JP3915052B2 - ノンプレートグラウンドアンカー工及びノンプレートグラウンドアンカー工用ラッパ管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、グラウンドアンカー工を改良したノンプレートグラウンドアンカー工、メッシュ工及びノンプレートグラウンドアンカー工におけるセンターホルダーパイプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
グラウンドアンカー工は、不安定な地盤や岩盤を直接安定な地盤や岩盤に緊結して崩落・剥落を防止するために用いられる工法であり、基盤内にボーリングで削孔しセメントモルタル等を注入してアンカー体を形成する方法で、次の3つの基本的要素からなる。
「アンカー頭部」:構造物からの力を引張り部に無理なく引張り力として伝達させるための部分。
「引張り部」:引張り力を基盤内のアンカー体へ伝達する部分。
「アンカー体」:引張り部からの引張り力を基盤に伝達し抵抗する部分。
【0003】
グラウンドアンカー工の一般的な施工方法は、図11に示すように、例えばロータリーパーカッション式削孔機で基盤に至る深さまで掘削した削孔に、ケーシングパイプ21を挿入する[同図(a)]。そして、同図(b)のように該ケーシングパイプ21内にグラウト材Gを充填して、テンドン3(引張材)を挿通する[同図(c)]。次に、同図(d)のようにケーシングパイプ21を引き抜きながらグラウト材Gを加圧注入して、アンカー体22を形成する。このようにして安定層に形成したアンカー体22と、地表面に設けた受圧板23との間で、引張り部を緊張させることによって、不安定層の補強が図られる[同図(e)]。
【0004】
グラウンドアンカー工の主な特徴は、引張り部にプレストレスをかけることにより、滑落の危険のある斜面を押さえ付けて安定化させる締め付け機能。引張り部の引張強さを利用して地滑り土塊が滑動しようとするのを引き止めるものであるが、杭工と異なり引張り部に対して初期にある程度のプレストレスをかけることで、引張り部の伸び(地滑りによる変形量)の少ない段階で抑止効果が上げられる初期引き止め機能がある。この他、アンカー体を滑り面を挟んで形成し、引張り部の引張強さによる滑り面の強度を高める縫い合わせ機能がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、グラウンドアンカー工においては、アンカー頭部構造として受圧板や法枠等のコンクリート構造物を地上に設置しなければならない問題がある。この地上構造物は、グラウンドアンカー工の大きな要素となっており、施工性や経済性等を大きく左右すると共に、植生をも変化させる程周辺環境に大きな影響を及ぼすものとなっている。しかも、コンクリート構造物であることから、直射日光による放射熱源ともなっている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者は上記問題に鑑み鋭意研究の結果、本発明を成し得たものであり、その特徴とするところは、方法の発明にあっては、グラウンドアンカー工において、移動層部掘削孔に挿入した大径ケーシングパイプにグラウト材を圧入して移動層部アンカー体を形成した後、該移動層部アンカー体を通じて掘削した不動層部掘削孔に小径ケーシングパイプを挿入し、グラウト材を圧入して不動層部アンカー体を形成すること。
【0007】
或いは、グラウンドアンカー工において、移動層部掘削孔に挿入した大径ケーシングパイプにグラウト材を圧入して移動層部アンカー体を形成した後、該移動層部アンカー体を通じて掘削した不動層部掘削孔に小径ケーシングパイプを挿入し、グラウト材を圧入して不動層部アンカー体を形成し、引張材との間に隙間を有する径のパイプ部と該パイプ部の先端部に設けられこれに連通する拡径部とによって構成したラッパ管を、該ケーシングパイプ内に挿通して、該ケーシングパイプと該ラッパ管との間のグラウト材を、該ラッパ管のパイプ部を通じて排出させること。
【0008】
