JP3915254B2 - 画像形成装置用電源装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置に電力を供給する画像形成装置用電源装置に関し、詳しくは、被記録媒体に付着した記録材を加熱定着する定着手段に電力を供給する画像形成装置用電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、被記録媒体に記録材を付着して画像を形成する画像形成手段と、通電に応じて発熱し、上記被記録媒体に付着した記録材を加熱することによって上記画像を定着する定着手段と、を備えた画像形成装置が知られている。この種の画像形成装置では、画像形成手段は、印刷データ等に応じて被記録媒体に記録材を付着して、画像を形成する。続いて、定着手段は、通電に応じて発熱し、被記録媒体に付着した記録材を加熱することによって上記画像を定着する。このため、この種の画像形成装置では、形成した画像を良好に安定化することができる。また、少なくとも上記定着手段に電力を供給可能な画像形成装置用電源装置では、マイクロコンピュータ等の指令に応じてスイッチング素子等のON/OFFを切り換えることにより、定着手段を一定温度に保持することが考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の画像形成装置では、スイッチング素子の破損等によって定着手段への通電が異常に継続される可能性があった。そこで、定着手段近傍に温度ヒューズを設け、定着手段が異常に高温となったとき、定着手段への通電経路を遮断することが考えられている。
【0004】
しかしながら、温度ヒューズはマイクロコンピュータ等の制御手段自体が機能しなくなった際の最終的な安全装置として使用されるため、温度ヒューズが溶断する頃には定着手段はかなりの高温に達する。このため、前述のようにスイッチング素子の破損等が発生すると、定着手段のケーシングを構成する樹脂が溶けたり、被記録媒体としての記録紙の定着中であれば記録紙が焦げたりする可能性があった。
【0005】
そこで、定着手段への通電経路にリレーを設け、定着手段の温度が異常に高温となったとき、マイクロコンピュータ等の指令によってそのリレーを作動させて上記通電経路を強制的に遮断することも考えられる。ところが、この場合、リレーを用いた新たな回路を設ける必要があり、装置の製造コストが上昇する。
【0006】
そこで、本発明は、リレー等を用いた新たな回路を設けることなく、定着手段が異常に高温となったときにはその定着手段への通電を確実に停止することのできる画像形成装置用電源装置を提供することを目的としてなされた。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達するためになされた請求項1又は3記載の発明は、被記録媒体に記録材を付着して画像を形成する画像形成手段と、通電に応じて発熱し、上記被記録媒体に付着した記録材を加熱することによって上記画像を定着する定着手段と、上記定着手段の温度を検出する温度検出手段と、交流電源から供給され、整流された電圧をスイッチングするスイッチング回路、該スイッチング回路によって電流が1次側に通電されるトランス、及び該トランスの2次側に発生して整流された出力電圧に応じた周期で上記スイッチング回路をスイッチングする発振制御回路を有する直流電源回路と、上記交流電源に対して上記直流電源回路と並列に接続され、上記定着手段に電力を供給する定着手段駆動回路と、上記交流電源から上記直流電源回路に至る給電経路と上記交流電源から上記定着手段駆動回路に至る給電経路との共通部分に配設され、所定値以上の電流が流れたとき上記給電経路を遮断する遮断手段と、上記温度検出手段が検出した上記定着手段の温度が異常に高温であるとき、上記トランスの2次側の電流消費を増大させる電流消費増大回路と、上記電流消費増大回路によって上記トランスの2次側の電流消費を増大させるとき、上記発振制御回路が有する過電流検知機能を無効にする過電流検知無効回路と、を備え、上記過電流検知無効回路によって過電流検知機能を無効にされた上記発振制御回路は、上記スイッチング回路のオン時間を増加させることにより、上記交流電源から上記直流電源回路への通電量を増加させ、上記遮断手段に上記所定値以上の電流を通電すことを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明では、直流電源回路は、交流電源から供給された電圧を整流し、所定電圧の直流電圧を供給する。また、定着手段駆動回路は、交流電源に対して直流電源回路と並列に接続され、定着手段に電力を供給する。これらの構成は、通常の画像形成装置用電源装置にも備えられるごく一般的な構成である。
