JP3901762B2 - 移動層反応槽の上部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、一般的な気体と固体の接触装置(例えば乾式の排煙脱硫脱硝装置等)に用いられる移動層反応槽の上部構造に関し、特に、気体(排ガス)と固体(炭素質系の触媒等)とを直交する方向で接触させて、気体(排ガス)中に含まれる混合物(SOx(硫黄酸化物)、NOx(窒素酸化物)等)を除去するようにした直交流式の移動層反応槽の上部構造に関するものである。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
一般的な気体と固体との接触装置、例えば、乾式の排煙脱硫脱硝装置等に用いられる直交流式の移動層反応槽にあっては、反応槽内に粒子状物からなる触媒を充填するとともに、その触媒を移動(下降)させて反応槽内に移動層を形成し、触媒の移動方向と直交する方向から反応槽内に排ガス(被処理ガス)を流入して、排ガスと触媒とを相互に接触させ、吸着、反応等を行わせることによって排ガス中に含まれるダスト類、SOx(硫黄酸化物)、NOx(窒素酸化物)等の混合物を除去し、それらが含まれていないクリーンな排ガスを大気中に放出するようになっている。
【0003】
すなわち、移動層の触媒の移動方向と直交する方向から反応槽内に排ガスを流入すると、排ガスと触媒とは相互に接触して排ガス中に含まれるダスト類が触媒に付着し、排ガス中からダスト類が除去される。この作用によって触媒の本来の機能は低下する。
【0004】
また、排ガス中に含まれるSOx(硫黄酸化物)は、触媒の働きによって酸素及び水と反応し、硫酸となって触媒に吸着される。化学反応式で示すと以下のようになる。
2SO2 +O2 +2H2 O=2H2 SO4
【0005】
さらに、排ガス中のNOx(窒素酸化物)は、排ガス中にアンモニアを添加することにより、触媒の働きで窒素に還元される。化学反応式で示すと以下のようになる。
4NO+O2 +4NH3 =4N2 +6H2 O
【0006】
そして、上記のような処理を行った後に触媒は反応槽の下部から抜き出され、再生処理される。すなわち、触媒に吸着された硫酸は約400℃の高温で還元され、高濃度の亜硫酸ガスとなる。化学反応式で示すと以下のようになる。
H2 SO4 =SO3 +H2 O
2SO3 +C=2SO2 +CO2
【0007】
そして、このようにして得られた高濃度の亜硫酸ガスは硫酸又は単体硫黄として回収され、再生された触媒は冷却された後に篩に掛けられて付着したダストが除去され、ハンドリング等によって粉化した触媒が除去され、反応槽に戻される。
【0008】
ここで、排ガスの脱硫、脱硝等の処理に用いられる触媒には、140℃程度の比較的低温で用いられる炭素質系の触媒と、300〜400℃の高温で用いられる金属系の触媒とがある。通常のボイラー排ガスでは温度を操作する必要がないため、炭素質系の触媒が多く用いられる。
【0009】
しかしながら、炭素質系の触媒は、石炭等の主原料にバインダーを加えて10mm程度に成型し、乾溜、賦活したものであって、比較的強度が低く、主反応と再生を繰返すうちに粉砕されて大小様々な粒子となり、かつ微細な粉を含むようになる。このため、再生処理して繰返し用いると、反応槽内に大小様々な粒子が投入され、反応槽内において分級作用が発生し、小さな粒径の触媒ほど槽の中央部分(反応槽の中心線付近)に偏って集まることになる。すなわち、反応槽内に投入された粒子は、投入口から槽全体に広がるように槽内に充填されるが、小さな粒子ほど大きな粒子間の隙間を通って下へ下へと速く下降し、分級作用が発生し、反応槽の中央部分に微細な粉を含む非常に緻密な充填層が形成される。この結果、反応槽内には緻密な充填層の部分と粗い充填層の部分が形成され、排ガスは処理効率の高い緻密な充填層の部分を避けて処理効率の低い粗い充填層の部分を多量に流れることになり、反応槽全体としてのSOx等の処理効率が著しく低下する。
【0010】
この発明は前記のような従来のもののもつ問題点を解決したものであって、触媒を再生処理して繰返し用い、触媒の粒子に大小様々なものが含まれるようになっても、それらの粒子を反応槽全体に均一に分布させることができ、反応槽全体としてのSOx等の混合物の処理効率が低下することなく、長期的に高い処理効率が得られる移動層反応槽の上部構造を提供することを目的とするものである。
【0011】
【問題点を解決するための手段】
上記の問題点を解決するため、
