JP3903141B2 - 白金族元素の回収法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は白金族元素を含有する物質,たとえば使用済みの石油化学系触媒,自動車排ガス浄化用廃触媒,使用済みの電子基板やリードフレーム等から金または白金族元素を回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,使用済み自動車触媒等の白金族元素を含有する物質から白金族元素を回収する方法として,王水などの酸に酸化剤を加えた溶液で白金族元素を抽出する方法や,硫酸等を用いて逆に触媒の担体材料を溶かして未溶解の白金族元素と分離する方法等が知られているが,これらの湿式法では白金族元素の抽出率が悪かったり,担体を溶かすのに多量の酸を必要とし,回収率やコストの点で問題があり,実用的ではなかった。
【0003】
湿式法に変えて,乾式による白金族元素の回収法が特許文献1に記載されている。この乾式方法では自動車排ガス浄化用廃触媒等に含まれる白金族元素を溶融銅に吸収させ,これを濃縮することで高収率,低コストで白金族元素を回収する画期的な方法である。特許文献2には特許文献1の方法をさらに改良した白金族元素の乾式回収法が記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−317423号公報
【特許文献2】
特開2000−248322号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1や2の方法は,高い回収率で低コストで且つ短時間で白金族元素を回収できる点で,湿式法に比べて優れており,とりわけ,白金族元素中のRhの回収率が湿式法と比べて高くなる点で有利な特徴がある。しかし,電気炉で炉内装入物を加熱溶融して,主として金属銅からなるメタル溶湯中に白金族元素を吸収させるさいに,生成するスラグ系酸化物中にも白金族元素が混入することがあった。
【0006】
この点について本発明者らは,メタル溶湯とスラグ系酸化物を適正な温度で炉内で十分に静置させておくと,具体的には,1200〜1500℃の温度に少なくとも5時間以上保持する静置工程を設けると,スラグ系酸化物に移行する白金族元素の量を低減することができることを見い出したが,それでもなお,生成するスラグ系酸化物の形態によっては,スラグ中に移行する白金族元素が無視できない程度に多くなることがあった。
【0007】
したがって,本発明は,この問題を解決して,白金族元素を高い収率でメタル溶湯中に吸収させることを課題としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは,前記の課題解決のために種々の試験研究を行ったが,白金族元素含有の被処理原料は自動車排ガス浄化用廃触媒などのように白金族元素を担持している酸化物系の物質が殆どを占めており,しかも,その酸化物の種類や成分組成が被処理原料ごとに異なることが多いので,電気炉でのヒートごとでのスラグ組成が変動し,このことが,ときには粘性の高いスラグを生成して白金族元素がメタル溶湯中に吸収されない結果を招くことがわかった。このためには,被処理原料中のスラグ形成成分の量を把握し,それに応じてフラックス成分を適正な範囲に調節して,スラグ組成を所望の範囲に制御するのが望ましい。
【0009】
しかし,実際には,廃触媒などの被処理原料は酸化物担体材料に白金族元素が担持されているものであり,その廃触媒ごとに個々にその酸化物の組成を分析することは実質的に大変な手間を要し,実質的に不可能である。廃触媒を現物のまま抜き取っておおよその酸化物組成を外挿することもできるが,装入バッチごとに不正確とならざるを得ない。
【0010】
そこで,このような廃触媒等の電気炉装入原料を一たんクラッシャ等で破砕・粉砕・混合し,この粉粒物を実際の装入用原料として使用すると共に,装入前にこの粉粒物を分析すれば,ヒート毎の被処理原料の酸化物の成分組成を知ることができ,しかも,粉粒物として他の装入原料と混合して装入すると,白金族元素がメタル溶湯中に吸収され易くなることも判明した。