或いは、グラウンドアンカー工において、移動層部掘削孔に挿入した大径ケーシングパイプにグラウト材を圧入して移動層部アンカー体を形成した後、該移動層部アンカー体を通じて掘削した不動層部掘削孔に小径ケーシングパイプを挿入し、グラウト材を圧入して不動層部アンカー体を形成する工法であって、小径ケーシングパイプを挿通させるもので、両端開口部を封止したパイプ本体の外周面に、大径ケーシングパイプ内周面との間に隙間を形成する間隔保持具を設けたセンターホルダーパイプを、該移動層部掘削孔に大径ケーシングパイプと共に挿入すること。
【0009】
或いは、移動層部掘削孔に挿入した大径ケーシングパイプにグラウト材を圧入して移動層部アンカー体を形成した後、該移動層部アンカー体を通じて掘削した不動層部掘削孔に小径ケーシングパイプを挿入し、グラウト材を圧入して不動層部アンカー体を形成するノンプレートグラウンドアンカー工において、複数のアンカー頭部のキャップで、ネットを固定することにある。
【0010】
物の発明にあっては、移動層部掘削孔に挿入した大径ケーシングパイプにグラウト材を圧入して移動層部アンカー体を形成した後、該移動層部アンカー体を通じて掘削した不動層部掘削孔に小径ケーシングパイプを挿入し、グラウト材を圧入して不動層部アンカー体を形成するノンプレートグラウンドアンカー工において、小径ケーシングパイプにグラウト材を圧入して不動層部アンカー体を形成した後、該小径ケーシングパイプ内に挿通させるものであって、引張材との間に隙間を有する径のパイプ部と、該パイプ部の先端部に設けられこれに連通する拡径部とによって構成したこと。
【0011】
或いは、移動層部掘削孔に挿入した大径ケーシングパイプにグラウト材を圧入して移動層部アンカー体を形成した後、該移動層部アンカー体を通じて掘削した不動層部掘削孔に小径ケーシングパイプを挿入し、グラウト材を圧入して不動層部アンカー体を形成するノンプレートグラウンドアンカー工において、該移動層部掘削孔に大径ケーシングパイプと共に挿入するものであって、両端開口部を封止したパイプ本体の外周面に、該大径ケーシングパイプ内周面との間に隙間を形成する間隔保持具を設けたことにある。
【0012】
ここで、本明細書中でいう「アンカー体」とは、従来のグラウンドアンカー工でいうところの、不動層部に形成したアンカー体の他、本発明に係るノンプレートグラウンドアンカー工の特徴である地表付近の不安定層に形成するアンカー体をもいうものとする。不安定層である移動層部に形成するアンカー体は、移動層部に削孔した掘削孔に大径ケーシングパイプを挿通し、セメントミルクやセメントモルタルなどのグラウト材を圧入して形成する。従来のグラウンドアンカー工における不動層部アンカー体は、移動層部に形成したアンカー体を通じて地表から安定基盤に至る深さまで削孔機で削孔した掘削孔に、小径のケーシングパイプを挿通し、該ケーシングパイプ内にグラウト材を圧入して形成する基盤内の塊である。
【0013】
つまり、本発明に係るノンプレートグラウンドアンカー工は、従来のグラウンドアンカー工法における掘削時の孔口保護を兼ねた大口径ボウリング掘削孔をグラウトすることで、その掘削深度と口径によって得られるその周面摩擦力とそれから求まる支圧影響線で自然地盤に受圧層を形成させ、受圧板を必要としない工法である。この移動層と不動層に形成した2つのアンカー体の間で引張材にテンションをかけて不安定層の補強が図られる。大径のケーシングパイプと小径のケーシングパイプは、前者が移動層部アンカー体を形成するケーシングパイプ、後者が該移動層部アンカー体の中を通すためのケーシングパイプを指す相対的な関係である。
【0014】
削孔機としては、種々の構造のものがあるが、例えばロータリーパーカッション型やダウンザホールハンマー型などがある。ロータリーパーカッション型ではケーシングパイプを引き抜きながらグラウト材を圧入してアンカー体を形成するが、ダウンザホールハンマー型はアンカー体を形成する部分が一連の工程で削孔され、ケーシングパイプを引き抜くことなくアンカー体が形成される。
【0015】
「引張材」とは、一端を不動層部アンカー体に埋設し、他端を移動層部アンカー体に係止してプレストレスをかける鋼材をいう。一般的には、PC鋼より線、PC鋼複合より線束、PC鋼棒などが用いられる。通常、引張材にはシースを被せて内部にグリスなどの防錆材を封入する。また、一般的にマンションや定着体などを設けたものをテンドンと称している。