請求項1にかかる発明は、反応槽内およびその上部の投入部内に、その投入部の上部から粒子状物からなる触媒を投入して充填するとともに、この触媒を移動させて反応槽内に移動層を形成し、反応槽内に外部から被処理ガスを流入して前記触媒と接触させ、吸着、反応等を行わせることによって被処理ガス中に含まれる混合物を除去し、クリーンなガスを大気中に放出するようになっている移動層反応槽の上部構造であって、
前記投入部は、壁面によって囲まれて形成され、この投入部の内部空間に、触媒の投入方向に向かって所定の間隔ごとに複数の平板状の整流板が設けられ、
前記投入部の内部空間のうち、投入部の中心線を通る被処理ガスの流れの方向を向く仮想面の左側の空間および右側の空間に、それぞれ仮想面に沿って上下方向に所定の間隔ごとに、かつ、各々がそれらの上部に位置する上記壁面と略平行となるように前記複数の整流板が設けられ、かつ、両空間の複数の整流板の上端は、前記仮想面上又はその近傍に上下方向に交互に位置していることを特徴とする移動層反応槽の上部構造である。
請求項2にかかる発明は、前記各空間の複数の整流板の一部の上端を、前記仮想面を超えて反対側の空間内に位置させたことを特徴とする請求項1記載の移動層反応槽の上部構造である。
【0012】
【作用】
この発明は前記の手段を採用したことにより、投入部内に触媒を投入すると、その触媒は投入部内の複数の整流板を、上側に位置するものから下側に向かって順次通過し、その際に左右に振り分けられるとともに、投入部の下端開口部の全体を使って反応槽内に投入されることになる。したがって、触媒中に大小様々な粒子が含まれていても、分級作用が生じることなく、反応槽内に均一な粒度分布で触媒を充填することができることとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
前述したように、炭素質系の触媒は、比較的強度が低く、主反応と再生を繰返すうちに破砕され、大小様々な形状の粒子となり、かつ、微細な粉を含むようになる。このような状態の触媒を反応槽内に投入すると、分級作用が発生して、小さな粒径のものほど槽の中央部分に偏って集まる。したがって、槽内には緻密な充填層の部分と粗い充填層の部分とが形成され、排ガスは、緻密な充填層の部分を避けて粗い充填層の部分を多量に流れ、反応槽の効率が低下することになる。
【0014】
本願発明者らは、上記の問題を解決するために以下のような方法を考えた。
すなわち、図8に示すように、反応槽7の頂部に、4つの壁面2、2、3、3からなる角錐状の投入部1を形成し、この投入部1の内部に、断面が山型状をなす複数の整流板20、20……を排ガスの流入方向を向くように、かつ、各々の頂点が上方を向くように規則的に並べた。
【0015】
そして、投入部1内にその頂部の投入口1aから粒子状物からなる適宜の触媒を投入すると、触媒は複数の整流板20、20……を上方から順次通過するとともに、各整流板20を通過する度に粒子径に関係なく左右に二等分され、反応槽7内に全体に渡って均一に振り分けられる。すなわち、反応槽7内に、その投入箇所の全体を使って大小様々な粒子径のものを均一に投入した場合と同じ結果が得られる。したがって、粒子径の大小に関わらず反応槽7全体を均一な粒度分布とすることができる。
【0016】
そして、この方法を更に詳しく検討した結果、次の二つのケースが考えられることが判明した。
<ケース1>
「充填レベルが低く、触媒が投入部1内に充満していない場合」
<ケース2>
「充填レベルが高く、触媒が投入部1内に充満している場合」
【0017】
ケース1の場合には、触媒は投入部1内を落下する際に各整流板20に衝突する。移動層(図示せず)における触媒の移動速度に比べれば前記落下速度は非常に速いので、分級作用が発生する時間的な余裕はなく、触媒を構成する粒子径の大小に関係なく、投入部1内で効果的に整流される。
【0018】
ケース2の場合には、触媒は投入部1内を緩やかに下降し、同時に緩やかに投入部1内を中央部から外側に向かって移動し、この途中で各整流板20に遭遇する。すなわち、触媒は、各整流板20に対して垂直に下降するのではなく、斜め向きに下降することになるので、各整流板20に到達する前に分級作用が発生することになる。したがって、各整流板20で2分される触媒は、進行方向の後方側に小さな粒子が、先方側に大きな粒子が偏って流れることになり、整流板20の有無に関わらず分級作用が発生することになる。
【0019】