本発明では、上記交流電源から上記直流電源回路に至る給電経路と、上記交流電源から上記定着手段駆動回路に至る給電経路との共通部分に、所定値以上の電流が流れたとき上記給電経路を遮断する遮断手段を備えており、温度検出手段が検出した定着手段の温度が異常に高温であるとき、過電流通電手段は、交流電源から上記直流電源回路への通電量を増加させる。これによって、遮断手段に上記所定値以上の電流が通電され、遮断手段は上記給電経路を遮断する。すると、定着手段駆動回路への通電も停止され、定着手段の昇温は停止される。
【0009】
このため、本発明では、定着手段が異常に高温となったとき、その定着手段への通電を確実に停止することができる。また、本発明は、交流電源から直流電源回路に至る給電経路と交流電源から定着手段駆動回路に至る給電経路との共通部分に遮断手段を設けると共に、上記過電流通電手段を設けただけの簡単な構成によって実現することができる。従って、リレー等を用いた新たな回路を設ける場合に比べて、大幅に製造コストを低減することができる。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
た、本発明では、制御手段によって、第2整流回路の出力電圧に応じてスイッチング回路を制御しており、過電流通電手段は、第2整流回路の電流消費を増大させることにより、スイッチング回路のオン時間を増加させる。
すなわち、第2整流回路の電流消費が増大すると、その第2整流回路の出力電圧は低下傾向となる。すると、その出力電圧を保持するために、制御手段はスイッチング回路のオン時間を増大させる。
このため、遮断手段に通電される電流が増加し、遮断手段が上記給電経路を遮断する。このように、本発明では、トランスの2次側の電流消費を増大させ、それを補償しようとする制御手段の作用を利用して遮断手段を動作させているので、過電流通電手段の構成も簡略化することができる。
【0015】
従って、本発明では、直流電源回路から所望の電圧の直流電圧を出力することができると共に、装置の構成を一層簡略化することができるといった効果が生じる。
請求項2又は4記載の発明は、上記遮断手段が、上記所定値以上の電流が流れたときに溶断するヒューズであることを特徴としている。
【0016】
ヒューズは、所定値以上の電流が流れたときに給電経路を遮断する目的で、従来から広く使用されてきた安価な部材である。また、画像形成装置の中には上記給電経路に既にヒューズを設けているものもあり、この場合、過電流通電手段を追加するだけで本発明を実現することができる。
従って、本発明では、上記の効果に加えて、装置の構成を一層簡略化すると共に、製造コストを一層良好に低減することができるといった効果が生じる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明を適用した画像形成装置としてのレーザプリンタの主要構成部品の斜視図、図2はレーザプリンタの概略側断面図である。
【0018】
レーザプリンタにおける合成樹脂製の本体ケース1は、図1に示すように、メインフレーム1aと、このメインフレーム1aの四周(前後及び左右両側)外面を覆うメインカバー体1bとからなり、メインフレーム1aとメインカバー体1bとを一体的に射出成形等により形成したものである。
【0019】
また、メインフレーム1aには、上面から露光ユニットとしてのスキャナユニット2と画像形成手段としてのプロセスユニット3と、定着手段としての定着ユニット4と、給紙ユニット5とが装着される。そして、メインモータ84(図3参照)とギヤ列を含む駆動系ユニット6は、メインカバー体1bの図1の左側内面とそれに近接するメインフレーム1aの左側との間の収納凹所1d内に本体ケース1の下方から挿入して装着固定される。更に、メインフレーム1a及びメインカバー体1bの上面を覆うための合成樹脂製の本体カバーとしてのトップカバー7には、メインフレーム1aの右側に上向きに突出する操作パネル1cを貫通させる孔7aと、給紙ユニット5の基部を貫通させるための孔7bとが穿設されている。排紙トレイ8の基部はトップカバー7の前端の左右両側に突設したブラケット9(図1で一方のみ示す)に上下揺動可能に装着されており、不使用の場合には、排紙トレイ8をトップカバー7の上面側に折り畳んで覆うことができる。
