JP3909489B2 - 窒素酸化物ガス除去用光触媒担持組成物とその除去方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒素酸化物ガス除去用の光触媒担持組成物と、この光触媒担持組成物を用いた窒素酸化物ガスの除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
二酸化チタン(TiO2)は白色顔料として古くから用いられてきたが、最近は優れた光触媒活性作用が見出され、この特性を利用した光触媒材料として各種工業材料に用いられている。この二酸化チタンの光触媒活性機能を利用した物品を製造する場合、二酸化チタンを基体に担持させる方法として、二酸化チタンを原料段階から直接混入させる方法と、二酸化チタンを予め製造した基体表面に固定する方法とがある。通常、前者の製法は比較的小型の可動性に富む基体に多く適用され、後者の方法は構築物で代表される比較的大型で固定型の基体に多く適用されている。
【0003】
二酸化チタンを予め製造した基体表面に固定させる手段として、次のような方法が従来主に行われている。(イ)基体上の酸化チタンを高温焼結させて基体に接合させる。(ロ)固定用媒体として有機系接着剤を用い、二酸化チタンを基体上に接着させ、媒体成分の硬化によって固定させる。(ハ)担持用媒体としてセメント等の無機系水硬性物質を用い、水硬性成分の硬化によって固定する。
【0004】
しかし、前記(イ)の方法では高温処理する装置を必要し、コスト高であり、作業環境も制約を受け易い。前記(ロ)の方法は物理的および化学的耐久性の何れも低い。前記(ハ)の方法は(イ)や(ロ)のような問題を生じないが、担持される二酸化チタン量が増加すると施工性が低下する問題があった。
【0005】
すなわち、前記(ハ)の方法のように、担持用媒体としてセメント等の無機系水硬性物質を用いる場合、一般的な傾向として、セメントと二酸化チタンの混練物に水を加えて混練すると、二酸化チタンの影響により注水後数分で凝結が進み、流動性が乏しくなって対象基体への施工が著しく困難になる。ここで、流動性を高めるために水量を過剰に増加したり、または分散剤を添加するなどの簡易な対策では、セメント自体の耐久性が低下し、また添加した有機化合物によっては二酸化チタンの有する酸化作用などの光触媒活性が著しく低減したり変性することがある。
【0006】
これを改善するため、硬化促進や強度向上作用を有する無機化合物を添加し、混練操作に物理的改良を施すことで、混練から施工までの間、比較的高い流動性を保ち、かつ二酸化チタン本来の性状を施工後も十分維持することができるセメント系の担持組成物が提案されている。しかし、このような高い流動性を有するセメント系の担持組成物は、基体表面に対して吹付け工法等による薄塗りには最適なものであるが、例えば、鏝塗りやローラー等の使用によって厚く施工すると、施工時から施工後暫くの間、基体の傾斜が大きいと施工物の流落や脱落が起こり易く、強固な固定状態を得るのが難しい。また、施工後には硬化の進行と共にヒビ割れや剥離も発生し易い。このため、光触媒作用によってNOxを除去する効果が低減すると云う問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来のNOxガス除去用光触媒担持組成物における上記問題を解決したものであって、NOxガスに対する除去効果に優れた光触媒担持組成物とこれを用いた窒素酸化物ガス除去方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決する手段】
本発明は、(1)セメント100重量部に対して、骨材10〜500重量部、増粘保水剤0.05〜2重量部、接着増強剤1〜200重量部、炭酸カルシウム1〜43重量部および/または水酸化カルシウム1〜43重量部、および光触媒材料10〜200重量部を含み、光触媒材料として粒子表面および/または粒子内部にランタンの酸化物または水酸化物を存在させた二酸化チタンを用い、窒素酸化物ガスの除去に用いられることを特徴とする光触媒担持組成物に関する。
【0009】
