JP3911428B2 - 駆動装置および駆動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動装置および駆動方法に関する。例えば、測定機本体に対して移動可能な可動部材を有し、この可動部材を移動させながら被測定物の測定を行う測定機において、可動部材を移動させるための駆動装置および駆動方法に関する。
【0002】
【背景技術】
測定機本体に対して移動可能な可動部材を有し、この可動部材を移動させながら被測定物の測定を行う測定機、たとえば、被測定物の測定表面に沿ってスタイラスを移動させ、そのときのスタイラスの変位を検出して被測定物の表面粗さを測定する表面粗さ測定機などが知られている。
【0003】
このような測定機において、測定子を被測定物に対して接近および離隔する方向へ微小変位させる微動機構と、この微動機構とともに測定子を被測定物に対して接近および離隔する方向へ大変位させる粗動機構とを備えた測定機の駆動機構が知られており、例えば、特開2001−264050公報で開示される測定機の駆動機構がある。
【0004】
この測定機の駆動機構は、図7に示されるように、被測定物7に接触する測定子1と、測定子1を上下方向に移動させる駆動機構2とを備えて構成されている。
駆動機構2は、測定子1を微小範囲で移動させる微動機構21と、この微動機構21とともに測定子1を大変位させる粗動機構22とを備えて構成されている。
微動機構21は、粗動機構22の可動部224に固定される固定部211と、この固定部211の下面に設けられた圧電素子212とを備えて構成されている。ちなみに固定部211の上面には下面側の圧電素子212と反対側に駆動される圧電素子213が設けられ、粗動機構22に対して圧電素子212の発生力を相殺している。
粗動機構22は、測定機本体に固定されたヨーク221および永久磁石222と、永久磁石222による磁界中を上下方向に移動する可動コイル223とを備えた電磁アクチュエータから構成されている。
【0005】
このような構成において、測定子1と被測定物7との間に作用する測定力を一定にするように、微動機構21と粗動機構22はそれぞれ駆動される。圧電素子212に電圧を印加すると、圧電素子212は伸縮され、また、可動コイル223に電圧を印加すると、可動コイル223は上下に移動されるので、圧電素子212および可動コイル223に印加する電圧を制御することによって、微動機構21と粗動機構22は駆動制御される。
このとき、被測定物7の表面形状の微小変位に対しては微動機構21による変位によって測定子1は移動され、被測定物7の表面形状の大変位に対しては、微動機構21の変位量が微小範囲になるように粗動機構22によって測定子1は大変位される。
【0006】
このように、微動機構21と粗動機構22を組み合わせることによって、例えば、半導体ウエハ等の表面のように、ナノメートルオーダの微小凹凸と、マイクロメートルオーダの大凹凸を有する被測定物7に対しても効率よく測定することが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
微小変位能力を有する微動機構21と大変位能力を有する粗動機構22が設けられたとしても、それぞれを制御する制御信号をどのように発生させるかが問題となる。
しかしながら、微動機構21と粗動機構22をそれぞれどのように駆動させるのかは、前記公報(特開2001−264050公報)では明らかにされていないので、微動機構21と粗動機構22それぞれに印加する電圧をどのように決定するのか問題が残る。
【0008】
本発明の目的は、測定子を微小変位させる微動機構と測定子を大変位させる粗動機構とを駆動させる測定機の駆動装置において、微動機構と粗動機構とをそれぞれ安定に駆動制御できる測定機の駆動装置および測定機の駆動方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の駆動装置は、可動部材を微小変位させる微動機構と、前記微動機構とともに前記可動部材を大変位させる粗動機構と、前記可動部材の位置を検出する位置検出手段と、前記微動機構および前記粗動機構のうち少なくとも一方を駆動させる制御手段とを備える駆動装置において、前記微動機構の挙動を示す演算モデルおよび前記微動機構の駆動制御量より前記微動機構の変位量を求める微動変位量分離算出手段と、前記位置検出手段からの検出値より前記微動機構の変位量を差し引いて前記粗動機構の変位量を求める粗動変位量分離算出手段とが設けられ、前記制御手段は、前記微動変位量分離算出手段および粗動変位量分離算出手段によって求められた前記粗動機構の変位量をフィードバック量として前記粗動機構を駆動制御することを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、可動部材が微動機構によって微小範囲で駆動されるとともに、粗動機構によって大変位される。
微動機構の変位量は、微動変位量分離算出手段において微動機構の挙動を示す演算モデルおよび微動機構の駆動制御量から求められる。
微動変位量分離算出手段で求められた微動機構の変位量は粗動変位量分離算出手段に送られる。粗動変位量分離算出手段では、位置検出手段によって検出された可動部材の位置、つまり、微動機構と粗動機構の合成変位量から微動機構の変位量を減じることにより、粗動機構の変位量が算出される。よって、この粗動機構の変位量でサーボロックをかけるとともに、微動機構の変位量が微小範囲となるように粗動機構を駆動制御することができる。
【0011】
微動機構の変位を微小範囲とし、微動機構の変位では足りない分を粗動機構で補完するように粗動機構を駆動制御するには、制御対象である微動機構の変位量と、粗動機構の変位量を逐次算出して求めることが必要である。しかしながら、位置検出手段で検出される変位は微動機構と粗動機構の合成変位なので、微動機構と粗動機構のそれぞれの変位量は従来求めることができなかった。そのため、微動機構を補完するように粗動機構を駆動制御することができなかった。
しかし、本発明においては、微動変位量分離算出手段によって、微動機構の変位量が求められる。位置検出手段で検出される微動機構と粗動機構との合成変位量から微動機構の変位量Dを引くと、粗動機構の変位量を求めることができる。よって、この粗動機構の変位量と微動機構の変位量から、微動機構の変位量が微小範囲となるように粗動機構をフィードバック制御することができる。
