JP3913778B2 - 逆巻きアンテナ - Google Patents

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Description

この出願は、1992年12月15日出願の、出願第07/992,970号の一部継続出願である。
発明の分野
この発明は、送信および受信のためのアンテナに関するものであり、とくに、螺旋形に巻いたアンテナに関するものである。
発明の背景
励振の周波数におけるアンテナの効率は、有効電気長と直接に関係しており、また、該有効電気長は、自由空間での光速をC、波長をλ、振動数をfを使った周知な関係式、
λ=C/f
によって、信号の伝搬速度に関係するものである。
知られているように、アンテナの電気長は、1波長か、半波長(双極)か、4分の1波長をとり、グランドプレーンで、実際のアンテナインピーダンスをほぼ最小にする。これらの特性がそろわない場合、アンテナインピーダンスは、アンテナと給電線(送信線)の上で定在波を生じつつ、変化し、エネルギー損失やエネルギー放出低下を招く定在波比を増す。
典型的な垂直むち形アンテナ(単極)は、全方向の垂直偏波の指向を有していて、UHFのような高周波数では、そのようなアンテナの大きさは、比較的小さなものにすることができる。しかし、より低周波数では、LFおよびMF帯域で非常に長い電線と塔が使われることになり、アンテナの大きさが問題になる。長距離送信には、より低い周波数帯が適しているが、その際のアンテナ、とくに指向性のアレイアンテナは、小型携帯用送信器へ取り付けるには大きすぎる。高周波数であっても、従来の単極ないし双極のアンテナと同様の性能や効果を有しつつ、物理的にサイズが小さいほうが望ましいといえる。
水平偏波のアンテナだと、より多くの地上波損失を生じるため、垂直偏波のほうが水平偏波より送信効果が高い(有効距離が長い)ことが判ってきたので、方向特性、とくに垂直偏波用の小型アンテナを開発するために、様々な技術が多年に亘って試みられてきた。
方向特性という点に関しては、アンテナの形状によっては、ある特定の偏波でアンテナの中に生じる磁場を打ち消すとともに、その磁場に対して垂直な電場を強めることが、可能であることが知られている。また、電場を打ち消すとともに磁場を強めることも、同様に可能である。
等価の原理は、与えられた一つの領域内で、同一の場を生じる2源は等価であるとされ、電流源および、対応する磁流源(magnetic current sources)の間で、等価性が成立できるというものであり、このことは電磁気学分野において、よく知られた概念である。このことは、1961年発行の、R. F. Harrington著、Time Harmonic Electromagnetic Fieldsの第3〜5節に説明されている。線形電流が流れる直線形双極アンテナ素子の場合、その等価な磁源は、方位角の円磁流によって与えられる。ソレノイドの電流は、線形磁流を作るための明確な方法のひとつである。また、ソレノイド電流をトロイド面上に配置することは、必要な方位角の円磁流を作る方法のひとつである。
トロイド形の螺旋アンテナは、トロイド上に巻かれた螺旋形の導線から成り、トロイドの中心と同心で、またその面に垂直な軸を有する電気双極アンテナと類似した指向で、電磁エネルギーを放出する特性を持つ。螺旋形導線の送信線の実効値のインピーダンスは、螺旋配置の周囲の導線の給電点から、自由空間での伝搬速度に応じて波の電波を遅らせる。そのような構造で、減速された速度と円形流のおかげで、振幅のオーダーと同程度、あるいは、対応する共振の双極のもの(線形アンテナ)の大きさより、小さなサイズのトロイドアンテナを作ることができる。トロイド螺旋設計は、単純な共振双極構造体に比べて物理的なサイズが小さくできるので、トロイド設計は縦横比が小さい。単純な単相の給電形状で、1/2波長の双極型よりも小さなパッケージでありながら、それに匹敵する放射パターンを作るといえる。
このことに関して、米国特許第4,622,558号、および、第4,751,515号では、従来の線形アンテナは、地上に放出される際の損失がより少ない垂直偏波を自己共振構造体によって作り出していたが、これに代わる小型アンテナをつくり出す技術としてのトロイドアンテナのいくつかの面について論じている。既述の通り、低周波数では、自己共振の垂直偏波の直線形アンテナは実用に向かないので、これらの特許で説明されている自己共振構造体は、物理的にかさばる上に電気的に効率が悪いという、低周波での垂直型素子の問題を軽減しようとするものである。
前記の特許は、方向性が一層複雑なアンテナのための基礎単位として、単線のトロイド螺旋型について、主に論じている。そういったアンテナは、複合的な導電経路を有することができ、外部の受動回路か特殊な自己共振特性によって制御される信号が、そこに供与される。概して、それらの特許は、垂直偏波を作るために、いわゆる逆巻きのトロイドの巻線の使用について論じている。それらの特許で論じられている、逆巻きのトロイドの巻線は、1956年10月発行、IRE Transactions on Electron Devicesの第190頁、Birdsall, C. K. とEverhart, T. E.共著“Modified Contra-Wound Helix Circuits for High-PowerTraveling Wave Tubes”に述べられているように、端子を2つしか持たない、普通とは異なる形状である。それらの特許は、電場(流)と磁場(流)の区別について指摘し、また、トロイドの上に互いに逆巻きの2つの単線回路を置き、2ポートの信号入力を用いて、垂直偏波のアンテナを作ることができることを、つけ加えている。この設計の基盤は、線形螺旋という設計の式で、1953年にKandoian & Sichakが独自によって開発されたものである(米国特許第4,622,558号に説明されている)。
前記の特許のような、従来の技術では、逆巻き構造体の模倣から発展した2トロイド構造体のような、より複雑な構造体への初期段階として、基本的なトロイドの実施例が挙げられている。例えば、前記の特許は、トーラスの短軸によって決まる円周のまわりに、必要数の波長ができるようなトーラス(複雑もしくは単純な)について、論じている。
単線設計の、単純なトロイドアンテナは、入ってくる(受信された)信号、あるいは出ていく(送信された)信号の、電場成分にも磁場成分にも反応する。一方、複線(複数の巻線)のものは、アンテナの方向性を決めて偏波を制御できるように、別々のトロイド上の別々の巻線同士は、ピッチが等しい場合も違う場合もありうる。ひとつの形の螺旋は、リングとブリッジから成るという設計の形で、基本的な逆巻きの巻線配置の特質のうちの、全てではないが一部を呈するものである。
知られているように、線形ソレノイドコイルは、その中心軸方向に直線磁場を生じる。磁場の向きは、右手の指を手のひら側に丸めこんだときの指先の向きを、ソレノイドの円電流の向きだとすると、その指で作った円筒の中心軸に平行になるように親指を立てた向きが磁場の向きと同じであるという“右ねじの法則”に従う(例えば、別添の図47を参照)。右巻きのソレノイドコイルにこの法則を使うと、右ねじの進む動きのように、電流と生じた磁場は、ともに同じ方向を向くが、左巻きのコイルであると、電流と磁場は反対方向を向く。ソレノイドコイルによって生じた磁場を、磁流(magnetic current)と呼ぶこともある。右巻きと左巻きのコイル素子を一緒に同軸上に取り付けて、逆巻きコイルをつくり、個々のコイル素子に反対方向の電流を流すことで、実質的に磁場はコイルが一つだけの場合の2倍になる一方、実質的に電流は効果的に打ち消されてゼロになる。
知られているように、正弦波の交流電源から給電され、負荷インピーダンスに接続された送電線は、平衡状態で、電源から負荷へと電流の波を伝搬する。波は負荷で反射して、再び電源へ帰る向きに伝搬されるので、送信線上の実質的な電流分布は、入射波と反射波の成分を合成したものから求められ、送信線上に定在波を形成しうる(例えば、別添図13参照)。平衡状態の送信線について、送信線上のどの点であっても、各導線の電流成分は振幅は等しく極性は逆であり、これは別々の導線上の等振幅の波が、互いに逆の極性で、同時に伝搬するのと同じである。ある導線で、ひとつの方向の正電流の伝搬は、その逆の方向の負電流の伝搬に等しい。入射波と反射波の相対位相は、ロード素子ZLのインピーダンスによって決まる。別添図13のように、入射電流をI0、反射電流をI1とすると、反射係数ρiは、次のように定義される。
Figure 0003913778
入射電流と反射電流は、互いに反対方向に流れるので、反射電流に大きさが等しい電流I1=-I1'は、入射電流I0と同じ方向で、反射電流と同じ振幅を呈する。
発明の開示
本発明の目的の一つは、小型の垂直偏波のアンテナを提供すること、とくに、低周波で長距離通信の波への実用に叶い、しかも、物理的なサイズが小さく目立たないアンテナパッケージが必要であるような、全ての周波数で用いられるアンテナを提供することである。
本発明の更なる目的は、動力付き車又は船に用いるのに適した指向性アンテナを提供することである。
本発明の更なる目的は、全方向でほぼ無指向性のアンテナを提供することである。
本発明のさらに目的とするところの一つは、偏波方向に垂直な方向に最大放射利得があり、偏波方向に最小放射利得を有するアンテナを提供することである。
本発明の、またさらに目的とするところの一つは、ラジオ周波数(RF)の電源に即応するような、単純化された給電配置を有するアンテナを提供することである。
本発明の更なる目的は、半径方向のエネルギー放射を強めたアンテナを提供することである。
本発明の更なる目的は、垂直方向のエネルギー放射を強めたアンテナを提供することである。
本発明によると、トロイドアンテナは、トロイド形の面、および、区切られた螺旋パターンでトロイド面の周りに各々閉回路を形成する、第1と第2の巻線を有する。トロイドは、4つなど偶数個に分割されるセグメントを持つが、一般に2以上の数にする。ある一セグメント内の連続するひとつの導線の各部は、隣接するセグメントの同じ導線のその部分に関して、逆巻きであるようにする。同じ導線の隣接するセグメントは、ノードやジャンクション(巻き方向が逆になる点)で、接合する。トロイドの全セグメント内で、2本の連続した導線の向きが互いに逆になるようにする。2つのノード(ポート)は、それぞれ隣接しあう2セグメント間の境界に位置する。ポートのノードが接続されている導線に関しては、一方の電極から出てきた電流の極性は、セグメントからセグメントへ、ポートのところで接続点を通過すると、正負が逆になる。本発明によると、一つおきのポートのところにあるジャンクションで、導線は切断され、その切断端は、完全にマッチングされたリアクティブインピーダンスのところで終わっており、電流信号の各反射波の位相を90度ずらせる。このことで、垂直偏波の電磁放射を生じる構造体の内部で、実質的な電流と、ほぼ一様で一定方向の磁流を、同時に相殺することができる。
本発明によると、一続きの導線のループは、“ポロイダル(poloidally)”、等間隔で、回転体面上に配置し、それぞれのループの長軸が、回転体面の短軸について、接線を形成するようにする。回転体面の長軸に応じて、全てのループの内端をひとつのターミナルに接続し、残りの端を第2のターミナルに接続する。2つのターミナルには単極の電源を用いる。また、ループは電気的に並列に接続されているので、全てのループから生じる磁場は同位相で、しかるに、ほぼ一様な一定方向の磁場となり、垂直偏波の全方向の放射がおこるのである。
本発明によると、ループの数が増え、導体要素は、回転体であって表面が連続的な、又は放射状の溝がある導電性表面となる。複合アンテナのターミナルに関して、直列なインダクタンスか並列なキャパシタンスを導入することによって、低い周波数で利用できるようになる。
