湾曲に通常の部品加工誤差により発生する共役点位置の製造ばらつきが加わった大きさとなる。
【0045】
次に、図12を用いて、共役倍率Mと被走査面上の光ビームの到達位置の関係について説明する。光偏向器の反射面にδの面倒れがある場合、偏向光束のぶれは、反射の法則により2倍(2δ)となる。これを横倍率Mの光学系で伝達すると、角倍率は横倍率Mの逆数となるから、被走査面近傍に到達する光ビームのぶれは、2δ/Mとなる。そして、被走査面Fと共役点Eとの隔差Dがあるときの被走査面上での光ビームの到達位置の誤差をP、とすると、以下の(5)式で表される。
【0046】
P=D×tan(2δ/M)・・ ・(5)
ここで、設計上残存する共役点の湾曲量をCとし、図11(A)で示すように湾曲量を画像エリア範囲で被走査面の前後に割り振りする。また、共役点位置の製造ばらつきを±Zとすると、前記(5)式は(6)式となる。
【0047】
P=(C/2+Z)×tan(2δ/M)・・・(6)
一般にピッチむらは走査線間隔の1/10以下であれば画質上問題とならないから、副走査方向の解像度をR(scan/inch)とすれば、結局(1)式を満足するように走査光学系を構成すれば、ピッチむらによる画質の劣化のない良好な画像を得ることができる。
【0048】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1の光走査装置において、共役点位置の製造誤差Zと光偏向器の最大面倒れ量δが定量化しており、(2)式を満足するようにしたことを特徴としている。
【0049】
(C/2+1)×tan(0.00116/M)<2.54/R・・・(2)
ただし、
C:共役点の湾曲量(mm)、
M:共役倍率、
R:副走査方向の解像度(scan/inch)、
である。
【0050】
請求項2に記載の発明によれば、前記請求項1の発明において、共役点位置の製造誤差Zと光偏向器の最大面倒れ量δを定量的に示している。
【0051】
通常の部品加工誤差として、光偏向器の面倒れ量は120秒、シリンドリカルミラーの曲率半径は、例えばノミナルの曲率半径190mmの場合、±1.5mm程度の誤差は発生するので、この誤差を考慮すると(1)式は(2)式、として表すことができる。
【0052】
そして、副走査方向の倍率をM、副走査方向の解像度をRとしたときの共役点の湾曲量Cが(2)式を満足するように走査光学系を設定する。(2)式を満足することにより、走査線のピッチむらが走査線間隔の1/10以下となり、共役点の湾曲に許容量を与えたうえで良好な画質を得ることができる。
【0053】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は前記請求項2記載の発明において、前記(1)式又は前記(2)式において、共役倍率Mが(3)式を満足することを特徴としている。
【0054】
M>0.3・・・(3)
請求項3に記載の発明によれば、共役倍率Mを0.3以上とすることにより、シリンドリカルミラーの折り返し角度を大きくしたときの共役点の湾曲を小さく抑えることができるので、併せて(1)又は(2)式を満足することにより、良好な画質を維持しつつ、レイアウトの自由度を拡大することができる。
【0055】
請求項4に記載の発明は、光源と、光源から射出した光ビームを主走査対応方向に長い線像として結像させる第1の結像光学系と、前記線像の結像位置又はこの結像位置を含む周辺領域に反射面を有する光偏向器と、主走査方向にのみ収束力を有し前記光偏向器により偏向走査された光ビームを主走査方向に結像させる第2の結像光学系と、副走査方向にのみ収束力を有するシリンドリカルミラーとを備え、前記第2の結像光学系の主走査方向に結像させるレンズは、前記光偏向器の反射面と被走査面とが幾何光学的に略共役な関係をなすと共に、前記シリンドリカルミラーでの折り返し角度が50°以上である光走査装置であって、前記光偏向器への入射光ビームは、偏向範囲の中央方向から前記光偏向器の回転軸に直交する平面に対して副走査方向に角度をなして入射すると共に、前記第2の結像光学系を構成するレンズは、主走査対応方向の軸回りに前記入射光ビームとなす角度が大きくなる方向に傾けて配置されており、前記光偏向器の反射面と被走査面との間の副走査方向の倍率である共役倍率をM、前記シリンドリカルミラーの配置や折り返し角度を適宜選択することで被走査面上の走査位置による共役点位置が変化する共役点の湾曲の量をC、光偏向器の最大面倒れ量をδ、共役点の製造ばらつきをZ、副走査方向の解像度をRとしたとき、(4)式を満足するように、走査光学系を設定すると共に、被走査面に対する共役点位置を調整可能な共役点位置調整手段を備えたことを特徴としている。
