JP3910252B2 - タイヤモニタリング装置における圧力測定値の処理方法 - Google Patents

タイヤモニタリング装置における圧力測定値の処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はタイヤモニタリング装置に関し、より詳しくは、膨張圧力が許容範囲内にあってもトラブルを引き起こす潜在的危険性がある状況を検出する装置の使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
モニタリング装置は、その目的として、車両の全タイヤが、意図する使用条件下で使用されているか否かを確認できなければならない。
実際、これらの装置は、慣用的に、車両の各タイヤの膨張圧力が、閾値(公称コールド膨張圧力より約10〜15%低い圧力)以下に低下しないことを確認している。
しかしながら、この確認は、車両のタイヤの膨張状態の或る異常の検出を保証するものではない。
異常状況の一例として、1つのタイヤが他の全てのタイヤに対して明らかに膨張不足である場合がある。これは、未だ検出されていない非常に僅かな漏洩によるかも知れないし、或いは、正しい再膨張が行なわれていないタイヤで走行した結果であるともいえよう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、多くの誤った警報を発することなく、車両の他の全てのタイヤとは実質的に異なるタイヤの膨張状態を検出できるタイヤモニタリング装置の信号処理方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の方法は、タイヤのコールド状態を確認した後、
各タイヤについて、膨張圧力を測定し、測定した膨張圧力と公称圧力との間の偏差を計算し、
代数学的値からの偏差が最小である車両のタイヤを識別して、該タイヤを「最も膨張圧力不足のタイヤ」と呼び、
最も膨張圧力不足のタイヤを除く車両の全てのタイヤについて、測定した膨張圧力と公称圧力との間の前記偏差のばらつきの特性値を計算し、この特性値を所与の第1閾値と比較し、
前記偏差の特性値が第1閾値より小さい場合には、前記タイヤの測定した膨張圧力と公称圧力との間の前記偏差と、他のタイヤの前記偏差の平均値との間の差を、最も膨張圧力不足のタイヤについて計算し、前記差を所与の第2閾値と比較し、
前記差が前記第2閾値より大きい場合には警報を発する。
【0005】
この方法は、他のタイヤと比較して明らかに過大膨張されたタイヤがあるか否かを決定するのにも使用される。この第2試験は、例えば、膨張圧力を正しい圧力に低下させるのではなく、現在使用されている危険ホイールを検出するのに有効である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の方法を実施するのに、米国特許第4,703,650 号に開示されているようなモニタリング装置を使用できる。このようなモニタリング装置は、各ホイールの電子測定モジュールを有し、該モジュールは、測定値信号を車両に配置された中央処理装置に誘導結合により伝達しかつ運転者の近くの表示装置に接続されている。また、同じ情報を無線により同様な中央処理装置に伝達する装置を使用することもできる。電子ホイールモジュールは、少なくとも、該モジュールが取り付けられたタイヤの膨張圧力を測定する。また、電子ホイールモジュールは、タイヤ内の空気温度の推定値を測定することもできる。
本発明の方法は、タイヤがコールドであるとき、すなわちタイヤが周囲の空気と熱平衡状態にあるときに、好ましくは車両の各始動時に使用することを意図したものである。従って、第1ステップは、タイヤのホット状態またはコールド状態を検出することである。この確認は、フランス国特許第2,680,136 号に提案されているように、各タイヤの内部温度と車両内に存在する大気温度との間の測定温度の偏差を比較することにより行なわれる。これらの温度測定値を入手できない場合には、車両が停止していた時間が最短時間(乗用車については約90分、重量車両については約4時間)より長いか否かを確認することもできる。また、この冷却時間を、記憶されている車両の前回の使用の関数として修正することもできる。
【0007】
この確認により、タイヤがホット状態にあると結論されると、いわゆるホット確認モードに瞬時に切り換えられる。タイヤのこのホット確認は、コールド公称圧力に対する膨張圧力のタイヤ毎の比較、同一車軸のタイヤ間の偏差のモニタリング、並びに、同一車軸または幾つかの車軸のタイヤ間のこれらの偏差の時間変化のモニタリングにより行なうのが有効である。
最初の確認により、タイヤがコールド状態にあると結論されると、各タイヤの膨張圧力が順次測定され、次に、測定した膨張圧力と公称コールド圧力との間の偏差が計算される。これにより、
i =Pi −Pi 0
を得る。ここで、Pi はタイヤiの膨張圧力、Pi 0 は同じタイヤiのコールド公称圧力である。公称圧力は、幾つかのタイヤ間、特に異なる車軸のタイヤ間で異なることがあることに留意されたい。従って、最低膨張圧力より高い方の膨張圧力のタイヤがその公称圧力に対して不足膨張状態にある間に、最低膨張圧力のタイヤが適正に膨張される場合も観察されよう。
【0008】
全ての値Di から、車両の最も膨張圧力不足のタイヤに等しい最小値が、代数学的に求められる。このタイヤをタイヤjと呼び、
J =Di min
を得る。
次に、他の全てのタイヤについての偏差のばらつきを分析する。この分析は、差Mの平均値を次式から計算することにより行なわれる。
【0009】
【数1】
Figure 0003910252
ここで、Nは、圧力測定装置が設けられかつ実際にモニタリングされるタイヤの全個数である。
次に、次式から、各タイヤについて差Δi を計算し、
Δi =|Di −M|
Δi の最大値と、第1閾値S1 とを比較する。Δi の最大値はタイヤ1(タイヤjではない)の最大値であり、タイヤ1の膨張圧力は、偏差Mの平均値から最もかけ離れている。
この最大値Δl が閾値S1 より小さいならば、車両の他の全てのタイヤが、極く僅かなばらつきの均一膨張圧力値を有することを意味する。
【0010】
一方、この最大値が閾値S1 より大きいならば、車両の他のタイヤの膨張圧力値のばらつきが非常に大きく、試験をするには無意味であることを示し、運転者にこの状況の警告を与えた後、ホットモニタリングモードに切り換える。
圧力が極く僅かなばらつきになったことを確認した後、偏差Dj と平均値Mとの差と、第2閾値S2 とを比較する。すなわち、
(M−Dj )>S2
この差が閾値S2 より大きいことが証明される場合には、タイヤjが車両の他の全てのタイヤより膨張圧力不足の度合いが大きいことを意味する。
この状況は異常である。なぜならば、他の全てのタイヤについて判明した偏差を考えた場合に良いメインテナンスがなされていたと推定できる車両が、他のタイヤよりも膨張圧力不足の度合いが大きいタイヤを有しているからである。一部の車両所有者の怠慢は多分ここでは無関係であり、むしろ、未だ検出されていない非常に僅かな漏洩によるか、タイヤの膨張圧力の正しい確認が行なわれていないタイヤで走行したことによるものであろう。
【0011】
従って、このタイヤjが潜在的な膨張異常を有するものであることを運転者に表示し、運転者がチェックすべきことをアドバイスするのが好ましい。
一般に、約8バールの公称膨張圧力をもつ重量車両の場合には、限界警告閾値の慣行値は約1バールである。全ての膨張圧力が、1バールを超えない範囲内で公称圧力より大きい場合には、通常、警報は伝達されない。
これらの重量車両の場合には、閾値S1 として約400ミリバール、閾値S2 として約800ミリバールを選択できる。これは、この試験が、僅かな漏洩の場合には早期に異常状況を開示できることを示すものである。
また、図1は、他のタイヤに比べ最も過大に膨張されたタイヤの識別に関する同様な試験を例示するものである。この識別は、より詳しくは、危険ホイール(通常、過大膨張されたタイヤのホイール)が、膨張圧力を矯正することなく使用されている場合を検出するのに行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
i 、Dj 圧力の偏差
M 圧力差
i タイヤiの膨張圧力
i 0 タイヤiのコールド公称圧力
1 第1閾値
2 第2閾値