反応槽7の機能から考えると、ケース1よりもケース2の方が好ましい。触媒は、反応槽7の頂部から反応槽7内に連続的に投入されるが、このとき反応槽7内の排ガスが大気中に流出したりすることがないように、投入部1内の気密性を保持する必要がある。気密性の保持を容易にするためには、反応槽7の上部の投入部1内にも触媒が充満しているケース2が好ましい。また、反応槽7の上部の投入部1内に触媒が充満していない場合には、排ガスの一部がこの部分を短絡して流れることになり、反応槽7の処理効率を低下させることになるが、触媒が充満している場合には、この部分の触媒も吸着や反応に有効に働くので、処理効率を高めることができ、非常に好ましい結果が得られる。
【0020】
以上のことから、本願発明者らは、反応槽7の上部の投入部1内にも触媒を充満させ、この状態で触媒の分級作用を防止できる移動層反応槽の上部構造を研究し、この結果、本願発明に到達することができた。
【0021】
以下、図面に示す本願発明の実施の形態について説明する。
図1には、この発明による移動層反応槽の上部構造の第1の実施の形態が示されている。この実施の形態による移動層反応槽の上部構造は、反応槽の上部に4つの壁面2、2、3、3からなる投入部1を形成するとともに、この投入部1内に触媒の流れを整流する複数の整流板6、6……を設けたものである。
【0022】
投入部1は、反応槽内に流入する被処理ガスである排ガスの流れ方向を向く2つの壁面2、2と、排ガスの流れ方向と直交する方向を向く2つの壁面3、3の4つの壁面からなる下方が広がる角錐状をなすものであって、これら4つの壁面2、2、3、3によって囲まれる投入部1の内部空間4、5に複数の整流板6、6……が設けられるようになっている。
【0023】
投入部1の頂部には、投入部1内外を上下方向に貫通する投入口1aが設けられ、この投入口1aを介して投入部1の内部に粒子状物からなる適宜の触媒が連続的に投入されるようになっている。
【0024】
投入部1の内部空間のうち、投入部1の中心線を通る排ガスの流れ方向を向く仮想垂直面aの左側の空間4および右側の空間5には、それぞれ仮想垂直面aに沿って上下方向に所定の間隔ごとに複数の整流板6、6……が設けられている。
【0025】
左側の空間4の各整流板6は、それぞれそれらの上部に位置する壁面2と略平行をなしている。右側の空間5の各整流板6も、それぞれそれらの上部に位置する壁面2と略平行をなしている。
【0026】
左側の空間4の複数の整流板6、6……の各々の上端と、右側の空間5の複数の整流板6、6……の各々の上端とは、仮想垂直面aの近傍に上下方向に交互に位置するとともに、各整流板6の下端は投入部1と反応槽7との境界線上、すなわち投入部1の下端開口部に位置するようになっている。
【0027】
投入部1は、移動層反応槽であれば何れのタイプのものでも用いることができる。例えば、図3に示すような直交流式の移動層反応槽に用いた場合には、反応槽7内において分級作用が発生することなく、反応槽7内に全体に渡って均一の粒度分布で大小様々な粒子からなる触媒を充填することができるものである。
【0028】
すなわち、図3に示す直交流式の移動層反応槽は、反応槽7の頂部に設けた前記投入部1から反応槽7内に粒子状物からなる適宜の触媒を投入し、反応槽7内に触媒を充填するとともに、充填した触媒を反応槽7内で下降させて反応槽7内に移動層8を形成し、この移動層8の触媒と水平方向から反応槽7内に流入する排ガスとを相互に接触させ、排ガス中に含まれるダスト類、SOx(硫黄酸化物)、NOx(窒素酸化物)等を除去し、それらが含まれていないクリーンな排ガスを大気中に放出するようにしたものである。
【0029】
反応槽7の内部には、ガス入口9側にメインルーバー11、その内側にサブルーバー12、さらにその内側に区画板13、ガス出口10側に出口側ルーバー14がそれぞれ設けられ、メインルーバー11と出口側ルーバー14との間で前記移動層8が形成され、メインルーバー11とサブルーバー12との間で第1層15が、サブルーバー12と区画板13との間で第2層16が、区画板13と出口側ルーバー14との間で第3層17がそれぞれ形成され、これら3つの層の流れは別々に制御することができるようになっている。したがって、反応槽7のガス入口9部分における触媒の移動速度を速くし、ダストが付着した触媒を選択的に速く反応槽7外に排出することによって、反応槽7内の触媒がダストによって活性が低下したり、圧力損失が増大したりするのを防止できるものである。
【0030】
そして、上記のように構成した反応槽7内に、その頂部に取り付けたホッパー18から適宜の触媒を連続的に投入すると、反応槽7内部のメインルーバー11と出口側ルーバー14との間に触媒が充填されてその部分に移動層8が形成されるとともに、反応槽7内に充填された触媒は緩やかに下方に移動しつつ、反応槽7の下端部に取り付けられた排出ノズル19から反応槽7外に抜き出される。
