JP3912409B2 - マイクロ波キャビティ - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロ波エネルギを用いて被加熱物を誘電加熱する高周波加熱装置に適用されるマイクロ波キャビティに関するものであり、特に被加熱物の加熱の均一化を促進するマイクロ波キャビティに関するものである。
従来のこの種のマイクロ波キャビティにおいて、キャビティ内に収納された被加熱物の加熱の均一化を図る手段としては、電波攪拌方式、被加熱物回転方式、複数給電方式あるいは凹凸形状壁面キャビティなどがある。
電波攪拌方式は、マイクロ波キャビティ内に設けた金属性の板状羽根を回転駆動させる構成からなる。この方式は、キャビティを形成する金属境界面や被加熱物の表面で反射を繰り返しながら伝搬しているマイクロ波が金属性の板状羽根によっても反射する。この金属性の板状羽根からのマイクロ波の反射は、板状羽根が無い場合と比べて、キャビティ内でのマイクロ波の伝搬経路を増加させるものであり、被加熱物全体にマイクロ波を乱反射させて被加熱物の加熱の均一化を促進させるものである。
被加熱物回転方式は、被加熱物を載置する載置皿を回転駆動させる構成からなる。この方式では、キャビティ構造および被加熱物の種類や形状等により決定されたマイクロ波キャビティ内に生じるマイクロ波の伝搬分布に対して、被加熱物の方を移動させ被加熱物全体にマイクロ波を伝搬させ被加熱物の加熱の均一化を促進させるものである。
複数給電方式は、マイクロ波キャビティを形成する金属境界面の複数の個所からキャビティ内にマイクロ波を給電する構成からなる。この方式は、単一の給電と比べて最も大きな特徴は、位相の異なった複数のマイクロ波がキャビティ内に給電されることである。キャビティ内に位相の異なるマイクロ波を伝搬させることにより、上記電波攪拌方式と同様にキャビティ内にマイクロ波の乱反射状態を生じさせるものである。
凹凸形状壁面キャビティ構造方式は、マイクロ波キャビティを形成する金属境界面に凹凸を設けた構成からなる。この方式は、凹凸を有する金属境界面によってマイクロ波を乱反射させるものである。
しかしながら、従来の電波攪拌方式のマイクロ波キャビティは、金属性板状羽根によって反射されるマイクロ波をキャビティ内に均一に乱反射させることに物理的限界がある。これは、マイクロ波の伝搬速度に対して、金属性板状羽根の回転速度があまりに遅いことによるものであり、金属性板状羽根の回転速度を制御したとしても被加熱物全体に均一にマイクロ波を伝搬させることは非常に難しい。従って、被加熱物の種類や量によっては、不測の不均一な加熱分布が生じることを抑制することが難しい課題を有していた。
また、被加熱物回転方式は、被加熱物の種類や量によってマイクロ波キャビティ内に生じる電磁場分布は自ずと決まってしまうため、一つの被加熱物に対応して生じた電磁場分布がその被加熱物を均一に加熱することに対して不適であってもその電磁波分布を変更することができない課題を有していた。
複数給電方式は、理想的な挙動としては前述したとおりであるが、一つの給電部から放射されるマイクロ波の挙動が他の給電部から放射されたマイクロ波からの影響を受ける。このため、給電部が複数個あっても、その複数の給電構成によって決定される特定のマイクロ波伝搬がマイクロ波キャビティ内に生じるので、被加熱物の種類や量によっては、不測の不均一な加熱分布が生じることを抑制することが難しい課題を有していた。
さらに、凹凸形状壁面のキャビティ構造は被加熱物の加熱の均一化を促進できうる乱反射をキャビティ内に生じさせるには、壁面全体にいわゆるゴルフボールのディンプルのような凹凸を配するとともにそのディンプルの深さ寸法あるいは突出寸法を使用するマイクロ波の波長に対して無視できない寸法、例えば1/10波長寸法以上、にすることが必要である。この結果、マイクロ波キャビティの構成が複雑となり実用性に難しい構成を強いられる課題を有していた。
本発明は高周波加熱装置に適用されるマイクロ波キャビティにおいて、マイクロ波空間に生じる電磁波分布を可変制御し、被加熱物の加熱の均一化を促進するマイクロ波キャビティを提供するものである。