本発明によると、回転体の導電表面のハブとなる2つの平行な導電板を加えることで、キャパシタンスが与えられる。回転体面は、導電板とのジャンクションのところにスリットを有し、一方の板はスリットの一側に電気的に接続され、もう1枚の板はスリットの反対側に接続される。回転体の導電表面は、さらに放射状にスリットを入れて、一続きの基本的なループアンテナをエミュレートすることができる。回転の角度に応じて、回転体面の半径や外形状を変えれば、この構造体の周波数の帯域幅は増える。
本発明によると、電磁アンテナは、次のものを含んでいる。多重連結面;第1のほぼ螺旋形の導電経路にて、多重連結面の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第1の螺旋ピッチ方向で延びている、第1の絶縁された導手段;第2のほぼ螺旋形の導電経路にて、多重連結面の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第2の螺旋ピッチ方向で延びている、第2の絶縁された導手段。この第2の螺旋ピッチ方向は、第1の螺旋ピッチ方向とは反対方向であり、それによって、第1及び第2の絶縁された導手段は、多重連結面の少なくとも一部に亘ってその周りに、互いに逆巻きに巻かれている;第1及び第2の絶縁された導手段にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の信号ターミナル;及び、多重連結面に対してアンテナ信号を送り、アンテナ信号の受信又は送信を行う反射体手段。
本発明によると、電磁アンテナは、次のものを含んでいる。多重連結面で長軸を有するもの;第1の部分的に螺旋形の導電経路にて、多重連結面の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第1の螺旋ピッチ方向で延びている、第1の絶縁された導手段;第2の部分的に螺旋形の導電経路にて、多重連結面の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第2の螺旋ピッチ方向で延びている、第2の絶縁された導手段。この第2の螺旋ピッチ方向は、第1の螺旋ピッチ方向とは反対方向であり、それによって、第1及び第2の絶縁された導手段は、多重連結面の少なくとも一部に亘ってその周りに、互いに逆巻きに巻かれている。そして、第1及び第2の部分的に螺旋形の導電経路は、それが多重連結面の長軸に対してほぼ垂直であるときに、多重連結面の長軸に対してほぼ放射状であるか、さもなければほぼ螺旋状に向けられている;及び、第1及び第2の絶縁された導手段にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の信号ターミナル。
本発明によると、電磁アンテナは、次のものを含んでいる。ほぼ球状面であり、その長軸にそってコンジットを有するもの;第1の部分的に螺旋形の導電経路にて、ほぼ球状面の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第1の螺旋ピッチ方向で延びている、第1の絶縁された導手段;第2の部分的に螺旋形の導電経路にて、ほぼ球状面の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第2の螺旋ピッチ方向で延びている、第2の絶縁された導手段。この第2の螺旋ピッチ方向は、第1の螺旋ピッチ方向とは反対方向であり、それによって、第1及び第2の絶縁された導手段は、ほぼ球状面の少なくとも一部に亘ってその周りに、互いに逆巻きに巻かれている。そして、第1及び第2の部分的に螺旋形の導電経路は、ほぼ球状面のコンジットを通っており、該コンジット内で、該表面の長軸に対してほぼ平行であるか、さもなければほぼ螺旋状に向けられている;及び、第1及び第2の絶縁された導手段にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の信号ターミナル。
本発明によると、電磁アンテナは、次のものを含んでいる。多重連結面であって、ゼロより大きい長軸半径及び該長軸半径より大きい短軸半径を有するもの;第1のほぼ螺旋形の導電経路にて、多重連結面の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第1の螺旋ピッチ方向で延びている、第1の絶縁された導手段;第2のほぼ螺旋形の導電経路にて、多重連結面の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第2の螺旋ピッチ方向で延びている、第2の絶縁された導線手段。この第2の螺旋ピッチ方向は、第1の螺旋ピッチ方向とは反対方向であり、それによって、第1及び第2の絶縁された導手段は、多重連結面の少なくとも一部に亘ってその周りに、互いに逆巻きに巻かれている;及び、第1及び第2の絶縁された導手段にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の信号ターミナル。
本発明によると、電磁アンテナは、次のものを含んでいる。球状面;第1の導電経路にて、球状面の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第1の巻き方向で延びている、第1の絶縁された導手段;第2の導電経路にて、球状面の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第2の巻き方向で延びている、第2の絶縁された導手段。この第2の巻き方向は、第1の巻き方向とは反対方向であり、それによって、第1及び第2の絶縁された導手段は、球状面の少なくとも一部に亘ってその周りに、互いに逆巻きに巻かれている;及び、第1及び第2の絶縁された導手段にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の信号ターミナル。
本発明によると、電磁アンテナは、次のものを含んでいる。半球状面;第1の導電経路にて、半球状面の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第1の巻き方向で延びている、第1の絶縁された導手段;第2の導電経路にて、半球状面の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第2の巻き方向で延びている、第2の絶縁された導手段。この第2の巻き方向は、第1の巻き方向とは反対方向であり、それによって、第1及び第2の絶縁された導手段は、半球状面の少なくとも一部に亘ってその周りに、互いに逆巻きに巻かれている;及び、第1及び第2の絶縁された導手段にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の信号ターミナル。
この発明は、ブリッジとリングとからなる形状と比べて、広帯域の周波数のスペクトルについて、より大きい利得のある、垂直偏波のための小型のアンテナを、提供するものである。この発明の他の目的、利益、特徴は、当業者には明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
図1は、この発明による、4つのセグメントを持つ、螺旋形アンテナの略図である。
図2は、図1の巻線の拡大図である。
図3は、この発明の他の実施例における巻線の拡大図である。
図4は、この発明を具体化した螺旋形のアンテナであって、2つのセグメントを持つ(2部分によって構成された)ものの略図である。
図5は、この発明の他の実施例において、また、この発明によるアンテナの調整のために、巻き方向が逆になる点に可変インピーダンスを持つ、2ポートの螺旋形のアンテナである。
図6は、図1に示すアンテナの電磁場の指向を示した、指向線である。
図7、8、9は、図1に示すアンテナにおけるトロイドのノードの配置に関して、電流と磁場の線である。
図10、11、12は、図4に示すアンテナにおけるノード間のトロイド位置に関して、電流と磁場の線である。
図13は、送信線の終端の等価回路である。
図14は、可能出力の調節、および、電場相殺の向上、および、構造体の単純化を目指した本発明による、トロイド上の、ポロイド巻線の、拡大図である。
図15は、インピーダンスと位相のマッチング素子を具え、本発明を具体化したアンテナであって、4分円に区切った場合の単純化したブロック図である。
図16は、インピーダンスをマッチングした、巻線を接続する第1と第2のコイルを用いて、この発明を実施した場合のアンテナの巻線の拡大図である。
図17は、この発明を具体化したアンテナの等価回路と、その同調装置の図である。
図18、19は、図17に示す同調の目的で、トロイドの周りを囲む金属箔の同調素子を用いたトロイドアンテナの部分略図である。
図20は、対面するノードの間に同調キャパシターを用いて、本発明を実施した場合のアンテナを示した略図である。
図21は、本発明を実施する4分円のアンテナに対する、他の同調方法を用いた場合の、等価回路である。
図22は、図21のような同調の目的で、トロイド面を導電箔で包んだ場合の、本発明によるアンテナを示したものである。
図23は、図24の線23-23に沿う断面図である。
図24は、本発明によるアンテナが箔で覆われた場合の斜視図である。
図25は、本発明の“回転対称な”アンテナの、他の実施例である。
図26は、アンテナ上で、変調器で制御される、パラメトリックな同調装置を用いた、FM送信機の機能ブロック図である。
図27は、ポロイドループを用いた、全方向型アンテナである。
図28は、図27に示すアンテナのループの一つの側面図である。
図29は、ループを用いたアンテナの等価回路である。
図30は、正方形のループのアンテナの側面図である。
図31は、この発明による円筒形のループのアンテナの部分切断図である。
図32は、図31の32-32方向に切った断面図であり、巻線の電流の線図を含む。
図33は、本発明による、ポロイドループの形状に対する、同調とエミュレーションのためのトロイド溝が設けられた、トロイドの部分図である。
図34は、トロイドコア同調回路によるトロイドアンテナである。
図35は、図34に示すアンテナのための等価回路である。
図36は、本発明にしたがって、中央キャパシタンスの同調配列をした、トロイドアンテナの切断図である。
図37は、ポロイド巻線を用いた、図36に示したアンテナの他の実施例の切断図である。
図38は、キャパシタンスが可変な、他の実施例である。
図39は、本発明に係る正方形トロイドアンテナの平面図であって、アンテナ帯域を増大させ、スロットによって、磁気ループ形状の同調又はエミュレーションするものである。
図40は、図39の40−40に沿う断面図である。
図41は、図39に示したアンテナの他の実施例であり、同調又はポロイド形状のエミュレーションのために、6つの側面に溝を設けられたものの平面図である。
図42は、図41の42-42に沿う断面図である。
図43は、従来の線形螺旋である。
図44は、少し変形の線形螺旋である。
図45は、螺旋の全長にわたって、磁場が一様、又はほぼ一様と仮定して、図45に示される配置の合成に相当する図である。
図46は、外部ループを添加して、位相と割合の調節を行った、逆巻きのトロイド螺旋アンテナである。
図47は、右巻きの等価回路と左巻きの等価回路、そして、それの電場と磁場の図である。
図48は、直列に給電されたアンテナの略図である。
図49は、直列に給電された別のアンテナの略図である。
図50は、1又は2の給電ポートを有する別のアンテナの略図である。
図51は、図48〜51のアンテナのトロイドの実施例の典型的な放射パターンの正面図である(elevation radiation pattern)。
図52は、パラボラ反射体を用いたトロイドアンテナの斜視図である。
図53は、図52のトロイドアンテナの縦断面図である。
図54は、別のパラボラ反射体を用いたトロイドアンテナの斜視図である。
図55は、図54のトロイドアンテナの縦断面図である。
図56は、螺旋形の部分と放射状の部分を持つ導電経路を具えた逆巻きの導体を有する筒状アンテナの等角図である。
図57は、螺旋形の導電経路を有するトロイドアンテナの典型的な放射パターンの正面図である。
図58は、図56のアンテナの典型的な放射パターンの正面図である。