【0031】
そして、水平方向からガス入口9を介して反応槽7内に排ガスが流入すると、その排ガスは移動層8に充填されている触媒の粒子間を通過し、その間にダスト類、SOx(硫黄酸化物)、NOx(窒素酸化物)等が除去され、それらが含まれていないクリーンな排ガスとなってガス出口10から大気中に放出される。
【0032】
すなわち、移動層8を通過する際に排ガスは触媒の粒子と接触し、排ガス中に含まれるダスト類が粒子の表面に付着し、排ガス中に含まれるダスト類が除去される。排ガス中に含まれるSOx(硫黄酸化物)は、触媒の働きによって酸素及び水と反応し、硫酸となって触媒に吸着される。排ガス中のNOx(窒素酸化物)は、排ガス中にアンモニアを添加することにより、触媒の働きによって窒素に還元されることになる。
【0033】
そして、上記のような処理を行った後、触媒は反応槽7の排出ノズル19から外部に抜き出され、再生処理される。すなわち、触媒に吸着された硫酸は約400℃の高温で還元され、高濃度の亜硫酸ガスになる。ここで得られた高濃度の亜硫酸ガスは、硫酸又は単体硫黄として回収され、再生された触媒は冷却された後に篩に掛けられて付着したダスト類が除去され、ハンドリング等によって粉化した触媒が除去され、ホッパー18を介して再び反応槽7に戻される。
【0034】
そして、触媒として炭素質系のものを用いた場合には、前述したように、炭素質系の触媒は強度が低く、主反応と再生を繰返すうちに粉砕され、大小様々な粒子となり、微細な粉を含むようになるため、このような状態の触媒をホッパー18から反応槽7内に投入すると、従来の形式のものでは分級作用が生じ、反応槽7内の触媒の粒度分布を均一にすることができなかった。
【0035】
この実施の形態によるものは、反応槽7の上部に角錐状の投入部1を形成するとともに、その内部空間のうち、投入部1の中心線を通る排ガスの流れ方向を向く仮想垂直面aの左側の空間4および右側の空間5内に、それぞれ上下方向に所定の間隔ごとに複数の整流板6、6……を設けて、両空間4、5の複数の整流板6、6……の上端が前記仮想垂直面aの近傍に上下方向に交互に位置するようにし、下端が投入部1と移動層8との境界線上、すなわち投入部1の下端開口部に位置するようにしたので、ホッパー18から投入口1aを介して投入部1内に投入された触媒は、両空間4、5の複数の整流板6、6……を上側に位置するものから下側に向かって順次通過し、その際に左右に振り分けられるとともに、投入部1の下端開口部の全体を使って反応槽7内に投入されることになる。
【0036】
したがって、触媒中に大小様々な粒子が含まれていても、分級作用が生じるようなことはなく、移動層8内に細かい粒子の緻密な充填層と大きな粒子の粗い充填層が形成されるのを阻止でき、移動層8内に大小様々な粒子を全体に渡って均一に分散させることができ、反応槽7内に流入する排ガスが偏って流れるようなことがなくなり、排ガスは移動層8全体に均一に作用することになるので、SOx等の処理効率が高まることになる。
【0037】
図2には、前記実施の形態による移動層反応槽の上部構造による粒度分布が示してある。図中A1 は5.66mm以上の粒径のもの、B1 は4.0〜5.66mmの粒径のもの、C1 は3.0〜4.0mmの粒径のもの、D1 は3.0mm以下の粒径のものを示し、排ガスの流れに対して直角な4つの断面について粒度分布を測定したものである。この結果から、反応槽7内において分級作用がほとんど発生していないことは明確であり、大小様々な粒子径の触媒が反応槽7の全体に均一に分散されて充填されていることが分かる。
【0038】
図9〜図12には、前記した実施の形態によるものの比較例が示されている。図9に示す移動層反応槽の上部構造は、投入部1の内部に整流板を全く設けていないもの、図11に示す移動層反応槽の上部構造は、投入部1の内部に、仮想垂直面aを中心として左右対象となるように、仮想垂直面aの左側の空間4および右側の空間5に、それぞれ複数の整流板6、6……を設けたものである。
【0039】
