JP3910636B2 - 包装ラミネートを生産する方法 - Google Patents

Description

技術分野
本発明は、優れた酸素ガス遮断特性を有する、構造的に安定した、液密包装容器のための積層した包装材料で、構造的に堅いが折曲げ可能な、普通紙または板紙のコア層およびこのコア層の片側に付けられ、酸素ガス障壁として作用するポリビニルアルコールの層を有する包装材料の生産方法に関する。
背景技術
積層した包装材料製の構造的に安定した、液密包装容器に液体食品を詰めて運搬することは、この技術分野でかねてから知られている。そのような包装ラミネートは、複数の別々の層を含み、それらが一緒になって完成した包装に、この包装した製品に対する所望の機械的および化学的保護特性を与えることに貢献する。従来の包装ラミネートは、構造的に堅いが折曲げ可能な、普通紙または板紙のコア層を含み、その両側が、この湿気に敏感なコア層を保護し、同時にこの包装ラミネートをヒートシール可能にするために、プラスチックの外層で被覆されている。
普通紙または板紙の層と上で説明した種類のプラスチックの層とだけの包装ラミネートは、構造的に安定した、液密包装容器の生産を可能にするが、酸素ガスおよびその他のガスに関する耐密特性に欠け、従って、この包装材料を酸素ガスに敏感な製品用の包装容器にも同様に使えるようにするためには、ガス耐密特性を有する材料の一つ以上の追加の層（所謂障壁層）を補わねばならない。
スウェーデン国特許第４４０ ５１９号から、上記の包装ラミネートを、酸素ガスに対し気密にするために、優れた酸素ガス遮断特性を持つ材料の一つであるポリビニルアルコールの層で補うことは、以前から知られている。スウェーデン国特許第４４０ ５１９号によれば、水性ポリビニルアルコールの乳濁液の薄い層を、塗布または類似の被覆作業によって、普通紙または板紙層の一方の表面上に直接付け、その後、この付けた水性ポリビニルアルコール層を乾燥して、この普通紙または板紙層の片側の全表面を覆う、連続したポリビニルアルコール層を形成する。
水性ポリビニルアルコール層が液体吸収性の普通紙または板紙層に過度に浸透するのを防ぐために、この水性ポリビニルアルコールの乳濁液は、スウェーデン国特許第４４０ ５１９号によれば、この水性乳濁液の粘性を増すのを助けて、この水性乳濁液が下の普通紙または板紙層へ浸透する力を大いに妨害する増粘剤（thickening agent）（例えば、アルギン酸塩）も含むべきである。ポリビニルアルコールの酸素ガス耐密特性は、そのポリビニルアルコールの水分に大いに依存し、水分が増加すると急速に劣化するので、ポリビニルアルコール層の普通紙または板紙層と反対側を向いた側に付けた液密外層を使って、この乾燥したポリビニルアルコール層を保護する。
スウェーデン国特許第４４０ ５１９号による包装ラミネートは、ポリビニルアルコールの湿気に敏感な酸素ガス耐密特性だけでなく、普通紙または板紙層の物理的および化学的表面性にも密接に関係する、重大な欠点および短所に悩まされている。
普通紙または板紙の繊維構造のために、それぞれ、普通紙または板紙の表面は、完全に滑らかではなく、固有の粗さおよび表面凹凸性を有する。従って、スウェーデン国特許第４４０ ５１９号による方法では、粗い繊維表面の凹凸を“埋め合せ”、それによって付けた層が連続的でよく一体化されることを保証するために、もし塗被面が完全に滑らかであるときに必要な量より多い水性ポリビニルアルコールを付けることが必要である。この過剰ではあるが、必要でもあるポリビニルアルコールの塗布が、望ましくはなく、また避け難い包装ラミネートの材料および生産コストを上昇させる。
塗被した普通紙または板紙も、付けた水性ポリビニルアルコール層の乾燥に関連して乾燥すると仮定すると、この層の過度の、調整困難な乾燥度のために、望ましくない所謂カール（結果として、このポリビニルアルコール層に亀裂が生ずる危険と共に）が、普通紙または板紙層に起る危険がある。
その上、ポリビニルアルコール層が下の、湿気に敏感な普通紙または板紙層と直接接触しているので、スウェーデン国特許第４４０ ５１９号による従来技術の包装ラミネートのポリビニルアルコール層は、普通紙または板紙層の、それぞれ、ポリビニルアルコール層と反対に向いた、他の側から湿気または水が漏れた場合、それぞれ、普通紙または板紙層に容易に吸収され、伝達される湿気および水の浸透に曝されて危険であることがはっきりしている。
発明の目的
従って、本発明の一つの目的は、上記の従来技術の包装ラミネートに密接に関連する、これらの短所および欠点を除去することである。
