JP3907051B2 - 光モジュール及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信や計測に用いられるLD(Laser diode)、PD(Photo Diode)などの光素子と光ファイバとを光学結合させる光モジュールに関し、光素子を光ファイバとモジュール化するための技術である。
【0002】
【従来の技術】
図4に、レーザダイオード素子を用いた従来の光モジュールの構造図の一例を示す(非特許文献1参照)。
【0003】
従来の光モジュールは、LD素子41と光ファイバ42を支持するフェルール43とを有し、LD素子41が取付けられたステム44と光ファイバ42と共にフェルール43を保持するファイバホルダ46とが、円筒状のパッケージ45を介して接合されることで、1つの送信用の光モジュールを構成している。ちなみに、LD素子41の代わりに、PD素子を用いることで、受信用の光モジュールとすることもできる。
【0004】
ステム44には複数の電極ピン47が設けられており、この電極ピン47を用いることでLD素子41へ電気信号を供給している。又、この電極ピン47によりプリント基板等に実装可能となる。パッケージ45内部のLD素子41の光軸上には、集光用の非球面ガラスレンズ48が設けられており、LD素子41から射出される光を集光して光ファイバ42へ導く構成である。つまり、LD素子41、非球面ガラスレンズ48及び光ファイバ42は、同一直線の光軸上になるように配置されている。又、LD素子41の封止のため、LD素子41の周囲を覆うように、封止キャップ49がステム44に設けられており、気密封止用ガラス窓50を透過して、LD素子41から光が射出されている。
【0005】
上記構造の光モジュールでは、ステム44をX−Y方向に移動させることで、LD素子41の光軸の調整を行い、フェルール43をZ方向に移動させることで、非球面ガラスレンズ48を介した光ファイバ42への光路長の調整を行なって、LD素子41からの光を光ファイバ42に最適な状態で光学結合させている。
【0006】
同軸型光モジュールと呼ばれる上記円筒状の光モジュールは、LD素子、PD素子等を用いることで、光信号の送受信を行なう通信用の光モジュールとして広く使われている。同軸型光モジュールは、パッケージ45等の部材が円筒状の形状であるので、作製が容易であり、又、作製時に伴う位置合わせ作業も上記のように単純であるので、製造装置もほぼ自動化されており、低コストで製造できるようになっている。
【0007】
【非特許文献1】
「電子情報通信学会春季全国大会講演論文集」、1990年、p.4−319
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記同軸型光モジュールでは、基本的に電極ピンを用いて電気信号をやりとりするため、プリント基板上に搭載される際には、電極ピンを曲げることで横置きにして搭載されることが多い。このような搭載方法では、電極ピンが長くなることで信号遅延の影響を受けてしまい、電気信号の帯域としては1GHz程度が限界となり、数GHzを超える超高速信号の伝送には適さない。
【0009】
電気信号の帯域を改善するためには、光モジュールを基板に垂直に立て、電極ピンが最短になるようにすればよい。この搭載方法では、光モジュールに取付けられる光ファイバ自体も、基板に対して垂直方向に取付けられることとなる。ところが、光ファイバ自体には、破断防止のため最小曲げ半径が規定されており、あまり小さな曲げ半径Rでは曲げられないため、結果的に光ファイバの実装性が極めて悪く、高密度化できなかった。
【0010】
又、電気信号の帯域を改善し、光ファイバの実装性をよくするため、基板の一部を切り欠き、その切り欠き部分に光モジュールを搭載することで、電極ピンを短くしてハンダ付けするような方法も用いられている。しかし、この搭載方法では、電極ピンのハンダ付けが難しく、手作業が必要となり、その結果、作業性が低くなってしまう。
【0011】