【0020】
給紙ユニット5におけるフィダー部ケース5a内には、積層された状態で被記録媒体としての記録紙Pがセットされる。図2に示すように、記録紙Pの先端側は、フィダー部ケース5a内のばね10aで付勢された支持板10にて給紙ローラ11に向かって押圧されている。このため、駆動系ユニット6から動力伝達されて回転する給紙ローラ11と分離パッド12とによって、記録紙Pを1枚ずつ分離して上下一対のレジストローラ13,14に送ることが可能である。
【0021】
プロセスユニット3は、レジストローラ13,14にて給送されてくる上記分離された記録紙Pの表面に記録材としてのトナーにより画像を形成する。更に、定着ユニット4は、トナー画像が形成された記録紙Pを、加熱ローラ15と押圧ローラ16とにて挟持することで加熱して、記録紙P上のトナー画像を定着する。なお、加熱ローラ15は、表面がフッ素コートされたアルミ管の中にハロゲンランプからなる定着用ヒータ15aを挿入したもので、その長手方向の略中央部には外表面に温度検出手段としてのサーミスタ107が接触している。また、押圧ローラ16は、表面がフッ素樹脂で被覆されたゴムローラである。
【0022】
定着ユニット4のケース内における下流側に配置された排紙ローラ17とピンチローラ18とからなる排紙部は、トナー画像が定着された記録紙Pを排紙トレイ8に排出する。給紙ローラ11から排紙部までが、被記録媒体搬送ルートである。なお、給紙ユニット5には斜め上方向に開口する手挿口5bが設けられ、フィダー部ケース5a内の記録紙Pとは別の記録紙にて印刷する場合の記録紙を、上記被記録媒体搬送ルートへ挿入できるようにされている。
【0023】
本体ケース1における上面開放箱体状のメインフレーム1aの平面視ほぼ中央部に配置するプロセスユニット3の下方の部位には、スキャナユニット2の上支持板2aが、メインフレーム1aの底板部の上面側に一体的に形成したステー部にビス等にて固定される。そして、露光ユニットとしてのスキャナユニット2には、合成樹脂製の上支持板2aの下面側に、レーザ発光部(図示せず)、ポリゴンミラー20、レンズ21、反射鏡22等を配置している。このスキャナユニット2は、感光体としての感光ドラム23の軸線に沿って延びるように上記上支持板2aに穿設された横長スキャナ孔を覆う硝子板24を通過して感光ドラム23の外周面にレーザービームを照射して露光するように構成されている。
【0024】
図2に示すように、プロセスユニット3は、感光ドラム23とその上面に当接した転写ローラ25、感光ドラム23の下方に配置したスコロトロン型等の帯電器26、給紙方向において感光ドラム23よりも上流側に配置した現像ローラ27及び供給ローラ28を有する現像装置、更にその上流側に配置した現像剤(トナー)供給部すなわち着脱可能なトナーカートリッジ29、また感光ドラム23よりも下流側に配置したクリーニングローラ30、更にクリーニングローラ30よりも下流側に配置した除電ランプ30a等からなっている。
【0025】
感光ドラム23の外周面には、帯電器26にて帯電された感光層にスキャナユニット2からレーザービームを走査することによって静電潜像が形成される。上記トナーカートリッジ29内の現像剤(トナー)は、攪拌体31にて攪拌されて放出された後、供給ローラ28を介して現像ローラ27の外周面に担持され、ブレード32によってトナー層の厚さが規制される。感光ドラム23の静電潜像は、現像ローラ27から現像剤が付着することによって顕像化される。その現像剤による像(トナー画像)は、感光ドラム23の電位とは逆電位の転写バイアスが印加された転写ローラ25と感光ドラム23との間を通る記録紙Pに転写され、トナー画像を形成する。そして、感光ドラム23上に残ったトナーはクリーニングローラ30で一時的に回収された後、所定のタイミングで感光ドラム23に戻され、現像ローラ27によりプロセスユニット3内に回収される。