本発明の光触媒担持組成物は、(2)上記(1)において、増粘保水剤および接着増強剤に代えて、以下の水溶性高分子化合物0.05〜200重量部を含む窒素酸化物ガス除去用光触媒担持組成物を含む。
( ) カルボキシル化メチルセルロース、キサントゲン酸セルロース
( ) ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸アンモニウム、アクリル酸系ポリマー、アクリルエマルジョンコポリマー、ポリビニルアルコール、ビニルピロリドンコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、酢酸ビニル−エチレン共重合エマルジョン、ポリエチレンオキサイド
( ) アルギン酸塩増粘剤、アラビアガム、カラヤガム、グアーガム、ロカストビーンガム、ペクチン酸塩
( ) 天然ガム、スチレン−ブタジエン系重合体、アクリロニトリル−ブタジエン系重合体、ポリクロロプレン、ブチルゴム、ポリウレタン、ポリブテン、ポリアクリレート、ポリエチレン
【0010】
さらに、本発明の光触媒担持組成物は、(3)セメント100重量部に対して、骨材10〜500重量部、増粘保水剤0.05〜2重量部、接着増強剤1〜200重量部、炭酸カルシウム1〜43重量部および/または水酸化カルシウム1〜43重量部、および光触媒材料10〜200重量部を含み、光触媒材料として粒子表面および/または粒子内部にランタンの酸化物または水酸化物を存在させた二酸化チタンを用いた光触媒担持組成物に紫外線を照射して窒素酸化物ガスを除去する方法に関する。
【0011】
本発明の窒素酸化物ガス除去方法は、上記(3)において、増粘保水剤および接着増強剤に代えて、以下の水溶性高分子化合物0.05〜200重量部を含む光触媒担持組成物を用い、これに紫外線を照射して窒素酸化物ガスを除去する方法を含む。
( ) カルボキシル化メチルセルロース、キサントゲン酸セルロース
( ) ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸アンモニウム、アクリル酸系ポリマー、アクリルエマルジョンコポリマー、ポリビニルアルコール、ビニルピロリドンコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、酢酸ビニル−エチレン共重合エマルジョン、ポリエチレンオキサイド
( ) アルギン酸塩増粘剤、アラビアガム、カラヤガム、グアーガム、ロカストビーンガム、ペクチン酸塩
( ) 天然ガム、スチレン−ブタジエン系重合体、アクリロニトリル−ブタジエン系重合体、ポリクロロプレン、ブチルゴム、ポリウレタン、ポリブテン、ポリアクリレート、ポリエチレン
【0012】
本発明のNOxガス除去用光触媒担持組成物は基体への厚塗りに適し、接着性に優れ、施工時の垂れや脱落、および施工後のヒビ割れや剥離が殆ど無く、従ってNOxガス除去効果に優れる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を実施例と共に詳細に説明する。
( ) 組成物の成分
本発明の光触媒担持組成物は、セメントおよび骨材を基本成分とし、これに増粘保水剤と接着増強剤、あるいは両者を兼用する水溶性高分子化合物を含み、さらに炭酸カルシウムないし水酸化カルシウムを混合したものに、所定量の光触媒材料を配合したものである。この光触媒担持組成物には、必要に応じて、少量の消泡剤、減水剤、高性能減水剤、着色顔料などを加えることができる。
【0014】
上記各成分の配合量は、セメント100重量部に対して、光触媒材料10〜200重量部、骨材10〜500重量部、増粘保水剤0.05〜2重量部および接着増強剤1〜200重量部、あるいは水溶性高分子化合物0.05〜200重量部、炭酸カルシウム1〜43重量部および/または水酸化カルシウム1〜43重量部、水20〜300重量部が適当である。
【0015】
本発明に用いるセメントの種類は限定されない。普通ポルトランドセメントを始めとして各種の汎用セメントを用いることができる。なお、施工上から普通ポルトランドセメントが好適であり、なかでも白色セメントが好ましい。
