JP3906191B2 - 太陽光発電装置用太陽追尾装置 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽光発電装置に用いる太陽追尾装置に関する。
太陽光を利用した発電装置においては、太陽電池モジュールの受光面を太陽の動きに追従するように常に太陽に向けておくことが、発電効率上望ましい。そこで、太陽光発電装置における太陽追尾装置として次のような発明がなされている。
太陽の一日の運行に追従して、東方向から西方向へ太陽電池モジュールの受光面を可動とする方位角制御手段を備えたもの(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)や、太陽高度が低い日の出から高度の高い昼そして再び高度の低くなる日没まで太陽の一日の高度変化に追従して、仰角方向に太陽電池モジュールの受光面を可動とする仰角制御手段を備えたもの(例えば、特許文献3参照)、さらには、方位角制御手段と仰角制御手段を兼ね備えたもの(例えば、特許文献4及び特許文献5参照)、が公知となっている。さらには、コンピュータとセンサーを組合わせて太陽電池モジュールの角度を計算し、アクチュエータによって受光面を発電効率が最良となる方向に向けるもの(例えば、特許文献6参照)がある。
実開昭60−144254号公報 登録実用新案第3068561号公報 特開平7−86628号公報 登録実用新案第3059899号公報 特開2001−217447号公報 特開2001−217445号公報
コンピューターとセンサーを用いた太陽追尾装置は、あらかじめ計算よって求めた太陽の年間の動きや、センサーによって感知した太陽光の状態などを条件に受光効率が最良となるように計算し、回転方向を制御して太陽電池モジュールの受光面を適切な方向に向けることを可能としている。このようなハイテク機器を利用した太陽光発電は、高い発電効率を期待できるが、その反面、該装置を構成する機器の多くが高額であり、また、故障時には複雑な修理を要することから維持費用もかさみ、一般個人の設置する太陽光発電装置としては適当ではない。
また太陽の方位角と仰角を同時に追尾するためには、太陽電池モジュールの受光面を2軸制御する必要があることから、従来の太陽追尾装置は構成が複雑となり重量がかさんでしまっている。このことは、設置場所の限定や大掛かりな設置工事を要するとともに費用面においても多大な出費の要因となっている。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、太陽発電モジュールを支柱によって支持するタイプの太陽光発電装置において、方位角制御手段と仰角制御手段を兼ね備え、さらには季節による太陽高度の変化(夏至に最も高くなり、冬至に最も低くなる)に対応できる太陽追尾装置を、簡易な構造で実現することにある。
請求項1に係る太陽追尾装置は、太陽電池モジュールを取付ける架台と、該架台の背面を上端部で回動可能に支持し且つ下端部をベースに立設させた第1の支柱と、ベース上に該支柱を中心として円弧状に配置した起伏を有するレールと、前出架台の背面を上端部で回動可能に支持し且つ下端が前出レールに移動可能に取付けられた第2の支柱と、第1の支柱を回転させる駆動源を有し、第1の支柱が回転することで架台の方位角を変位させるとともに該回転に伴って第2の支柱が前出レールに沿って移動し且つ該レールの起伏によって第2の支柱が上下動することで架台の仰角を変位させることを特徴とするものである。
第1の支柱が回転すると、支持された架台が水平方向に回転するので、架台に取付けられた太陽電池モジュールの受光面はその方位角を変えることとなる。と同時に、第2の支柱が、架台の回転によって第1の支柱の周りを円弧状に配置したレールに沿って移動しながら該レールの起伏に従って上下動し、架台を支持点において上げ下げすることとなり、架台に取付けた太陽電池モジュールの仰角を変えることとなる。
前出レールは、平面的に見れば第1の支柱を中心として円弧状に配置されており、その起伏の形状は該レールを配置する方向によって違いが出てくるが、その起伏形状によって第2の支柱の上下動を制御する。
レールの起伏形状としては、例えば第1の支柱の東側を起点として南側を通って西側に至る円弧状に配置するレールであれば、南方向において最も高くなり、東側および西側で最も低くなり、東側から南側へ至る部分は上りの傾斜となり、南側から西側へいたる部分では、下りの傾斜となる。この場合、太陽電池モジュールの受光面が南を向いた状態で、第1の支柱と第2の支柱の位置関係は、北側に第1の支柱が位置し南側に第2の支柱が位置することとなる。
