JP3911377B2 - エンジンの燃料供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの燃料供給装置に関し、詳しくは、電子ガバナとメカニカルガバナの両方を備えたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子ガバナとメカニカルガバナとを備え、電子ガバナによる電子制御と、メカニカルガバナによるメカ制御とを行う、エンジンの燃料供給装置として、電子単独制御モードとメカ単独制御モードとを切り替えて使用するものが知られている。
【0003】
この従来技術の場合、電子単独制御モードでは電子ガバナのみで、メカ単独制御モードではメカニカルガバナのみで、それぞれ調速と最大燃料噴射量の制限を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術には、次の問題がある。
電子単独制御モードでは、電子ガバナで電子制御の最大燃料供給量の制限を行う必要があるため、かかる制限機能を備えた電子ガバナを用いる必要があり、電子ガバナのコストが高くなる。また、かかる制限を考慮した電子ガバナの調整が必要となり、その調整に手間がかかる。
【0005】
また、メカ単独制御モードでは、エンジン始動もメカニカルガバナで行われるので、始動条件に応じたきめ細かい調量を行うことができない。
【0006】
本発明の課題は、上記問題点を解決できる、エンジンの燃料調量装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】
【0009】
請求項1の発明の構成は、次の通りである。
電子ガバナ(1)とメカニカルガバナ(2)とを備え、電子ガバナ(1)による電子制御と、メカニカルガバナ(2)によるメカ制御とが行われるエンジンの燃料供給装置において、
燃料調量部 ( 3 ) の調量領域 ( 3a ) のうち、エンジン始動領域 ( 3b ) を除く通常運転領域 ( 3c ) での電子ガバナ ( 1 ) による電子制御の最大燃料供給量をメカニカルガバナ ( 2 ) で制限するようにし、
燃料調量部(3)の調量領域(3a)のうち、エンジン始動領域(3b)を除く通常運転領域(3c)では、途中で電子制御とメカ制御とが自動的に切り替わり、この切り替わり位置(4)よりも燃料減量側の領域(5)では電子制御が行われ、この切り替わり位置(4)よりも燃料増量側の領域(6)ではメカ制御が行われ、エンジン始動領域(3b)では電子制御が行われるように構成され、
上記電子制御とメカ制御の切り替わり位置 ( 4 ) を、最大出力時の調量位置と無負荷最高回転時の調量位置との間の調量位置に設定できることにより、最大出力がメカ制御によって得られるとともに、無負荷最高回転速度 ( 1d ) が電子制御によって得られ、この電子制御による無負荷最高回転速度 ( 1d ) がメカ制御による無負荷最高回転速度 ( 2d ) よりも低く設定される、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。
【0010】
【発明の作用及び効果】
請求項1の発明は、次の作用効果を奏する。
電子制御の最大燃料供給量をメカニカルガバナ(2)で制限するため、電子ガバナ(1)にはこの機能が不要となり、そのコストを安くすることができる。また、このような制限を考慮した電子ガバナ(1)の調整を省略し、或いは簡略化することができ、その調整の手間を軽減することができる。
【0011】
また、電子制御の最大燃料供給量をメカニカルガバナ(2)で制限するため、排気ガス特性に実績がある既存のメカニカルガバナ付きエンジンに電子ガバナ(1)を追加すると、電子制御の最大燃料供給量については、メカニカルガバナ(2)の実績ある調量特性をそのまま引き継ぐことができる。このため、排気ガス規制をクリアしたメカニカルガバナ付きエンジンに電子ガバナ(1)を追付けしても、このエンジンは排気ガス特性が変わらない。
【0012】
請求項1の発明によれば、エンジン始動領域(3b)では電子ガバナ1による燃料調量が行われるので、始動条件に対応させたきめ細かい制御を行うことができる。
また、通常運転領域 ( 3c ) のうちの燃料増量側の領域 ( 6 ) ではメカ制御が行われるので、調量特性に実績がある既存のメカニカルガバナ付きエンジンに電子ガバナ ( 1 ) を追加すると、燃料増量側の領域 ( 6 ) については、メカニカルガバナ ( 2 ) の実績ある調量特性をそのまま引き継ぐことができる。この領域 ( 6 ) での調量特性は、排気ガス規制の対象となる排気ガス特性に直接に影響するので、排気ガス規制をクリアしたメカニカルガバナ付きエンジンに電子ガバナ ( 1 ) を追加すると、このエンジンも排気ガス規制をクリアできる可能性が高い。
