実施の形態1.
本発明の実施の形態1は、特に通話音声の送受信に関するものであり、通話音声データの重要度によって異なる品質の転送経路を選択して通信を行う移動体通信システムについてである。
以下、実施の形態1について説明する。第1図はこの発明の実施の形態1に係わる移動体通信システムをVoice over IP(以下、VoIPと呼ぶ)システムに適用した場合の機器構成を表すブロック図である。VoIPシステムとは、インターネット上で音声通話を実現する技術であり、電話網のインフラをデータネットワークと統合することで、回線の稼働率を上げ、通信コストを下げるなどの目的がある。
第1図において、1はIPアドレスを持ち、VoIP通信が可能な、通信方式としてIMT−2000(International Mobile Telecommunications−2000)方式を採用した移動体端末、2は基地局、3は基地局制御装置、4はコアネットワーク、7は固定公衆網、8は電話機、9はIPルータ、10はメディアゲートウェイ、21は無線回線、22は有線回線、23は基地局制御装置−コアネットワーク有線回線、25はIPルータ9とメディアゲートウェイ10間でデータ転送を行うトランスポートネットワーク、26a、26b、26cはそれぞれ無線回線21および基地局制御装置−基地局有線回線22に渡って設定されたトランスポートチャネルであり、通信開始前から要求されるビット誤り率(以下、要求品質と呼ぶ)が予め設定されており、後述する誤り訂正符号化やレートマッチングによってその要求品質を満たすようにする。ここでは、トランスポートチャネル26a、26b、26cの順に要求品質が高いものとする。
本発明の実施の形態1では、音声符号化方式として、第3世代の携帯電話方式の日欧標準である「W−CDMA」規格の音声符号化方式として採用されたAdaptive Multi−Rate(以下、AMR)方式を用いる。
AMRは、8つの符号化レートを持ち、雑音符号帳として簡単な代数符号を使用する代数CELP(Code Excited Linear Prediction;符号励振線形予測)符号化方式であり、誤り耐性処理として、不均一誤り保護のための符号化データのクラス分け能力を備えている。
不均一誤り保護とは、データ内に他と比較して重要な情報を含むとき、当該重要部分に誤りが生ずるとその後に重大な影響を及ぼすことから、この部分をより強く誤りから保護することである。例えば、一連の通話音声の中でも、受信側が音声と認識するために重要で、欠損や誤りが生じると復号音声に大きな歪を与える部分と、欠損や誤りが生じても再生音声品質にさほど大きな影響を与えない部分のように部分ごとに重要度が異なる。AMRでは一連の音声データ中で重要度の高い順にクラスA、B、Cのクラス分けを行う。本実施の形態1では第2図(a)に示したAMR音声符号化データから第2図(b)に示したように、クラスごとにデータを抜き出して分類したペイロード部34a、34b、34cを生成し、これらの各クラスのみの部分で構成されたペイロード部34a、34b、34cをクラス分けに応じた要求品質のトランスポートチャネル26でパケットの転送を行う。
第3図は、移動体端末1の装置構成例を表すブロック図である。201はアンテナ、202はアンテナ共用器(DUP)、203は受信回路(Rx)、204は周波数シンセサイザ(SYN)、205は送信回路(Tx)、206はCDMA信号処理部、207は送受信データ処理部、208はAMR音声コーデック、209はPCM音声コーデック、210、213はアンプ、211はスピーカ、212はマイクロホン、215は表示部、216はキー入力部、217はROMおよびRAM、220は制御用CPUであり、AMR音声符号化データに対し不均一誤り保護を適用するため、新たな機能としてクラス分けに応じて各パケットを転送するチャネル選択手段220aを含む。
まず、送信系について説明すると、マイクロホン212にて入力された話者の送話信号は、増幅器213にて増幅された後、PCM音声コーデック209に入力され、PCM音声符号化処理が施され、デジタル送話信号に変換されAMR音声コーデック208に入力される。
AMR音声コーデック208では、AMR符号化の際に、上述した不均一誤り保護を行うためのクラス分けによって第2図(a)のような音声データを第2図(b)のようにクラスごとに分類して、送受信データ処理部207に入力する。
送受信データ処理部207ではそれぞれ入力されたパケット31a、31b、31cのヘッダ部33a、33b、33cに制御用CPU220より入力される制御情報を順次付加し、後述するプロトコル処理を行った後、CDMA信号処理部206に入力する。ここで、新たな機能としては、制御用CPU220のチャネル選択手段220bによって、各パケットのクラスごとに、要求品質の異なるトランスポートチャネル26a、26b、26cを選択し、クラスAのパケット31なら要求品質の高いトランスポートチャネル26aに、クラスCならば要求品質の低いトランスポートチャネル26cで転送するように割り当てを行う。
CDMA信号処理部206では、制御用CPU220の制御に応じてトランスポートチャネル26の要求品質を満たすよう誤り訂正符号化方法やレートマッチング等のパラメータ制御を行い、また基地局装置2より割り当てられた符号を用いて、各パケット31に対して拡散処理を施した後、直交変調処理などを行い、送信用の中間周波数信号を生成する。
この中間周波数信号は、送信回路205において、周波数シンセサイザ204から発生される送信局部発振信号とミキシングされて、無線周波数に周波数変換され、アンテナ共用器202を介してアンテナ201に入力され、このアンテナ201により基地局装置2に向け送信される。
次に、受信系について説明すると、基地局装置2より各トランスポートチャネル26で転送されてきたクラスごとに分類されたパケット31の無線周波数の受信信号は、アンテナ201で受信された後、アンテナ共用器202を介して受信回路203に入力される。受信回路203では、上記受信信号が周波数シンセサイザ204から出力された受信局部発振信号とミキシングされて中間周波数に周波数変換される。なお、上記周波数シンセサイザ204から発生される受信局部発振信号の周波数は、制御用CPU220から出力される制御信号によって指示される。
上記中間周波数の受信信号はCDMA信号処理部206に入力される。CDMA信号処理部206では、制御用CPU220によってその動作が制御され、上記中間周波数の受信信号に直交復調や逆拡散処理などのCDMA信号処理をおこない、自局宛のパケット31を組み立てる。
CDMA信号処理部206で組み立てられた各クラスのパケット31は送受信データ処理部207に入力され、ヘッダ部33とペイロード部34とに分離される。この内、各種制御情報からなるヘッダ部33はペイロード部34と分離して制御用CPU220に入力され、ペイロード部34はヘッダ部33の制御情報に基づいた制御用CPU220からの指示に従って、AMR音声コーデック208に入力される。