【0016】
光触媒材料としては、紫外線により光酸化還元反応を促進する酸化物粉末が挙げられ、具体例としては、二酸化チタン、二酸化スズ、酸化亜鉛、三酸化タングステン、酸化セリウム、チタン酸バリウムおよび酸化第二鉄が挙げられる。特に二酸化チタンは優れた光触媒活性を有し、なかでもアナターゼ型二酸化チタンは光触媒活性が高い。この二酸化チタンは比表面積(BET値)が20〜350m2/gの粉末が好ましい。
【0017】
また、この光酸化還元反応を促進する酸化物粉末の粒子表面および/または粒子内部に、銅、銀、金、ランタン、セリウム、亜鉛、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金などの金属や金属化合物の少なくとも一種を存在させると、光酸化還元反応をより一層促進することができる。より好ましい光触媒材料は、二酸化チタンの粒子表面および/または粒子内部に、銅、銀、金、ランタン、セリウム、亜鉛、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金などの金属や金属化合物の少なくとも一種を存在させた光触媒材料であり、最も好ましい光触媒材料は、二酸化チタンの粒子表面および/または粒子内部に、ランタンの酸化物または水酸化物を存在させた光触媒材料である。ランタンの酸化物または水酸化物を存在させると、大気中の有害物質である窒素酸化物(NOx)の除去に特に有効である。
【0018】
上記光触媒材料の配合量は、10〜200重量部が適当である。この配合量が10重量部未満では光触媒効果が乏しい。また、200重量部を超えるとセメントの凝結が急速に進行して流動性が低下し、施工が難しくなる場合があるので好ましくない。
【0019】
骨材は一般のモルタルに用いられている川砂や珪砂などの通常の細骨材を用いることができる。このうち、日本建築学会規格(JASS)に規定されるA種、B種、C種のものが好ましい。骨材量はセメント100重量部に対して10〜500重量部が適当である。骨材が10重量部より少ないと材料強度が不十分になるので好ましくない。また、骨材が500重量部を上回ると相対的にセメント量が不足するので硬化不良となり材料強度が低下し、さらに、骨材が表面に浮き出して塗工不良および表面仕上げが不良になるので好ましくない。
【0020】
増粘保水剤は、増粘性または保水性を与える添加剤であり、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系化合物、アクリルアミド等のアクリル系化合物、ポリビニルアルコール等のビニル系化合物を用いることができる。増粘保水剤の添加量は0.05〜2重量部が適当である。増粘保水剤の量がこれより少ないと保水性が不足し、硬化後にヒビ割れを生じやすくなる。一方、増粘保水剤がこの範囲より多いと流動性が低下し、取り扱い難くなる。
【0021】
接着増強剤は、硬化後のヒビ割れや剥離等を防止し、接着強度を高める添加剤である。例えば、エチレン酢酸ビニル系、アクリル系、スチレンブタジエンゴム系等の高分子エマルジョン等を用いることができる。接着増強剤の添加量は1〜200重量部が適当である。添加量が1重量部未満では硬化後にヒビ割れや剥離を生じやすくなり、接着強度が向上しない。この添加量が200重量部を上回ると粘性が高くなるため流動性が低下し、また液垂れが固まりやすく、施工性が劣化する。
【0022】
以上の増粘保水剤と接着増強剤は組み合わせて用いられるが、これらの性質を兼用する水溶性高分子化合物によって代用しても良い。増粘保水剤と接着増強剤を兼用する水溶性高分子化合物としては、例えば、以下のセルロース系増粘剤、アクリル酸系増粘剤、植物性増粘剤、エマルジョン・ラテックス系化合物を用いることができる。
【0023】
(イ)セルロース系増粘剤:
カルボキシル化メチルセルロース、キサントゲン酸セルロース。
(ロ)アクリル酸系増粘剤:
ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸アンモニウム、アクリル酸系ポリマー、アクリルエマルジョンコポリマー、ポリビニルアルコール、ビニルピロリドンコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、酢酸ビニル−エチレン共重合エマルジョン、ポリエチレンオキサイド。