【0012】
このように、微動機構の変位量と粗動機構の変位量を独立して抽出することにより、この値を用いたフィードバック制御により粗動機構を駆動制御することができるので、粗動機構の大変位能力により、微動機構の変位を微小範囲にするように粗動機構を駆動制御することができる。
なお、ここで意味するフィードバック制御の形態は、後述する(数26)によって表現され、厳密には、位置および速度フィードバック制御である。
【0013】
請求項2に記載の測定機の駆動装置は、測定子を被測定物に対して接近または離隔する方向へ微小変位させる微動機構と、前記微動機構とともに前記測定子を前記被測定物に対して接近および離隔する方向へ前記微動機構よりも大変位させる粗動機構と、前記測定子が前記被測定物と関与した際に変化する状態量を検出する状態量検出手段と、前記測定子の位置を検出する位置検出手段とを有し、前記状態量検出手段の出力が所定値になるように前記微動機構および前記粗動機構のうちの少なくとも一方を駆動させる制御手段とを備える測定機の駆動装置において、前記微動機構の挙動を示す演算モデルおよび前記微動機構の駆動制御量より前記微動機構の変位量を求める微動変位量分離算出手段と、前記位置検出手段からの検出値より前記微動機構の変位量を差し引いて前記粗動機構の変位量を求める粗動変位量分離算出手段とが設けられ、前記制御手段は、前記微動変位量分離算出手段および粗動変位量分離算出手段によって求められた前記粗動機構の変位量をフィードバック量として前記粗動機構を駆動制御することを特徴とする。
【0014】
このような構成において、測定子が被測定物に関与したときの状態量が状態量検出手段で検出される。すると、この状態量が所定値になるように制御手段によって微動機構および粗動機構が駆動制御され、測定子が被測定物表面の形状に沿って変位される。状態量検出手段で検出される状態量が所定値を示したときの測定子の位置を位置検出手段によって検出すると、被測定物の形状を測定できる。微動機構は、状態量検出手段からの出力に応答して制御手段によって駆動され、測定子を被測定物に対して微小範囲で変位させる。
微動機構の変位量は、微動変位量分離算出手段において微動機構の挙動を示す演算モデルおよび微動機構の駆動制御量から求められる。
【0015】
微動変位量分離算出手段で求められた微動機構の変位量は粗動変位量分離算出手段に送られる。粗動変位量分離算出手段では、位置検出手段によって検出された測定子の位置、つまり、微動機構と粗動機構の合成変位量から微動機構の変位量を減じることにより、粗動機構の変位量が算出される。よって、この粗動機構の変位量でサーボロックをかけるとともに、微動機構の変位量が微小範囲となるように粗動機構を駆動制御することができる。
【0016】
微動機構の変位を微小範囲とし、微動機構の変位では足りない分を粗動機構で補完するように粗動機構を駆動制御するには、制御対象である微動機構の変位量と、粗動機構の変位量を逐次算出して求めることが必要である。しかしながら、位置検出手段で検出される変位は微動機構と粗動機構の合成変位なので、微動機構と粗動機構のそれぞれの変位量は従来求めることができなかった。そのため、微動機構を補完するように粗動機構を駆動制御することができなかった。
しかし、本発明においては、微動変位量分離算出手段によって、微動機構の変位量が求められる。位置検出手段で検出される微動機構と粗動機構との合成変位量から微動機構の変位量Dを引くと、粗動機構の変位量を求めることができる。よって、この粗動機構の変位量と微動機構の変位量から、微動機構の変位量が微小範囲となるように粗動機構をフィードバック制御することができる。
【0017】
このように、微動機構の変位量と粗動機構の変位量を独立して抽出することにより、この値を用いた位置フィードバック制御により粗動機構を駆動制御することができるので、粗動機構の大変位能力により、微動機構の変位を微小範囲にするように粗動機構を駆動制御することができる。
また、微動機構および粗動機構を同時に安定駆動制御することによって、測定力を一定としつつ測定子を被測定物の表面形状に沿って、微細形状に対しては高速で、かつ、広い測定範囲で変位させることができる。よって、被測定物の表面の微細形状と粗面形状を同時に測定できる。
【0018】
請求項3に記載の測定機の駆動装置は、請求項2に記載の測定機の駆動装置において、前記微動機構は圧電素子を含んで構成され、前記微動機構の駆動制御量は前記圧電素子に印加される印加電圧であり、前記微動変位量分離算出手段は、微動機構の変位量Dを算出するための演算モデルとして微動変位量演算式を記憶しており、前記微動変位量演算式は、前記圧電素子の変位量をD、前記微動機構の駆動制御量である前記圧電素子への印加電圧をV1、前記位置検出手段による検出値である前記微動機構と前記粗動機構の合成変位量をX1、前記微動機構の可動部分の質量をm1、前記圧電素子の特性定数をα、前記圧電素子のばね定数をkp、前記被測定物と前記微動機構可動部との間の弾性定数をkh、前記微動機構へのフィードバック係数をγ、前記状態量検出手段の出力の所定値をVc1とすると、
【0019】
【数4】
【0020】
で表されることを特徴とする。
【0021】
このような微動変位量演算式によって、微動機構の変位量Dを求めることができる。すると、位置検出手段によって検出される測定子の位置から微動機構と粗動機構の合成変位量X1を求めることができるので、粗動変位量分離算出手段において、合成変位量X1から微動機構の変位量Dを減じることによりX2が求められる。具体的に、この粗動機構の変位量X2は、
【0022】
【数5】
【0023】
である。
【0024】
上記演算式において、X1は位置検出手段によって検出可能であり、V1は圧電素子に印加される電圧であるので、DとX2は既知である状態量を用いて算出可能である。よって、このDとX2を用いて、Dが微小範囲となるように、DとX2を位置フィードバック量として粗動機構を駆動制御することができる。
【0025】
請求項4に記載の測定機の駆動装置は、請求項3に記載の測定機の駆動装置において、前記微動変位量演算式が
【0026】
【数6】