本発明の他の目的は、所望の、優れた酸素ガス耐密特性を有し、よく一体化された包装ラミネートを達成するために、過剰量のポリビニルアルコールを使わずに、導入として開示した種類の包装ラミネートを実現することである。
本発明の更に他の目的は、ポリビニルアルコールの酸素ガス遮断層を含み、このポリビニルアルコールを湿気および水の浸透に対してよく保護した、包装ラミネートを実現することである。
解決法
これらの目的は、本発明によれば、添付の請求項１に記載の特徴を有する包装ラミネートの生産方法によって達成される。また、本発明による包装ラミネートの生産方法の好適実施例は、添付の請求項２から請求項１０までに示す特徴が与えられている。
包装ラミネートに、コア層とポリビニルアルコール層の間に付けた液密プラスチック層を使うことによって、このポリビニルアルコール層を液体吸収性コア層からの湿気および水のあり得る浸透から効果的に保護する、湿気障壁を作る。この中間にあるプラスチック層は、コア層の粗い表面構造の凹凸を“埋め合せること”にも貢献し、それによってこのポリビニルアルコール層のために滑らかな下地面を作り、それによって、完成した包装ラミネートで所望の、調整されたおよび均一の酸素ガス遮断特性を達成するために、このポリビニルアルコール層を少量ではあるが、上に議論した従来技術の包装ラミネートと丁度同じに有効な量で付けることができる。
この中間にあるプラスチック層のプラスチックの選択は、現在この層に押出し可能な熱可塑性樹脂が最も高度に好ましいプラスチックであることが分ってはいるが、本発明によれば重要でない。このプラスチックは、ポリビニルアルコールと十分な適合性があって良い湿気障壁を作り、同時にコア層と上に考慮したポリビニルアルコール層の両方に効果的に接着するポリエチレンから成るのが好ましい。
付けたポリビニルアルコール層をこのポリビニルアルコール層のコア層と反対側を向いた他の側からの湿気および水の浸透からも保護するために、本発明によれば、ポリビニルアルコール層のこの側もプラスチックの層で被覆するのが適当であり、それによって完成した包装ラミネートでこのポリビニルアルコール層を周囲の二つのプラスチック層の間によく閉込め、隠して、それらの層がこのポリビニルアルコール層を、このポリビニルアルコール層の両側からの湿気および水による酸素ガス耐密性を減少する浸透から効果的に保護する。
ポリビニルアルコール層の他の側を被覆するこのプラスチック層のプラスチックの選択も、本発明によれば重要でない。適当なプラスチックは、本発明によれば、例えば、湿気遮断要件を満たし、ポリビニルアルコールと良い接着強度で接着するポリエチレンのような熱可塑性樹脂である。
上にスウェーデン国特許第４４０ ５１９号に従って説明した従来技術の方法に比べて、本発明による方法により得られる主な利点は、介在するプラスチック層を介して付けた水性ポリビニルアルコール層の乾燥（水分の調節）を望ましくない所謂カールの危険（結果として起る亀裂形成および耐密性損失の危険と共に）なしに実施することである。
更に、本発明による方法では、上に指摘したように、スウェーデン国特許第４４０ ５１９号に記載されている既知の方法よりかなり少量（約５０％減）のポリビニルアルコールを使って、所望の優れた酸素ガス耐密特性を有する、上に説明した種類のよく一体化した包装ラミネートを生産することが可能である。
【図面の簡単な説明】
さて、本発明を、積層した包装材料とその生産方法の両方の好適実施例を使って、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。それらの図面で：
図１は、本発明による積層した包装材料の断面を模式的に示し；
図２は、本発明による積層した包装材料の生産方法を模式的に示し；および
図３は、本発明によるウエブ形の積層した包装材料を折畳むことによって生産した、従来の構造的に安定した包装容器の上部を模式的に示す。
好適実施例の説明
この様に、図１は、この発明による積層した包装材料（包装ラミネート）の断面を模式的に示し、全体を参照番号１０で指す。包装ラミネート１０は、構造的に堅いが折曲げ可能な、普通紙または板紙のコア層１１、並びに液密なプラスチックの外層１２および１３を有し、その外層１２（図１の最上層）は、この包装ラミネート１０で作った包装容器で外を向くことを意図した側に配置され、一方外層１３（図１の最下層）は、反対に、この包装ラミネートで作った包装容器で内を向くことを意図した側に配置されている。
