JP3908309B2 - 鋼製コイル補強可とう管およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、通水管路、特に上下水道等の通水管路の地中埋設管として用いられる耐震性可とう管、特に曲げ、伸縮および偏心特性に優れた耐震性鋼製コイル補強可とう管およびその製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から上下水道等の地中埋設管路に使用される耐震性可とう管としては、図10(a)〜13(a)に示すようなものが知られている。これらのうち、図10(a)に代表されるのものは、内層2と外層3とからなるゴム層の内部に一定ピッチに配置された鋼製リング7’および第1、第2補強層4、5が設けられ、これらからなる円筒状胴壁が外側に膨らんだ蛇腹状山部を形成し、その両端部が端部リング8を介してフランジ10に固定されたものである。図11(a)は、蛇腹状山部を形成しないで、外周面が平坦に形成されたものおよび図12(a)は、鋼製リング7’を胴壁の谷部のみならず、山部にも配置して剛性を増したものである。他方のタイプは図13(a)に示すもので、一定ピッチを有する鋼製コイルばね7を内外ゴム層2、3の内部に配置して、図10(a)と同じ構成に形成させ、管軸方向の伸長、圧縮および管軸直角方向の曲げ強度を向上させたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の、可とう部全長にわたって一定の変形反力を有する可とう管が、埋立地や埋立地と地山との境界部、または丘陵宅地の切土・盛土の境界部、あるいは、地盤急変部、液状化地域などの地中に埋設されているとき、大きな地震力を受けて、地盤の不等沈下、地盤の段差、縦ずれ、陥没などの発生により、図14および図15に示すように、曲げ、または偏心を起こした場合には、地震力により最大応力の発生する固定端部胴壁において、この最大応力によって胴壁内の繊維補強層繊維コードが破断し、胴壁に亀裂または引裂きを発生したり、あるいは胴壁が破壊するといったような問題があった。
【0004】
すなわち、図14に示すように、地震力Wによる軟弱地盤の陥没に伴って、地中に埋設された可とう管端部Bが下方移動して、可とう管が曲げ(変位角度θ)を生じ、安定地盤中の固定端部Aの引張側胴壁部aおよび軟弱地盤中の固定端部Bの引張側胴壁fに亀裂、または引裂きを生じたり、あるいは胴壁が破壊した。
【0005】
また、図15に示すように、上記可とう管が偏心(変位量δ)を生じた場合も、固定端部AおよびBの引張側胴壁部aおよびf´のそれぞれに曲げの場合と同じく亀裂、または引裂きを生じたり、あるいは胴壁が破壊した。
【0006】
他方、図16に示すように、断面形状が一定のはりの左端部Aを固定し、自由端部Bに荷重Wを負荷した場合には、(1)はりの各断面に作用する曲げモーメントMによってはりの各断面に曲げ応力σが発生し、各断面の最上部および最下部にそれぞれ引張りおよび圧縮ひずみ(伸びおよび縮み)を惹起してはりが曲がること、(2)曲げモーメントMは固定端部A断面(危険断面)で最大となり、最大曲げ応力を発生すること、(3)この最大曲げ応力、すなわち最大引張応力および最大圧縮応力、特に引張側の最大引張応力が固定端部はりAの許容引張応力と釣合うまではりの曲げが進行することおよび(4)この最大引張応力が固定端部はりAの許容引張応力を超えたとき、固定端部はりAは破壊することが知られている。
【0007】
このことは、図17に示す上記片持はりのたわみ曲線
y=W/6EI(x3 −3l2 x+2l3 )
(式中、yはたわみ、Wは荷重、Eは縦弾性係数、Iは断面二次モーメント、xは荷重の作用点からの距離、lは長さを示す。)
