JP3909947B2 - ディジタル放送受信機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディジタル方式の映像および音声の放送を受信して再生するピクチャー・イン・ピクチャー機能を有するディジタル放送受信機に関する。
【0002】
【従来の技術】
図14は、例えば特公昭60−17274号公報に開示された従来のピクチャー・イン・ピクチャー機能を有するアナログ放送受信機を示すブロック図である。図において、1はピクチャー・イン・ピクチャー機能を有するアナログ放送受信機、2はアナログ放送受信機1に外部アンテナ等から入力される映像音声被変調波入力信号、3は外部入力信号12を受信する第1のチューナ、4は第1のチューナ3によって選択された第1の映像中間周波数と第1の音声中間周波数を増幅する第1の中間周波増幅部、5は第1の中間周波増幅部4からの中間周波信号から映像および音声信号を復元する第1の映像音声検波部である。
【0003】
また、6は外部入力信号12を受信する第2のチューナ、7は第2のチューナ6によって選択された第2の映像中間周波数と第2の音声中間周波数を増幅する第2の中間周波増幅部、8は第2の中間周波増幅部7からの中間周波信号から映像および音声信号を復元する第2の映像音声検波部、9は第1の映像音声検波部5から出力された第1の映像音声信号と第2の映像音声検波部8から出力された第2の映像音声信号とを重畳するミキサ部、10はモニタやスピーカなどの表示装置である。
【0004】
次に動作について説明する。外部アンテナや同軸ケーブル等から入力された映像音声被変調波入力信号2は、通常複数チャンネルの番組を含んでいる。第1のチューナ3と第2のチューナ6は、映像音声被変調波入力信号2の中から異なる第1と第2の映像音声中間周波数をそれぞれ選択し、選択された第1と第2の映像音声中間周波数は、第1の中間周波増幅部4と第2の中間周波増幅部7によってそれぞれ増幅される。第1の映像音声検波部5は、増幅された第1の映像音声中間周波数から第1の映像音声信号を復元し、ミキサ部9に送る。
【0005】
一方、第2の映像音声検波部8は、増幅された第2の映像音声中間周波数から第2の映像音声信号を復元し、ミキサ部9に送る。ミキサ部9では入力された第1と第2の映像音声信号を受信し、第1の映像信号の内部あるいは外部に第2の映像信号を配置し、第1の音声信号と第2の音声信号をミックスして、例えば右側チャンネルと左側チャンネルにそれぞれ振り分ける等の重畳操作を行い、ピクチャー・イン・ピクチャー機能を実現する。そのようにして重畳された映像および音声信号は、モニタやスピーカなどの表示装置10に送られ、使用者に対して表示される。これらは、ピクチャー・イン・ピクチャー機能を有するアナログ放送受信機の代表的な構成である。
なお、複数の映像信号を1つの画面上に配置する際に第1の映像信号の外側に第2の映像信号を配置する場合には、ピクチャー・アウト・ピクチャーと呼ぶ場合もあるが、ここではピクチャー・イン・ピクチャー機能に含まれるものとする。
【0006】
また、図15は、例えばUS005231494A号に示された従来のディジタル放送受信機を示すブロック図である。図において、11はディジタル放送受信機、12はディジタル放送受信機11に外部から入力する外部入力信号、13は外部入力信号12を受信する第1のチューナ部、14は少なくとも1つ以上の番組から構成される第1の番組群と、第1の番組群に関する第1の共通番組情報と、第1の番組群に関する第1の固有番組情報とを含む第1のビットストリームである。
【0007】
また、15は第1のビットストリーム14から第1の番組と第1の共通番組情報と第1の固有番組情報とを分離し、抽出する第1のデマルチプレクサ部、16は第1のデマルチプレクサ部15により抽出された第1の番組を映像信号や音声信号に再生する第1のデコーダ部、17はそれらの機能を制御する演算・制御装置、18は演算・制御装置17の制御バス、19は、使用者が任意の番組を選択する命令などを演算・制御装置17に伝達するために使用する入力装置である。第1のチューナ部13と第1のデマルチプレクサ部15とはそれぞれ制御バス18を介して演算・制御装置17に情報を伝達したり、逆に演算・制御装置17からの命令を受け取ることができる。
【0008】
図16は、第1のビットストリーム14の例として、ISO/IEC13818−1により規定されたMPEG(Moving Picture Experts Group)−2システムのトランスポートストリーム構造を示す。図において、20aはトランスポートストリームを構成する188バイト固定長のトランスポートパケット、20bはトランスポートパケット20aを識別するためのPID(Packet IDentificstion)、20cは圧縮されたディジタル映像等のデータを格納する領域であるペイロードである。
【0009】
図17と図18にペイロード20cにマッピングされて伝送される第1の共通番組情報と第1の固有番組情報の例を示す。図17は、ISO/IEC13818−1により規定されたMPEG−2システムのPAT(Program Association Table)の構造である。図17において、21aはテーブル識別子、21bは放送番組番号識別子、21cは後述するPMTのPIDを示すプログラムマップPIDである。また図18は、ISO/IEC13818−1により規定されたMPEG−2システムのPMT(Program Map Table)の構造である。図18において、22aはテーブル識別子、22bはストリーム形式識別子、22cは映像や音声のデータがどのトランスポートパケット20aで伝送されているかを示すエレメンタリーPIDである。
【0010】
このような従来のディジタル放送受信機11においては、まず同軸ケーブルや衛星放送受信用アンテナなどからディジタル放送受信機11に外部入力信号12が入力されている。外部入力信号12は、例えば日本のディジタル衛星放送の場合、27MHz帯域幅当たり約40メガビット毎秒の伝送レートを持つ信号である。通常、外部入力信号12は複数のビットストリームから構成され、第1のチューナ部13を制御することによって任意のビットストリームを抽出することができる。ここでは外部入力信号12は、第1のビットストリームと第2のビットストリームから構成されているものとする。
【0011】
次に動作について説明する。図19は、従来のディジタル放送受信機11が任意の第1の番組を抽出する動作を示したフローチャートである。
まず、使用者が任意の第1の番組を受信する命令を入力装置19を使用して演算・制御装置17に伝達する(図19 ステップ100)。次いで演算・制御装置17は、外部入力信号12を受信している第1のチューナ部13を制御して、第1のビットストリーム14を抽出させる(図19 ステップ101)。ここでは第1のビットストリーム14は、少なくとも1つ以上の第1の番組と少なくとも1つ以上の第1の共通番組情報と少なくとも1つ以上の第1の固有番組情報を含んだディジタルビットストリームであるものとする。第1のビットストリーム14を抽出するまでを第1の手順とする。
【0012】
第1のビットストリーム14は、ここでは図16に示したISO/IEC13818−1より規定されたMPEG−2システムのトランスポートストリーム構造をとっており、トランスポートストリームはまず、188バイト固定長のトランスポートパケット20aから構成され、PID20bによって識別される。第1のデマルチプレクサ部15は、第1のビットストリーム14が入力されると、伝送されてきた各トランスポートパケット20aのPID20bを調べて、値が0であるようなトランスポートパケット20aを探す(図19 ステップ102)。
【0013】