(ハ)植物性増粘剤:
アルギン酸塩増粘剤、アラビアガム、カラヤガム、グアーガム、ロカストビーンガム、ペクチン酸塩。
(ニ)エマルジョン・ラテックス:
天然ガム、スチレン−ブタジエン系重合体、アクリロニトリル−ブタジエン系重合体、ポリクロロプレン、ブチルゴム、ポリウレタン、ポリブテン、ポリアクリレート、ポリエチレン。
【0024】
上記水溶性高分子化合物の使用量は0.05〜200重量部が適当である。この添加量より少ないと保水性や接着強度が不足し、一方、この添加量を上回ると粘性が過剰になり、施工性が低下する。
【0025】
本発明の光触媒担持組成物は炭酸カルシウムないし水酸化カルシウムを含む。これらを含むことによって流動性を長時間高く維持して施工性を高めることができる。すなわち、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムのカルシウムイオンはセメント中のアルミネート相に水と共に取り込まれるため、使用水の全量が直ちにセメントの水和反応に費やされるという状況を回避することができ、このためアルミネート相の急速な水和が抑制され、徐々に反応に供される未反応水の存在により流動性が比較的長時間維持される。従って、セメント系組成物に添加する機能性粉末の量を増しても、水分量を増大させることなく、流動性を長時間高く維持することができる。なお、酸化カルシウム(生石灰)にはこのような効果が少なく、むしろ他の影響が生じるので適当ではない。
【0026】
炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムは各々単独で用いてもよく、混合して用いても良い。その使用量は、単独使用ないし混合使用の何れの場合も、セメント100重量部に対して、おのおの1〜43重量部が適当である。使用量が1重量部未満では流動性を高める効果が殆どなく、また、この使用量が43重量部を上回っても流動性は頭打ちとなる。
【0027】
さらに、本発明の光触媒担持組成物は、これを施工する際には、セメント100重量部に対して、水20〜300重量部が添加される。注水量が20重量部未満ではセメント量に対して水量が不足するために硬化せず、また注水量が300重量部を上回ると流動性が過剰になり、施工不良を招くので好ましくない。
【0028】
本発明の光触媒担持組成物は、必要に応じて、少量の消泡剤を加えることができる。これは公知のものを用いることができ、使用量は、0.5〜1重量部が適当である。また、各種の着色顔料を適量加えることができる。着色顔料を加えることにより、下地(対象基体)や周囲の色調との一体性を保ち、あるいは適当な色調に調整することができる。
【0029】
(II) 施工方法
本発明の光触媒担持組成物を施工する場合には、セメント100重量部に対して、水20〜300重量部となるように水をこの光触媒担持組成物に加え、あるいは水に光触媒担持組成物を加えて一次混練し、この混練物を静置後、さらに二次混練してモルタルフロー値を120mm以上にしたものを用いるのが好ましい。この二次混練の際に、セメント100重量部に対して50重量部以下の水、および/または分散剤を0.5〜5重量部を添加して練り返すことによりモルタルフロー値を120mm以上に整えると良い。なお、モルタルフロー値は日本工業規格JIS R 5201に定める方法によって測定した値である。
【0030】
セメントに対して光触媒材料の配合量が多いと組成物の流動性が低下し、塗布や吹き付け作業が困難になる。通常、モルタルフロー値が120mm未満の混練物はこのような作業に適さない。モルタルフロー値120mm未満の混練物は、この混練物(一次混練物)を再度練り返して、モルタルフロー値120mm以上の混練物(二次混練物)として施工する。この二次混練の際には、セメント100重量部に対して少量の水を再添加して練り返すと良い。この二次混練水の添加量は50重量部を上限とし、30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましい。この水分量が50重量部を上回ると水量が過剰となり、セメント自身の耐久性を低下させ、組成物の強度低下を招く。