【0027】
で近似されることを特徴とする。
【0028】
微動変位量演算式を上記のように近似すると、粗動機構の変位量X2は
【0029】
【数7】
【0030】
のように近似される。
このような式によれば、複雑な演算、例えば2回微分等を含むような演算ではないので、アナログ回路でもD、X2を出力できる。よって、制御手段をアナログ回路で構成することが可能となる。
【0031】
請求項5に記載の測定機の駆動装置は、請求項2に記載の測定機の駆動装置において、前記微動機構は、一端に測定子を有する可動部と、前記可動部の他端に設けられた第1電極と、粗動機構に連結された支持体と、前記支持体に設けられ前記第1電極と対を成す第2電極と、前記支持体と前記可動部を連結するばねとを備えて構成される静電力アクチュエータであって、前記微動機構の駆動制御量は前記静電力アクチュエータに印加される印加電圧であり、前記微動変位量分離算出手段は、微動機構の変位量D1vを算出するための微動変位量演算式を記憶しており、前記微動変位量演算式は、前記電極間の距離をD1s、前記電極間隔の初期値をD1s0、前記電極間隔の初期値からの変位量をD1v、前記可動部の質量をm1s、前記電極の対向面積をS、誘電率をε0、前記静電力アクチュエータへの印加電圧をV1、前記ばねのばね定数をkpsとすると、
【0032】
【数8】
【0033】
で表されることを特徴とする。
【0034】
このような微動変位量演算式によって、微動機構の変位量D1vを求めることができる。すると、位置検出手段によって検出される測定子の位置から微動機構と粗動機構の合成変位量X1を求めることができるので、粗動変位量分離算出手段において、この合成変位量X1から微動機構の変位量D1vを減じることにより粗動機構の変位量X2が求められる。X1は位置検出手段によって検出可能であり、V1は静電力アクチュエータに印加される電圧であるので、D1vとX2は既知である状態量を用いて算出可能である。よって、このD1vとX2を用いて、D1vが微小範囲となるように、D1vとX2を位置フィードバック量として粗動機構を駆動制御することができる。
【0035】
請求項6に記載の駆動方法は、可動部材を微小変位させる微動機構と、前記微動機構とともに前記可動部材を大変位させる粗動機構と、前記可動部材の位置を検出する位置検出手段と、前記微動機構および前記粗動機構のうち少なくとも一方を駆動させる制御手段を備える駆動装置を駆動させる駆動方法において、前記微動機構の挙動を示す演算モデルおよび前記微動機構の駆動制御量より前記微動機構の変位量を求める微動変位量分離算出工程と、前記位置検出手段からの検出値より前記微動機構の変位量を差し引いて前記粗動機構の変位量を求める粗動変位量分離算出工程と、前記微動変位量分離算出工程および粗動変位量分離算出工程によって求められた前記粗動機構の変位量をフィードバック量として前記粗動機構を駆動制御する粗動機構制御工程とを備えることを特徴とする。
【0036】
このような構成によれば、可動部材が微動機構によって微小範囲で駆動されるとともに、粗動機構によって大変位される。
微動機構の変位量は、微動変位量分離算出工程において微動機構の挙動を示す演算モデルおよび微動機構の駆動制御量から求められる。この微動変位量分離算出工程において求められた微動機構の変位量が微小範囲となるように、制御手段によって粗動機構が駆動される。
【0037】
微動変位量分離算出工程で求められた微動機構の変位量を用いて、粗動変位量分離算出工程では、位置検出手段によって検出された測定子の位置、つまり、微動機構と粗動機構の合成変位量から微動機構の変位量を減じることにより、粗動機構の変位量を算出する。粗動機構制御工程において、この粗動機構の変位量でサーボロックをかけるとともに、微動機構の変位量が微小範囲となるように粗動機構を駆動制御する。
【0038】
微動機構の変位を微小変位の範囲とし、微動機構の変位では足りない分を粗動機構で補完するように粗動機構を駆動制御するには、制御対象である微動機構の変位量と、粗動機構の変位量を逐次算出して求めることが必要である。しかしながら、位置検出手段で検出される変位は微動機構と粗動機構の合成変位なので、微動機構と粗動機構のそれぞれの変位量は従来求めることができなかった。そのため、微動機構を補完するように粗動機構を駆動制御することができなかった。
しかし、本発明においては、微動変位量分離算出工程によって、微動機構の変位量が求められ、粗動変位量分離算出工程によって、位置検出手段で検出される微動機構と粗動機構との合成変位量から微動機構の変位量Dを引くと、粗動機構の変位量が求められる。
よって、粗動機構制御工程により、粗動機構の変位量と微動機構の変位量から、微動機構の変位量が微小範囲となるように粗動機構をフィードバック制御することができる。
【0039】
請求項7に記載の測定機の駆動方法は、測定子を被測定物に対して接近または離隔する方向へ微小変位させる微動機構と、前記微動機構とともに前記測定子を前記被測定物に対して接近および離隔する方向へ前記微動機構よりも大変位させる粗動機構と、前記測定子が前記被測定物と関与した際に変化する状態量を検出する状態量検出手段と、前記測定子の位置を検出する位置検出手段とを有し、前記状態量検出手段の出力が所定値になるように前記微動機構および前記粗動機構のうちの少なくとも一方を駆動させる制御手段とを備える測定機の駆動装置を駆動させる測定機の駆動方法において、前記微動機構の挙動を示す演算モデルおよび前記微動機構の駆動制御量より前記微動機構の変位量を求める微動変位量分離算出工程と、前記位置検出手段からの検出値より前記微動機構の変位量を差し引いて前記粗動機構の変位量を求める粗動変位量分離算出工程と、前記微動変位量分離算出工程および粗動変位量分離算出工程によって求められた前記粗動機構の変位量をフィードバック量として前記粗動機構を駆動制御する粗動機構制御工程とを備えることを特徴とする。
【0040】
このような構成において、測定子が被測定物に関与したときの状態量が状態量検出手段で検出される。すると、この状態量が所定値になるように制御手段によって微動機構および粗動機構が駆動制御され、測定子が被測定物表面の形状に沿って走査される。状態量検出手段で検出される状態量が所定値を示したときの測定子の位置を位置検出手段によって検出すると、被測定物の形状を測定できる。