PID20bの値が0であるようなトランスポートパケット20aのペイロード20cには、図16に示されるような、第1のビットストリーム14の中で共用される第1の共通番組情報が格納されている。第1のデマルチプレクサ部15は、上記の手順により検出された第1の共通番組情報を抽出する。これら第1の共通番組情報は制御バス18を介して演算・制御装置17に取り込まれ、解析される(図19 ステップ103)。この段階で、使用者が選択した番組がこの第1のビットストリーム14に含まれていない場合は第1の手順まで戻り、ビットストリームの抽出から再度行う(ステップ104)。ここまでの手順を第2の手順とする。
【0014】
図17は第1の共通番組情報の例であり、ここではISO/IEC13818−1より規定されたMPEG−2システムのPAT(Program AssociationTable )構造をとるものとする。PATはひとつのビットストリームに対して、通常ひとつだけ伝送される共通番組情報テーブルである。図17の中でテーブル識別子21aは、この構造がPATであることを示し、放送番組番号識別子21bは各番組に割り振られた識別番号を示し、プログラムマップPID21cは、個々の番組に固有である第1の固有番組情報PMT(Program Map Table)を伝送するトランスポートパケット20aのPID20bを示している。
【0015】
通常ディジタル方式の放送では、ひとつのビットストリームの中に複数の番組が存在するため、ひとつの共通番組情報テーブルだけで全ての番組情報を伝送することは困難になっている。従って、このように共通と固有の番組情報として分割して伝送する場合が多い。演算・制御装置17は、解析した第1の共通番組情報をもとに、使用者の指定した任意の第1の番組に対応する第1の固有番組情報を伝送するトランスポートパケット20aを抽出する命令を、制御バス18を介して第1のデマルチプレクサ部15に伝える(図19 ステップ105)。ここまでの手順を第3の手順とする。
【0016】
命令を受けた第1のデマルチプレクサ部15は、第1のビットストリーム14の中から伝送されてきた各トランスポートパケット20aのPID20bを調べて、今度は使用者の指定した任意の第1の番組に対応する第1の固有番組情報を伝送するトランスポートパケット20aのPID20bと、値が一致するトランスポートパケット20aを探す(図19 ステップ106)。PID20bの値が一致するトランスポートパケット20aのペイロード20cには、図18で示されるような第1の固有番組情報が格納されている。ここまでの手順を第4の手順とする。
【0017】
図18は第1の固有番組情報の例であり、ここではISO/IEC13818−1より規定されたMPEG−2システムのPMT構造をとるものとする。PMTはひとつの番組に対して、通常ひとつだけ伝送される番組情報テーブルである。図18の中でテーブル識別子22aは、この構造がPMTであることを示し、ストリーム形式識別子22bは番組のデータストリームの形式を示し、エレメンタリーPID22cは、各々の番組構成要素を伝送するトランスポートパケット20aを識別するPID20bを示している。
【0018】
これら第1の固有番組情報は、第1のデマルチプレクサ部15によって抽出され、制御バス18を介して演算・制御装置17に取り込まれる。演算・制御装置17は、その第1の固有番組情報をもとに、使用者の指定した任意の第1の番組を伝送するトランスポートパケット20aを抽出する命令を、制御バス18を介して第1のデマルチプレクサ部15に伝える(図19 ステップ107)。ここまでの手順を第5の手順とする。
【0019】
命令を受けた第1のデマルチプレクサ部15は、第1のビットストリーム14の中から伝送されてきた各トランスポートパケット20aのPID20bを調べて、今度は使用者の指定した任意の第1の番組の構成要素を伝送するトランスポートパケット20aのPID20bと値が一致するトランスポートパケット20aを探す(図19 ステップ108)。第1の番組を伝送するトランスポートパケット20aのPID20bは、通常映像データと音声データなど、複数存在する場合が一般的である。PID20bが一致するトランスポートパケット20aのペイロード20cには、例えばISO/IEC13818−2より規定されたMPEG−2映像形式に従って符号化された映像信号や、ISO/IEC11072−3より規定されたMPEG−1音声形式等に従って符号化された音声信号などが格納されており、第1のデマルチプレクサ部15はそれらを第1のデコーダ部16に伝送し、映像信号や音声信号に再生して、表示装置10に表示する(ステップ109)。ここまでの手順を第6の手順とする。
【0020】
上記第1の手順から第6の手順に従い、映像信号や音声信号として再生された後、映像モニタやスピーカなどの表示装置10に出力され、使用者に提供される。
【0021】
また、使用者が入力装置19を使用して新しい番組を選択する命令を演算・制御装置17に入力したか否かを監視しており(ステップ110)、新しい番組選択命令が入力された場合は既に抽出・解析した第1の共通番組情報PATをもとに、その番組が現在抽出している第1のビットストリーム14に含まれるか否かを判断する(ステップ111)。新しい番組が、現在抽出している第1のビットストリーム14に含まれている場合は、第3の手順以降を繰り返すだけでよいが、含まれていない場合は、第1の手順に戻り新しいビットストリームの抽出から再度繰り返す。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
従来のピクチャー・イン・ピクチャー機能を有する放送受信機では、アナログ放送とディジタル放送の受信のいずれの場合も、その機能を実現するためにチューナや中間周波増幅部(ディジタル放送の場合はデマルチプレクサ部)、映像音声検波部(ディジタル放送の場合はデコーダ部)といった番組を受信することが可能な回路ブロックが2組用意されている。しかし、使用者が実際にピクチャー・イン・ピクチャー機能を利用する機会は、それほど多いとは言えない。放送受信機は、ピクチャー・イン・ピクチャー機能を使用しない間は、それらの回路ブロックのうち1組のみを使用して受信を行うため、放送受信機回路のコストアップに比較して、追加された回路が使用される頻度が少なく、効率の悪いものであった。
【0023】
また、従来のディジタル放送受信機は上記のように構成されているので、使用者が選択した任意の新しい番組が現在抽出している第1のビットストリームとは異なるビットストリームに含まれている場合、第1のチューナ部を制御して新たにビットストリームの抽出から行う、上記第1の手順からやり直す必要がある。第1の共通番組情報や第1の固有番組情報は、通常1秒間に数回程度しか伝送されていないため、手順を開始するタイミングによっては数十から数百ミリ秒のタイムラグを生じることもある。その場合、結果として使用者が任意の番組を選択してから実際にその番組が再生されるまでに1秒以上の時間を要し、ディジタル放送受信機の操作性を低下させるなどの問題点があった。なお一般に、使用者が任意の番組を選択してからその番組が出画するまでに0.5秒以上のタイムラグを生ずると、使用者は操作性に対してストレスを感じると言われている。
【0024】
また、使用者が任意の新しい番組を選択した後、第1のチューナ部は新しいビットストリームの抽出を開始するため、上記第1の手順から第6の手順が完了するまで、使用者に番組の再生映像や音声を何も提供できない空白の時間帯が発生してしまうなどの問題点があった。
【0025】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、第1の目的は、使用者が任意の番組を選択してから実際にその番組が再生・表示されるまでの時間を短縮し、操作性を向上させたピクチャー・イン・ピクチャー機能を有するディジタル放送受信機を得ることを目的としている。
【0026】