からも明らかである。すなわち、はりは荷重Wによる曲げモーメントMの作用によって、スパンの全長lにわたることなく、主として固定端部Aの近傍、つまり、たわみ曲線の微分係数が著しく変化している領域において最も大きく曲げられ、その他の領域では殆んど曲げられず、緩い曲線、あるいは直線状を呈して曲げを生じていることが観察される。
【0008】
以上の知見から、従来の耐震性可とう管が地中に埋設されて他端部Bに大きな地震力Wを受け、図14、または図15に示すような曲げ(変位角度θ)、または偏心(変位量δ)を生じた場合には、次のようなプロセスを経て損傷、または破壊するものと推測される。
上記地震力Wによる曲げモーメントにより、可とう管各断面の最上部および最下部にそれぞれ引張応力および圧縮応力が発生し、それぞれ伸びおよび縮みを生じて、可とう管は曲がり始める。そして、最大曲げモーメントが作用する固定端部Aの引張側胴壁部aにおいて最大引張応力が発生し、この最も大きい引張応力によって、胴壁部a内のゴム被覆繊維補強層の繊維コードがその許容伸び率を超えて引き伸ばされて破断する。その結果、胴壁部aに亀裂、または引裂きが生じたり、あるいは胴壁自体が破壊したりする。
【0009】
このことは、軟弱地盤側の可とう管固定端部Bについても、相対的に全く同様であって、固定端部Bの引張側胴壁部f、またはf’に亀裂、または引裂きを生じ、あるいは破壊を起こすものと考えられる。
【0010】
以上、述べてきたように、図10(a)〜13(a)に示す、従来の可とう管は、地震力により曲げ、または偏心を生じて、図10(b)〜図13(b)に示すように、固定端部AおよびBの引張側胴壁部において、亀裂、または引裂きを生じるか、あるいは胴壁部が破壊したりして使用不能となる場合が多かった。そのため、さらに目標とする大きい地震力から想定されるより大きい曲げ(変位角度θが大きいか、曲率半径ρが小さいこと)、または偏心(変位量δが大きいこと)を実現することは困難であった。
【0011】
また、製造面からみても、図13(a)に示すものは、鋼製コイル状補強線材間の円筒状胴壁を外周方向に膨らませて蛇腹状胴壁を形成するとき、円筒状胴壁とマンドレルとの間に適度に制御した空気圧、または水圧を加えながら、圧縮装置により軸方向に圧縮しなければならないので、多くの設備、工程および時間を要するという不具合があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、大きな地震力による地盤ひずみ、すなわち地盤の縦ずれおよび横ずれに自在に追随して、きわめて短い可とう部間で大きな曲げ(変位角度が大きいか曲率半径が小さいこと)および偏心(変位量が大きいこと)をすることができる可とう管および鋼製コイル状補強線材を順次ピッチを漸減させるという簡略にして、精度高く、かつ経済的に、安定した性能を有する可とう管を製造する方法を提供しようとするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明の可とう管によれば、繊維コードをホースの釣合角度より小さい一定の成形角度で積層して可とう管成形体を作り、可とう管の円筒状胴壁の断面中央部に配置された鋼製コイル状補強線材のピッチを圧縮により中央部から両端部にかけて漸減させるとともに、その鋼製コイル状補強線材のピッチ間の円筒状胴壁を外周方向に円弧状に膨らませた蛇腹状山部を形成した構造にすることにより、可とう管の両端部へかけて断面二次モーメントIならびに断面係数Zを増加して、その変形反力、すなわち曲げ剛性EIおよび抵抗モーメントσZを増大させることができる。その結果、可とう管が、地震力による地盤の縦ずれ、横ずれなどにより管軸直角方向の曲げ、または管軸直角方向への変位(偏心)を起こしてその固定両端部に最大曲げ応力が発生しても、両端部にかけてピッチが漸減した鋼製コイル状補強線材およびそれと一体化された伸縮自在な蛇腹状胴壁とがこの応力に追随して管軸直角方向に自在に変形して曲がり、あるいは自在に管軸直角方向への変位(偏心)をすることができる。