そこで、ミラーを光モジュールの光学系に配置することで、光ファイバを光素子の光軸に対して垂直方向に取付ける構造が考えられる。しかしながら、ミラーを用いて単純に光路を曲げるようにしただけでは、調芯及び組立を行なう場合、光素子と光ファイバの取付方向が直交しているので、光軸調整の分解能や光軸調整後の溶接位置が変わってしまい、従来の製造装置(X、Y方向の分解能は細かく、Z方向は粗い。又、溶接位置はZ軸対称である。)では製造ができなくなり、専用の組立装置が必要になり、コストアップを招いてしまう。
【0012】
そのため、一般的には、特に、高速用途では、バタフライ型と呼ばれる箱形のパッケージを用いて、光モジュールをモジュール化することが多い。しかしながら、この方法でも、パッケージ形状が複雑になるため、同軸型光モジュールよりコストが高くつく問題があった。
【0013】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、従来の製造装置を用いて低コストで製造できるとともに、電気信号の高速性を損なうことなく、光ファイバの実装性を高めることができる光モジュールを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明に係る光モジュールは、
光ファイバを支持する光ファイバ支持手段と、
光ファイバ支持手段を固定する第1の筐体と、
光素子が固定された第2の筐体と、
光素子と光ファイバとを光学結合させる光反射手段と、
光素子の光軸と光ファイバの光軸に対して所定の角度を有する保持面に光反射手段を保持する保持部材とを有し、
光ファイバ支持手段は、光ファイバの支持方向が光素子の光軸方向に略垂直になるように、第1の筐体に固定され、
保持部材は、第1の筐体の端部の開口部から第1の筐体の内部に挿入されて、光ファイバとは独立して光素子の光軸方向に移動可能であり、
光反射手段により光素子と光ファイバとが光学結合するように、第2の筐体に対する第1の筐体の位置を、光素子の光軸方向に垂直な方向に調整し固定すると共に、第1の筐体における保持部材の位置を光素子の光軸方向に調整し固定したことを特徴とする。
上記光モジュールは、光学結合の手段として一般的に用いられるレンズを有しており、光素子と光ファイバとの光路長を調整するために、光ファイバの位置を調整するのではなく、光反射手段を保持する保持部材の位置を調整することで最適な光学結合を得ている。又、光素子の光軸方向に対して光ファイバが略垂直になることで、光モジュールに垂直に搭載される基板に対して、光ファイバが平行に配置されることとなる。
【0016】
上記課題を解決する本発明に係る光モジュールは、光反射手段をミラー又はプリズムとしたことを特徴とする。又、光反射手段として凹面鏡を用いて、レンズを省略する構成の光モジュールとしてもよい。
【0017】
上記課題を解決する本発明に係る光モジュールの製造方法は、上記いずれかの光モジュールを製造する光モジュールの製造方法であって、
光素子を第2の筐体に固定し、
光ファイバ支持手段を用いて、光ファイバを支持すると共に、光素子の光軸方向に対して光ファイバの支持方向が略垂直になるように、光ファイバ支持手段を第1の筐体に固定し、
保持部材の保持面に光反射手段を固定すると共に、保持部材を第1の筐体の端部の開口部から第1の筐体の内部に挿入し、
第2の筐体に対する第1の筐体の位置を、光素子の光軸方向に垂直な方向に調整すると共に、第1の筐体における保持部材の位置を、光素子の光軸方向に移動することにより、光反射手段の位置を光素子の光軸方向に調整して、光ファイバと光素子との光学結合が最適となる位置を決定した後、
保持部材を第1の筐体に固定して、第1の筐体を第2の筐体に固定することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は、本発明に係る実施形態の一例を示す光モジュールの構造図である。
【0019】
