JP3902732B2 - 直噴火花点火式内燃機関における燃料噴射装置の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所謂「直噴エンジン」、即ち、各気筒内へ直接にガソリンのような燃料を噴射して燃焼させる火花点火式内燃機関における燃料噴射装置の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
「直噴エンジン」は、吸気の充填効率の増加や成層燃焼による希薄燃焼の実現等によって低燃費率の運転が可能という特長を有するが、その反面において、噴射された燃料の気化時間の不足と、ピストンの頂面のような気筒内の壁面に噴射された燃料が液状のまま付着する所謂「燃料ウエット」が増大することによって、燃料の不完全燃焼が発生しやすくなるため、特に始動時に、従来の吸気ポート内噴射式のエンジンに比べてスモークの排出量が増大するという傾向がある。
【0003】
これらの問題のうちで気化時間の不足の問題は、それを放置するとアイドリングが乱調になる所謂「ラフアイドル」の状態を生じるし、最悪の場合にはエンジンが停止することもあるので、燃料気化時間確保のために、吸気下死点の遅角側に噴射時期の制御限界としての遅角側噴射時期ガードを設定するという対策が講じられている。一方、ピストンの頂面等における燃料ウエットの問題は、機関温度の上昇によって自然に解消する問題として、従来は、それがエンジンの性能に及ぼす悪影響を重要視していなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、最近は、低温始動時において多量の燃料を噴射する場合には、気筒内の壁面に燃料ウエットが長時間形成される結果、始動が完了した後でも暫くの間はスモークが排出され続けるということが問題になって来ている。
【0005】
そこで本発明は、従来技術における前述のような問題に鑑み、新規な手段によってそれらの問題を解消して、直噴エンジンにおいてピストンの頂面のような気筒内の壁面への燃料ウエットの付着量を減少させて、始動時のスモーク排出量を低減させることができる、燃料噴射装置の制御方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載したような、直噴火花点火式内燃機関における燃料噴射装置の制御方法を提供する。
【0007】
請求項1乃至4に記載した直噴エンジンにおける燃料噴射装置の制御方法においては、燃料噴霧の気化時間を確保するために、従来の制御方法においても行われている、吸気下死点よりも遅角側の気化時間確保のための噴射時期ガードに加えて、気筒内の壁面に燃料ウエットを形成させないようにするために、吸気下死点の進角側と遅角側に新たに燃料ウエット抑制のための噴射時期ガードを設定し、それら2つの噴射時期ガードの間を噴射可能範囲、それ以外の範囲を噴射禁止領域と定めて、気化時間確保のための遅角側噴射時期ガードに抵触しない限り、噴射可能範囲の領域内で始動時の燃料噴射を実行する。それによって、燃料噴射弁の噴孔がピストンの頂面から離れている時期に燃料が噴射されることになり、ピストン頂面等の気筒内壁面における燃料ウエットの形成を防止することができるので、直噴エンジンの問題である始動時におけるスモークの排出量を低減させることができる。
そして、 x≧lsinα を満たしていることにより、燃料噴霧のピストン頂面への衝突を防ぐことができる。このため、ピストンへの燃料ウエットの付着量を低減することができる。従って、エンジン行程において、吸気上死点から圧縮上死点までの間で、上記の式が満たされるクランク角度の範囲内に噴射可能範囲を設定すれば、筒内燃料ウエット付着量の少ない条件においてエンジンの運転が可能となる。
【0008】
この場合、直噴エンジンの始動時の要求燃料噴射量を確保するための燃料噴射期間が、本発明において定める燃料ウエット抑制のための進角側噴射時期ガードと遅角側噴射時期ガードとの間の噴射可能範囲内にある限り、燃料噴射期間の中心時期を吸気下死点付近に設定するか、或いは、燃料噴射開始時期を進角側の噴射時期ガードの位置に設定すると好適な結果が得られる。しかし、燃料噴射期間が噴射可能範囲を超えている場合でも、燃料噴射終了時期を燃料ウエット抑制のための遅角側の噴射時期ガードの位置に設定することによって、気筒内燃料ウエットの付着量を低減させることが可能である。この際に、噴射可能範囲が燃料気化時間確保のための遅角側噴射時期ガードに抵触する場合は、燃料ウエット抑制のための進角側噴射時期ガードと、燃料気化時間確保のための遅角側噴射時期ガードとの間を新たな噴射可能範囲と設定して、燃料気化時間確保のための遅角側噴射時期ガードを噴射終了時期として、噴射可能範囲内で燃料噴射を行う。