【0014】
このように、大きな地震力を受けても、中央部から両端部にかけてピッチが漸減した鋼製コイル状補強線材およびこれと一体化された蛇腹状胴壁とが、大きな曲げおよび偏心の作用を奏することがこの発明の特徴である。
【0015】
また、この発明の製造方法によれば、鋼製コイル状補強線材間の円筒状胴壁を外周方向に膨らませて蛇腹状山部を形成するとき、円筒状胴壁内面を加圧しながら軸方向に圧縮すれば、コイル状補強線材のピッチを中央部から端部にかけて漸減させるとともに、これと一体的にコイル状補強線材間の円筒状胴壁を外側に膨らませて蛇腹状山部を形成することができる。
【0016】
【実施例】
以下、図面を参照し、この発明の一実施例を具体的に説明する。
図1は本発明の可とう管1の構成を示す部分破断側面図である。
すなわち、この可とう管1は、内外ゴム層2、3からなる円筒状胴壁の断面中央部に鋼製コイル状補強線材7が配置され、このコイル状補強線材7の内側および外側にゴム被覆繊維補強層4、5が設けられ、前記コイル状補強線材7のピッチPが中央部から両端部にかけて漸減するとともに、このコイル状補強線材7間の円筒状胴壁が外周方向へ膨らんだ蛇腹状山部に形成されて可とう部が構成され、その両端部がフランジ10に固定されたものである。
【0017】
内外面ゴム層2、3は、天然ゴム、または合成ゴムからなる公知の、ゴム管に準じたゴム配合物を予めシートに成形し、これを積層して形成される。
【0018】
ゴム被覆繊維補強層4、5は、繊維からなるすだれ織布に未加硫ゴム組成物をトッピング処理した繊維コードを、内面ゴム層2の表面およびコイル状補強線材7ならびに中間ゴム層6の表面に、可とう管の軸線に対し、ホースの釣合角度より小さい成形角度45°〜50°で繊維方向が交差するように交互に2プライ、合計4プライ巻付け、積層して形成される。このゴム被覆繊維補強層4、5に使用する繊維としては、ナイロン、ポリエステル、アラミド、カーボンなどの有機繊維およびガラス、スチールなどの無機、金属繊維などがあげられる。なお、ホースの釣合角度とは、管軸に対し、所定の角度で巻付けられた繊維コードが、それにより形成された未加硫積層成形管体が軸方向に圧縮されたり、または管体内周面が外周方向に加圧されたとき、径方向および軸方向に変位して、力学的に釣合って静止する角度をいい、通常、軸線に対し54°44′である。
【0019】
中間ゴム層6は、公知のゴム配合物からなるものであって、コイル状補強線材7ならびに内、外側ゴム被覆繊維補強層4,5を一体化するとともに外周方向に膨らんだ蛇腹状胴壁の伸縮・湾曲作用を容易にする。
【0020】
鋼製コイル状補強線材7は、単線材が所定ピッチで連続的に螺旋状に巻かれた円筒コイルばねであって、小さいばね定数を有していて、可とう管円筒状胴壁の蛇腹状山部の伸び、縮みに追随して管軸方向ならびに管軸直角方向に容易に変位するものである。このコイル状補強線材7は、地震時の地盤ひずみから可とう管の変位角度ならびに変位量を予測し、埋設管径に応じて、好ましい横弾性係数その他の機械的特性を有する線材を適宜に選択し、線径、巻数などを決定し、所定のばね定数が得られるように設計し、製作される。そして、この鋼製コイル状補強線材7を形成する線材としては、弾性限界が高い金属線材料、たとえば、ばね鋼線、ピアノ線などのばね用炭素鋼線、ステンレス鋼線などのばね用合金鋼線、またはりん青銅線などのばね用銅合金線などの単線を用いることができる。このコイル状補強線材7は、製造時には形成された内側ゴム被覆繊維補強層4の外周面上にその端部から軸方向に嵌め通されて長手方向全体にわたって配置される。なお、コイル状補強線材7は、上記のように単独に使用するほか、予めその両端部にフランジ10をニップル9を介して溶接などにより固定し、一体構造部品として使用することもできる。