【0031】
なお、二次混練は、一次混練後に直ちに水を再添加して混練するよりも、一次混練物を練り返した後に水を再添加して混練するのが良い。一次混練物を練り返して水を再添加することによって混練物と水との馴染みが良くなり、少ない水分量で流動性を高めることができる。また、水に代えて、あるいは水と共に減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤などの分散剤の1種または2種以上を0.5〜5重量部添加して練り返しても良い。
【0032】
本発明の光触媒担持組成物の施工例を以下に示す。なお、以下の施工手順は一例であり、施工方法は本例に限らない。
(イ)下地の調整:
施工面となる下地の汚れ、埃、油脂類を除去し、洗浄した後に、レイタンスや大きな突起物を取り除き、極端な段差や凹部にはセメント系の下地調整材を詰めて平坦にし、さらに表面を軽く研磨して接着性を良くする。
(ロ)プライマー塗布:
下地面に対する光触媒担持組成物の接合性を良くするためにプライマーを塗布すると良い。塗布効果を高めるには2度塗りを行うと良い。塗装表面は乾燥させて、光触媒担持組成物の塗布に備える。
【0033】
(ハ)光触媒担持組成物の調製:
本発明の上記光触媒担持組成物に注水し、混練してペースト状に整える。この時、水に接着増強剤を先に入れて分散させ、これにセメント、骨材および二酸化チタン粉末などの光触媒材料などを徐々に投入して混練すると良い(一次混練)。混練時間は2〜3分程度で良い。好ましくは、以上の一次混練後に2〜3分間静置し、更に二次混練を行うと良い。すなわち、一次混練の静置後、30秒程度、練り返しを行った後、減水剤を投入して1〜2分程度混練する(二次混練)。この二次混練の際に、減水剤の量を加減してモルタルフロー値120mm以上、好ましくは120〜170mmになるように調整する。
(ニ)塗布・塗工:
調製したペースト状の上記光触媒担持組成物をローラ等に含ませ、余分のものを扱き落として施工面に塗布する。なお、塗布面が均一になるように塗布後、表面を均すと良い。
【0034】
本発明の上記光触媒担持組成物に紫外線が照射されることによって光触媒作用が働いて優れたNOx除去効果が得られる。従って、屋外の構造物や設備の表面に上記光触媒担持組成物を施工したものは、日光の照射によってNOx除去効果を発揮する。また、屋内や機器の内部などにおいても、紫外線の照射によって優れたNOx除去効果が得られる。
【0035】
【実施例および比較例】
本発明を実施例および比較例によって具体的に以下に示す。
実施例および比較例表1に示す量の水に、白色セメント(秩父小野田社製)、骨材(珪砂)、増粘保水剤(メチルセルロース)、接着増強剤(アクリル系高分子エマルジョン)、あるいは増粘保水剤と接着増強剤を兼ねる水溶性高分子化合物( アクリル系ポリマー )、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、光触媒材料(水酸化ランタン8重量%を粒子表面に担持した二酸化チタン粉末、比表面積250m2/g、平均粒径7nm)を表1に示す配合量となるように徐々に添加して2〜3分一次混練した後に静置し、その後、練り返して高性能AE減水剤(ポリカルボン酸塩)を加え、更に1〜2分二次混練してモルタルフロー値120〜170mmに整えた。これを地表面に垂直に設置したセメントスレート板の表面にローラを用い、厚さ約2mmに塗布した。各試料について塗布面の状況を表1にまとめて示した。また、各試料の塗布物表面に紫外線を照射してNOxの除去効果を測定した。この結果を表1に示した。
【0036】