図59は、ほぼ円形の断面及び中央コンジットを有するほぼ球状のトロイド形の斜視図である。
図60は、螺旋形の導電経路を有するトロイドアンテナの典型的な放射パターンの正面図である。
図61は、図59のアンテナの典型的な放射パターンの正面図である。
図62は、長軸半径よりも大きい短軸半径を有するトロイド形の縦断面の斜視図である。
図63は、図62のトロイド形の螺旋形の導電経路を具えた導体の平面図である。
図64は、図63の導線の斜視図である。
図65は、図62のトロイド形の螺旋形の導電経路を具えた逆巻き導線の斜視図である。
図66は、球状アンテナの単一球状導線の斜視図である。
図67は、球状アンテナの逆巻き球状導線の斜視図である。
図68は、半球状アンテナの逆巻き半球状導線の斜視図である。
図69は、球状アンテナの別の単一球状導線の斜視図である。
図70は、球状アンテナの別の逆巻き球状導線の斜視図である。
図71は、直列又は並列の給電ポイントを具えた球状アンテナの逆巻き球状導体の斜視図である。
図72は、図62のトロイド形と共に用いる4つのセグメントからなる螺旋形アンテナの略図である。
発明の望ましい実施例の説明
図1において、アンテナ(10)は、2つの電気的に絶縁された閉回路導線(巻線)W1とW2より成り、その巻線は4等分(n=4のとき)されたセグメント(segments)(12)を通過して、トロイド形TFの周りに延びている。巻線は、2つのピンS1とS2から、高周波(RF)電気信号が供給される。各セグメント内で、巻き線は“逆巻き”、すなわち、実線で示したように、巻線W1の始まりは右巻き(RH)、また、破線で示したように、巻線W2の始まりは左巻き(LH)である。後述の式より決定されるように、各導線は、巻き数が等しい螺旋形であると考える。ジャンクションあるいはノード(14)のところで、各巻線はそれぞれ逆巻きになる(それぞれの切断図参照)。信号のターミナルS1とS2は2つのノードに接続され、その2つのノードを“ポート”と呼ぶ。ここでは、4つのポートの各組のノードを、a1とa2、b1とb2、c1とc2、d1とd2とする。図1では、例えば、a、b、c、dの4つのポートがある。TFの短軸に対応し、あるひとつのポートを決めると、ノードは、他のノードに対しても、また、トーラスに対しても、いかなる角度関係をもとりうるが、いずれにせよ、各セグメントの中にある巻き数が整数であるとき、この構造体中の全てのポートが等角度の位置関係となるようにする。例えば、図2は、真反対側に対面するノードを示したものであるのに対して、図3は重複するノードを示したものである。このノードは互いに重なりあっているが、ポートからポートまでの間は、ターミナル、すなわち、ピンS1とS2に対応するノードは、図に示されているように、互いに反対側となるように接続されていて、真反対側に対面しあうセグメント同士が、同様の接続状態を平行に有し、その巻き方向も同じとなるようにされている。その結果、各セグメントの中で、巻線電流は互いに反対方向を向いて流れ、その方向は、セグメントからセグメントへ移るときに逆方向になる。セグメントの数は、偶数であれば、多くすることも少なくすることも可能であるが、(螺旋形の巻線と有効周波数によって、伝搬速度が変化することを考慮に入れると)、ノードと、トロイドの送信線の有効な長さとは、連関性があることは理解されるべきことである。図5に示されるように、ノードの位置を変えることによって、それも特に、外部インピーダンス(16)を用いることで、アンテナの偏波や方向性は制御される。ここに示した4つのセグメントの配置は、アンテナの軸からの仰角θと、図6に描かれるように、アンテナから放射された電磁波の偏波E1、E2があるような、垂直偏波の全方向の指向性を、生むことが判ってきた。
図1はセグメント数が4つである実施例を図示したものであり、図4はセグメント数が2つの実施例を図示したものであるが、この発明は、例えばセグメント数が6つの場合など、どんな偶数のセグメント数に関しても実行できることが、認識されるべきである。セグメント数を多くすることによる利点の一つは、放射されるエネルギーが増加することと、それに、アンテナの給電ポートの合成インピーダンスが減少するので、信号のターミナルインピーダンスを、アンテナの給電ポートの合成インピーダンスにマッチングする作業が簡単になることであろう。セグメント数を少なくすることによる利点は、アンテナ全体のサイズを小型化できることである。
この形状の主目的は、図6に描かれるような、垂直偏波の全方向の放射の指向性を生むことであるが、電磁気系の式の原理や、電気的な双極のアンテナの基本的な理解においては、このようなことが可能になるには、磁流や磁束の方向一定の円環を生じなければならないと、これまでは認識されていた。したがって、このアンテナは、そのような磁流分布を生じさせる仕様に関して、論じられることとなろう。図1において、ある平衡状態の信号が、信号ターミナルS1、S2に向けて出される。この信号は、トロイドの螺旋の給電ポートまで、dを通り、平衡状態の送信線を経て送られる。平衡状態の送信線の理論からわかるように、送信線のどの点においても、2本の導線を流れる電流は、位相が180度ずれている。送信線が接続されているノードについても、各ノードから両方向に、電流信号が動いている波として伝わり続ける。これらの電流のそれぞれの方向での分布の様子は、セグメント数4のアンテナについては図7から9に、セグメント数2のアンテナについては図10から12に、それぞれ示されており、また、Jを電流、Mを磁流として、これらのポートあるいはノードに対する曲線で表わされている。こうした分析により、信号の周波数は、周の長さが電気的に1波長以上のアンテナ構造体に合わせて同調させること、この構造体の中での電流の分布は、振幅がほぼ一定の正弦波になることがわかる。アンテナの構造体の中の、逆巻きのトロイド螺旋形は、送信線として扱われるが、エネルギー放射で漏電しやすい送信構造である。図7と10の曲線は、信号が出発したノードからの伝搬の方向に関連した極性の、電流の分布を示したものである。図8と11の曲線は、いわゆる反時計回りの方向に関しての、同じ電流の分布であり、電流の極性がその方向によって変わることが認められる。図9と12は、それに対応する磁流分布を、図1の原理を利用して、図示したものである。図8と11は、トロイド螺旋の構造体の上で、電流の分布は実質的には、相殺されることを示している。ところが、図9と12の示すように、磁流の分布は増大する。そこで、これらの信号は直角位相で、あわせてほぼ一様な一定方向の分布流を形成するのである。
この発明を実行するためには、次の5つの重要な要件が満たされなくてはならない。1)アンテナは、信号の波長に同調させること。すなわち、信号の周波数において、トロイドの螺旋の各セグメントの電気的な周の長さは、1/4波長にすること。2)各ノードにおける信号の振幅は一定であること。3)各ポートにおける信号の位相は同じであること。4)ターミナルS1、S2に送られる波は釣り合っていること。5)信号の反射波を打ち消すために、信号ターミナルS1、S2をトロイド螺旋の構造体の上のポートに接続している送信線セグメントのインピーダンスは、送信線セグメントの各端点のそれぞれのロードに、マッチングされること。
以下に使う式では、このアンテナの寸法を計算する際に、次のパラメータを用いる。
a=トーラスの長軸半径
b=トーラスの短軸半径
D=2×b=トーラスの短軸直径
N=トーラス周囲を巻いた螺旋導体の巻き数
n=単位長さあたりの巻き数
g=アンテナの速度係数
Figure 0003913778
b(正規化)=b/λ=b
w=正規化された導線長
λg=自由空間における、速度係数とλに基づく波長
m=アンテナのセグメント数
トロイド螺旋のアンテナは、次の3つの物理変数によって決まる、“共振”の周波数にある。
a=トーラスの長軸半径
b=トーラスの短軸半径
N=トーラス周囲を巻いた螺旋導体の巻き数
V=被導波(guided wave)の速度
自由空間での波長λについて変数を正規化し、関数a(V)、b(Vg,N)を作って表わし直せば、独立な変数の数は、VgとNの2つに減ることがわかる。すなわち、自由空間での波長をλとして、この物理構造は対応する共振周波数を有することになる。セグメント数4のアンテナでは、共振がおこるのは、トーラスの長軸円周の長さが1波長となるような周波数のときである。一般に、共振がおこる周波数とは、アンテナの各セグメントの長さが、被導波の波長の1/4になるようなアンテナ構造体の上で、定在波を生じるような周波数である(すなわち、図1の各ノード12も、1/4被導波長である)。この分析に於いては、次の仮定を置いている。構造体は1波長分の長軸周長を有すること。及び給電と巻線は対応して製られていること。
アンテナの速度係数は、次の式で与えられる。
Figure 0003913778
次のように、トーラスの物理的な寸法は、自由空間における波長λに関して、正規化される。
Figure 0003913778
1953年発行のNational Convention Part 2 - Antennnas and Communications第42〜47頁、Convention Record of the I. R. E.の中の、A. G. KandoianとW. Sichak共著の“Wide-Frequency-Range Tuned Helical Antennas and Circuites”という文献には、単線の直線形螺旋内の導線と共軸な線の速度係数を計算する公式が、記載されている。幾何学変数の代入によって、米国特許第4,622,558号と4,751,515号では、この公式はトロイドの螺旋形状に変形されていた。
Figure 0003913778
この公式は、本件の発明とは異なる物理的な実施例を基盤にしているが、本発明と近い内容なので、そこに経験的な修正を少し加えれば、共振周波数を得るのに役に立つ。
式(1)と(2)を、式(3)に代入して、整理すると次のようになる。
Figure 0003913778
式(1)と(2)により、速度係数と正規化された長軸半径は、正比例の関係になる。
Figure 0003913778
ゆえに、式(4)と(5)を変形して、VgとNを用いて、正規化されたトーラスの長軸半径と短軸半径について解くと、次のようになる。
Figure 0003913778
ただし、トーラスの基本比に従う。
Figure 0003913778
式(2)、(6)、(7)、(8)により、基本的な、周波数から独立した関係式が求められる。扱う周波数、速度係数、巻き数がわかっているとき、それに対応するアンテナの物理的なサイズを求めたいときに又、決まった螺旋巻き数を持つ、ある寸法のアンテナが与えられたときに、扱える周波数を決定するといった逆の問題を解きたいときに、これらの関係式を用いることができる。
KandoianとSichakの関連業績を基に、さらに制約を設けて、正規化した変数について次のように表すことができる。
Figure 0003913778
この式を、bが求められるように変形して、式(7)を代入すると、次のようになる
Figure 0003913778
式(10)を変形して、変数を分離すると、次のようになる。
Figure 0003913778
得られた二次不等式を解くと、次のように求められる。
Figure 0003913778
また、(6)と(8)より、次のようになる。
Figure 0003913778
条件(13)は、条件(8)より導かれるもので、条件(12)よりも厳しく見える。
そして、螺旋形の導線の正規化された長さは、次に与えられる。
Figure 0003913778
ワイヤの長さは、a=bのときに最小値をとり、そのとき、巻き数Nは最小になる。a=bのとき、(6)より、
Figure 0003913778
ゆえに、
Figure 0003913778
セグメント数4のアンテナに対して、m=4、かつ、
Figure 0003913778
式(15)を式(10)に代入すると、次式が得られる。
Figure 0003913778
ワイヤの長さの最小値に対して、N=最小値=4として、4セグメントのアンテナの場合、