(C/2)× tan (2δ/M)<2.54/R・・・(4)
ただし、
C:共役点の湾曲量(mm)、
δ:光偏向器の最大面倒れ量(°)、
M:共役倍率、
R:副走査方向の解像度( scan/inch )
である。
【0056】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1及び請求項2と同様の構成の光走査装置に加えて、共役点位置調整手段を備えている。
【0057】
図12に示される如く、部品加工誤差により発生する共役点位置の製造誤差Zを調整により補正することによって、被走査面Fと共役点Eとの隔差Dを走査光学系の設計において残存する共役点湾曲のみとする。これにより、走査光学系の設計における共役点の湾曲量に対する許容量を大きくし、レイアウトへの対応自由度を増すことができる。また、被走査面上での光ビームの到達位置誤差を小さくして、特別な部品を用いずに、副走査方向の走査線間隔の小さく高解像度の光走査装置への対応が可能となる。
【0058】
請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明において、前記(4)式において、共役倍率Mが前記(3)式を満足することを特徴としている。
【0059】
請求項5に記載の発明によれば、共役倍率Mを0.3以上とすることにより、シリンドリカルミラーの折り返し角度を大きくしたときの共役点の湾曲を小さく抑えることができるので、併せて(4)式を満足することにより、良好な画質を維持しつつ、レイアウトの自由度を拡大することができる。
【0060】
請求項6に記載の発明は、前記請求項4又は前記請求項5記載の発明において、前記共役位置調整手段が、第2の結像光学系とシリンドリカルミラーとの間に設けられた副走査方向光路調整手段であることを特徴としている。
【0061】
請求項6に記載の発明によれば、図11(B)に示す共役関係において、シリンドリカルミラーSM上の走査位置を副走査方向に調整することで共役点の位置を被走査面に対して移動させることにより、被走査面上での光ビームの到達位置誤差を小さくすることができる。
【0062】
請求項7に記載の発明は、前記請求項4又は前記請求項5記載の発明において、前記共役点調整手段が、前記光走査装置と被走査面との距離調整手段であることを特徴としている。
【0063】
請求項7に記載の発明によれば、光走査装置と被走査面との距離を調整して共役点の位置を被走査面に対して移動させることにより、被走査面上での光ビームの到達位置誤差を小さくすることができる。
【0064】
請求項8に記載の発明は、前記請求項4又は前記請求項5記載の発明において、前記共役点位置調整手段が光偏向器と被走査面の間に設けられた平行平面板の板厚変更手段であることを特徴としている。
【0065】
請求項8に記載の発明によれば、平行平面板の厚さを変更して共役点の位置を被走査面に対して移動させることにより、被走査面上での光ビームの到達位置誤差を小さくすることができる。
【0066】
請求項9に記載の発明は、前記請求項4乃至請求項8の何れか1項記載の発明において、前記主走査方向の走査倍率調整手段を、さらに備えたことを特徴としている。
【0067】
請求項9に記載の発明によれば、共役点位置を調整したことにより発生する主走査方向の走査倍率の変化を主走査倍率調整手段により補正することにより、倍率変化による影響をなくすことができる。
【0068】
【発明の実施の形態】
図3には本発明の光走査装置302が適用された、画像形成装置301が示されている。
【0069】
画像形成装置301には、前記光走査装置302、感光ドラム305が上下関係の位置(光走査装置302が上)で配置されている。感光ドラム305の下方周面には、中間転写体ベルト303が接触されている。
【0070】
光走査装置301から照射された光ビームは感光ドラム305の上の露光ポイント307を照射するようになっている。感光ドラム305は、図3の時計方向(矢印A方向)回りに回転するようになっており、露光により形成された静電潜像は、図示しない現像装置による現像され、前記中間転写体ベルト303との接触点である一次転写ポイント308で、この中間転写体ベルト303に転写される。
【0071】
なお、カラー画像を形成する場合には、中間転写体ベルト303の同一の位置にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像を重ねて転写すればよい。