図1に示すように、本発明に係る光モジュールは、光素子であるLD(Laser Diode)素子1と光ファイバ2を支持する光ファイバ支持手段であるフェルール3とを有する。光ファイバ2とともにフェルール3を保持する第1の筐体として、円筒状のファイバホルダ6を有し、LD素子1を保持する第2の筐体として、LD素子1を取付けるステム4とLD素子1をステム4とともに保持する円筒状のパッケージ5とを有し、ステム4、パッケージ5及びファイバホルダ6を接合することで1つ筐体となって、光モジュールを構成する。ステム4には電極ピン7が設けられており、この電極ピン7を用いることで、LD素子1への電気信号が供給可能となり、又、基板等に実装可能となる。パッケージ5内部のLD素子1の光軸上には、集光用のレンズ8が設けられ、LD素子1からの光を集光して光ファイバ2へ導く構成である。
【0020】
更に、本発明に係る光モジュールには、光を反射する光反射手段であるミラー9が配設されており、ミラー9は、円筒状のファイバホルダ6の端部の開口部から挿入されたミラーホルダ10に保持されることで、ファイバホルダ6側に固定されている。ミラーホルダ10のミラー9の保持面は、LD素子1及び光ファイバ2の光軸に対して所定角度(図1の場合、45°)を有するように、斜めに形成されており、このような構成にすることで、LD素子1の光軸(Z方向)に対して、光ファイバ2の支持方向、即ち、光ファイバ2を支持するフェルール3の取付方向(Y方向)が略垂直になるように設けることが可能となる。つまり、LD素子1と光ファイバ2との間の光軸上にミラー9を設けることで、互いに略直交方向に配設されたLD素子1と光ファイバ2とを光学結合することが可能となる。
【0021】
又、ミラー9は、ミラーホルダ10と共に、その位置をLD素子1の光軸方向に(Z方向)調整されて固定できるように、ファイバホルダ6に設けられており、ミラー9をZ方向に光ファイバ2とは独立に移動させることで、光路長、つまり、LD素子1から光ファイバ2への光路長を調整して、最適な光学結合を得ることが可能である。そのため、光ファイバ2自体の位置の調整は不要となり、最初から光ファイバ2をフェルール3と共にファイバホルダ6へ固定して光モジュールを製造することができ、従来の製造装置をほとんどそのまま流用することが可能となる。
【0022】
次に、上記構造の本発明に係る光モジュールの製造方法を説明する。
【0023】
最初に、レンズ8を、従来の光モジュールと同様に、ろう付け、溶接、圧入等の手段によりパッケージ5に固定する。又、光ファイバ2をフェルール3と共に、ファイバホルダ6に固定する。
【0024】
次に、LD素子1を発光させて、レンズ5を保持するパッケージ5に対して、LD素子1の載ったステム4をX−Y方向に微調しながら、ファイバホルダ6をX−Y軸方向に微調すると共に、同時にミラーホルダ10をZ軸方向(LD素子1の光軸方向)に微調して、LD素子1から光ファイバ2への光入力が最大になる各々の位置を探すことで、LD素子1と光ファイバ2との光学結合を最適な状態にする最適な位置を決定する。
【0025】
その後、YAGレーザ溶接等により、まず、パッケージ5とステム4との溶接点aにて接合し、次に、ミラーホルダ10とファイバホルダ6との溶接点aにて接合し、最後に、ファイバホルダ6とパッケージ5との溶接点aにて接合して、各々の部材を固定して光モジュールを完成させる。なお、光素子がPD(Photo Diode)素子である場合には、光ファイバ2から光を光モジュール内に入射し、PD素子の光検出信号が最大になる点を探して固定する。
【0026】
本発明に係る光モジュールに用いる部材は、基本的には、従来の同軸型光モジュールで用いたものと同様の円筒形であるので、低コストに製造することができる。ファイバホルダ6自体は、その側面に貫通孔を設けている点が従来と異なるが、上述したような光軸調整を行なうため、それほど厳しい精度は要求されず、大きな問題とならない。むしろ、このような構造にすることで、光軸調整の方向が従来の同軸型光モジュールと同等になり、単に治具を付け替える程度で、従来の同軸用製造装置を流用して組み立てることができ、総体的に、低コストに製造できることとなる。
【0027】
上述してきたように、本発明に係る光モジュールでは、ファイバ2の水平方向(Y方向)の位置と、上下方向(Z方向)に調整されるミラー9の位置により、光路長が決定されている。ここで、最適な光学結合を得るために、光路長の調整と角度ずれとどちらが光学結合に対して有効であるか、そのバランスを含めて考慮する必要がある。図2は、光路長の調整と角度ずれの有効性を検討するため、図1の光モジュールにおける光学系の概略の構成図を示したものである。