そして、図9に示すものの粒度分布が図10に示してあり、図11に示すものの粒度分布が図12に示してある。図10において、A4 は5.66mm以上の粒径のもの、B4 は4.0〜5.66mmの粒径のもの、C4 は3.0〜4.0mmの粒径のもの、D4 は3.0mm以下の粒径のものを示し、排ガスの流れに対して直角な4つの断面について粒度分布を測定した。また、図12において、A5 は5.66mm以上の粒径のもの、B5 は4.0〜5.66mmの粒径のもの、C5 は3.0〜4.0mmの粒径のもの、D5 は3.0mm以下の粒径のものを示し、排ガスの流れに対して直角な4つの断面について粒度分布を測定した。これらの結果から、これら比較例の反応槽7内においては分級作用が発生していることが明確であり、大小様々な粒子のものが偏って充填されていることが分かる。
【0040】
図4および図5には、この発明による移動層反応槽の上部構造の第2の実施の形態が示されている。この実施の形態による移動層反応槽の上部構造は、投入部1の内部空間うち、仮想垂直面aの左側の空間4および右側の空間5に設ける複数の整流板6、6……の各々の上端が仮想垂直面a上に上下方向に交互に位置するように構成したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様の構成を有している。
【0041】
そして、上記のような構成のこの実施の形態による移動層反応槽の上部構造にあっても、前記第1の実施の形態に示すものと同様の作用効果を示し、ホッパー18から投入口1aを介して投入部1内に投入された触媒は、両空間4、5の複数の整流板6、6……を上側に位置するものから下側に向かって順次通過し、その際に左右に振り分けられるとともに、投入部1の下端開口部の全体を使って反応槽7内に投入されることになる。
【0042】
したがって、触媒中に大小様々な粒子が含まれていても、分級作用が生じるようなことはなく、移動層8内に細かい粒子の緻密な充填層と大きな粒子の粗い充填層が形成されるのを阻止でき、移動槽8内に大小様々な粒子を全体に渡って均一に分散させることができ、反応槽7内に流入する排ガスが偏って流れるようなことがなくなり、排ガスは移動層8全体に均一に作用することになり、SOx等の処理効率が大幅に高まることになる。
【0043】
図5には、前記実施の形態による移動層反応槽の上部構造による粒度分布が示してある。図中A2 は5.66mm以上の粒径のもの、B2 は4.0〜5.66mmの粒径のもの、C2 は3.0〜4.0mmの粒径のもの、D2 は3.0mm以下の粒径のものを示し、排ガスの流れに対して直角な4つの断面について粒度分布を測定したものである。この結果から、反応槽7内において分級作用がほとんど発生していないことは明確であり、大小様々な粒子径の触媒が反応槽7の全体に均一に分散されて充填されていることが分かる。
【0044】
図6および図7には、この発明による移動層反応槽の上部構造の第3の実施の形態が示されている。この実施の形態による移動層反応槽の上部構造は、投入部1の内部空間のうち、仮想垂直面aの左側の空間4および右側の空間5に設ける複数の整流板6、6……の一部の整流板6、6……の上端が仮想垂直面aを超えて反対側の空間4又は5内に位置するように構成したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様の構成を有している。
【0045】
そして、上記のような構成のこの実施の形態による移動層反応槽の上部構造にあっても、前記第1の実施の形態に示すものと同様の作用効果を示し、ホッパー18から投入口1aを介して投入部1内に投入された触媒は、両空間4、5の複数の整流板6、6……を上側に位置するものから下側に向かって順次通過し、その際に左右に振り分けられるとともに、投入部1の下端開口部の全体を使って反応槽7内に投入されることになる。
【0046】
したがって、触媒中に大小様々な粒子が含まれていても、分級作用が生じるようなことはなく、移動層8内に細かい粒子の緻密な充填槽と大きな粒子の粗い充填層が形成されるのを阻止でき、移動槽7内に大小様々な粒子を全体に渡って均一に分散させることができ、反応槽7内に流入する排ガスが偏って流れるようなことがなくなり、排ガスは移動層8全体に均一に作用することになり、SOx等の処理機能が大幅に高まることになる。
【0047】
図7には、前記実施の形態による移動層反応槽の上部構造による粒度分布が示してある。図中A3 は5.66mm以上の粒径のもの、B3 は4.0〜5.66mmの粒径のもの、C3 は3.0〜4.0mmの粒径のもの、D3 は3.0mm以下の粒径のものを示し、排ガスの流れに対して直角な4つの断面について粒度分布を測定したものである。この結果から、反応槽7内において分級作用がほとんど発生していないことは明確であり、大小様々な粒子径の触媒が反応槽7の全体に均一に分散されて充填されていることが分かる。
【0048】