【0016】
「ラッパ管」とは、小径ケーシングパイプ内に充填されたグラウト材を除去するための部材をいう。上述したように、斜面補強工としてグラウンドアンカー工を採用する上で、最も期待される効果は、引張り部にプレストレスがかけられるという点にあるものの、従来のグラウンドアンカー工においては、最大の特徴であるプレストレスが構造的にほとんどかけることができないという問題がある。これは、不安定層の圧縮すべき部分がグラウト材の注入によってアンカー体と連続して一体となってしまうためである。このような現象は、ケーシング加圧注入方法において生じ、アンカー頭部に与えられたプレストレスが、圧縮すべき部分にまで侵入したグラウト材にかかり、この部分のグラウト材が破壊しない限り不安定層に圧縮域が生じないことになる。仮に、グラウト材が破壊しても圧縮は破壊局部に限られるし、グラウト材による張り的性格が不安定層全域で失われない限り、グラウンドアンカー工の実質的な機能が充分発揮できないことになる。
【0017】
このため、小径ケーシングパイプ内にグラウト材を加圧注入して不動層部アンカー体を形成した後、ラッパ管を該小径ケーシングパイプ内に挿通して、グラウト材を排出させる。これによって、アンカー頭部の引張り力を不動層部アンカー体に確実に伝達させることが可能となる。ラッパ管の挿通長さは、基本的に不動層部アンカー体まで行う。つまり、小径ケーシングパイプとラッパ管との間のグラウト材のほとんど全てを取り除くと共に、アンカー体注入グラウト材の自由長部への流出を防ぐことを基本とする。
【0018】
しかしながら、ラッパ管を利用する最大の目的は、不安定層の圧縮すべき部分がグラウト材の注入によってアンカー体と連続して一体となり、不安定層に圧縮域が生じなくなることを防止することにある。従って、不安定層に圧縮域が生じる程度にラッパ管を挿通して(アンカー体に届かない長さ)、ケーシングパイプとラッパ管との間のグラウト材の一部を取り除くだけでもよい。
【0019】
ラッパ管は、パイプ部とこれの先端に設けて連通する拡径部とによって構成する。パイプ部は引張材に嵌め込む部分であり、グラウト材はパイプ部の中を通って排出される。このため、パイプ部の内径は引張材との間に隙間を生じる径とする。材質は特に限定するものではないが、アルミニウムやポリ塩化ビニルなどのプラスチックで軽量にするのが好ましい。
【0020】
拡径部は、パイプ部の先端に設けることにより、小径ケーシングパイプ内のグラウト材を該パイプ部に導入させるためのもので、円錐台状やお椀型である。これの材質はゴム・皮・合成ゴム・合成皮革などの軟質部材で形成して、ケーシングパイプの内周面に沿わせるようにする。拡径部で小径ケーシングパイプ内周面部分のグラウト材まで取り除くようにするのが好ましいが、ある程度残っても引張材の緊締時に容易に破壊されることや、小径ケーシングパイプ引き抜き時に取り除かれる場合もある。従って、小径ケーシングパイプの内径に対して隙間が生じる径でもよく、金属やプラスチックなどの硬質部材で形成しても、不動層部アンカー体の引張を阻害するグラウト材のほとんどを取り除くことができる。
【0021】
拡径部には、その先端側にガイド部材を設けておくのが好ましい。これは、ケーシングパイプ内にカップリングなどの異径部分が存在すると、拡径部が引っ掛かってそれ以上挿通できなくなる可能性があるためである。ガイド部材としては、例えば金属やプラスチックなどのピン状のものを適宜間隔に設けておく。この場合、ガイド部材が異径部分に引っ掛からないように内方に傾斜させて設けたり、先端部を内方に曲げておくようにする。
【0022】
従来のグラウンドアンカー工においては、グラウト材を圧入してアンカー体を形成した段階でアンカーの成型が終了する。その後、養生、緊張・定着、防錆処理などを施して完了する。本発明においては、ラッパ管を利用する場合、ラッパ管を挿通した段階で不動層部アンカー体形成を終了とし、後は移動層部アンカー体との間で、従来と同様の方法で完了させればよい。ラッパ管は、グラウト材を除去した段階で引き抜いてもよく、そのまま放置しておいてもよい。