【0072】
一次転写された中間転写体ベルト303は、図3の矢印B方向に搬送され、2次転写ポイント309まで至ると、用紙トレイ304からこの2次転写ポイント309に搬送されてきた用紙311に画像が転写される。画像が転写された用紙311は、図3の鎖線の如く搬送され、装置外へ排出される。
【0073】
次に、光走査装置302の詳細について説明する。
【0074】
図1には、本実施の形態に係る光走査装置302が示されている。この光走査装置302は、光源101から照射される光ビームを第1の結像光学系OP1、回転多面鏡109、fθレンズ108及び第3の折り返しミラー110を介して、シリンドリカルミラー111に案内し、このシリンドリカルミラー111によって感光ドラム305の周面に結像する構成となっている。
【0075】
光源101は、図示しない画像信号形成手段から送信された画像信号によって変調され、光ビームを出力する。第1の結像光学系OP1は、光源101側から見て、コリメータレンズ102、スリット103、エキスパンダーレンズ104、第1の折り返しミラー105、シリンドリカルレンズ106及び第2の折り返しミラー107の順に配置構成されている。
【0076】
前記第2の折り返しミラー107で折り返された光ビームは回転多面鏡109の回転軸と直交する平面に対して角度をなして、走査範囲の中央方向からfθレンズ108を透過して回転多面鏡109の反射面に入射される。
【0077】
コリメートレンズ102により平行な光ビームトナリスリット102により整形された光ビームは、前記エキスパンダーレンズ104によって発散状態とされ、fθレンズ18を透過することにより、主走査方向で再び平行な光ビームとされる。この平行な光ビームの幅は、回転多面鏡109の反射面の面幅よりも広くなっており、この結果、回転多面鏡109の回転角によらず画像エリア走査中は常に反射面の全幅を照射している。
【0078】
また、シリドリカルレンズ106により副走査方向にのみ収束させられた光ビームは、回転多面鏡109の反射面近傍で線像として結像するようになっている。
【0079】
fθレンズ108は、負及び正の2枚の単レンズ108a、108bからなり、主走査方向にのみ屈折力を持っている。負の単レンズ108aは、光偏向器側が凹のシリドリカル面、反対側が平面でとなっている。また、正の単レンズ108bは、光偏向器側が平面、反対側が凸のシリンドリカル面となっている。
【0080】
回転多面鏡109で偏向走査された光ビームは、再びfθレンズ108を透過し、主走査方向には被走査面上に結像する光ビームとされる。fθレンズ108を透過した光ビームは、第3の折り返しミラー110により光偏向器側に折り返されて、fθレンズ108と回転多面鏡109の上を通ってシリンドリカルミラー111に入射する。シリンドリカルミラー111は副走査方向にのみ収束力を持ち、回転多面鏡109の反射面位置近傍から副走査方向に発散してきた光ビームを被走査面上に結像させる。なお、シリンドリカルミラー111の下流側には、防塵ガラス112が配設されている。
【0081】
図2は、本実施の形態に係る光走査装置302の走査中心に至る光ビームを含む副走査断面を示しており、以下、この方向から見た光ビームの照射方向について説明する。
【0082】
図2に示される如く、光ビームは、前記第2の折り返しミラー107(図1参照)で折り返され後、1.2°下向きの光ビームとして、この光ビームとなす角度が大きくなる方向に2°傾き、副走査方向には屈折力を持たない2枚組のfθレンズ108を透過して回転多面鏡109に入射する。
【0083】
回転多面鏡109は内接円直径が25mmで12面の反射面を有している。
【0084】
回転多面鏡109で反射された光ビームは、回転多面鏡109への入射時とは逆向きの順番でfθレンズ108を透過して進み、第3の折り返しミラー110により折り返されてシリンドリカルミラー111へ入射するようになっている。
【0085】
光ビームのシリンドリカルミラー111への入射角は、32.8°である。
【0086】
このシリンドリカルミラー111で反射された光ビームは、下向きに折り返されて防塵ガラス112を透過し感光ドラム305へ至る。
【0087】
シリンドリカルミラー111から感光ドラム305までの距離は、共役倍率Mを大きくして面倒れの感度を下げるためには長くとることが望ましいが、この距離を大きくすると、光走査装置から感光ドラムまでの距離が長くなって、装置全体が大きくなるため、この点からは、前記距離は短いことが望ましい。
【0088】