【0011】
本発明は,上記の知見に基くものであり,白金族元素含有の被処理原料と,金属銅または酸化銅の少なくとも1種からなる銅源材料とを,フラックス成分および還元剤と共に炉内で加熱溶融してスラグ系酸化物とメタル溶湯に比重差で分離し,該メタル溶湯中に白金族元素を吸収させる白金族元素の回収法において,炉に装入する前の該被処理原料に含まれる少なくともAl,SiおよびFeの酸化物の含有量を予め分析して把握しておき,これら酸化物の含有量に応じて炉に装入するフラックス成分組成を調整することにより,前記のスラグ系酸化物の成分組成を所望範囲に制御する。
【0012】
より具体的には,白金族元素含有の被処理原料を,炉に装入する前に5mm以下の粒状物に粉砕し,この粉砕混合された被処理原料から分析用サンプルを採集する。そして,その分析値とフラックス成分(Al2O3 ,SiO2,CaOおよびFeOの群から選ばれる少なくとも1種を使用する)の調整によって,炉内で生成するスラグ系酸化物の成分組成の範囲を,
Al2O3 :20〜30wt%,
SiO2:25〜40wt%,
CaO:20〜35wt%,
FeO:0〜35wt%
に制御する。
【0013】
これによって,メタル溶湯と分離されたスラグ系酸化物は,
Al:10〜22wt%,
Si:10〜16wt%,
Ca:14〜22wt%,
Fe:27wt%以下(0%を含む),
Pt:10ppm以下,
残部は実質的に酸素からなる成分組成のものとすることができる。
【0014】
スラグ系酸化物と分離されたメタル溶湯(白金族元素を吸収したメタル溶湯)は,次いで別の炉に移して酸化処理し,酸化銅を主成分とする酸化物層と,白金族元素がさらに濃縮された金属銅を主成分とするメタル溶湯とに比重差で分離することができる。この酸化処理時に発生する酸化銅を主成分とする酸化物層は,当初の銅源材料の一部または全部として再利用することができる。
【0015】
【実施の形態】
本発明でいう白金族元素含有の被処理原料とは,例えばプラチナ,パラジウム等を含有する使用済み石油化学系触媒,プラチナ,パラジウムさらにはロジウム等を含有する使用済みの自動車排ガス浄化用触媒や,それらの触媒の製造工程から得られるロットアウト品やスクラップなど,さらにはパラジウム等を含有する使用済みの電子基板,デジタル部品,リードフレーム等も含まれる。
【0016】
本発明においては,このような白金族元素含有の被処理原料を,金属銅または酸化銅の少なくとも1種からなる銅源材料,フラックス成分および還元剤と共に電気炉に装入し,炉内で加熱溶融してスラグ系酸化物とメタル溶湯に比重差で分離し,該メタル溶湯中に白金族元素を吸収させるのであるが,電気炉に装入する材料は,被処理原料,銅源材料,フラックスおよび還元剤とも基本的に粉粒状とし,これらを混合して炉に装入する。
【0017】
炉に装入するフラックス成分としては,シリカ,酸化カルシウム,炭酸カルシウム等を使用し,これらの配合量を,前記のように被処理原料の酸化物含有量に応じて調整し,スラグ組成が前記の範囲に入るように制御する。還元剤は酸化銅を金属銅に還元することを主目的として使用される。還元剤としては代表的にはコークスを使用するが,金や白金族元素を含有する卑金属類を使用することも可能であり,この場合には,卑金属中の金や白金族元素も同時に回収することができる。樹脂,活性炭なども還元剤として使用可能である。銅源材料は白金族元素を溶かし込む媒体として使用されるが,銅源材料としては金属銅または酸化銅の形態で炉内に装入できる。銅源材料は,その径が0.1mm以上10mm未満であることが好ましい。
【0018】
白金族元素含有の被処理原料は10mm以下,好ましくは5mm以下の粒状物に機械的に粉砕する。被処理原料を粒径5mm以下に破砕するには,例えば1次破砕機としてジョウクラッシャー,2次破砕機としてダブルロールクラッシャーを用いることができる。一般的なハニカム構造の自動車排ガス浄化用廃触媒であれば,この2次破砕によって全量5mm以下となる。原料中に鉄屑等の異物がある場合には磁力選別器を破砕前後に配置してもよい。5mm以下でのサンプリング方法は例えばリッフル(2分器)を数段通す方法でもよく,回転式の12等分器に供してもよい。得られた代表試料はさらにパルベライザー等で微粉化し,酸化物の含有量の分析に供する。一方,サンプリングを採った被処理原料の粉体は例えばサイロ等の貯蔵所で分析が終えるまで保管される。