また、この発明の第2の目的は、現在再生している番組の直前に再生していた番組を使用者が再び選択した場合に、直前に再生していた番組が再び再生・表示されるまでの時間を短縮し、操作性を向上させたピクチャー・イン・ピクチャー機能を有するディジタル放送受信機を得ることを目的としている。
【0027】
また、この発明の第3の目的は、使用者が次に選択する任意の番組を含むビットストリームがあらかじめ予測可能な場合に、使用者が任意の番組を選択してから実際にその番組が再生・表示されるまでの時間を短縮し、操作性を向上させたピクチャー・イン・ピクチャー機能を有するディジタル放送受信機を得ることを目的としている。
【0028】
また、この発明の第4の目的は、使用者が任意の番組を選択してから実際にその番組が再生されるまでの間、選択前の番組を再生・表示して、何も表示されていない空白時間を作らないピクチャー・イン・ピクチャー機能を有するディジタル放送受信機を得ることを目的としている。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るディジタル放送受信機においては、番組選択命令を入力する入力装置と、
複数のビットストリームを有する外部入力信号から上記番組選択命令を受けた番組を含むビットストリームを抽出するチューナ部と、この抽出したビットストリームから上記番組選択命令を受けた番組およびこのビットストリームに含まれている番組群から上記番組を選択するために用いる番組情報を抽出するデマルチプレクサ部と、上記抽出された番組を復号して映像および音声信号を再生するデコーダ部とを有する第1の受信系と、上記第1の受信系と同様に構成された第2の受信系と、上記入力装置から入力された番組選択命令に従って上記第1,第2の受信系で再生された第1,第2の映像信号を重畳または選択するとともに、再生された第1,第2の音声信号を重畳または選択して表示装置に出力するミキサ部と、上記第1,第2の受信系および上記ミキサ部を制御してピクチャー・イン・ピクチャー機能を実現する演算・制御装置とを備えたディジタル放送受信機において、上記演算・制御装置が、上記第1,第2の受信系で抽出された番組情報を記憶する記憶手段を有し、上記いずれかの受信系で受信した番組を上記表示装置に表示しているときは、他の受信系で異なるビットストリームを受信してそのビットストリームの番組情報を上記記憶手段に記憶させ、上記番組選択命令が入力されたときは、まずその命令された番組の選択に必要とされる番組情報が上記記憶手段に記憶されているか否かを参照し、記憶されているときは、その番組情報を用いて、上記いずれかの受信系が、上記命令された番組およびその番組情報を含むビットストリームから、上記命令された番組を上記デマルチプレクサ部で抽出し、上記デコーダ部にて映像及び音声信号を再生して、受信番組を切り替えるように構成されたものである。
【0030】
また、演算・制御装置が、上記いずれかの受信系で受信した番組を上記表示装置に表示しているときは、直前に受信していた番組、この番組に関する番組情報のいずれか一方または双方を他の受信系で受信しておき、上記直前に受信していた番組の選択命令が入力されたときは、上記他の受信系で受信している番組に切り替えて表示するように構成されたものである。
【0031】
また、演算・制御装置が、上記いずれかの受信系で受信した番組を上記表示装置に表示しているとき、次に入力される番組選択命令で指定される番組とそのビットストリームが予測可能なときは、他の受信系でそのビットストリームを受信してそのビットストリームの番組情報を上記記憶手段に記憶させておくように構成されたものである。
【0032】
また、上記演算・制御装置が、上記いずれかの受信系で受信した番組を上記表示装置に表示しているときに番組選択命令が入力されたとき、その命令を受けた番組を他の受信系で受信して表示装置に表示されるまでの間、現在表示していた番組を表示し続けるように構成されたものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態においては、ピクチャー・イン・ピクチャー機能を実現するために用意された第1,第2の受信系を利用して、異なるビットストリームに含まれる番組情報を同時に解析可能とし、使用者が番組を選択した際に、あらかじめ解析しておいた番組情報をもとに番組を抽出する。
【0034】
また、いずれか一方の受信系で現在再生中の番組とその番組情報の抽出に使用するとともに、他方の受信系で直前に再生していた番組を抽出しておき、使用者が直前に再生していた番組を再度選択した場合に、速やかに再生できる。
【0035】
また、いずれか一方の受信系で第1の番組を再生している状態から、他方の受信系で使用者が次に選択すると予想される任意の番組を含むビットストリームとその番組情報を解析しておき、実際に使用者が予想された任意の番組を選択した際に、あらかじめ解析しておいた番組情報をもとに番組を抽出する。
【0036】
また、いずれか一方の受信系で第1の番組を再生している状態から、他方の受信系で第2の番組を再生する状態に移行する際、第2の番組が再生可能となるまで第1の番組を再生して番組抽出作業中も使用者に第1の番組を番組を提供する。
【0037】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1であるディジタル放送受信機を示すもので、図において、11はディジタル放送受信機、12はディジタル放送受信機11に外部から入力する外部入力信号、13は外部入力信号12を受信する第1のチューナ部、14は少なくとも1つ以上の番組から構成される第1の番組群と、第1の番組群に関する第1の共通番組情報と、第1の番組群に関する第1の固有番組情報とを含む第1のビットストリーム、15は第1のビットストリーム14から第1の番組と第1の共通番組情報と第1の固有番組情報とを分離し、抽出する第1のデマルチプレクサ部、16は第1のデマルチプレクサ部15により抽出された第1の番組を映像信号や音声信号に再生する第1のデコーダ部で、13〜16で第1の受信系31を構成している。
【0038】
また、23は外部入力信号12を受信する第2のチューナ部、24は少なくとも1つ以上の第2の番組群とその番組に関する第2の番組情報とを含む第2のビットストリーム、25は第2のビットストリーム24から第2の番組と第2の番組情報を抽出する第2のデマルチプレクサ部、26は第2のデマルチプレクサ部25により抽出された第2の番組を映像信号や音声信号に再生する第2のデコーダ部で、23〜26で第2の受信系32を構成している。9は第1の第1のデコーダ部16から出力された第1の番組を映像信号や音声信号と、第2のデコーダ部26から出力された第1の番組を映像信号や音声信号とを選択または重畳ミキサ部、10はモニタやスピーカなどの表示装置である。
【0039】
また、70はCPU(Central Processing Unit )やその周辺装置などにより構成される演算・制御装置で、70aは使用者が入力装置19を用いて入力した命令を監視し、命令を受け取り、その内容を解析する入力命令処理部、70bは第1のデマルチプレクサ部15などを制御バス18を介して制御したり、制御バス18を介してそれらから情報を受け取るペリフェラルインターフェイス部、70cは情報の解析、記憶や演算等を司る演算・制御部、70dは、共通番組情報や固有番組情報の内容を記憶したり解析したりすることの可能な番組情報記憶部で、ここでは演算・制御部70cの一部として構成されている。
【0040】
ここで外部入力信号12は、第1のビットストリーム14と第2のビットストリーム24から構成され、第2のビットストリーム24は、第1のビットストリーム14とは異なる番組群とその番組に関する番組情報とを含んでいるものとする。第2のチューナ部23と第2のデマルチプレクサ部25とはそれぞれ制御バス18を介して演算・制御装置70に情報を伝達したり、逆に演算・制御装置70からの命令を受け取ることができる。
【0041】