【0028】
例えば、ガウシアンビーム近似によって、光学結合が0.1dBのロス増となる光ファイバの軸ずれ量を計算してみると、光軸方向(この図2ではY方向)の位置ずれは15μm、角度ずれθは0.85°となる(ここでは、一般的な通信用光ファイバのパラメータとして、スポットサイズ:ω=5μm、波長:λ=1.55μmの値を用いた。)。つまり、0.1dB以上のロスを生じさせないためには、光軸方向の位置精度としては、±15μmが許容値となり、角度ずれとしては、±0.85°が許容値となることを意味する。
【0029】
一般的な部品加工精度において、±15μmという数字はかなり厳しい値である。又、組立時にも、通常僅かながら隙間や傾きが加算されるため、組立後の最終的なZ方向の位置ずれを±15μmに収めるのは、極めて困難である。
【0030】
一方、本発明に係る光モジュールでは、図2のような構成において、設計上のLD素子1と光ファイバ2との間の距離が、例えば、8.5mmであり、角度ずれθ=±0.85°を許容した場合、その光路長を見積もると、光路長は8.38〜8.64mm(ミラー9を置く位置によってこれらの値は多少異なる)まで変化する。つまり、光軸方向の位置精度が、おおよそ±120μmと大きな許容値で調整が可能ということになる。したがって、本発明に係る光モジュールでは、多少の角度ずれを許容しても、位置精度の許容値が大きい光路長の調整をすることで、光学結合の効率の最適化が図れるとともに、部品精度もそれだけ緩くて済むこととなる。
【0031】
これに対して、ミラーホルダ10をあらかじめファイバホルダ6に固定し、このファイバホルダ6をパッケージ5に対して浮かせた状態(Z方向に移動可能な状態)にして、ミラー9と光ファイバ2とを同時にX−Y−Z方向に調整してもモジュール化は可能と考えられる。しかしながら、ファイバホルダ6をパッケージ5に固定するための接続部品が、別途必要となり、コストアップになるうえ、サイズの制約や、安定性の面でも本発明に係る構造の光モジュールより不利になると思われる。
【0032】
(実施例2)
図3は、本発明に係る実施形態の他の一例を示すものであり、電界吸収型光変調器(EAM)とフォトダイオード(PD)とをモノリシック集積したPD−EAM素子を用いた多ポート光モジュールの構造図である。図3では、内部構造が分かりやすいように、中心線より左側を断面図とし、右側を外観図としている。
【0033】
図3に示す多ポート光モジュールは、光素子としてPD−EAM素子15を用いて、光−光制御により光信号の制御を行なうものである。PD−EAM素子15は、EAM部分では素子基板に平行な方向(Y方向)に光信号が入出力され、PD部分では素子基板に垂直な方向(Z方向)から光信号が入力される構成である。
【0034】
光モジュールは、金属製の箱型のパッケージ12の内部に、PD−EAM素子15を保持するサブマウント14を有しており、PD−EAM素子15を冷却するペルチェクーラー13を介して、パッケージ12の底部に取付けられている。PD−EAM素子15は素子サイズが小さく、その両端において、高効率の光学結合をしなければならない。そのため、サブマウント14は、逆T字形の形状をしており、その中央の凸部の突端にPD−EAM素子15を搭載している。又、その凸部の両側には、PD−EAM素子15に近接して第1レンズ16が設けられており、レンズホルダ17を介してサブマウント14に固定されている。
【0035】
パッケージ12の側面には、それぞれEAM用の光入出力ポート20が設けられており、2つの光入出力ポート20が、パッケージ12の長手方向において、対面するように設けられている。又、パッケージ12の気密封止のため、パッケージ12の光入出力ポート20の内面側には、気密封止用のガラス窓19が設けられている。光入出力ポート20には、EAM用光ファイバ24をパッケージ12内部のPD−EAM素子15と光学結合させる第2レンズ21が設けられており、EAM用光ファイバ24は、フェルール23を介してフェルールカラー22によりパッケージ12へ固定されている。
