JP3909571B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体組織を画像化する磁気共鳴イメージング装置に係り、特に高速スピンエコー法のスライス方向流れアーチファクトの補正方式に改良を加えた磁気共鳴イメージング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気共鳴イメージング(MRI)装置は、核磁気共鳴現象を利用して被検体内を画像化するもので、被検体の断面画像が得られる他に、被検体内の血管の映像も鮮明に得られるようになったことに加え、各種の高速計測法が開発されたことも相まって、医療用画像診断機器としての有用性が認知されている。
【0003】
磁気共鳴イメージング装置が今日のような普及をもたらすに至った礎は、二次元フーリエ変換イメージング法が案出されたことにある。二次元フーリエ変換イメージング法の最も代表的なものが、スピンエコー法と称されているものである。このスピンエコー法は、被検体の検査断面部位の核スピンを90°,180°の高周波磁場パルス(RFパルス)で励起・反転するとともに、励起された核スピンへ位相情報と周波数情報を与えて、NMR信号を計測し、この一連の操作を位相情報の付与を変えつつ複数回実行することにより1枚の画像を得るものである。
【0004】
図1は、この二次元フーリエ変換イメージング法のうち、代表的なスピンエコー法の模式的なパルスシーケンスを示す。このパルスシーケンスでは、まず図1(f)に示す区間P1において、同図(a)に示すように、スライス方向傾斜磁場30を印加すると共に90°パルス28を印加して、被検体内の所望スライス面内の核スピンを静磁場の方向(Z方向)から90°励起する。その後、エコー時間TEとしたときのTE/2時間経過後に、区間P3においてスライス方向傾斜磁場30と180°パルス29を印加する。90°パルス28が回転座標系(x’y’z系)のx’軸方向に沿って加えられることによって、各スピンはそれぞれに固有の速度で静止座標系(xyz系)のx−y面内で回転を始めるが、時間の経過とともに各スピン間に位相差が生じる。ここで、区間P3において180°パルス29がy’軸方向に沿って加わると、各スピンはy’軸について対称に反転し、その後も同じ速度で回転を続けるためにエコー時間TE経過後の区間P4において再び収束し、図1(e)に示すように、エコー信号35を発生する。
【0005】
図2は、マルチエコー計測のパルスシーケンスの模式図を示す。このマルチエコー計測では、図2(a)に示すように、図1の180°パルス291〜294を図示のようにTE時間毎に複数回印加し、時刻2TE,3TE,4TEでも核スピンを収束させて、図2(e)に示すように、複数のエコー信号351〜354を計測するものである。
【0006】
このようにしてエコー信号351〜354が計測されるので、これに基づいて断層像を構成するためにはエコー信号351〜354の空間的な分布を求めなければならない。空間的な分布を求めるためには、線形的な傾斜磁場を用いている。これは、均一な静磁場内に傾斜磁場を重畳することによって空間的な磁場勾配を形成している。このとき、核スピンの回転周波数は磁場強度に比例しているので、この傾斜磁場が加わった状態では、各スピンの回転周波数は空間的に異なることになる。従って、この回転周波数を調べることによって各スピンの位置を知ることができる。この各スピンの位置を知るために、図1及び図2において、位相エンコード方向傾斜磁場31及び周波数エンコード方向傾斜磁場33、341〜344が用いられている。なお、周波数エンコード方向傾斜磁場33は、エコー信号35において計測される核スピンの位相が信号収集の中心で収束するように予め分散させておくために印加されるものである。
【0007】
以上に述べたパルスシーケンスを基本単位として、位相エンコード方向傾斜磁場31の強度を毎回変えながら、一定の繰り返し時間(TR)ごとに所定回数、例えば256回繰り返す。このようにして計測されたエコー信号351〜354を二次元逆フーリエ変換することにより、巨視的磁化の空間的分布が求められる。なお、このようなMRI基本原理に関しては、「NMR医学」(基礎と臨床)(核磁気共鳴医学研究会編,丸善株式会社,昭和59年1月20日発行)に詳述されている。
【0008】