【0009】
請求項5乃至6に記載した制御方法においては、請求項1の場合と同様に、吸気下死点の前後に進角側噴射時期ガード及び遅角側噴射時期ガードを設定して、それらの間を噴射可能範囲とすると共に、更に、始動時に燃料噴射の開始を許容する始動時噴射開始許可噴射圧を設定する。それによって請求項1の場合と同様な作用効果を奏するだけでなく、燃料噴射期間が噴射可能範囲を超えるような場合であっても、噴射圧を始動時噴射開始許可噴射圧以上に高めることによって、短時間内に必要な燃料噴射量が得られるので、噴射期間を噴射可能範囲内に収めることが可能になる。従って、燃料噴射期間が噴射可能範囲を超える場合でも、気筒内の壁面における燃料ウエットの付着量を低減させて、直噴エンジンの始動時におけるスモークの排出量を減少させることができる。この際に、噴射可能範囲が燃料気化時間確保のための遅角側噴射時期ガードに抵触する場合は、燃料ウエット抑制のための進角側噴射時期ガードと、燃料気化時間確保のための遅角側噴射時期ガードとの間を新たな噴射可能範囲として設定して、燃料噴射を行う。
【0010】
請求項7に記載された制御方法においては、直噴エンジンの始動時にのみ作動する始動時燃料加圧手段を設けて、フィードポンプによって得られる通常のフィード圧を更に増圧する形で高い噴射圧を発生させる。従って、通常の直噴エンジンに始動時燃料加圧手段を付加するだけで、本発明の優れた燃料噴射装置の制御方法を実行することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面に従って本発明の実施の形態を詳細に説明する。まず、図7によって、本発明の燃料噴射装置の制御方法を実行するために使用し得る直噴エンジンの燃料噴射装置を含むシステム構成の実施例について説明する。
【0012】
図7において、10は本発明の制御方法を実行するための直噴エンジンであって、その冷却水套等には冷却水の温度を検出する水温センサ11が設けられていると共に、オイルパン等にはエンジンオイルの温度を検出する油温センサ12が設けられている。また、吸気通路18の一部には吸気温度を検出する吸気温センサ13が設けられ、気筒内の燃焼室19へ直接に燃料を噴射することができる燃料噴射弁15には噴射される燃料の圧力、即ち噴射圧を検出する燃料噴射圧センサ14が設けられている。これらのセンサ類が出力する検出信号は直噴エンジン10の運転状態を制御するために設けられた電子式制御装置(ECU)17へ入力されていて、ECU17が出力する制御信号によって燃料噴射弁15等が自動的に制御される。
【0013】
20は燃料を通常の噴射圧まで加圧して燃料噴射弁15へ圧送するフィードポンプである。図7に示したエンジンシステムの特徴は、フィードポンプ20によって加圧された燃料を、始動時にECU17の指令を受けて更に高圧まで加圧するための始動時噴射圧昇圧手段16を備えていることである。始動時噴射圧昇圧手段16としては、後述のように、アキュームレータとか、バッテリーの電力によって回転駆動される容積型等のポンプを使用することができる。始動時に必要な燃料の量は多くないから、定常的に大量の吐出量を発生させ得るポンプ等を使用する必要はない。始動時に一時的に噴射圧を増圧することによって、単位時間当たりの燃料噴射量、即ち噴射率が高くなるので、始動時に必要な量の燃料を短時間内に噴射することが可能になる。
【0014】
燃料噴射弁15の噴孔から燃焼室19内へ噴射された燃料の噴霧は、ピストン21の頂面等からなる燃焼室19の内壁面に衝突するが、始動時のように壁面の温度が低い時には直ちに蒸発する分が少ないので、燃料噴霧は壁面に液膜状に付着して所謂「燃料ウエット」を形成する。燃料ウエットが始動時のスモーク排出量を増加させることは前述のとおりである。燃料ウエットの付着量は、燃料噴霧が衝突する壁面の温度のほかに、燃料噴霧のペネトレーション(貫通能力)と、燃料噴射弁15の噴孔の位置に対するピストン21の位置、即ち、噴孔とピストン21の頂面との間の距離によっても大きく変化する。図5に、ピストン21の位置、即ち、吸気行程から圧縮行程にかけてのクランク角度によって表されるピストン21の行程位置に対する燃料ウエットの付着量を概念的に示す。なお、この場合、燃料噴射弁15の単位時間当たりの噴射量は一定とする。
【0015】