【0041】
微動機構は、状態量検出手段からの出力に応答して制御手段によって駆動され、測定子を被測定物に対して微小範囲で変位させる。この微動機構の変位量は、微動変位量分離算出工程において微動機構の挙動を示す演算モデルおよび微動機構の駆動制御量から求められる。この微動変位量分離算出工程において求められた微動機構の変位量が微小範囲となるように、制御手段によって粗動機構が駆動される。
微動変位量分離算出工程で求められた微動機構の変位量を用いて、粗動変位量分離算出工程では、位置検出手段によって検出された測定子の位置、つまり、微動機構と粗動機構の合成変位量から微動機構の変位量を減じることにより、粗動機構の変位量を算出する。粗動機構制御工程において、この粗動機構の変位量でサーボロックをかけるとともに、微動機構の変位量が微小範囲となるように粗動機構を駆動制御する。
【0042】
微動機構の変位を微小変位の範囲とし、微動機構の変位では足りない分を粗動機構で補完するように粗動機構を駆動制御するには、制御対象である微動機構の変位量と、粗動機構の変位量を逐次算出して求めることが必要である。しかしながら、位置検出手段で検出される変位は微動機構と粗動機構の合成変位なので、微動機構と粗動機構のそれぞれの変位量は従来求めることができなかった。そのため、微動機構を補完するように粗動機構を駆動制御することができなかった。
しかし、本発明においては、微動変位量分離算出工程によって、微動機構の変位量が求められ、粗動変位量分離算出工程によって、位置検出手段で検出される微動機構と粗動機構との合成変位量から微動機構の変位量Dを引くと、粗動機構の変位量が求められる。
よって、粗動機構制御工程により、粗動機構の変位量と微動機構の変位量から、微動機構の変位量が微小範囲となるように粗動機構をフィードバック制御することができる。
【0043】
請求項8に記載の測定機の駆動装置は、測定子を被測定物に対して接近または離隔する方向へ微小変位させる微動機構と、前記微動機構とともに前記測定子を前記被測定物に対して接近および離隔する方向へ前記微動機構よりも大変位させる粗動機構と、前記測定子が前記被測定物と関与した際に変化する状態量を検出する状態量検出手段と、前記測定子の位置を検出する位置検出手段とを有し、前記状態量検出手段の出力が所定値になるように前記微動機構および前記粗動機構のうちの少なくとも一方を駆動させる制御手段とを備える測定機の駆動装置において、前記微動機構の変位量を検出する微動変位量検出手段と、前記位置検出手段からの検出値より前記微動機構の変位量を差し引いて前記粗動機構の変位量を求める粗動変位量分離算出手段とが設けられ、前記制御手段は、前記微動変位量検出手段および粗動変位量分離算出手段によって求められた前記粗動機構の変位量をフィードバック量として前記粗動機構を駆動制御することを特徴とする。
【0044】
このような構成において、測定子が被測定物に関与したときの状態量が状態量検出手段で検出される。すると、この状態量が所定値になるように制御手段によって微動機構および粗動機構が駆動制御され、測定子が被測定物表面の形状に沿って走査される。状態量検出手段で検出される状態量が所定値を示したときの測定子の位置を位置検出手段によって検出すると、被測定物の形状を測定できる。
【0045】
微動機構は、状態量検出手段からの出力に応答して制御手段によって駆動され、測定子を被測定物に対して微小範囲で変位させる。この微動機構の変位量は、微動変位量検出手段において検出される。この微動変位量検出手段において求められた微動機構の変位量が微動機構の駆動範囲を超えないように、制御手段によって粗動機構が駆動される。
微動変位量検出手段で求められた微動機構の変位量は粗動変位量分離算出手段に送られる。粗動変位量分離算出手段では、位置検出手段によって検出された測定子の位置、つまり、微動機構と粗動機構の合成変位量から微動機構の変位量を減じることにより、粗動機構の変位量が算出される。よって、この粗動機構の変位量でサーボロックをかけるとともに、微動機構の変位量が微小範囲となるように粗動機構を駆動制御することができる。
【0046】
微動機構の変位を微小変位の範囲とし、微動機構の変位では足りない分を粗動機構で補完するように粗動機構を駆動制御するには、制御対象である微動機構の変位量と、粗動機構の変位量を逐次算出して求めることが必要である。しかしながら、位置検出手段で検出される変位は微動機構と粗動機構の合成変位なので、微動機構と粗動機構のそれぞれの変位量は従来求めることができなかった。そのため、微動機構を補完するように粗動機構を駆動制御することができなかった。
しかし、本発明においては、微動変位量検出手段によって、微動機構の変位量を検出することができる。位置検出手段で検出される微動機構と粗動機構との合成変位量から微動機構の変位量Dを引くと、粗動機構の変位量を求めることができる。
よって、この粗動機構の変位量と微動機構の変位量から、微動機構の変位量が微小範囲となるように粗動機構をフィードバック制御することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1には、本発明の測定機の駆動装置にかかる第1実施形態が示されている。
この測定機の駆動装置は、被測定物7に接触される可動部材としての測定子1を変位させる駆動機構2と、測定子1の位置を検出する位置検出手段3と、測定子1が被測定物に接触した際に変化する状態量を検出する状態量検出手段としての測定力検出手段4と、駆動機構2の駆動を制御するための制御手段5とを備えて構成されている。
【0048】
この測定機の駆動装置において、駆動機構2は背景技術で前述したのと同様の構成のものを用いることができる。
位置検出手段3は従来知られている光電式または静電式のリニアエンコーダや渦電流センサ等を用いることができる。
測定力検出手段4は、測定子1と被測定物7との接触の状態を検出できるものであれば種々の構成のものを用いることができる。例えば、測定子1に圧電素子を設けて、この圧電素子が押圧されたときの電圧変化を検出するものや、測定子に加振用圧電素子と測定子1の振動変化を検出する検出用圧電素子を設けて、測定子1と被測定物が接触した際の検出用圧電素子の振動変化に応じて変化される電圧変化を検出するものでもよい。この場合、検出される電圧変化が測定子1と被測定物7とが関与されたときの状態量となる。