図3は、高速スピンエコー法のパルスシーケンスの模式図を示す。高速スピンエコー法は、上述のマルチエコー計測の各エコーを生データのk空間上に振り分けることにより、撮像時間を短縮する手法である。同図において、高速スピンエコー法は、マルチエコー計測のように180°パルス291〜294を複数回かけることにより行う。そして、各エコー信号351〜354の計測毎に位相エンコード方向に所定の傾斜磁場321〜324を所定の時間印加することにより、各エコー信号351〜354を生データ空間上の位相エンコード方向(ky方向)に振り分けるようになっている。これによって、撮像時間が短縮される。振り分け方は、使用するエコー数、及び画質を決定する実効エコー時間TEeffにより決められる。その決め方は、k空間の直流部分(中央付近)を所望のTEeffのデータとし、その隣接する部分は、隣接するエコー番号のデータとしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述の方法にてMRI画像を撮影した場合、イメージング対象である核スピンがスライス方向に運動することによって、再構成された画像にアーチファクト(偽像)が生じることがある。このような運動は、例えば、脳脊髄液(CSF)の拍動及び血流の結果としてスキャン中に生じることがある。あるいは、このような運動はスキャン中の患者の呼吸によって生じることもある。核スピンがスライス方向に運動することによって、取得されたエコー信号に位相誤差が導入されることがあり、その結果再構成された画像で関心領域のSNR(Signal to Noise Ratio)が低下したり、ゴーストやぼけが生じたりすることがある。このような、画像誤差を運動アーチファクト(motion artifact)と言う。この運動アーチファクトは、特にカー・パーセル・メイブーム・ギル(Carr−Purce11−Meiboom−Gi11)パルス系列(以下「CPMGパルス系列」とする)で顕著に現れる。
【0010】
MRI画像の運動アーチファクトを減らすための一つの方法は、例えば、特開平6−22919号公報の「高速スピンエコーNMRパルス系列での勾配モーメントナリング法」に開示されている。この方法では、パルス系列に傾斜磁場パルスを付加することにより運動する核スピンが磁気共鳴信号位相に及ぼす影響を相殺している。スライス方向の流れ補正法としては、スライス方向に一定の印加時間で−1:1:1:−1の強度比の傾斜磁場パルスを印加する方法や、スライス方向に同じく一定の印加時間で1:−2:1:1:−2:1の強度比の傾斜磁場パルスを印加する方法がある。
【0011】
しかしながら、このようなスライス方向に−1:1:1:−1や1:−2:1:l:−2:1の強度比の傾斜磁場パルスを用いる方法は、運動する核スピンのスライス方向の傾斜磁場による位相変化の速度項を再収束パルスの中心で零にすることができるが、核スピンの位相変化における加速度項を補償することはできなかった。脳脊髄液(CSF)の拍動や血流などのような生体内の流れは等速度の流れではないため、これらの方法では核スピンの運動、特に加速度によって生じる画像のアーチファクトを十分に抑制することはできなかった。また、l:−2:1:l:−2:lの強度比の傾斜磁場パルスを使用する方法は−1:1:1:−1の強度比の傾斜磁場パルスを使用する方法に比べて、パルス印加時間が長いために読み出し時間を減少させ、再構成した画像のSNRを低下させてしまうという問題もあった。
【0012】
本発明の目的は、高速スピンエコー法のスキャン中に運動する核スピンがスライス方向の速度成分と加速度成分を持つ場合に生じる画像アーチファクトを抑制することのできる磁気共鳴イメージング装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気共鳴イメージング装置の第1の特徴は、被検体に静磁場及び傾斜磁場を与える磁場発生手段と、上記被検体を構成する原子の核スピンに核磁気共鳴を起こさせるために高周波パルスを照射する送信系と、核磁気共鳴により放出されるエコー信号を検出する受信系と、この受信系で検出したエコー信号を用いて画像再構成演算を行う信号処理系とを備えた磁気共鳴イメージング装置において、前記磁場発生手段が、再収束用高周波パルスの中心(ピーク)位置に関して、互いに軸対称な2つの双極性スライス傾斜磁場を印加することにある。この発明は、パルス系列のスライス方向に傾斜磁場パルスを付加し、スライス方向に運動する核スピンの位相変化の速度項と加速度項を取得するエコー信号の中心で補償するものである。傾斜磁場パルスは、それぞれの印加時間τが同一で符号付き強度比は再収束用高周波パルス(RF再収束パルス)を中心(ピーク)位置として、互いに軸対称(左右対称)な2つの双極性スライス傾斜磁場である。