本発明のマイクロ波キャビティは上記課題を解決するために、給電されたマイクロ波を実質的に閉じ込める略直方六面体からなるマイクロ波空間と、前記直方六面体の少なくとも一面に設けた開孔部と、前記開孔部から前記マイクロ波空間の外側に延在する終端が閉じられた溝部と、回転駆動するように溝部内に支持配設されたインピーダンス変換部とを備えている。
以上のように本発明によれば以下の効果を有する。
インピーダンス変換部は、回転駆動されるように溝部内に支持配設したことにより、開孔部のインピーダンスの変化範囲を規定できるとともにに周期的なインピーダンス変化を容易に形成できる。その結果、マイクロ波空間内に生じる電磁場分布の時間的な制御を容易に実現することができる。
また、溝部の終端までの深さ寸法及びインピーダンス変換部の開孔部からの配設位置を規定範囲に設定することにより、開孔部のインピーダンス可変に対してマイクロ波空間へのマイクロ波の給電特性の変化を抑制し、給電効率を高く維持させることができる。
本発明のマイクロ波キャビティは、給電されたマイクロ波を実質的に閉じ込める略直方六面体からなるマイクロ波空間と、前記直方六面体の少なくとも一面に設けた開孔部と、前記開孔部から前記マイクロ波空間の外側に延在する終端が閉じられた溝部と、回転駆動するように溝部内に支持配設され誘電体材料からなるインピーダンス変換部とを備えている。そして開孔部は、直方六面体を構成する金属壁面に生じる高周波電流の流れを分断するように配設されている。
そして、溝部はマイクロ波を実質的に閉じ込める構成とし、溝部を介して高周波電流が流れることを可能にしている。溝部には開孔部からマイクロ波が入射しその内部を伝搬し、溝部の終端で反射して開孔部より再びマイクロ波空間に伝搬する。溝部に設けた誘電体材料からなるインピーダンス変換部は、その層面でマイクロ波は反射と透過を生じ開孔部に規定のインピーダンスを生じさせ、開孔部に入射したマイクロ波の溝部内への伝搬を規定する。そして、開孔部に入射したマイクロ波の反射特性を開孔部以外に入射して生じるマイクロ波の反射特性と変えている。このインピーダンス変換部を設けることにより、マイクロ波空間内にマイクロ波の多重伝搬あるいはさまざまな電磁場分布を生じさせることができる。そして、回転駆動手段の駆動条件を制御することで開孔部のインピーダンスを変えることを可能にし、マイクロ波空間内に生じる電磁場分布の時間的な制御を容易に実現することができる。
さらに、被加熱物が収納されるとともに給電されたマイクロ波を実質的に閉じ込めるマイクロ波空間と、前記マイクロ波空間を形成するとともにマイクロ波の給電部を有する第一の壁面と、前記マイクロ波空間を形成するとともに前記第一の壁面を含まない第二の壁面と、前記第二の壁面においてその壁面の略中央部を通って配設された開孔部と、前記開孔部から前記マイクロ波空間の外側に延在する終端が閉じられた溝部と、回転駆動するように溝部内に支持配設され誘電体材料からなるインピーダンス変換部とを備えている。
そして、給電部を有する第一の壁面は開孔部が配設されていないので、給電部から放射されるマイクロ波はその放射特性に乱れを生じることなくマイクロ波空間に放射される。マイクロ波空間に放射されたマイクロ波は、上述したインピーダンス変換部を設けることによる作用により、マイクロ波空間内にマイクロ波の多重伝搬あるいはさまざまな電磁場分布を生じさせて、被加熱物全体の加熱の均一化を促進させることができる。そして、回転駆動手段の駆動条件を制御することで開孔部のインピーダンスを変えることを可能にし、マイクロ波空間内に生じる電磁場分布の時間的な制御を容易に実現することができる。
た、溝部の終端までの深さは、マイクロ波空間に給電されるマイクロ波の波長の1/4波長より大きい寸法構成とし、インピーダンス変換部の開孔部からの配設位置は、マイクロ波空間に給電されるマイクロ波の波長の1/4波長未満の寸法構成としている。