AMR音声コーデック208に入力されたペイロード部34a、34b、34cのAMR音声符号データからPCM音声符号データに変換され、PCM音声コーデック209に入力される。
そして、PCM音声符号データからアナログ音声信号に変換され、増幅器210にて増幅された後、スピーカ211より出力される。
以上のように、制御用CPU220は、各部を統括して制御し、基地局と通信リンクを開設して通信を行うための制御を行うもので、新たな制御機能としては、送受信データ処理部207において、AMR方式のクラス分けによって生成したパケット31を転送するトランスポートチャネル26を当該クラスに従って選択するチャネル選択手段220cが挙げられる。
第4図(a)は、主に移動体端末1の送受信データ処理部207で行われるプロトコル処理の階層構造を示し、(b)は各レイヤにおけるパケット構成を表す図である。一般に、通信のための手続や約束事(プロトコル)は、OSI(Open System Interconnection)モデルと呼ばれる標準モデルに則って構成されている。VoIPシステムもOSIモデルに則って構成されている。OSIモデルは、物理層、データリンク層、ネットワーク層、トランスポート層、セッション層、プレゼンテーション層、アプリケーション層の7階層からなる。
物理層は、実際の伝送媒体の維持管理を担当し、データリンク層は物理層の電気信号からパケットを認識する役割を担当し、ネットワーク層は端末間の転送経路の提供を担当し、トランスポート層は通信品質の保証を担当し、セッション層は通信開始や終了に関係し、プレゼンテーション層では、パケットから各種データへの変換を担当し、アプリケーション層で実際のデータ処理を担当する。
第4図(a)において、100は無線の送受信に必要なアンテナ201、アンテナ共用器202、受信器203、送信器205、周波数シンセサイザ204、CDMA信号処理部206などの物理レイヤ、101はデータリンク層の一部であるMedia Access Control(MAC)レイヤ、102はデータリンク層の一部であり、再送による誤り訂正を行うRadio Link Control(RLC)レイヤ、103はデータリンク層の一部であり、ネットワーク層のデータ単位ごとにRLCにマッピングするPacket Data Convergence Protocol(PDCP)レイヤ、104はネットワーク層のプロトコルであるInternet Protcol(IP)レイヤ、105はトランスポート層のプロトコルであり、その下位層にあるIPパケットをほぼそのまま上位階層のアプリケーションから使えるようにしたUser Diagram Protcol(UDP)レイヤで、処理が簡単で、高速という特徴がある。106はトランスポート層のプロトコルであり、画像や音声などをリアルタイムでやり取りする場合に適しているReal−time Transfer Protcol(以下、RTPと呼ぶ)レイヤ、107はAMR方式の音声符号化および復号を行い、また符号化の際の不均一誤り保護のクラスによってパケットを生成し、重要度情報をヘッダ部に付与するAMRレイヤ、また、30は音声入力されたデータである。
なお、RTPレイヤ106はRTPおよびそのサブプロトコルであるReal−time Transfer Control Protocol(以下、RTCPと呼ぶ)を用いている。RTPは、通信品質を決定するトランスポート層のプロトコルのことであり、データ転送時の再送制御、ビジー制御を行わずプロトコル処理の負担を軽くしている。RTCPは、RTPをサポートするプロトコルであり、周期的に回線品質を評価し、その帯域に見合ったリアルタイム通信を実現する。
物理レイヤ100より上のMACレイヤ101からRTPレイヤ106までが主に送受信データ処理部207と制御用CPU220の協働によって実現されている。各レイヤのプロトコルは上述のように構成されており、各レイヤは通信すべきパケットに、各レイヤごとのヘッダ情報を、送信の場合は付加、また受信の場合は削除して隣接するレイヤに受け渡す。
例えば、移動体端末1から送信を行う場合、図4(b)に示したように、マイクロフォン212より入力された一連の音声データ30を音声符号処理部209で行われるAMRレイヤ107のプロトコル処理において、AMR方式の符号化により符号化し、デジタル信号化してデータをクラスごとに分類した後でパケット化する。そして生成したペイロード34a、34b、34cに、上記のように重要度情報32a、32b、32cを付加してRTPレイヤ106に受け渡す。
ここで、説明の便宜上ペイロード34bに着目すると、RTPレイヤ106ではペイロード部34bのデータタイプ情報(今の場合は音声)、タイムスタンプなどの情報を付加してヘッダ部33bとペイロード34bからなるパケット31bを下位のUDPレイヤ105に受け渡す。
UDPレイヤ105ではこのパケットのヘッダ部33bにさらにUDPヘッダ情報を付加し、次のIPレイヤ104に受け渡す。IPレイヤ104では、送信先と自己のIPアドレス、ネットワーク上でのパケットの生存時間を表すTime To Live(TTL)などを付加し、下位のPDCPレイヤ103に受け渡す。
PDCPレイヤ103では、RTP、UDP、IPヘッダの圧縮を行い、当該圧縮方法を識別するパケットIDなどをPDCPヘッダとして付加するなど、従来のPDCPレイヤ機能の他、本実施の形態1の特徴である、パケットのクラスから、当該パケットの転送品質を決定する。
RLCレイヤ102では再送による誤り訂正を行うが、本実施の形態のように音声データの通信時には再送制御は行わないのでRLCヘッダは必要ない。そのため、データはそのままMACレイヤ101に受け渡される。MACレイヤ101を介して、最終的に物理レイヤ100で無線信号に変換されて相手側に向けて送信される。
逆に、受信の場合は、下位レイヤから順にパケットの処理を行う。そして、最上位のAMRレイヤ107において、上述したように、AMRコーデック208において復号して音声再生を行う。
以上のようなプロトコル処理を行って、パケットの送受信を行う。
第5図は、各レイヤ間のチャネル構成について示した図である。IMT-2000の無線インタフェースにおけるチャネル構成は、物理チャネル、トランスポートチャネル、および論理チャネルの3階層のチャネル構成をとっている。第5図において、24は物理チャネル、26はトランスポートチャネル、27は論理チャネルである。その他、第4図と同じ構成要素には同じ符号を付す。
論理チャネル27はMACレイヤ101からRLCレイヤ102に提供されるチャネルである。論理チャネル27は伝送信号の機能や論理的な特性によって分類され、転送されるデータ内容によって特徴づけられる。トランスポートチャネル26は物理レイヤ100からMACレイヤ101に提供されるチャネルである。トランスポートチャネル26は、伝送形態によって分類され、無線インターフェースを介してどのような情報がどのような要求品質で転送されるかで特徴づけられる。