【0014】
本発明の磁気共鳴イメージング装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記磁場発生手段が、前記双極性スライス傾斜磁場として、それぞれの印加時間が同一で強度比が−1:3:3:−1の連続する4個のパルスからなるスライスリフェイズパルスを印加することにある。この発明は、パルス系列のスライス方向に傾斜磁場パルスを付加し、スライス方向に運動する核スピンの位相変化の速度項と加速度項を取得するエコー信号の中心で補償するものである。付加された傾斜磁場パルスとスライス選択傾斜磁場パルスは、図4に示すように4個の傾斜磁場パルス41 42、43、44が連続して印加されたものと考えることができ、それぞれの傾斜磁場パルスの印加時間τは同一で符号付き強度比は−1:3:3:−1となっており、再収束用の高周波パルス(RF再収束パルス)40を中心として左右対称な形状である。以下、これらの4個の連続して印加される傾斜磁場パルス群45がスライスリフェイズパルスである。このスライスリフェイズパルス45は、RF再収束パルス40により核スピンの位相(の符号)が反転するため、その強度比は、−1:3:−3:1となり、スライスリフェイズパルス45の傾斜磁場パルス43,44が反転した形状となる。それぞれ同一の印加時間で、−1:3:−3:lの強度比の傾斜磁場パルスを連続して印加することによって、運動する核スピンの傾斜磁場パルスによる位相変化の加速度項を補償することができることは、例えば、「MRI「再」入門」(荒木力著南江堂p.234)などに記載されている。本発明はこのような現象を前述のスライスリフェイズパルス45とRF再収束パルス40とによって形成することを見いだし、それをパルスシーケンスに応用したものである。
【0015】
スライスリフェイズパルスの印加前後での核スピンの位相変化φは下に示した式(1)のようになる。
Figure 0003909571
ここで、γは核磁気共鳴比、tは時間、G(t)はスライス方向の傾斜磁場強度、zは核スピンの初期位置、vは核スピンの速度のスライス方向成分、aは核スピンの加速度のスライス方向成分を示す。
【0016】
特に、核スピンの速度のスライス方向成分vは励起された核スピンがt=t0 +2τの時点で一定のスライス厚を持つスライス面から流れにより抜け出てしまう割合が大きくない程度と仮定し、核スピンの加速度のスライス方向成分aも同様に仮定する。図4に示すように、核スピンの位相変化において速度項46は、t2 に従って変化し加速度項47はt3 に従って変化する。t=t0 +2τでRF再収束パルス40が印加されるため、上で述べたように核スピンの位相は符号が反転する。この点に注意して式(1)を計算すると、核スピンの位相変化は速度項と加速度項共にt=t0 +4τで零となりφ=0となる。即ち、スライス選択傾斜磁場をスライスリフェイズパルスに変更することにより、核スピンの運動においてスライス方向の傾斜磁場パルスにより生じる位相変化の速度項と加速度項はスライスリフェイズパルスの場合共に補償される。以上説明したように本発明の磁気共鳴イメージング装置によれば、CPMGパルス系列でスライス方向の傾斜磁場パルスの印加時間を−1:l:1:−1の強度比の傾斜磁場パルスの場合と比べて延長することなく、スライス方向に運動する核スピンの位相変化の速度項と加速度項を取得するエコー中心で補償することができる。
【0017】
本発明の磁気共鳴イメージング装置の第3の特徴は、前記第2の特徴に記載の磁気共鳴イメージング装置において、関心がある領域の核スピンに印加する前記再収束用高周波パルス及びそれに伴いスライス方向に印加される前記スライスリフェズパルスを連続的に複数印加し、それらに対応する横磁化を再収束させて複数のエコー信号を生じさせるようにしたものである。これは、RF再収束パルスを複数にしそれに伴い傾斜磁場パルスの印加方法も変更することによりパルス系列を高速スピンエコー法としたものである。運動する核スピンの速度のスライス方向成分は、励起された核スピンのうち実効的エコー時間TEeff(位相エンコード傾斜磁場パルスの大きさが零の場合のエコー時間)の時点で一定のスライス厚を持つスライス面から流れにより抜け出てしまう核スピンの割合が大きくない程度と仮定できる。核スピンの加速度も同様に仮定することができる。これによって、高速スピンエコー法の場合にもスライス方向に運動する核スピンの位相変化の速度項と加速度項を取得するエコー中心で補償することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の好ましい実施の形態について説明する。図5は、本発明による磁気共鳴イメージング装置の全体構成を示すブロック図である。この磁気共鳴イメージング装置は、図示のように、中央処理装置(CPU)1と、シーケンサ2と、送信系3と、磁場発生系4と、受信系5と、信号処理系6とを備えて構成されている。