このように構成されたディジタル放送受信機においては、外部入力信号12により伝送されている異なる2つのビットストリーム、すなわち第1のビットストリーム14と第2のビットストリーム24を、第1のチューナ部13と第2のチューナ部23とでそれぞれ同時に抽出することが可能になる。また、第1のビットストリーム14と第2のビットストリーム24にはそれぞれ異なる第1と第2の共通番組情報と固有番組情報が含まれているが、第1のデマルチプレクサ部15と第2のデマルチプレクサ部25とでそれぞれ同時に抽出することが可能になる。従って、演算・制御装置70は制御バス18を介してそれら第1と第2の共通番組情報と固有番組情報を取り込み、同時に解析することができる。
【0042】
さらに、上記解析した第1と第2の共通番組情報と固有番組情報をもとにして抽出した第1と第2の番組をそれぞれ第1のデコーダ部16と第2のデコーダ部26にて同時に映像信号や音声信号等に再生し、ミキサ部9によってそれらを重畳することにより、ピクチャー・イン・ピクチャー機能を実現することができる。
【0043】
この実施の形態1は、使用者が上記ピクチャー・イン・ピクチャー機能を利用していないとき、すなわち2組用意された第1,第2の受信系31,32のうち、いずれか一方しか使用していない場合に、他方の受信系を活用することによって、ディジタル放送受信機の操作性を向上させるものである。
【0044】
ここで、第1の番組の再生中に、使用者が第1の番組と異なるビットストリームに含まれている第2の番組を選択した場合を考える。図2および図3は、この場合の演算・制御装置70の動作を示したフローチャートである。図において、ステップ101aから111aまで、およびステップ101bから111bまでは、従来例の図18における101から111までのステップと同等の動作を行う。すなわち第1のチューナ部13が、外部入力信号12から第1のビットストリーム14を抽出しており、第1のビットストリーム14には第1の共通番組情報と第1の固有番組情報と第1の番組が含まれている。ここでは従来例と同様に、第1の共通番組情報はMPEG−2のPAT構造で伝送され、第1の固有番組情報はMPEG−2のPMT構造で伝送されているものとする。
【0045】
演算・制御装置70は、第1のデマルチプレクサ部15が抽出した第1の共通番組情報PATを解析し、その解析結果をもとに第1の固有番組情報PMTを、再び第1のデマルチプレクサ部15を用いて抽出する。演算・制御装置70は、第1のデマルチプレクサ部15が抽出した第1の固有番組情報PMTを解析し、その解析結果をもとに第1のビットストリーム14から第1の番組を、再び第1のデマルチプレクサ部15を用いて抽出し、第1のデコーダ部16に伝送して再生してミキサ部9を経由して表示装置10に表示していたものとする。第1の共通番組情報PATと第1の固有番組情報PMTの中の必要な情報は演算・制御部70c内の番組情報記憶部70dに記憶されている。ここまでの動作は従来の第1の手順から第6の手順までと同様である。
【0046】
この実施の形態1においては、第6の手順の後、あらかじめ第2の共通番組情報を解析しておく(図2 ステップ112a)。第1の番組の再生中に、あらかじめ第2のチューナ部23は第2のビットストリーム24を抽出している(図3ステップ101b)。第2のビットストリーム24には第2の共通番組情報と第2の固有番組情報と第2の番組が含まれている。第2のデマルチプレクサ部25は、第2のビットストリーム24が入力されると、伝送されてきた各トランスポートパケット20aのPID20bを調べて、値が0であるようなトランスポートパケット20aを探し(図3 ステップ102b)、ペイロード20cに格納された、例えばMPEG−2のPAT構造で伝送されるような第2の共通番組情報を抽出する。
【0047】
第2のデマルチプレクサ部25は制御バス18を介して演算・制御装置70のペリフェラルインターフェイス部70bに抽出した第2の共通番組情報PATを渡す。ペリフェラルインターフェイス部70bは受け取った第2の共通番組情報PATを、演算・制御装置70の演算・制御部70cに伝達し、演算・制御部70c内の番組情報記憶部70dは第2の共通番組情報PATの中から必要な情報を記憶しておく。上記に述べたように演算・制御装置70は、第2の共通番組情報PATを取り込み解析する(図3 ステップ103b)。
【0048】
また、演算・制御装置70の入力命令処理部70aは、使用者が入力装置19を使用して新しい番組を選択する命令を伝達したか否かを常時監視している(図2 ステップ110a)。使用者からの新しい番組を選択する命令を検出した場合は、その命令情報を演算・制御部70cに伝達する。演算・制御部70cは、まず既に番組情報記憶部70dに記憶している第1の共通番組情報PATをもとに、その番組が現在抽出している第1のビットストリーム14に含まれるか否かを判断する(図2 ステップ111a)。含まれている場合は、第3の手順以降を繰り返す。
【0049】
次に第1の番組の再生中に、使用者が第2の番組を再生させる命令をディジタル放送受信機に伝送した場合を考える。第2の番組が演算・制御装置70内の番組情報記憶部70dに記憶されている第1の共通番組情報PATに記載されていない場合、演算・制御部70cは、第2の番組は現在第1のチューナ部13が抽出中の第1のビットストリーム14に含まれていないと判断する(図2 ステップ111a)。次に演算・制御装置70内の演算・制御部70cは、第3の手順と同様に第2の番組が番組情報記憶部70dに記憶されている第2の共通番組情報PATに記載されているか否かを確認する(図3 ステップ104b)。
【0050】
第2の番組が第2の共通番組情報に記載されている場合、演算・制御装置70は、その内容に従って第2の番組を抽出する命令を第2のデマルチプレクサ部25に対し、ペリフェラルインターフェイス部70bから制御バス18を介して伝送する(図3 ステップ105b)。命令を受けた第2のデマルチプレクサ部25は、第4の手順と同様に、第2のビットストリーム24の中から、例えばMPEG−2のPMT構造で伝送されるような第2の固有番組情報を抽出する(図3ステップ106b)。次に演算・制御装置70は、第5の手順と同様に、第2の固有番組情報PMTを解析する。
【0051】
第2のデマルチプレクサ部25は制御バス18を介して演算・制御装置70のペリフェラルインターフェイス部70bに抽出した第2の固有番組情報PMTを渡す。ペリフェラルインターフェイス部70bは受け取った第2の固有番組情報PMTを、演算・制御装置70の演算・制御部70cに伝達し、演算・制御部70c内の番組情報記憶部70dは第2の固有番組情報PMTの中から必要な情報を記憶しておく(図3 ステップ107b)。
【0052】
さらに第2のデマルチプレクサ部25は、第6の手順と同様に、第2のビットストリーム24の中から第2の番組を抽出する(図3 ステップ108b)。第2のデマルチプレクサ部25によって分離された第2の番組は、第2のデコーダ部26に送られ、映像信号や音声信号として再生された後、ミキサ部9を経由して映像モニタやスピーカなどの表示装置10に出力される(図3 ステップ109b)。
【0053】
また同様に、使用者が次に新しい番組を選択することに備え、第2の番組の再生中にあらかじめ第1の共通番組情報PATを抽出し、番組情報記憶部70dに記憶しておく(図3 ステップ112b)。
【0054】
上記の通り使用者による第2の番組を再生させる命令がディジタル放送受信機に伝達された時点で、第2のビットストリーム24の抽出と第2の共通番組情報が抽出され、内容が記憶されているため、第3の手順すなわち第2の固有番組情報の抽出以降から動作させればよい。従って、使用者が番組を選択してから、実際にその番組が再生されるまでに要する時間を縮小することが可能で、ディジタル放送受信機の操作性を向上させることができる。