このような構成の画像形成装置301では、図3に示される如く、1次転写ポイント308が感光ドラム305の下側にくるため、現像機の配置と大きさや露光から現像までの時間との兼ね合いで露光ポイント307は感光ドラム305上部となる。このため、シリンドリカルミラー111から露光ポイント307までの距離G(図3参照)が直接画像形成装置の高さに影響することになる。
【0089】
また、露光ポイント307が決定すると、シリンドリカルミラーでの折り返し角度にも制約が加わり自由に設定できない。さらに、画像形成装置内部のスペースを有効活用するために、光走査装置302を画像形成装置301の幅方向で端に寄せて配置する場合も折リ返し角度は大きくなる。
【0090】
このような制約を受けた光走査装置の具体的に数値を以下に示す。
【0091】
シリンドリカルミラー〜感光ドラム 108mm
共役倍率 0.33
シリンドリカルミラーの折リ返し角度 65.6°
fθレンズの傾け角度 2°
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0092】
図4は、共役倍率0.33で、fθレンズ108の傾け角とシリンドリカルミラー111の折り返し角を変えたときの共役点の湾曲量が変化する様子をプロットしたグラフである。
【0093】
選択可能なfθレンズ108の傾け角度は、正面入射時にレンズ表面で反射した光ビームを感光ドラム305に至らせない条件や、走査範囲でのビーム径の均一性を考慮すると、横軸に示した1〜4°の範囲となる。
【0094】
共役倍率が0.33の場合、共役点を湾曲を完全に補正するには、シリンドリカルミラー111での折り返し角度を50°以下にしなければならないが、図3に示したような画像形成装置301のレイアウトとなる場合、シリンドリカルミラー111の折り返し角度が50°を越えるため、
(C/2+Z)×tan(2δ/M)<2.54/R…(1)
を満足するように設定し、設計上の共役点の湾曲を許容範囲内で残存させる略補正状態とする。この条件を満足することにより、被走査面上でのピッチむらが走査線間隔の1/10以下となリ良好な画像を得ることができる。
【0095】
なお、ここで、通常の部品加工で得られる精度を
δ : 光偏向器の面倒れ量 120[”]
Z : 共役点位置の製造誤差 ±1[mm]
とすると、解像度Rが600spiの場合、走査線間隔の1/10(右辺)は、2.54/600=0.00423[mm]となる。これに対し、上記条件での被走査面上での光ビームの到達位置の誤差(左辺)は、0.00353(C/2+1)となるから、
C<0.40・・・(7)
が良好な画像を得るための必要条件である。シリンドリカルミラー111の折り返し角65.6°とfθレンズ108の傾け角2°では、共役点の湾曲は0.34mmとなり、この条件を溝足する。
【0096】
次に、望ましい共役倍率の施囲について説明する。図5は、面倒れ120秒、共役点位置の製造誤差±1mmを前提としたときの、共役倍率と許容共役点湾曲量の関係を示したグラフである。(1)式を満足することにより、シリンドリカルミラー111での折り返し角が50°以上でも良好な画質を得られることは既に説明したが、共役点の許容湾曲量は共役倍率が小さくなるにしたがって小さくなリ、共役倍率0.3以下では良好な画質を得られる条件がなくなるため、共役倍率Mを、
M>0.3・・・(3)
とすることが望ましい。
【0097】
次に、高解像度化への対応について説明する。図5に示したように(1)式を満足する設定を選んだとしても、量大面倒れ量120”、共役点位置の製造誤差±1mmを前提とすると、対応できる解像度には限界がある。例えば1200spiで被走査面上での光ビームの到達位置の誤差を走査線間隔の1/10にすることは困難である。
【0098】
図6は、部品加工精度を厳しくした、面倒れ90秒、共役点位置の製造誤差±0.5mmの場合の共役倍率と許容共役点湾曲量の関係を示したグラフである。部品精度を厳しくすれば共役点湾曲の許容誤差を確保できるが、部品コストが上がってしまう。
【0099】
この問題を解決するために、共役点位置の製造誤差分を補正する共役点位置調整手段を設ける。第一の共役点位置調整手段は、第2の結像光学系OP2とシリンドリカルミラー111の間に設けた副走査方向の光路調整手段である。例えば、図13に示すような第3の折り返しミラー110に煽り調整機構150を設けることにより達成可能である。煽り調整機構150には、調整ねじ150Aが設けられ、この調整ねじ150Aを回転させることによって第3の折り返しミラー110の取付角度を調整することができる。