【0021】
端部リング8は、図6に示すように、フランジ10の締結面上の開口周縁部に設けられ、内側ゴム被覆繊維補強層4の端縁部4aを巻き上げ、折り返してフランジ10の締結面との間に挟み込んで固定するとともに、内面ゴム層2の端縁部2aも巻き上げてフランジ10の締結面に固定させることにより、可とう部を強固にフランジ10に結合させる役割を担うものである。この端部リング8としては機械的強度を有する、断面矩形の環状鋼製部材が望ましい。
【0022】
ニップル9は、予めフランジ10に溶接などにより固定されていて、継手の製造時には、フランジと一体となった単一部品となるものである。
【0023】
フランジ10は、予めニップル9を溶接などで取り付け、製造時には単一部品として扱うことができる。そして、配管施工時には埋設管フランジにボルト締結などにより接続される。また、このフランジ10は、コイル状補強線材7の両端部にニップル9の端部を溶接などして固定することにより、コイル状補強線材7と一体構造部品として使用することができる。
【0024】
マンドレル11は、可とう管積層成形体の芯型であって、通常使用される構造のもののほか、その中央部胴壁に水または空気の流通孔などを設けたものなど適宜に使用できる。
【0025】
この可とう継手1の製造方法としては、図2に示すように、まず、マンドレル11の表面に、所定の幅のゴムシートを巻き付け、突き合わせ部を接着剤などで接合して円筒状の内面ゴム層2をつくる。また、ゴムシートの代わりにゴムチューブを用いてもよくこの場合は接合作業を省くことができる。
【0026】
次に、図3に示すように、この内面ゴム層2の外周面上に、予め所定の幅に裁断された帯状のトッピング処理繊維コード14を管の軸線に対し、ホースの釣合角度より小さい成形角度φで繊維方向15が交叉するように、交互に2プライ巻き付けて積層し、内側ゴム被覆繊維補強層4を形成する。
この成形角度φは45°〜50°の範囲で設定される。この成形角度がホースの釣合角度より小さい場合は、図19〜20に示すように、巻付け円筒状成形体の径方向および軸方向に外力を加えると、繊維コードがその2方向に変位し、両方向の力が釣合う54°44′で静止する。その結果、図9に示すように、外径が増すとともに円筒状胴壁の厚みが増加し、曲げ剛性(変形反力)が大きくなる。
【0027】
続いて、図4に示すように、この内側ゴム被覆繊維補強層4の左端部外周面上に端部リング8を嵌め込み、次いでニップル9付きフランジ10、コイル状補強線材7およびニップル9´付きフランジ10´を補強層4の他端からその表面を滑らすように嵌め込んで行き、長手方向全体にわたって嵌入、配置したのち、端部リング8´を嵌入する。
【0028】
図5に示すように、両端の端部リング8、8´を芯にして、内側ゴム被覆繊維補強層4の端縁部4a、4a´で巻き、折り返し重ね、その後に内面ゴム層2の端縁部2a、2a´も巻き上げる。
【0029】
次いで、図6に示すように、フランジ10、10´およびコイル状補強線材7を両側へ引き伸ばし、フランジ10、10´を端部リング8、8´に密着させるとともに、コイル状補強線材7の両端部をフランジニップル9、9´に近接させる。