Figure 0003913778
一般に、速度係数が小さいとき、ワイヤの長さは最小値であるから、式(18)は次のように近似できる。
Figure 0003913778
これを、式(16)に代入すると、次が得られる。
Figure 0003913778
従って、セグメント数2のほとんどのアンテナについて、導あたりのワイヤの全長は、自由空間における波長よりも長くなるだろうということが、KandoianとSichakの式により予測される。
以上の式より、半波長で直線形のアンテナで、効率のよい送信特性を有するトロイドを製作することができる。この発明に従って製作された、多くの逆巻きのトロイド螺旋形のアンテナの実験から示されたことは、与えられた構造体の共振周波数は、式(2)、(6)、(7)より求められる値とは異なるということであり、とくに、実際の周波数が式(2)、(6)、(7)による計算結果に従うのは、2つの導線のうちのどちらかに関して、計算中で使われる巻き数Nが、実際の巻き数より2〜3倍になるようである。場合によっては、実際の周波数が、ワイヤの長さと最もよく関連しあっているようなこともある。ある長さのトロイダル螺旋形の導線Lw(a,b,N)があるとき、その長さは、次のような周波数を持つ、自由空間での電磁波の波長に等しくなると思われる。
Figure 0003913778
また、場合によっては、共振周波数の測定値が、0.75×fw(a,b,N)かfw(a,b,2N)で、計算したとおりになることもある。例えば、この発明のトロィドが次の数値で設計された場合、周波数が106 MHzのとき、速度係数を1.0とすると、直線形の半波長のアンテナは、1.415 m(55.7インチ)の長さになる。
a=6.955 cm(2.738インチ)
b=1.430 cm(0.563インチ)
=16回巻き #16 wire
=4セグメント
このトロイド設計の実施例では、式(2)、(6)、(7)の計算ではN=16のとき、共振周波数は311.5 MHzで、Vg=0.454となり、N=32のとき、共振周波数は166.7 MHzとなる。扱う周波数を測定したところ、Vg=0..154であり、それで、式(4)を成り立たせるためには、有効なNの値は51回巻きでなくてはならないことになるが、これは各導線の実際の値の3.2倍である。この場合、fw(a,b,2N)=103.2 MHzである。
図5に示すような、この発明の応用例では、2つのポートaとcで、入力信号に対する接続が遮断され、また、対応するノードのところで、導線も遮断される。残っている4つの開ポート、a11−a21、a12−a22、c11−c21、c12−c22は、逆巻きのトロイド螺旋形の導線の組でつくる、送信線のセグメントの固有インピーダンスにマッチングされたリアクタンスZで終わる。それらのターミナルのリアクタンスで信号は反射されて(図13参照)、入射波との位相差が90度の反射波となり、トロイド螺旋形の導線の電流分布は図1の実施例のものと似るので、同様な放射指向を生じるが、信号のターミナルと信号のポートとの間の給電点の数は少ないので、アンテナの構造体における調節や同調がより簡単になる。
トロイドの逆巻き導線は、螺旋形以外の形でも応用することができ、それでも尚、この発明の概念を満たす。図14は、そのような、この発明の他の応用例のひとつで(「ポロイド−周辺・巻線パターン」)、今度は、2本の絶縁された導線W1、W2が各々つくっていた螺旋形をばらにして、つなぎあわせ、ポロイドループ14.1とした。つながりの部分は、長軸に関して円弧を形成する。この応用例では、トロイドの電流成分をより確実に相殺し、また、ポロイドループによって磁流成分をより正確な方向に生じさせるようにするため、2つの別々の導線はどの場所でも平行になるようにする。この実施例の特徴は導線間キャパシタンスであり、それがこの構造体の共振周波数が低くなるように働くことが実験的に確かめられている。平行な導線W1、W2の間隔を調節すること、すなわち、2つの逆巻き導線が、互いに、あるいは、トーラスの長軸か短軸のいずれかに関してなす相対角を調節することで、この実施例の共振周波数は調節できるのである。
この発明を最もよい状況で実行するためには、信号ポートS1、S2にそれぞれにおける信号は、互いに振幅も位相も平衡状態に(すなわち、振幅が同じで位相は常に180度違う)なければならない。信号の給電の送信線セグメントも、両端点、すなわち、逆巻きのトロイド螺旋形の構造体の上の個々の信号ポートのところと、信号の共通ターミナルのところとで、マッチングされなくてはならない。逆巻きの巻線、その巻線の形状などの諸要因の持つ不完全な点が原因で、信号ポートでのインピーダンスに変分が生じる可能性がある。そのような変分は、図15に示されるような形で補正して、後述するように、アンテナ構造体に入る電流の振幅と位相が平衡状態を保ち、トロイド電流成分が最も確実に相殺されるようにする必要がある。最も簡単な形では、信号ターミナルでのインピーダンスがZ0、典型的なもので50オームであり、また、信号ポートでの信号のインピーダンスが、Z1-m×Z0の値だとすると、インピーダンスZ1で全て同じ長さのm本の給電線を用い、信号ターミナルでそれを並列につないで合計値がZ0になるようにすれば、この発明は実行できる。もし、信号ターミナルでのインピーダンスが上記とは違う抵抗値Z1であるとすると、それぞれ1本の長さが1/4波長で、しかも、固有インピーダンスZf=Z01を持つような、変圧器給電線を用いれば、この発明は実行できる。一般に、送信線素子から構成されたダブル・スタブの同調器を用いれば、どんなインピーダンスもマッチングすることができる。信号ターミナルの給電線は、図16に示すように、信号ポートに電気誘導的に連結することができる。この技術は、信号ポートのインピーダンスを給電線にマッチングできるだけでなく、給電点で不平衡だった信号を、逆巻きのトロイド螺旋形の構造体の信号ポートの点で平衡な信号に変成して送るバラン(balun)の役も果たす。この誘導連結法によって、アンテナ構造体が自由に共振できるように、信号給電とアンテナ構造体の間の連結係数を調節することができる。当熟練者には馴染みのある、インピーダンスや位相や振幅をマッチングしたり平衡状態にしたりする他の手段もまた、この技術の概念の範囲で行うことができる。
このアンテナ構造物は、様々な方法で同調させることができる。一定方向の円磁流を保つよう、同調のための装置はこの構造体の周囲に一様に分布するのが、最ものぞましい在り方である。図17は、2本の絶縁された導線を覆い、これらの間の容量性の連結を修正する、ポロイド箔構造(18.1)、(19.1)(図18、19参照)を示したものである。ポロイド同調素子は開回路でも閉回路でもよいが、ただし、後者は新たに誘導成分を生じる、図20は、異なるノード、とくに、同一導線上の真反対側に対面するノードを、容量的に連結することで、アンテナ構造物上の信号を平衡状態にするための装置を示したものである。可変なキャパシターC1を用いれば、一続きになっているか区切られている円形の導電箔あるいはメッシュを、トロイドの形とトロイド外延の表面に平行となるように着けることで、容量結合は、一定方向に連続的となる。図23と25の実施例は、図17〜21の実施例の延長で、ここでは、トロイド螺旋構造体HSは、どの部分も同軸なシールド(22.1)に、完全に覆われている。そのようなシールドと平行するよう、正確なトロイド形をした磁場が、螺旋構造体HSから生じて、十分に薄い箔と、ある導電率や扱う周波数が与えられているときに、電磁気的な束縛条件が満たされて、構造物外部の磁場の伝搬が可能になるのが理想的である。ここに説明されるように、同調のために、(ポロイド)溝(25.1)を加えることもできる。
逆巻きのトロイド螺旋形のアンテナ構造物は、比較的高Q値の共振器であって、これは同調要素と、図26に示すようにアンテナ(10)から電圧を受信する発振増幅器(26.2)を有するFM波送信器のための送信アンテナとを合成したものとして機能することが出来る。変調器(26.4)に制御されるパラメトリックな同調素子(26.3)によって、変調が行われる。送信器の周波数F1を制御しているのは、リアクタンスの直接的な修正か、無効になるよう設定された素子(既述)の切り替えかによって、アンテナ構造体に取り付けられる容量的あるいは電気伝導的な同調素子の電気的な調整であり、このことによって、構造体に連結されたリアクタンスを制御して、逆巻きのトロイド螺旋構造体の固有周波数を調節する。
図27に示すように、この発明の他の応用例では、前述の実施例のトロイド螺旋形の導線を、方向一定で、トロイドの形の周りに配列された、一続きのN個の、ポロイドループ(27.1)に置き換えることができる。トーラスの長軸半径に関して、それぞれのループの最も内側で信号ターミナルS1につながり、他方、それぞれのループの最も外側で信号ターミナルS2につながっている。個々のループは、互いに独立に任意の形になることができ、図28は円形、図30は長方形の場合を示している。この配置のための、電気的な等価回路は、図29に示される。個々のループセグメントは、従来のループアンテナと同様のはたらきをする。この合成構造では、個々のループは平行に配列され、各ループで生じた磁場成分が同位相で、トロイド形に対して決まった方向を向き、その結果、方向一定の一様な磁流が生じるようにする。これに対して、逆巻きのトロイド螺旋形のアンテナでは、その逆巻きの螺旋形の導線のトロイド形の成分から生じた場は、あたかもそのような成分が存在していないかのように相殺し、導線のポロイド成分から生じたものだけが残る。図27の実施例は、形成された電磁場の相殺効果に頼るというよりも、物理的な構造からトロイド成分を打ち消すものである。図27の実施例で、ポロイダルループ(poloidal loop)の数が多くなると、図31及び33の実施例は、それぞれ長方形のループ、円形輪郭のループになる。ばらばらだったループが、連続した電気伝導的な表面になっていき、放射状に溝をつけたり、または、つけなかったりしながら、多ループの実施例をエミュレートするものである。こうした構造体は、どこをとってもトロイド面に平行であるような一定方向の円磁流(magnetic ring current)と、それに対応して、どこをとっても、導電性のトロイド面に垂直であるような電場を生じる。そして、この構造体によって生じる電磁波は、連続した導線の場合、表面は十分に薄いものと仮定すると、導電性の表面を伝搬していく。この装置は、構造体の上面と底面の間、すなわち、トロイドの主軸と平行に、電荷を移動させる、双極な電気の環の効果を持つと考えられる。
ループの周は、共振波長の1/2の桁である必要があることから、図27と31の実施例は、比較的サイズが大きくなるという欠点も持っている。しかし、ループの大きさは、直列のインダクタンスか並列のリアクタンスを、構造体に加えることによって、小さくすることができる。図34は、図31の実施例をソレノイドの導線(35.1)の中に入れた形の配線をつくることによって、直列インダクタンスを加えた場合を示したものである。図36は、並列にキャパシタンス(36.1)を図31の実施例に加えた場合を示したものである。並列なキャパシターは、トロイド構造体TSの中心にハブ(36.2)を設ける形をしていて、TSもまた、ターミナルS1とS2の信号をアンテナ構造体に給電する働きをしている、中心の電気的な接続素子(36.3)と、トロイドの両方を、機械的に支える働きをしている。並列なキャパシターと構造ハブは、2枚の誘導板P1とP2でつくられ、銅やアルミニウムなど無磁性の導体の材質から成り、空気、テフロン、ポリエチレンなどの無極性あるいは低極性の媒体(36.4)によって、その間を仕切られる。ターミナルS1とS2との接続素子(36.3)は、平行平板P1とP2の中央部に、電気伝導的に、それぞれ取り付けられ、また、電気伝導性のあるトロイド面TSの内側の溝のそれぞれの側部に、各々取り付けられる。電流信号は、接続素子(36.3)から、平板P1とP2を経て、電気伝導性のあるトロイド面TS上を、外側に向かって放射状に流れる。電気伝導板P1とP2によってキャパシタンスが与えられることによって、トロイド面TSのポロイダルの周サイズは、そうせずに、同じ周波数でループのアンテナを扱って、似たような共振をおこしたときに比べて、著しく小さくなる。