レールの起伏形状の別例として、第1の支柱の西側を起点として北側を通って東側に至る円弧状に配置するレールであれば、北方向において最も低くなり、東側および西側で最も高くなり、西側から北側へ至る場合は下りの傾斜となり、北側から東側へいたる部分では、上りの傾斜となる。この場合、太陽電池モジュールの受光面が南を向いた状態で、第1の支柱と第2の支柱の位置関係は、南側に第1の支柱が位置し北側に第2の支柱が位置することとなる。
また、該レールは、厚みを有しかつ上面が傾斜をなす壁状のものを円弧状に配置しても良いし、棒状のレールを円弧状に形成したものを固定する部分以外がベースから浮いた状態で配置してもよい。
さらに、本発明の太陽追尾装置においては、起伏形状を変えたレールを複数個用意し、季節ごとに適宜取替えることで、季節の違いによる太陽高度の変化(夏至に最も高くなり、冬至に最も低くなる)に対応できる。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の太陽追尾装置であって、第2の支柱に該支柱の長さ調節機構を有することを特徴とする太陽追尾装置である。
第2の支柱に有する長さ調節機構を適宜調整して長さを変えることで、季節の違いによる太陽高度の変化に対応可能となる。この場合、円弧状に配置するレールを取り替える必要はなくなるが、レールの取替えと合わせて行うことで仰角の変位をさらに大きくすることや場合によっては調節機構とレールの取替えを選択することもできる。
請求項3に係る発明は、第1の支柱を回転させる駆動源としての三相モーターと、2つの24時間タイマースイッチとを有し、該2つの24時間タイマースイッチによって該三相モーターの正逆回転および駆動時間を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽追尾装置である。
三相モーターは、三相電流のうち二つの位相を反転すれば、逆回転が得られる。そこで、三相モーターと2個の24時間タイマースイッチを組み合わせて、所定の時間で電流の位相をスイッチングし、日中は太陽を追尾するように第1の支柱を回転させ、夜間にはモーターの回転を反転することで第1の支柱を逆回転し、太陽電池モジュールの受光面が東方向へ戻るようにする。
モーターの回転を反転させる時、反転がスムースに行われるように、2つの24時間タイマーのスイッチングのタイミングをわずかにずらし、電流の流れない時間を設けるのが望ましい。
また、2つの24時間タイマーを用いるため、日照時間の変化に合わせてモーターの駆動時間を制御することも可能である。
請求項4に係る発明は、三相モーターの回転が、少なくとも1つ以上の多段プーリーを用いた減速機を介して第1の支柱に伝動されることを特徴とする請求項3に記載の太陽追尾装置である。
モーターの回転はそのままでは高回転のため減速機によって、単位時間あたりの回転数を減じる必要がある。この減速機を、多段プーリーを一つ以上組み合わせて構成し、目的とする回転を得るようにする。こうして得られた回転によって第1の支柱を回転させる。この場合、第1の支柱の回転数は、1回転/日となるようにする。
請求項1に係る太陽追尾装置は、架台に取付けられた太陽電池モジュールの受光面を、方位角方向と仰角方向の2方向において同時に変位させて太陽を追尾するとともに、円弧状に配置したレールを取り替えることで、季節による太陽高度の変化にも対応できる。
請求項2に係る太陽追尾装置は、第1の支柱の回転によって、架台に取付けられた太陽電池モジュールの受光面を、方位角方向と仰角方向の2方向において同時に変位させて太陽を追尾するとともに、第2の支柱の長さを変えることで、季節による太陽高度の変化にも対応できる。
さらに、請求項3に係る太陽追尾装置は、三相モーターと2つの24時間タイマーの組み合わせによる構成で第1の支柱の正逆回転を制御することで、毎日の太陽追尾動作を自動とすることができる。
請求項4に係る太陽追尾装置は、モーターの回転を第1の支柱を回転させる回転速度へ減速するために用いる減速機を、多段プーリーを用いて簡易な構造としたことで、メンテナンスが容易である。
これらの発明によれば、簡易な構造で、方位角制御手段と仰角制御手段を兼ね備え、さらには季節による太陽高度の変化に対応できる太陽追尾装置を提供可能である。さらに、簡易な構造としたことは、太陽発電装置の重量を軽減して設置場所の選択範囲を拡大するとともに、設置や修理及び維持管理における費用の削減を図ることとなり、ひいては一般個人における太陽発電装置の利用普及にも貢献するものである。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態と考えるものを説明する。