【0049】
制御手段5は、微動機構制御手段51と、変位量分離算出手段52と、粗動機構制御手段53とを備えて構成されている。
微動機構制御手段51は、微動機構21へ印加する電圧V1を制御変量として発生させることにより、測定子1と被測定物7との間の測定力を一定とし、かつ、測定子1が被測定物7の表面の凹凸に倣って変位されるように、微動機構21の変位量を制御対象とするものである。
【0050】
微動機構制御手段51で発生される電圧V1は、目標とする測定力に相当する電圧をVc1、測定力検出手段4で検出される測定力に相当する電圧をVm、微動機構21へのフィードバック係数をγ0とすると、
【0051】
【数9】
【0052】
であらわされる。この電圧V1は微動機構21の圧電素子212に印加されて圧電素子212を駆動させるとともに、微動機構21の駆動制御量として後述する変位量分離算出手段52に送られる。
変位量分離算出手段52は、微動変位量分離算出手段521と粗動変位量分離算出手段522とを備えて構成されている。
微動変位量分離算出手段521は、微動機構21の変位量Dを算出するための演算モデルとして微動変位量演算式を記憶している。
この微動変位量演算式は、圧電素子212の変位量をD、圧電素子212への印加電圧をV1、位置検出手段3による検出値である微動機構21と粗動機構22の合成変位量をX1、微動機構21の可動部分の質量をm1、圧電素子212の特性定数をα、圧電素子212のばね定数をkp、被測定物7と微動機構21の可動部との間の弾性定数をkh、微動機構21へのフィードバック係数をγ、測定力検出手段4の出力の所定値をVc1とすると、
【0053】
【数10】
【0054】
で表される。
微動変位量分離算出手段521は、この微動変位量演算式と微動機構21に印加される電圧V1とから微動機構21の変位量Dを求める微動変位量分離算出工程を行う。
この微動機構21の変位量Dは粗動機構制御手段53に送られる。
粗動変位量分離算出手段522は、粗動機構22の変位量X2を演算する演算式を記憶している。この演算式は
【0055】
【数11】
【0056】
で表される。粗動変位量分離算出手段522は、この演算式を用いて粗動機構22の変位量を求める粗動変位量分離算出工程を行う。具体的にDの値を代入して示せば、
【0057】
【数12】
【0058】
となる。このX2は粗動機構制御手段53に送られる。
【0059】
粗動機構制御手段53は、粗動機構22へ印加する電圧V2を制御変量として発生させることにより、粗動機構22の変位量X2を制御対象として制御するものである。
粗動機構22は、微動機構21の変位量が微小範囲となるように駆動される。つまり、被測定物7の凹凸が大きい場合、粗動機構22を大きく駆動させることにより、微動機構21の駆動を微小範囲にとどめるようにする。
【0060】
粗動機構22で発生される電圧V2は、微動機構21の変位量Dに従って決定される関数をf(D)、粗動機構22の変位量をX2、粗動機構22へのフィードバック係数をΔp、Δvとすると、
【0061】
【数13】
【0062】
で表される。DおよびX2は変位量分離算出手段52によって算出されたものである。
【0063】
このように粗動機構制御手段53は、粗動機構22を、粗動機構22の変位量X2でサーボロックするとともに、微動機構21の変位量Dに従って駆動制御する騒動機構制御工程を行う。
このような構成において、駆動機構2の駆動について説明する。
図2に微動機構21をモデル化した図を示す。
図2において、測定子1の変位量をX1、測定子1をばねと等価とみなすときのばね定数をkh、圧電素子212の発生力を含む微動機構21に作用する力をF、被測定物7の表面の凹凸に相当する変化量をY、微動機構21の質量をm1とすると、微動機構21の運動方程式は、
【0064】
【数14】
【0065】
で表される。
測定子1の変位量X1は微動機構21の変位量Dと粗動機構22の変位量X2との合成変位量なので、
【0066】
【数15】
【0067】
である。
圧電素子212への印加電圧V1と、圧電素子212の変位量Dと、圧電素子212に作用する力Fとの関係は、圧電素子212の特性定数をα、圧電素子212のばね定数をkpとして、
【0068】
【数16】
【0069】
と表される。
以上三式より、
【0070】
【数17】
【0071】
となる。
【0072】
前述したように、微動機構制御手段51で発生され圧電素子212に印加される電圧V1は、V1=Vc1−γ0Vmと表される。
Vmは、測定子1と被測定物7との間に作用する力に比例し、測定子1をばねと等価とみなすと、Vmは(X1−Y)に比例する。微動機構21へのフィードバック係数を改めてγとおくと、
【0073】
【数18】
【0074】
と表される。このV1を(数17)に代入すると、
【0075】
【数19】
【0076】
が成り立つ。
この式から、測定子1の変位量X1が被測定物7の表面の凹凸に相当する変位量Yに追従することが示される。ここで、フィードバック係数γは、X1とYがなるべく高い周波数まで安定に比例するように決定される。
また、(数14)と(数16)と(数18)から微動機構21の変位量は
【0077】
【数20】
【0078】
と表されるので、これを微動変位量分離算出手段521において微動変位量演算式として記憶することにより、測定子1の変位量X1と圧電素子212への印加電圧V1とから微動機構21の変位量Dを求めることができる。
この(数20)を(数11)に代入することによって、粗動機構22の変位量は
【0079】
【数21】
【0080】
と表されるので、粗動変位量分離算出手段522において、粗動機構22の変位量を求めることができる。
【0081】
図3に粗動機構22をモデル化した図を示す。
粗動機構22の支持機構をばねと等価とみなしたときのばね定数をK、粗動機構22の可動部の質量をM、電磁アクチュエータの発生力をF2とすると、粗動機構22の運動方程式は、比較的低周波域において近似的に、
【0082】
【数22】
【0083】
と表される。
電磁アクチュエータに流れる電流をi、粗動機構22の可動コイル223のトルク定数をKtとすると、電磁アクチュエータの発生力F2は