【0019】
CPU1は、予め定められたプログラムに従って、シーケンサ2、送信系3、受信系5、信号処理系6の各々を制御するものであり、シーケンサ2は、CPU1からの制御指令に基づいて動作し、被検体7の断層画像のデータ収集に必要な種々の命令を送信系3、磁場発生系4及び受信系5に出力するものである。
【0020】
シーケンサ2は、被検体7の生体組織を構成する原子の原子核に核磁気共鳴を起こさせる高周波磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し印加する制御手段であり、CPU1の制御の下で動作し、被検体7の断層像のデータ収集に必要な種々の命令を送信系3、磁場発生系4及び受信系5に出力する。
【0021】
送信系3は、シーケンサ2から送出される高周波磁場パルスにより被検体1の生体組織を構成する原子の原子核に核磁気共鳴を起こさせるために高周波パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し照射するものであり、高周波発信器8と変調器9と高周波コイルとしての照射コイル11とを有している。送信系3は、シーケンサ2の指令に基づいて高周波発信器8から出力される高周波パルスを変調器9で振幅変調し、この振幅変調された高周波パルスを高周波増幅器10によって増幅した後に被検体7に近接した配置された照射コイル11に供給し、所定のパルス状の電磁波を被検体7に照射するものである。
【0022】
磁場発生系4は、被検体7の回りにその体軸方向または体軸と直交する方向に均一な静磁場を発生させるものであり、被検体1の周りのある広がりをもった空間に永久磁石方式又は常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生磁石(図示せず)を有している。この静磁場発生磁石の内部には、照射コイル11の他に、傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイル13と、受信系5の受信コイル14が設置されている。傾斜磁場発生系21は、互いに直交するデカルト座標軸方向にそれぞれ独立にスライス方向傾斜磁場、位相方向傾斜磁場、周波数方向傾斜磁場を被検体1に印加できる構成を有する傾斜磁場コイル13と傾斜磁場コイルに電流を供給する傾斜磁場電源12とから構成されている。傾斜磁場電源12は、シーケンサ2によって制御される。この傾斜磁場の印加によって、被検体1に対するスライス面を設定することができる。
【0023】
受信系5は、被検体1の生体組織の原子核の核磁気共鳴により放出されるエコー信号(NMR信号)を検出するものであり、高周波コイルとしての受信コイル14と、この受信コイル14によって受信された信号を増幅する増幅器15と、直交位相検波器16と、A/D変換器17とを有している。受信系5は、送信側の照射コイル11から照射された電磁波によって被検体7から発生された電磁波(NMR信号)を被検体1に近接して配置された受信コイル14で検出すると、その信号を増幅器15、直交位相検波器16及びA/D変換器17を介し所定のデジタル量に変換するとともに、シーケンサ2からの指令によるタイミングで直交位相検波器16によってサンプリングされた二系列の収集データに変換してCPU1に送るようになっている。
【0024】
信号処理系6は、CPU1と、磁気ディスク20及び光ディスク19等の外部記憶装置と、CRT等からなるディスプレイ18とを有している。信号処理系6は、受信系5からのデダシルデータを入力したCPU1が実行するフーリエ変換、補正係数計算等の信号処理、、画像再構成等の処理に基づいた結果である任意断面の信号強度分布あるいは複数の信号に適当な演算を行って得られた分布を画像化してディスプレイ18に断層像として表示するとともに、外部記憶装置の磁気ディスク20や光ディスク19等に記録するものである。