本発明は、図1に示すように、第1の支柱10と第2の支柱11によって太陽発電モジュール2を取付けた架台1を支持する形の太陽光発電装置に用いられる太陽追尾装置に係るものである。
太陽電池モジュール2は、高さ約806mm、幅約1248mm、厚幅約46mmの矩形のものを用い、太陽電池モジュール2を取付ける架台1は、50mm程度のアングルで枠を作成して背面側となる部分に補強材として帯鉄3を数箇所入れる。架台1の背面中央から上枠方向へ適宜離れたところにベアリングにより回動可能に第1の支柱10を取り付け、該支柱はベースに立設される。この時架台は、取付けた太陽電池モジュールの受光面が東方向を向くように第1の支柱に取付ける。太陽電池モジュールの受光面は、第1の支柱の回転によって、日中は太陽を追尾しながら南方向を経て、日没には西方向を向くこととなる。
第1の支柱10の回転や気象現象に起因する太陽発電装置の揺れを抑えるために、第1の支柱の途中2箇所程度を建造物の壁やアングルで組んだ固定物等に取付けたアーム12によって支持するのが望ましい。この場合のアーム12は、第1の支柱側ではベアリングによって該支柱の回転を妨げないように支持し、他端は建造物の壁やアングルで組んだ固定物等に固定して支持する。
第2の支柱11の上端は、第1の支柱のから適宜離して仰角方向に回動可能となるように架台1に取り付けられており、該支柱の下端は、ベースに第1の支柱を中心として円弧状に配置したアーチ状レール20に取付けられる。
第1の支柱10と第2の支柱11は、架台1によって連結しており、第1の支柱の回転にともなって第2の支柱は横方向に移動することとなるが、装置全体の剛性と、第1の支柱の回転を効率よく第2の支柱に伝えるために、第1の支柱から第2の支柱へアーム13を渡すのが望ましい。この場合のアーム13は、第2の支柱側では該支柱を回動可能に握持し、第1の支柱側では該支柱に固定とする。また、第1の支柱第2の支柱との配置関係は、太陽電池モジュール2の受光面が南側を向いた時に、北側に第1の支柱、南側に第2の支柱が位置するように配置してある。
図4が、第1の支柱10を中心として円弧状に配置したアーチ状レール20を表す平面図であり、図5は、アーチ状レール20に沿って第2の支柱11が移動する様子を表している。レールの両端はベースに留めてあるが、アーチ状レール20の中間はベースから浮いた状態である。太陽が南方向に位置したとき、アーチ状レール20の最も高い位置に第2の支柱が位置するように、該レールを設置する。第2の支柱11は、該レールに沿って太陽が南中するまでは上り傾斜を、南中から後は下り傾斜を移動し、この際架台の支持点において架台を上下動する。この上下動によって、架台の仰角すなわち太陽発電モジュールの受光面を仰角方向において変位させることとなる。
ベースに配置したアーチ状レール20は、レール上に溝を配したりガイド機構を有するものも考えられるが、加工の容易さから、所定太さの鉄筋(望ましくはD13以上)を円弧状に形成して使用する。なお、レール上に溝を配した場合、第2の支柱の下端に回転体を取付けて該溝に従って移動するようにすることも考えられる。また、ガイド機構を有するレールであれば、例えば断面コの字型のガイドレールの内側に滑動体を設けて第2の支柱をその滑動体にとりつける方法が考えられる。しかしながらこれらの場合、鉄筋を利用する場合に比べて円弧状に加工することが容易ではない。
図6は、第2の支柱11の下端をアーチ状レール20へ取付けた状態を表している。レールをふたつの鼓状の回転体21の凹み部分で上下に挟み込み、該回転体の回転軸を貫く軸を該支柱の下部で支持する構造となっている。2つの鼓状の回転体21によりレールを上下から挟み込むことで、レールから第2の支柱が外れにくくなるとともに第2の支柱は滑らな移動が可能となる。また、レールを挟み込む構造は、架台が風などで煽られた場合、架台の揺れを押さえる働きもする。
図1にあるように、第2の支柱11には、長さ調節機構としてターンバックル14を有している。季節の移り変わりとともに、ターンバックルを調整して第2の支柱11の長さを変えることで、レール20と架台1の距離が変わり架台の仰角を変化させることとなり、季節による太陽高度の違いに対応することができる。
図7が三相モーターの回転を二つの24時間タイマースイッチで制御する配線図である。図中番号32の三線に三相の交流を流す。二つの24時間タイマースイッチ33aおよび33bのオン(電流が流れる状態)・オフ(電流が流れない状態)の切替えによって、三相の電流のうち二相を反転させ、モーターの正逆回転を得る。なお、二つの24時間タイマースイッチは、同時にオンとなる設定にはしない。