図36の容量的な同調素子を、図27の電気伝導的なループと組み合わせて、図37のような実施例を形成することができ、図37の実施例の設計は、全てのキャパシタンスが平行平板キャパシターによって与えられ、全てのインダクタンスがワイヤループによって与えられるような、図38の等価回路を想定して、描かれたものである。平行平板キャパシターと導線ワイヤに関する公式は、1986年、Howard W. Sams発行、E. C. Jordan編、の文献、Reference Data for Radio Engineers,第2版.の第6〜13頁に次のように与えられている。
Figure 0003913778
ここで、
C=キャパシタンス(pfd)
wire=インダクタンス(μH)
A=板面積(インチ×インチ)
t=板間隔(インチ)
N=板数
a=ループワイヤの平均半径(インチ)
d=ワイヤの直径(インチ)
εr=比誘電率
等価な並列回路の共振振動数は、N個のワイヤ全てについて考えると、次のように与えられる。
Figure 0003913778
16ゲージのワイヤー(d=0.16 cm(0.063インチ))のN=24個のループに対して、短軸直径=7.00 cm(2.755インチ)、長軸内径(キャパシター板直径)=10.28 cm(4.046インチ)、板間隔t=0.358 cm(0.141インチ)のトロイドがある場合、計算上の共振周波数は156.5 MHzとなる。
図38の実施例で、一巻きのトロイドのループのインダクタンスは、およそ、次のようになる。
Figure 0003913778
ただし、μ0は自由空間の透磁率で、400π nH/mで与えられ、aとbはそれぞれ、トロイダル形の長軸半径と短軸半径である。トーラスのハブをなす平行平板のキャパシタンスは、次で与えられる。
Figure 0003913778
ただし、ε0は、自由空間の誘電率=8.854 pfd./mである。
式(27)と(28)を、式(25)と(26)に代入すると、次が得られる。
Figure 0003913778
式(29)は、板間隔が1.01cm(0.397インチ)に増えたとき、上掲したトロイダル形状は、連続導体表面の場合を除いて、同じ156.5MHzという同様な共振周波数を有することを計算で示す。
均等な間隔を板間に設けるか、図38に示したような板から、比較的狭い輪状の溝をつくることで、間隔をあけるかしたものを調節することで、図36、37、38の実施例は、同調させることができ、その場合、のぞましい同調とは、方向が一定で対称であり、構造物の中心から外側に向かって放射状に伝搬される信号が対称性を保っていられるような状態のことである。
図39と41は、このアンテナ構造物の周波数帯域を増やすための装置である。半径方向へ外側に信号が伝搬するので、それぞれ半径方向に対して別々の共振回路を与えると、周波数帯域は増える。磁場がある方向で乱れることを最小にするため、方向による変化は方向について対称的とされる。図39と41は、市販のチューブ金具から形成した形状を示したものであり、それに対して、図25(図24)は、磁場に対する方向的な障害が少なくなるように周期的に半径が変化するような形状を示したものである。
螺旋形のアンテナの従来の技術は、地理技術的にその位置から遠距離に届くということに関して、応用が図られている。その応用は、比較的低周波数においては使用可能であるが、よい成果を得るためには大きな構造物が必要になる。直線螺旋形アンテナが図43に描かれている。これは、図44で近似できる。図44のものは、本当は螺旋ではなく、1巻きのループを直線でつないで、1列にしたものである。もし、一様またはほぼ一様な磁場がこの構造の上に生じたら、ループ素子は合成直線素子から離れて、図45のようになりうる。直線素子でなく、図46に描かれているような、トロイド螺旋形か、トロイド形でポロイドアンテナ構造を用いれば、この構造物はサイズはかなり圧縮されうる。この配線の主な利点は、構造全体が、同規模相当の直線螺旋形のものよりも小型化でき、飛行機にも、陸上乗り物にも、船舶にも持ち込みの用途に使えるし、目立たないということである。この配線のもうひとつの利点は、図45の利点でもあるが、磁場と電場の成分が分解され、続いて、直線螺旋固有の電磁場とは異なり、別の情報を供しうるものに、再合成されることである。
図48について述べると、電磁気学的なアンテナ(48)の略図が描かれている。アンテナ(48)は、図1のトロイド形TFのような表面(49)、絶縁された導体線回路(50);及び2つの信号ターミナル(52)(54)を有している。但し、本発明は、多重連結面、ほぼ球状面(図59に示される)、球状面(図66に示される)又は半球状面(図68に示される)などの多種多様な表面に応用することができる。
ここで、“多重連結面(multiply connected surface)”という表現を使ったが、次の面は積極的に含まれる。但しこれらに記載したものに限定されるものではない。
(a)図1のトロイド形TFのように、短軸半径に等しいかそれ以上の長さの長軸半径を持つ任意のトロイド面。
(b)円形、平面状の閉曲線又は正多角形を回転させた立体表面で、複数種類の半径があるものを、元の平面に含まれる回転軸の周りに回転させたものであって、長軸半径がゼロより大きく、短軸半径が長軸半径より小さいか、等しいか又は大きいような前記以外の回転体表面。
(c)六角形タイプのようなナットや、座金(ウォッシャー)のような、形状が一般的に平面から定義されるような立体で、内径がゼロより大きく、外径が内径より大きいもので、内周も外周も、平面閉曲線か正多角形から作られたような立体。
例示されている、絶縁された導線回路(50)は、導電経路(56)によって、表面(49)に亘ってその周りに巻かれて、ノード(60)(+)から別のノード(62)(−)にまで延びている。絶縁された導線回路(50)は、また、別の導電経路(58)によって、表面(49)に亘ってその周りに巻かれて、ノード(62)(−)からノード(60)(+)にまで延びているので、こうして、単一の無端状導電経路を表面(49)に亘ってその周りに形成している。
図1に関連して述べたとおり、導電経路(56)と(58)は、巻き数は同じで、向きが逆巻きの螺旋形の導線で、導電経路(56)の螺旋のピッチの向きは、実線で示してあるように右巻きで、導電経路(58)の螺旋ピッチの向きは破線で示してあるように左巻きである。
導電経路(56)(58)は、略螺旋形、部分的に螺旋形、ポロイド−周辺パターン、スパイラル形の如く、螺旋形以外の形とすることが出来、それらは本発明の要旨を満たすものである。導線経路(56)(58)は、図14に関連して述べたとおり、逆向き巻線方向を持つ、逆巻きした「ポロイド−周辺巻線パターン」とすることが出来る。2つの絶縁導線W1、W2の各々によって形成された螺旋は分解されて、繋がった一連のポロイドループ(14.1)となる
図48の言及の続きになるが、導電経路(56)と(58)は、ノード(60)と(62)において、逆向きになる。信号ターミナル(52)と(54)は、それぞれ電気的にノード(60)と(62)に接続されている。信号ターミナル(52)と(54)は、絶縁された導線回路(50)と、出された(送信された)り、入ってきた(受信した)りする高周波(RF)の電気的な信号(64)の、受け渡しを行う。例えば、送信された信号の場合、絶縁された導線回路(50)の単一の無端状経路は、信号ターミナル(52)と(54)から一連に給電される。
当業者なら判ることであるが、導電経路(56)(58)が、単一の絶縁された導体例えば、ワイヤ又は印刷回路導線で形成されること、そして、ノード(60)からノード(62)への導電経路(56)と、ノード(62)からノード(60)へ帰る導電経路(58)を含む単一の無端状導電経路を形成する。また、さらに、当業者なら判ることであるが、導電経路(56)(58)が、複数本の絶縁された導線でも形成されること、例えば、1本の絶縁された導線が、ノード(60)からノード(62)への導電経路(56)をなし、もう1本の絶縁された導線が、ノード(62)からノード(60)へ帰る導電経路(58)をなすというようなものでも、形成されることである。
信号(64)の公称作用周波数(nominal operating frequency)は、アンテナ(48)の構造に合わせているため、その電気的周囲の長さは、2分の1波長であり、構造上の電流分布の規模は、正弦曲線を描き、これは近似値である。逆巻きの導電経路(56)(58)のそれぞれの長さは、公称作用周波数の誘導波長の約2分の1であるが、該経路は、給電が安定している不均一な送信ラインの要素と考えることもできる。経路(56)(58)は閉鎖されたループを構成し、該ループは、例えば図1のトロイド形TFなどのトロイド面の場合には、捻られて「8の字」になり、折りたたんでそれ自身の上に戻すことにより、2つの同心の巻き線が形成される。
図49を参照すると、別の電磁アンテナ(48’)の略図が描かれている。アンテナ(48’)は、図48の表面(49)のような表面、絶縁された導線回路(50’)及び2つの信号ターミナル(52’)(54’)を含んでいる。ここに記載の事項を除いては、電磁アンテナ(48’)、絶縁された導線回路(50’)及び信号ターミナル(52’)(54’)は、それぞれ、図48の電磁アンテナ(48)、絶縁された導線回路(50)及び信号ターミナル(52)(54)とほぼ同じである。
典型的な絶縁された導線回路(50’)は、導電経路(56’)にて、表面(49)に亘ってその周りに巻かれて、ノード(60’)(+)から中間ノードAへ、そして中間ノードAから別のノード(62’)(−)まで延びている。絶縁された導線回路(50’)はまた、別の導電経路(58’)にて、表面(49)に亘ってその周りに巻かれて、ノード(62’)(−)から中間ノードBへ、そして中間ノードBから別のノード(60’)(+)まで延びている。これによって、表面(49)に亘ってその周りに巻かれた、単一の無端状導電経路が形成される。
図14及び48に関連して前述したように、導電経路(56’)(58’)は、巻き数が同じである逆巻きの螺旋形導電経路であってもよく、また、全くの螺旋形以外でも、たとえば、ほぼ螺旋形、部分的な螺旋形、渦巻き形又は、巻き方向が反対である逆巻き「ポロイド−周辺巻き線パターン」で配線してもよい。
信号ターミナル(52’)(54’)は、出ていく(送信された)又は入ってきた(受信された)RF電気信号(64)を、絶縁された導線回路(50’)に供給するか、又は、該回路(50’)から受信する。導電経路(56’)(58’)のそれぞれの長さは、信号(64)の公称作用周波数の誘導波長の約2分の1であるが、該導電経路は、ノード(60’)(62’)にて方向を変える。信号ターミナル(52’)(54’)は、それぞれ中間ノードA、Bに電気的に接続されている。各ノード(60’)(62’)から各中間ノードA、Bまでの接続経路(56’)(58’)の長さが、各中間ノードA、Bから各ノード(62’)(60’)までの導電経路(56’)(58’)の長さと等しくなるように、ノード(60’)(62’)は、中間ノードA、Bと真反対に対面していることが望ましい。
当該分野の技術者であれば、導電経路(56’)(58’)は、ノード(60’)から中間ノードAまでの導電経路(56’)及びノード(62’)から中間ノードBまでの導電経路(58’)を含む、単一の無端状導電経路を作っている単一の絶縁された導体によって形成できることが分かるであろう。更に、当該分野の技術者であれば、導電経路(56’)(58’)のそれぞれは、1又はそれ以上の絶縁された導体によって形成できることが分かるであろう。たとえば、ノード(60’)から中間ノードAまで及び中間ノードAからノード(62’)まで、1つの絶縁された導体を用いるか、又は、ノード(60’)から中間ノードAまでは1つの絶縁された導体を用い、中間ノードAからノード(62’)までは別の絶縁された導体を用いるなどがその例である。