【0055】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2であるディジタル放送受信機を示すもので、図1と同一符号はそれぞれ同一または相当部分を示している。図において、71はCPUやその周辺装置などにより構成される演算・制御装置で、71aは使用者が入力装置19を用いて入力した命令を監視し、命令を受け取り、その内容を解析する入力命令処理部、71bは第1のデマルチプレクサ部15などを制御バス18を介して制御したり、制御バス18を介してそれらから情報を受け取るペリフェラルインターフェイス部、71cは情報の解析、記憶や演算等を司る演算・制御部、71dは、共通番組情報や固有番組情報の内容を記憶したり解析したりすることの可能な番組情報記憶部で、ここでは演算・制御部71cの一部として構成されている。また、ビットストリームやそれに含まれる番組、共通/固有番組情報などの構成は実施の形態1と同様とする。
【0056】
この実施の形態2は上記実施の形態1と同様に、使用者が上記ピクチャー・イン・ピクチャー機能を利用していないとき、すなわち、2組用意された受信系のうち、いずれか一方しか使用していない場合に、他方の受信系を活用することによって、ディジタル放送受信機の操作性を向上させるものである。
【0057】
図5および図6は、この実施の形態2であるディジタル放送受信機の動作を示すフローチャートである。ステップ101aから111aまで、101bから111bまで、および101cから111cまでは、従来例の図18における101から111までのステップと同等の動作を行う。すなわち、使用者が第1の番組を選択した場合、演算・制御装置71は、まず第1のチューナー部13と第1のデマルチプレクサ部15により、第1のビットストリーム14を抽出し(図5ステップ101a)、第1の共通番組情報PATを抽出・解析した後(図5 ステップ102a、103a)、第1の番組が第1のビットストリーム14に含まれているか否かを判断する(図5 ステップ104a)。
【0058】
第1の番組が第1のビットストリーム14に含まれていれば、第1の共通番組情報PATをもとに(図5 ステップ105a)、第1の固有番組情報PMTを抽出・解析する(図5 ステップ106a、107a)。さらに、第1の固有番組情報PMTをもとに、第1のデマルチプレクサ部15およびデコーダ部16により第1の番組を抽出・再生および表示する(図5 ステップ108a、109a)。また、演算・制御装置71内の入力命令処理部71aは使用者が新しい番組を選択したか否かを監視している(図5 ステップ110a)。
【0059】
第1の番組の再生中に、使用者が第2の番組を再生させる命令をディジタル放送受信機に伝達した場合、演算・制御装置71内の演算・制御部71cは、番組が現在再生中の番組と同じストリームに含まれるか判断する(図5 ステップ111a)。含まれない場合、直前まで再生していた番組か否かを判断する(図5ステップ113a)。
【0060】
ここでは初めて使用者が番組変更をしたので、それに該当しない。従って、演算・制御部71cは、ペリフェラルインターフェイス部71bから、制御バス18を介して第2のチューナー部23と第2のデマルチプレクサ部25を制御し、第2のビットストリーム24を抽出し(図6 ステップ101b)、第2の共通番組情報PMTを抽出・解析した後(図6 ステップ102b、103b)、第2の番組が第2のビットストリーム24に含まれているか否かを判断する(図6ステップ104b)。
【0061】
第2の番組が第2のビットストリーム24に含まれていれば、第2の共通番組情報PATをもとに(図6 ステップ105b)、第2の固有番組情報PMTを抽出・解析する(図6 ステップ106b、107b)。さらに、第2の固有番組情報PMTをもとに、第2のデマルチプレクサ部25により第2の番組を抽出し(図6 ステップ108b)、抽出された第2の番組は、第2のデコーダ部26に送られ、映像信号や音声信号として再生された後、ミキサ部9を経由して映像モニタやスピーカなどの表示装置10に出力される(図6 ステップ109b)。
【0062】
第2の番組の再生を続けている間、演算・制御装置71内の入力命令処理部71aは、使用者が新たな番組を選択する命令を伝達したか否かを監視している(図6 ステップ110b)。また、演算・制御装置71内の番組情報記憶部71dには、直前まで使用されていた第1の共通番組情報PATと第1の固有番組情報PMTが記憶されており、第1のチューナー部13は第1のビットストリーム14の抽出を続け、第1のデマルチプレクサ部15は、直前に使用者が選択していた第1の番組の抽出を続けているものとする(図6 ステップ108a)。抽出された第1の番組は、第1のデコーダ部16を使用して常時映像信号や音声信号等に再生されているか、あるいは再生されることなく破棄されている。
【0063】
ここで、使用者が現在再生中の番組と異なる新しい番組を選択する命令を入力装置19を使用して伝達してきた場合(図6 ステップ110b)、演算・制御装置71は、その番組が現在再生中の番組と同じ第2のビットストリーム14に含まれるか否かを判断する(図6 ステップ111b)。その番組が、現在再生中の番組と同じ第2のビットストリーム14に含まれている場合、ステップ105bに戻り、第2のチューナー部23と第2のデマルチプレクサ部25によって抽出し、番組情報記憶部71dに記憶されている第2の共通番組情報PATをもとに再度番組の抽出を行う。
【0064】
その番組が現在再生中の番組と同じ第2のビットストリーム14に含まれない場合、次に演算・制御装置71はそれが直前に選択していた番組であるか否かを判断する(図6 ステップ113b)。使用者が選択した番組が、直前に再生していた第1の番組でない場合は、ステップ105aに戻り、第1のチューナー部13と第1のデマルチプレクサ部15によって抽出し、番組情報記憶部71dに記憶されている第1の共通番組情報PATをもとに、第1のビットストリーム14から番組の抽出を行う。
【0065】
なお、この実施の形態2では、外部入力信号12が第1のビットストリームと第2のビットストリームから構成されているが、外部入力信号12が3つ以上のビットストリームから構成されている場合は、ステップ101aまたはステップ101bに戻りビットストリームの抽出から再度行ってもよい。
【0066】
一方、使用者が選択した番組が直前に再生していた第1の番組、すなわち第1の受信系31によって抽出を続けている番組であった場合、演算・制御部71cはステップ108aに移行し、第1の受信系31が抽出していた第1の番組を第1のデコーダ部16に伝送し再生するように、制御バス18を介して制御を行う。既に第1のデコーダ部16によって再生されている場合は、ミキサ部9を制御して第1の番組を表示装置10に出力する。
【0067】
第1の番組の再生を続けている間、再び演算・制御装置71内の入力命令処理部71aは、使用者が新たな番組を選択する命令を伝達したか否かを監視している(図5 ステップ110a)。また、演算・制御装置71内の番組情報記憶部71dには、直前まで使用されていた第2の共通番組情報PATと第2の固有番組情報PMTが記憶されており、第2のチューナー部23は第2のビットストリーム24の抽出を続け、第2のデマルチプレクサ部25は、直前に使用者が選択していた第2の番組の抽出を続けている。もう一度使用者が、直前に再生していた第2の番組を選択した場合も、上記と同様の動作を繰り返す。
【0068】
上記のように、この実施の形態2によれば、使用者が直前に再生していた番組を再度選択した場合に、使用者の希望する番組を再生するまでの時間を短縮することができる。実使用においては、使用者が、直前に再生していた番組を再度選択するような番組選択を行う頻度は比較的高いため、ディジタル放送受信機の操作性が向上する。
【0069】
実施の形態3.