（最上）プラスチック外層１２は、ポリエチレン、例えば、低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）から成るのが好ましく、それは、一方で、包装ラミネート１０をこの包装ラミネートの“外部”からの湿気および水の浸透から保護し、他方で、この包装ラミネートを普通の所謂ヒートシールで密封可能にし、そのヒートシールによれば、この包装ラミネート１０を包装容器に形成する間に、熱および圧力を加えることによって、相互に向合うプラスチック層を表面溶融によって互いに効果的に接合して機械的に強い液密封止継手を形成することができる。本発明と密接な関係はない（従って図面には示さない）が、プラスチック外層１２は、その上、例えば、包装した製品を識別するために、装飾的および／または情報を与える性質の適当な印刷パターン（所謂装飾的アートワーク）を備えてもよい。
反対の（最下）プラスチック外層１３も、ポリエチレン、例えば、低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）から成るのが好ましく、それは、包装ラミネート１０をこの包装ラミネートの“内部”からの湿気および水の浸透から保護し、同時に、この包装ラミネートを普通の所謂ヒートシールで密封可能にする。そのヒートシールによれば、この包装ラミネート１０を包装容器に形成する間に、この包装ラミネートの内側を包装ラミネートの外側に接合して機械的に強い液密封止継手を形成することができる。
コア層１１と（最下）プラスチック外層１３との間に、この包装ラミネート１０は、ポリビニルアルコール（polyvinyl alcohol）の層１４を有し、それは、酸素ガス遮断層の役をし、コア層１１とポリビニルアルコール層１４の間に付けた封止層１５を介してコア層１１に接着されている。この封止層１５は、押出し可能な熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレンから成るのが好ましく、そうすれば良い接着強度でコア層１１とポリビニルアルコール層１４の両方に接着し、同時に封止層１５として湿気および水に敏感なポリビニルアルコール層１４をこの包装ラミネート１０の外部からの湿気および水の浸透に対しよく保護する。封止層１５は、コア層１１と直接接触していて、このコア層の粗い表面構造に固有の凹凸も埋め合せて、ポリビニルアルコール層１４のための滑らかな下地表面を形成する。
本発明による包装ラミネート１０の本質的特徴は、図１に示すように、湿気および水に敏感なポリビニルアルコールの酸素ガス遮断層１４を周囲の気密プラスチック層１５および１３の間によく閉込め、隠して、この包装ラミネートの外側および／または内側からの湿気および水の浸透により、その酸素ガス耐密特性を損う危険を冒すことがない。
図２は、上に説明した包装ラミネート１０を生産するための、本発明による方法を模式的に示す。明瞭にする目的で、図１と同じ参照番号を使って、図２で同じまたは相当する詳細を指す。
図２で左に丸で囲んだ領域Ａに倍尺で示すように、一方の側にプラスチックの層１２を塗布した普通紙または板紙１１のウエブを二つの回転するローラ１６、１６の間のニップに通し、同時に、このウエブの他方の（未塗布）側を押出機１７によってこのウエブ上に押出されたプラスチックの層１５で塗被する。両面塗被された普通紙または板紙のウエブ（丸で囲んだ領域Ｂ内の拡大断面参照）を更に表面処理ステーション１８に導き、そこで適当な表面処理装置１９、例えば、コロナ装置を使って、密着性改善表面処理、例えばコロナ処理に掛ける。
この表面処理したウエブを更に塗布または被覆ステーション２０へ導き、そこで適当な塗布または塗装装置２１によって、このウエブの表面処理したプラスチック層１５の上に薄い水性層の形をしたポリビニルアルコールの水性乳濁液を付けて、丸で囲んだ領域Ｃに倍尺で示す断面構造を作る。
このポリビニルアルコールを塗布したウエブを更に乾燥ステーション２１へ導き、そこで適当な乾燥装置２２を使い、水を除去または蒸発することによって、水性ポリビニルアルコール層１４の中の水分を調節する。
最後に、この水分を調節したポリビニルアルコール層１４を二つの回転するローラ２３の間のニップに通し、同時に押出機２４を使って溶融プラスチックの一つ（または事によるとそれ以上の）層１３をこのポリビニルアルコール層１４に付けて、丸で囲んだ領域Ｄに倍尺で示す断面構造を表す、完成した包装ラミネート１０を作る。
この発明によるシートまたはウエブ形包装ラミネート１０から、それ自体は知られている方法で折畳むことによって、優れた酸素ガス耐密特性を有する、構造的に安定した、液密包装容器２５を生産することができる。そのような従来の包装容器の一例を図３に模式的に示す。