【0019】
その分析値が出たら,炉内で生成するスラグ系酸化物の成分組成がAl2O3 :20〜30wt%,SiO2:25〜40wt%,CaO:20〜35wt%,FeO:0〜35wt%の範囲となるように(好ましくは各酸化物範囲の中心近くとなるように),該保管中の被処理原料とフラックス成分の配合量を決定し,秤量する。別途,銅源材料の配合量と還元剤の配合量を決定し秤量し,それら全体を混合して炉内装入原料とする。
【0020】
これらの装入原料を用いた電気炉操業ではまず装入原料を加熱溶融(メルトダウン)する。加熱溶融の温度は1100℃〜1600℃,好ましくは1200℃〜1500℃である。1100℃未満ではスラグの溶融が完全とはならず粘性も高まって白金族元素の回収率が下がる。しかし1600℃を越えるとエネルギーの浪費はもちろん電気炉の炉体の破損を招く要因となるので好ましくない。このメルトダウンによって,被処理原料中の酸化物はガラス状の溶融スラグとなって浮遊し,酸化銅はコークス等により還元されて溶融金属銅となり,比重差によりスラグ中を沈降して溶融した金属銅の層(メタル溶湯)を形成する。
【0021】
溶融金属銅がスラグ中を沈降する過程で白金族元素が金属銅に吸収されるが,このときの白金族元素の金属銅への回収率は,メルトダウン後の材料温度,静置時間,スラグの成分組成,炉内に投入する金属銅または酸化銅の粒径,炉内に投入する被処理原料の粒径等の影響を複雑に受ける。
【0022】
炉内装入物を加熱溶融したあとは,1200〜1500℃の温度に少なくとも5時間以上(好ましくは10時間以内)保持する静置工程を設けることによって,下層には白金族元素を吸収した金属銅を主体としたメタル溶湯が,上層にはスラグ系酸化物の溶融層が形成される。この場合,スラグ系酸化物の成分組成が前記のようにAl2O3 :20〜30wt%,SiO2:25〜40wt%,CaO:20〜35wt%,FeO:0〜35wt%であると,適度な粘性を有し且つ分散して流れやすいスラグとなり,比重分離の過程で,被処理原料中に混在していた白金族元素が溶融金属銅に吸収され易くなる。処理末期の最終的なスラグは,好ましくはAl:10〜22wt%,Si:10〜16wt%,Ca:14〜22wt%,Fe:27wt%以下(0%を含む),Pt:10ppm以下,残部は実質的に酸素からなる。
【0023】
前記の電気炉操業において,白金族元素含有の被処理原料が5mm以下の粉粒状物で且つ銅源材料の径が0.1mm以上10mm未満とした時に白金族元素は顕著な回収率でメタル溶湯に吸収できた。電気炉で生成するスラグが前記の制御範囲を外れると,例えばAl2O3 が30wt%を越えると,極端にスラグの粘性が上がり,その結果,白金族元素と,酸化銅から還元された溶融金属銅との接触速度が遅くなり,白金族元素を吸収した溶融金属銅がスラグ中に浮遊しやすくなることがその原因であろうと考えられるが,白金族元素のメタル溶湯への吸収率が低下する。
【0024】
前記の静置工程のあとは,上層のスラグはその一部を炉内に残したまま,大半は炉外に流出させて廃棄する。つぎに白金族元素を吸収したメタル溶湯を電気炉から出湯し,溶融状態で酸化を行う炉に移し入れて白金族元素の濃縮を図る。このためには,酸化炉で酸素ガスまたは酸素含有ガスによって該溶湯を酸化処理し,主として酸化銅からなる酸化物層と,白金族元素が濃縮した主として金属銅からなるメタル溶湯に比重差で分離する。酸化処理は1100℃〜1600℃の温度,好ましくは1200℃〜1500℃の温度に維持しながら,酸素ガスまたは酸素含有ガスを導入して行う。1100℃未満では酸化速度が低く,逆に1600℃を越すと炉体の破損が生じる。酸化処理のあとは上層の酸化物層は炉を傾けて炉外に流出分離し,次いで,下層の白金族元素が濃縮したメタル溶湯も炉外に流出させて次回収工程へ送る。