設定例としては、一つの24時間タイマーを午前6時から午後5時50分まで電流が流れるように設定するとともに、もう一つの24時間タイマーを午後6時から翌日午前5時50分まで電流が流れるように設定する。こうすれば、午前6時から午後5時50分まで第1の支柱を正回転(東から西へ右回り)させることで太陽を追尾し、午後5時50分には、回転が止まる。そして、午後6時にはモーターの逆回転が始まり、午前5時50分までかけて第1の支柱を逆回転(西から東へ左回り)させて、太陽電池モジュールの受光面を、元の位置(朝の太陽方向・東方向)に戻す。なお、スイッチングのタイミングを若干ずらしてあるのは、回転の反転をスムーズに行うためである。
図8が、多段プーリーを用いた減速機50の構成図である。三相モーター30の回転を、多段プーリーを一つ以上用いて構成した減速機によって、半日で半回転する回転速度(1回転/日)まで減速する。図示した例では、毎分1400回転の三相モーターを用い、モーター回転部分に取付けた25mmVプーリー33と、600mmVプーリー40と25mmVプーリー41の組み合わせからなる多段プーリーを4つと、さらに第1の支柱10に152mmVプーリー42を取付けて、相対するプーリーをVベルト43(図上は太線で表記。実際はVプーリー間に係回される)で連結連動し、目的の回転速度まで減速している。なお、多段プーリーの別な組み合わせによっても、目的とする回転速度を得ることは可能である。
三相モーター30と多段プーリーを用いた減速機50は、一つの箱に入れてベース上第2の支柱の移動を妨げない位置に配置する。もちろん、ベース面を嵩上げした下に減速機およびモーターを配置してもよい。
本発明に係る太陽光発電装置を複数並べて設置する場合は、第1の支柱10に別途プーリーを取付けてベルトやワイヤーで連結連動させることで、複数の太陽発電モジュールを一斉に動かす構造とすることもできる。
本発明は、太陽光発電装置への使用を前提としてなされたものであるが、他の恒星の追尾装置や一定速度で移動する物体を追尾する装置にも応用できるものである。例えば、天体観測装置への応用が考えられる。
無論、上記の太陽追尾装置は実施例のひとつであって、本発明に係る装置の構成はこの形態に限定されるものではない。
本発明に係る太陽追尾装置を、太陽電池モジュールの受光面が南側を向いた状態を東側から表した図 図1の状態を北側から表した図 本発明に係る太陽追尾装置を、太陽電池モジュールの受光面が東側を向いた状態を北側から表した図 アーチ状レールを表す平面図 第2の支柱がレールを移動する図 第2の支柱の下端において、回転体がレールを挟持する構造図 三相モーターと24時間タイマースイッチの配線図 多段式プーリーによる減速機の構成図
符号の説明
1 架台
2 太陽電池モジュール
3 帯鉄
4 ベース
10 第1の支柱
11 第2の支柱
12 アーム
13 アーム
14 ターンバックル
20 レール
21 鼓状回転体
30 三相モーター
31 三相モーター回転部(25mmVプーリー)
32 交流配線(三相)
33a,33b 24時間タイマースイッチ
40 600mmVプーリー
41 25mmVプーリー
42 152mmVプーリー
43 Vベルト
50 減速機

Claims (4)

  1. 太陽電池モジュールを取付ける架台と、該架台の背面を上端部で回動可能に支持し且つ下端部をベースに立設させた第1の支柱と、ベース上に該支柱を中心として円弧状に配置した起伏を有するレールと、前出架台の背面を上端部で回動可能に支持し且つ下端が前出レールに移動可能に取付けられた第2の支柱と、第1の支柱を回転させる駆動源を有し、第1の支柱が回転することで架台の方位角を変位させるとともに該回転に伴って第2の支柱は前出レールに沿って移動し且つ該レールの起伏によって第2の支柱が上下動することで架台の仰角を変位させることを特徴とする太陽追尾装置
  2. 請求項1記載の太陽追尾装置であって、第2の支柱に該支柱の長さ調節機構を有することを特徴とする太陽追尾装置
  3. 第1の支柱を回転させる駆動源としての三相モーターと、2つの24時間タイマースイッチとを有し、該2つの24時間タイマースイッチによって該三相モーターの正逆回転および駆動時間を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽追尾装置
  4. 駆動源の回転が、少なくとも1つ以上の多段プーリーを用いた減速機を介して第1の支柱に伝動されることを特徴とする請求項3記載の太陽追尾装置
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