なお、コイル状補強線材7の両端部にフランジ10を固定した一体構造部品を使用する場合には、図4に示すように、内側ゴム被覆繊維補強層上中央部へ嵌入、配置するだけでよい。
その後、図7に示すように、この内側ゴム被覆繊維補強層4の表面に、ゴムシート6をコイル状補強線材7のピッチ間を埋めるように巻付け、中間ゴム層6をつくる。
【0030】
次に、中間ゴム層6の表面に、外側ゴム被覆繊維補強層5を内側ゴム被覆繊維補強層4と同じ構成と方法で形成し、その外側ゴム被覆繊維補強層5の端縁部をフランジニップル9の外周面に貼りつける。さらに、この外側ゴム被覆繊維補強層5の表面にゴムシートを巻き、接合して外面ゴム層3をつくる。
【0031】
このようにして得られた、図7に示すフランジ付き円筒成形体を、図8(a)の示すように、その両端部から押し金具12により軸方向に所定距離Lだけ圧縮して、図9に示すように、コイル状補強線材7のピッチを円筒成形体の中央部のP0から端部のPまで漸次減少させるとともに、コイル状補強線材間の円筒状胴壁を外周方向に膨らませて蛇腹状山部を形成させる。このとき、コイル状補強線材7の巻き径D0 およびコイル状補強線材間の円筒状胴壁の厚みt0 はともに中央部から端部にかけて漸増し、それぞれtおよびDとなる。なお、円筒成形体を軸方向に圧縮するとき、円筒成形体の圧縮を容易にするために、マンドレル11の表面にワックスを塗布したり、パイプの一部に水が流通する穴をあけたマンドレルを用いて、成形体とそのマンドレルとの間に空気圧、または水圧を加えたり、あるいはこれらのマンドレルにゴム製バックを設け、成形後圧縮空気を封入して成形体を浮上させるなどの手段が好ましく用いられる。通常これらの圧力は1〜20kgf/cm2 の範囲で適用される。
【0032】
続いて、この蛇腹状山形胴壁の外周面を布ラッピングで締め付けてから、加硫を行った後、マンドレル11と押し金具12を外して図1の製品を得る。
【0033】
比較例1
直径200mmのゴム製バッグ付きマンドレルに天然ゴムシートを巻き付け接合して内面ゴム層(硬度60°、厚さ8mm)を形成し、その外周面上に天然ゴムでトッピング処理した1260デニールポリエステルすだれ織コード(糸径0.7mm、25本/25mm巾)を製品の軸線に対し、成形角度54°44′で交互に2プライ積層して内側ゴム被覆繊維補強層(2層、厚さ1mm)を得た。次にこの外周面上の左端部に端部リング(SS400、外径240mm、内径220mm、厚さ10mm)を嵌入し、他方の右端部からニップル(STK、外径220mm、厚さ5mm)付フランジ(200A JIS 10K)、次にみがき棒鋼リング(SS400、線径8mm、内径220mm)6個をピッチ90mmで中央領域に、続いてもう1個の上記と同じ端部リングを右端部に順次嵌入して配置した。両端の端部リングを芯にして、まず、内側ゴム被覆繊維補強層を巻付け、折り返した後、その上にさらに内面ゴムも巻付け、折り上げた。次いで、みがき棒鋼リングの両端部を両端のフランジニップルに密着させた。そしてみがき棒鋼リング間に中間ゴム層(天然ゴム、幅31mm、厚さ8mm)を巻き込んで埋め、さらにその上に内側ゴム被覆繊維補強層のときと同じ要領で外側ゴム被覆繊維補強層(天然ゴムトッピング処理1260デニールポリエステルすだれ織コード、2プライ、厚さ1mm)を形成した。次にその上に外面ゴム層(天然ゴム、硬度60°、厚さ4mm)を巻き付けた後、マンドレル表面に付設したゴム製バッグに4kgf/cm2 の加圧水を封入して、得られた積層成形管内壁を外周方向に加圧しながら、長さ540mmの積層成形管の両端を押し金具でそれぞれ60mmだけ内側へ圧縮して、ピッチ70mm、山数6、長さ420mmの未加硫成形品を得た。そして、この未加硫成形品を全長420mmにセットした状態で、加熱加硫(145℃×60分)を行なった後、冷却してマンドレルと押し金具を外して、長さ420mm、内径200mmの可とう管サンプルを得た。