なお、前述した各実施の形態による移動層反応槽の上部構造は、乾式の排煙脱硫脱硝装置、単なる脱塵装置等の一般的な気体と固体の接触反応装置に用いることができ、特に、用途が限定されるものではない。
【0049】
【発明の効果】
この発明は前記のように構成したことにより、投入部に投入される触媒は、投入部の内部に設けられている複数の整流板を上側に位置するものから下側に向かって順次通過し、その際に左右に振り分けられるとともに、投入部の下端開口部の全体を使って反応槽内に投入されることになる。したがって、触媒中に大小様々な粒子が含まれていても、分級作用が生じるようなことはなく、反応槽内に大小様々な粒子を均一な粒度分布で充填することができることになる。この結果、反応槽内に形成される移動層内に、細かい粒子の緻密な充填層と大きな粒子の粗い充填層が形成されることがなくなるので、反応槽内に流入する排ガスが偏って流れるようなことがなくなり、排ガスは移動層全体に均一に作用することになり、SOx等の処理効率を大幅に高めることができるとともに、そのような高い処理効率を長期的に維持することができることになる等の優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による移動層反応槽の上部構造の第1の実施の形態を示した断面図である。
【図2】図1に示すものの粒度分布である。
【図3】図1に示すものを用いた直交流式の移動層反応槽を示した断面図である。
【図4】この発明による移動層反応槽の上部構造の第2の実施の形態を示した断面図である。
【図5】図4に示すものの粒度分布である。
【図6】この発明による移動層反応槽の上部構造の第3の実施の形態を示した断面図である。
【図7】図6に示すものの粒度分布である。
【図8】この発明による移動層反応槽の上部構造の比較例を示した断面図である。
【図9】他の比較例を示した断面図である。
【図10】図9に示すものの粒度分布である。
【図11】他の比較例を示した断面図である。
【図12】図11に示すものの粒度分布である。
【符号の説明】
1……投入部
1a……投入口
2、3……壁面
4……左側の空間
5……右側の空間
6、20……整流板
7……反応槽
8……移動層
9……ガス入口
10……ガス出口
11……メインルーバー
12……サブルーバー
13……区画板
14……出口側ルーバー
15……第1層
16……第2層
17……第3層
18……ホッパー
19……排出ノズル
21……触媒
22……排ガス
Claims (2)
- 反応槽内およびその上部の投入部内に、その投入部の上部から粒子状物からなる触媒を投入して充填するとともに、この触媒を移動させて反応槽内に移動層を形成し、反応槽内に外部から被処理ガスを流入して前記触媒と接触させ、吸着、反応等を行わせることによって被処理ガス中に含まれる混合物を除去し、クリーンなガスを大気中に放出するようになっている移動層反応槽の上部構造であって、
前記投入部は、壁面によって囲まれて形成され、この投入部の内部空間に、触媒の投入方向に向かって所定の間隔ごとに複数の平板状の整流板が設けられ、
前記投入部の内部空間のうち、投入部の中心線を通る被処理ガスの流れの方向を向く仮想面の左側の空間および右側の空間に、それぞれ仮想面に沿って上下方向に所定の間隔ごとに、かつ、各々がそれらの上部に位置する上記壁面と略平行となるように前記複数の整流板が設けられ、かつ、両空間の複数の整流板の上端は、前記仮想面上又はその近傍に上下方向に交互に位置していることを特徴とする移動層反応槽の上部構造。 - 前記各空間の複数の整流板の一部の上端を、前記仮想面を超えて反対側の空間内に位置させたことを特徴とする請求項1記載の移動層反応槽の上部構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04304896A JP3901762B2 (ja) | 1996-02-29 | 1996-02-29 | 移動層反応槽の上部構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04304896A JP3901762B2 (ja) | 1996-02-29 | 1996-02-29 | 移動層反応槽の上部構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09234346A JPH09234346A (ja) | 1997-09-09 |
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