JP3909964B2 - 小口径管推進装置の先導体セット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、先導体本体と泥土圧工法ユニットおよび泥水工法ユニットとを有する小口径管推進装置の先導体セットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、地中に小口径管を埋設する工法の1つとして、掘削式の小口径管推進装置を用いたものがある。
【0003】
この小口径管推進装置は、カッタを備えた先導体の後方に小口径管を装着し、先導体のカッタによって地盤を掘削しつつ、発進立坑に設置した推進装置により小口径管の後端を押圧して、順次小口径管を継ぎ足しながら埋設して行くものである。
【0004】
ここで、小口径管推進装置の先導体には、排土手段であるスクリューコンベアにピンチ弁を設け、このピンチ弁により排土量を調整することで、カッタから流入する掘削土砂の土圧バランスを取るよう構成した泥土圧工法型がある。
【0005】
また、小口径管推進装置の先導体には、送泥管によりカッタ後方に泥水を供給し、この泥水とともに掘削土砂を排泥管により排出させる構造であって、送泥量と排泥量とを調整することにより、カッタから流入する掘削土砂の土圧バランスを取るよう構成した泥水工法型がある。
【0006】
このように、泥土圧工法型の先導体と、泥水工法型の先導体とは、各々の工法に特化した専用の機器であり、上述した如く互いの構成は相違したものとなっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、小口径管推進装置を用いて小口径管を埋設する際には、地盤の土質に適合した工法を実施するべく、泥土圧工法型の先導体と泥水工法型の先導体とを保有しておくことが望まれる。
【0008】
また、所定の工区には口径の異なる数種類の先導体を必要とするため、先導体の保有台数は更に増大することとなり、設備コストや工事コストの増大を招いてしまう不都合があった。
【0009】
本発明の目的は上記実状に鑑みて、泥土圧工法と泥水工法との併用に基づく、設備コストや工事コストの増大を未然に防止することの可能な、小口径管推進装置の先導体セットを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段および効果】
上記目的を達成するべく、請求項1の発明に関わる小口径管推進装置の先導体セットは、先導体ハウジングの先端にカッタヘッドを備えるとともに、先導体ハウジングの内部に筒状ケーシングを備えて成る先導体本体と、スクリューを備えるとともに該スクリューを筒状ケーシングに挿入した状態で先導体本体に装着される泥土圧工法ユニットと、送泥管および排泥管を備えるとともに上記送泥管および排泥管を筒状ケーシングに挿入した状態で先導体本体に装着される泥水工法ユニットとを具備し、先導体本体に泥土圧工法ユニットを装着して成る泥土圧工法型の先導体と、先導体本体に泥水工法ユニットを装着して成る泥水工法型の先導体とを、選択可能に構成している。
上記構成によれば、先導体ハウジングの筒状ケーシングに対して、泥土圧工法ユニットあるいは泥水工法ユニットを選択して設置することにより、一台の先導体を泥土圧工法型あるいは泥水工法型とすることができる。
これにより、実質的な先導体の保有台数を減少させることができ、もって泥土圧工法と泥水工法との併用に基づく、設備コストや工事コストの増大を未然に防止することが可能となる。
【0011】
請求項2の発明に関わる小口径管推進装置の先導体セットは、泥水工法ユニットにおける送泥管の先端部を、排泥管の先端部より突出させて成ることを特徴としている。
上記構成によれば、送泥管の先端開口と排泥管の先端開口とが離れるため、送泥管から供給された泥水が、カッタ後方のフード部に十分に供給されることなく排泥管に吸引されてしまう不都合を可及的に防止することができる。
【0012】
請求項3の発明に関わる小口径管推進装置の先導体セットは、泥水工法ユニットにおける送泥管の先端部と排泥管の先端部との間に、送泥管の先端開口と排泥管の先端開口とを離隔させる隔壁を設けて成ることを特徴としている。
上記構成によれば、送泥管の先端開口と排泥管の先端開口とが、隔壁によって離隔されるため、送泥管から供給された泥水が、カッタ後方のフード部に十分に供給されることなく排泥管に吸引されてしまう不都合を可及的に防止することができる。
【0013】
請求項4の発明に関わる小口径管推進装置の先導体セットは、請求項1から請求項3の何れか1つに記載の小口径管推進装置の先導体セットであって、泥水工法ユニットにおける送泥管と排泥管を、互いに並置された2連管によって構成することを特徴としている。
上記構成によれば、送泥管と排泥管が互いに並置された2連管であるために、泥水工法ユニットの取り回しが容易なものとなる。
【0014】