【0023】
小径ケーシングパイプ内に挿通してグラウト材を排出させたラッパ管には、パイプ部端部にラッパ管ストッパーシースを設ける。これは、挿入したラッパ管をそのまま残す場合に、その頭部を処理するための部材である。つまり、ラッパ管がアンカー頭部と不動層部アンカー体との間で梁効果を生じさせないようにすること。また、ラッパ管端部を密閉して防錆効果を高める目的である。このため、ラッパ管ストッパーシースは本体をジャバラ体で形成したり、ラッパ管のパイプ部に摺動可能に装着させるようにする。
【0024】
「センターホルダーパイプ」とは、移動層部アンカー体を形成する場合において、大径ケーシングパイプと共に移動層部掘削孔に挿入する部材をいう。このセンターホルダーパイプは、移動層部アンカー体の中心を確保するためのものである。つまり、本発明に係るノンプレートグラウンドアンカー工及びメッシュ工においては、先ず移動層部アンカー体を形成し、この移動層部アンカー体を通して不動層部掘削工を削孔して不動層部アンカー体を形成する工法であることから、移動層部アンカー体が長くなるほど該移動層部アンカー体における掘削方向の中心線確保が難しくなるためである。移動層部アンカー体の中心から外れてボーリングすると、ボーリング特有の孔曲がりによって掘削孔が曲がってしまい、緊張時に移動層部アンカー体の折れ曲がりが生じ、均等なアンカー体周面摩擦抵抗が発生しなくなる。あくまでも、緊張方向とテンドン軸方向が平行となるように、移動層部アンカー体にテンドン軸方向に平行な中心を表層部から深層部に至るまで確保することが最も重要となるためである。
【0025】
移動層部におけるアンカー体の形成は、センターホルダーパイプを大径ケーシングパイプ内に装着した状態で行う。これは、従来のグラウンドアンカー工と同様に大径ケーシングパイプ内にグラウト材を充填し、該大径ケーシングパイプを引き抜きながらグラウト材を加圧注入して形成する。このため、センターホルダーパイプは、両端開口部を封止すると共に、大径ケーシングパイプ内周面との間に隙間を形成する間隔保持具を備える。両端の封止は、不動層部掘削工の削孔時に削孔機で破るが、後端側の封止部材は取り外すようにしてもよい。
【0026】
センターホルダーパイプは、パイプ本体と間隔保持具を設けた別体の部材を嵌め合わす構造としてもよく、螺合構造にして長さ調整できるようにしてもよい。また、パイプ本体として、後部封止部を別部材で形成した2ピース構造とし、該後部封止部を該間隔保持具の螺合部で連結して、削孔時に取り外す。この場合、該後部封止部に代えて、移動層部掘削工を保護するための孔口カバーを該間隔保持具に螺合させてから、不動層部掘削孔を削孔するようにしてもよい。
【0027】
「ネット」とは、小規模表層崩壊や崩落などの発生に対し、不安定層の表面を覆って保護する部材であって、ノンプレートグラウンドアンカー工によって形成した孔口の頭部キャップで固定するものをいう。つまり、本発明に係るメッシュ工は、本発明に係るノンプレートグラウンドアンカー工と併用する工法であり、従来のグラウンドアンカー工の受圧板や法枠等のコンクリート構造物が地表に存在しないことによる、支圧影響線外の表層部分についての、表面処理を補う工法である。孔口の頭部キャップとは、ノンプレートグラウンドアンカー工における移動層部アンカー体を形成するために削孔した掘削孔を塞ぐカバー部材であり、これを利用してネットを固定する。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図1は本発明に係るノンプレートグラウンドアンカー工の実施の形態の一例を示すもので、移動層部に移動層部アンカー体1を形成し、不動層部に形成した不動層部アンカー体2とテンドン3で連結することによって、移動層を補強する工法である。つまり、従来のグラウンドアンカー工における受圧板やコンクリート構造物に代えて、移動層部の内部にアンカー体1を形成させたものである。
【0030】