請求項2の発明によれば、温暖時に始動する場合や、エンジン停止直後、エンジンが未だ暖かい状態で再始動する場合には、この始動条件に対応して、燃料供給量を少なくするので、燃料消費を抑制できるとともに、未燃焼有害ガスの排出を抑制できる。
【0013】
請求項3の発明によれば、電子ガバナ(1)をエンジン停止装置としても兼用できるので、エンジン停止装置の専用回路や専用アクチュエータが不要になり、エンジンを低コスト化できるとともにコンパクト化できる。
【0014】
請求項4の発明によれば、電子ガバナ1の作動不良でアクチュエータ(17)への通電が解除された場合には、スプリング(33)の付勢力により、電子出力部(9)で燃料調量部(3)燃料供給停止位置(32)まで強制的に連動し、ここに留め置く。このため、エンジンを再始動しようとしても、再始動できないので、電子ガバナ(1)の作動不良を確認できる。
【0015】
請求項5の発明によれば、通常運転領域(3c)のうち、電子制御が行われる領域(5)では、メカニカルガバナ2が外乱要素として作用しないため、電子制御を正確に行うことができるとともに、電子ガバナ1に低出力のものを用いることができる。
尚、請求項2から請求項5の発明によれば、それらが従属する他の請求項の作用効果も奏する。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は本発明の実施形態に係るエンジンの燃料供給装置を説明する図である。この実施形態では、ディーゼルエンジンの燃料供給装置が用いられている。
【0020】
図2に示すように、この燃料供給装置は、電子ガバナ(1)とメカニカルガバナ(2)とを備え、電子ガバナ(1)による電子制御と、メカニカルガバナ(2)によるメカ制御とを行う。また、図1に示すように、燃料調量部(3)での調量領域(3a)のうち、エンジン始動領域(3b)を除く通常運転領域(3c)での電子ガバナ(1)による電子制御の最大燃料供給量(この実施形態では、ディーゼルエンジンを用いるため、最大燃料噴射量と言い換えてもよい)を制限する。
【0021】
電子ガバナ(1)の構成は次の通りである。
電子ガバナ(1)は、速度設定手段(14)と回転速度検出手段(15)と調量位置検出手段(30)とコントローラ(16)とアクチュエータ(17)とを備え、速度設定手段(14)の設定位置とエンジン回転速度の検出値と調量位置とがコントローラ(16)に入力されると、コントローラ(16)はこれらを比較し、アクチュエータ(17)を作動させ、燃料調量部(3)の調量位置を制御する。
【0022】
速度設定手段(14)には、手動レバーが用いられている。調速設定手段(14)には、ペダルを用いてもよい。回転速度検出手段(15)は、エンジン回転速度を検出する。アクチュエータ(17)には、電流比例制御式の電磁リニアソレノイドが用いられている。アクチュエータ(17)には、電磁ロータリソレノイドやパルスモータを用いてもよい。燃料調量部(3)は、燃料噴射ポンプの調量ラックである。燃料調量部(3)は火花点火式エンジンの場合には、スロットル弁となる。
【0023】
メカニカルガバナ(2)の構成は次の通りである。
メカニカルガバナ(2)は、速度設定手段(18)とガバナスプリング(19)とガバナウェイト(20)とガバナレバー(21)とを備え、ガバナレバー(21)の揺動により、燃料調量部(3)の調量位置を制御する。
【0024】
速度設定手段(18)には、ペダルが用いられている。速度設定手段(18)には、連動ロッド(22)と連動レバー(23)とガバナスプリング(19)とを順に介してガバナレバー(21)が連動連結されている。連動ロッド(22)の近くに係止レバー(24)が設けられ、速度設定手段(18)を任意の設定位置に動かした後、係止レバー(24)で連動ロッド(22)を係止すると、速度設定手段(18)はその設定位置よりも低速側には戻らない。速度設定手段(18)は、手動レバーであってもよい。また、係止レバー(24)で電子ガバナ(1)の速度設定手段(14)を兼用してもよい。
【0025】
ガバナレバー(21)は、第1レバー(21a)と第2レバー(21b)とを備える。第1レバー(21a)はガバナスプリング(19)に連結され、第2レバー(21b)にはその燃料増量側からガバナウェイト(20)が対向する。第1レバー(21a)にはその燃料増量側から燃料制限具(25)が対向し、第2レバー(21b)はトルクアップ装置(26)を備える。