そして、誘電体材料からなるインピーダンス変換部の可変制御に伴いマイクロ波空間内へのマイクロ波給電特性が変化する。インピーダンス変換部を上記の位置に配設することでマイクロ波空間へのマイクロ波の給電特性の変化を抑制し、給電効率を高く維持させることができる。
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1は本発明の実施例1を示すマイクロ波キャビティを備えた高周波加熱装置の構成図、図2は図1の要部断面構成図である。
図1および図2において、マイクロ波キャビティ10は金属材料から構成された金属境界部である右側壁面11、左側壁面12、奥壁面13、上部壁面14、底部壁面15及び前面壁面16とにより略直方体形状に構成され、給電されたマイクロ波をその内部に実質的に閉じ込めるマイクロ波空間17を形成している。18は左側壁面12に形成した開孔部であり、左側壁面12の上下方向の略中央部に配設し略矩形の孔形状としている。左側壁面12のマイクロ波空間17の外側には、開孔部18を覆って金属材料からなる溝板19(インピーダンス変換手段の一構成要素)が組み立てられている。この溝板19により、所定の溝深さ寸法L1とともに開孔部18の開孔寸法L2とほぼ同等の間隙寸法L3を有する溝部20が形成されている。開孔部18は溝部20の一端に配置され、溝部の終端21は溝板19により閉じられている。また、溝部20内にはインピーダンス変換部22(インピーダンス変換手段の一構成要素)が設けられている。このインピーダンス変換部22は金属材料で構成され、溝板19の内壁と左側壁面12との間をしゅう動する波板形状のしゅう動寸法L4を有する構造体としている。23はインピーダンス変換部22をしゅう動させるしゅう動軸であり、溝部の終端21を貫通して溝部20の外に延在している。このしゅう動軸23は、一端がインピーダンス変換部22に固定され、他端にはしゅう動軸を図2中の24で示す方向に可動させる可動手段(図示していない)が設けられている。
インピーダンス変換部22の可動範囲は、開孔部からの最小寸法がL5であり、最大寸法が(L1−L4)としている。
右側壁面11は、マイクロ波空間17にマイクロ波を給電する給電部25が設けられ、この給電部25は右側壁面11の開孔とその開孔を閉塞する低誘電損失材料からなる薄板にて構成されている。底部壁面15の略中央には被加熱物を載置するとともに回転駆動される載置皿26が設けられている。
27は被加熱物をマイクロ波空間17に出し入れするための開閉扉である。開閉扉27の中央にはマイクロ波空間17の内部を透視できるようにメッシュ状の金属板からなる前面壁面16が設けられ、この前面壁面16のマイクロ波空間17側から耐熱性ガラス板28が前面壁面16に併設されている。29は開閉扉27の開閉を支持するヒンジ部、30は開閉扉27が閉成状態であることを検知するための扉ラッチスイッチ部である。また、31は被加熱物のマイクロ波加熱条件を入力する操作部である。
また、左側壁面12でのマイクロ波の代表的な動作として図2中に、左側壁面12を流れようとする高周波電流32、金属面に入射するマイクロ波33とその反射波34、開孔部18に入射するマイクロ波35とその反射波36および透過波37を示している。
次に以上の構成からなる本発明のマイクロ波キャビティを備えた高周波加熱装置の動作と作用について説明する。
載置皿26の上に被加熱物を置き開閉扉27を閉じた後、その被加熱物に対応する加熱条件を操作部31から入力することで本装置が動作を開始する。この動作開始に伴ってマイクロ波発生手段(図示していない)が発生するマイクロ波は給電部25からマイクロ波空間17内に放射される。マイクロ波空間17内を伝搬するマイクロ波は、マイクロ波空間17を形成する各壁面にて反射を繰り返し、マイクロ波空間内に電磁場分布を形成する。この間において、被加熱物に入射したマイクロ波は被加熱物を誘電加熱する。
マイクロ波空間17を形成する各壁面には、上述の電磁場分布に対応した高周波電流が流れる。開孔部18の存在により、左側壁面12を流れる高周波電流32は分断され、溝部20内に伝搬するマイクロ波37を生じる。