図2は、ノンプレートグラウンドアンカー工の施工方法の実施の形態の一例を示すもので、先ず、同図(a)(b)のように移動層部に削孔して大径ケーシングパイプ11を挿通し、固めのグラウト材Gを充填する。そして、同図(c)のように大径ケーシングパイプ11を引き抜きながらグラウト材Gを加圧注入して、移動層部アンカー体1を形成する。移動層部アンカー体1形成後は、孔口4保護のため大径ケーシングパイプ11の一部を残す[同図(d)]。次に、この移動層部アンカー体1を通して不動層部掘削孔を削孔して小径ケーシングパイプ12を挿通する[同図(e)]。 この小径ケーシングパイプ12に、同図(f)(g)のようにグラウト材充填、テンドン(引張材)3挿入、ケーシング引き抜き加圧注入によって、不動層部アンカー体2を形成する。そして、同図(h)(i)のように小径ケーシングパイプ12を引き抜いて、移動層部アンカー体1との間でテンドン3を緊張・定着して完成する。孔口4には、頭部キャップ41を設けて封止する。
【0031】
図3(a)は、ノンプレートグラウンドアンカー工の施工方法の実施の形態の他の例を示すもので、図2(g)の不動層部アンカー体2を形成した後、ラッパ管5を挿入する方法である。ラッパ管5の挿入によって、小径ケーシングパイプ12と該ラッパ管5との間のグラウト材Gが排出される。この結果、図3(b)のように移動層部アンカー体1と不動層部アンカー体2との間のグラウトGが、ほとんど除去されることになり、アンカー頭部に与えたプレストレスをより確実に不動層部アンカー体2にかけることが可能となる。挿入したラッパ管5は、同図(c)のように端部にラッパ管ストッパーシース51を装着して頭部処理を行う。
【0032】
このように、本発明に係るラッパ管5を用いたノンプレートグラウンドアンカー工によって施工したアンカーの構造は、自由長部にテンドン3による圧縮を阻害させるものが存在せず、移動層部アンカー体1による引張り部からの引張り力を不動層部アンカー体2に確実に伝達でき、二次引張も効果的に行うことが可能となる。
【0033】
図4は、本発明に係るノンプレートグラウンドアンカー工用ラッパ管5の実施の形態の一例を示すもので、同図(a)に示すようにパイプ部52と拡径部53とによって構成し、該拡径部53は同図(b)のように先端部にガイド部材であるガイドピン54を設けている。本例では、ラッパ管5にラッパ管ストッパーシース51を装着した例を示している。
【0034】
図5は、ラッパ管5の使用状態を示すもので、小径ケーシングパイプ12内に挿入することで、拡径部53でかき込まれたグラウト材Gがパイプ部52内部のテンドン3との隙間を通じて排出する状態を示している。本例では、小径ケーシングパイプ12内にカップリング13の存在による異径部分がある場合でも、ガイドピン54によって拡径部53が図の鎖線のように変形して移動できる状態を示している。
【0035】
図6(a)は、ノンプレートグラウンドアンカー工の施工方法の実施の形態のさらに他の例を示すもので、移動層部に削孔した掘削孔に大径ケーシングパイプ11と共にセンターホルダーパイプ6を挿入する工法である。センターホルダーパイプ6は、上述したように移動層部アンカー体1形成後に、不動層部掘削孔を削孔する場合における該移動層部アンカー体1の中心確保を目的とする。センターホルダーパイプ6を利用した場合における移動層部アンカー体1の形成は、同図(b)(c)に示すようにセンターホルダーパイプ6を挿入した状態で図2(b)(c)と同様にグラウトGの充填・圧入によって行う。移動層部アンカー体1形成後は、センターホルダーパイプ6の内周面に沿って削孔する。
【0036】
センターホルダーパイプ6の両端部は、グラウト材Gが入り込まないように封止しているため、掘削機で封止部を破って不動層部掘削孔を削孔し、図6(d)のようにセンターホルダーパイプ6を通じて該掘削孔に小径ケーシングパイプ12を挿通する。本例では、移動層部アンカー体1形成後、センターホルダーパイプ6に孔口カバー64を取り付けてから、不動層部掘削孔を削孔し、小径ケーシングパイプ12を挿通している。その後は、図2(f)以降、或いは図2(f)(g)から図3(a)以降のように施工する。
【0037】