【0026】
トルクアップ装置(26)は、トルクケース(26a)とトルクピン(26b)とトルクスプリング(26c)とを備える。トルクケース(26a)は、第2レバー(21b)に固定されている。トルクピン(26b)とトルクバネ(26c)とは、トルクケース(26a)内に収容され、トルクピン(26b)は、トルクバネ(26c)のバネ力(26d)でトルクケース(26a)から押し出される方向に付勢され、その先端部は第1レバー(21a)と対向する。
【0027】
メカニカルガバナ(2)の作動原理は、次の通りである。
エンジン運転中、第1レバー(21a)が燃料制限具(25)に受け止められるまでは、ガバナスプリング(19)のバネ力(19a)とガバナ力(20a)との不釣り合い力により、第1レバー(21a)と第2レバー(21b)とが一体に揺動する。第1レバー(21a)が燃料制限具(25)に受け止められると、トルクスプリング(26c)のバネ力(26d)とガバナ力(20a)との不釣り合い力により、トルクピン(26b)がトルクケース(26a)から押し出され、或いはトルクケース(26a)に押し込まれながら、第2レバー(21b)のみが揺動し、燃料制限を越える燃料増量が行われる。
【0028】
燃料制限具(25)とトルクケース(26a)は、いずれも進退調節できるように取り付けられている。燃料制限具(25)を進退調節すると、最大出力(8)の調整が行われる。トルクケース(26a)を進退調節すると、最大トルク(7)の調整が行われる。
【0029】
この燃料供給装置では、燃料調量部(3)の調量領域(3a)のうち、エンジン始動領域(3b)を除く通常運転領域(3c)では、途中で電子制御とメカ制御とが自動的に切り替わり、この切り替わり位置(4)よりも燃料減量側の領域(5)では電子制御が行われ、この切り替わり位置(4)よりも燃料増量側の領域(6)ではメカ制御が行われる。この切り替わり位置(4)は、電子ガバナ(1)とメカニカルガバナ(2)の各速度設定手段(14)(18)の設定位置によってほぼ決まる。そして、エンジン始動領域(3b)では電子制御が行われる。上記切り替わり位置(4)が通常運転領域(3c)での電子ガバナ(1)による電子制御での最大燃料供給量となる。図1に示すように、上記電子制御とメカ制御の切り替わり位置 ( 4 ) を、最大出力時の調量位置と無負荷最高回転時の調量位置との間の調量位置に設定できることにより、最大出力がメカ制御によって得られるとともに、無負荷最高回転速度 ( 1d ) が電子制御によって得られ、この電子制御による無負荷最高回転速度 ( 1d ) がメカ制御による無負荷最高回転速度 ( 2d ) よりも低く設定されるようにした。
【0030】
電子制御とメカ制御の切り替え構造は、次の通りである。
電子ガバナ(1)は電子出力部(9)を備え、メカニカルガバナ(2)はメカ出力部(10)を備え、燃料調量部(3)は電子入力部(11)とメカ入力部(12)とを備える。電子入力部(11)にはその燃料増量側から電子出力部(9)が臨み、メカ入力部(12)にはその燃料増量側からメカ出力部(10)が臨み、燃料調量部(3)は付勢手段(13)で燃料増量側に付勢されている。付勢手段(13)は付勢スプリングであり、これはスタートスプリングとしても機能する。この付勢スプリングとハイアイドルスプリング(29)とは二重構造になっている。
【0031】
通常運転領域(3c)のうちの電子制御が行われる領域(5)と、エンジン始動領域(3b)では、電子入力部(11)が電子出力部(9)に接当することにより、電子入力部(11)が電子出力部(9)に接続されるとともに、メカ入力部(12)がメカ出力部(10)から離れた位置に保持される。メカ制御が行われる領域(6)では、メカ入力部(12)がメカ出力部(10)に接当することにより、メカ入力部(12)がメカ出力部(10)に接続されるとともに、電子入力部(11)が電子出力部(9)から離れた位置に保持される。
【0032】
メカ制御と電子制御の各制御特性は次の通りである。