【0034】
実施例1
直径200mmのゴム製バッグ付マンドレルに内面ゴム層(天然ゴム、硬度60°、厚さ8mm)を形成し、その上に天然ゴムでトッピング処理した1260デニールポリエステルすだれ織コード(糸径0.7mm、25本/25mm巾)を製品の軸線に対し、成形角度50°で交互に2プライ積層して内側ゴム被覆繊維補強層(2層、厚さ1mm)を得た。次にこの外周面上の左端部に端部リング(SS400、外径240mm、内径220mm、厚さ10mm)を嵌入し、他方の右端部からニップル(STK、外径220mm、厚さ5mm)付フランジ(200A JIS 10K)とピッチ90mmを有するみがき棒鋼コイル(SS400、線径8mm、内径220mm、有効巻数6)との一体構造部品を中央部領域に、続いてもう1個の上記と同じ端部リングを右端部に順次嵌入して配置した。次に、両端の端部リングを芯にして、まず、内側ゴム被覆繊維補強層を巻付け、折り返した後、その上に、さらに内面ゴムも巻付け、折り上げた。次いでみがき棒鋼コイル両端のフランジを両端の端部リングへ押し、密着させた。そしてみがき棒鋼コイルのピッチ間に中間ゴム層(天然ゴム、幅31mm、厚さ8mm)を巻き込んで埋め、さらにその上に外側ゴム被覆繊維補強層(天然ゴムトッピング処理1260デニールポリエステルすだれ織コード、2プライ、厚さ1mm)を内側ゴム被覆繊維補強層のときと同じ要領で形成した。次にその上に外面ゴム層(天然ゴム、硬度60°、厚さ4mm)を巻き付けた後、マンドレル表面に付設したゴム製バッグに4kgf/cm2 の水を封入して、得られた積層成形管内壁を外周方向に加圧しながら、長さ540mmの積層成形管の両端を押し金具でそれぞれ60mmだけ内側へ圧縮し、ピッチが中央部から端部へかけて80mm、70mmおよび60mm、山数6、長さ420mmの未加硫成形品を得た。そしてこの未加硫成形品を全長420mmにセットした状態で、加熱加硫(145℃×60分)を行なった後、冷却してマンドレルと押し金具を外して、長さ420mm、内径200mmの可とう管サンプルを得た。
【0035】
本発明の実施例1で得られた可とう管サンプルを最も許容偏心量が大きいとされた比較例1の従来品とともに、変位(偏心)特性テストを行なった。その結果、本発明の実施例1の可とう管サンプルの変位量δは480mmであり、これに対し比較例1の従来品サンプルは260mmであった。変位特性テストにおける変位量δはサンプルを偏心させ、荷重Wで最大曲げ応力(最大引張応力)の発生する固定端断面におけるゴム被覆繊維補強層の繊維コードの切断時の変位量を表わす。また、この繊維コードの切断時における曲げ変位角度はそれぞれ70°および32°であった。
【0036】
上記の測定結果から明らかなように、本発明により得られる可とう管は比較例として選んだ従来の可とう管と比較して、特に偏心(変位量)、曲げ(変位角度)など材料力学的特性に大きな改良がみられた。すなわち、本発明の構造による可とう管は従来のものに比べて、約2倍の偏心および曲げを生じ、同一量の変位に要する偏心反力および曲げ反力は1/2と小さい。これは、本発明の可とう管の構造が管の中央部から両端部にかけて曲げ剛性(変形反力)および抵抗モーメントを漸増し、両端部で最大となって、地震力による最大曲げ応力に耐えることができるようになった結果の証左である。これは、従来よりさらに大きい地震時の地盤の管軸直角方向への変位にも十分追随が可能であることを示唆するものである。これは、本発明可とう管の端部へかけての漸減ピッチを有する鋼製コイル状補強線材と漸増厚みを有する蛇腹状胴壁との構成が大きく寄与しているものと推測される。