上記実施の形態1,2では外部入力信号12が、2つの異なるディジタルビットストリーム、第1のビットストリームと第2のビットストリームから構成されているものとした。つまり受信系の数を、あらかじめ外部入力信号12を構成するビットストリーム数と同じ数用意していたため、比較的容易にディジタル放送受信機の操作性を向上させることができた。しかし、実際のディジタル衛星放送などにおいては、外部入力信号12はより多くのビットストリームから構成されている場合が多い。ここでは、例えば外部入力信号12が、3つの異なるディジタルビットストリーム、第1,第2および第3のビットストリームから構成されており、受信系の数は、最低限ピクチャー・イン・ピクチャー機能を実現することの可能な2組しか用意されていない場合を考える。
【0070】
この実施の形態3は、使用者が上記ピクチャー・イン・ピクチャー機能を利用していないとき、すなわち2組用意された受信系のうち、いずれか一方しか使用していない場合に、使用者が第3のビットストリームの番組の再生表示を命令したとき、他方の受信系を活用して表示することで、ディジタル放送受信機の操作性を向上させるものである。
【0071】
図7はこの発明の実施の形態3であるディジタル放送受信機を示すもので、図1と同一符号はそれぞれ同一または相当部分を示している。図において、72はCPUやその周辺装置などにより構成される演算・制御装置で、72aは使用者が入力装置19を用いて入力した命令を監視し、命令を受け取り、その内容を解析する入力命令処理部、72bは第1のデマルチプレクサ部15などを制御バス18を介して制御したり、制御バス18を介してそれらから情報を受け取るペリフェラルインターフェイス部、72cは情報の解析、記憶や演算等を司る演算・制御部、72dは、共通番組情報や固有番組情報の内容を記憶したり解析したりすることの可能な番組情報記憶部で、ここでは演算・制御部72cの一部として構成されている。
【0072】
図8,図9および図10は、この実施の形態3であるディジタル放送受信機の動作を表すフローチャートである。図において、ステップ101aから111a、101bから111bおよび101cから111cまでは、従来例の図18における101から111までのステップと同等の動作を行う。すなわち、使用者が第1の番組を選択した場合、演算・制御装置72は、まず第1の受信系31により、第1のビットストリーム14を抽出し(図8 ステップ101a)、第1の共通番組情報PATを抽出・解析した後(図8 ステップ102a、103a)、第1の番組が第1のビットストリーム14に含まれているか否かを判断する(図8 ステップ104a)。
【0073】
第1の番組が第1のビットストリーム14に含まれていれば、第1の共通番組情報PATをもとに(図8 ステップ105a)、第1の固有番組情報PMTを抽出・解析する(図8 ステップ106a、107a)。さらに、第1の固有番組情報PMTをもとに、第1のデマルチプレクサ部15および第1のデコーダ部16により第1の番組を抽出・再生および表示する(図8 ステップ108a、109a)。また、演算・制御装置72内の入力命令処理部72aは使用者が新しい番組を選択したか否かを監視している(図8 ステップ110a)。
【0074】
第1の番組を再生している間に、あらかじめ第2の受信系32により、第1のビットストリーム15から第2の共通番組情報PATを抽出・解析して、演算・制御装置72内の番組情報記憶部72dに記憶しておく(図8 ステップ112a)。また、使用者が新たな番組を選択する命令を伝達したか否かを監視している演算・制御装置72内の入力命令処理部72aが命令を検出した際、新しい番組が現在抽出している第1のビットストリーム14に含まれていれば、ステップ105aに戻り第1の固有番組情報の抽出・解析から再度行う(図8 ステップ111a)。
【0075】
新しい番組が現在抽出している第1のビットストリーム14に含まれてない場合、あらかじめ抽出しておいた第2の共通番組情報PATをもとに、その新しい番組が第2のビットストリーム24に含まれるか否かを判断する(図9 ステップ104b)。その番組が第2のビットストリーム24に含まれている場合は、上記第1の番組を再生した手順と同様の手順に従って番組を再生・表示する(図9 ステップ105bから109b)。
【0076】
新しい番組が第2のビットストリーム24にも含まれていない場合、演算・制御装置72内の演算・制御部72cは速やかに第3のビットストリームの抽出を開始し(図10 ステップ101c)、第3の共通番組情報PATの抽出と解析に取りかかるようにペリフェラルインターフェイス部72bから制御バス18を介してチューナとデマルチプレクサを制御する(図10 ステップ102c、103c)。
【0077】
第3のビットストリームの抽出と第3の共通番組情報PATの抽出には、第1の受信系31または第2の受信系32の何れの組を用いても構わない。演算・制御装置72は、第3の共通番組情報を抽出した後、その新しい番組が第3のビットストリームに含まれるか否かを判断する。以降は上記と同様の動作を、その番組を含むストリームが発見されるまで繰り返す。
【0078】
上述したように、この実施の形態3では、使用者が次に選択する番組が含まれるストリームがあらかじめ予測可能な場合には番組を選択してから再生されるまでの時間を短縮することが可能になる。一方で使用者が次に選択する番組が含まれるストリームが予測不可能な場合には、効果を得ることができない。しかしディジタル放送受信機の実使用においては、番組を順送りにする場合など、あらかじめ次に選択する番組が含まれるストリームが予測可能な場合が多く、総合的にはディジタル放送受信機の操作性を向上させることができる。
【0079】
また、上記実施の形態3では、使用者が新しい番組を選択するまでに、ある1つのビットストリームに含まれる1つの番組共通情報PATしか抽出していない。そこで使用者が新しい番組を選択するまでに、あるビットストリームとそれに含まれる番組共通情報PATを抽出し、抽出した番組共通情報PATを演算・制御装置72内の番組情報記憶部72bに記憶し、続いて異なるビットストリームとそれに含まれる番組共通情報PATを抽出し、番組共通情報PATを番組情報記憶部72bに記憶するといった手順を複数回繰り返すことによって、複数のビットストリームの番組共通情報PATを記憶しておき、その情報を元に、使用者が選択した新しい番組がどのビットストリームに含まれるかを判断すれば、使用者が番組を選択してから再生されるまでの時間を短縮することがより確実に可能となり、操作性のよいディジタル放送受信機を得ることができる。
【0080】
実施の形態4.