図50を参照すると、別の電磁アンテナ(66)の略図が描かれている。アンテナ(66)は、図48の表面(49)のような表面、第1の絶縁された導線回路(68)、第2の絶縁された導線回路(70)及び2つの信号ターミナル(72)(74)を含んでいる。
絶縁された導線回路(68)は、一対の螺旋形導電経路(76)(78)を含んでおり、絶縁された導線回路(70)も同様に、一対の螺旋形導電経路(80)(82)を含んでいる。絶縁された導線回路(68)は、導電経路(76)にて、表面(49)の一部に亘ってその周りに巻かれて、ノード(84)からノード(86)まで延び、また、導電経路(78)にて、表面(49)の一部に亘ってその周りに巻かれて、ノード(86)からノード(84)まで延びているため、これらの導電経路(76)(78)により、表面(49)に亘ってその周りに巻かれた無端状導電経路が形成される。絶縁された導線回路(70)は、導電経路(80)にて、表面(49)の一部に亘ってその周りに巻かれて、ノード(88)からノード(90)まで延び、また、導電経路(82)にて、表面(49)の一部に亘ってその周りに巻かれて、ノード(90)からノード(88)まで延びているため、これらの導電経路(80)(82)により、表面(49)に亘ってその周りに巻かれて、別の無端状導電経路が形成される。
図14及び48に関連して上述したように、導電経路(76)(78)及び(80)(82)は、巻き数が同じである逆巻きの螺旋形導電経路であってもよく、また、全くの螺旋形以外でも、たとえば、ほぼ螺旋形、部分的な螺旋形、渦巻き形又は、巻き方向が反対である逆巻き「ポロイド−周辺巻き線パターン」で配線してもよい。例えば、導電経路(76)のピッチ方向は、実線で示すように、右巻き(RH)であってもよく、導電経路(78)のピッチ方向は、点線で示すように、RHピッチ方向と反対の左巻き(LH)であり、導電経路(80)(82)のピッチ方向は、それぞれ、LHおよびRHである。導電経路(76)(78)は、ノード(84)(85)で方向を変える。導電経路(80)(82)は、ノード(88)(90)で方向を変える。
信号ターミナル(72)(74)は、出ていく(送信された)又は入ってきた(受信された)RF電気信号(92)を、絶縁された導線回路(68)(70)に供給するか、又は、該回路(68)(70)から受信する。例えば、送信された信号の場合には、絶縁された導線回路(68)(70)の一対の無端状導電経路は、信号ターミナル(72)(74)から直列で給電される。但し、本発明は、ノード(84)(88)及びノード(90)(86)の両方で、並列給電に応用することもできる。導電経路(76)(78)(80)(82)のそれぞれの長さは、信号(92)の公称作用周波数の誘導波長の約4分の1である。図50に示すように、信号ターミナル(72)は、ノード(84)に電気的に接続され、信号ターミナル(74)は、ノード(88)に電気的に接続されている。
当該分野の専門家であれば、絶縁された導線回路(68)(70)は、1またはそれ以上の絶縁された導体によって構成してもよいことが分かるであろう。例えば、絶縁された導線回路(68)の導電経路(76)(78)の両方が単一の導体を有してもよく、導電経路(76)(78)のそれぞれが単一の導体を有してもよく、導電経路(76)(78)のそれぞれが多重に電気的に相互接続された導体を有してもよい。
図51を参照すると、図48、49、50にそれぞれに記載された電磁アンテナ(48)(48’)(66)の、典型的な放射パターンの正面図(elevation rediation pattern)が描かれている。これらのアンテナは、直線的に(垂直に)偏光され(polarized)、図48、49、50の表面(49)の小径との関係で、偏光方向に沿って、物理的に低い輪郭を有している。更に、このようなアンテナは、偏光方向に対して垂直な方向では、一般に無指向性であり、偏光方向に垂直な方向で最高放射利得があり、偏光方向で最小放射利得がある。図48の導電経路(56)(58)のような逆巻き導電経路は、結果的に生じる電界を無効にする破壊的干渉(destructive interference)を行い、結果的に生じる磁界を強化する建設的干渉を(constructive interference)行う。
図52及び53を参照すると、電磁アンテナ(94)は、図1、48、49、50のそれぞれに記載されたアンテナ(10)(48)(48’)(66)などのトロイドアンテナ(96)、アンテナ信号(100)(102)をアンテナ(96)のトロイド面に対して送り、アンテナ信号(100)(102)の受信又は送信を行う、衛星皿反射体(satellite dish reflector)などのパラボラ反射体(98)を含んでいる。但し、本発明は、多重連結面や様々なタイプの反射体に、より広く応用できる。パラボラ反射体(98)は、ほぼパラボラの形をしており、頂点(104)、開口部(106)、そして頂点(104)と開口部(106)との間に中心軸(108)を具えている。パラボラ反射体は、更に、中心軸(108)上に焦点(110)を有している。
トロイド面(103)は、頂点(104)とパラボラ反射体開口部(106)との間に大体位置している。トロイド面(103)の長軸は、パラボラ反射体(98)の中心軸(108)に沿って位置し、トロイド面(103)の中心は、パラボラ反射体(98)の焦点(110)に位置していることが望ましい。
電磁アンテナ(94)は、典型的なトロイドアンテナ(96)に方向性を与えるものである。パラボラ反射体(98)は、望まれている電磁信号(100)(102)をアンテナ(96)のフィールドパターン(112)の高利得部分(111)に送る。その他の望まれていない信号(114)(116)は、それぞれ、アンテナ(96)のフィールドパターン(112)の低利得部分(118)(119)に衝突するか、又は、パラボラ反射体(98)によって、例えば点(120)で偏される。
図54及び55を参照すると、電磁アンテナ(94)は、図52〜53のトロイドアンテナ(96)及び、図53に関して上述したのと同様の方法でアンテナ信号(100)(102)を送るパラボラ反射体(98’)を含んでいる。パラボラ反射体(98’)は、開口部(122)を有し、ほぼパラボラの形(124)(仮想線図で描かれている)をしており、それは、開口部(122)の中心周囲に頂点(104)を定めている。パラボラ反射体(98’)の別の開口部(106)は、開口部(122)よりも大きい。トロイド面(103)は、パラボラ反射体(98’)の開口部(106)(122)の間にほぼ位置している。開口部(122)以外は、パラボラ反射体(98’)は、図52〜53のパラボラ反射体(98)とほぼ同様のものである。
たいていの典型的なパラボラ反射体(98’)、特にその開口部(122)は、アンテナ(96)のフィールドパターン(112)を利用している。アンテナ(96)の底部(図55を参照)にある低利得部分(119)は、アンテナ信号(100)(102)の送信又は受信にあまり貢献しない。従って、パラボラ反射体(98’)の開口部(122)に表面がなくても、アンテナ信号(100)(102)の送信又は受信にあまり大きな影響はない。開口部(122)に向かって来る望まれていない信号(126)(図55の底部から入ってくる)は、アンテナの低利得部分(119)に衝突するだけである。パラボラ反射体(98’)の開口部(122)に表面がないことで、自動車や船上などの高い所にある風の中で、電磁アンテナ(94’)を取付けるための、空気力学的特性は大いに高められる。こうして空気抵抗が減少するため、このような風に抵抗するために必要なパラボラ反射体(98’)の重さ及び構造的強度が軽減される。
図56を参照すると、電磁アンテナ(128)は、孔(132)、上表面(134)及び下表面(136)を有するほぼ筒状の表面(130)などの表面を含んでいる。但し、本発明は、その他の多重連結面、例えばほぼ平坦な上表面(134)及び/又は下表面(136)を有するほぼトロイド状の表面などに応用できる。アンテナ(128)は、第1の絶縁された導線回路(138)を含んでおり、それは、部分的に螺旋形の導電経路にて、表面(130)の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第1の螺旋ピッチ方向(例えば右巻き(RH))で延びている。アンテナ(128)はまた、第2の絶縁された導線回路(140)を含んでおり、それは、別の部分的に螺旋形の導電経路にて、表面(130)の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第2の螺旋ピッチ方向(例えば左巻き(LH))で延びている。このため、絶縁された導線回路(138)(140)は、表面(130)の少なくとも一部に亘ってその周りに、互いに逆巻きに巻かれている。
電磁アンテナ(128)の長軸(142)は、上表面(134)及び下表面(136)に対してほぼ垂直である。絶縁された導線回路(138)(140)は、上表面(134)上の放射状の部分(144)(146)でそれぞれ示すように、長軸(142)に対してほぼ放射状である。絶縁された導線回路(138)(140)はまた、下表面上の放射状の部分(148)(150)(隠れた線で示される)でそれぞれ示すように、長軸(142)に対してほぼ放射状である。それ以外では、絶縁された導線回路(138)(140)は、ほぼ螺旋状に方向づけられており、それは、ほぼ筒状の表面(130)の外表面(156)上のほぼ螺旋形の部分(152)(154)及びほぼ筒状の表面(130)の孔(132)の内側のほぼ螺旋形の部分(156)(158)でそれぞれ示されている。当該分野の技術者であれば、放射状の部分(144)(146)(148)(150)を持つ典型的なほぼ筒状の表面(130)及び絶縁された導線回路(138)(140)は、図1、48、49及び50のそれぞれに記載のアンテナ(10)(48)(48’)(66)に利用できることが分かるであろう。
図57は、図1、48、49及び50のそれぞれに記載の、螺旋形の導電経路を持つトロイド面を用いたアンテナ(10)(48)(48’)(66)の典型的な放射パターンを示している。また、図58を参照すると、図56に示す典型的な電磁アンテナ(128)は、より多くのエネルギーを放射状に受けるため、より少ないエネルギーが垂直方向に放射又は受信される。従って、本実施例では、アンテナ(128)の上部及び底部での放射パターンは、螺旋形の導電経路を有するアンテナと比較して更に減少し、半径方向の放射パターンは増加する。更に、いくつかの直線状の導体部分(144)(146)(148)(150)を利用する典型的な絶縁された導線回路(138)(140)は、アンテナ(128)の長軸半径の相対的サイズを縮小する。
図59を参照すると、電磁アンテナ(160)は、ほぼ円形の断面(164)(様々な緯度線により示される)を持つほぼ球状のトロイド形表面(162)及び、該表面(162)の長軸(168)に沿ってコンジット(166)(隠れた線で示される)を含んでいる。アンテナ(160)は、第1の絶縁された導線回路(170)を含み、それは、第1の部分的に螺旋形の導電経路(172)にて、ほぼ球状面(162)の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第1の螺旋ピッチ方向(例えばRH)で延びている。アンテナ(160)はまた、第2の絶縁された導線回路(174)を含み、それは、第2の部分的に螺旋形の導電経路(176)にて、ほぼ球状面(162)の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第2の螺旋ピッチ方向(例えばLH)で延びている。このため、第1及び第2の絶縁された導線回路(170)(174)は、ほぼ球状面(162)の少なくとも一部に亘ってその周りに、互いに逆巻きに巻かれている。部分的に螺旋形の導電経路(172)(176)は、コンジット(166)を通過し、各経路(172)(176)のほぼ直線状の部分(178)(180)で示すように、コンジット(166)内の長軸(168)にほぼ平行である。それ以外は、経路(172)(176)は、ほぼ螺旋形の部分(182)(184)を有している。当該分野の技術者であれば、ほぼ直線状の部分(178)(180)及びほぼ螺旋形の部分(182)(184)を持つ典型的なほぼ球状面(162)及び絶縁された導線回路(170)(174)は、図1、48、49及び50のそれぞれに記載のアンテナ(10)(48)(48’)(66)に利用できることが分かるであろう。
