JP3911530B2 - 作動モニタリング装置を備えた宇宙機器用電磁弁 - Google Patents

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本発明は、人工衛星を含む宇宙機器の推進用燃料通路を開閉する電磁弁に適用され、弁の開閉時期を含む弁の作動状態を検知してモニタリングする作動モニタリング装置を備えた宇宙機器用電磁弁に関する。
各種制御弁、流量調整弁等に用いられ高精度の作動を要求される電磁弁の作動状態を検知しモニタリングする手段としては、従来、レーザ光を電磁弁の弁体運動部分に当てて該弁体運動部分の変位を検知するレーザ光変位計を用いてのモニタリング手段、電流計により検出したオッシログラフ波形を目視しながらモニタリングする手段等が簡便なモニタリング手段として用いられている。
また、内燃機関における燃料噴射時期制御用電磁弁の作動を検知しモニタリングする手段として、特許文献1(特開平10−122416号)の発明が提案されている。かかる発明においては、負荷電流処理部のフェールセーフ信号生成部において駆動電流に基づきフェールセーフ信号を生成し、該フェールセーフ信号生成部において燃料噴射信号の終了時に対して前記駆動電流の遮断時が適正であるか否かに基づいてフェールセーフ信号の能動もしくは非能動状態を決定し、電子制御装置において前記フェールセーフ信号の反転エッジに基づいて駆動電流の適否を診断するように構成されている。
特開平10−122416号 (要約書及び図1)
人工衛星等の宇宙機器の推進用燃料通路を開閉する電磁弁は、弁リフトが微小で流量の制御量が小さい反面、応答速度がきわめて大きいという特性を有する。
然るに、前記レーザ光変位計を用いてのモニタリング手段及びオッシログラフを用いてのモニタリング手段にあっては、基本的には目視による検知であり定量的に電磁弁の作動状態を検知できないことから、電磁弁の作動状態の検知精度が低く、流量制御量が小さく応答速度がきわめて大きい宇宙機器用電磁弁には適用できない。
また、特許文献1の発明にあっては、燃料噴射時期制御用電磁弁の作動を高精度で検知可能であるが、電磁弁の作動制御システムが複雑かつ大掛りで高コストの構成となる、
等の問題点を有している。
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、流量制御量が小さく応答速度が大きい作動特性を有する宇宙機器用電磁弁の作動のモニタリングを、簡単な構成かつ低コストの制御システムで以って高精度で施行し得る作動モニタリング装置を提供することを目的とする。
本発明はかかる課題を解決するため、電磁コイルへの通電、遮断と弁ばねのばね力との関係により開閉される弁の開閉時期を含む弁の作動状態を検知してモニタリングする作動モニタリング装置を備えた宇宙機器用電磁弁において、
前記電磁コイルに通電される電流の時間変化を検出する電流検出器を備えるとともに、
該電流の時間変化を表す電流変化率を算出する手段と、
前記電流検出器で検出された電流が、前記弁ばねのばね力相当電流以上の電流の状態である域において、前記電流変化率が正から負へ変化する変化点T (0の点)前の変化時期の勾配を検出する手段と、
前記検出した勾配より前記電磁弁の開き始めを検出する手段と、
前記電流変化線が前記変化時期後において最初の谷になった時期により前記電磁弁の開き終わりを検出する手段と
前記弁ばねのばね力相当電流以上の電流の状態である域における電流変化率を反転して一定のゲインを付与した後積分して前記電磁弁の弁変位を検出する手段を備えてなることを特徴とする作動モニタリング装置を備えた宇宙機器用電磁弁を提案する。
削除
かかる発明によれば、前記電流検出器で検出された電流が、前記弁ばねのばね力相当電流以上の電流の状態である域において、前記電流変化率が正から負へ変化する変化点T (0の点)前の変化時期の勾配を、図2で示す勾配検出手段27にて検出し、例えば図3にみるように図2で示す微分器23より得られる電流変化率Cを更に微分して得られる電流変化率Cの変化割合(勾配)が負の方向に転じる変曲点に対応する点(変化時期T4)を勾配検出器27で検出し前記変化時期T4が電磁弁の開き始めのタイミングとなり、更に前記電流変化線が前記変化時期後において最初の谷になった時期つまり前期電流変化率が前記変化時期後において負のピークになった時期が前記電磁弁の開き終わりとなることを実験及びシミュレーションにより知見し、かかる知見に基づき、電磁弁の開き始め時期及び該電磁弁が最大開度に達する開き終わり時期を検知することが本発明である
従ってかかる発明によれば、電流の時間変化を検出しその時間変化波形を解析することにより電磁弁の開き始め時期及び開き終わり時期を微細にかつ定量的に検知できるので、流量制御量が小さく応答速度がきわめて大きい宇宙機器用電磁弁の作動を正確にモニタリングすることができる。