この溝部20内を伝搬したマイクロ波37は、インピーダンス変換部22により反射して開孔部18を経て再びマイクロ波空間17内を伝搬する。この溝部20内から反射して開孔部18に伝搬するマイクロ波の伝搬作用によって、開孔部18には特定のインピーダンスが生じる。この開孔部18に生じるインピーダンス値としては理想的にはすべての値を形成させることができるが、これに対する制限については後述する。
このような開孔部18のインピーダンスはインピーダンス変換部22をしゅう動させることにより変化させることができる。開孔部18は高周波電流32の流れを分断するように設けられているが、開孔部18のインピーダンスを零にすると、高周波電流32の流れは分断されない。一方、開孔部18のインピーダンスを無限大すると高周波電流32は全く流れなくなる。また、開孔部18に入射するマイクロ波の入射波35と反射波36との位相差は、開孔部18のインピーダンスが零の場合180度であり、開孔部18のインピーダンスが無限大の場合0度となる。開孔部18以外の壁面に入射するマイクロ波の入射波33と反射波34との位相差は180度であるので、開孔部のインピーダンスを変えることで金属壁面からの反射では得られることができない位相差を有するマイクロ波をマイクロ波空間17内に伝搬させることができる。また、マイクロ波空間17に生じる電磁場分布を変化させることもできる。このようにマイクロ波空間17内にマイクロ波を多重伝搬させ、さまざまな電磁波分布を形成させることができ、被加熱物全体の加熱の均一化を促進させることができる。
(実施例2)
図3は本発明の実施例2を示すマイクロ波キャビティの要部構成図である。図3において、図2と相違する点はインピーダンス変換部38の構成である。
このインピーダンス変換部38は、開孔部18からの距離寸法L6の位置に配設されている。またインピーダンス変換部38は、溝部39内を回転可能な形状とし、溝部の高さ寸法L7よりも小さい幅寸法からなる金属板あるいは伝搬するマイクロ波の周波数帯おける実効比誘電率が略50以上の値を示す誘電体材料からなる板でもって構成している。
実施例2を実現する具体的な構成寸法としては、たとえば、溝部39の終端40の開孔部18からの深さ寸法L8は溝部39を伝搬するマイクロ波の波長の1/4より大きい寸法である40mm、金属板からなるインピーダンス変換部38の回転中心までの距離寸法L6は溝部39を伝搬するマイクロ波の波長の略1/4波長である30mm、溝部39の高さ寸法L7は15mm、インピーダンス変換部38の幅寸法は12mm、その厚み寸法は3mmとする。このような構成寸法によれば高周波加熱装置へのコンパクトな実装が図れる。
このような回転駆動されるインピーダンス変換部38にあっては、その回転位置を図3の実線38aで示す位置にすることで、伝搬してきたマイクロ波のほとんどをインピーダンス変換部38が反射させる。一方図3の破線38bで示す位置にすることでマイクロ波を溝部39の終端40まで伝搬させその終端40にてマイクロ波を反射させる。このようなインピーダンス変換部38の回転駆動に伴う溝部39内でのマイクロ波伝搬を変えることで開孔部18に生じさせるインピーダンスを変えている。
また、回転駆動するインピーダンス変換部38の構成によれば、連続的に回転させても開孔部18に生じさせることができるインピーダンスの変化は周期的であり、変化させるインピーダンス値を所定の値に限定させることができる。この効果により、マイクロ波空間においてマイクロ波の多重伝搬あるいは電磁場分布の限定を図ることができ、被加熱物の加熱の均一化に対応させた多重伝搬あるいは電磁場分布の発生を制御することができる。
なお、インピーダンス変換部38を誘電体材料で構成する場合、インピーダンス変換部38の層面でマイクロ波は反射と透過を生じる。実効比誘電率が略50以上の材料を用いることで、入射波に対する反射波の保有するエネルギを50%以上にできる。これにより、開孔部18でのインピーダンス形成に有用な反射を誘電体材料からなるインピーダンス変換部から反射させることができる。
(実施例3)