【0026】
なお、スキャナユニット2の上支持板2aには、上向きに突出するトナーセンサ33を設け、発光部と受光部との対からなるトナーセンサ33がプロセスユニット3におけるトナーカートリッジ29の下面凹所内に臨んで、トナーカートリッジ29内のトナーの有無を検出できるようになっている。
【0027】
プロセスユニット3は、合成樹脂製のケース34に組み込むことにてカートリッジ化されており、このカートリッジ化したプロセスユニット3は、メインフレーム1aに着脱可能に装着される。メインフレーム1aの前部位とメインカバー体1bの前部位との連設部下面側には、冷却ファン35を収納するための収納部36と、記録紙Pの通過方向と直交する左右方向に延びる通風ダクト37とが連通して形成される。そして、通風ダクト37の上面板部37aを断面下向きV字状に形成し、この上面板部37aをプロセスユニット3と定着ユニット4との間に位置させて、定着ユニット4における加熱ローラ15から発生する熱がプロセスユニット3側に直接伝達しないように遮断する。
【0028】
また、冷却ファン35で発生した冷却風は、通風ダクト37内を通ってメインフレーム1aの一側下面を伝い、後部の電源部39及び駆動系ユニット6のメインモータ84を冷却する一方、上面板部37aの内、プロセスユニット3側に開口した複数箇所のスリット孔から吹き出し、該冷却風は、プロセスユニット3と定着ユニット4の間を通過して上昇し、トップカバー7に複数穿設した排気孔40から装置外に排出される。
【0029】
次に、メインフレーム1aの右側内部に備えられている制御ユニット70について説明する。図3はその制御ユニット70及び制御ユニット70に関連する構成を示すブロック図である。制御ユニット70は、CPU71と、種々の制御プログラムが格納されたROM72と、パーソナルコンピュータやホストコンピュータ等の外部のデータ送信機器PCから送信された送信データを受けて格納する受信バッファ等の各種メモリが設けられたRAM73と、受信データを受信バッファに書き込み/読み出すタイミングのためのタイミング信号を発生するタイミング制御回路(TC)74と、送信された印字データを受信するインターフェース(I/F)75と、スキャンバッファを有しビットイメージデータに変換された印字情報を順次DCコントローラ回路82へ出力するビデオインターフェース(V・I/F)76と、トナーセンサ33、給紙ローラ11の下流に近接して設けられた給紙センサ51及びその他のセンサからの検出信号を受信するセンサ用インターフェース(S・I/F)77と、操作パネル1cから各種制御モードを選択でき、その切り換えた信号を受けるパネルインターフェース(P・I/F)78とを備えており、これらはバス81を介してCPU71にそれぞれ接続されている。
【0030】
DCコントローラ回路82には、給紙ローラ11、レジストローラ13,14、感光ドラム23等からなる給紙側搬送機構部と、加熱ローラ15や押圧ローラ16に加えて、排紙ローラ17やピンチローラ18からなる排出側搬送機構部とを駆動するメインモータ84のための駆動回路87と、上記レーザ発光部を構成するレーザダイオード85のための駆動回路89と、ポリゴンミラー20を駆動するスキャナモータ86のための駆動回路90と、加熱ローラ15内のハロゲンランプからなる定着用ヒータ15aのための定着手段駆動回路としての駆動回路91と、感光ドラム23、転写ローラ25、帯電器26、現像ローラ27及びクリーニングローラ30に高圧電界を発生させ、更に除電ランプ30aを点灯させる高圧基板92とが、それぞれ接続されている。
【0031】
ROM72には、通常のレーザプリンタとしての種々の制御プログラムに加えて、文字や記号等の多数のキャラクタに関する印字用ドットパターンデータを格納したフォントメモリ、RAM73に設けられた受信データバッファや印字イメージメモリ等の各メモリのメモリ容量及び先頭アドレスを管理するメモリ管理プログラム等が予め格納されている。
【0032】