図11は、この発明の実施の形態4であるディジタル放送受信機を示すブロック図で、図1と同一符号はそれぞれ同一または相当部分を示している。図において、73はCPUやその周辺装置などにより構成される演算・制御装置で、73aは使用者が入力装置19を用いて入力した命令を監視し、命令を受け取り、その内容を解析する入力命令処理部、73bは第1のデマルチプレクサ部15などを制御バス18を介して制御したり、制御バス18を介してそれらから情報を受け取るペリフェラルインターフェイス部、73cは情報の解析、記憶や演算等を司る演算・制御部、73dは共通番組情報や固有番組情報の内容を記憶したり解析したりすることの可能な番組情報記憶部で、ここでは演算・制御部73cの一部として構成されている。27はミキサ部で、制御バス18を介して演算・制御装置73から制御される。
【0081】
この実施の形態4は、使用者が上記ピクチャー・イン・ピクチャー機能を利用していないとき、すなわち2組用意された受信系のうち、いずれか一方しか使用していない場合に、他方の受信系を活用することによって、ディジタル放送受信機の操作性を向上させるものである。
【0082】
次に動作について説明する。図12および図13は、この実施の形態4であるディジタル放送受信機の動作例を示したフローチャートである。ステップ101aから111a、101bから111bおよび101cから111cまでは、従来例の図18における101から111までのステップと同等の動作を行う。すなわち、使用者が第1の番組を選択した場合、演算・制御装置73は、まず第1の受信系31により、第1のビットストリーム14を抽出し(図12 ステップ101a)、第1の共通番組情報PATを抽出・解析した後(図12 ステップ102a、103a)、第1の番組が第1のビットストリーム14に含まれているか否かを判断する(図12 ステップ104a)。
【0083】
第1の番組が第1のビットストリーム14に含まれていれば、第1の共通番組情報PATをもとに(図12 ステップ105a)、第1の固有番組情報PMTを抽出・解析する(図12 ステップ106a、107a)さらに、第1の固有番組情報PMTをもとに、第1のデマルチプレクサ部15により第1の番組を抽出する(図12 ステップ108a)。演算・制御装置73は、第1の番組の抽出が開始され、第1のデコーダ部16によって入力された第1の番組が映像信号や音声信号に再生された後(図12 ステップ109a1)、表示装置10に伝送するように、制御バス18を介してミキサ部27を制御する(図12 ステップ114a)。表示装置10は、映像信号や音声信号に再生された第1の番組を表示する(図12 ステップ109a2)。
【0084】
なお、第1の番組を再生・表示するステップ109aは、ミキサ部27を制御するステップ114aをはさんで2つの手順に分割されている。また、演算・制御装置73内の入力命令処理部73aは使用者が新しい番組を選択したか否かを監視している(図12 ステップ110a)。
【0085】
第1の番組の再生中に、使用者が入力装置19を用いて第2の番組を再生させる命令を伝達した場合、第1の番組の再生・表示を続けた状態で、演算・制御装置73内の演算・制御部73cは、まず第1の番組共通情報PATを参照して、第2の番組が現在再生中の番組と同じ第1のビットストリーム14に含まれるか否かを判断する(図12 ステップ111a)。
【0086】
同じストリームに含まれない場合、演算・制御部73cは、ペリフェラルインターフェイス部73bから制御バス18を介して、第2のチューナー部23と第2のデマルチプレクサ部25を制御し、第2のビットストリーム24を抽出させ(図13 ステップ101b)、さらに第2の共通番組情報PATを抽出した後(図13 ステップ102b、103b)、第2の番組が第2のビットストリーム24に含まれているか否かを判断する(図13 ステップ104b)。第2の番組が第2のビットストリーム24に含まれていれば、演算・制御部73cは、第2の共通番組情報PATをもとに(図13 ステップ105b)、第2の固有番組情報PMTを抽出するように制御を行う(図13 ステップ106b、107b)。
【0087】
さらに演算・制御部73cは、第2の固有番組情報PMTをもとに、第2の番組を抽出するように第2のデマルチプレクサ部25を制御する(図13 ステップ108b)。演算・制御部73cは、第2の番組の抽出が開始され、第2のデコーダ部26によって入力された第2の番組が映像信号や音声信号に再生された後(図13 ステップ109b1)、ペリフェラルインターフェイス73bから制御バス18を介してミキサ部27を制御し(図13 ステップ114b)、表示装置10に伝送して第2の番組を表示する(図13 ステップ109b2)。なお、第2の番組を再生・表示するステップ109bは、ミキサ部27を制御するステップ114bをはさんで2つの手順に分割されている。
【0088】
以上述べたように、第2の番組の抽出または再生が開始されるまでは第1の番組を表示し、第2の番組の再生が開始された後にミキサ部27から第2の番組が出力されるため、第2の番組が再生可能になるまで、第1の番組を使用者に提供することが可能となる。従って使用者に番組を提供できない番組抽出準備期間中の空白時間を無くすことができるので、操作性のよいディジタル放送受信機を得ることができる。
【0089】
なお、この実施の形態4では、2組用意された受信系のうち、いずれか一方しか使用していない場合について説明したが、実施の形態1〜3のように、再生中でない方の受信系で他の番組を抽出している場合に、使用者がその抽出している番組と異なる番組を選択した場合にも同様に適用することで番組抽出準備期間中の空白時間を無くすことができる。
【0090】
さらに具体的には、使用者が任意の番組を選択してから実際にその番組が再生されるまでの時間を決定する要因としては、ビットストリームのチューニングに要する時間、ヘッダー検出等のデマルチプレクスに要する時間、さらに共通番組情報と固有番組情報といった2つのテーブルを獲得する時間、およびデコードに要する時間などがあるが、この中で最も大きな比重を占めるのが2つのテーブルを獲得するために要する時間である。各番組情報テーブルの伝送頻度が1秒当たり5回であったとしても、最悪約400ミリ秒の獲得時間を要する。
しかし、この上記各実施の形態によれば、共通番組情報の獲得時間を省略することによりテーブルの獲得時間を約200ミリ秒まで短縮することが可能で、他の要因を加味しても約500ミリ秒以内に抑えることが可能で、実使用上において操作性が向上する。
【0091】
なお、元来ピクチャー・イン・ピクチャー機能を有するディジタル放送受信機には、2つの映像を同時に受信可能とするために2組以上の受信系が用意されている場合が一般的であり、この発明においては、それらの受信系を利用するため、ディジタル放送受信機のコストアップは生じない。
【0092】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0093】