図３は、ウエブ形の、好ましくは折目を付け、装飾した包装ラミネートから包装容器を作り、充填しおよび密封する型式の現代の合理的包装機械を使って生産した、テトラ・ブリック^▲Ｒ▼型の既知の包装容器２５の上部を示す。そのような包装容器は、それらの生産方法と共に当業者によく知られているので、ここでそれらを詳細に説明することは余計である。しかし、その原理は、ウエブ形包装ラミネートをまず管状に成形し、その中に、この場合は酸素ガスに敏感な製品である、所望の内容物を満たし、その後この管の中の内容物のそのときの高さの下で管を繰返し横に密封することによって、閉じたクッション形の包装に分割することである。これらの横密封領域に切込みを入れることによって、これらの包装を互いに分離し、最後の折畳みおよび密封作業によって、普通は、図３に示すような平行六面体の、所望の最終的幾何学形状を与える。
この様に上記から、本発明が先に議論した従来技術に固有の欠点および短所を効果的に取除き、並びに、単純な方法で且つ従来の技術および装置を使って、優れた酸素ガス耐密特性を有する、構造的に安定した、液密包装容器のための積層した包装材料の生産を可能にすることが明白だろう。本発明を、包装ラミネートそのものおよびそれを生産する方法の両方のある好適実施例を参照して上に説明したが、本発明は、本発明を明らかにするために特に提示し且つ説明した、これらの実施例に限定されないことに気付くべきである。当業者には、添付の請求項で定義するこの発明の概念の精神および範囲から逸脱することなく、多数の変形および修正が可能なことが明白だろう。

Claims (10)

1. 優れた酸素ガス遮断特性を有する、構造的に安定した、液密包装容器のための積層された包装材料の生産方法において、構造的に堅いが折曲げ可能な、紙または板紙のコア層（１１）の一方の側に押出しによって接着用のプラスチックの層（１５）を塗被し、その後、ポリビニルアルコールの水性乳濁液をこのプラスチックの層（１５）に散布することによって、酸素ガス障壁としてポリビニルアルコールの層（１４）を塗被することを特徴とする包装材料の生産方法。
2. コア層（１１）とポリビニルアルコールの層（１４）との間の前記プラスチックの層（１５）が熱可塑性樹脂から成ることを特徴とする請求項１に記載の包装材料の生産方法。
3. コア層（１１）とポリビニルアルコールの層（１４）との間の前記プラスチックの層（１５）がポリエチレンから成ることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の包装材料の生産方法。
4. 前記ポリビニルアルコールの層（１４）のコア層（１１）と反対側を向いた他方の側が、このポリビニルアルコールの層（１４）に付けたプラスチックの層（１３）によって被覆されることを特徴とする請求項１から請求項３までの、何れか一項に記載の包装材料の生産方法。
5. 前記ポリビニルアルコールの層（１４）の他方の側のプラスチックの層（１３）が熱可塑性樹脂から成ることを特徴とする請求項４に記載の包装材料の生産方法。
6. 前記ポリビニルアルコールの層（１４）の他方の側のプラスチックの層（１３）がポリエチレンから成ることを特徴とする請求項５に記載の包装材料の生産方法。
7. 請求項１に記載の積層された包装材料の生産方法において、普通紙または板紙のウエブ（１１）の一方の側に押出しによってプラスチックの層（１５）を塗被し、ポリビニルアルコールの水性乳濁液をこのウエブ（１１）のプラスチックの層（１５）を塗被した側に散布することによって、水性ポリビニルアルコールの層（１４）で塗被し、その後、この水性ポリビニルアルコールの層（１４）に含まれる水を除去または蒸発することによって水分を調節する目的で、前記水性ポリビニルアルコールの層（１４）を乾燥し、かつこのポリビニルアルコールの層（１４）をプラスチックの外層（１３）で、塗被することを特徴とする包装材料の生産方法。
8. 前記薄い水性ポリビニルアルコールの層（１４）を、約１０ｇ／ｍ ² の量で前記プラスチックの層（１５）上に付けることを特徴とする請求項７に記載の生産方法。
9. 前記プラスチックの層（１５）を、前記薄い水性ポリビニルアルコールの層（１４）の塗被前に酸化表面処理に掛けることを特徴とする請求項７または請求項８に記載の生産方法。
10. 前記酸化表面処理がコロナ処理であることを特徴とする請求項９に記載の生産方法。

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