また、電流検出器にて検出された電流の時間変化波形を解析するのみという、複雑な制御システムを必要とせず、きわめて簡単かつ低コストの構造及び手段で以って前記のような正確なモニタリングを行うことができる。
また、請求項1に加えて、好ましくは請求項のように、前記電磁弁の電磁コイルへの通電回路にコンデンサを接続する。
このように構成すれば、電磁コイルへの通電回路にコンデンサを接続することにより、電磁弁への電流がステップ的に遮断されるのが回避され、該電磁弁の急激な閉止による衝撃の発生を防止できる。
以上記載の如く本発明によれば、電流の時間変化を検出しその時間変化波形を解析することにより電磁弁の開き始め時期及び開き終わり時期を微細にかつ定量的に検知できるので、流量制御量が小さく応答速度がきわめて大きい宇宙機器用電磁弁の作動を正確にモニタリングすることができる。
また、電流検出器にて検出された電流の時間変化波形を解析するのみという、複雑な制御システムを必要とせず、きわめて簡単かつ低コストの構造及び手段で以って前記のような正確なモニタリングを行うことができる。
また、請求項のように構成すれば、電磁コイルへの通電回路にコンデンサを接続することにより、電磁弁への電流がステップ的に遮断されるのが回避され、該電磁弁の急激な閉止による衝撃の発生を防止できる。
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は本発明の実施例に係る宇宙機器用電磁弁の作動モニタリング装置の全体構成図、図2は前記電磁弁の作動モニタリング装置の制御ブロック図である。図3は前記実施例における電磁弁電流及び電磁弁作動の時間変化を示す線図である。図4は前記作動モニタリング装置の他の例を示す部分構成図である。
図1において、100は宇宙機器用の電磁弁、1は該電磁弁100の弁本体、3aは該弁本体1に固定された弁座、3は弁体、4は作動流体入口、5は前記弁座3aに穿孔された微小通路面積の作動流体出口、6は前記弁体3と弁本体1との間に架設された弁ばね、2は前記弁体3駆動用の電磁コイルである。10は前記弁体3の変位を検出する変位センサであるが、該変位センサ10及びこれに連結される補助棒010等は省略してもよい。
前記電磁弁100において、電磁コイル2に通電されると、該電磁コイル2に発生する電磁力により前記弁体3が弁ばね6のばね力に抗して図の右方にリフトし、作動流体入口4側と作動流体出口5とが連通され、該作動流体入口4に導入された作動流体が微小通路面積の作動流体出口5から微小量送出される。
前記電磁コイル2の通電が遮断されると、弁ばね6のばね力により弁体3が弁座に着座し作動流体出口5が閉じられる。
図1に示される前記電磁弁100の作動モニタリング装置において、17は電源で、該電源17と前記電磁弁100の電磁コイル2とを接続する電気回路34に設けられたスイッチ19を接脱することにより、該電磁コイル2に通電、遮断するようになっている。
14は前記電気回路34を流れて前記コイル2に通電される電流の時間変化を検出する電流検出器、15はローパスフィルタ、16はA/D変換器、20は処理装置、13は表示装置である。
かかる作動モニタリング装置において、前記電流検出器14にて検出されたコイル2への電流の時間変化(電流波形)B(図3参照)はローパスフィルタ15にて高周波ノイズが除去され、A/D変換器16にてデジタル信号に変換されて処理装置20に入力され、該処理装置20にて後述するような処理がなされた後、その結果が表示装置13に表示される。
次に、図2の制御ブロック図及び図3の時間変化線図に基づき、前記電磁弁100の作動モニタリング装置の動作を説明する。
A/D変換器16から処理装置20に入力された電流Bの時間変化の検出信号は、位相補償部21にて図3に示されるような滑らかな時間変化に補償される。尚、前記A/D変換器16の前に位相補償部21での前記補償を行うようにしてもよい。また、以後の説明ではデジタル演算、制御の場合も図3のアナログ時間変化線図を用いて説明する。
前記位相補償部21にて位相補償がなされた電流Bは微分器23に入力され、該微分器23において微分動作がなされて電流増加率(電流変化率)Cが得られ、該電流増加率Cは勾配検出部27に入力される。該勾配検出部27においては、前記電流Bの大きさが前記ばね6のばね力つまり開弁ばね力に相当する電流(図3の時期T に相当する時期の電流値)以上の状態である域において、前記電流増加率Cが正から負へ変化する変化点T (図3の0の点)前の変化時期T の勾配を勾配検出部27にて検出し弁開き始め検出部29に入力する。