図4は本発明の実施例3を示すマイクロ波キャビティの要部構成図である。図4において、以上の実施例と異なる点は、インピーダンス変換部41を誘電体材料で構成し、溝部42の所定位置L9に固定配設した構成である。
このインピーダンス変換部41を構成する誘電体材料の実効比誘電率は、溝部42を伝搬するマイクロ波の周波数帯において、略4以上7以下の値としている。このようなインピーダンス変換部41を用いることで、溝部42内を伝搬してきたマイクロ波43は、インピーダンス変換部41の層面で反射波44と透過波に別れる。透過波のうちインピーダンス変換部41を透過した透過波45は溝部42の終端46まで伝搬し、終端46にて反射した反射波47は再びインピーダンス変換部41に入射する。反射波47のうちでインピーダンス変換部41を透過したマイクロ波48と反射波44は開孔部18側に伝搬する。開孔部18側に反射してきたマイクロ波は開孔部18のインピーダンス値を決定する。
なお、上述のインピーダンス変換部41でのマイクロ波の反射と透過の振る舞いは、インピーダンス変換部41の内部でも生じ、開孔部18側へ反射するマイクロ波は上述した以外にも存在することを断っておく。
このような誘電体材料から構成したインピーダンス変換部41の作用により、溝部42の内部にマイクロ波の多重伝搬を発生させることができる。この多重伝搬の発生により、インピーダンス変換部を可動させることなくマイクロ波空間内にマイクロ波の多重伝搬あるいはさまざまな電磁場分布を生じさせることができる。
(実施例4)
図5は本発明の実施例4を示すマイクロ波キャビティの構成図である。図5において、右側壁面49、左側壁面50、底部壁面51、奥側壁面52および上部壁面53がマイクロ波空間54を形成する金属壁面である。
右側壁面49(第一の壁面)には給電部55が設けられ、マイクロ波空間54の外側に給電するマイクロ波を伝送する導波管56が配設されている。57は導波管56の一端に設けた結合孔でありこの結合孔57にマイクロ波発生手段(図示していない)の出力アンテナが挿入装着される。
一方、第一の壁面である右側壁面49に対向する第二の壁面である左側壁面50および他の第二の壁面である奥側壁面52にはそれぞれの壁面の略中央部を通ってそれぞれ略矩形の孔形状からなる開孔部58、59が形成されている。また、開孔部58、59のマイクロ波空間54の外側には、それぞれ所定の溝部60、61を形成する溝板62、63が配設されている。さらに、溝部60、61の内部には、上記した実施例3に示したインピーダンス変換部64、65を配設している。また、開孔部58、59はお互いの配設方向を異ならし、開孔部58は水平方向に、開孔部59は垂直方向に形成している。66は被加熱物が載置される載置皿を回転駆動する駆動軸である。
そして、給電部55を有する右側壁面49と対向する左側壁面50に開孔部58を配置した構成により、被加熱物を給電部と開孔部との間に存在させることができ、直接入射するマイクロ波と開孔部を有する壁面から多重反射するマイクロ波とを被加熱物に入射させることで被加熱物の加熱の均一化を促進させることができる。
また複数の壁面に開孔部の配設方向を異ならして配設することにより、さまざまな高周波電流の流れに対していずれかの開孔部がその高周波電流を分断することを可能にしている。そして、複数の壁面から反射するマイクロ波の多重伝搬により、被加熱物をより効果的に均一に加熱させることができる。
以上に本発明の実施例の説明をしたが、以下ではインピーダンス変換部の作用について実施例1に示したインピーダンス変換部を用い、図6から図10を用いてより詳細に説明する。
図6は本発明のインピーダンス変換部のマイクロ波的な作用を説明するために使用するマイクロ波キャビティの構成図である。
図6において、67はマイクロ波キャビティであり、68はマイクロ波キャビティ67に給電するマイクロ波を伝送する導波管、69はマイクロ波キャビティ67を形成し給電部が設けられた壁面70に対向する壁面71に設けた溝部である。導波管68には、マイクロ波発生手段であるマグネトロンを装着する結合孔72を備える。また、マイクロ波キャビティ67を形成する金属壁面73には、図示したように3行3列の配列にてマイクロ波センサを9個配設している。このマイクロ波センサはマイクロ波キャビティ67内に生じる電磁場分布と結合してマイクロ波センサを配設した近傍の電磁場分布の強さに比例した物理量を検出するものである。