【0037】
【発明の効果】
以上、説明したように、この発明の可とう管によれば、両端部で鋼製コイルピッチを最小にするとともに、その間の蛇腹状山部胴壁の高さを最大にしたので、可とう管が曲げ、または偏心を起こしても、この部分のコイルピッチおよび胴壁が最大に真直ぐに伸ばされ、最大引張応力による伸長に追随できる結果、従来みられた端部胴壁の破損が防止できるようになった。
【0038】
また、中央部から両端部にかけて胴壁およびコイルの直径ならびに胴壁厚さを漸増させたので、曲げ剛性(変形反力)も漸増して曲率半径が増大した結果、従来品にみられた端部におけるきわめて小さな曲率半径の形成による局部的、破壊的変形を防止した。そして、中央部に向って漸次増加する曲率半径の形成による緩慢な変形を可とう部全体に行わせて、きわめて短い可とう部、例えば6山部をもつ可とう管で従来品に比べ、約2倍という大きな曲げおよび偏心を行わせることができるようになった。
【0039】
さらに、この発明の製造方法によれば、繊維コードをホースの釣合角度より小さい一定の成形角度で積層して円筒状成形体を作り、これを単に圧縮するだけで、その中央部から両端部にかけて鋼製コイルピッチおよびそのピッチ間の蛇腹状胴壁幅を漸減させた構造を有する可とう管を多くの設備および時間を要することなく経済的に製造することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可とう管の構成を示す部分破断側面図である。
【図2】マンドレルに内面ゴム層を形成した状態を示す部分破断側面図である。
【図3】内面ゴム層に内側ゴム被覆繊維補強シートを巻回、積層する状態を示す部分破断側面図である。
【図4】内側ゴム被覆繊維補強層に端部リング、ニップル付フランジとコイル状補強線材を配置した状態を示す部分破断側面図である。
【図5】内側ゴム被覆繊維層および内面ゴム層を端部リングに巻き上げて固定した状態を示す部分破断側面図である。
【図6】フランジと端部リングを内側ゴム被覆繊維補強層と内面ゴム層で固定した状態を示す要部断面図である。
【図7】コイル状補強線材間に中間ゴム層、その上に外側ゴム被覆繊維補強層、外面ゴム層を形成し、ニップルに固定した要部断面図である。
【図8】(a)通常のマンドレルで成形した積層成形体を圧縮して胴壁を膨らませた状態を示す胴壁要部断面図である。
(b)流通孔を有するマンドレルで胴壁を膨らませた1例を示す部分破断要部側面図である。
【図9】本発明の製造方法で得られた可とう管の要部拡大側面図である。
【図10】(a)従来の可とう管の構成を示す部分破断側面図である。
(b)上記可とう管が偏心したときの状態を示す側面図である。
【図11】(a)別の従来の可とう管の構成を示す部分破断側面図である。
(b)上記可とう管の偏心の状態を示す側面図である。
【図12】(a)別の従来の可とう管の構成を示す部分破断側面図である。
(b)上記可とう管の偏心の状態を示す側面図である。
【図13】(a)別の従来の可とう管の構成を示す部分破断側面図である。
(b)上記可とう管の偏心の状態を示す側面図である。
【図14】従来の可とう管が地震による地盤ひずみで曲げを生じたときの状態を示す側面図である。
【図15】従来の可とう管が地震による地盤ひずみで偏心したときの状態を示す側面図である。
【図16】片持はりの自由端に荷重が働いたときのはりの曲り(たわみ)の状態を示す説明図である。
【図17】図17に示す片持はりのたわみ曲線を示したものである。
【図18】本発明の可とう管が偏心したときの中心軸線の曲率半径を従来品と比較した模示図である。