図60は、図1、48、49及び50のそれぞれに記載の、螺旋形の導電経路を持つトロイド面を用いたアンテナ(10)(48)(48’)(66)の典型的な放射パターンを示している。また図61を参照すると、図59の典型的な電磁アンテナ(160)は、より多くのエネルギーを垂直方向に放射又は受信している。従って、本実施例では、アンテナ(160)の上部及び底部での放射パターンは、螺旋形の導電経路を有するアンテナと比較して増加する。このように、本実施例では、幾分より対称的な放射パターンが作り出される。
図62は、トロイド形(186)の縦断面の斜視図であり、その短軸半径が長軸半径よりも大きいものである。但し、本発明は、ゼロより大きい長軸半径及び、長軸半径より大きい短軸半径を有する任意の多重連結面にも応用できる。また図63及び64の平面図及び斜視図はそれぞれ、4つの巻き数(190)(192)(194)(196)を有する絶縁された導線回路(188)の経路を示している。但し、本発明は、任意の巻き数を有する絶縁された導線回路にも応用できる。典型的なトロイド形(186)に用いられたとき、絶縁された導線回路(188)は、ほぼ螺旋形の導電経路にて、典型的なトロイド形(186)の表面(197)の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、以下に記載する方法で、少なくとも第1の螺旋ピッチ方向(例えばRH)で延びている。また図65を参照すると、4つの巻き数(200)(202)(204)(206)を有する別の絶縁された導線回路(198)もまた、典型的なトロイド形(186)に用いることができる。第2の絶縁された導線回路(198)は、ほぼ螺旋形の導電経路にて、トロイド形(186)の表面(197)の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第2の螺旋ピッチ方向(例えばLH)で延びている。このため、第1及び第2の絶縁された導線回路(188)(198)は、トロイド形(186)の面(197)の少なくとも一部に亘ってその周りに、互いに逆巻きに巻かれている。
トロイド形(186)の表面(197)を、例えば、複数の開口部(208)を有する網目状のスクリーン表面として実施し、絶縁された導線回路(188)(198)の経路とすることができる。この典型的な方法では、回路(188)(198)の部分(211)(図63に最もよく示される)の経路を定めるために、トロイド形(186)の中央部分(210)に接近することができる。但し、その他の方法で実施することも可能である。例えば、中央部分(210)を構成し、回路(188)(198)の経路溝となる複数のパイスライス(pie slice)を用いてトロイド形(186)を組み立てたり、固いトロイド形にドリルで適当な経路孔をあけることも可能である。
当該分野の技術者であれば、典型的なトロイド形(186)及び典型的な絶縁された導線回路(188)(198)は、図1、48、49及び50のそれぞれに記載のアンテナ(10)(48)(48’)(66)に利用できることが分かるであろう。回路(188)(198)の部分(216)(218)はそれぞれ、トロイド形(186)内の2つの共通の点(212)(214)を通過する。
図72に概略的に示すように、図1のアンテナ(10)と同様のアンテナ(219)は、ノードa1、b2、c1、d2を含み、それらはターミナル(220)で集中し(長軸半径のより小さな値で)、ノードa2、b1、c2、d1は、同様に、ターミナル(222)で収束している。ここで、ノードa1、b2、c1、d2及びノードa2、b1、c2、d1の間には、説明の便宜上、線が示されている。このように、アンテナ(219)は、ターミナル(220)(222)に単一のポートを有しているか、別の方法として、各セグメント(12)で独立して給電させることができる。次に、ターミナル(220)(222)は、各ノードa1、b2、c1、d2及びノードa2、b1、c2、d1に電気的に接続され、これらのノードは、トロイド形(186)の長軸(224)に沿ったほぼ共通の点(212)(214)で収束している(長軸半径のより小さな値で)。点(212)(214)は、回路(188)(198)の各部分(216)(218)(図65に示す)に関連している。
図1のトロイド形TFなどの3次元トロイド面は、次式で示される。
Figure 0003913778
ここで
a:長軸
b:短軸
φ:ポロイド角(0から2π)
θ:方位角(0から2π)
図1のトロイド形TF上に存在する螺旋は、次のものを設定することにより求められる。
Figure 0003913778
ここで
N:螺旋の巻き数
N>0:右巻き(RH)の巻き線
N<0:左巻き(LH)の巻き線
螺旋を求めるための式は、
Figure 0003913778
Nを正及び負の両方とすると、式34〜36は、両方の逆巻きの巻き線を適切に表している。
図66及び67を参照すると、球状表面(232)を有する球状アンテナ(230)の逆巻きの球状導体(226)(228)が示されている。球状面が望ましいが、本発明は、ほぼ球状面にも応用できる。導体(226)は、第1の導電経路にて、球状表面(232)の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第1の巻き方向(例えばRH)で延びている。導体(228)は、第2の導電経路にて、球状表面(232)の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第2の巻き方向(例えばLH)で延びている。このため、導体(226)(228)は、球状表面(232)の少なくとも一部に亘ってその周りに、互いに逆巻きに巻かれている。
球体の実施例として、次の式で示すように、長軸半径aを0に設定することにより、逆巻きの巻き線を表す式が展開される。
Figure 0003913778
球体だと、より球状の放射パターンの利益をもたらす。但し、本発明は、長軸半径がゼロより大きいほぼ球体の実施例にも応用できる。これは、エネルギーを全方向に等しく放出する理想的な等方性ラジエーターまたはポイントソース(point source)の放射パターンに近づくものである。逆巻きの巻き線(226)(228)を用いることにより、電界は無効になり、約ゼロ半径の磁気ループを去る。当該分野の技術者であれば、典型的な球状表面(232)及び典型的な逆巻きの巻き線(226)(228)は、図1、48、49及び50のそれぞれに記載のアンテナ(10)(48)(48’)(66)に利用できることが分かるであろう。ここでは、例えば、図67の極ノード(polar nodes)(233A(233B)により、巻き方向(例えばLH及びRH)間の変化が促進される。そこでは、逆巻きの巻き線(226)(228)は、ほぼ反復的にその周りで交差する。
図68を参照すると、平面(242)上に、半球状表面(240)を有する半球状アンテナ(238)の逆巻きの半球状導体(234)(236)が示されている。半球体の実施例のために、上記の式37〜39により、逆巻きの巻き線を表す式が展開される。ここで、zは、ゼロより大きいか又は等しい。導体(234)は、第1の導電経路にて、半球状表面(240)の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第1の巻き方向(例えばRH)で延びている。導体(236)は、第2の導電経路にて、半球状表面(240)の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第2の巻き方向(例えばLH)で延びている。このため、導体(234)(236)は、半球状表面(240)の少なくとも一部に亘ってその周りに、互いに逆巻きに巻かれている。
逆巻きの導体及び該導体への接続部分についての記載を明確にするために、平面(242)は、左部分(244)及び右部分(246)を含んでいる。平面(242)の中心付近には、一対のターミナルA、Bがあり、そのうちターミナルAは、説明の便宜上ずらし描かれている。複数の給電線(248)は、ターミナルAに接続され、複数の給電線(250)は、ターミナルBに接続されている。給電線(248)(250)は、遮蔽されていることが望ましく、同じ電気的インピーダンスを有している。
平面(242)は、グランドプレーンであることが望ましく、それは各巻き線を電気的に反射し、その鏡像を作り出す。このように、半球状アンテナ(238)が飛行機の底部又は車の上部にあるときには、遠くからみると、その放射パターンは、球状アンテナのものと近似する。
平面(242)の右部分(246)では、給電線(248)(250)は、導体(236)(234)にそれぞれ接続されている。平面(242)の左部分(244)では、給電線(248)(250)は、導体(234)(236)にそれぞれ接続されている。典型的な半球状アンテナ(238)は、地球物理学的調査に用いられるような、地中電(earth current)を刺激し、又は検出する際に役立ち、一般的には、図68の平面(242)上の全方向で、エネルギーを等しく放出し、又は受け取る。
図69及び70を参照すると、図67の半球状表面(232)用に、別の逆巻きの半球状導体(226′)(228′)が示されている。この半球体の実施例では、半球状導体(226′)(228′)は、図67に関連して述べたのものとは異なり、両極で反復的に交差しない。アンテナ(230′)は、例えば、導体(226′)(228′)が応用されるときに、半球状表面(232)を回転させることにより作り出される。
数学的には、式37〜39により求められた位置ベクター(x,y,z)上で作動するために、変換マトリクスが導入される。同じ変換オペレーターを、逆巻きの両導体(226′)(228′)に適用することにより、変換は、式34〜36のトロイド実施例に初めに含まれていた逆巻きの相似性を維持する。
式(40)は、変換された式の一般形式を示している。変換マトリクスは、一般的には、φとθの関数である。
Figure 0003913778
ここで、
(X,Y,Z):変換された座標
(x,y,z):変換されていない座標
Tij :φとθの一般関数
式(40)の変換マトリクスは、巻き線の逆巻きの相似性を維持するなら如何なるマトリクスでもよいといえる。例えば、逆巻きの導体(226′)(228′)の形状は、伸長や回転によりゆがめられるかもしれない。但し、本発明は、結果的に生じる電界を無効にするために破壊的干渉を行い、結果的に生じる磁界を強化するために建設的干渉を行うような如何なる巻き線にも応用できる。この変換を説明するために、1つの例を次に示す。
Figure 0003913778
この例では、半球状表面(232)は、θの関数としてZY平面内で回転されている。但し、本発明は、トロイド面、多重連結面、ほぼ球状面及び球状面に関連する広範囲の変換に応用できる。
図71を参照すると、1又は2の給電ポートを有するアンテナ(254)が示されている。絶縁された導線回路(256)は、導電経路(258)にて、表面(232)の一部に亘ってその周りに巻かれて、ノード(260)(+)からノード(262)(−)まで延びている。ノード(262)(−)で巻き方向を変えた後に、絶縁された導線回路(256)は、導電経路(274)にて、表面(232)の一部に亘ってその周りに巻かれて、ノード(262)(−)からノード(260)(+)まで延びている。これによって、導電経路(258)(274)は、表面(232)に亘ってその周りに巻かれた無端状導電経路を形成する。絶縁された導線回路(266)(隠れた線で示される)は、導電経路(268)にて、表面(232)の一部に亘ってその周りに巻かれて、ノード(270)(−)からノード(272)(+)まで延びている。ノード(272)(+)で巻き方向を変えた後に、絶縁された導線回路(266)は、導電経路(264)にて、表面(232)の一部に亘ってその周りに巻かれて、ノード(272)(+)からノード(270)(−)まで延びている。これによって、導電経路(268)(264)は、表面(232)に亘ってその周りに巻かれた無端状導電経路を形成する。