次に、駆動回路91及びその周辺の構成について、図4を用いて詳細に説明する。図4に示すように、駆動回路91は、フォトトライアックカプラ93のトライアック93b及びトライアック95等の各種素子と、以下に述べる各種抵抗器及びコンデンサとを主要部として構成されている。トライアック93b両端には、それぞれ抵抗器97a,97bを介してトライアック95の両端が接続されている。また、トライアック95のゲートは抵抗器97aとトライアック93bとの間に接続され、更に、そのゲートには、抵抗器97aと並列にコンデンサ99が接続されている。このため、トライアック93bがONして抵抗器97aに電流が流れたとき、その電圧降下に応じたゲート電流が供給される。
【0033】
トライアック95の両端の間には、AC100Vの商用電源101,電源スイッチ103,所定値以上の電流が流れたときに溶断する遮断手段としてのヒューズ105,前述の定着用ヒータ15a,及び,定着用ヒータ15aが異常に高温となったときに溶断する最終的な安全装置としての温度ヒューズ15bが直列に接続されている。更に、商用電源101,電源スイッチ103,及びヒューズ105からなる直列回路の両端には、5V及び24Vの直流電圧を出力する後述の直流電源回路110が接続されている。
【0034】
加熱ローラ15の表面に接触したサーミスタ107は、一端が抵抗器109を介して接地されると共に他端が5Vの直流電源に接続され、サーミスタ107,抵抗器109間の電位が図示しないA/Dコンバータを介してCPU71に入力される。このため、CPU71は、上記電位を読み込むことによって加熱ローラ15の表面温度を検出することができる。また、CPU71は、フォトトライアックカプラ93の発光ダイオード93aにも出力可能に接続されている。
【0035】
そこで、CPU71は、サーミスタ107を介して検出した上記表面温度に基づいてフォトトライアックカプラ93のON/OFFを切り換え、次のように定着用ヒータ15aへの通電/非通電を切り換えている。すなわち、電源スイッチ103がONの場合、発光ダイオード93aが発光するとトライアック93bがONし、抵抗器97a及びコンデンサ99の並列回路に電流が流れてトライアック95がONする。このため、フォトトライアックカプラ93のON/OFFはトライアック95のON/OFFと一致し、これによって定着用ヒータ15aへの通電/非通電が切り換えられる。なお、トライアック95のOFFは、ゼロクロス動作するので、OFF時は最大、電源周波数の半周期遅れでOFFする。更に、フォトトライアックカプラ93がゼロクロス検知付きの場合、トライアック93bのONよりトライアック95のONは、最大、電源周波数の半周期遅れでONする。
【0036】
次に、直流電源回路110の構成について説明する。商用電源101から電源スイッチ103及びヒューズ105を介して入力された交流電圧は、入力フィルタ回路111,及び第1整流回路としての整流平滑回路113を介して整流される。整流平滑回路113が出力する直流電圧は、発振制御回路115によってON/OFFが切り換えられるスイッチング回路としてのメインスイッチング素子117(本例ではFETによって構成した)と、トランス121の1次側のコイル123とからなる直列回路に通電される。発振制御回路115は、トランス121内にコイル115aを有する自励式の回路で、この発振制御回路115が所定の周期でメインスイッチング素子117のON/OFFを切り換えることにより、コイル123に断続的に電流が通電される。
【0037】
この通電によってトランス121の2次側のコイル125に発生した電圧は、第2整流回路としての整流平滑回路131によって整流され、24Vの直流電圧としてメインモータ84等に供給される。また、この24Vの直流電圧は、DC−DCコンバータ133及び平滑回路135を介して5Vの直流電圧に変換され、制御ユニット70の基準電圧等として供給される。直流電源回路110は、更に制御手段としての出力電圧検出制御回路137を備えており、この出力電圧検出制御回路137には整流平滑回路131の出力電圧が入力される。そして、出力電圧検出制御回路137は、フォトトランジスタカプラ139を介して発振制御回路115に制御信号を入力し、整流平滑回路131が24Vの直流電圧を安定して出力するように、発振制御回路115によって規定されるメインスイッチング素子117のON/OFFデューティーを制御している。
【0038】