メカニカルガバナ(2)と電子ガバナ(1)の各速度設定手段(18)(14)をいずれも最高速位置に設定した場合、メカ制御と電子制御による各調量特性は、図1(A)上段の実線(2a)と鎖線(1a)で示され、各トルク特性は、図1(A)中段の実線(2b)と鎖線(1b)で示され、各出力特性は図1(A)下段の実線(2c)と鎖線(1c)で示される。各実線(2a)(2b)(2c)はメカ制御によるもの、各鎖線(1a)(1b)(1c)は電子制御によるものである。なお、図1(A)上段の鎖線(1a)は電子ガバナ(1)による電子調速線を示し、通常運転領域(3c)の電子制御が行われる領域(5)では、この電子調速線(1a)に基づく燃料調量が行われる。また、図1(A)上段の実線(2a)のうち、垂直に近い傾斜線はメカ調速線(102a)を、水平に近い傾斜線はトルクアップ線(102b)を、水平線は全負荷線(102c)をそれぞれ示す。メカ制御が行われる領域(6)では、メカ調速線(102a)に基づいて調速制御を行い、トルクアップ線(102b)に基づいてトルクアップを行い、全負荷線(102c)に基づいてメカ制御での最大燃料噴射量を制限する。
【0033】
メカ制御によれば、エンジン負荷の変動に応じ、エンジン回転速度と調量位置とが、図1(A)上段の実線(2a)上のいずれかの位置で釣り合い、図1(A)中段に実線(2b)で示すトルク特性が得られ、図1(A)下段に実線(2c)で示す出力特性が得られる。電子制御によれば、エンジン負荷の変動に応じ、エンジン回転速度と調量位置とが、図1(A)上段の鎖線上(1a)のいずれかの位置で釣り合い、図1(A)中段に鎖線(1b)で示すトルク特性が得られ、図1(A)下段に鎖線(1c)で示す出力特性が得られる。
【0034】
通常運転領域(3c)のうち、切り替わり位置(4)よりも燃料増量側の領域(6)では、図1(A)上段の実線(2a)で示すように、メカニカルガバナ(2)により、ドループ制御が行われる。この制御では、エンジン負荷の増加によってエンジン回転速度が低下する。切り替わり位置(4)よりも燃料減量側の領域(5)では、図1(A)上段の鎖線(1a)と実線(2a)のうち、整定回転速度が低い鎖線(1a)の制御が優先され、電子ガバナ(1)により、アイソクロナス制御が行われる。この制御では、エンジン負荷の増加に拘わらずエンジン回転速度が一定に維持される。電子制御による無負荷最高回転速度(1d)は、後述するメカ単独制御モードでのメカ制御による無負荷最高回転速度(2d)よりも低く設定され、負荷変動に対する速度変動率が小さくなる。電子制御が行われる領域(5)では、アイソクロナス制御に限らず、ドループ制御を用いてもよい。この場合にも、負荷変動に対する速度変動率がメカ制御より小さくなるようにする。
【0035】
メカニカルガバナ(2)と電子ガバナ(1)の各速度設定手段(18)(14)の設定位置を変更すると、上記切り替わり位置(4)を変更することができる。電子ガバナ(1)の速度設定手段(14)を高速位置から低速側にシフトすると、図1(B)に示すように、鎖線(1a)が低速側にシフトし、切り替わり位置(4)が燃料増量側にシフトする。また、メカニカルガバナ(2)の速度設定手段(18)を高速位置から低速側にシフトすると、図1(C)に示すように、実線(2a)が低速側にシフトし、切り替わり位置(4)が燃料減量側にシフトする。図1(A)〜(C)の設定では、通常運転領域(3c)のうち、切り替わり位置(4)よりも燃料増量側の領域(6)で、最大トルク(7)と最大出力(8)がメカ制御により規定される。このため、制御の切り替わり位置(4)が運転条件や運転感覚に適合していない場合には、その位置(4)を変更して、運転条件や運転間隔に適合させることができる。
【0036】
電子ガバナ(1)の速度設定手段(14)を高速位置から低速側に大きくシフトすると、図1(D)に示すように、通常運転領域(3c)のうち、電子制御が行われる領域(5)で、エンジン回転速度が最大トルク回転速度(7a)よりも小さくなることがある。この場合には、エンジン負荷が増加するにつれて、エンジン回転速度を最大トルク回転速度(7a)に近づける制御が行われる。このため、低回転領域でも、エンジントルクを最大トルク(7)に近づけることができ、エンスト抑制機能が高まる。
【0037】
電子制御とメカ制御とが自動的に切り替わる複合制御モードを、通常運転領域(3c)でメカ制御のみが行われるメカ単独制御モードに切り替えることもできる。アクチュエータ(17)の電子出力部(9)が燃料調量部(3)の電子入力部(11)から常に離れるように、アクチュエータ(17)の電子出力部(9)を引き込んでおけば、メカ単独制御モードとなる。また、電子ガバナ(1)の速度設定手段(14)を高速位置に設定し、メカニカルガバナ(2)の速度設定手段(18)を低速位置に設定することにより、図1(A)上段の実線(2a)が鎖線(1a)よりも低速側にシフトするようにすると、メカ単独制御モードに切り替わり、このシフト状態が維持されている間、メカ単独制御モードが維持される。このため、複合制御モードとメカ単独制御モードのうち、運転条件や運転感覚に適合するものを選択することができる。メカ単独制御モードに切り替えると、メカニカルガバナ(2)のみを備えた既存のエンジンと同じ感覚で運転を行うことができる。また、電子ガバナ(1)が故障した場合でも、メカニカルガバナ(1)により運転を支障なく行うことができる。