【0036】
パッケージ12は、その上部から気密封止用の蓋18が溶接されて封止されている。蓋18にも、光の入出力ポートとして、PD用の光入出力ポート25が設けられており、パッケージ12の気密封止のため、蓋18の光入出力ポート25の内面側にも、気密封止用のガラス窓19が設けられている。
【0037】
光入出力ポート25は、本発明に係る構造を有するものであり、PD用光ファイバ28をパッケージ12(第2の筐体に該当)内部のPD−EAM素子15と光学結合させるPD用レンズ26と、ミラーホルダ31に保持されたミラー30(光反射手段)とを有しており、円筒状のファイバホルダ27(第1の筐体)の端部から内部へ挿入されるように配置されている。PD用光ファイバ28は、フェルール29(光ファイバ支持手段)によりファイバホルダ27の側面へ固定されており、PD−EAM素子15への入射光軸に対して略垂直になるように配設されている。したがって、EAM用光ファイバ24と同じ方向に、PD用光ファイバ28が設けられることとなり、光ファイバの実装性の向上を図ることが可能となる。このような光ファイバの配置としても、光入射時には、PD用光ファイバ28からの光信号を、ミラー30によりPD−EAM素子15方向へ屈折させ、光入出力ポート20の光の伝播方向に対して略垂直方向に入射するようにしている。
【0038】
図示していないが、パッケージ12の他の側面には、複数の電極ピンが設けられており、この電極ピンにより基板上に実装可能となる。又、この電極ピンにより、パッケージ12内部に設けられたPD−EAM素子15のPD部分、EAM部分やペルチェクーラー13等に電気を供給している。PD−EAM素子15では、光入出力ポート25から光信号を供給することで、PD−EAM素子15内部のPD素子を制御しており、そのPD素子からPD−EAM素子15内部のEAM素子を制御する信号が供給されて、PD用光ファイバ24の光信号を制御している。
【0039】
本発明に係る上記構造の多ポート光モジュールを用いることで、PD用光ファイバをEAM用光ファイバと平行に出すことが可能となり、基板への実装密度を大幅に改善することができた。
【0040】
次に、上記構造の多ポート光モジュールの製造方法を説明する。PD−EAM素子15はサイズが数100μm角と小さく、しかも両端面と上部の三方に高効率の光学結合を行なう必要がある。
【0041】
多ポート光モジュールでは、サブマウント14の中央部の凸部の突端にPD−EAM素子15を搭載し、その両側に近接して光学結合用の第1レンズ16を設置して固定する。そして、これを気密封止するため、パッケージ12の内部に設置し、その上から蓋18を溶接して封止する。その後、パッケージ12側面の気密封止用のガラス窓19を通して、第2レンズ21と光ファイバ24をそれぞれ独立に光学調心して、PD−EAM素子15に対して光学結合を行なう。なお、各光入出力ポート20に対して、2枚のレンズを用いるのは製造上の歩留りを上げるためと光学結合の安定性を確保するためである。
【0042】
その後、PD用光入出力ポート25の蓋18への接合を、実施例1と同様の手順を用いて行なう。つまり、ミラーホルダ31を用いてミラー30をZ方向に微調し、ファイバホルダ27をX−Y方向に調整して、光学結合の最適な位置を決定した後、溶接固定する。この時、PD−EAM素子15内部のPD部分の受光電流を測定しながら、X−Y−Z方向の調整を行って位置決めを行なっている。なお、PD−EAM素子15のPD部分への光軸の位置精度は比較的緩いため、本多ポート光モジュールでは、一枚レンズで光学結合をさせている。
【0043】
本実施例では製造を容易にするため、レンズ26をファイバホルダ27と一体化した構成にしている。基本的な動作は、実施例1の光モジュールとほぼ同様であるが、光路長の変動幅(許容値)は、図2と同様の結合系である場合、±70μm程度と多少狭くなっている。しかしながら、部品加工精度は±50μm程度であれば十分量産可能な範囲であるので、問題とはならない。
【0044】