すなわち、整流平滑回路131の出力電圧が24Vから低下する傾向にあるときはメインスイッチング素子117のオン時間を増加させ、上記出力電圧が24Vから上昇する傾向にあるときは上記オン時間を減少させることにより、上記出力電圧を24Vに安定化するのである。
【0039】
更に、発振制御回路115には、過電流通電手段としてのメインスイッチング素子ON持続制御回路141が接続されている。このメインスイッチング素子ON持続制御回路141は、CPU71がフォトトランジスタカプラ143を介して制御信号を入力したとき、メインスイッチング素子117をONに連続的に保持するものである。
【0040】
このように構成された本レーザプリンタでは、通常、CPU71は、サーミスタ107を介して検出した加熱ローラ15の表面温度に基づき、前述のようにフォトトライアックカプラ93のON/OFFを切り換えて上記表面温度を所望の値に制御している。そして、サーミスタ107を介して検出した上記表面温度が、通常の制御では考えられないような異常な高温に達した場合や、フォトトライアックカプラ93をOFFに保持しているのに上記表面温度の上昇が続いている場合(いずれの場合もトライアック95の破損等が考えられる)、メインスイッチング素子ON持続制御回路141に上記制御信号を出力してメインスイッチング素子117をONに連続的に保持する。すると、ヒューズ105に上記所定値以上の電流が流れ、そのヒューズ105が溶断する。これによって、定着用ヒータ15aへの通電経路は遮断され、加熱ローラ15の異常な昇温を防止し、延いては、樹脂が溶けたり記録紙Pが焦げたりするのを防止することができる。
【0041】
このように、本レーザプリンタでは、商用電源101から直流電源回路110に至る給電経路と、商用電源101から定着用ヒータ15aの駆動回路91に至る給電経路との共通部分にヒューズ105を設け、加熱ローラ15の表面温度が異常に高温となったとき、直流電源回路110のメインスイッチング素子117をONに連続的に保持している。このため、加熱ローラ15が異常に高温となったとき、その定着用ヒータ15aへの通電を即座にかつ確実に停止することができる。また、本レーザプリンタは、従来のレーザプリンタにメインスイッチング素子ON持続制御回路141等の若干の構成を追加すると共に、その構成に関わるCPU71の処理を追加するだけで容易に実現することができる。また、遮断手段としてのヒューズ105はきわめて一般的で安価な部材である。しかも、ヒューズ105は従来のレーザプリンタが予め備えている場合も多い。従って、リレー等を用いた新たな回路を設ける場合に比べて、大幅に製造コストを低減することができる。
【0042】
しかも、上記異常に対して、1次側のメインスイッチング素子117をONに保持しているので、2次側の電圧に大きな影響が出る前にヒューズ105を溶断できる。従って、本レーザプリンタでは、上記異常の発生時にも装置内で使用される直流電圧に与える影響を最小限に止めることができ、メインモータ84等の直流アクチュエータを良好に保護することができる。
【0043】
なお、過電流通電手段としては、メインスイッチング素子ON持続制御回路141の他にも種々の形態が考えられる。図5は、トランス121の2次側の電流消費を増大させることによってヒューズ105を溶断する形態を表している。本形態は、整流平滑回路131の出力側に、過電流通電手段としての電流消費増大回路150を設けると共に、発振制御回路115にはメインスイッチング素子ON持続制御回路141の代わりに過電流検知無効回路151を設けた点で、上記実施の形態と異なる。
【0044】
先ず、過電流検知無効回路151は、CPU71の出力端子S1 からフォトトランジスタカプラ153を介して制御信号が入力されたとき、発振制御回路115に対して次のような動作を行う。すなわち、一般の発振制御回路115は、コイル123に過電流が通電されそうになったとき、それを検知してメインスイッチング素子117を強制的にOFFする過電流検知機能を備えている。この過電流検知無効回路151は、上記制御信号入力時に、この過電流検知機能を無効にする回路である。なお、発振制御回路115として、このような過電流検知機能を有さないものを使用した場合、過電流検知無効回路151及びフォトトランジスタカプラ153を省略できることはいうまでもない。