【0025】
この酸化処理の終了時に,通常は上層の酸化物層を流出させた後,その減量分,電気炉から新たに白金族元素を吸収したメタル溶湯を受入れ,炉内に残存しているメタル溶湯と合わせ湯にしたうえで,酸化処理を繰り返す。その繰り返しにより,下層のメタル溶湯中の白金族元素の含有量が10%〜75%となった時点で始めて酸化炉から該メタル溶湯を出湯して,次工程の白金族元素採集工程に回すのがよい。
【0026】
また酸化炉から流出させた酸化物層については,殆どが酸化銅であるのでこれを炉から流出させて冷却固化したあと,電気炉への銅源材料として再利用することができる。これによって,酸化物層に同伴していた白金族元素も回収できる。この酸化物を溶融状態から急水冷することによって水砕化することができ,これによって0.1mm以上10mm以下の粒状物とすることができ,電気炉への装入原料として好適なものとなる。
【0027】
【実施例】
〔実施例1〕
使用済のハニカム形状の自動車排ガス浄化用触媒1000kgをコンベア上に投入し,1段でジョウクラッシャー,2段でダブルロールクラッシャーに供給し,全量を5mm以下に破砕した。破砕した被処理原料の全量を3段式の2分器(1/2×1/2×1/2=1/8に縮分)2基に通し,1/64の代表試料15.5kgを採集した。残りの母体はサイロに保管した。代表試料を全量乾燥させ,水分量を測定したあと(水分量=(0.5wt%),パルベライザーでその全量を100メッシュアンダーまで粉砕し,V型混合機で混合した後,回転型12分器を用いて100gの分析試料を得た。
【0028】
この分析試料を蛍光X線分析装置にかけて酸化物を分析したところ,
Al2O3 :40.5wt%,
SiO2:41.6wt%,
MgO:11.5wt%,
FeO:1.5wt%であった。
【0029】
電気炉で生成するスラグの目標成分組成を,
Al2O3 :22.3wt%,
SiO2:28.5wt%,
CaO:28.1wt%,
FeO:12.1wt%とし,
この目標成分組成となるように,前記の分析値を根拠として,サイロに保管した前記の母体984.5kgと,フラックス成分として,CaO500kg,SiO2100kg,FeO200kgを秤量した。さらに還元剤としてコークス30kgと,銅源材料として酸化銅(0.1mm以上10mm以下の粉粒状物が約80wt%)300kgを秤量し,これらの4種の材料全部を混合した。
【0030】
この混合物を電気炉に装入し,約1350℃で加熱溶融し,メルトダウンのあと1250〜1300℃の温度で約5時間静置したあと,上層のスラグ系酸化物を電気炉の側面より流出させ,冷却固化させた。このスラグ中の白金族元素を分析したところ,Pt=0.7ppm,Pd=0.1ppm,Rh=0.1ppm以下であり,スラグ中への白金族元素のロスは非常に軽微であった。
【0031】
また,該スラグの酸化物成分を分析したところ,
Al2O3 :21.5wt%,
SiO2:29.2wt%,
CaO:27.9wt%,
FeO:11.8wt%であり,各成分とも,前記の目標成分組成の±1.0wt%以内におさまっていた。
【0032】
〔参考例1〕
フレコンの2袋に入った大小の割れた塊状のハニカム形自動車排ガス浄化用廃触媒(コンバータの破片)1000kgから15kgを代表試料としてランダムに抜き取った。この代表試料を全量乾燥させ,水分量を測定した後(水分=0.8wt%),ジョウクラッシャーで破砕した。破砕物をパルベライザーで全量を100メッシュアンダーまで粉砕し,V型混合機で混合した後,回転型12分器を用いて100gの分析試料を得た。
【0033】
この分析試料を蛍光X線分析装置にかけて酸化物の成分を分析したところ,
Al2O3 :37.8wt%,
SiO2:43.1wt%,
MgO:12.3wt%,
FeO:1.2wt%であった。
【0034】
電気炉で生成するスラグの目標成分組成を,
Al2O3 :22.0wt%,
SiO2:25.1wt%,
CaO:29.1wt%,
FeO:12.6wt%とし,