本実施の形態1においては、上位論理チャネル27とトランスポートチャネル26とは1対1の関係で結ばれておりMACレイヤ101では、特にチャネルの多重、分離を行わずに隣接するRLCレイヤ102または、物理レイヤ101にパケットを受け渡すのみである。また、RLCレイヤにおいても再送制御等を行わないため特にヘッダなどを付けるなどのプロトコル処理は行わずに隣接するレイヤにパケットを受け渡す。従って、パケットのクラスに応じた当該パケットのトランスポートチャネルへの割り当てはPDCPレイヤ103において行っている。
物理チャネル24は物理レイヤ100の機能を考慮して分類されており、拡散コードと周波数、さらに送信の場合は、変調の位相などで特定される。第5図では物理チャネルが1本だけの場合を示している。物理チャネル24上に複数のトランスポートチャネル26を多重化して伝送することにより、ユーザデータと制御情報の多重化や、マルチコールに伴う複数のユーザデータの多重伝送が可能となる。
物理チャネル24は、一定のビットレート(例えば、音声通話の一例は12.2kbps)を持った無線回線である。IMT−2000方式では、この物理チャネル24は、一定の周期ごとに拡散コードを繰り返して使用し、他のユーザと自己とを識別できるようにするが、物理チャネル24に各トランスポートチャネル26を多重するとは、即ち、拡散コードが繰り返される区間(以下、無線フレームと呼ぶ)の中に各トランスポートチャネル26のデータを時間多重して送信することである。
第6図に、1無線フレーム中に各トランスポートチャネル26のパケットを多重したものを示す。第6図に示したように1無線フレーム(例えば、10msec)の中に含まれるビット数は、データレートによって決定されるが、要求品質が高いトランスポートチャネル26のデータブロック(上記クラスAのパケット)は比較的多くのビット数を、要求品質が低いトランスポートチャネル26のデータブロック(上記クラスCのパケット)には比較的少ないビット数を割り当てる。トランスポートチャネル26に割り当てられるビット数は後述する誤り訂正符号化やレートマッチングなどで柔軟に変化させることが可能である。
また、受信側で1無線フレーム内で、どのデータがどのトランスポートチャネル26のものであるかが認識できるように、各トランスポートチャネル26のデータブロックの制御情報に識別番号を格納する。どの番号がどのトランスポートチャネル26を表すかは、予め通信開始時に基地局制御装置3から移動体端末1に通知される。
第7図は本発明の移動体通信システムの各構成機器のプロトコルスタックを表す図である。第2図と同じ構成要素には同じ符号を付す。108は、Asynchronous Transfer Mode(ATM)レイヤであり、53バイトのセル(5バイトのヘッダ、48バイトのペイロード) により、音声・映像・データなどの異なったタイプのトラヒックを同時に伝送する。109は、ATM Adaptation Layer type2(AAL2)レイヤであり、送信側で上位のプロトコルからのトラヒックをATMセルのペイロード部に格納できるサイズ・フォーマットに変換し、受信側で元のフォームに戻すためのプロトコルである。タイプ2では、可変速度の音声および映像を扱う。110は、Frame Protocol(FP)レイヤであり、無線の送受信タイミング、受信時のビット誤り率(以下、受信品質と呼ぶ)情報などを扱う、111はイーサネット(登録商標)(富士ゼロックス社の登録商標である。以下同じ。)などによって実現される通信回線である。
移動体端末1は第4図で説明した通りのプロトコルスタックを有する。基地局装置2は基地局制御装置3から送られてきたデータを、AAL2レイヤ109aでパケットに組み立て、FPレイヤ110aにおいてFPヘッダに格納された情報より無線回線の通信品質および送信タイミングを決定し、物理レイヤ100bから移動体端末1に転送する。逆に、移動体端末1からデータが伝送されてくる場合は、物理レイヤ100bから介して受け渡されたパケットはFPレイヤ110aにおいて、FPヘッダに受信タイミングを記録してAAL2レイヤ109aに受け渡され、AAL2レイヤ109aにてパケットをATMセルに変換してATMで転送する。
また、基地局制御装置3は、基地局装置2側はPDCPレイヤ103b、RLCレイヤ102b、MACレイヤ101b、FPレイヤ110b、AAL2レイヤ109b、ATMレイヤ108bから構成されており、IPルータ9側とはイーサネット(登録商標)などのLAN回線で非同期転送モードによってデータ転送を行うレイヤ構成となっている。
IPルータ9はこの図では1つしか示していないが、実際は複数のIPルータ9がイーサネット(登録商標)などのLAN回線で互いに接続されてコアネットワーク4を形成しており、パケット31のヘッダ部33をIPレイヤ104cにおいて読み取り、送信相手のIPアドレスと送信元のIPアドレスから次に転送すべきIPルータ9に非同期転送モードでデータを転送していく。
メディアゲートウェイ10は、固定公衆網と接続し、公衆網からの音声等のデータとIPパケットとの変換を行う装置である。イーサネット(登録商標)111dの上位レイヤはIPレイヤ104b、UDPレイヤ105b、RTPレイヤ106b、AMRレイヤ107bで構成され、AMRレイヤ107bにて電話機8でPCM方式で符号化された音声をAMR方式で符号化、また移動体端末1から電話機8に通信する場合は、AMR方式からPCM方式へ変換してそれぞれに転送する。
その際、AMRによる符号化、復号化に伴って、クラス分けに基づいたパケット生成を第2図(a)、(b)に示したように行う。基地局制御装置3に向けて転送する場合には、IPレイヤ104bにて、基地局制御装置3で移動体端末1に転送するトランスポートチャネル26の品質を選択するための重要度情報をIPヘッダに付与して転送する。当該重要度情報は基地局制御装置3にてトランスポートチャネル26を選択するための情報であり、メディアゲートウェイ10から基地局制御装置3に転送される時のみに付与され、基地局制御装置3のPDCPレイヤ103bでトランスポートチャネル26が選択された後は、不要なデータであるので削除してから移動体端末1に転送する。
一方、移動体端末1から送信される各クラス別のパケット31については、1つの装置内で音声符号化データのパケット化とチャネル選択を行うため重要度情報を付与する必要はない。
次に、第8図は、基地局制御装置3の構成例の要部を表すブロック図である。基地局制御装置3は、制御部301、AAL2レイヤ分離/合成部302、送受信データ処理部303、フレームクロック同期装置304、バスライン305、基地局インターフェース306を有する。