請求項5の発明に関わる小口径管推進装置の先導体セットは、請求項1または請求項2に記載の小口径管推進装置の先導体セットであって、泥水工法ユニットにおける送泥管と排泥管を、送泥管および排泥管の何れか一方の管の内部に、他方の管を収容して成る2重管によって構成することを特徴としている。
上記構成によれば、スクリューケーシングを送泥管および排泥管の何れか一方として利用することができ、これによって泥水工法ユニットの構造を簡易なものとすることが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を示す図面に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図1に示す小口径管推進装置の先導体1は、先導体ハウジング2の先端に、カッタ3c,3cを有するカッタヘッド3を備えているとともに、先導体ハウジング2内の中心部には、カッタヘッド3からの掘削土砂を後方に排出するためのスクリューコンベア10が設けられている。
【0016】
このスクリューコンベア10は、前記先導体ハウジング2に設置されたスクリューケーシング11に、スクリュー21と駆動モータ22とを備えて成る泥土圧工法ユニット20を装着することによって構成されている。
【0017】
なお、この泥土圧工法ユニット20は、フランジ20fをスクリューケーシング11の後端に締結することによって、前記スクリューケーシング11に装着されている。
【0018】
また、上記スクリューケーシング11には、該スクリューケーシング11を巡るリング状のチャンバー12Aと、該チャンバー12A内の空気圧によって変形するゴム性の弁体12Bとから成るピンチ弁12が設けられている。
【0019】
上述した先導体1において、カッタ3c,3cによって掘削された土砂は、カッタヘッド3のフード部3hから、スクリューコンベア10のスクリューケーシング11に流入し、駆動モータ22により回転されるスクリュー21で後方へ移送されたのち、スクリューケーシング11の後部に接続されたバキューム管13を介して地上の処理設備へ排出される。
【0020】
また、上記先導体1は上述した如く泥土圧工法型であり、ピンチ弁12の弁体12Bより、スクリューコンベア10を通過する掘削土砂の流量を調整することで、切羽から流入する掘削土砂との土圧バランスを取るよう構成されている。
【0021】
上述した泥土圧工法型の先導体1は、本発明に関わる小口径管推進装置の先導体セットを用いて構成されており、図2において明示する如く、本発明の先導体セット100は、先導体本体1Aと泥土圧工法ユニット20および泥水工法ユニット30とを具備している。
上記先導体本体1Aは、上述の如く先導体ハウジング2の先端にカッタヘッド3を備えるとともに、上記先導体ハウジング2の内部に筒状ケーシングとしてのスクリューケーシング11を備えている。
また、上記泥土圧工法ユニット20は、上述の如くスクリュー21および駆動モータ22を備えており、上記スクリュー21をスクリューケーシング11に挿入することでスクリューコンベア10 ( 図1参照 ) を構成する。
一方、上記泥水工法ユニット30は、送泥管31および排泥管32を備えており、これら送泥管31と排泥管32とをスクリューケーシング11に挿入した状態で、上記泥水工法ユニット30は先導体本体1Aに装着される。
ここで、図1に示す泥土圧工法型の先導体1に対して、先導体本体1Aのスクリューケーシング11から、スクリュー21を抜去して泥土圧工法ユニット20を取り外し、この泥土圧工法ユニット20に換えて、送泥管31および排泥管32をスクリューケーシング11に挿入し、上記泥水工法ユニット30を先導体本体1Aに装着することにより、先導体1を泥土圧工法型から泥水工法型へと変換させることができる。
言い換えれば、上述した小口径管推進装置の先導体セット100は、先導体本体1Aに泥土圧工法ユニット20あるいは泥水工法ユニット30の一方を装着することで、図1に示す泥土圧工法型の先導体1と、図3に示す泥水工法型の先導体1とを自在に選択して構成することができる。
【0022】
図3および図4に示す如く、泥水工法型の先導体1において、スクリューケーシング11に装着された泥水工法ユニット30は、送泥管31および排泥管32を具備し、これら送泥管31および排泥管32の後端には、それぞれ送泥パイプPiおよび排泥パイプPoが接続されている。
【0023】
また、送泥管31および排泥管32は、スクリューケーシング11の軸方向に延び、かつ互いに並置された2重管であり、複数個のホルダ33,33…によって互いに連結されている。
【0024】
泥水工法ユニット30は、送泥管31および排泥管32をスクリューケーシング11に挿入し、フランジ30fをスクリューケーシング11の後端に締結することにより、前記スクリューケーシング11に装着されている。
【0025】