【0084】
【数23】
【0085】
と表される。
【0086】
粗動機構22の可動コイル223の電圧定数をKs、可動コイル223のインダクタンスをLとすると、
【0087】
【数24】
【0088】
が成り立つ。
以上(数22)、(数23)、(数24)より粗動機構22の変位量X2と電磁アクチュエータへの印加電圧V2との関係が
【0089】
【数25】
【0090】
として表される。
この(数25)より、粗動機構22の変位量X2は、電磁アクチュエータへの印加電圧V2によって決定されることがわかる。
前述したように、粗動機構制御手段53で発生され、粗動機構22に印加される電圧V2は、
【0091】
【数26】
【0092】
で表される。
また、(数26)を(数25)に代入することにより、
【0093】
【数27】
【0094】
が成り立つ。
つまり、粗動機構22は、粗動機構22の変位量X2でサーボロックされるとともに、微動機構21の変位に従って駆動されることがわかる。
ここで、DおよびX2は変位量分離算出手段52によって算出された値である。
f(D)は、Dに関する関数であり、最適に決定されればよい。例えば、Dに比例する関数でも、Dの微分値または積分値でもよく、またこれらの和であってもよい。
【0095】
以上により、本実施形態の測定機の駆動装置によれば、測定子1と被測定物7との測定力を一定とするように微動機構21を駆動させるとともに、微動機構21の変位量を微小範囲内にするように粗動機構22を駆動制御することができることがわかる。
本実施形態の測定機の駆動装置は、制御手段5に、微動機構21を駆動制御するための微動機構制御手段51と粗動機構22を駆動制御する粗動機構駆動手段53がそれぞれ設けられ、微動機構21と粗動機構22はそれぞれ独立の制御信号によって制御される。よって、微動機構21と粗動機構22はこのような二段階制御によるため、微動機構21と粗動機構22とが相互干渉を生じることなく、それぞれ安定して駆動制御される。
【0096】
微動機構21は、測定力検出手段4からの検出信号を受けて即座に微動機構制御手段51によって駆動制御されるので、微動機構21は被測定物7の表面形状に沿って高速応答することができる。
変位量分離算出手段52によって、微動機構21の変位量と粗動機構22の変位量を独立して抽出して、この値を用いたフィードバック制御により粗動機構22が駆動制御されるので、粗動機構22の大変位能力により、微動機構21の変位を微小範囲にするように粗動機構22を駆動制御することができる。
【0097】
このように微動機構21および粗動機構22を同時に安定駆動制御することによって、測定力を一定としつつ測定子1を被測定物7の表面形状に沿って、微細形状に対しては高速で、かつ、広い測定範囲で変位させることができる。よって、被測定物7の表面の微細形状と粗面形状を同時に測定できる。
【0098】
ところで、変位量分離算出手段52において、(数20)および(数21)を
【0099】
【数28】
【0100】
【数29】
【0101】
と近似してもよい。このように近似することにより、DおよびX2をアナログ回路によって出力することができる。この近似は対象とする制御系の周波数特性が、、制御対象である駆動機構2の固有角周波数ωp
【0102】
【数30】
【0103】
より十分小さければ可能である。
【0104】
このような構成による駆動機構の駆動の例を図4に示す。
微動機構21は微動機構制御手段51によって被測定物7の表面形状の凹凸のうち小さな凹凸に倣って駆動される。同時に、粗動機構22は、被測定物7の表面形状の凹凸のうち大きな凹凸に倣って駆動される。すると、この微動機構21と粗動機構22の合成変位により、被測定物7の表面形状の凹凸に従って測定子1が変位され、この測定子1の位置が位置検出手段3によって検出されることによって被測定物7の表面形状が測定される。
【0105】
(第2実施形態)
本発明の測定機の駆動装置において、微動機構21として静電力アクチュエータを利用したものを第2実施形態として示す。第2実施形態は、微動機構21が静電力アクチュエータであることに伴って、微動変位量分離算出手段521が変更される点を除いて第1実施形態と同様である。
図5に微動機構21として用いられる静電力アクチュエータを示す。
この静電力アクチュータは、一端に測定子1を有する可動部61と、この可動部61の他端に設けられた第1電極64と、粗動機構22に連結された支持体62と、この支持体62に設けられ第1電極64と対を成す第2電極65と、支持体62と可動部61とを連結する板ばね63とを備えて構成されている。
【0106】
微動変位量分離算出手段521は、微動機構21の変位量D1vを算出するための演算モデルとして微動変位量演算式を記憶している。
この微動変位量演算式は、静電力アクチュエータの可動部61の質量をm1s、電極間の対向面積をS、電極への印加電圧をV1、電極間の距離をD1s、電極間距離の初期値をD1s0、センサ部を支持する板ばね63のばね定数をkpsとすると、
【0107】
【数31】
【0108】
で表される。この微動機構21の変位量D1vは粗動機構制御手段53に送られる。以後第1実施形態と同様に粗動機構22が駆動制御される。
上記構成における静電力アクチュエータの運動方程式は、第1電極64と第2電極65との間に発生する静電力をF1sとすると、
【0109】
【数32】
【0110】
で表される。
【0111】
また、静電力アクチュエータに、微動機構制御手段51から電圧V1が印加されると、電極間に働く静電力F1sは、
【0112】
【数33】
【0113】
で表される。
ここで、電極間距離D1sと、電極間距離の初期値D1s0と、電極間変位量D1vは
【0114】
【数34】
【0115】
の関係を有するが、電極間距離の初期値D1sに対して電極間変位量D1vは微小であるとみなして、D1s0>>D1vとするとき、静電力F1sは、
【0116】
【数35】
【0117】
と近似される。よって、(数34)、(数35)、(数18)を(数32)に代入してD1vについて求めると、
【0118】
【数36】
【0119】