【0038】
メカ単独制御モードでは、複合制御モードでメカ制御が行われる領域(6)での作動と同様、メカ入力部(12)がメカ出力部(10)に接当することにより、メカ入力部(12)がメカ出力部(10)に接続されるとともに、電子入力部(11)が電子出力部(9)から離れた位置に保持される。このため、メカ単独制御モードでは、電子ガバナ(2)が外乱要素として作用せず、メカ制御を正確に行うことができる。また、電子アクチュエータ(17)の電子出力部(9)を、電子入力部(11)から燃料増量側に大きく後退させ、メカ制御中、これらを相互に離しておくことにより、メカ単独制御モードを実施することができる。
【0039】
エンジンを停止するための構成は次の通りである。
電子ガバナ(1)のアクチュエータ(17)の電子出力部(9)はスプリング(33)で付勢され、アクチュエータ(17)への通電が解除されると、スプリング(33)の付勢力により、電子出力部(9)で燃料調量部(3)を燃料供給停止位置(32)まで連動する。また、燃料調量手段(3)は、手動のエンジン停止手段(27)によっても燃料供給停止位置まで移動される。このエンジン停止手段(27)は、停止操作レバー(27a)と停止出力部(27b)とで構成されている。停止出力部(27b)は筒状で、エンジン機壁(28)のガイド孔(28a)に進退自在に挿通され、その先端は燃料調量部(3)の電子入力部(11)にその燃料増量側から臨む。停止操作レバー(27a)で停止出力部(27b)を燃料減量側に押すと、その先端が電子入力部(11)に接当し、付勢手段(13)の付勢力に抗して、燃料調量部(3)を燃料供給停止位置(32)まで押すことができる。
【0040】
電子ガバナ(1)は、次の補正機能を備える。
電子ガバナ(1)は、冷始動でない場合には、冷始動の場合よりも、燃料供給量を減量補正する。このため、電子ガバナ(1)は温度検出手段(31)を備える。電子ガバナ(1)は、検出したエンジン温度が所定値を越える場合には、これが所定値未満である場合に比べ、エンジン始動領域(3b)での燃料供給量を少なくする。エンジン温度は、エンジン機壁温度、エンジン冷却水温度、エンジンオイル温度を検出することによって検出できる。また、冷始動か否かの判断は、エンジン周辺の外気温度を検出することによっても行うことができる。また、電子ガバナ(1)は、吸気のブースト圧検出手段(34)を備え、過給されている吸気の圧力が十分に高まるまでは、燃料供給量を制限補正するブーコン機能を備える。また、電子ガバナ(1)は、大気圧検出手段(35)を備え、大気圧が低い場合には、燃料供給量を減量補正する高地補正機能を備える。また、電子ガバナ(1)は、操作速度検出手段(36)を備え、各速度設定手段(14)(18)の操作速度が速すぎる場合には、電子出力部(9)の作動速度を抑制して、燃料調量部(3)のオーバーシュートを抑制する機能を備える。
【0041】
この燃料供給装置は、トラクタ等の農業機械やバックホー等の建設機械に搭載するエンジンに好適に用いることができる。これらに用いた場合、次の利点がある。電子ガバナ(1)の速度設定手段(14)を高速位置に設定し、係止レバー(24)によるメカニカルガバナ(2)の速度設定手段(18)の係止を解除し、この速度設定手段(18)を調速操作しながら運転を行うと、メカ単独制御モードにより、メカニカルガバナ(2)のみを備えた既存のエンジンと同じ感覚で路上走行を行うことができる。また、メカニカルガバナ(2)の速度設定手段(18)を高速位置に係止すれば、併合制御モードにより、作業運転を行うことができる。この制御モードでは、電子制御領域(5)で、負荷変動による回転変動が抑制されるので、負荷の増加によるエンジン回転速度の低下が抑制され、作業能率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るエンジンの燃料供給装置の特性線図で、図1(A)は燃料調量特性とトルク特性と出力特性の線図、図1(B)(C)は切り替わり位置を変更した場合の燃料調量特性の線図、図1(D)は低回転領域での燃料調量特性の線図である。
【図2】 本発明の実施形態に係るエンジンの燃料供給装置の模式図である。
【符号の説明】