ここで、前記変化時期T は例えば図3にみるように前記微分器23より得られる電流変化率Cを勾配検出器27で更に微分して得られる電流変化率Cの変化割合(勾配)が負の方向に転じる変曲点と対応する時期であって、該変化時期Tが電磁弁100の開き始め時期Tと一致することが、実験及びシミュレーションにより得られており、かかるデータが弁開き始め検出部29に設定されている。
そして該弁開き始め検出部29においては、前記電流変化率C変化時期Tと電磁弁100の弁変位Aとを対応させて該電磁弁100の開き始め時期Tを算出する。
一方、前記位相補償部21にて位相補償がなされた電流Bはピーク値検出部22にも入力され、該ピーク値検出部22において前記電流Bが前記変化時期T後において最初の谷になる時期つまり前記電流変化率Cが負のピークになる時期Tを算出する。
ここで、前記電流Bが前記変化時期T後において最初の谷になる時期Tが電磁弁100の開き終わり時期Tと一致することが、実験及びシミュレーションにより得られており、かかるデータが弁開き終わり検出部28に設定されている。
該弁開き終わり検出部28においては、前記電流Bが最初の谷になる時期Tと電磁弁100の弁変位Aとを対応させて該電磁弁100の開き終わり時期Tを算出する。
また、前記微分器23からの電流増加率(電流変化率)C、即ち前記弁ばねのばね力相当電流以上の電流の状態である域における電流変化率Cは反転部24に入力されて該反転部24で符号変換され、さらにゲイン付与部25にて一定のゲインが乗じられた後、積分器26にて積分動作がなされて弁変位検出部30に入力され、該弁変位検出部30において電磁弁100の弁体6の変位Aを算出する。
前記弁開き始め検出部29からの電磁弁100の開き始め時期T、該弁開き終わり検出部28からの電磁弁100の開き終わり時期T及び該弁変位検出部30からの電磁弁100における弁体6の変位A等の、電磁弁100の作動状態信号は前記表示装置13に入力される。
従って、該表示装置13に表示される前記電磁弁100の作動状態信号により該電磁弁100の正確なモニタリングが可能となる。
図4に示される作動モニタリング装置の他の例においては、前記電磁弁100のコイル2への通電回路34にコンデンサ18を接続している。
このコンデンサ18により、電磁弁100閉止時において、該電磁弁100への電流がステップ的に遮断されるのが回避され、該電磁弁100の急激な閉止による衝撃の発生を防止できる。
その他の構成は図1の実施例と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
本発明によれば、流量制御量が小さく応答速度が大きい作動特性を有する宇宙機器用電磁弁の作動のモニタリングを、簡単な構成かつ低コストの制御システムで以って高精度で施行し得る作動モニタリング装置を提供でき、人工衛星等の宇宙機器の推進用燃料通路を開閉する電磁弁として有効である。
本発明の実施例に係る宇宙機器用電磁弁の作動モニタリング装置の全体構成図である。本発明の実施例に係る電磁弁の作動モニタリング装置の制御ブロック図である。 前記電磁弁の作動モニタリング装置の制御ブロック図である。 前記実施例における電磁弁電流及び電磁弁作動の時間変化を示す線図である。 前記作動モニタリング装置の他の例を示す部分構成図である。
符号の説明
100 宇宙機器用電磁弁
1 弁ケース
2 電磁コイル
3 弁体
3a 弁座
6 弁ばね
13 表示装置
14 電流検出器
15 ローパスフィルタ
16 A/D変換器
20 処理装置
17 電源
19 スイッチ
34 電気回路

Claims (2)

  1. 電磁コイルへの通電、遮断と弁ばねのばね力との関係により開閉される弁の開閉時期を含む弁の作動状態を検知してモニタリングする作動モニタリング装置を備えた宇宙機器用電磁弁において、
    前記電磁コイルに通電される電流の時間変化を検出する電流検出器を備えるとともに、
    該電流の時間変化を表す電流変化率を算出する手段と、
    前記電流検出器で検出された電流が、前記弁ばねのばね力相当電流以上の電流の状態である域において、前記電流変化率が正から負へ変化する変化点T 前の変化時期の勾配を検出する手段と、
    前記検出した勾配より前記電磁弁の開き始めを検出する手段と、
    前記電流変化線が前記変化時期後において最初の谷になった時期により前記電磁弁の開き終わりを検出する手段と
    前記弁ばねのばね力相当電流以上の電流の状態である域における電流変化率を反転して一定のゲインを付与した後積分して前記電磁弁の弁変位を検出する手段を備えてなることを特徴とする作動モニタリング装置を備えた宇宙機器用電磁弁。
  2. 前記電磁弁の電磁コイルへの通電回路にコンデンサを接続してなることを特徴とする請求項1記載の作動モニタリング装置を備えた宇宙機器用電磁弁。
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