ここで、送泥管31および排泥管32をスクリューケーシング11に挿入した際、ホルダ33,33…がスクリューケーシング11の内周面と嵌合することより、スクリューケーシング11に対する送泥管31および排泥管32の位置決めが為される。
【0026】
なお、スクリューケーシング11に設けられたピンチ弁12の弁体12Bは、スクリューケーシング11の内周面に突出することのないよう収縮しており、またスクリューケーシング11おいて、泥土圧工法型とした際にバキューム管13が接続されていた開口は、蓋体14によって塞がれている。
【0027】
上述した先導体1において、カッタ3c,3cにより掘削された土砂は、排泥パイプPiから送泥管31を介してフード部3hに供給された泥水とともに、排泥管32から排泥パイプPoを介して地上の処理設備へ排出され、このとき送泥量と排泥量とを調整することにより、切羽から流入する掘削土砂との土圧バランスを取るよう構成されている。
【0028】
以上、詳述したように、本発明に関わる小口径管推進装置の先導体1は、基本的には図1に示した泥土圧工法型の先導体であり、スクリューコンベア10の構成要素であるスクリューケーシング11から、泥土圧工法ユニット20を取り外し、上記スクリューケーシング11に泥水工法ユニット30を装着することで、先導体1を図3に示した泥水工法型へ変換させることができる。
【0029】
また、先導体1を泥土圧工法型から泥水工法型へ変換させる場合、スクリューコンベア10の構成要素であるスクリューケーシング11に、泥水工法ユニット30を装着すること、言い換えれば、泥水工法ユニット30を先導体ケーシング2内の所定位置に取り付けるための支持部材として、スクリューケーシング11を利用することによって、先導体ケーシング2に専用の支持部材を設置する必要がなく、もって構造の簡易化を達成することが可能となる。
【0030】
さらに、上述したスクリューケーシング11は、泥土圧工法型あるいは泥水工法型の何れにおいて必須の要素であり、このスクリューケーシング11を共通部したことによっても、構造の簡易化を達成することが可能となる。
【0031】
ところで、図3および図4に示した泥水工法型の先導体1では、スクリューケーシング11の内部に挿入された送泥管31と排泥管32とが、互いに隣接して配置されているため、送泥管31から供給された泥水が、フード部3hに十分に供給される前に、排泥管32に直接に吸引されてしまう虞れがある。
【0032】
図5に示す泥水工法ユニット30′は、上述した問題点を考慮して構成されたものであり、送泥管31′の先端部31t′を、排泥管32′の先端部32t′より突出させるよう構成されている。
【0033】
これにより、送泥管31′の先端開口と、排泥管32′の先端開口とが離れ、しかも送泥管31′からの泥水の流出方向とは反対側に排泥管32′の先端開口が位置するため、送泥管31′から供給された泥水は、直接に排泥管32′に吸引されることなく、フード部3h(図3参照)に十分に供給されることとなる。
【0034】
図6に示す泥水工法ユニット30″も、上述した問題点を考慮して構成されたものであり、送泥管31″の先端部31t″と排泥管32″の先端部32t″との間に、送泥管31″の先端開口31o″と排泥管32″の先端開口32o″とを離隔させる隔壁34″を設けている。
【0035】
上記構成によれば、送泥管31″の先端開口31″と排泥管32″の先端開口32″とが、隔壁24″によって離隔されるため、送泥管31″から供給された泥水は、直接に排泥管32″に吸引されることなく、フード部3h(図3参照)に十分に供給されることとなる。
【0036】
なお、上述した泥水工法ユニット30′および泥水工法ユニット30″は、泥水工法ユニット30′における送泥管31′の構成以外、および泥水工法ユニット30′における隔壁34″の構成以外、先に説明した泥水工法ユニット30と変わるところはないので詳細な説明は省略する。
【0037】
一方、図7に示す泥水工法ユニット40は、スクリューケーシング11を排泥管として利用するもので、1本の送泥管41を具備するとともに、該送泥管41には複数個のホルダ42,42…が設けられている。
【0038】
また、上記泥水工法ユニット40は、送泥管41をスクリューケーシング11に挿入し、フランジ40fをスクリューケーシング11の後端に締結することによって、前記スクリューケーシング11に装着されており、ホルダ42,42…がスクリューケーシング11の内周面と嵌合することで、排泥管としてのスクリューケーシング11と送泥管41とは2重管を構成している。
【0039】
さらに、フランジ40fの後方には、スクリューケーシング11と連通する排泥マニホルド43が設けられ、送泥管41の後端および排泥マニホルド43の後端には、図示していない送泥パイプおよび排泥パイプが接続されている。
【0040】