典型的なアンテナ(254)は、アンテナ信号を送信及び受信する。例えば、送信された信号の場合、絶縁された導線回路(256)(266)の一対の無端状導電経路は、ノード(272)(262)から直列で給電される。但し、本発明は、ノード(272)(262)及びノード(260)(270)の両方で、並列給電に応用することもできる。
当該分野の技術者であれば、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、これまでに述べたり示唆してきた修正及び変形に、更に修正又は変形を行うことは可能であろう。

Claims (18)

  1. 多重連結面(103)と
    略螺旋である第1導電経路として、多重連結面の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第1螺旋ピッチ方向に延びる第1絶縁導体手段(56,56′,68)と、
    略螺旋である第2導電経路として、多重連結面の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第2螺旋ピッチ方向に延びる第2絶縁導体手段(58,58′,70)とを具えており、
    第2螺旋ピッチ方向は、第1螺旋ピッチ方向と逆向きであり、
    第1及び第2絶縁導体手段は、多重連結面の少なくとも一部に亘ってその周りに、互いに逆向きに巻かれており、
    第1絶縁導体手段及び第2絶縁導体手段は単一の無端状導電経路を形成し、又は、第1絶縁導体手段及び第2絶縁導体手段の各々が単一の無端状導電経路を形成し、
    第1及び第2絶縁導体手段に夫々電気的に接続された第1及び第2信号ターミナル(52,54)と
    アンテナ信号の受信又は送信に関して、多重連結面に対してアンテナ信号を方向付ける反射手段(98,98′)とを更に具えるアンテナ信号(100,102)用電磁アンテナ(94,94′)。
  2. 反射手段は、パラボラ反射器(98,98′)を含んでいる請求項1の電磁アンテナ(94,94′)。
  3. パラボラ反射器(98′)は、頂点(104)と開口部(122)を有する略パラボラ型(124)であって、多重連結面は、頂点とパラボラ反射開口部との間に配置されている請求項2の電磁アンテナ(94′)。
  4. パラボラ反射器は、頂点と開口部の間に軸(108)をさらに有しており、多重連結面は、パラボラ反射器の軸にほぼ沿って配置された主軸を有している請求項3の電磁アンテナ(94′)。
  5. パラボラ反射器は、更に、その軸上に焦点(110)を有し、前記多重連結面は主軸と該主軸上にある中心とを有するトロイダル面(103)であり、トロイダル面の中心はパラボラ反射器のほぼ焦点に位置している、請求項4の電磁アンテナ(94′)。
  6. パラボラ反射器(98′)は、第1開口部(122)と該第1開口部よりも大きな第2開口部(106)とを有し、第1開口部にほぼ頂点(104)があるほぼパラボラ型の形状(124)をしており、多重連結面は、パラボラ反射器の第1と第2開口部の間にほぼ位置している請求項2の電磁アンテナ(94′)。
  7. 主軸(142)に対して略垂直な少なくとも1つの略平らな面(134,136)を有する略円筒面(130)と;
    部分的に螺旋である第1導電経路として、略円筒面の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第1螺旋ピッチ方向に延びる第1絶縁導体手段(138)と、
    部分的に螺旋である第2導電経路として、略円筒面の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第2螺旋ピッチ方向に延びる第2絶縁導体手段(140)とを具えており、
    第2螺旋ピッチ方向は、第1螺旋ピッチ方向と逆向きであり、
    第1及び第2絶縁導体手段は、略円筒面の少なくとも一部に亘ってその周りに、互いに逆向きに巻かれており、
    部分的に螺旋である第1及び第2導電経路は、略円筒面の主軸にほぼ略垂直である場合に、略円筒面の主軸に対して略半径方向にあって、
    第1及び第2絶縁導体手段に夫々電気的に接続される第1及び第2信号ターミナル(52,54)を更に具えているアンテナ信号用電磁アンテナ(128)。
  8. (a)球状(232)或いは略球状(162)の表面、又は(b)ゼロより大きい長半径と、該長半径より大きい短半径とを有する多重連結面(186)である表面と
    第1導電経路として、表面の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第1巻線方向に延びる第1絶縁導手段(226,170,188)と、
    第2導電経路として、表面の少なくとも一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第2巻線方向に延びる第2絶縁導手段(228,174,198)と、
    第1及び第2絶縁導手段へ、夫々、電気的に接続された第1及び第2信号ターミナル(52,54)とを具え、
    第2巻線方向は、第1巻線方向と逆向きであり、
    第1及び第2絶縁導体手段は、表面の少なくとも一部に亘ってその周りに、互いに逆向きに巻かれているアンテナ信号用電磁アンテナ(230;160;48,186,188,198;219)。
  9. 表面は多重連結面(186)であり、
    第1絶縁導手段(188,56)は、第1導電経路として、表面に亘ってその周りに巻かれて、第1巻線方向に第1ノード(60)から第2ノード(62)に延び、
    第2絶縁導手段(198,58)は、第2導電経路として、表面に亘ってその周りに巻かれて、第2巻線方向に第2ノード(62)から第1ノード(60)に延び、
    第1及び第2導経路は、表面に亘ってその周りに巻かれた単一の無端状導電経路を形成しており、
    第1信号ターミナルは第1ノードに、第2信号ターミナルは第2ノードに電気的に接続されている、請求項8の電磁アンテナ(48,186,188,198)。
  10. 表面は、多重連結面(186)であり、
    第1絶縁導手段(188,56′)は、第1導電経路として、表面に亘ってその周りに巻かれて、第1巻線方向に第1ノード(60′)から第2ノード(A)、さらに第2ノードから第3ノード(62′)に延び
    第2絶縁導手段(198,58′)は、第2導電経路として、表面に亘ってその周りに巻かれて、第2巻線方向に第3ノード(62)から第4ノード(B)、さらに第4ノードから第1ノードに延び
    第1及び第2導経路は、表面に亘ってその周りに巻かれた単一の無端状導電経路を形成しており、
    第1信号ターミナルは第2ノードに、第2信号ターミナルは第4ノードに電気的に接続されている、請求項8の電磁アンテナ(48,186,188,198)。
  11. 表面は、多重連結面(186)であり、
    第1絶縁導手段(188,68)は、第1導電経路として、表面の一部に亘ってその周りに巻かれて、第1巻線方向で第1ノード(84)から第2ノード(86)に延びると共に第3導電経路として、表面の一部に亘ってその周りに巻かれて、第2巻線方向で第2ノードから第1ノードに延び、
    第1及び第3導経路は、表面に亘ってその周りに巻かれた第1無端状導電経路を形成し、
    第2絶縁導手段(198,70)は、第2導電経路として、表面の周りとその一部上にて、第2巻線方向で第3ノード(88)から第4ノード(90)に延びると共に、第4導電経路として、表面の一部に亘ってその周りに巻かれて、第1巻線方向で第4ノードから第3ノードに延び、
    第3及び第4導経路は、表面に亘ってその周りに巻かれた第2無端状導電経路を形成し、
    第1導電経路は第2導電経路に対して、第3導電経路は、第4導電経路に対して逆向きであり、
    第1信号ターミナルは第1ノードへ電気的に接続され、第2信号ターミナルは第2ノードへ電気的に接続されている、請求項8の電磁アンテナ(48,186,188,198)。
  12. 表面は、多重連結面(186)であり、
    第1絶縁導手段(W1)は、第1導電経路として、表面に亘ってその周囲に巻かれて、該表面に亘ってその周囲に巻かれた第1無端状導経路を形成し、
    第1導経路は、第1巻線方向(RH)と、該第1巻線方向に対し逆向きの第2巻線方向(LH)を有しており、
    第2絶縁導手段(W2)は、第2導電経路として、表面に亘ってその周囲に巻かれて、該表面に亘ってその周囲に巻かれた第2無端状導経路を形成し、
    第2導経路は、第1巻線方向と第2巻線方向を有しており、
    前記第1及び第2絶縁導手段は、前記表面の周りを延びる隣り合う複数の面セグメントの各々の中で互いに逆向きに巻かれており、各セグメントは、第1ノード(a1,b2)と第2ノード(b1,a2)とによって規定され、
    第1ノードでは、第1及び第2絶縁導手段の一方が、第1巻線方向から第2巻線方向へ切り替り、第2ノードでは、第1及び第2絶縁導手段の他方が、第2巻線方向から第1巻線方向へ切り替り、
    第1信号ターミナル(220)は、これら第1ノードが収束する第1の点(212)において、これら第1ノードと電気的に接続され、
    第2信号ターミナル(222)は、これら第2ノードが収束する第2の点(214)において、これら第2ノードと電気的に接続される請求項8の電磁アンテナ(48,186,188,198)。
  13. 表面は、半径bの略球状の面(232)であり、
    θは方位角であり、
    Nは導経路内の巻き数であって、Nは、第1及び第2巻線方向の一方に対して正、第1及び第2巻線方向の他方に対して負であり、
    x、y及びzは、位置ベクトルを規定する位置であるとしたとき、
    第1及び第2導経路は、下記式
    x=bcos(Nθ)cos(θ)
    y=bcos(Nθ)sin(θ)
    z=bsin(Nθ)
    によって決定される請求項8の電磁アンテナ(230)。
  14. 球状面は、一対の極を有しており、第1及び第2導経路は各極においてほぼ交差する請求項13の電磁アンテナ(230)。
  15. 球状面は、一対の極を有しており、第1及び第2導経路は各極から離れてほぼ交差する請求項13の電磁アンテナ(230)。
  16. 表面は、略球状面(162)であって、その主軸(168)に沿ったコンジット(166)を有しており、第1及び第2導電経路(170,174)は、略球状面のコンジットを通過し、コンジット内にある主軸にほぼ平行である請求項8の電磁アンテナ(160)。
  17. 半球状面(240,242)と、
    第1導電経路として、半球状面の少なくともその一部に亘ってその周りに巻かれて、少なくとも第1巻線方向に延びる第1絶縁導手段(234)と、
    第2導電経路として、半球状面の少なくともその一部に亘ってその周りに巻かれて、第1巻線方向と逆向きである少なくとも第2巻線方向に延びる第2絶縁導手段(236)と、
    第1及び第2絶縁導手段が、夫々電気的に接続された第1及び第2信号ターミナル(A,B)とを具えており、
    第1及び第2絶縁導手段は、半球状面の少なくともその一部に亘ってその周りに、互いに逆向きに巻かれている、アンテナ信号用電磁アンテナ(238)。
  18. 半球状面(240,242)は、第1及び第2信号ターミナルに連繋された平坦面(242)を含んでいる請求項17の電磁アンテナ(238)。
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