この結果から明らかなように、本発明の光触媒担持組成物は塗布面の垂れや脱落がなく、乾燥硬化後もヒビ割れや剥離を生じることがなく、良好な塗布効果を示している。一方、本発明の成分量比を外れるものは硬化後にヒビ割れを生じ、一部のものは塗布面の垂れや脱落も発生している。このため、表1に示した各試料についてのNOxガス除去特性(初期NOx濃度、紫外線照射30分後のNOx濃度、紫外線照射30分後のNOx除去率)をみると、比較例は何れも塗布面にヒビ割ないし剥離が生じており、塗布物の安定性が乏しい。一方、本発明の光触媒担持組成物は、光触媒活性が殆ど低下せず、良好なNOx除去効果を示している。
【0037】
【表1】
Figure 0003909489
【0038】
【発明の効果】
本発明の光触媒担持組成物は、光触媒材料を担持して厚塗りするのに適しており、セメントスレート板、野地板、コンクリートやモルタルの壁面、煉瓦壁、タイル壁など対象基材に対する接着性に優れ、厚く施工しても、塗布面の垂れや脱落が殆ど無く、また施工後のヒビ割れや剥離も殆ど生じないので、長期間にわたり、優れたNOx除去効果を維持することができる。

Claims (4)

  1. セメント100重量部に対して、骨材10〜500重量部、増粘保水剤0.05〜2重量部、接着増強剤1〜200重量部、炭酸カルシウム1〜43重量部および/または水酸化カルシウム1〜43重量部、および光触媒材料10〜200重量部を含み、光触媒材料として粒子表面および/または粒子内部にランタンの酸化物または水酸化物を存在させた二酸化チタンを用い、窒素酸化物ガスの除去に用いられることを特徴とする光触媒担持組成物。
  2. 請求項1において、増粘保水剤および接着増強剤に代えて、以下の水溶性高分子化合物0.05〜200重量部を含む窒素酸化物ガス除去用光触媒担持組成物。
    ( ) カルボキシル化メチルセルロース、キサントゲン酸セルロース
    ( ) ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸アンモニウム、アクリル酸系ポリマー、アクリルエマルジョンコポリマー、ポリビニルアルコール、ビニルピロリドンコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、酢酸ビニル−エチレン共重合エマルジョン、ポリエチレンオキサイド
    ( ) アルギン酸塩増粘剤、アラビアガム、カラヤガム、グアーガム、ロカストビーンガム、ペクチン酸塩
    ( ) 天然ガム、スチレン−ブタジエン系重合体、アクリロニトリル−ブタジエン系重合体、ポリクロロプレン、ブチルゴム、ポリウレタン、ポリブテン、ポリアクリレート、ポリエチレン
  3. セメント100重量部に対して、骨材10〜500重量部、増粘保水剤0.05〜2重量部、接着増強剤1〜200重量部、炭酸カルシウム1〜43重量部および/または水酸化カルシウム1〜43重量部、および光触媒材料10〜200重量部を含み、光触媒材料として粒子表面および/または粒子内部にランタンの酸化物または水酸化物を存在させた二酸化チタンを用いた光触媒担持組成物に紫外線を照射して窒素酸化物ガスを除去する方法。
  4. 請求項3において、増粘保水剤および接着増強剤に代えて、以下の水溶性高分子化合物0.05〜200重量部を含む光触媒担持組成物を用い、これに紫外線を照射して窒素酸化物ガスを除去する方法。
    ( ) カルボキシル化メチルセルロース、キサントゲン酸セルロース
    ( ) ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸アンモニウム、アクリル酸系ポリマー、アクリルエマルジョンコポリマー、ポリビニルアルコール、ビニルピロリドンコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、酢酸ビニル−エチレン共重合エマルジョン、ポリエチレンオキサイド
    ( ) アルギン酸塩増粘剤、アラビアガム、カラヤガム、グアーガム、ロカストビーンガム、ペクチン酸塩
    ( ) 天然ガム、スチレン−ブタジエン系重合体、アクリロニトリル−ブタジエン系重合体、ポリクロロプレン、ブチルゴム、ポリウレタン、ポリブテン、ポリアクリレート、ポリエチレン
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