を得ることができるので、これを微動変位量演算式として微動変位量分離手段521に記憶させておけば、微動機構21の変位量D1vを求めることができる。
【0120】
従って、以後、第1実施形態と同様に、微動変位量D1vは、粗動変位量分離算出手段522に送られて、粗動変位量X2が求められる。この微動変位量D1vおよび粗動変位量X2は粗動機構制御手段53に送られて、粗動機構22が駆動制御される。
このような構成による第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果を奏することができる。つまり、微動機構21および粗動機構22を同時に安定駆動制御することによって、測定力を一定としつつ測定子1を被測定物7の表面形状に沿って、微細形状に対しては高速で、かつ、広い測定範囲で変位させることができる。よって、被測定物7の表面の微細形状と粗面形状を同時に測定できる。
【0121】
(第3実施形態)
図6に本発明の測定機の駆動装置にかかる第3実施形態を示す。
この第3実施形態が前述の第1および第2実施形態と異なる点は、微動機構21の変位量を検出する微動変位量検出手段8が設けられている点である。
微動変位量検出手段8が設けられたことに伴って、変位量分離算出手段52は、粗動変位量分離算出手段522から構成されている。
微動変位量検出手段8は、従来知られている光電式または静電式のリニアエンコーダや渦電流センサ等を用いて構成され、微動機構21の変位量のみを検出する。
粗動機構22、微動機構21は第1および第2実施形態と同様の構成を用いることができ、粗動機構22としては例えば電磁アクチュエータを用い、微動機構21は例えば圧電素子や静電力アクチュエータを用いることができる。
【0122】
このような構成において、前述の第1実施形態で述べたように測定力検出手段4の出力に応じ、微動機構制御手段51を介して微動機構21が駆動制御される。すると、この微動機構21の変位量が微動変位量検出手段8によって検出され、微動機構21の変位量が求められる。この微動機構21の変位量は粗動変位量分離算出手段522に送られて、以後、第1および第2実施形態と同様に粗動機構22が駆動制御される。
【0123】
このような構成からなる第3実施形態によれば、第1および第2実施形態の効果に加えて、次の効果を奏することができる。つまり、第3実施形態によれば、微動変位量検出手段8が設けられているので、微動機構21の変位量を直接に検出することができる。よって、微動機構21の変位量を演算によって求めなくてもよい。
【0124】
なお、本発明の測定機の駆動装置は、上記実施形態のみの限定されるものではない。例えば、微動機構21のアクチュエータは、圧電素子や静電力アクチュエータに限らず、磁歪素子等、駆動電圧に対する変位にヒステリシスや不感帯などの非線形性がないアクチュエータであれば利用できる。
粗動機構22のアクチュエータとしては、ムービングコイル型の電磁アクチュエータに限らず、ムービングマグネット型の電磁アクチュエータや可動鉄片型等の電気モータや流体モータ等であってもよい。
【0125】
測定子1は、特願2000−70216に示されるような加振型のセンサや、AFM(原子間力顕微鏡)等で用いられるようなカンチレバー型のセンサであっても良い。または、被測定物7に接触するものでなくとも、光や超音波や静電力を利用した非接触式のセンサであってもよい。このような非接触式のセンサの例は特願2001−275578に示されている。
【0126】
駆動装置は測定機の測定子を移動させる駆動装置に限らず、バイトや砥石を移動させる加工装置でもよく、ロボットのアーム等を駆動させるようなものでもよい。
第1実施形態において、微動機構21に印加される電圧V1から変位量Dを求めているが、これに限らず、この電圧V1に関連する制御変量x(例えば、増幅してV1を得る前の電圧)を用いて、変位量Dを求めてもよい。すなわち、V1=f(x)の関係から、(数10)のV1をf(x)に置き換えて、制御変量xから変位量Dを求めてもよい。
また、第2実施形態における静電アクチュエータの電極への印加電圧V1に換えて、同様に関数V1=f(x)を用いて、(数31)から変位量D1vを求めてもよい。
【0127】
図1に示す第1実施形態および図6に示す第3実施形態では、測定力検出手段4の出力は微動機構制御手段51にのみフィードバックする例を示したが、粗動機構制御手段53にもフィードバックする構成であってもよい。この場合であっても、請求項3から請求項5に記載の(数1)から(数3)を適用することができる。
各実施形態における微動機構21または粗動機構22は、それらの変位によって生じる反力を打ち消すために、変位方向とは反対側に移動するバランス用可動部材を有するバランス機構を備えていてもよい。
【0128】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の測定機の駆動装置および測定機の駆動方法によれば、測定子を微小変位させる微動機構と測定子を大変位させる粗動機構とを駆動させる測定機の駆動装置において、微動機構と粗動機構とをそれぞれ安定に駆動制御できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の測定機の駆動装置にかかる第1実施形態を示す図である。
【図2】前記実施形態において、微動機構をモデル化した図である。
【図3】前記実施形態において、粗動機構をモデル化した図である。
【図4】前記実施形態において、駆動機構の駆動の例を示す図である。
【図5】本発明の測定機の駆動装置にかかる第2実施形態として、微動機構に用いられる静電力アクチュエータを示す図である。
【図6】本発明の測定機の駆動装置にかかる第3実施形態を示す図である。
【図7】微動機構と粗動機構を備えて構成される駆動機構を示す図である。
【符号の説明】
1 測定子(可動部材)
2 駆動機構
3 位置検出手段
4 測定力検出手段(状態量検出手段)
5 制御手段
7 被測定物
8 微動変位量検出手段
21 微動機構
22 粗動機構
521 微動変位量分離算出手段
522 粗動変位量分離算出手段
Claims (8)
- 可動部材を微小変位させる微動機構と、前記微動機構とともに前記可動部材を大変位させる粗動機構と、前記可動部材の位置を検出する位置検出手段と、前記微動機構および前記粗動機構のうち少なくとも一方を駆動させる制御手段とを備える駆動装置において、