図5から明らかなように、燃料ウエットの付着量は、ピストン21の位置が上死点(TDC)に近い時に多くなり、下死点(BDC)に近い時に少なくなる。これは、燃料噴射弁15の噴孔とピストン21の頂面が近い時は、噴孔から噴射された燃料噴霧がそのまま拡散しないで頂面に衝突するためである。特に、燃料噴霧22の先端の到達範囲内にピストン21の頂面が位置する時には、図5に示したように燃料ウエットが急激に増加するという特性がある。
【0016】
図8の概念図に、クランク角度によって急激に筒内燃料ウエット付着量が変化するメカニズムを示す。図8は直噴エンジンの1気筒の概念図である。図中αは水平面(ボア面)からの燃料噴霧の噴射方向を、lは燃料噴射弁の噴孔からの燃料噴霧の先端到達距離を、xは燃料噴射弁の噴孔からピストン頂面までの鉛直方向(ストローク方向)の距離を、それぞれ示している。図8から明らかなように、これらの関係が条件式(1)、即ち、
x≧lsinα ………(1)
を満たす場合は、燃料噴霧のピストン頂面への衝突を防ぐことができるため、ピストンへの燃料ウエットの付着量を低減することができる。従って、エンジン行程において、吸気上死点から圧縮上死点までの間で、式(1)が満たされるクランク角度の範囲内に噴射可能範囲(ピストンウエット低減のための進角側噴射時期ガード〜ピストンウエット低減のための遅角側噴射時期ガード)を設定すれば、図5に示したような筒内燃料ウエット付着量の少ない条件においてエンジンの運転が可能となる。
【0017】
ピストン頂面等における燃料ウエットの付着量は、スモークの排出量に対して密接な相関関係を有するので、スモークの排出量が目標のレベルを達成するために許されるピストン燃料ウエット許容量を設定し、ピストン燃料ウエットがその許容量になるクランク角度を燃料ウエット抑制のための噴射時期ガードとする。この位置は図5から明らかなように、吸気上死点から圧縮上死点までの間に2回あるので、吸気上死点に近い方を進角側噴射時期ガードと呼び、圧縮上死点に近い方を遅角側噴射時期ガードと呼ぶことにする。両者の間の領域ではピストン21への燃料ウエットの付着量が許容値以下となるので、スモークの排出量を目標のレベルまで低減させることができる。従って、両者の間の領域を噴射可能範囲と定めると共に、それ以外の領域を噴射禁止領域とする。
【0018】
図1に本発明の直噴火花点火式内燃機関における燃料噴射装置の制御方法に関する第1実施例を示す。始動時の要求噴射量は直噴エンジン10の温度によって増減変化するが、第1実施例の制御方法は、燃料の噴射圧がフィードポンプ20のみによって発生させ得る通常のフィード圧であって、そのフィード圧による噴射期間(即ち、噴射量)が前述の噴射可能範囲内に収まる場合に対応する1つの例である。
【0019】
第1実施例の制御方法においては、燃料噴射時期を燃料噴射期間の中心時期と、燃料噴射期間とによって定義し、燃料噴射期間の中心時期を、噴射可能範囲の中心位置に位置決めする。燃料噴射期間は、噴射圧と要求噴射量によって決定される。また、直噴エンジン10の温度が低下した時ほど、始動時の要求噴射量は増大する。従って、燃料の気化時間を確保するための遅角側噴射時期ガードは、外気温と油温、水温等によって検知される機関温度と、機関回転数とに応じて変動するため、運転条件によってはピストンの燃料ウエットを抑制するための遅角側噴射時期ガードよりも進角側へずれる場合がある。
【0020】
もし、噴射開始時期が燃料ウエット抑制のための進角側噴射時期ガードに達する前に、噴射終了時期が燃料気化時間確保のための遅角側噴射時期ガードに達した場合には、燃料ウエット抑制のための進角側噴射時期ガードと、燃料気化時間確保のための遅角側噴射時期ガードとの間を新たに噴射可能範囲と設定し直した後に、それ以上の噴射期間の延長は進角側のみにおいて行う。このように処理してもなお、噴射開始時期が噴射可能範囲から逸脱する場合は、それ以上の噴射量をまかなうために、後述の第3実施例のような、噴射率を高めることによる制御方法へ移行する。このような制御方法により、一時的に多量の燃料を筒内へ噴射する必要がある始動時の運転条件でも、ピストン21の燃料ウエットを回避することができるため、始動時にスモークの排出量を低減させることが可能になる。
【0021】