【0100】
図1の構成では、シリンドリカルミラー111上の副走査方向アライメントを1mm調整すると、共役点が光軸方向に0.6mm移動するので、煽り調整を行なうことにより共役点位置を調整して被走査面上での光ビームの到達位置の誤差を軽減できる。煽り調整を行うとシリンドリカルミラー111上での光ビーム位置は変化するが、この調整移動分を含んだ幅をもつシリンドリカルミラー110を配設すればよい。また、シリンドリカルミラー111上で光ビームのアライメントを動かしても、被走査面上では共役関係が働いて副走査方向のレジ変動は縮少されるため、レジずれという副作用は発生しない。
【0101】
第二の共役点位置調整手段は、光走査装置と被走査面との距離調整手段である。図7はスペーサ702を用いた距離調整手段の実施例である。光走査装置302と光走査装置の取付け基準面701との間にスペーサ702を設ける。このスペーサ702は、厚さ寸法が異なる複数のものが予め用意されている。
【0102】
まず、基準のスペーサ702を取付けて共役点位置を測定して、被走査面からの共役点ずれ方向およびずれ量を把握する。つづいてずれを補正するスペーサ702に交換して光走査装置を固定する。
【0103】
第三の共役点位置調整手段は、複数異なる板厚の防塵ガラス112を用意し、共役点のずれ量に応じ適宜厚さを選択する方法である。図8に基づいて、第三の共役点位置調整手段の原理を説明する。図8は、行平面板800を挿入したことによる結像位置変化を説明する図である。平行平面板800の厚さをd、屈折率をnとすると、平行平面板800の挿入による結像位置の変化量△は、(1−1/n)dで表されるから、屈折率を1.51とすれば、
△=0.34d・・・(8)
となる。従って、1mmと2mmの板厚の防塵ガラス112を適用し、前記平行平面板800としての機能を持たせるようにすれば、共役点位置を0.34mm調整できる。
【0104】
このように、共役点位置調整手段を設けることにより、共役点位置を調整可能となり、部品の加工精度を厳しくせずに良好な画像を得られるが、調整により主走査方向の倍率が変化するという問題が発生する。そこで、主走査方向の倍率調整手段を設けて対応する。例えば、画像信号の駆動周波数を変化させて、主走査方向の倍率を調整する。駆動周波数の変更方法については、従来知られている方法を適宜使用すれば良い。
(変形例)
次に、本発明の実施の形態の変形例として、マルチスポット光源を用いた場合の構成について説明する。光走査装置の構成は図1の示したものと同様である。光源は副走査方向に14μm間隔で同一チップ上に2つの発光点をもち、副走査方向に9倍の倍率をもつ第一の結像光学系によリ回転多面鏡109の反射近傍に離間した2つの線像として結像する。回転多面鏡109から被走査面305までを構成する走査光学系の副走査方向の倍率(共役倍率)を0.33とすると、光源から被走査面までの間の副走査方向の倍畢は約3倍となり、14μm間隔の発光点は被走査面上で42μmのスポット間隔となって600spiに対応する走査線間隔が得られる。
【0105】
このようにマルチビーム光源を用いることにより被走査面上を同時走査することが可能となるが、図1のような光走査装置により12面の回転多面鏡で2ビーム走査を行なっても、60枚/分以上の画像出力スピードで1200spiの解像度を得ようとすると、光偏向品の回転数が35,000rpm以上になってしまい、信頼性を確保することが難しくなる。
【0106】
この問題を解決するため、パルス幅変調と強度変調を組合わせた画像書き込みのドット制御を行ない、解像度を維持したまま高画質化する方法が検討されている。しかし、強度変調を行なうと光源に要求される発光量レンジが拡大され、光源は従来よりも広い範囲に渡って安定して発光する必要がある。また、光源発光量を変動させる別の要因として光走査装置の光利用効率がある。すなわち、レーザダイオード光源の広がり角や、光学系の透過率、反射率がばらつくと、光源から射出した光ビームが感光ドラムに到達する割合が光走査装置毎にばらつき、このばらつき分も光源の発光量で調整して被走査面上で規定の照射エネルギーを得ようとすると、従来の光源では光量可変範囲が不足することになる。
【0107】
そこで、第一の結像光学系の光路中に設けた折り返しミラーを異なる光量減衰率をもつ複数の光量減衰部材から選択的に搭載することにより、光走査装置の光利用効率のばらつきを低減して光源の光量可変範囲に対する負荷を軽減して光量可変範囲の狭い安価な光源を利用可能とする。または、画像形成に使用する光量可変範囲を拡大して高画質化を促進する。