本発明に係るセンターホルダーパイプ6は、図7に示すように両端開口部を封止したパイプ本体61の外周面に、間隔保持具62を設けた構造である。間隔保持具62は、パイプ本体61を大径ケーシングパイプ11のほぼ中心部に位置させるようにすると共に、該大径ケーシングパイプ11の内周面との間の全周に渡ってグラウト材Gを充填させる隙間を確保するための部材である。
【0038】
図8(a)は、本発明に係るセンターホルダーパイプ6の実施の形態の他の例を示すもので、パイプ本体61は後部封止部63を別部材で形成した2ピース構造としている。また、間隔保持具62を先端ガイド621とパイプソケット623の2つの部材で構成し、該先端ガイド621をパイプ本体61の先端部に、該パイプソケット623をパイプ本体61の後端部と後部封止部63に螺号する構造としている。移動層部アンカー体1の形成後、後部封止部63を取り外し、パイプ本体61の内周面を基準にして不動層部掘削孔を削孔する。この場合、同図(b)の孔口カバー64をパイプソケット623に取り付けることによって、孔口4を保護してから不動層部掘削孔を削孔するようにしてもよい。
【0039】
図9は、本発明に係るメッシュ工の実施の形態の一例を示すもので、不安定層の表面をネット7で覆って保護する工法である。この工法は、本発明に係るノンプレートグラウンドアンカー工による斜面補強工に併用する工法であって、該ノンプレートグラウンドアンカー工によって形成した複数のアンカーの頭部キャップ41でネット7を固定して地表面を覆って、小規模表層崩壊などを防止する表面処理工法である。本例ではワイヤロープ71にネット7を設けたものを利用し、該ワイヤロープ71の交点を頭部キャップ41で固定している。
【0040】
図10は本発明を総括したもので、センターホルダーパイプ6によって移動層部アンカー体1のセンターを確保して不動層部アンカー体2を形成し、ラッパ管5で移動層部アンカー体1と不動層部アンカー体2との間の不要なグラウト材Gを除去してアンカー体を形成する。そして、このアンカー体にネット7を設けることによって、表層を保護した斜面崩壊防止構造である。
【0041】
【発明の効果】
以上のように本発明に係るノンプレートグラウンドアンカー工は、グラウンドアンカー工において、移動層部掘削孔に挿入した大径ケーシングパイプにグラウト材を圧入して移動層部アンカー体を形成した後、該移動層部アンカー体を通じて掘削した不動層部掘削孔に小径ケーシングパイプを挿入し、グラウト材を圧入して不動層部アンカー体を形成することにより、従来のグラウンドアンカー工のように地表面に受圧板や法枠などのコンクリート構造物を設けることなく、不安定層の補強を図ることができ、環境保全を図る上で極めて有益な工法である。
【0042】
本発明に係るノンプレートグラウンドアンカー工において、ラッパ管を用いることにより、自由長部分の弾性的機能を拘束することなく、ノンプレートグラウンドアンカー工の機能を充分に活かすことが可能となる。また、ラッパ管の装着によって地盤の乱れによるシースの損傷を保護し、テンドンの防食効果を高めることができる。さらに、シース、シースとラッパ管の間に残るグラウト材、及びラッパ管のパイプ部による三重構造で、引張材を確実に防食でき、施工性、安全性、構造物の耐久性に優れた構造、工法、作業工程で、ノンプレートグラウンドアンカー工を施工することができる
【0043】
本発明に係るノンプレートグラウンドアンカー工において、センターホルダーパイプを用いることにより、移動層部アンカー体の中心を確保することができ、該移動層部アンカー体と不動層部アンカー体とのテンドンによる緊張が直線的となって、各アンカー体の周面全体に摩擦抵抗を確実に発生させることで、ノンプレートグラウンドアンカー工の機能を充分に活かすことが可能となる。
【0044】