マイクロ波キャビティ67は、幅寸法W、奥行き寸法Dおよび高さ寸法をそれぞれ190mm、158mmおよび100mmとしている。溝部69は金属壁面71の略中央部を通る開孔部74(開孔寸法5mm)からの深さLの位置を金属板75で閉じた構成としている。なお、金属板75は溝部69内をしゅう動可能に構成した。
溝部69の深さLを0mmとした状態で、このマイクロ波キャビティ67内に生じる電磁場分布は幅方向、奥行き方向および高さ方向にそれぞれ生じる定在波の山の数が2、2、0であることを確認した。従って、図示したように配設した開孔部74は、上記定在波の発生に対して高周波電流を分断するように配設されている。
そして溝部69の深さLを変化させて、マイクロ波キャビティ67内に生じるマイクロ波の挙動を9個のマイクロ波センサの検出信号を基にして分析した。なお、マイクロ波センサのセンサ出力信号はマイクロ波電力であるが、以下の説明では検波ダイオードを介して信号変換処理をした直流電圧値を用いることにする。また、マイクロ波センサ信号を区別するためにその配設位置に図示したような番号を付与している。
図7および図8は溝部の深さがマイクロ波発生手段の負荷特性に与える影響を示す特性図である。図7はマイクロ波発生手段とマイクロ波キャビティ67との負荷整合をしない状態での特性例であり、図8はこの負荷整合を図った時の特性例である。
図7に示すように、溝部の深さLを変化させることでマイクロ波発生手段の負荷特性はスミスチャート図において円状の特性を示す。溝部の深さLの変化に対してマイクロ波発生手段の負荷特性は周期的に変化している。このことから、マイクロ波空間67に給電したマイクロ波が開孔部74を経て溝部69の内部に伝搬していることが認められる。
また、溝部69の深さLがマイクロ波の伝搬波長の略1/4波長(約32.5mm)の前後では深さLの変化に対して負荷特性が大きく変わっている。これは、開孔部74に生じるインピーダンスが大きく変わることによるものである。さらに溝部69がマイクロ波キャビティとマイクロ波発生手段とのインピーダンス整合状態を調整するインピーダンス整合手段と同様の働きをしていることが認められる。
また負荷を含むマイクロ波キャビティ67に対して、マイクロ波発生手段との負荷整合を実現するために導波管68内にインピーダンス整合用部材(図示していない)を配設した時の特性例を図8に示す。なお、負荷整合は溝部69の深さLが0mmにおいて実施した。導波管68内にインピーダンス整合手段を設けることにより、マイクロ波発生手段が発生するマイクロ波をマイクロ波キャビティ67内に給電できる割合である給電効率は、図7の特性に比べて大きく改善されているが、深さLが25mm前後ではほぼ同等の給電効率である。また、このような負荷特性を示すマイクロ波キャビティを高周波加熱装置に適用した場合、深さLを可変することでマイクロ波発生手段の発生するマイクロ波の周波数を変化させることができることが認められる。
次に図8に示す特性を有するマイクロ波キャビティを用いて、溝部の深さ寸法Lがマイクロ波キャビティ内の電磁場分布に与える影響を調べた。この評価にはマイクロ波センサが検出する信号を用いた。この評価結果の一例を図9に示す。
なお、図9は深さ寸法Lが0mmを基準にし、深さ寸法Lが使用するマイクロ波の波長に対して略1/8波長(試験例では15.5mm)および略1/4波長(試験例では31.5mm)の場合において、それぞれの基準に対する相対値を示す。
深さ寸法Lが略1/8波長の場合には、深さ寸法Lが0mmにおいて生じる電磁場分布にほとんど同様であるが、深さ寸法Lが略1/4波長の場合には、電磁場分布が明らかに変化していることが認められる。しかも、略1/8波長の場合に電磁場強度が強い場所が略1/4波長の場合では弱くなっていることから、これらの深さ寸法の組合せは相互補完に近い電磁場分布をマイクロ波キャビティ内に生じさせていることが認められる。