【0025】
以下この発明の好ましい実施例として、本発明をCPMGパルス系列に適用した場合を例にとって図6を参照して説明する。すなわち、シーケンサ2には図6に示すようなパルスシーケンスが組み込まれ、このパルスシーケンスの繰返しによって磁気共鳴イメージング装置が駆動され、各パルスシーケンス毎に、例えば、エコー信号131、132、・・・が検出される。
【0026】
図において、まず被検体7内の核スピンを励起して信号を発生させるための90°パルス100と、所望の断層面の位置を特定するためのスライス選択傾斜磁場110,111が同時に印加される。図示していないがタイミングT0 +bでは位相方向傾斜磁場(Gp)と周波数方向傾斜磁場(Gf)とが印加される。位相方向傾斜磁場は、後に得られる第1エコー信号131をk空間上の所望の位置に配置するために印加されるものである。周波数方向傾斜磁場は、第1エコー信号131において計測される核スピンの位相が信号収集の中心で収束するように予め分散させておくために印加されるものである。
【0027】
スライス選択傾斜磁場パルス110の後半部であるスライス選択傾斜磁場パルス111と、反転されたスライス選択傾斜磁場パルス112の符号付き面積(傾斜磁場パルスの符号付き強度と印加時間の積)比は1:−1であり、図6ではそれぞれの印加時間を共にbとして表示してある。従って、スライス選択傾斜磁場パルス111によりタイミングT0 からT0 +bの間に核スピンの位相分散が生じるが、スライス選択傾斜磁場パルス112によりタイミングT0 +2bで再収束する。
【0028】
タイミングT0 から時間βが経過したタイミングT0 +βで、スライスリフェイズパルス121が印加される。このスライスリフェイズパルス121は、傾斜磁場パルス113,116とスライス選択傾斜磁場パルス114,115とから構成される。傾斜磁場パルス113は、タイミングT0 +βに対して時間2τだけ前のタイミングで立ち下がり、その強度は後述するスライス選択傾斜磁場パルス114,115の−1/3であり、時間τの間だけその強度を維持している。図では、τはスライス選択傾斜磁場パルス112の印加時間とほぼ同じbであるが、これに限定されるものではない。スライス選択傾斜磁場パルス114,115は、タイミングT0 +βに対して時間τだけ前のタイミングで立ち上がり、その強度はスライス選択傾斜磁場パルス110,111と同じであり、時間2τの間だけその強度を維持している。傾斜磁場パルス116は、タイミングT0 +βに対して時間τだけ後のタイミングで立ち下がり、その強度は傾斜磁場パルス113と同じ、スライス選択傾斜磁場パルス114,115の−1/3であり、時間τだけその強度を維持している。傾斜磁場パルス113,116とスライス選択傾斜磁場パルス114,115の強度比は、113:114:115:116=−1:3:3:−1である。
【0029】
そして、このスライスリフェイズパルス121と同じ印加パターンの傾斜磁場パルス122、123、・・・が、系列内の残りのRF再収束パルス102、103、・・・の各々のタイミングT0 +3β、T0 +5β、・・・に同期して繰り返されて印加される。RF励起パルス100と第1のRF再収束パルス101との間の時間をβとすると、その後に続くRF再収束パルスとエコー信号との間、つまり101と131、131と102、102と132、132と103、・・・との間の時間はすべてβである。
【0030】
スライス選択傾斜磁場パルス111と112の印加前後の核スピンの位相変化は速度項と加速度項が共に無視できるほど小さい。スライスリフェイズパルス121の印加後の核スピンの位相変化は速度項と加速度項共に傾斜磁場パルス112の印加後の値を維持し、ほぼ零である。RF再収束パルスの不完全性がない場合は、RF再収束パルスにより反転した核スピンの横磁化がRF励起パルスにより倒された面内から外れないので、各スライスリフェイズパルス121,122、123、・・・印加後の核スピンの位相変化は速度項と加速度項共に印加前と一致しほぼ零である。また、RF再収束パルスに不完全性がある場合でも、核スピンの運動が穏やかな場合を仮定すると隣り合うRF再収束パルスの間、例えばRF再収束パルス101と102の間などでの核スピンの位相変化は速度項と加速度項共に小さくなりCPMG条件(RF励起パルスと第一のRF再収束パルスとの間の核スピンの位相変化をθとするとその後の各再収束パルス間の核スピンの位相変化が2θとなること)はほぼ満たされるので不完全なRF再収束パルスにより生じる核スピンの位相誤差は補正される。この結果、各スライスリフェイズパルス121,122、123、・ ・ ・印加前後の核スピンの位相変化は速度項と加速度項共に小さくなり、スライスリフェイズパルスが印加されている間に運動する核スピンが取得するエコー信号に与える位相誤差が補償される。