(1)…電子ガバナ、(2) …メカニカルガバナ、(3)…燃料調量部、(3a)…調量領域、(3b)…エンジン始動領域、(3c)…通常運転領域、(4)…切り替わり位置、(5)…切り替わり位置よりも燃料減量側の領域、(6)…切り替わり位置よりも燃料増量側の領域、(9)…電子出力部、(10)…メカ出力部、(11)…電子入力部、(12)…メカ入力部、(13)…付勢手段、(17)…アクチュエータ、(31)…温度検出手段、(32)…燃料供給停止位置、(33)…スプリング。
Claims (5)
- 電子ガバナ(1)とメカニカルガバナ(2)とを備え、電子ガバナ(1)による電子制御と、メカニカルガバナ(2)によるメカ制御とが行われるエンジンの燃料供給装置において、
燃料調量部 ( 3 ) の調量領域 ( 3a ) のうち、エンジン始動領域 ( 3b ) を除く通常運転領域 ( 3c ) での電子ガバナ ( 1 ) による電子制御の最大燃料供給量をメカニカルガバナ ( 2 ) で制限するようにし、
燃料調量部(3)の調量領域(3a)のうち、エンジン始動領域(3b)を除く通常運転領域(3c)では、途中で電子制御とメカ制御とが自動的に切り替わり、この切り替わり位置(4)よりも燃料減量側の領域(5)では電子制御が行われ、この切り替わり位置(4)よりも燃料増量側の領域(6)ではメカ制御が行われ、エンジン始動領域(3b)では電子制御が行われるように構成され、
上記電子制御とメカ制御の切り替わり位置 ( 4 ) を、最大出力時の調量位置と無負荷最高回転時の調量位置との間の調量位置に設定できることにより、最大出力がメカ制御によって得られるとともに、無負荷最高回転速度 ( 1d ) が電子制御によって得られ、この電子制御による無負荷最高回転速度 ( 1d ) がメカ制御による無負荷最高回転速度 ( 2d ) よりも低く設定される、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。 - 請求項1に記載したエンジンの燃料供給装置において、
電子ガバナ(1)は温度検出手段(31)を備え、この電子ガバナ(1)は、エンジン温度とエンジン周辺の外気温度のうち、少なくとも一方の検出温度が所定値を越える場合には、これが所定値未満である場合に比べ、上記エンジン始動領域(3b)での燃料供給量を少なくするように構成されている、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。 - 請求項1または請求項2に記載したエンジンの燃料供給装置において、
電子ガバナ(1)は、上記燃料調量部(3)を燃料供給停止位置(32)まで連動できるように構成されている、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載したエンジンの燃料供給装置において、
電子ガバナ(1)はアクチュエータ(17)を備え、このアクチュエータ(17)の電子出力部(9)はスプリング(33)で付勢され、アクチュエータ(17)への通電が解除されると、スプリング(33)の付勢力により、電子出力部(9)で燃料調量部(3)を燃料供給停止位置(32)まで連動するように構成されている、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載したエンジンの燃料供給装置において、
電子ガバナ(1)は電子出力部(9)を備え、メカニカルガバナ(2)はメカ出力部(10)を備え、燃料調量部(3)は電子入力部(11)とメカ入力部(12)とを備え、電子入力部(11)には、その燃料増量側から電子出力部(9)が臨み、メカ入力部(12)には、その燃料増量側からメカ出力部(10)が臨み、燃料調量部(3)は付勢手段(13)で燃料増量側に付勢され、
通常運転領域(3c)のうちの電子制御が行われる領域(5)と、エンジン始動領域(3b)では、電子入力部(11)が電子出力部(9)に接当することにより、電子入力部(11)が電子出力部(9)に接続されるとともに、メカ入力部(12)がメカ出力部(10)から離れた位置に保持され、
メカ制御が行われる領域(6)では、メカ入力部(12)がメカ出力部(10)に接当することにより、メカ入力部(12)がメカ出力部(10)に接続されるとともに、電子入力部(11)が電子出力部(9)から離れた位置に保持されるように構成されている、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。
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