【図19】円筒状成形体を圧縮して、繊維コード群が軸方向に変位し、さらに径方向に変位する寸前の状態の模示側面図である。
【図20】図19の繊維コード群の変位力が釣り合って静止し、端部にかけて漸減した幅の蛇腹状山部を形成したときの、軸線に対する繊維コード成形角度を示す要部側面図である。
【符号の説明】
1 本発明の可とう管
2 内面ゴム層
2a,2a´ 内面ゴム層の端縁部
3 外面ゴム層
4 内側ゴム被覆繊維補強層
4a,4a´ 内側ゴム被覆繊維補強層の端縁部
5 外側ゴム被覆繊維補強層
6 中間ゴム層
7 鋼製コイル状補強線材
7´ 鋼製リング
8,8´ 端部リング
9,9´ ニップル
10,10´ フランジ
11 マンドレル
12 押し金具
13 流通孔
14 繊維コード
15 繊維方向
I 本発明の可とう管
II 従来の可とう管
A,B 固定端部
D0 ,D コイル状補強線材の中央部、両端部の内径
E 縦弾性係数
I 断面二次モーメント
L 圧縮長さ
M 曲げモーメント
P0,P コイル状補強線材の中央部、両端部のピッチ
W 地震力
Z 断面係数
a,b,c,d,e,f 可とう管の引張側胴壁山部
a´,b´,c´,d´,e´,f´ 可とう管の圧縮側胴壁山部
l はりの長さ
t0,t 可とう管胴壁の中央部、両端部の厚さ
x 荷重作用点からの距離
y たわみ
α 静止角度
δ 変位量
θ 変位角度
φ 成形角度
ρa ,ρb ,ρc 可とう管中心軸線の両端部から中央部にかけての曲率半径
σ 曲げ応力
Claims (4)
- 中間ゴム層および内外面ゴム層、鋼製コイル状補強線材ならびに内外側ゴム被覆繊維補強層から形成される円筒状胴壁からなる積層成形体が、該コイル状補強線材間で外周方向に膨らんだ形状を有する鋼線コイル補強可とう管において、該積層成形体は、該鋼製コイル状補強線材が、該円筒状胴壁の断面中央部に配置され、該内外側ゴム被覆繊維補強層が、該鋼製コイル状補強線材の内側および外側に管軸に対しホースの釣合角度54°44’より小さい成形角度で積層したゴムトッピング繊維コードからなり、該中間ゴム層ならびに該内外面ゴム層が、該内外側ゴム被覆繊維補強層の間ならびに内側および外側に設けられてなり、該積層成形体は、軸方向に圧縮されてなり、
該鋼製コイル状補強線材は、中央部から両端部にかけて漸減されたピッチを有する、ことを特徴とする鋼線コイル補強可とう管。 - フランジが鋼製コイル状補強線材と接合されている請求項1記載の鋼製コイル補強可とう管。
- マンドレルに内面ゴム層を形成し、該内面ゴム層の外周面にゴムトッピング繊維コードを管軸に対しホースの釣合角度54°44’より小さい成形角度で積層して内側ゴム被覆繊維補強層を形成し、該内側ゴム被覆繊維補強層の外周面中央部に一定ピッチを有する鋼製コイル状補強線材を管軸方向に嵌入・配置し、該鋼製コイル状補強線材の両端部にフランジおよび端部リングを設け、該フランジおよび端部リングに内側ゴム被覆繊維補強層と内面ゴム層の端縁部を一体的に成形・固定し、該内側ゴム被覆繊維補強層の外周面に鋼製コイル状補強線材のピッチ間を埋める中間ゴム層、外側ゴム被覆繊維補強層および外面ゴム層を設けて円筒状積層成形体を形成したのち、該成形体を押し金具により両端部から管軸方向に圧縮して、前記鋼製コイル状補強線材のピッチを中央部から両端部にかけて漸減させるとともに、該鋼製コイル状補強線材間の円筒状胴壁を外周方向に膨らませ、さらに加硫することを特徴とする鋼製コイル補強可とう管の製造方法。
- フランジを鋼製コイル状補強線材に接合する請求項3記載の鋼製コイル補強可とう管の製造方法。
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