上述した構成では、泥水工法ユニット40の送泥管41から流出した泥水は、フード部3h(図3参照)にて掘削土砂と混合され、排泥管を構成するスクリューケーシング11に吸い込まれたのち、排泥マニホルド43等を介して処理設備に排出される。
【0041】
ここで、上述した泥水工法ユニット40によれば、スクリューケーシング11を排泥管として利用したことにより、泥水工法ユニット40自身の構成を簡易なものとすることが可能となる。
【0042】
なお、上述した泥水工法ユニット40は、送泥管41を有し、スクリューケーシング11を排泥管として利用しているが、泥水工法ユニット40の送泥管41を排泥管とし、スクリューケーシング11を送泥管として利用するように構成することも可能である。
【0043】
一方、図8に示す泥水工法ユニット40′は、図7に示した泥水工法ユニット40の一部を改良したもので、送泥管41′の先端部41t′を、排泥管を構成するスクリューケーシング11の先端部11tよりも突出させている。
【0044】
これにより、送泥管41′の先端開口と、排泥管を構成するスクリューケーシング11の先端開口とが離れ、しかも送泥管41′からの泥水の流出方向とは反対側にスクリューケーシング11の先端開口が位置するため、送泥管41′から供給された泥水は、直接に排泥管としてのスクリューケーシング11に吸引されることなく、フード部3h(図3参照)に十分に供給されることとなる。
【0045】
なお、上述した泥水工法ユニット40′は、送泥管41′の構成以外、先に説明した泥水工法ユニット40と変わるところはないので、構成に関する詳細な説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に関わる小口径管推進装置の先導体セットから構成された先導体(泥土圧工法型)を示す側面断面図。
【図2】 本発明に関わる小口径管推進装置の先導体セットを示す概念図。
【図3】 本発明に関わる小口径管推進装置の先導体セットから構成された先導体(泥水工法型)を示す側面断面図。
【図4】 (a)および(b)は、図3に示した先導体の要部側面図および要部正面図。
【図5】 図3に示した先導体の他の実施例を示す要部側面図。
【図6】 (a)、(b)および(c)は、図3に示した先導体の更に他の実施例を示す要部側面図、要部正面図および要部平面図。
【図7】 (a)および(b)は、本発明に関わる小口径管推進装置の先導体の他の実施例を示す要部側面図および要部正面図。
【図8】 図7に示した先導体の更に他の実施例を示す要部側面図。
【符号の説明】
1…先導体、
1A…先導体本体、
2…先導体ハウジング、
3…カッタヘッド、
10…スクリューコンベア、
11…スクリューケーシング ( 筒状ケーシング ) 、
20…泥土圧工法ユニット、
21…スクリュー、
30,30′,30″,40,40′…泥水工法ユニット、
31,31′,31″,41,41′…送泥管、
32,32′,32″,42,42′…排泥管、
34″…隔壁、
100…先導体セット。
Claims (5)
- 先導体ハウジングの先端にカッタヘッドを備えるとともに、前記先導体ハウジングの内部に筒状ケーシングを備えて成る先導体本体と、
スクリューを備え、該スクリューを前記筒状ケーシングに挿入した状態で、前記先導体本体に装着される泥土圧工法ユニットと、
送泥管および排泥管を備え、前記送泥管および排泥管を前記筒状ケーシングに挿入した状態で、前記先導体本体に装着される泥水工法ユニットとを具備し、
前記先導体本体に前記泥土圧工法ユニットを装着して成る泥土圧工法型の先導体と、前記先導体本体に前記泥水工法ユニットを装着して成る泥水工法型の先導体とを、選択可能に構成したことを特徴とする小口径管推進装置の先導体セット。 - 前記泥水工法ユニットにおける前記送泥管の先端部を、前記排泥管の先端部より突出させたことを特徴とする請求項1記載の小口径管推進装置の先導体セット。
- 前記泥水工法ユニットにおける前記送泥管の先端部と前記排泥管の先端部との間に、前記送泥管の先端開口と前記排泥管の先端開口とを離隔させる隔壁を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の小口径管推進装置の先導体セット。
- 前記泥水工法ユニットにおける前記送泥管と前記排泥管は、互いに並置された2連管であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載の小口径管推進装置の先導体セット。
- 前記泥水工法ユニットにおける前記送泥管と前記排泥管は、前記送泥管および前記排泥管の何れか一方の管の内部に、他方の管を収容して成る2重管であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の小口径管推進装置の先導体セット。
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