【0045】
電流消費増大回路150はCPU71の出力端子S2 に接続され、次に示すように構成されている。CPU71の出力端子S2 は、抵抗器155を介して5Vの直流電源に接続されると共に、抵抗器157を介してトランジスタ159のベースに接続されている。トランジスタ159のベース−エミッタ間には抵抗器161が接続されると共にエミッタが接地され、そのトランジスタ159のコレクタは、トランジスタ163のベースに接続されると共に抵抗器165を介して5Vの直流電源に接続されている。更に、トランジスタ163のベース−エミッタ間には抵抗器167が接続されると共にエミッタが接地され、そのトランジスタ163のコレクタは抵抗器168を介して整流平滑回路131の出力側(24V)に接続されている。
【0046】
このように構成された電流消費増大回路150では、出力端子S2 からローレベルの信号を出力することにより、トランジスタ159がOFFし、トランジスタ163がONし、整流平滑回路131の出力側が抵抗器168とトランジスタ163を介して接地される。すると、整流平滑回路131の出力側の電流消費が増大して、その整流平滑回路131の出力電圧(24V)は低下傾向となる。このため、出力電圧検出制御回路137は、その出力電圧を保持するために、発振制御回路115にメインスイッチング素子117のオン時間を増大させるよう制御信号を入力する。このとき、出力端子S1 から上記制御信号を入力し、過電流検知無効回路151を作動させれば、発振制御回路115は通常ではあり得ない程に上記オン時間を増大させ、その結果、ヒューズ105が溶断する。
【0047】
本形態では、サーミスタ107を介して検出した温度が異常に高温となったとき、CPU71は出力端子S1 ,S2 から上記信号を出力する。このため、加熱ローラ15が異常に高温となったとき、その定着用ヒータ15aへの通電を即座にかつ確実に停止することができると共に、前述のように大幅に製造コストを低減することができる。また、本形態では、トランス121の2次側の電流消費を増大させ、それを補償しようとする出力電圧検出制御回路137の作用を利用してヒューズ105を溶断させているので、直流電源回路110の出力に与える影響を最小限に止めると共に、過電流通電手段の構成も簡略化することができる。
【0048】
更に、過電流通電手段としては、上記各形態の他にも、出力電圧検出制御回路137に整流平滑回路131の実際の出力よりも低い電圧を入力する形態等、種々の形態を考えることができる。なお、本発明は上記各実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。例えば、上記実施の形態ではサーミスタ107を介して定着用ヒータ15a近傍の温度を検出しているが、定着用ヒータ15aのインピーダンスを算出することにより定着用ヒータ15a自身の温度を検出し、その温度を上記制御に反映させてもよい。更に、温度検出手段としては、ペルチェ素子、熱電対等を採用してもよい。
【0049】
また、上記各実施の形態ではハロゲンランプからなる定着用ヒータ15aによって加熱ローラ15を加熱しているが、加熱ローラ15の内周面または外周面にシート状の発熱体を配設することによって加熱してもよい。更に、遮断手段としてはブレーカ等を採用してもよい。また更に、本発明は、レーザプリンタに限らず、複写機、インクジェットプリンタ等、定着手段を有する種々の画像形成装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施の形態のレーザプリンタの主要構成部品の斜視図である。
【図2】 上記レーザプリンタの概略側断面図である。
【図3】 上記レーザプリンタの制御ユニット及び制御ユニットに関連する構成を表すブロック図である。
【図4】 その駆動回路及び直流電源回路の構成を表す回路図である。
【図5】 駆動回路及び直流電源回路の他の形態を表す回路図である。
【符号の説明】