なお、上記実施例1、2では、光反射手段としてミラーを用いているが、光学的に同等な効果が得られるプリズムをミラーの代りにミラーホルダに装着したところ、実施例1、2と同等の効果を得ることができた。又、光反射手段として凹面鏡を用いることも考えられ、凹面鏡を用いる場合、レンズを省略する構成とすることができる。
【0045】
又、本発明の光素子はLD素子やPD−EAM素子に限られるものではなく、PDやLEDに対しても同様に適用可能である。又、その目的も高速用に限定されるものではなく、部品の配置上、光ファイバの取付方向を任意の角度(ミラーの取付角で対応)に配置したい場合にも、本発明を広く適用できる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、光素子の光軸方向に調整して固定できるようにミラー等の光反射手段が設けられたので、光軸調整を精度よく行なうことができ、最終的な溶接位置を従来同様にZ軸対称とすることができる。その結果、従来の製造設備を活用することが可能となり、生産性良く低コストで製造することができることとなる。又、その際に製造設備を更新せずに済むので、特に、試作品や特注品など少量多品種の生産には有効である。更に、光ファイバの取付方向を任意の方向に配置できるため、光ファイバの実装性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の一例を示す光モジュールの構成図である。
【図2】図1に示した光モジュールの光学系の配置図である。
【図3】本発明に係る実施形態の他の一例を示す光モジュールの構成図である。
【図4】LD素子を用いた従来の光モジュールの構成図である。
【符号の説明】
1 LD素子
2 光ファイバ
3 フェルール
4 ステム
5 パッケージ
6 ファイバホルダ
7 電極ピン
8 レンズ
9 ミラー
10 ミラーホルダ
a 溶接点
Claims (3)
- 光ファイバを支持する光ファイバ支持手段と、
前記光ファイバ支持手段を固定する第1の筐体と、
光素子が固定された第2の筐体と、
前記光素子と前記光ファイバとを光学結合させる光反射手段と、
前記光素子の光軸と前記光ファイバの光軸に対して所定の角度を有する保持面に前記光反射手段を保持する保持部材とを有し、
前記光ファイバ支持手段は、前記光ファイバの支持方向が前記光素子の光軸方向に略垂直になるように、前記第1の筐体に固定され、
前記保持部材は、前記第1の筐体の端部の開口部から前記第1の筐体の内部に挿入されて、前記光ファイバとは独立して前記光素子の光軸方向に移動可能であり、
前記光反射手段により前記光素子と前記光ファイバとが光学結合するように、前記第2の筐体に対する前記第1の筐体の位置を、前記光素子の光軸方向に垂直な方向に調整し固定すると共に、前記第1の筐体における前記保持部材の位置を前記光素子の光軸方向に調整し固定したことを特徴とする光モジュール。 - 請求項1に記載の光モジュールにおいて、
前記光反射手段をミラー又はプリズムとしたことを特徴とする光モジュール。 - 請求項1又は請求項2に記載の光モジュールを製造する光モジュールの製造方法であって、
前記光素子を前記第2の筐体に固定し、
前記光ファイバ支持手段を用いて、前記光ファイバを支持すると共に、前記光素子の光軸方向に対して前記光ファイバの支持方向が略垂直になるように、前記光ファイバ支持手段を前記第1の筐体に固定し、
前記保持部材の前記保持面に前記光反射手段を固定すると共に、前記保持部材を前記第1の筐体の端部の開口部から前記第1の筐体の内部に挿入し、
前記第2の筐体に対する前記第1の筐体の位置を、前記光素子の光軸方向に垂直な方向に調整すると共に、前記第1の筐体における前記保持部材の位置を、前記光素子の光軸方向に移動することにより、前記光反射手段の位置を前記光素子の光軸方向に調整して、前記光ファイバと前記光素子との光学結合が最適となる位置を決定した後、
前記保持部材を前記第1の筐体に固定して、前記第1の筐体を前記第2の筐体に固定することを特徴とする光モジュールの製造方法。
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