図2に本発明の制御方法に関する第2実施例を示す。一般に始動時の要求噴射量は機関温度が低い時に増大するが、第2実施例の制御方法においても第1実施例の場合と同様に、通常のフィード圧による噴射期間が噴射可能範囲内に収まる場合を対象としている。第2実施例の場合は燃料噴射時期を燃料の噴射開始時期と噴射期間とによって定義すると共に、噴射開始時期を燃料ウエット抑制のための進角側噴射時期ガードの位置に配置している点に特徴がある。燃料噴射期間は噴射圧と要求噴射量によって決定される。それによって噴射終了時期が噴射可能範囲の限界である燃料ウエット抑制のための遅角側の噴射時期ガードを超える場合には、それ以上の噴射量をまかなうために後述の第3実施例のような制御方法へ移行する。また、噴射終了時期が燃料ウエット抑制のための遅角側噴射時期ガードに達する前に、燃料気化時間確保のための遅角側噴射時期ガードに達した場合は、燃料ウエット抑制のための進角側噴射時期ガードと、燃料気化時間確保のための遅角側噴射時期ガードとの間を新たな噴射可能範囲と設定し直した後に、それ以上の噴射量をまかなうために、後述の第3実施例のような制御方法へ移行する。
【0022】
このように、第2実施例の制御方法によれば、始動時という一時的に多量の燃料噴射量を必要とする運転条件においても、できるだけ燃料の気化時間を確保しながら、燃料ウエットの付着量を低減させることができるので、安定した燃焼状態と、始動時のスモーク排出量の低減という目標を達成することができる。
【0023】
図3に本発明の制御方法の第3実施例を示す。前述のように、始動時の要求燃料噴射量は機関の温度によって増減するが、第3実施例は、要求噴射量をまかなうために、フィードポンプ20による通常のフィード圧による燃料噴射期間では噴射可能範囲を超える場合、つまり、前述の第1実施例や第2実施例の制御方法によっては対応することができないほど、始動時の要求噴射量が多い場合を対象としている。このような場合に、始動のための燃料噴射を開始する前に、噴射圧をフィード圧以上に増圧する点に特徴がある。但し、噴射可能範囲が燃料気化時間確保のための遅角側噴射時期ガードに抵触する場合は、燃料ウエット抑制のための進角側噴射時期ガードと、燃料気化時間確保のための遅角側噴射時期ガードとの間を新たな噴射可能範囲と設定し直して、その範囲内で燃料噴射を行う。
【0024】
図7に始動時噴射圧昇圧手段16として示した増圧のための手段としては、前述のように、それ自体は公知であるアキュームレータを燃料供給通路に設けると共に、クランキングによる始動開始前にフィード圧よりも高い燃料圧力を蓄圧して、必要な時にアキュームレータに通じるバルブを開くとか、バッテリーの電力によって応急的に回転駆動される別の容積型等のポンプをフィードポンプ20と直列に設けて、始動時のみ短時間だけ作動させるとか、フィードポンプ20自体を可変容量型とするとか、大容量のものにするというような多様な手段を用いることができる。
【0025】
第3実施例においては、始動時噴射圧昇圧手段16を作動させて一時的に噴射率を高めることにより、短い噴射期間内に多量の燃料を噴射することができるので、要求噴射量を噴射可能範囲内に問題なく噴射することが可能になる。このようにして、始動時要求燃料噴射量が多量の場合でも、気筒内の壁面における燃料ウエットを抑制し、スモークの排出量を低減させることができる。
【0026】
本発明と対比するために、図4に従来の燃料噴射装置の制御方法を示す。燃料の噴射時期は、通常は燃料の噴射開始時期と、噴射期間とによって定義される。低温始動時における要求燃料噴射量が大きくなって、噴射時期が燃料の気化時間を確保するために設定された遅角側噴射時期ガードに達したのちは、噴射終了時期と噴射期間によって定義される。噴射圧は全域において一定のフィード圧である。従って、要求噴射量が増大するのに伴って、噴射期間は進角側へ無制限に延長されることになり、本発明にいう進角側噴射時期ガードを超える結果、気筒内の壁面の燃料ウエットが増大するのでスモークの排出量が増加する。
【0027】
図6は、図7に示すECU17によって本発明の第1実施例乃至第3実施例の制御方法を実行するための制御の手順を示すフローチャートである。本発明は、第1実施例又は第2実施例として説明したような制御方法と、第3実施例として説明したような制御方法とを組み合わせて実行する場合に最大の効果が得られるので、図6には、これら複数個の実施例を組み合わせた場合を示している。
【0028】
まず、ステップ101において図示しないスタータ(始動用電動機)のON信号が入力された後に、ステップ102において検知された外気温と水温を読み込むことにより、ステップ103において始動時の要求燃料噴射量を算出する。次にステップ104へ進んで噴射圧を検出することにより、次のステップ105において噴射率を算出し、更にステップ106へ進んで、先にステップ103において算出した要求噴射量に基づいて噴射期間を算出する。
【0029】