次に上記の溝部の深さ寸法をマイクロ波給電中に変化させた場合のマイクロ波キャビティ内に生じる電磁場の時間的変化の一例を図10に示す。
深さ寸法Lを略1/4波長にすると、マイクロ波キャビティ内に生じる電磁場分布の均一化が進むことを図10は示している。
本発明は、溝部の開孔部からの深さ寸法を変化させることによるマイクロ波キャビティ内のマイクロ波挙動の変化を高周波加熱装置に適用しうる実用的構成として展開させたものである。
そして実用的構成として、溝部の終端と開孔部との寸法はマイクロ波の波長の1/4波長より少し長い寸法とし、インピーダンス変換部は開孔部からの配設寸法を1/4波長より短い寸法としている。これにより、開孔部には容量性と誘導性の両方のインピーダンスを持たせ、マイクロ波の多重伝搬を促進している。
本発明の実施例1を示すマイクロ波キャビティを適用した高周波加熱装置の構成図 同マイクロ波キャビティの要部構成図 本発明の実施例2を示すマイクロ波キャビティの要部構成図 本発明の実施例3を示すマイクロ波キャビティの要部構成図 本発明の実施例4を示すマイクロ波キャビティの構成図 本発明に係わるマイクロ波的作用を説明するマイクロ波キャビティの構成図 本発明に係わる開孔部に設けた溝部の深さがマイクロ波発生手段の負荷整合に与える影響を示す第一の特性図 本発明に係わる開孔部に設けた溝部の深さがマイクロ波発生手段の負荷整合に与える影響を示す第二の特性図 本発明に係わる開孔部に設けた溝部の深さがマイクロ波キャビティ内の電磁場分布に与える影響を示す特性図 本発明に係わる開孔部に設けた溝部の深さの可変がマイクロ波キャビティ内の電磁場分布に与える時間的変化の一例を示す特性図
符号の説明
10,67 マイクロ波キャビティ
17,54 マイクロ波空間
18,58,59,74 開孔部
20,39,42,60,61,69 溝部(インピーダンス変換手段)
21,40,46,75 溝部の終端(インピーダンス変換手段)
22 インピーダンス変換部(インピーダンス変換手段)
25,55 給電部
32 高周波電流
38 回転駆動されるインピーダンス変換部
41,64,65 非金属材料で構成したインピーダンス変換部
49,70 給電部を有する第一の壁面
50,52,71 開孔部を有する第二の壁面
L1,L8,L 開孔部から溝部の終端までの深さ
L5,L6,L9 開孔部からインピーダンス変換部までの距離寸法

Claims (4)

  1. 給電されたマイクロ波を実質的に閉じ込める略直方六面体からなるマイクロ波空間と、前記直方六面体の少なくとも一面に設けた開孔部と、前記開孔部から前記マイクロ波空間の外側に延在する終端が閉じられた溝部と、回転駆動するように溝部内に支持配設され誘電体材料からなるインピーダンス変換部とを備えたマイクロ波キャビティ。
  2. 開孔部は、直方六面体を構成する金属壁面に生じる高周波電流の流れを分断するように配設された請求項1記載のマイクロ波キャビティ。
  3. 被加熱物が収納されるとともに給電されたマイクロ波を実質的に閉じ込めるマイクロ波空間と、前記マイクロ波空間を形成するとともにマイクロ波の給電部を有する第一の壁面と、前記マイクロ波空間を形成するとともに前記第一の壁面を含まない第二の壁面と、前記第二の壁面においてその壁面の略中央部を通って配設された開孔部と、前記開孔部から前記マイクロ波空間の外側に延在する終端が閉じられた溝部と、回転駆動するように溝部内に支持配設され誘電体材料からなるインピーダンス変換部とを備えたマイクロ波キャビティ。
  4. 溝部の終端までの深さは、マイクロ波空間に給電されるマイクロ波の波長の1/4波長より大きい寸法構成とし、インピーダンス変換部の開孔部からの配設位置は、マイクロ波空間に給電されるマイクロ波の波長の1/4波長未満の寸法構成とした請求項1または3記載のマイクロ波キャビティ。
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