例えば、電話機8からメディアゲートウェイ10、IPルータ9を介して転送されてきたユーザ情報(音声など)のATMセルをAAL2レイヤ分離/合成部302で、パケット31に組み立て、送受信データ処理部303でそのパケット31のヘッダ情報33を分離して制御部301に送り、制御部301では、メディアゲートウェイ10にて付与された重要度情報に基づいてPDCPレイヤ103bにおいてトランスポートチャネル26の決定を行い、バスライン305、基地局インターフェース306を介して、受信者が存在するセルの基地局装置2a…2nにユーザ情報を転送する。
制御部301は各部を統括して制御し、無線回線の回線接続制御、ハンドオーバー制御などを行う。新たな機能としては、移動体端末1に対して送信を行う場合に、送受信データ処理部303において行われるプロトコル処理でパケット31のIPヘッダに含まれた重要度情報を読み取り、その重要度情報にあったトランスポートチャネル26を選択し、基地局装置2に制御情報を送出するチャネル選択手段301aがある。
フレームクロック同期装置304は、基地局制御装置3と基地局装置2と移動体端末1との送受信タイミングを決定するための装置である。各装置はそれぞれ独立したカウンタを有するが、それぞれのカウンタを調べて、移動体端末1との通信に先立つ回線接続の際、実際のメッセージが受信するタイミングを移動体端末1に通知したり、カウントにしたがって基地局装置2に送受信タイミングを指示する。
第9図は基地局装置2の構成例を表すブロック図である。基地局装置2は、有線伝送路インターフェース401、ベースバンド信号処理部(BB)402、制御部403、無線部(TRX)404、送信増幅器405、受信増幅器406a…406n、受信増幅制御器407、アンテナ408から構成される。
基地局装置2は、基地局制御装置3からパケット31と当該パケット31を転送すべきトランスポートチャネル26の情報を有線伝送路インターフェース401を介して受信すると、制御部403は、ベースバンド信号処理部402が行う、トランスポートチャネル26の要求品質に合わせた誤り訂正符号化やレートマッチングなどの制御を行うとともに、無線送信フレーム化、拡散変調などを行い、無線部404でパケット31をD/A変換し、直交変調により無線周波数信号に変換し、送信増幅器405で所要のアンテナ入力レベルまで電力増幅して移動体端末1にパケット31を転送するよう送信制御を行う。
一方、移動体端末1から無線信号を受信すると、例えば受信増幅器406aで増幅し、ベースバンド信号処理部402で逆拡散、誤り訂正復号、データの多重分離などを行い有線伝送路インターフェース401を介して基地局制御装置3にパケット31を転送する。
実際の受信品質がトランスポートチャネル26の要求品質を満たすため、以下のように誤り訂正符号化およびレートマッチングを行う。第10図はトランスポートチャネルを物理チャネルに多重化するステップを表すブロック図である。第10図(a)は送信時、(b)は受信時を表す。
まず、第10図(a)において、上位レイヤからのパケット31は物理レイヤ100aにおいてトランスポートチャネル26のデータブロックごとに誤りを検出するためにCRC(Cyclic Redundacy Check)符号付加ブロック501でCRC符号を付加された後、誤り訂正符号化ブロック502でトランスポートチャネル26の要求品質と受信品質とを比較し最適な強度で誤り訂正符号化される。そして、同様にトランスポートチャネル26の品質に合わせてレートマッチングブロック503にてレートマッチングが行われた後、インターリーブブロック504でインターリーブ(データの一個所に誤りが集中しないように、データの順序を入れ替えること)してチャネル多重化ブロック505で各トランスポートチャネル26の物理チャネル27への多重化が行われる。
受信の場合は、第10図(b)のように、逆拡散され、送信電力制御に用いる希望波信号電力対干渉波信号電力比(Signal−to−interference power ratio、以下、SIRと呼ぶ)の測定などが行われた受信信号を、デインターリーブブロック506で元の形にインターリーブし直し、誤り訂正復号ブロック507でトランスポートチャネル26ごとに復号され、データ判定されて送信データ系列が再生される。再生データ系列から各トランスポートチャネル26への分離およびブロック誤り率の検出が行われ、上位レイヤに転送される。
トランスポートチャネル26の要求品質を満たすために、誤り訂正符号化やレートマッチング、SIR測定による送信電力制御などを行う。上記したように要求品質とは、トランスポートチャネル26ごとに要求される受信時のビット誤り率のことであり、要求品質が高いトランスポートチャネル26はビット誤り率が低いことが要求され、要求品質が低いトランスポートチャネル26はビット誤り率が高くてもよいことを表す。
本実施の形態1では、1つの物理チャネル24に対し複数のトランスポートチャネル26が多重し、誤り訂正符号化方法およびレートマッチング、SIRによって受信品質が要求品質を満たすようにする。物理チャネル24は一定のビットレートを持った無線回線であって、1無線フレーム中に含まれるビット数は一定になる。上述したように、この無線フレームの中に各トランスポートチャネル26のデータブロック(上記クラスA、B、Cのパケット)を時間多重してビットの割り当てを行う。そのため、誤り訂正符号化処理およびレートマッチングによって、上記クラスA、B、Cのパケット31a、31b、31cのビット数を調整して、高品質なトランスポートチャネル26は1無線フレームに含まれるビット数を比較的多くし、要求品質が低いものは1無線フレームに含まれるビット数を比較的少なくする。そして、1無線フレームに含まれる各トランスポートチャネル26のデータブロックのビット数の和が、物理チャネル24の1無線フレームに含まれるビット数と等しくなるようにする。
誤り訂正符号化ブロック502では、誤り訂正の符号化方法として、通話音声データの場合は一般的に畳込み符号化を用いる。その際、各トランスポートチャネル26のデータブロックの受信品質と要求品質とを比較して、受信品質が要求品質を満たしていないならば、誤り訂正符号化率(誤り訂正符号化率=正味の伝送容量/全伝送容量(正味+誤り訂正用の伝送容量)、値が小さいほど誤り訂正のための情報が増えるため、移動体での受信等の厳しい受信環境に適する)を小さくし、要求品質を満たしているならば、符号化率を現在のまま変更しないか、大きくする。
次に、誤り訂正符号化を行った後の送信データの符号化ビット系列に対して、物理チャネル24に多重化する各トランスポートチャネル26の要求品質に応じてレートマッチングを行う。レートマッチングとは、物理チャネル24の1無線フレームに時間多重化する誤り訂正符号化されたトランスポートチャネル26のデータブロックに対して、一定周期で当該送信データのビット系列を繰り返して挿入(Repetition)、または、間引き(Puncture)を行うことで、柔軟にトランスポートチャネル26のデータブロックのデータサイズを変化させ、1無線フレームに含まれるビット数に対して割り当てを行うことである。