Claims (4)

  1. 車両のタイヤをモニタリングする装置であって、各タイヤについて該タイヤの膨張圧力の少なくとも1つの測定値を供給する装置の信号をモニタリングする方法において、タイヤのコールド状態を確認した後、
    各タイヤ(i)について、膨張圧力(Pi)を測定し、測定した膨張圧力(Pi)と公称圧力(Pi0)との間の偏差(Di)を計算し、
    偏差(Dj)が最も低い代数学的値を有する車両のタイヤを識別して、該タイヤ(j)を「最も膨張圧力不足のタイヤ」と呼び、
    最も膨張圧力不足のタイヤを除く車両の全てのタイヤについて、測定した膨張圧力(Pi)と公称圧力(Pi0)との間の前記偏差(Di)のばらつきの特性値(Δl)を計算し、この特性値を所与の第1閾値(S1)と比較し、
    前記偏差(Di)の特性値(Δl)が第1閾値(S1)より小さい場合には、最も膨張圧力不足のタイヤ(j)について該タイヤ(j)の測定した膨張圧力(Pj)と公称圧力(Pj0)との間の前記偏差(Dj)と、他のタイヤの前記偏差の平均値(M)との間の差を計算し、前記差(M−Dj)を所与の第2閾値(S2)と比較し、
    前記差(M−Dj)が前記第2閾値(S2)より大きい場合には警報を発することを特徴とする方法。
  2. 車両のタイヤをモニタリングする装置であって、各タイヤについて該タイヤの膨張圧力の少なくとも1つの測定値を供給する装置の信号を処理する方法において、タイヤのコールド状態を確認した後、
    各タイヤ(i)について、膨張圧力(Pi)を測定し、測定した膨張圧力(Pi)と公称圧力(Pi0)との間の偏差(Di)を計算し、
    偏差(Dk)が最も高い代数学的値を有する車両のタイヤを識別して、該タイヤ(k)を「最も過大な膨張圧力のタイヤ」と呼び、
    最も過大な膨張圧力のタイヤを除く車両の全てのタイヤについて、測定した膨張圧力(Pi)と公称圧力(Pi0)との間の前記偏差(Di)のばらつきの特性値(Δ’m)を計算し、この特性値(Δ’m)を所与の第1閾値と比較し、
    前記偏差の特性値(Δ’m)が第1閾値(S’1)より小さい場合には、最も過大な膨張圧力のタイヤ(k)について、他のタイヤの前記偏差の平均値(M)と、前記最も過大な膨張圧力のタイヤ(k)の測定した膨張圧力(Pk)と公称圧力(Pk0)との間の前記偏差(Dk)との間の差を、最も過大な膨張圧力のタイヤについて計算し、前記差(Dk−M)を所与の第2閾値(S’2)と比較し、
    前記差(Dk−M)が前記第2閾値(S’2)より大きい場合には警報を発することを特徴とする方法。
  3. 前記偏差(Di)のばらつきの特性値(Δl,Δ’m)を計算するために、最も膨張圧力不足のタイヤまたは最も過大な膨張圧力のタイヤを除く全てのタイヤを考察し、
    膨張圧力(Pi)と公呼圧力(Pi0)との間の偏差(Di)の代数学的平均値(M)を計算し、
    各タイヤについて、前記タイヤの膨張圧力と公称圧力との間の偏差(Dj,Dk)と、前記代数学的平均値(M)との間の差を計算し、
    絶対値が最大である前記差を、前記偏差のばらつきの特性値(Δl,Δ’m)とすることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. コールドモニタリングの終時にホットモニタリングモードに切り換えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
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