【0108】
選択使用する光量減衰部材は奇数枚用意し、設計中央の値をもつ光量減衰部材を搭載して初期調整を行ない、光源の発光量が規定範囲に入らない場合は、光量減衰部材を交換することにより、交換頻度を抑制する。また、調整に際しては、規定の感光ドラム照射エネルギよりも低い光量で初期調整を行ない、光源の発光量と感光ドラム上の照射エネルギをモニターして光利用効率を算出したうえで最適な光量減衰部材を選択搭載したのち、規定の感光ドラム照射エネルギで光量調整を行なう。この手順を取ることにより、調整途上で保証出力の上限を越えて光源を点灯させる問題を回避できる。
【0109】
光量減衰部材を選択搭載する折り返しミラーは、光路調整機能を有しない折り返しミラーとする。折り返しミラーは反射面側を基準面にあてつけて組立てられているので、調整機能を有しない折り返しミラー、すなわち基準面が固定されている折り返しミラーを交換すれば、折り返しミラー交換のよる光路変動を最小に抑えることができ、光路再調整を発生させない。
【0110】
また、光走査装置の画像書き込み開始を制御する信号を検知する同期検知センサー上では、複数のビームを全て点灯する。同期検知センサは感光ドラムよりも検知に必要な光量が大きいが、複数点灯することで検知に必要な光量を得られるので、同期検知センサへ至る光路面と画像エリアへ至る光路を区別することなくミラー寸法を小さくできる単一の結像光学系の光路上に光量減衰ミラーを配置できる。
【0111】
【発明の効果】
以上説明した如く請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、所定の関係式を溝足する設定とすることにより、シリンドリカルミラーの折り返し角度を50°以上とした場合でも、被走査面上での副走査方向の走査位置誤差を、走査線間隔の1/10以下にすることができ、良好な画質を得られるレイアウトの自由度を拡大できる。
【0112】
請求項3の発明によれば、共役点湾曲の許容誤差範囲を大きくできるので、レイアウトの自由度を拡大できる。
【0113】
請求項4乃至請求項7の発明によれば、共役点位置の製造誤差を補正する共役点位置調整手段をもつので、共役点湾曲の許容誤差範囲を広げてレイアウト自由度を拡大したり、許容誤差範囲が狭い高解像度な光走査装置でも部品加工精度を厳しくすることなく良好な画質を得られる。
【0114】
請求項8の発明によれば、主走査倍率の変化を補正する倍率調整手段をもつので、共役点位置の調整に伴って発生する主走査方向の倍率変化を補正できる。
【0115】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る光走査装置を示す図である。
【図2】 本発明に係る光走査装置図の走査中心に至る光ビームを含む副走査断面を示した図である。
【図3】 画像形成装置内部のレイアウトを示す図である。
【図4】 共役点の湾曲量変化をプロットしたグラフである。
【図5】 共役倍率と許容共役点湾曲量の関係を示したグラフである。
【図6】 共役倍率と許容共役点湾曲量の関係を示したグラフである。
【図7】 スペーサーを用いた距離調整手段の実施例である。
【図8】 平行平面板挿入による結像位置変化を説明する図である。
【図9】 先行技術2を説明するための結像光学系の概略図である。
【図10】 共役倍率を変えて、共役点の湾曲が完全に補正されるときのシリンドリカルミラーでの折り返し角を求めてプロットしたグラフである。
【図11】 光偏向器の反射面と被走査面との間の光路を示した図である。
【図12】 面倒れがある場合の光ビームの光路を模式的に示した副走査断面の図である。
【図13】 折り返しミラーの煽り調整機構を示す図である。
【符号の説明】
301 画像形成装置
302 光走査装置
305 感光ドラム
101 光源
OP1 第1の結像光学系
OP2 第2の結像光学系
109 回転多面鏡
110 第3の折り返しミラー
111 シリンドリカルミラー
Claims (9)
- 光源と、光源から射出した光ビームを主走査対応方向に長い線像として結像させる第1の結像光学系と、
前記線像の結像位置又はこの結像位置を含む周辺領域に反射面を有する光偏向器と、
主走査方向にのみ収束力を有し前記光偏向器により偏向走査された光ビームを主走査方向に結像させる第2の結像光学系と、
副走査方向にのみ収束力を有するシリンドリカルミラーとを備え、
前記第2の結像光学系の主走査方向に結像させるレンズは、前記光偏向器の反射面と被走査面とが幾何光学的に略共役な関係をなすと共に、前記シリンドリカルミラーでの折り返し角度が50°以上である光走査装置であって、