前記微動機構の挙動を示す演算モデルおよび前記微動機構の駆動制御量より前記微動機構の変位量を求める微動変位量分離算出手段と、前記位置検出手段からの検出値より前記微動機構の変位量を差し引いて前記粗動機構の変位量を求める粗動変位量分離算出手段とが設けられ、
前記制御手段は、前記微動変位量分離算出手段および粗動変位量分離算出手段によって求められた前記粗動機構の変位量をフィードバック量として前記粗動機構を駆動制御することを特徴とする駆動装置。 - 測定子を被測定物に対して接近または離隔する方向へ微小変位させる微動機構と、前記微動機構とともに前記測定子を前記被測定物に対して接近および離隔する方向へ前記微動機構よりも大変位させる粗動機構と、前記測定子が前記被測定物と関与した際に変化する状態量を検出する状態量検出手段と、前記測定子の位置を検出する位置検出手段とを有し、前記状態量検出手段の出力が所定値になるように前記微動機構および前記粗動機構のうちの少なくとも一方を駆動させる制御手段とを備える測定機の駆動装置において、
前記微動機構の挙動を示す演算モデルおよび前記微動機構の駆動制御量より前記微動機構の変位量を求める微動変位量分離算出手段と、前記位置検出手段からの検出値より前記微動機構の変位量を差し引いて前記粗動機構の変位量を求める粗動変位量分離算出手段とが設けられ、
前記制御手段は、前記微動変位量分離算出手段および粗動変位量分離算出手段によって求められた前記粗動機構の変位量をフィードバック量として前記粗動機構を駆動制御することを特徴とする測定機の駆動装置。 - 請求項2に記載の測定機の駆動装置において、
前記微動機構は圧電素子を含んで構成され、前記微動機構の駆動制御量は前記圧電素子に印加される印加電圧であり、
前記微動変位量分離算出手段は、微動機構の変位量Dを算出するための演算モデルとして微動変位量演算式を記憶しており、
前記微動変位量演算式は、前記圧電素子の変位量をD、前記微動機構の駆動制御量である前記圧電素子への印加電圧をV1、前記位置検出手段による検出値である前記微動機構と前記粗動機構の合成変位量をX1、前記微動機構の可動部分の質量をm1、前記圧電素子の特性定数をα、前記圧電素子のばね定数をkp、前記被測定物と前記微動機構可動部との間の弾性定数をkh、前記微動機構へのフィードバック係数をγ、前記状態量検出手段の出力の所定値をVC1とすると、
- 請求項2に記載の測定機の駆動装置において、
前記微動機構は、一端に測定子を有する可動部と、前記可動部の他端に設けられた第1電極と、粗動機構に連結された支持体と、前記支持体に設けられ前記第1電極と対を成す第2電極と、前記支持体と前記可動部を連結するばねとを備えて構成される静電力アクチュエータであって、前記微動機構の駆動制御量は前記静電力アクチュエータに印加される印加電圧であり、
前記微動変位量分離算出手段は、微動機構の変位量D1vを算出するための微動変位量演算式を記憶しており、
前記微動変位量演算式は、前記電極間の距離をD1s、前記電極間隔の初期値をD1s0、前記電極間隔の初期値からの変位量をD1v、前記可動部の質量をm1s、前記電極の対向面積をS、誘電率をε0、前記静電力アクチュエータへの印加電圧をV1、前記ばねのばね定数をkpsとすると、
- 可動部材を微小変位させる微動機構と、前記微動機構とともに前記可動部材を大変位させる粗動機構と、前記可動部材の位置を検出する位置検出手段と、前記微動機構および前記粗動機構のうち少なくとも一方を駆動させる制御手段を備える駆動装置を駆動させる駆動方法において、
前記微動機構の挙動を示す演算モデルおよび前記微動機構の駆動制御量より前記微動機構の変位量を求める微動変位量分離算出工程と、前記位置検出手段からの検出値より前記微動機構の変位量を差し引いて前記粗動機構の変位量を求める粗動変位量分離算出工程と、
前記微動変位量分離算出工程および粗動変位量分離算出工程によって求められた前記粗動機構の変位量をフィードバック量として前記粗動機構を駆動制御する粗動機構制御工程とを備えることを特徴とする駆動方法。 - 測定子を被測定物に対して接近または離隔する方向へ微小変位させる微動機構と、前記微動機構とともに前記測定子を前記被測定物に対して接近および離隔する方向へ前記微動機構よりも大変位させる粗動機構と、前記測定子が前記被測定物と関与した際に変化する状態量を検出する状態量検出手段と、前記測定子の位置を検出する位置検出手段とを有し、前記状態量検出手段の出力が所定値になるように前記微動機構および前記粗動機構のうちの少なくとも一方を駆動させる制御手段とを備える測定機の駆動装置を駆動させる測定機の駆動方法において、
前記微動機構の挙動を示す演算モデルおよび前記微動機構の駆動制御量より前記微動機構の変位量を求める微動変位量分離算出工程と、前記位置検出手段からの検出値より前記微動機構の変位量を差し引いて前記粗動機構の変位量を求める粗動変位量分離算出工程と、
前記微動変位量分離算出工程および粗動変位量分離算出工程によって求められた前記粗動機構の変位量をフィードバック量として前記粗動機構を駆動制御する粗動機構駆動制御工程と備えることを特徴とする測定機の駆動方法。 - 測定子を被測定物に対して接近または離隔する方向へ微小変位させる微動機構と、前記微動機構とともに前記測定子を前記被測定物に対して接近および離隔する方向へ前記微動機構よりも大変位させる粗動機構と、前記測定子が前記被測定物と関与した際に変化する状態量を検出する状態量検出手段と、前記測定子の位置を検出する位置検出手段とを有し、前記状態量検出手段の出力が所定値になるように前記微動機構および前記粗動機構のうちの少なくとも一方を駆動させる制御手段とを備える測定機の駆動装置において、
前記微動機構の変位量を検出する微動変位量検出手段と、前記位置検出手段からの検出値より前記微動機構の変位量を差し引いて前記粗動機構の変位量を求める粗動変位量分離算出手段とが設けられ、
前記制御手段は、前記微動変位量検出手段および粗動変位量分離算出手段によって求められた前記粗動機構の変位量をフィードバック量として前記粗動機構を駆動制御することを特徴とする測定機の駆動装置。
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