このように、ビットの挿入や間引きを行い、各トランスポートチャネル26のデータブロックのビット数の和が物理チャネル24の1無線フレームのビット数になるように調整する。
さらに、トランスポートチャネル26の要求品質に応じて物理チャネルのSIRを変化させ、送信電力制御を行うことで品質を変化させる。
各トランスポートチャネル26の受信品質は基地局制御装置3によって監視され、上記のパラメータを要求品質を満たすように制御されるが、回線状況が悪く、誤り訂正符号化およびレートマッチングによっても要求品質を満たせない場合は、通信は正常に行われず、回線が切断される場合もある。
各トランスポートチャネル26の要求品質と受信品質とを比較して、どのように誤り訂正符号化およびレートマッチングを行うかは、実現するシステムの仕様に応じて設定すればよい。
本実施の形態1では物理チャネル24を1本のみとしたが、上記のように各トランスポートチャネル26と1対1の複数の物理チャネル24を用意してもよい。その場合、CDMA方式では複数のユーザーが同じ周波数帯域を使用し、拡散コードによって移動体端末1を識別するが、拡散コード同士が完全に直交しているわけではないので、移動体端末1同士で干渉を起こしあうため、送信電力値が強い方がビット誤り率は低くなる。そのため、要求品質が高いトランスポートチャネル26に対応した物理チャネル24は高い送信電力で送信し、要求品質が低いトランスポートチャネル26に対応した物理チャネル24は比較的低い送信電力で送信する。送信電力制御は、SIR値を受信時に計測し、当該計測SIR値が各トランスポートチャネルごとに設定された目標SIR値の値を満足するように、送信電力を制御する。
これらのパラメータをシステムの仕様に応じて、組み合わせ、あるいは単独で用いて、各パケットの受信品質が各トランスポートチャネル26の要求品質を満たすよう制御する。また、当然ながらここで示した以外のパラメータを適用してもよい。
以上では、同種のデータ内でもデータの重要度ごとにパケットを分類して、重要度の高いデータを確実に転送する場合を示したが、もちろん、制御情報とデータとで重要度を決定してもよい。
例えば、VoIPシステムにおいて用いられる、RTPを格納したパケットとRTCPを格納したパケットでは、RTCPを格納しているIPパケットの優先度が高いため、このポート番号を用いて優先度を決定してもよい。ポート番号とは、UDPヘッダのパラメータであり、1つの端末内でどのデータをどのプログラムに受け渡すかを区別するための番号である。ここでのプログラムとはRTPとRTCPを表す番号のことである。RTPのポート番号は偶数を使用していることが必須であり、RTCPではRTPのポート番号より1つ大きい値を持つポート番号を使用している。このポート番号を重要度情報として用い、重要度の高いRTCPパケットを要求品質が高い回線で転送してもよい。
また、第11図のように、インターネット5を介してデータ端末6との間で、データの授受を行う構成としてもよい。
また、通話音声以外のデータ種であっても、不均一誤り保護などによって、データ内容の重要度ごとに分類してパケットを生成できる場合には、本実施の形態1の適用は可能である。例えば、第12図に示した移動体端末1の装置構成例のように、映像信号処理ブロック214と切替器218を備え、通話音声データ処理ブロックと映像信号処理ブロックとを1つの装置で実現し、通話音声データのみならず映像信号においてもデータ内容の重要度に応じてクラス分けしたパケットを生成し、パケットごとに転送品質を選択する構成としてもよい。
以上のように、本実施の形態1では、パケットを、同種のデータ間でもデータの重要度を分類して、重要度の高いデータを有するパケットを要求品質が高いトランスポートチャネルを用いて転送を行い、確実に受信側に転送することで、効率が良く、音声品質の高い移動体通信システムを実現する。
実施の形態2.
次に、この発明による実施の形態2について説明する。前述した実施の形態1においては、AMR方式の符号化の際行われる不均一誤り保護のためのクラス分けによって生成したパケットを複数のトランスポートチャネルを用いて転送を行うものを示したが、本実施の形態2では、VoIPシステムにおいて、1つのパケットを複数のパケットセグメントに分割し、それぞれのパケットセグメントには後で1つのパケットへ再合成するための同一の識別番号を付与する。そして、ヘッダ情報などの重要なパケットセグメントを要求品質の高いトランスポートチャネルを用い、品質の落ちてもよいペイロード部のパケットセグメントは要求品質の低いトランスポートチャネルを用いて転送し、受信側において再び1つのパケットへ組み立てることで、信頼性が高く、また、低品質でよいセグメントを要求品質の高いトランスポートチャネルを用いて転送することがないため、無線リソースを有効に活用できるものである。
本実施の形態2のシステム構成、各装置の構成は前述の実施の形態1の第1図と同様であるが、移動体端末1と基地局制御装置3の送受信データ処理部207で行われるPDCPレイヤ103のプロトコル処理において、送信の場合は、1つのパケットをヘッダ部とペイロード部に分割し、また受信の場合は分割したパケットを再合成する点で異なっている。
第13図に本実施の形態2の移動体端末1の装置構成例を示す。実施の形態1と同じ構成要素には同じ符号を付し、説明は省略する。第13図において、制御用CPU230は、新たな構成要素としてパケット分割/合成手段230aおよび識別番号分離/合成手段230bを有し、当該手段によって送受信データ処理部207bを制御する。
また、第14図は本実施の形態2の基地局制御装置3の装置構成例を示す。実施の形態1と同じ構成要素には同じ符号を付し、説明は省略する。第14図において、制御部310は、新たな構成要素としてパケット分割/合成手段310a、識別番号分離/合成手段310b、チャネル選択手段310cを有し、当該手段によって送受信データ処理部303を制御する。
次に、動作について説明する。まず、トランスポートチャネル26の品質は実施の形態1で示したパラメータによって制御し、トランスポートチャネル26a、26b、26cの順に要求品質が高いものとする。
電話機8から移動体端末1に音声データを転送する場合、音声データをPCM方式に符号化し、さらにメディアゲートウェイ10にてPCM方式からAMR方式に変換し、IPルータ9を介して基地局制御装置3に転送されるところまでは実施の形態1と同様である。その際、IPルータ9を介して転送されてくるRTP、RTCPのパケットはそれぞれ第15図(a)および第16図(b)のようなパケット構成をしている。