ある番組を再生している状態から、使用者が選択した任意の番組を再生する際、速やかに新たなビットストリームの番組情報を参照して目的の番組を抽出することができるので、使用者が任意の番組を選択してから実際にその番組が再生表示されるまでの時間の短い操作性のよいディジタル放送受信機が得られる。
【0094】
また、ある番組を再生している状態から、使用者が直前に再生していた番組を選択した際、速やかに直前に再生していた番組を表示できる操作性のよいディジタル放送受信機が得られる。
【0095】
また、ある番組を再生している状態で、次に再生すべき番組とビットストリームが予測可能な場合において、あらかじめ次の予測されたビットストリームの番組情報を抽出しておくことにより、使用者がその番組を選択したとき短時間で表示できる操作性のよいディジタル放送受信機が得られる。
【0096】
さらに、ある番組を再生している状態から、使用者が選択した任意の番組を再生する際、次の番組が再生可能となるまで、現在の番組を表示するので、番組切換時の何も表示されない空白時間を無くした操作性のよいディジタル放送受信機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示すディジタル放送受信機のブロック図である。
【図2】 実施の形態1の動作を表すフローチャートである。
【図3】 実施の形態1の動作を表すフローチャートである。
【図4】 この発明の実施の形態2を示すディジタル放送受信機のブロック図である。
【図5】 実施の形態2の動作を表すフローチャートである。
【図6】 実施の形態2の動作を表すフローチャートである。
【図7】 この発明の実施の形態3を示すディジタル放送受信機のブロック図である。
【図8】 実施の形態3の動作を表すフローチャートである。
【図9】 実施の形態3の動作を表すフローチャートである。
【図10】 実施の形態3の動作を表すフローチャートである。
【図11】 この発明の実施の形態4を示すディジタル放送受信機のブロック図である。
【図12】 実施の形態4の動作を表すフローチャートである。
【図13】 実施の形態4の動作を表すフローチャートである。
【図14】 従来のピクチャー・イン・ピクチャー機能を有するアナログ放送受信機のブロック図である。
【図15】 従来のディジタル放送受信機のブロック図である。
【図16】 従来のディジタル放送受信機のビットストリーム構造図である。
【図17】 従来のディジタル放送受信機の共通番組情報を表す構造図である。
【図18】 従来のディジタル放送受信機の固有番組情報を表す構造図である。
【図19】 従来のディジタル放送受信機の動作を表すフローチャートである。
【符号の説明】
9 ミキサ部、10 表示装置、11 ディジタル放送受信機、12 外部入力信号、13 第1のチューナー部、14 第1のビットストリーム、15 第1のデマルチプレクサ部、16 第1のデコーダ部、17 演算・制御装置、18 制御バス、19 入力装置、20a トランスポートパケット、20bPID(Packet IDentification)、20c ペイロード、21a PATのテーブル識別子、21b PATの放送番組番号識別子、21c PATのプログラムマップPID、22a PMTのテーブル識別子、22b PMTのストリーム形式識別子、22c PMTのエレメンタリーPID、23 第2のチューナー部、24 第2のビットストリーム、25 第2のデマルチプレクサ部、26 第2のデコーダ部、27 ミキサ部、31 第1の受信系、32 第2の受信系、70,71,72,73 演算・制御装置、70a,71a,72a,73a 入力命令処理部、70b,71b,72b,72b ペリフェラルインターフェイス部、70c,71c,72c,73c 演算・制御部、70d,71d,72d,73d 番組情報記憶部。
Claims (4)
- 番組選択命令を入力する入力装置と、
複数のビットストリームを有する外部入力信号から上記番組選択命令を受けた番組を含むビットストリームを抽出するチューナ部と、この抽出したビットストリームから上記番組選択命令を受けた番組およびこのビットストリームに含まれている番組群から上記番組を選択するために用いる番組情報を抽出するデマルチプレクサ部と、上記抽出された番組を復号して映像および音声信号を再生するデコーダ部とを有する第1の受信系と、
上記第1の受信系と同様に構成された第2の受信系と、
上記入力装置から入力された番組選択命令に従って上記第1,第2の受信系で再生された第1,第2の映像信号を重畳または選択するとともに、再生された第1,第2の音声信号を重畳または選択して表示装置に出力するミキサ部と、
上記第1,第2の受信系および上記ミキサ部を制御してピクチャー・イン・ピクチャー機能を実現する演算・制御装置とを備えたディジタル放送受信機において、
上記演算・制御装置が、上記第1,第2の受信系で抽出された番組情報を記憶する記憶手段を有し、上記いずれかの受信系で受信した番組を上記表示装置に表示しているときは、他の受信系で異なるビットストリームを受信してそのビットストリームの番組情報を上記記憶手段に記憶させ、上記番組選択命令が入力されたときは、まずその命令された番組の選択に必要とされる番組情報が上記記憶手段に記憶されているか否かを参照し、記憶されているときは、その番組情報を用いて、上記いずれかの受信系が、上記命令された番組およびその番組情報を含むビットストリームから、上記命令された番組を上記デマルチプレクサ部で抽出し、上記デコーダ部にて映像及び音声信号を再生して、受信番組を切り替えるように構成されていることを特徴とするディジタル放送受信機。 - 上記演算・制御装置が、上記いずれかの受信系で受信した番組を上記表示装置に表示しているときは、直前に受信していた番組、この番組に関する番組情報のいずれか一方または双方を他の受信系で受信しておき、上記直前に受信していた番組の選択命令が入力されたときは、上記他の受信系で受信している番組に切り替えて表示するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のディジタル放送受信機。
- 上記演算・制御装置が、上記いずれかの受信系で受信した番組を上記表示装置に表示しているとき、次に入力される番組選択命令で指定される番組とそのビットストリームが予測可能なときは、他の受信系でそのビットストリームを受信してそのビットストリームの番組情報を上記記憶手段に記憶させておくように構成されていることを特徴とする請求項1記載のディジタル放送受信機。
- 上記演算・制御装置が、上記いずれかの受信系で受信した番組を上記表示装置に表示しているときに番組選択命令が入力されたとき、その命令を受けた番組を他の受信系で受信して表示装置に表示されるまでの間、現在表示していた番組を表示し続けるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のディジタル放送受信機。
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