2…スキャナユニット、3…プロセスユニット 、4…定着ユニット、5…給紙ユニット、6…駆動系ユニット、15…加熱ローラ、15a…定着用ヒータ、70…制御ユニット、71…CPU、91…駆動回路、101…商用電源 、105…ヒューズ、107…サーミスタ、110…直流電源回路、111…入力フィルタ回路、113,131…整流平滑回路、115…発振制御回路、117…メインスイッチング素子、121…トランス123,125…コイル、137…出力電圧検出制御回路、141…メインスイッチング素子ON持続制御回路、150…電流消費増大回路、151…過電流検知無効回路。

Claims (4)

  1. 被記録媒体に記録材を付着して画像を形成する画像形成手段と、
    通電に応じて発熱し、上記被記録媒体に付着した記録材を加熱することによって上記画像を定着する定着手段と、
    を備えた画像形成装置に用いられ、少なくとも上記定着手段に電力を供給する画像形成装置用電源装置であって、
    上記定着手段の温度を検出する温度検出手段と、
    交流電源から供給され、整流された電圧をスイッチングするスイッチング回路、該スイッチング回路によって電流が1次側に通電されるトランス、及び該トランスの2次側に発生して整流された出力電圧に応じた周期で上記スイッチング回路をスイッチングする発振制御回路を有する直流電源回路と、
    上記交流電源に対して上記直流電源回路と並列に接続され、上記定着手段に電力を供給する定着手段駆動回路と、
    上記交流電源から上記直流電源回路に至る給電経路と上記交流電源から上記定着手段駆動回路に至る給電経路との共通部分に配設され、所定値以上の電流が流れたとき上記給電経路を遮断する遮断手段と、
    上記温度検出手段が検出した上記定着手段の温度が異常に高温であるとき、上記トランスの2次側の電流消費を増大させる電流消費増大回路と、
    上記電流消費増大回路によって上記トランスの2次側の電流消費を増大させるとき、上記発振制御回路が有する過電流検知機能を無効にする過電流検知無効回路と、
    を備え、
    上記過電流検知無効回路によって過電流検知機能を無効にされた上記発振制御回路は、上記スイッチング回路のオン時間を増加させることにより、上記交流電源から上記直流電源回路への通電量を増加させ、上記遮断手段に上記所定値以上の電流を通電することを特徴とする画像形成装置用電源装置。
  2. 上記遮断手段が、上記所定値以上の電流が流れたときに溶断するヒューズであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用電源装置。
  3. 被記録媒体に記録材を付着して画像を形成する画像形成手段と、
    通電に応じて発熱し、上記被記録媒体に付着した記録材を加熱することによって上記画像を定着する定着手段と、
    上記定着手段の温度を検出する温度検出手段と、
    交流電源から供給され、整流された電圧をスイッチングするスイッチング回路、該スイッチング回路によって電流が1次側に通電されるトランス、及び該トランスの2次側に発生して整流された出力電圧に応じた周期で上記スイッチング回路をスイッチングする発振制御回路を有する直流電源回路と、
    上記交流電源に対して上記直流電源回路と並列に接続され、上記定着手段に電力を供給する定着手段駆動回路と、
    上記交流電源から上記直流電源回路に至る給電経路と上記交流電源から上記定着手段駆動回路に至る給電経路との共通部分に配設され、所定値以上の電流が流れたとき上記給電経路を遮断する遮断手段と、
    上記温度検出手段が検出した上記定着手段の温度が異常に高温であるとき、上記トランスの2次側の電流消費を増大させる電流消費増大回路と、
    上記電流消費増大回路によって上記トランスの2次側の電流消費を増大させるとき、上記発振制御回路が有する過電流検知機能を無効にする過電流検知無効回路と、
    を備え、
    上記過電流検知無効回路によって過電流検知機能を無効にされた上記発振制御回路は、上記スイッチング回路のオン時間を増加させることにより、上記交流電源から上記直流電源回路への通電量を増加させ、上記遮断手段に上記所定値以上の電流を通電することを特 徴とする画像形成装置。
  4. 上記遮断手段が、上記所定値以上の電流が流れたときに溶断するヒューズであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置
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