第15図は、本実施の形態2のパケットの構成を表す図である。(a)はIPレイヤ104でのプロトコル処理によってIPヘッダを付加された段階のパケットを示している。(b)ではPDCPレイヤ103におけるパケットを示している。また、第16図は本実施の形態2のRTCPパケットの構成を表す図である。(a)、(b)の順に、それぞれIPレイヤ104、PDCPレイヤ103でのパケット構成を表している。
第15図において、41はヘッダ部43およびペイロード部44からなるパケット、42a、42bはPDCPレイヤ104において付加される同一の数字からなる識別番号である。ヘッダ部43は第15図(a)では、RTPヘッダ43a、UDPヘッダ43b、IPヘッダ43cからなる。さらに(b)では、PDCPヘッダ43dが付加される。
また、第16図において、51はRTCPのパケットである。第16図(a)において、RTCPパケットはRTCPメッセージ54をペイロード部に持ち、ヘッダ部53はUDPヘッダ53a、IPヘッダ53bからなる。さらに、(b)ではPDCPヘッダ53cが付加される。
第15図(a)のパケット41が基地局制御装置3に転送されてくると、第14図のバスライン305を介して基地局装置2に転送される前に、送受信データ処理部303内で行われるPDCPレイヤ103bでのプロトコル処理は、ヘッダ部43の圧縮などの従来の処理の他、パケットの分割の要否と送信に使用するトランスポートチャネル26a、26b、26cへの要求品質を判別するため、RTPパケット41のヘッダ部43とRTCPパケット51のヘッダ部53を調べ、パケットがRTPのパケットか、RTCPのパケットかを判別する。例えば、実施の形態1で述べたようにUDPヘッダ43b、53aに含まれるRTPおよびRTCPを表すポート番号で識別すればよい。
RTPパケット41についてはヘッダ部43に誤りが生じると、正常に受信が行われないなどの問題が起こるが、音声データを格納したペイロード部44については、一部に誤りがあっても音声の品質が部分的に低下するだけである。
一方、RTCPパケット51は、ペイロード部であるRTCPメッセージ54にも制御情報が格納されており、このパケットに誤りが発生した場合には通信に支障が生じる。
そこで、このようなパケットごとの許容されるビット誤り率、即ち要求品質の違いにあわせ、第15図(b)に示したように、RTPパケット41をヘッダ部43、ペイロード部44で分割して別々のパケットセグメントとしてRLCレイヤ102にマッピングする。これが第14図に示した基地局制御装置3の制御部310内のパケット分割/合成手段310aによって行われる。
そして、さらにその際、分割したパケットを受信側のPDCPレイヤ103において再合成できるよう、それぞれのPDCPヘッダ43d、43e内の所定の位置に同一の識別番号42a、42bを付与する。これが制御部310内の識別番号分離/合成手段310bによって行われる。
そして、識別番号42a、42bが付加されたRTPパケット41のヘッダ部43とペイロード部44は、RLCレイヤ102b、MACレイヤ101bを介して、転送品質に合わせてトランスポートチャネル26に割り振られる。これが、制御部310内のチャネル選択手段310cによって行われる。実施の形態1と同様に、本実施の形態2においても、RLCレイヤ102は再送制御を行わず、またMACレイヤ101は論理チャネル27とトランスポートチャネル26が1対1の関係でありチャネルの多重、分離などは行わないため、ともにヘッダなどはつけずにそのまま隣接するレイヤとパケットの受け渡しをする。
基地局制御装置3のMACレイヤ101b以下のレイヤでは、FPレイヤ110bにおいて基地局装置2から移動体端末1に送信を行う無線送信タイミング情報、トランスポートチャネル26の要求品質および回線状況に応じた誤り訂正符号化、レートマッチング、送信電力制御などの制御情報を付加して、ATMで基地局装置2に転送する。
基地局装置2の送受信時の動作は、上記実施の形態1で説明したものと同様であり、有線伝送路インターフェース401を介してそれぞれのパケットセグメントがベースバンド信号処理部402に入力され、制御部403によって転送するトランスポートチャネル26の要求品質と回線状況に合わせて誤り訂正符号化、およびレートマッチングが行われて無線部404、送信増幅器405で直交変調や増幅などが行われて、基地局制御装置3からの無線送信タイミングの指示に従って移動体端末1に送信を行う。
分割後のRTPのヘッダ部43およびペイロード部が移動体端末1へ転送され、音声再生される過程での各装置およびレイヤの処理は上記実施の形態1と同様であるが、制御用CPU230のパケット分割/合成手段230a、識別番号分離/合成手段230b、チャネル選択手段230cによって送受信データ処理部207内で行われるPDCPレイヤ103aでのプロトコル処理において、識別番号45a、45bを認識し、分割したヘッダ部43とペイロード部44とを再合成して、IPレイヤ104aに受け渡す点が異なる。
これを第15図に基づいて説明すると、物理レイヤ100aで受信されたパケット41はMACレイヤ101aおよびRLCレイヤ102aでは特に何も行われず、PDCPレイヤ103aに受け渡される。その際の、RTPパケットのヘッダ部43およびペイロード部44は第15図(b)に示したような構成をしている。
PDCPレイヤ103では、第15図(b)のPDCPヘッダ43d、43eをチェックして、識別番号45aを認識すると、同一の識別番号を有するパケットセグメント同士を探して、それぞれのPDCPヘッダ43d、43eをはずしてヘッダ部43とペイロード部44を第15図(a)のように1つのRTPパケット41に再合成してIPレイヤ104に受け渡す。
そして、IPレイヤ104、UDPレイヤ105、RTPレイヤ106では順次それぞれのプロトコル処理を行い、かつ各ヘッダをはずして上位レイヤに受け渡し、切替器218を介して音声符号処理器209に入力し、AMR方式で復号して音声再生を行う。
RTCPパケット51に関しては、RTPパケット41のように分割を行わない。RTCPパケット51が移動体端末1のRTPレイヤ106に受け渡されると、RTCPメッセージ54に基づいて伝送遅延などの情報からネットワークの品質を検出して回線の制御に利用する。
その他、RTPパケットのペイロード部44は、さらに複数に分割して転送しても良い。分割したデータには上記と同様に同一の識別番号を付与し、ヘッダ部43とペイロード部44が関連付けられるようにしておく。
以上のように、本実施の形態2では、1つのIPパケット内で要求品質が異なるセグメントが存在する場合、そのセグメントごとに分割し、セグメントの要求品質に応じてトランスポートチャネルを選択するため、信頼性が高く、また、低品質でよいセグメントを要求品質の高いトランスポートチャネルを用いて転送することがないため、無線リソースを有効に活用できる移動体通信システムを得る。
実施の形態3.