前記光偏向器への入射光ビームを、偏向範囲の中央方向から前記光偏向器の回転軸に直交する平面に対して副走査方向に角度をなして入射させ、前記第2の結像光学系を構成するレンズを、主走査対応方向の軸回りに前記入射光ビームとなす角度が大きくなる方向に傾けて配置し、
前記光偏向器の反射面と被走査面との間の副走査方向の倍率である共役倍率をM、前記シリンドリカルミラーの配置や折り返し角度を適宜選択することで被走査面上の走査位置による共役点位置が変化する共役点の湾曲の量をC、光偏向器の最大面倒れ量をδ、共役点の製造ばらつきをZ、副走査方向の解像度をRとしたとき、(1)式を満足するように、走査光学系を設定することを特徴とする光走査装置。
(C/2+Z)×tan(2δ/M)<2.54/R・・・(1)
ただし、
C:共役点の湾曲量(mm)、
Z:共役点位置の製造誤差(mm)、
δ:光偏向器の最大面倒れ量(°)、
M:共役倍率、
R:副走査方向の解像度(scan/inch)、
である。 - 前記請求項1の光走査装置において、共役点位置の製造誤差Zと光偏向器の最大面倒れ量δが定量化し、(2)式を満足することを特徴とする光走査装置。
(C/2+1)×tan(0.00116/M)<2.54/R・・・(2)
ただし、
C:共役点の湾曲量(mm)、
M:共役倍率、
R:副走査方向の解像度(scan/inch)、
である。 - 前記(1)式又は前記(2)式において、共役倍率Mが(3)式を満足することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光走査装置。
M>0.3・・・(3) - 光源と、光源から射出した光ビームを主走査対応方向に長い線像として結像させる第1の結像光学系と、
前記線像の結像位置又はこの結像位置を含む周辺領域に反射面を有する光偏向器と、
主走査方向にのみ収束力を有し前記光偏向器により偏向走査された光ビームを主走査方向に結像させる第2の結像光学系と、
副走査方向にのみ収束力を有するシリンドリカルミラーとを備え、
前記第2の結像光学系の主走査方向に結像させるレンズは、前記光偏向器の反射面と被走査面とが幾何光学的に略共役な関係をなすと共に、前記シリンドリカルミラーでの折り返し角度が50°以上である光走査装置であって、
前記光偏向器への入射光ビームが、偏向範囲の中央方向から前記光偏向器の回転軸に直交する平面に対して副走査方向に角度をなして入射すると共に、前記第2の結像光学系を構成するレンズは、主走査対応方向の軸回りに前記入射光ビームとなす角度が大きくなる 方向に傾けて配置されており、前記光偏向器の反射面と被走査面との間の副走査方向の倍率である共役倍率をM、前記シリンドリカルミラーの配置や折り返し角度を適宜選択することで被走査面上の走査位置による共役点位置が変化する共役点の湾曲の量をC、光偏向器の最大面倒れ量をδ、共役点の製造ばらつきをZ、副走査方向の解像度をRとしたとき、(4)式を満足するように、走査光学系を設定すると共に、被走査面に対する共役点位置を調整可能な共役点位置調整手段を備えたことを特徴とする光走査装置。
(C/2)×tan(2δ/M)<2.54/R・・・(4)
ただし、
C:共役点の湾曲量(mm)、
δ:光偏向器の最大面倒れ量(°)、
M:共役倍率、
R:副走査方向の解像度(scan/inch)、
である。 - 前記(4)式において、共役倍率Mが前記(3)式を満足することを特徴とする請求項4記載の光走査装置。
- 前記共役位置調整手段が、第2の結像光学系とシリンドリカルミラーとの間に設けられた副走査方向光路調整手段であることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の光走査装置。
- 前記共役点調整手段が、前記光走査装置と被走査面との距離調整手段であることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の光走査装置。
- 前記共役点位置調整手段が光偏向器と被走査面の間に設けられた平行平面板の板厚変更手段であることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の光走査装置。
- 前記主走査方向の走査倍率調整手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項4乃至請求項8の何れか1項記載の光走査装置。
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