本発明に係るメッシュ工は、移動層部掘削孔に挿入した大径ケーシングパイプにグラウト材を圧入して移動層部アンカー体を形成した後、該移動層部アンカー体を通じて掘削した不動層部掘削孔に小径ケーシングパイプを挿入し、グラウト材を圧入して不動層部アンカー体を形成するノンプレートグラウンドアンカー工において、複数のアンカー頭部のキャップで、ネットを固定することにより、受圧板や法枠等のコンクリート構造物が存在しないノンプレートグラウンドアンカー工に併用することで、小規模表層崩壊や崩落などの発生に対する表面処理を行うことができる。また、地表部をネットで覆う工法であるため、植物種の吹き付けなど植生を図ることができ、斜面の活性化を促進させることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るノンプレートグラウンドアンカー工の実施の形態の一例を示す概略断面図である。
【図2】(a)乃至(i)は、夫々本発明に係るノンプレートグラウンドアンカー工の施工方法の実施の形態の一例を示す概略断面図である。
【図3】(a)乃至(c)は、夫々本発明に係るノンプレートグラウンドアンカー工の施工方法の実施の形態の他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明に係るノンプレートグラウンドアンカー工に用いるラッパ管の実施の形態の一例を示すもので、(a)は縦断面図、(b)は拡径部の斜視図である。
【図5】ラッパ管の使用状態の一例を示す概略断面図である。
【図6】(a)乃至(d)は、夫々本発明に係るノンプレートグラウンドアンカー工の施工方法の実施の形態のさらに他の例を示す概略断面図である。
【図7】本発明に係るノンプレートグラウンドアンカー工に用いるセンターホルダーパイプの実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図8】(a)は本発明に係るノンプレートグラウンドアンカー工に用いるセンターホルダーパイプの実施の形態の他の例を示す縦断面図、(b)は後部封止部に代えてセンターホルダーパイプに取り付ける孔口カバーの縦断面図である。
【図9】本発明に係るメッシュ工の実施の形態の一例を示す概略正面図である。
【図10】本発明に係るノンプレートグラウンドアンカー工によって施工したアンカー体構造の実施の形態の一例を示す概略断面図である。
【図11】(a)乃至(e)は、夫々従来のグラウンドアンカー工の施工方法の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
G グラウト材
1 移動層部アンカー体
11 大径ケーシングパイプ
12 小径ケーシングパイプ
13 カップリング
2 不動層部アンカー体
3 テンドン
4 孔口
41 頭部キャップ
5 ラッパ管
51 ラッパ管ストッパーシース
52 パイプ部
53 拡径部
54 ガイドピン
6 センターホルダーパイプ
61 パイプ部本体
62 間隔保持具
63 後部封止部
64 孔口カバー
7 ネット
71 ワイヤロープ
Claims (2)
- グラウンドアンカー工において、移動層部掘削孔に挿入した大径ケーシングパイプにグラウト材を圧入して移動層部アンカー体を形成した後、該移動層部アンカー体を通じて掘削した不動層部掘削孔に小径ケーシングパイプを挿入し、グラウト材を圧入して不動層部アンカー体を形成し、引張材との間に隙間を有する径のパイプ部と該パイプ部の先端部に設けられこれに連通する拡径部とによって構成したラッパ管を、該小径ケーシングパイプ内に挿通して、該小径ケーシングパイプと該ラッパ管との間のグラウト材を、該ラッパ管のパイプ部を通じて排出させることを特徴とするノンプレートグラウンドアンカー工。
- 移動層部掘削孔に挿入した大径ケーシングパイプにグラウト材を圧入して移動層部アンカー体を形成した後、該移動層部アンカー体を通じて掘削した不動層部掘削孔に小径ケーシングパイプを挿入し、グラウト材を圧入して不動層部アンカー体を形成するノンプレートグラウンドアンカー工において、小径ケーシングパイプにグラウト材を圧入して不動層部アンカー体を形成した後、該小径ケーシングパイプ内に挿通させるものであって、引張材との間に隙間を有する径のパイプ部と、該パイプ部の先端部に設けられこれに連通する拡径部とによって構成したことを特徴とするノンプレートグラウンドアンカー工用ラッパ管。
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