次に、この発明による実施の形態3について説明する。前述の実施の形態2では、1つのパケットを複数のセグメントに分割して、各セグメントに組み立てのための同一の識別番号を付与するものであったが、要求品質が低いトランスポートチャネルで転送したペイロード部の識別番号が欠損した場合は、ヘッダ部とペイロード部を再合成できなくなる可能性があった。本実施の形態3では、1つのパケットを少なくともヘッダ部とペイロード部のパケットセグメントに分割する点は上記実施の形態2と同じだが、ヘッダ部とペイロード部を組み立てる情報としてペイロード部受信タイミング情報を用い、当該ペイロード部受信タイミング情報をヘッダ部のみに付与する。そして、当該ペイロード部受信タイミング情報を有するヘッダ部は要求品質が高いトランスポートチャネルを用いて転送するため、実施の形態2の識別番号のように低品質で転送するペイロード部には欠損すると問題が発生する情報が含まれない。そのためヘッダ部とペイロード部とを確実に組み立てることができ、より信頼性の高い移動体通信システムである。
第17図は、本発明の実施の形態3のパケット構成を表す図である。第17図(a)は本実施の形態3の基地局制御装置3のRLCレイヤ102bにおけるパケット構成を表す図である。(b)は基地局制御装置3のMACレイヤ101bにおけるパケット構成を表す図である。(c)は基地局制御装置3のFPレイヤ110cにおけるパケット構成を表す図である。
図において、61はパケット、62a、62bはMACレイヤ101においてヘッダ部63に付与されるペイロード部受信タイミング情報であり、ペイロード部受信タイミング情報62aはペイロード部前半64a、ペイロード部受信タイミング情報62bはペイロード部後半64bのペイロード部受信タイミング情報である。63f、63g、63hは基地局制御装置3のFPレイヤ110bにおいて付加されるFPヘッダであり、基地局装置2に通知する、それぞれのパケットセグメント63、64a、64bの無線送信タイミングを含んでいる。
第18図は、本実施の形態3の基地局制御装置3におけるレイヤ間のチャネル構成を表す図である。説明のためにチャネル数など簡略化しており、実際にシステムを構築する際にはこれより多数のチャネルを設定しても問題はない。27dは論理チャネル、26dは要求品質が高いトランスポートチャネル、26eは要求品質が低いトランスポートチャネルである。
さらに、基地局制御装置3の装置構成例を第21図に示す。制御部320には新たな構成要素としてパケット分割/合成手段320a、ペイロード部受信タイミング情報分離/合成手段320b、チャネル選択手段320cが含まれている。
次に動作について説明する。IPルータ9から転送されてきたパケット61は、基地局制御装置3のPDCPレイヤ103bにおいてヘッダ63の圧縮を行い、パケットIDなどを含んだPDCPヘッダ63dを付加されて、RLCレイヤ102bを介してMACレイヤ101bに受け渡される。第17図(a)に示したようにRLCレイヤ102bでは再送制御を行わないので、パケット61の構成はPDCPレイヤ103bにおける構成と変わらない。
MACレイヤ101bにおいて、第17図(b)のように、ペイロード部前半64aとペイロード部後半64bを移動体端末1がどの無線フレームのタイミングで受信するかを示すペイロード部受信タイミング情報62a、62bが付加され、ヘッダ部63とペイロード部前半64aおよび後半64bの分割が行われる。
当該ペイロード部受信タイミング情報62a、62bはヘッダ部63に対してペイロード部64a、64bの相対的な受信タイミング、即ち受信時の無線フレームタイミングのずれを示す情報であり、受信側の移動体端末1のMACレイヤ101aにおいて、ペイロード部64a、64bの順番を認識することに用いられる。
ペイロード部受信タイミング情報62a、62bを付加されたパケット61はヘッダ部63とペイロード部前半64a、ペイロード部後半64bとに分割され、ヘッダ部63は第17図の要求品質が高いトランスポートチャネル26d、ペイロード部前半64aおよび後半64bは要求品質が低いトランスポートチャネル26eでFPレイヤ110bに受け渡される。
FPレイヤ110bでは第17図(c)に示されたように、それぞれのパケットセグメントに基地局装置2で使われる自己の無線送信フレームのタイミングが含まれたFPヘッダ63f、63g、63hをそれぞれ付加され、AALレイヤ109bに受け渡され、それぞれATMセルに再構成されて有線回線22を介して基地局装置2に受け渡される。
基地局装置2では、AAL2レイヤ109aにて再び第17図(c)の構成をもった各パケットセグメントに再構成され、FPレイヤ109aでは、各パケットセグメントの無線送信フレームのタイミングが含まれた各FPヘッダ63f、63g、63hを読み取り後、削除し、第17図(b)のような各パケットセグメントの構成とする。その後、各FPヘッダ63f、63g、63hに含まれた送信タイミングに従って、移動体端末1に向けて各パケットセグメントを転送する。
第19図は本実施の形態3のパケットの送信タイミングを表す図である。ペイロード部受信タイミング情報62a、62bを有するヘッダ部63を移動体端末1に送信する。
移動体端末1では、第20図に示したように、ヘッダ部63が転送されてくると、受信回路203、CDMA信号処理部206での信号処理の後、トランスポートチャネル26dの品質から転送されてきたパケットセグメントをヘッダ部63と認識し、送受信データ処理部207cのMACレイヤ101aにおけるプロトコル処理において、ヘッダ部63のペイロード部受信タイミング情報62a、62bが調べられ、ペイロード部前半64aおよび後半64bが受信されるタイミングを認識し、当該ペイロード部受信タイミング情報62a、62bを削除する。
その後で、ペイロード部前半64aおよび後半64bが相次いで基地局装置2から送信され移動体端末1に受信されると、受信タイミングによって、ペイロード部前半64aおよび後半64bと認識し、第17図(a)のようなパケット61に再合成してトランスポートチャネル27dを介して上位レイヤに受け渡す。
その後は上記実施の形態2と同様の処理をして音声再生を行う。
ペイロード部64の長さが上記より長くなった場合には、分割数を2から更に増やすことで対応する。その際、当然ヘッダ部63にはペイロード部の分割数に応じて各分割ペイロード部のペイロード部受信タイミング情報が付加される。
逆に、移動体端末1から送信を行う場合は、マイクロフォン212から入力された音声を音声符号処理部209においてAMR符号化し、切替器208を介して送受信データ処理部207cに入力されたペイロード部64に、RTPからPDCPまでのプロトコル処理を行い第17図(a)のようなパケットを生成する。そして、MACレイヤ101aでヘッダ部63に無線受信タイミング情報62a、62bを付加し、分割して第17図(b)に示したような各パケットセグメントを生成し、各パケットセグメントに対応した品質のトランスポートチャネル26を選択して、物理レイヤ100aに受け渡す。
物理レイヤ100a、即ち、CDMA信号処理部206以降の送信動作は上記実施の形態2と同様である。
受信側である基地局装置2のFPレイヤ110aでは、第17図(c)のように各パケットセグメントに、基地局装置2でパケットセグメントを受信した受信タイミングをFPヘッダ63f、63g、63hに付加し、ATMで基地局制御装置3に転送する。
そして、基地局制御装置3ではAALレイヤ109bでATMセルから第17図(c)のような各パケットセグメントの構成に戻した後、FPレイヤ110bでは、FPヘッダ63f、63g、63hに含まれた受信タイミング情報をMACレイヤ101bに通知し、MACレイヤ101bにおいて第17図(b)のペイロード部受信タイミング情報62a、62bとFPレイヤ110bから通知された実際の受信タイミングとを比較し、一致したタイミングで受信されたパケットセグメントをペイロード部前半64aおよび後半64bと認識し、これらを第17図(a)のように1つのパケット61に再合成して上位レイヤに受け渡す。
以降は、上記実施の形態2と同様に処理して音声再生を行う。
なお、第19図ではヘッダ部63に対してペイロード部64a、64bが遅れて送信される場合について示しているが、ヘッダ部63とペイロード部64a、64bが各々どのトランスポートチャネルで伝送されるか基地局制御装置3より移動体端末に通知されているため、必ずしもヘッダ部63が最初に転送される必要はなく、例えばヘッダ部63とペイロード部64aとを同時に転送し、その1フレーム後でペイロード部64bを転送する設定としてもよい。
以上のように、本実施の形態3では、1つのパケットをヘッダ部とペイロード部に分割し、ヘッダ部に受信側移動体端末にペイロード部のペイロード部受信タイミング情報を付与して、要求品質が高いトランスポートチャネルで転送し、それ以外のペイロード部は要求品質が低いトランスポートチャネルで転送するため、要求品質が低いトランスポートチャネルで転送するパケットセグメントに1つのパケットに再合成するための情報を付加することが無いため、より高い信頼性の移動体通信システムを得る。
実施の形態4.