ステップ107では、算出された噴射期間と、予めECU17のメモリ内に設定されている噴射可能範囲とを比較し、第1実施例又は第2実施例の制御方法を実行するか、或いは第3実施例の制御方法を実行するかを判別する。つまり、噴射期間が噴射可能範囲内(YES)であれば、ステップ108へ進んで、第1実施例又は第2実施例の制御方法によって噴射時期を設定し、ステップ109の始動時燃料噴射を実行する。それによって始動時のスモーク排出量を低減させることができる。
【0030】
これに対して、ステップ107において、噴射期間が噴射可能範囲を超えている(NO)と判定された場合には、第3実施例の制御方法に従って、始動時噴射圧昇圧手段16によって噴射圧を増圧することにより噴射期間を短縮させて、噴射可能範囲内での噴射終了を可能にする。具体的には、まず、ステップ110へ進んで始動時噴射圧昇圧手段16を起動させるか、或いは継続作動をさせると共に、ステップ111から116において前述のステップ102から107と同様な処理を行って、ステップ116における判定がNOの場合はステップ110へ戻るが、判定がYESの場合はステップ117へ進んで第3実施例の制御方法を実行する。そして、その演算結果に従って、ステップ109において始動時の燃料噴射を行う。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制御方法の第1実施例を示す噴射時期の分布図である。
【図2】本発明の制御方法の第2実施例を示す噴射時期の分布図である。
【図3】本発明の制御方法の第3実施例を示す噴射時期の分布図である。
【図4】従来の制御方法を例示する噴射時期の分布図である。
【図5】噴射時期と気筒内燃料ウエットの付着量との相関関係を示す線図である。
【図6】本発明の制御方法の手順を例示するフローチャートである。
【図7】本発明の制御方法を実行する直噴エンジンのシステム構成図である。
【図8】燃料ウエット付着量の変化のメカニズムを説明するための直噴エンジンの概念図である。
【符号の説明】
10…直噴エンジン
11…水温センサ
12…油温センサ
13…吸気温センサ
14…噴射圧センサ
15…燃料噴射弁
16…始動時噴射圧昇圧手段
17…電子式制御装置(ECU)
19…燃焼室
20…フィードポンプ
21…ピストン
22…燃料噴霧
Claims (7)
- 気筒内へ直接に燃料を噴射して燃焼させる火花点火式内燃機関において、燃料噴射弁から気筒内へ噴射された燃料が前記気筒内の壁面に衝突して液膜状に付着することによって筒内燃料ウエットを形成するのを抑制するために、燃料噴射時期を制限する噴射時期ガードを吸気下死点の遅角側と進角側に設定して、それら2つの噴射時期ガードによって規定された期間を噴射可能範囲とし、
水平面からの燃料噴射方向の角度をα、燃料噴射弁の噴孔から噴射される燃料噴霧の先端の到達距離をl、前記噴孔からピストンの頂面までの距離をxとした時に、
x≧lsinα
となるようなクランク角度の範囲を前記噴射可能範囲とすることを特徴とする燃料噴射装置の制御方法。 - 請求項1において、前記内燃機関の始動時の要求燃料噴射量を確保するための燃料噴射期間が前記噴射可能範囲内にある場合に、燃料噴射期間の中心時期を前記吸気下死点付近に設定することを特徴とする燃料噴射装置の制御方法。
- 請求項1において、前記内燃機関の始動時の要求燃料噴射量を確保するための燃料噴射期間が前記噴射可能範囲内にある場合に、燃料噴射開始時期を前記進角側の噴射時期ガードの位置に設定することを特徴とする燃料噴射装置の制御方法。
- 請求項1において、前記内燃機関の始動時の要求燃料噴射量を確保するための燃料噴射期間が前記噴射可能範囲を超える場合に、燃料噴射終了時期を前記遅角側の噴射時期ガードの位置に設定することを特徴とする燃料噴射装置の制御方法。
- 請求項1において、更に、始動時に燃料噴射の開始を許容する始動時噴射開始許可噴射圧を設定することを特徴とする燃料噴射装置の制御方法。
- 請求項5において、前記内燃機関の始動時の要求燃料噴射量を確保するための燃料噴射期間が前記噴射可能範囲を超える場合に、前記燃料噴射期間が前記噴射可能範囲内に収まるように噴射率を上昇させる目的において、燃料加圧手段によって燃料の噴射圧を必要な分だけ増圧させた後に燃料噴射を開始させることを特徴とする燃料噴射装置の制御方法。
- 請求項6において、前記燃料加圧手段が始動時にのみ作動する始動時燃料加圧手段であることを特徴とする燃料噴射装置の制御方法。
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