この目標成分組成となるように,該分析値を根拠として,使用済の塊状のハニカム形自動車排ガス浄化用触媒(コンバータの破片)=985Kgと,フラックス成分としてCaO500Kg,FeO200Kgを秤量し,さらに還元剤としてコークス30Kg,および酸化銅(0.1mm以上10mm以下の粉粒状物が約80wt%)300Kgを秤量し,これらを電気炉に装入し,1350℃で加熱溶融した。
【0035】
電気炉において約1350℃で装入物を加熱溶融し,メルトダウンのあと1250〜1300℃の温度で約5時間静置したあと,上層のスラグ系酸化物を電気炉の側面より流出させ,冷却固化させた。このスラグ中の白金族元素を分析したところ,Pt=1.8ppm,Pd=0.4ppm,Rh=0.2ppmであり,実施例1の場合に比べて白金族元素のスラグ中へのロスが多くなった。
【0036】
また,該スラグの酸化物成分を分析したところ,
Al2O3 :23.5wt%,
SiO2:22.1wt%,
CaO:29.5wt%,
FeO:11.8wt%であった。すなわち,前記の目標成分組成とした値に比べると,Al2O3 とSiO2の含有量が1.5%以上ずれている結果となった。
【0037】
〔実施例2〕
実施例1を実施したあとの電気炉内の白金族元素含有のメタル溶湯を電気炉下部から出湯し,これを加熱した酸化炉内に導いた。そして,酸化炉内のメタル溶湯に対して酸素40%の酸素富化空気を溶湯表面に吹きつけて酸化処理し,溶湯表面に生成する酸化物の層が約1cmの厚さとなったところで炉を傾けて該酸化物を炉外に流出させ,大量の水の流れる水槽内に投入した。
【0038】
さらに,酸化炉内のメタル溶湯に対して同様に酸素富化空気を吹き込み続け,酸化物の厚みがほぼ1cmに成長したところで,これを炉外に流出させて水冷する操作を繰り返した。この操作を5回繰り返したあと,前記の比較例1で得られた電気炉内の白金族元素含有メタル溶湯を電気炉下部より導き,この酸化炉内に導き,酸化炉内のメタル溶湯と合わせ湯にした。その後,炉内のメタル溶湯に対して同様の酸素富化空気を吹き込み,生成した酸化物を炉外に流出させて水冷する操作を繰り返した。処理後に得られたメタル溶湯を全量酸化炉から出湯させ,冷却固化し,これを分析したところ,金属銅=5.4Kgであり,白金族元素の含有量は,Pt=21.3wt%,Pd=6.7wt%,Rh=1.4wt%であった。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によると,自動車排ガス浄化用廃触媒などの白金族元素含有の物質から白金族元素を乾式処理によって作業性よく高い収率で回収することができ,廃資源から経済的有利に有価金属を採集することができる。
Claims (4)
- 白金族元素含有触媒の被処理原料と、金属銅または酸化銅の少なくとも1種からなる銅源材料とを、フラックス成分および還元剤と共に炉内で加熱溶融してスラグ系酸化物とメタル溶湯に比重差で分離し、該メタル溶湯中に白金族元素を吸収させる白金族元素の回収法において、該被処理原料を該炉に装入する前に5mm以下の粒状物に粉砕し、この粉砕混合物から分析用サンプルを採集して該炉に装入する前の該被処理原料に含まれるAl、SiおよびFeの酸化物の含有量を予め分析して把握しておき、これらの酸化物の含有量に応じて該炉に装入する前記フラックス成分組成を調整することにより、該スラグ系酸化物の成分組成を制御することを特徴とする白金族元素の回収法。
- フラックス成分は、Al2O3、SiO2、CaOおよびFeOの群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の白金族元素の回収法。
- スラグ系酸化物と分離されたメタル溶湯を別の炉に移して酸化処理し、酸化銅を主成分とする酸化物層と、白金族元素が濃縮された金属銅を主成分とするメタル溶湯とに比重差で分離する請求項1または2に記載の白金族元素の回収法。
- 請求項3における酸化銅を主成分とする酸化物層は、請求項1の銅源材料として再利用される請求項3に記載の白金族元素の回収法。
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