次に、この発明による実施の形態4について説明する。本実施の形態4は、音声符号処理部からの出力をペイロード部に持つパケットのようなペイロード部が固定長となるパケットを転送する場合に用いられる。移動体端末と基地局装置との間で、通話に先立って回線接続がなされる際、ペイロード部の受信タイミング情報を予め通知しておくことで、個々のパケットに受信タイミング情報を付与する必要がないため、セグメント化されたパケットを再び1つに組み立てることができ、より高い信頼性を持つものである。
本実施の形態4は、ペイロード部が固定長となる場合に適用する、ペイロード部の分割数が固定するため、通信開始時にペイロード部受信タイミング情報を1回通知するのみでよい。前記実施の形態3は、ペイロード部が可変長となる場合に適用する。ペイロード部の分割数が可変のため、送信する毎にペイロード部の受信タイミング情報を通知する必要がある。
次に、動作について説明する。第22図は本発明の実施の形態4の移動体端末1の装置構成図である。制御CPUの新たな機能として、ペイロード部送信タイミング設定手段250a、パケット分割/合成手段250b、チャネル選択手段250cを含んでいる。
また、第23図は基地局制御装置3の装置構成図である。制御部330のあらたな機能として、ペイロード部送信タイミング設定手段330a、パケット分割/合成手段330b、チャネル選択手段330cを含んでいる。
また、各レイヤ間のチャネル構成は実施の形態3の第18図に示したものと同様である。当然ながら、チャネル構成はここで示したものに限られない。
電話機8から移動体端末1に音声データを送る場合、基地局制御装置3までの処理は、上記実施の形態3と同様である。
基地局制御装置3では、移動体端末1とのデータ通信回線開設時に、制御部330において本実施の形態4の特徴であるペイロード部送信タイミング設定手段330aによってペイロード部受信タイミング情報83bを生成し、基地局装置2を介して移動体端末1に送信する。
ペイロード部受信タイミング情報83bを受信した移動体端末1では、以後、トランスポートチャネルの品質からヘッダ部とペイロード部の種別を認識し、ヘッダ部との相対的な受信タイミングからペイロード部の順番を認識する。
回線接続がなされ、実際の通話が開始されると、基地局制御装置3のRLCレイヤ102bにおけるパケットは第24図(a)に示したようなパケット構成をしている。71はパケット、73aはRTPヘッダ、73bはUDPヘッダ、73cはIPヘッダ、73dはPDCPヘッダ、74はペイロード部である。上記実施の形態3と同様に本発明では再送制御は行わないのでRLCヘッダは付加しない。
このパケット71がMACレイヤ101bにおいて第24図(b)のように分割されてそれぞれのトランスポートチャネル26d、26eに分配されてFPレイヤ110bに受け渡される。
FPレイヤ110bでは第24図(c)のように、それぞれのパケットセグメントの基地局装置2から送信される送信タイミングなどが含まれたFPヘッダ73e、73f、73gが付加されて、AAL2レイヤ109bを介して基地局装置2に受け渡される。
このFPヘッダ73e、73f、73gには、ヘッダ部73の受信タイミングを基準として、上記ペイロード部受信タイミング情報83bで指示されたものと同期したペイロード部74a、74bの受信タイミングが指示されている。
基地局装置2では、基地局装置2のAAL2レイヤ109aなどを介して、FPレイヤ109aに、第24図(c)に示したような構成の各パケットセグメントが受け渡さる。FPレイヤ109aでは各FPヘッダ73e、73f、73gが調べられ、削除された後、それぞれの送信タイミングで移動体端末1に転送が行われる。それぞれ、ヘッダ部73は要求品質が高いトランスポートチャネル26dで、ペイロード部74a、74bのパケットセグメントは要求品質が低いトランスポートチャネル26eで転送が行われる。
各パケットセグメントの転送方法を第25図に示す。第25図では、ペイロード部74aはヘッダ部73に対して相対的なフレームタイミングは0、またペイロード部74bは相対的なフレームタイミングは+1の場合を示している。
移動体端末1では物理レイヤ100aを介して、MACレイヤ101aに各パケットセグメントが受け渡される。その際、各パケットセグメントの構成は第24図(b)のようになっている。各パケットセグメント自身には同じパケットから分割されたことを示す識別情報は含まれていないが、あらかじめ基地局制御装置3より移動体端末に通知されているヘッダ部とペイロード部が各々どのトランスポートチャネルで伝送されるかという情報と上記ペイロード部受信タイミング情報83bにより指定された受信タイミングから、受信したペイロード部74a、74bの順番を認識し、MACレイヤ101aにて1つのパケットに再合成して第24図(a)のようなパケット構成として上位レイヤに受け渡す。
上位レイヤでは上述の実施の形態3と同様の処理をおこない音声再生を行う。
このように、予め受信タイミングを通知すれば、各パケットセグメント自身には、再合成のための識別情報を付加する必要がないため、効率のよい移動体通信システムを得る。
逆に、移動体端末1から送信を行う場合は、上記回線接続制御情報81とともに、第22図の制御用CPU250のペイロード部送信タイミング設定手段250aにおいて生成されたペイロード部受信タイミング情報83aにCDMA信号処理部206、送信回路205などを介して、基地局制御装置3にペイロード部の相対的な受信タイミングを指示してから、各パケットセグメントの送信を行う。
移動体端末1でのRLCレイヤ102aおよびMACレイヤ101aにおけるパケット構成は第24図(a)、(b)に示したものと同様である。移動体端末1にはFPレイヤ110は存在しないので、第24図(c)のようなパケット構成はとらずに、第24図(b)のようなパケットセグメントの構成で基地局装置2に送信が行われる。
基地局装置2のFPレイヤ110aでは、FPヘッダ73e、73f、73gに基地局装置2で受信されたタイミングを記録し、AAL2レイヤ109aを介して、基地局制御装置3に転送される。
基地局制御装置3のFPレイヤ110bでは、FPヘッダ73e、73f、73gに記録された受信タイミングと、回線接続時に予めペイロード部受信タイミング情報83aによって通知された受信タイミング情報とを照合し、ヘッダ部73、ペイロード部74a、74bの識別を行い、MACレイヤ101bに通知し、MACレイヤ101bでは第24図(b)のような各パケットセグメントを再合成して、第24図(a)のような1つのパケットにして上位レイヤに受け渡す。
以降の処理は、上記実施の形態3に示したものと同様の処理を行い、電話機8で音声再生を行う。
以上のように、本実施の形態4では、ペイロード部74a、74bが共に固定長である場合には、予め基地局制御装置3から移動体端末1にパケットの受信タイミングを設定すれば、個々のパケットの転送の際には受信タイミング情報の付与が不要である。そのため一度設定がなされればセグメント化されたヘッダ部とペイロード部を確実に再び1つのパケットに組み立てることができ、より高い信頼性を持った移動体通信システムを得る。