【0031】
なお、上述の実施の形態は一例であり、他の形態として、例えば、RF再収束パルスは180°である必要はなく核スピンの位相を反転する効果を持つRFパルスであれば良い。また、CPMGパルス系列を基礎としてこの系列の前にプリパルスとして適当なフリップ角を持ったRFパルスを印加する場合やこの系列の後に同様なRFパルスを印加するような場合でも、上述の実施の形態と同様の効果が得られる。スライス方向傾斜磁場112と113の間に時間的余裕がある場合は、スライス方向傾斜磁場111と112をその強度が1:−1から、1:−2:1のパルスに変更することができ、運動する核スピンの位相変化をさらに補償することができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、高速スピンエコー法のスキャン中に運動する核スピンがスライス方向の速度成分と加速度成分を持つ場合に生じる画像アーチファクトを抑制することができ、臨床的に有効な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のスピンエコー法のパルスシーケンスを示す図
【図2】 従来のマルチエコー法のパルスシーケンスを示す図
【図3】 従来の高速スピンエコー法のパルスシーケンスを示す図
【図4】 本発明による傾斜磁場印加方法のパルス系列の一部、及びこのパルス系列を実施した際の核スピンの位相変化の様子を示す時間線図。
【図5】 本発明の一実施の形態に係る磁気共鳴イメージング装置の概略構成を示すブロック図
【図6】 本発明による傾斜磁場印加方法のCPMGパルス系列の一部、及びこのパルス系列を実施した際のエコー信号の様子を示す時間線図。
【符号の説明】
1 中央処理装置
2 シーケンサ
3 送信系
4 磁場発生系
5 受信系
6 信号処理系
7 被検体
100 RF励起パルス
131、132 エコー信号
40,101,102,103 RF再収束パルス
110,111,114,115 スライス選択傾斜磁場パルス
112,113,116 スライス方向傾斜磁場パルス
121,122,123 スライスリフェイズパルス
46 核スピンの位相変化の速度項
47 核スピンの位相変化の加速度項

Claims (3)

  1. 被検体に静磁場及び傾斜磁場を与える磁場発生手段と、上記被検体を構成する原子の核スピンに核磁気共鳴を起こさせるために高周波パルスを照射する送信系と、核磁気共鳴により放出されるエコー信号を検出する受信系と、この受信系で検出したエコー信号を用いて画像再構成演算を行う信号処理系とを備えた磁気共鳴イメージング装置において、
    前記磁場発生手段が、1組の少なくとも速度項迄をリフェイズする双極性スライス傾斜磁場パルス群を、再収束用高周波パルスの中心(ピーク)位置に関して軸対称に分割して印加することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  2. 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記磁場発生手段は、再収束用高周波パルスの中心(ピーク)位置に関して、軸対称な1組の双極性スライス傾斜磁場パルス群として、それぞれの印加時間が同一で強度比が−1:3:3:−1の連続する4個のパルスからなるスライス傾斜磁場パルス群を印加することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  3. 請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置において、関心がある領域の核スピンに印加する前記再収束用高周波パルス及びそれに伴いスライス方向に印加される前記スライス傾斜磁場パルス群を連続的に複数印加し、それらに対応する横磁化を再収束させて複数のエコー信号を生じさせるようにしたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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